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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1262289
審判番号 不服2010-28640  
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-12-17 
確定日 2012-08-22 
事件の表示 特願2007-550310「デバイス間権利オブジェクトの移動方法とそれによるコンテンツオブジェクトの使用方法およびこれを利用したデバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 7月20日国際公開、WO2006/075893、平成20年 7月24日国内公表、特表2008-527534〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯

1.手続の経緯の概要
本件審判請求に係る出願(以下「本願」と記す。)は、
2006年1月13日(パリ条約による優先権主張外国庁受理:2005年1月13日、アメリカ合衆国 及び 2005年5月20日、大韓民国)を国際出願日とする出願であって、
平成19年7月5日付けで特許法第184条の5第1項の規定による書面、及び、特許法第184条の4第1項の規定による、国際出願日における明細書、請求の範囲、図面(図面の中の説明に限る。)の翻訳文が提出されると共に、同日付けで審査請求がなされ、
平成22年3月8日付けで拒絶理由通知(平成22年3月16日発送)がなされ、
同年6月16日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出され、
平成22年8月10日付けで拒絶査定(同年8月17日発送)がなされたものである。

そして、本件審判請求は、
同年12月17日付けで該拒絶査定を不服として、「原査定を取り消す、この出願の発明はこれを特許すべきものとする、との審決を求める。」との趣旨でなされたものであり、同日付けで手続補正書が提出されている。

なお、
平成23年1月25日付けで特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされ、
平成23年6月2日付けで期間を指定して当該報告に対する意見を求める旨の審尋(同年6月7日発送)がなされたが、請求人からは何らの応答も無かった。

2.手続補正の内容
(1)平成22年6月16日付け手続補正
上記平成22年6月16日付け手続補正書は特許請求の範囲を以下のとおりに補正するものである。
「 【請求項1】
使用しようとするコンテンツオブジェクトと前記コンテンツオブジェクトに相応する権利オブジェクトが同一なデバイスに保存されているのか判断する第1段階と、
前記判断結果、同一なデバイスに保存されていない場合、コンテンツオブジェクトを保存している第1デバイスが前記権利オブジェクトを保存している第2デバイスに使用許可の要請情報を送信する第2段階と、
前記要請情報を受けた第2デバイスから使用許可情報を受信する第3段階と、
前記使用許可情報を受信した前記第1デバイスは前記保存されたコンテンツオブジェクトを使用する第4段階とを含むコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項2】
前記第1段階は、
前記判断結果、同一なデバイスに保存されていない場合、前記コンテンツオブジェクトを保存している第1デバイスと前記権利オブジェクトを保存している第2デバイス間に相互認証をする段階、および
前記第1デバイスと前記第2デバイス間に保安状態を形成する段階、をさらに含む請求項1に記載のコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項3】
前記保安状態を形成する段階は、
前記認証の結果保安キーが生成される段階、および
前記生成された保安キーを、前記認証を終えた第1デバイスと第2デバイスが共有する段階を含む請求項2に記載のコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項4】
前記使用許可の要請情報は保安状態を通して送信する請求項1に記載のコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項5】
前記使用許可情報は保安状態を通して受信する請求項1に記載のコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項6】
前記権利オブジェクトは、
前記コンテンツオブジェクトを保存している前記第1デバイスに保存された権利オブジェクトも含む請求項1に記載のコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項7】
前記権利オブジェクトは、少なくとも一つ以上である、請求項1に記載のコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項8】
コンテンツオブジェクトを使用することができる機能を有するデバイスAが前記コンテンツオブジェクトと前記コンテンツオブジェクトに相応する権利オブジェクトを同時に有するデバイスBと通信する第1段階と、
前記デバイスAが使用しようとする前記デバイスBのコンテンツオブジェクトを検索する第2段階、および
前記デバイスAが前記検索された前記デバイスBのコンテンツオブジェクトを使用する第3段階を含むコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項9】
前記デバイスAは前記デバイスBに保存されたコンテンツオブジェクトに相応する権利オブジェクトを共に消費する第4段階をさらに含む請求項8に記載のコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項10】
前記第2段階は、
前記デバイスAが前記デバイスBのコンテンツオブジェクトを検索した場合、前記二つのデバイス間に相互認証をする段階、および
前記認証を終えたデバイス相互間に保安状態を形成する段階をさらに含む請求項8に記載のコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項11】
前記保安状態の形成段階は、
前記認証の結果、保安キーが生成される段階、および
前記生成された保安キーを、前記認証を終えたデバイスAと前記デバイスBが共有する段階を含む請求項10に記載のコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項12】
前記第1段階の通信は、
IPプロトコル、USBまたは、メモリーカードインターフェースを利用した通信方法である請求項8に記載のコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項13】
前記第3段階は、
前記デバイスBが前記デバイスAに前記コンテンツオブジェクトの全部または一部を送信する段階、および
前記受信を受けたデバイスAは前記コンテンツオブジェクトの全部または一部を使用する段階である請求項8に記載のコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項14】
前記送信する段階に先立ち、前記デバイスAが前記デバイスBに前記コンテンツオブジェクトの伝送を要請する段階をさらに含む請求項13に記載のコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項15】
使用しようとするコンテンツオブジェクトと前記コンテンツオブジェクトに相応する権利オブジェクトが、どのデバイスに保存されているのか検索する権利オブジェクト管理モジュールと、
前記権利オブジェクトを保存している他のデバイスに使用許可の要請情報を送信したり、前記要請情報を受けた他のデバイスから使用許可情報を受信する送受信部、および
前記保存されたコンテンツオブジェクトを使用するコンテンツオブジェクト使用部を含むコンテンツオブジェクトの使用装置。
【請求項16】
前記権利オブジェクトを保存している他のデバイスと相互認証をする認証モジュール、および前記権利オブジェクトを保存している他のデバイスと保安状態を形成する保安状態形成部をさらに含む請求項15に記載のコンテンツオブジェクトの使用装置。
【請求項17】
前記保安状態形成部は、
前記認証の結果、保安キーを生成し、前記生成された保安キーを前記他のデバイスと共有する請求項16に記載のコンテンツオブジェクトの使用装置。
【請求項18】
前記送受信部は、
前記使用許可の要請情報を、保安状態を通して送信する請求項15に記載のコンテンツオブジェクトの使用装置。
【請求項19】
前記送受信部は、
前記使用許可情報は保安状態を通して受信する請求項15に記載のコンテンツオブジェクトの使用装置。
【請求項20】
コンテンツオブジェクトと前記コンテンツオブジェクトに相応する権利オブジェクトを同時に有する他のデバイスと通信するインターフェース部と、
前記他のデバイスのコンテンツオブジェクトを検索する制御部、および
前記検索された前記他のデバイスのコンテンツオブジェクトを使用するコンテンツオブジェクト使用部を含むコンテンツオブジェクトの使用装置。
【請求項21】
前記コンテンツオブジェクト使用部は、
前記他のデバイスに保存されたコンテンツオブジェクトに相応する権利オブジェクトを共に消費する請求項20に記載のコンテンツオブジェクトの使用装置。
【請求項22】
前記他のデバイスのコンテンツオブジェクトを検索した場合、前記他のデバイスと相互認証をする認証モジュール、および
前記認証を終えた他のデバイスと保安状態を形成する保安状態形成部をさらに含む請求項20に記載のコンテンツオブジェクトの使用装置。。」

(2)平成22年12月17日付け手続補正
上記平成22年12月17日付け手続補正は特許請求の範囲を以下のとおりに補正しようとするものと認められる。
「 【請求項1】
使用しようとするコンテンツオブジェクトと前記コンテンツオブジェクトに相応する権利オブジェクトが同一なデバイスに保存されているのか判断する第1段階と、
前記判断結果、同一なデバイスに保存されていない場合、コンテンツオブジェクトを保存している第1デバイスが前記権利オブジェクトを保存している第2デバイスに使用許可の要請情報を送信する第2段階と、
前記要請情報を受けた第2デバイスから前記相応する権利オブジェクトを受信せずに使用許可情報を受信する第3段階と、
前記コンテンツオブジェクトに相応する更なる使用許可情報を得るため、前記第1及び第2デバイスと異なる更なるデバイスに対して前記第1乃至第3段階を行う第4段階と、
前記第1デバイスは前記保存されたコンテンツオブジェクトを使用し、前記第2デバイスから受信した前記使用許可情報及び前記更なるデバイスから受信した前記更なる使用許可情報を同時に消費する第5段階と、 を含むコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項2】
前記第1段階は、
前記判断結果、同一なデバイスに保存されていない場合、前記コンテンツオブジェクトを保存している第1デバイスと前記権利オブジェクトを保存している第2デバイス間に相互認証をする段階、および
前記第1デバイスと前記第2デバイス間に保安状態を形成する段階、をさらに含む請求項1に記載のコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項3】
前記保安状態を形成する段階は、
前記認証の結果保安キーが生成される段階、および
前記生成された保安キーを、前記認証を終えた第1デバイスと第2デバイスが共有する段階を含む請求項2に記載のコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項4】
前記使用許可の要請情報は保安状態を通して送信する請求項1に記載のコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項5】
前記使用許可情報は保安状態を通して受信する請求項1に記載のコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項6】
前記権利オブジェクトは、
前記コンテンツオブジェクトを保存している前記第1デバイスに保存された権利オブジェクトも含む請求項1に記載のコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項7】
前記権利オブジェクトは、少なくとも一つ以上である、請求項1に記載のコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項8】
コンテンツオブジェクトを使用することができる機能を有するデバイスAが前記コンテンツオブジェクトと前記コンテンツオブジェクトに相応する権利オブジェクトを同時に有するデバイスBと通信し、前記相応する権利オブジェクトを受信せずに使用許可情報を受信する第1段階と、
前記デバイスAが使用しようとする前記デバイスBのコンテンツオブジェクトを検索する第2段階、および
前記デバイスAが前記検索された前記デバイスBのコンテンツオブジェクトを使用する第3段階、
前記デバイスAは、複数の前記デバイスBから前記使用許可情報を受信し、前記デバイスBに保存されたコンテンツオブジェクトに相応する権利オブジェクトを共に消費する第4段階、
を含むコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項9】
前記第2段階は、
前記デバイスAが前記デバイスBのコンテンツオブジェクトを検索した場合、前記二つのデバイス間に相互認証をする段階、および
前記認証を終えたデバイス相互間に保安状態を形成する段階をさらに含む請求項8に記載のコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項10】
前記保安状態の形成段階は、
前記認証の結果、保安キーが生成される段階、および
前記生成された保安キーを、前記認証を終えたデバイスAと前記デバイスBが共有する段階を含む請求項9に記載のコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項11】
前記第1段階の通信は、
IPプロトコル、USBまたは、メモリーカードインターフェースを利用した通信方法である請求項8に記載のコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項12】
前記第3段階は、
前記デバイスBが前記デバイスAに前記コンテンツオブジェクトの全部または一部を送信する段階、および
前記受信を受けたデバイスAは前記コンテンツオブジェクトの全部または一部を使用する段階である請求項8に記載のコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項13】
前記送信する段階に先立ち、前記デバイスAが前記デバイスBに前記コンテンツオブジェクトの伝送を要請する段階をさらに含む請求項12に記載のコンテンツオブジェクトの使用方法。
【請求項14】
使用しようとするコンテンツオブジェクトと前記コンテンツオブジェクトに相応する権利オブジェクトが、どのデバイスに保存されているのか検索する権利オブジェクト管理モジュールと、
前記権利オブジェクトを保存している複数の他のデバイスに使用許可の要請情報を送信したり、前記要請情報を受けた複数の他のデバイスから使用許可情報を受信する送受信部、および
前記保存されたコンテンツオブジェクトを使用するコンテンツオブジェクト使用部を含むコンテンツオブジェクトの使用装置。
【請求項15】
前記権利オブジェクトを保存している他のデバイスと相互認証をする認証モジュール、および前記権利オブジェクトを保存している他のデバイスと保安状態を形成する保安状態形成部をさらに含む請求項14に記載のコンテンツオブジェクトの使用装置。
【請求項16】
前記保安状態形成部は、
前記認証の結果、保安キーを生成し、前記生成された保安キーを前記他のデバイスと共有する請求項15に記載のコンテンツオブジェクトの使用装置。
【請求項17】
前記送受信部は、
前記使用許可の要請情報を、保安状態を通して送信する請求項14に記載のコンテンツオブジェクトの使用装置。
【請求項18】
前記送受信部は、
前記使用許可情報は保安状態を通して受信する請求項14に記載のコンテンツオブジェクトの使用装置。
【請求項19】
コンテンツオブジェクトと前記コンテンツオブジェクトに相応する権利オブジェクトを同時に有する複数の他のデバイスと通信するインターフェース部と、
前記複数の他のデバイスのコンテンツオブジェクトを検索する制御部、
前記複数の他のデバイスから複数の前記権利オブジェクトを検索する権利オブジェクト管理モジュール、および
前記相応する権利オブジェクトを受信せずに使用許可情報を受信して、前記検索された前記他のデバイスのコンテンツオブジェクトを使用し、前記検索した複数の権利オブジェクトを同時に消費するコンテンツオブジェクト使用部、 を含むコンテンツオブジェクトの使用装置。
【請求項20】
前記コンテンツオブジェクト使用部は、
前記他のデバイスに保存されたコンテンツオブジェクトに相応する権利オブジェクトを共に消費する請求項19に記載のコンテンツオブジェクトの使用装置。
【請求項21】
前記他のデバイスのコンテンツオブジェクトを検索した場合、前記他のデバイスと相互認証をする認証モジュール、および
前記認証を終えた他のデバイスと保安状態を形成する保安状態形成部をさらに含む請求項19に記載のコンテンツオブジェクトの使用装置。」

なお、該手続補正書における「段4段階」との記載は、正しくは「第4段階」と記すべき明らかな誤記と認められるので、「第4段階」と読み変えて認定した。



第2.平成22年12月17日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成22年12月17日付けの手続補正を却下する。


[理由]
1.本件補正の内容
平成22年12月17日付けの手続補正(以下「本件補正」と記す。)は、特許請求の範囲について、上記第1.2.(1)記載の特許請求の範囲から、上記第1.2.(2)記載の特許請求の範囲に補正しようとするものであるところ、本件補正は以下の補正事項よりなるものであると言える。

<補正事項1>
本件補正前の請求項1の「前記要請情報を受けた第2デバイスから使用許可情報を受信する第3段階」との記載を、本件補正後の請求項1における「前記要請情報を受けた第2デバイスから前記相応する権利オブジェクトを受信せずに使用許可情報を受信する第3段階」に変更する補正。

<補正事項2>
本件補正前の請求項1には無かった「前記コンテンツオブジェクトに相応する更なる使用許可情報を得るため、前記第1及び第2デバイスと異なる更なるデバイスに対して前記第1乃至第3段階を行う第4段階」を、本件補正後の請求項1に追加するとともに、本件補正前の請求項1に記載されていた「段階4」を「段階5」に変更する補正。

<補正事項3>
本件補正前の請求項1の「前記使用許可情報を受信した前記第1デバイスは前記保存されたコンテンツオブジェクトを使用する第4段階」との記載を、本件補正後の請求項1における「前記第1デバイスは前記保存されたコンテンツオブジェクトを使用し、前記第2デバイスから受信した前記使用許可情報及び前記更なるデバイスから受信した前記更なる使用許可情報を同時に消費する第5段階」に変更する補正。

<補正事項4>
本件補正前の請求項8を削除し、該請求項8を引用する従属形式で記載されていた本件補正前の請求項9を独立形式で記載して、本件補正後の請求項8とし、本件補正前の請求項10?22の項番をずらして、本件補正後の請求項9?21とする補正。

<補正事項5>
本件補正前の請求項9が引用していた同請求項8の「コンテンツオブジェクトを使用することができる機能を有するデバイスAが前記コンテンツオブジェクトと前記コンテンツオブジェクトに相応する権利オブジェクトを同時に有するデバイスBと通信する第1段階」との記載を、本件補正後の請求項8における「コンテンツオブジェクトを使用することができる機能を有するデバイスAが前記コンテンツオブジェクトと前記コンテンツオブジェクトに相応する権利オブジェクトを同時に有するデバイスBと通信し、前記相応する権利オブジェクトを受信せずに使用許可情報を受信する第1段階」に変更する補正。

<補正事項6>
本件補正前の請求項9の「前記デバイスAは前記デバイスBに保存されたコンテンツオブジェクトに相応する権利オブジェクトを共に消費する第4段階」との記載を、本件補正後の請求項8における「前記デバイスAは、複数の前記デバイスBから前記使用許可情報を受信し、前記デバイスBに保存されたコンテンツオブジェクトに相応する権利オブジェクトを共に消費する第4段階」に変更する補正。

<補正事項7>
本件補正前の請求項10における本件補正前の請求項8を引用する記載を、本件補正後の請求項9においては、本件補正前の請求項9に対応するものであるところの本件補正後の請求項8を引用する記載とする補正。

<補正事項8>
本件補正前の請求項11における本件補正前の請求項9を引用する記載を、本件補正後の請求項10においては、本件補正前の請求項10に対応するものであるところの本件補正後の請求項9を引用する記載とする補正。

<補正事項9>
本件補正前の請求項12における本件補正前の請求項8を引用する記載を、本件補正後の請求項11においては、本件補正前の請求項9に対応するものであるところの本件補正後の請求項8を引用する記載とする補正。

<補正事項10>
本件補正前の請求項13における本件補正前の請求項8を引用する記載を、本件補正後の請求項12においては、本件補正前の請求項9に対応するものであるところの本件補正後の請求項8を引用する記載とする補正。

<補正事項11>
本件補正前の請求項14における本件補正前の請求項13を引用する記載を、本件補正後の請求項13においては、本件補正前の請求項13に対応するものであるところの本件補正後の請求項12を引用する記載とする補正。

<補正事項12>
本件補正前の請求項15の「前記権利オブジェクトを保存している他のデバイスに使用許可の要請情報を送信したり、前記要請情報を受けた他のデバイスから使用許可情報を受信する送受信部」との記載を、本件補正後の請求項14における「前記権利オブジェクトを保存している複数の他のデバイスに使用許可の要請情報を送信したり、前記要請情報を受けた複数の他のデバイスから使用許可情報を受信する送受信部」に変更する補正。

<補正事項13>
本件補正前の請求項20の「コンテンツオブジェクトと前記コンテンツオブジェクトに相応する権利オブジェクトを同時に有する他のデバイスと通信するインターフェース部」との記載を、本件補正後の請求項19における「コンテンツオブジェクトと前記コンテンツオブジェクトに相応する権利オブジェクトを同時に有する複数の他のデバイスと通信するインターフェース部」に、本件補正前の請求項20の「前記他のデバイスのコンテンツオブジェクトを検索する制御部」との記載を、本件補正後の請求項19における「前記複数の他のデバイスのコンテンツオブジェクトを検索する制御部」に、
本件補正前の請求項20の「前記検索された前記他のデバイスのコンテンツオブジェクトを使用するコンテンツオブジェクト使用部」との記載を、本件補正後の請求項19における「前記相応する権利オブジェクトを受信せずに使用許可情報を受信して、前記検索された前記他のデバイスのコンテンツオブジェクトを使用し、前記検索した複数の権利オブジェクトを同時に消費するコンテンツオブジェクト使用部」に変更する補正。

<補正事項14>
本件補正前の請求項20には無かった「前記複数の他のデバイスから複数の前記権利オブジェクトを検索する権利オブジェクト管理モジュール」を含む旨の限定を、本件補正後の請求項19に追加する補正。


2.新規事項追加禁止要件
まず、本件補正が、特許法第184条の12第2項において、同法第17条の2第3項中の「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」とあるのを、これに読み替える旨規定されるものであるところの、上記平成19年7月5日付けの国際出願日における明細書、請求の範囲、図面(図面の中の説明に限る。)の翻訳文及び国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)(以下「当初明細書等」と記す。)に記載の範囲内においてなされるものであるか否かについて検討する。

(1)上記補正事項3によって本件補正後の請求項1に記載されることとなった「前記第1デバイスは前記保存されたコンテンツオブジェクトを使用し、前記第2デバイスから受信した前記使用許可情報及び前記更なるデバイスから受信した前記更なる使用許可情報を同時に消費する」旨の技術的事項は、当初明細書等には記載されておらず、また当初明細書等の記載からみて自明な事項でもない。
なお、請求人は審判請求書において当該補正の根拠として「本補正は出願当初明細書の段落0074-0076、0081、図6等に基づきます。」と説明している。
しかしながら、当初明細書等の段落0074-0076、0081、図6には「図6の右側にある第1デバイスのうちデバイス11」が「自身の権利オブジェクトと左側のデバイス21が有している権利オブジェクトを同時に消費」すること、「図6の右側にあるデバイス12」が「デバイス21、22、23、...2nなど複数の権利オブジェクトを消費することによって自身が保存しているコンテンツオブジェクトを使用すること」、及び、「一つのコンテンツオブジェクトを使用するために複数のデバイスに保存された権利オブジェクトを消費することができ」ること等が説明されてはいるものの、他の複数のデバイスから受信した「使用許可情報を同時に消費する」ことは記載も示唆もされていない。(当初明細書等においては「消費する」対象は「権利オブジェクト」であって「使用許可情報」ではない。また、「同時に消費する」のは「自身の権利オブジェクトと左側のデバイス21が有している権利オブジェクト」であって、他の複数のデバイスに保存される「権利オブジェクト」でもない。)
また、当初明細書等の他の箇所を参酌しても、上記の技術的事項を直接的にも間接的にも示唆する記載は見あたらない。
さらに、他の複数のデバイスから受信した「使用許可情報を同時に消費する」ことが、当該技術分野において常用される技術常識的な構成であったとする根拠も見あたらない。
したがって、当初明細書等のすべての記載を総合しても、上記の技術的事項を導き出し得るものではなく、本件補正は、当初明細書等の記載の範囲内においてするものとは言えない。

(2)上記補正事項6によって本件補正後の請求項8に記載されることとなった「複数の前記デバイスBから前記使用許可情報を受信」する旨の技術的事項は、当初明細書等には記載されておらず、また当初明細書等の記載からみて自明な事項でもない。
なお、本願の明細書の段落【0082】?【0089】【図7】【図10】には「本発明のまた他の実施例」として、「権利オブジェクトとコンテンツオブジェクトを共に有している」「デバイスB」の「コンテンツオブジェクト」が「コンテンツオブジェクトを有しておらず使用だけをしようとする」「デバイスA1、A2、...An」の機能を利用して「使用」され、同時にデバイスBに保存された「権利オブジェクト」も「消費」されるものが開示されてはいるものの、「デバイスB」が「複数」あることは記載も示唆もされておらず、また、「デバイスA1、A2、...An」が「デバイスB」から「使用許可情報」を「受信」することも記載されてはいない。
また、請求人は審判請求書においては、当該技術的事項についての説明は何らしておらず、審判請求書を参酌しても、当初明細書等にその根拠となる記載を見出すことはできない。
したがって、当初明細書等のすべての記載を総合しても、上記の技術的事項を導き出し得るものではなく、本件補正は、当初明細書等の記載の範囲内においてするものとは言えない。

(3)上記補正事項13及び補正事項14によって本件補正後の請求項19に記載されることとなった
「コンテンツオブジェクトと前記コンテンツオブジェクトに相応する権利オブジェクトを同時に有する複数の他のデバイスと通信するインターフェース部と、
前記複数の他のデバイスのコンテンツオブジェクトを検索する制御部、
前記複数の他のデバイスから複数の前記権利オブジェクトを検索する権利オブジェクト管理モジュール、および
前記相応する権利オブジェクトを受信せずに使用許可情報を受信して、前記検索された前記他のデバイスのコンテンツオブジェクトを使用し、前記検索した複数の権利オブジェクトを同時に消費するコンテンツオブジェクト使用部、
を含むコンテンツオブジェクトの使用装置。」
は、当初明細書等には記載されておらず、また当初明細書等の記載からみて自明なものでもない。
なお、本願の明細書の段落【0082】?【0089】【図7】【図10】には「本発明のまた他の実施例」として、「権利オブジェクトとコンテンツオブジェクトを共に有している」「デバイスB」の「コンテンツオブジェクト」が「コンテンツオブジェクトを有しておらず使用だけをしようとする」「デバイスA1、A2、...An」の機能を利用して「使用」され、同時にデバイスBに保存された「権利オブジェクト」も「消費」されるものが開示されてはいるものの、「デバイスB」が「複数」あることや、「デバイスA1、A2、...An」が「デバイスB」から「使用許可情報」を「受信」することや、「複数の権利オブジェクトを同時に消費する」ことは、記載も示唆もされていない。
また、請求人は審判請求書においては、当該技術的事項についての説明は何らしておらず、審判請求書を参酌しても、当初明細書等にその根拠となる記載を見出すことはできない。
したがって、当初明細書等のすべての記載を総合しても、本件補正後の請求項19に記載の技術的事項を導き出し得るものではなく、本件補正は、当初明細書等の記載の範囲内においてするものとは言えない。

(4)以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。


3.本件補正の目的について
本件補正は、本件審判の請求と同時にする補正であり、上記第1.2.(2)のとおり特許請求の範囲についてする補正である。そこで、以下に、本件補正における特許請求の範囲についてする補正の目的について検討する。

(1)補正事項1について
上記補正事項1は本件補正前の請求項1に記載されていた発明を特定するために必要な事項(以下「発明特定事項」と記す。)である「第3段階」での「使用許可情報を受信する」との事項に、「前記相応する権利オブジェクトを受信せずに」との限定を付して下位概念化する補正である。そして、これによって当該発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が格別変更されるものではない。
したがって、上記補正事項1の目的は請求項に記載した発明特定事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるもの(以下、単に「限定的減縮」と記す。)に該当する。

(2)補正事項2について
上記補正事項2は本件補正前の請求項1には無かった「前記コンテンツオブジェクトに相応する更なる使用許可情報を得るため、前記第1及び第2デバイスと異なる更なるデバイスに対して前記第1乃至第3段階を行う第4段階」を追加するものであり、これは特許請求の範囲を減縮するものではあるものの、本件補正前の請求項1に係る発明は該段階の上位に相当する段階を有するものではないので、上記補正事項2は補正前の請求項に記載した発明特定事項を限定するものではない
したがって、上記補正事項2は限定的減縮を目的とするものではない。
また、上記補正事項2の目的が請求項の削除、誤記の訂正、不明瞭な記載の釈明に該当しないことも明らかである。
よって、上記補正事項2の目的は、請求項の削除、限定的減縮、誤記の訂正、不明瞭な記載の釈明の何れにも該当しない。

(3)補正事項3について
上記補正事項3は、補正前の請求項1に記載されていた発明特定事項である「第4段階」で行われる「使用」に対して、これが「前記第2デバイスから受信した前記使用許可情報及び前記更なるデバイスから受信した前記更なる使用許可情報を同時に消費する」ものである旨の限定を追加することによって下位概念化するものである。そして、これによって当該発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が格別変更されるとはいえない。
よって、上記補正事項3の目的は、限定的減縮に該当すると解することもできる。

(4)補正事項4について
上記補正事項4は請求項の削除に該当する。

(5)補正事項5について
上記補正事項5は、補正前の請求項8に記載されていた発明特定事項である「第1段階」で行われる「通信」に対して、これが「前記相応する権利オブジェクトを受信せずに使用許可情報を受信」するものである旨の限定を追加することによって下位概念化するものである。そして、これによって当該発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が格別変更されるものではない。
したがって、上記補正事項5の目的は、限定的減縮に該当する。

(6)補正事項6について
上記補正事項6は、補正前の請求項9に記載されていた発明特定事項である「デバイスB」に、これが「複数の」ものである旨の限定を追加し、さらに、補正前の請求項9に記載されていた発明特定事項である「第4段階」が「複数の前記デバイスBから前記使用許可情報を受信」することも行うものである旨の限定を追加することによって下位概念化するものである。そして、これによって当該発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が格別変更されるとはいえない。
よって、上記補正事項6の目的は、限定的減縮に該当すると解することもできる。

(7)補正事項7?補正事項11について
本件補正前の請求項10は本件補正前の請求項8のみを引用するものであったのに対し、本件補正後の請求項9は、本件補正前の請求項9に対応するものであるところの、本件補正後の請求項8を引用するものである。
してみると、本件補正後の請求項9は、本件補正前の請求項10に係る発明が有していなかった「前記デバイスAは前記デバイスBに保存されたコンテンツオブジェクトに相応する権利オブジェクトを共に消費する第4段階」との発明特定事項を追加する補正がなされたものに他ならず、上記補正事項7は請求項の削除に該当しない。
そして、「前記デバイスAは前記デバイスBに保存されたコンテンツオブジェクトに相応する権利オブジェクトを共に消費する第4段階」との発明特定事項を追加する補正は、特許請求の範囲を減縮するものではあるものの、本件補正前の請求項10に係る発明は該段階の上位に相当する段階を有するものではないので、これは補正前の請求項に記載した発明特定事項を限定するものではない。
したがって、上記補正事項7は限定的減縮を目的とするものでもない。
また、上記補正事項7の目的が誤記の訂正、不明瞭な記載の釈明に該当しないことも明らかである。
よって、上記補正事項7の目的は、請求項の削除、限定的減縮、誤記の訂正、不明瞭な記載の釈明の何れにも該当しない。

同様に、補正事項8?補正事項11の目的も、請求項の削除、限定的減縮、誤記の訂正、不明瞭な記載の釈明の何れにも該当しない。

(8)補正事項12について
上記補正事項12は、補正前の請求項15に記載されていた発明特定事項である「他のデバイス」に、これが「複数の」ものである旨の限定を追加することによって下位概念化するものである。そして、これによって当該発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が格別変更されるものではない。
したがって、上記補正事項12の目的は、限定的減縮に該当する。

(9)補正事項13について
上記補正事項13は、補正前の請求項20に記載されていた発明特定事項である「他のデバイス」に、これが「複数の」ものである旨の限定を追加することによって下位概念化するものである。そして、これによって当該発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が格別変更されるとはいえない。
したがって、上記補正事項13の目的は、限定的減縮に該当すると解することもできる。

(10)補正事項14について
上記補正事項14は本件補正前の請求項20には無かった「前記複数の他のデバイスから複数の前記権利オブジェクトを検索する権利オブジェクト管理モジュール」を追加するものであり、これは特許請求の範囲を減縮するものではあるものの、本件補正前の請求項20に係る発明は該モジュールの上位に相当するモジュールを有するものではないので、上記補正事項14は補正前の請求項20に記載した発明特定事項を限定するものではない
したがって、上記補正事項14は限定的減縮を目的とするものではない。
また、上記補正事項14の目的が請求項の削除、誤記の訂正、不明瞭な記載の釈明に該当しないことも明らかである。
よって、上記補正事項14の目的は、請求項の削除、限定的減縮、誤記の訂正、不明瞭な記載の釈明の何れにも該当しない。

(11)上記(2)(7)(10)から明らかなように、本件補正の特許請求の範囲についてする補正は、特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除、同条同項第2号の特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)、同条同項第3項の誤記の訂正、同条同項第4項の明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的とするものに限られるものではない。

したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するものである。


4.本件補正の独立特許要件について
本件補正のうち補正後の請求項14に係る補正は、上記3.(8)で述べた如く限定的減縮を目的とするものである。

そこで、本件補正後の請求項14に記載されている事項により特定される発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。

4-1.本件補正発明
本件補正発明は、上記第1.2.(2)において【請求項14】として記載したとおりのものである。


4-2.先行技術

(1)引用文献記載事項
本願の出願前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、原審の拒絶の査定の理由である上記平成22年3月8日付けの拒絶理由通知書の特許法第29条第2項についての拒絶理由において引用された、下記引用文献には、それぞれ、下記の引用文献記載事項が記載されている。(下線は当審付与。)


<引用文献1>
特開2002-230895号公報(平成14年8月16日出願公開)

<引用文献記載事項1-1>
「【請求項1】 ネットワークを介して接続された複数の電子機器を備え、これらの電子機器のうちの一つに当該システムを識別するためのシステム識別子を記憶したネットワークシステムに用いられるデータ処理方法であって、
いずれかの電子機器が所定のデジタルデータを複製又は生成するときに、複製又は生成するデジタルデータに前記システム識別子を付加して付加データを生成し、
前記付加データをある電子機器で利用する場合には、当該電子機器または他の電子機器が記憶しているシステム識別子と前記付加データから抽出したシステム識別子とを比較し、両者が一致する場合にのみ前記付加データの利用を許可することを特徴とするデータ処理方法。
【請求項2】 前記付加データを生成するときに、前記システム識別子が付加されたことを示す付加識別子を前記所定のデジタルデータに付加することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理方法。
【請求項3】前記各電子機器でデータを利用する場合には、利用するデータに前記付加識別子が付加されているか否かを判定し、
前記付加識別子が付加されていない場合には、データの利用を許可する一方、前記付加識別子が付加されている場合には、当該電子機器または他の電子機器が記憶しているシステム識別子と前記付加データから抽出したシステム識別子とを比較し、両者が一致する場合にのみ前記付加データの利用を許可することを特徴とする請求項2に記載のデータ処理方法。」

<引用文献記載事項1-2>
「【請求項6】 ネットワークを含むネットワークシステムの一部として用いられる電子機器であって、
所定のデジタルデータを複製又は生成するときに、複製又は生成するデジタルデータに当該システムを識別するためのシステム識別子を付加して付加データを生成する手段と、
前記付加データを利用する場合に、当該電子機器または前記ネットワークを介して接続された他の電子機器が記憶している前記システム識別子と前記付加データから抽出したシステム識別子とを比較し、両者が一致する場合にのみ前記付加データの利用を許可する手段とを備えることを特徴とする電子機器。」

<引用文献記載事項1-3>
「【0035】また、音楽データ記録再生システムAにおいて、メモリ装置2にシステム識別子IDを記憶するようにしたのは、以下の理由による。まず、システム識別子IDは、音楽データDxの複製や複製された音楽データDxを再生する場合に用いるものであるため、むやみにシステム識別子IDの複製を許すと、著作権を有効に保護することができなくなる。したがって、システム識別子IDは、音楽データ記録再生システムAにおいて特定の電子機器にのみ保持しておく必要がある。
【0036】一方、システム識別子IDを保持する特定の電子機器が故障すると、システム識別子IDを取得することができないため複製された音楽データDxを再生することができなくなる。したがって、システム識別子IDを保持する特定の電子機器には故障率が低いことが求められる。例えば、PC1のハードディスクは機械的な可動部分があるため故障し易く、システム識別子IDを記憶するのに向かない。そこで、本実施形態あっては、機械的な可動部分が無く、故障率が極めて低いメモリ装置2にシステム識別子IDを記憶したのである。」

<引用文献記載事項1-4>
「【0052】2-3:音楽データおよび付加音楽データの再生処理
次に、音楽データDxおよび付加音楽データDyの再生処理について説明する。図4は再生処理における音楽データ記録再生システムの動作を示すフローチャートである。なお、この例では、MDプレーヤ5がミニディスク5aを再生するものとするが、MDプレーヤ5以外の各電子機器は、MDプレーヤ5の再生時と同様に動作する。
【0053】まず、MDプレーヤ5は、ミニディスク5aを再生してそこに記録されているデータが音楽データDxであるか、あるいは付加音楽データDyであるかを判定する。具体的には、再生されたデータのヘッダ部から識別情報が非検知であるか否かを判定する(ステップSb1)。
【0054】ヘッダ部を調べて識別情報が検知されなかった場合、MDプレーヤ5は、音楽データDxが記録されていると判定し、音楽データDxの再生を行う(ステップSb2)。この場合、MDプレーヤ5が再生した音楽データDxをPC1に転送すると、PC1は音楽データDxをアナログ信号に変換して、これをスピーカに出力する。これにより、オリジナルの音楽データDxについては自由な再生が保障される。
【0055】一方、ヘッダ部を調べて識別情報が検知された場合、MDプレーヤ5は、付加音楽データDyが記録されていると判定し、その内部にシステム識別IDを保持しているか否かをさらに判定する(ステップSb3)。この例では、メモリ装置2にシステム識別子IDが記憶されているから、判定結果はNOとなり、MDプレーヤ5は、システム識別子要求を、USBインターフェースを介して各電子機器に対して送出する(ステップSb4)。
【0056】次に、メモリ装置2がシステム識別子要求を受け取ると、メモリ装置2の制御部21は、メモリ23から読み出したシステム識別子IDをMDプレーヤ5に返送する(ステップSb5)。
【0057】次に、MDプレーヤ5は、システム識別子要求に対してシステム識別子IDが返送されてきたか否かを判定する(ステップSb6)。システム識別子IDが返送されてこなかった場合、判定結果はNOとなり、MDプレーヤ5は、付加音楽データDyの再生を中止する(ステップSb7)。
【0058】一方、システム識別子IDが返送されてきた場合、MDプレーヤ5は、再生した付加音楽データDyからシステム識別子IDを抽出し(ステップSb8)、抽出されたシステム識別子IDと返送されたシステム識別子IDとを比較し、両者が一致するか否かを判定する(ステップSb9)。
【0059】両者が一致する場合には、判定結果はYESとなり、MDプレーヤ5は、付加音楽データDyの再生を行う(ステップSb10)。この場合、MDプレーヤ5が付加音楽データDyをPC1に転送すると、PC1は付加音楽データDyに基づいてスピーカから放音させる。一方、システム識別子IDが不一致の場合には、MDプレーヤ5は付加音楽データDyの再生を中止する(ステップSb7)。
【0060】この後、MDプレーヤ5は、次に再生すべき曲があるか否かを判定し(ステップSb11)、再生すべき曲があるときにはステップSb1からステップSb11までの処理を繰り返し、再生すべき曲が無くなったときに再生処理を終了する。」

<引用文献記載事項1-5>
「【0085】(7)上述した実施形態においては、本発明を音楽データDxに対して適用する場合について説明したが、本発明はこれらに限らない。例えば、画像データ、音声データ、動画像データ、テキストデータ、プログラムデータ等でもよい。要するに、デジタルデータであればどのようなデータであってもよい。」

<引用文献記載事項1-6>
「【0066】次に、PC1は、各電子機器に対してシステム識別子を保持しているか否かを問い合わせるシステム識別子確認要求を送出する(ステップSc3)。これを、各電子機器が受け取ると、各電子機器は、システム識別子IDを内部に保持しているか否かを確認してシステム識別子確認応答をPC1に返送する(ステップSc4)。この例では、メモリ装置2がシステム識別子IDを保持しているので、メモリ装置2は、システム識別子IDを保持していることを示す応答をPC1に送信する一方、他の電子機器はシステム識別子IDを保持していないことを示す応答をPC1に送信する。【0067】この後、PC1は、各電子機器からの応答に基づいて、どの電子機器がシステム識別子IDを保持しているかを特定し(ステップSc5)、当該電子機器に対してシステム識別子IDをPC1に移動する旨の移動要求を送出する(ステップSc6)」


<引用文献2>
特開2005-5821号公報(平成17年1月6日出願公開)

<引用文献記載事項2-1>
「【請求項1】
ネットワークを介してデータの送受信を行うネットワーク通信処理手段と、
該ネットワークを介して接続されるコンテンツ受信装置に送信するコンテンツを該ネットワーク通信手段に供給する送信コンテンツ生成手段と、
該コンテンツ受信装置からの認証要求を受け取って該認証要求に対する認証の判定を行うとともに、該コンテンツ受信装置に対して自身の認証要求を発行する認証手段と、
該認証手段で認証処理を実行して得られる情報を元に生成した鍵情報によって鍵情報を生成し、該鍵情報により該コンテンツ受信装置に送信するコンテンツの暗号化処理を行う暗号化手段と、
該コンテンツ受信装置への認証要求の送信もしくは該コンテンツ受信装置からの認証要求に対する応答の送信に対する該コンテンツ受信装置からの受信確認の到達までの時間を計測するタイマー手段とを有し、
該タイマー手段での計測結果が所定の値を超えた場合には、該コンテンツ受信装置へのコンテンツ送出を行わないことを特徴とするコンテンツ送信装置。」


<引用文献3>
特開2004-265139号公報(平成16年9月24日出願公開)

<引用文献記載事項3-1>
「【0086】
コンテンツサーバ4は、コンテンツデータを管理するサーバであり、携帯情報端末1からの要求により、コンテンツデータを提供する。
このコンテンツデータは、場合によっては暗号化されている。また、このコンテンツサーバ4と携帯情報端末1とは、無線または有線により通信する。同様にこのコンテンツサーバ4と外部機器2とは、無線または有線により通信する。」

<引用文献記載事項3-2>
「【0114】
また、記憶部16が抜き差し可能なメモリカードの場合、チケットサーバ3及びコンテンツサーバ4となりえるキオスク端末にそのメモリカードを挿してチケット及びコンテンツを獲得することが可能となる。キオスク端末とは、コンビニエンスストアなどに設置されているゲームコンテンツなどを提供する機器のことを指す。」


<引用文献4>
特開平9-160899号公報(平成9年6月20日出願公開)

<引用文献記載事項4-1>
「【0015】また、前記情報サービス処理装置には、端末周辺機部とファイル装置との間に接続された情報生成部をさらに備えることができ、この情報生成部により、付加データを持たないオリジナルな原情報に対して、前記情報生成部において領域付加データ列の枠組みを自動的に生成し、記憶装置に付加データ付きの新たな一つの情報サービス単位の提供可能な情報枠組みを作成するようにすることができる。情報生成部は、本システムで扱われると同等の情報形式を生成し、本処理装置の利用者自らが情報提供者として情報生成部で作成した情報をネットワークを通じて他者に送信することができようにする。さらにこの場合において、情報のコピーや改ざんを禁じたり、利用者を制限したり、暗号化によって情報の安全を図ったり、課金情報として提供したりすることができる。」


<引用文献5>
特開2002-51037号公報(平成14年2月15日出願公開)

<引用文献記載事項5-1>
「【請求項5】暗号化されたコンテンツデータと当該データを復号するための鍵を扱うコンテンツ再生システムであって、
請求項1あるいは2記載のハブ装置によって接続され、
請求項3記載の制御装置によって統括された、
1つ以上の鍵格納装置、1つ以上のコンテンツ格納装置、1つ以上のコンテンツ再生装置を用いてシステムを構成するための手段を有することを特徴とするコンテンツ再生システム。
【請求項6】請求項5記載のコンテンツ再生システムにおいて、
暗号化されたコンテンツデータと、当該データを復号するための鍵と、を管理するための管理手段であって、
コンテンツを再生もしくは移動する際は、当該処理の対象コンテンツを指定すると、別個の記憶装置に格納された、暗号化されたコンテンツデータと、該コンテンツデータを復号するための鍵を、それぞれシステム上から検索し、再生もしくは移動する機能を有することを特徴とするコンテンツ管理手段。」


(2)本願の優先権の主張日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記参考文献には、それぞれ、下記の参考文献記載事項が記載されている。(下線は当審付与。)

<参考文献1>
特開平10-207779号公報(平成10年8月7日出願公開)

<参考文献記載事項1-1>
「【0006】また、別の方法が特開平7-131452号に開示されている。これは、端末装置から通信回線を介して情報センタに蓄積されているデジタル情報をダウンロードする際に、その端末装置でのみデジタル情報が利用出来るようにデジタル情報を暗号化すると共に、そのデジタル情報の利用条件をダウンロードし、端末装置内の機密処理部に格納する。そして、情報を利用する際に機密処理部に格納されている決められた使用条件に合うかどうかチェックし、この条件に合わない場合は利用を禁止するという方法である。」

<参考文献記載事項1-2>
「【0023】そして、図3に情報管理センタ1の構成を示す。この情報管理センタ1は、端末装置2との通信を行なう通信手段101と、使用条件を記憶格納する使用条件格納手段103と、制御手段102とで構成されている。
【0024】使用条件格納手段103には、図4に示す形式の使用条件テーブルが格納されている。図4に示すテーブルにおいて、登録番号は情報管理センタ1で管理するデジタル情報を一意に識別する番号である。なお、この登録番号は端末装置2のデジタル情報格納手段6に格納されている登録番号と同じものである。また、期間制限フラグは使用期間の制限を行なうかどうかを示すフラグであり、使用期間の制限を行なう場合は「1」に、行なわない場合は「0」に設定されている。回数制限フラグは使用回数の制限を行なうかどうかを示すフラグであり、使用回数の制限を行なう場合は「1」に、行なわない場合は「0」に設定されている。許可開始日時は期間制限フラグが「1」の場合に有効であり、使用許可を開始する年、月日、時刻を示している。許可終了日時は期間制限フラグが「1」の場合に有効であり、使用許可を終了する年、月日、時刻を示している。使用可能回数は回数制限フラグが「1」の場合に有効であり、今後使用可能な回数を示している。したがって、回数制限フラグが「1」であって、このフィールドが「0」になると使用出来なくなる。そして、使用期間と使用回数を両方制限する場合は、2つのフラグを両方「1」にする。」

<参考文献記載事項1-3>
「【0028】次に、利用者が購入したデジタル情報を利用する場合について説明する。利用者が端末装置2の入力手段8を使用して端末装置2の制御手段5に所定の指示を与えると、図6に示すフローチャートに添った処理が行なわれる。利用者はまず、端末装置2の入力手段8を使用して利用するデジタル情報を選択する(ステップS21)。この選択情報が供給される制御手段5は選択されたデジタル情報の登録番号をデジタル情報格納手段6から読み出す(ステップS22)。次に、この登録番号を通信手段4から通信回線3を介して情報管理センタ1に送信する(ステップS23)。
【0029】情報管理センタ1では受信した登録番号が使用条件格納手段103に格納されている使用条件テーブルに登録されているか否かのチェックを行う(ステップS24)。そして、登録されていなければ(ステップS24→NO)、その登録番号は偽造されたものであると見なし、使用禁止を意味するデータを端末装置2に送信する(ステップS25)。登録番号が使用条件テーブルに登録されている場合は(ステップS24→YES)、まず、期間制限フラグが「1」にセットされているか否かをチェックする(ステップS26)。期間制限フラグが「0」の場合は(ステップS26→NO)、そのままステップS28へ進む。期間制限フラグが「1」にセットされている場合には(ステップS26→YES)、現在日時が許可開始日時と許可終了日時との間にあることを確認する(ステップS27)。そして、現在日時が許可開始日時と許可終了日時との間にある場合には(ステップS27→YES)、ステップS28へ進む。
【0030】このステップS27において、(期間制限フラグが「1」であり、)許可開始日時あるいは許可終了日時が所定の初期値である場合は、初期値である項目に関し許可条件を満たすと見なす。すなわち、許可開始日時が初期値であれば、許可終了日時のみチェックし、現在日時が許可終了日時以前であればステップS28へ進む。同様に、許可終了日が初期値であれば、許可開始日時のみチェックし、現在日時が許可開始日時以降であればステップS28へ進む。また、許可期間内でなければ(ステップS27→NO)、ステップS25に進み、使用禁止を意味するデータを端末装置2に送信する。
【0031】ステップS28では回数制限フラグが「1」にセットされているかチェックする。回数制限フラグが「0」の場合は(ステップS28→NO)、特に使用回数の制限がないのでそのままステップS31に進む。回数制限フラグが「1」にセットされている場合は(ステップS28→YES)、使用可能回数が「0」より大きいかをチェックする(ステップS29)。そして、使用可能回数が「0」の場合は(ステップS29→NO)、ステップS25に進み、使用禁止を意味するデータを端末装置2に送信する。使用可能回数が「0」でない場合には、その使用可能回数を1だけ減じ(ステップS30)、ステップS31へ進む。そして、以上の判定により、正当な使用であると確認された場合には使用許可を意味するデータを端末装置2に送信する(ステップS31)。
【0032】端末装置2の制御手段5は、通信回線3及び通信手段4を介して情報管理センタ1から受け取ったデータが使用許可であるか否かをチェックして(ステップS32)、使用許可であれば(ステップS32→YES)、デジタル情報本体をデジタル情報格納手段6から読みだしてデジタル情報のフォーマットに従った処理を行ない、ディスプレイ、スピーカ等の出力手段9に出力する(ステップS33)。また、情報管理センタ1から受け取ったデータが使用禁止であれば、その旨のエラーメッセージを出力手段9に出力し処理を終了する(ステップS34)。このように処理を行うことにより登録し、使用期間、回数制限を守っている正当な端末装置(利用者)にだけ、デジタル情報の使用許可を与えることができる。」


<参考文献2>
特開2004-110817号公報(平成16年4月8日出願公開)

<参考文献記載事項2-1>
「【請求項1】
ネットワークを介して1以上のグループ内端末及び1以上のグループ外端末と接続されており、前記グループに属するネットワーク機器であって、
コンテンツを記憶している記憶手段と、
要求元端末から前記コンテンツの複製要求を受け付ける受付手段と、
前記要求元端末がグループ内端末であるか、又は、グループ外端末であるか判断する判断手段と、
前記要求元端末がグループ内端末であると判断された場合、前記コンテンツを前記要求元端末へ複製し、前記要求元端末がグループ外端末であると判断された場合、前記コンテンツの前記要求元端末への複製を制限する制御手段と
を備えることを特徴とするネットワーク機器。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記コンテンツの複製許可数及びグループ外端末への複製制限を示す複製制限情報を、前記コンテンツに付随して記憶しており、
前記制御手段は、前記複製制限情報を参照して、前記要求元端末への前記コンテンツの複製を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のネットワーク機器。」

<参考文献記載事項2-2>
「【請求項7】
当該ネットワーク機器は、全てのグループ内端末と秘密情報を共有しており、
前記判断手段は、前記要求元端末が前記秘密情報を保持する場合に、グループ内端末であると判断し、前記要求元端末が前記秘密情報を保持していない場合に、グループ外端末であると判断する
ことを特徴とする請求項2に記載のネットワーク機器。
【請求項8】
前記制御手段は、
第1複製許可数を生成する第1生成部と、
前記複製許可数から前記第1複製許可数を差し引いた残数である第2複製許可数を生成する第2生成部とを備え、
生成した第1複製許可数と前記コンテンツとを前記要求元端末へ送信し、生成した第2複製許可数を前記複製許可数に上書きする
ことを特徴とする請求項7に記載のネットワーク機器。
【請求項9】
前記受付手段は、前記要求元端末から、前記複製要求として、複製要求数を受け付け、
前記第1生成部は、前記記憶手段に記憶されている前記複製許可数が、受け付けた前記複製要求数以上であるか否かを判断し、前記複製許可数が、前記複製要求数以上である場合、前記複製要求数を前記第1複製許可数とし、前記複製許可数が、前記複製要求数未満である場合、前記複製許可数を前記第1複製許可数とする
ことを特徴とする請求項8に記載のネットワーク機器。」

<参考文献記載事項2-3>
「【0002】
従来、コンテンツの無制限な複製を抑制する技術として、複製の複製(孫コピー)を禁止する世代管理や、特許文献1に開示されている様に、送信側端末と受信側端末との間で相互認証を行い、その結果に応じてコンテンツ複製の可否を判断する技術がある。
上記の世代管理、及び、特許文献1に開示されている技術は、主にパーソナルコンピュータやレコーダなどの記録装置と、DVDやSDカードなどの記録媒体とから成るシステムで適用されており、記録装置が、複製回数などを制御する制御情報を一元的に管理している。
【特許文献1】特開2000‐357213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記技術をコンテンツのネットワーク配信に適用する場合には、以下に示す様な問題がある。
例えば、ホームネットワークで接続されている複数の端末でコンテンツを利用する場合、全ての端末は、コンテンツの複製回数などを制御する制御情報を管理している記録装置に対してコンテンツの複製を要求し、記録装置からコンテンツを受信するので、記録装置以外の端末間では、コンテンツを送受信することができない。このようなシステムにおけるコンテンツの利用は、ユーザの利便性が低く、利便性を追求するユーザの要望を満足できないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明は、コンテンツの複製回数など、ユーザに与えられた利用権利を逸脱しない範囲内で、ユーザが自由にコンテンツを複製することができる利便性の高いコンテンツ複製管理システムを提供することを目的とする。」

<参考文献記載事項2-4>
「【0036】
コンテンツ格納部109は、コンテンツ鍵を用いて暗号化された暗号化コンテンツを格納する。なお、コンテンツの取得方法は、本発明の主題ではないので、説明を省略するが、例として、インターネット、放送などを利用して取得する方法や、DVD等の記録媒体から取得する方法が有る。
コンテンツ鍵格納部118は、暗号化部110から暗号化コンテンツ鍵aを受け取り、格納する。」

<参考文献記載事項2-5>
「(6)それぞれのグループ内端末が、特定のコンテンツ情報を検索する機能を有する場合も本発明に含まれる。
具体的には、コンテンツ情報を検索する端末は、全てのグループ内端末に対して、コンテンツ識別子を含む検索情報を送信する。検索情報を受信した各端末の複製制限情報更新部は、記憶部が格納しているコンテンツ情報、及び、接続された記録媒体の記憶部が格納しているコンテンツ情報から、前記検索情報に含まれるコンテンツ識別子を有するコンテンツ情報を検索する。検索の結果、検索対象のコンテンツ情報が存在する場合には、複製制限情報更新部は、検索対象のコンテンツ情報が存在する旨を示すメッセージを前記端末へ返送するように構成してもよい。
【0301】
検索の結果、検索対象のコンテンツ情報を有する端末が2以上の場合、要求元端末は、最初に前記メッセージを返送してきた端末から複製してもよい。又は、前記メッセージと共に、複製可能回数を返送して、複製可能回数が最大である端末から複製してもよい。又は、より通信帯域の広い端末から複製してもよいし、より近い端末から複製してもよい。
なお、要求元端末が要求した複製回数が、要求先端末が有する複製可能回数を越えている場合には、上記の検索機能を用いて、同一のコンテンツ情報を保持している端末を検索して、複数の端末から、要求元端末へ複製することにより、要求元端末が要求した複製回数を満足するように構成してもよい。」

<参考文献3>
特開2002-358242号公報(平成14年12月13日出願公開)

<参考文献記載事項3-1>
「【0019】有料で購入されるコンテンツは、著作権者により管理されないコピーを防ぐために暗号化されており、ユーザはコンテンツ購入時に暗号を解くための鍵を受け取る。また、権利数Nのデータは、一般ユーザが改ざんできない領域に配置される。PC1を介してコンテンツを受け取るユーザは、現在のコピー媒体の数が権利数Nの範囲内である条件下で、PC1内のHDに記録してHDからフラッシュメモリなどのPM5や光ディスク6にコピー(仮想ファイルを移動)することができ、また、PM5や光ディスク6から他の媒体に再コピー、さらには再々コピー?することができる。」


4-3.引用発明の認定

(1)引用文献1には上記引用文献記載事項1-2記載の如く「ネットワークを含むネットワークシステムの一部として用いられる電子機器」が記載されている。

(2)上記引用文献記載事項1-4には、該電子機器の例としてMDプレーヤを挙げ、これを含む音楽データ記録再生システムにおける音楽データおよび付加音楽データの再生処理の手順が説明されており、上記電子機器は該手順に沿った「データ処理方法」を実行するものである。

(3)上記引用文献記載事項1-1の請求項3や、引用文献記載事項1-4の段落【0053】の「まず、MDプレーヤ5は、ミニディスク5aを再生してそこに記録されているデータが音楽データDxであるか、あるいは付加音楽データDyであるかを判定する。具体的には、再生されたデータのヘッダ部から識別情報が非検知であるか否かを判定する(ステップSb1)。」との記載から、上記「データ処理方法」は「そこに記録されているデータが、付加識別子が付加されていないデータであるか、あるいは該付加識別子が付加されているデータであるかを判定する第1ステップ」を有すると言える。

(4)上記引用文献記載事項1-4の段落【0055】の「ヘッダ部を調べて識別情報が検知された場合、MDプレーヤ5は、付加音楽データDyが記録されていると判定し、その内部にシステム識別IDを保持しているか否かをさらに判定する(ステップSb3)。」との記載から、上記「データ処理方法」は「前記付加識別子が付加されている場合には、その内部にシステム識別子を保持しているか否かをさらに判定する第2ステップ」を有すると言える。

(5)上記引用文献記載事項1-4の段落【0055】の「判定結果はNOとなり、MDプレーヤ5は、システム識別子要求を、USBインターフェースを介して各電子機器に対して送出する(ステップSb4)。」との記載から、上記「データ処理方法」は「該第2ステップでシステム識別子を保持していないと判断された場合、システム識別子要求を、ネットワークを介して他の各電子機器に対して送出する第3ステップ」を有すると言える。

(6)上記引用文献記載事項1-4の段落【0056】の「メモリ装置2がシステム識別子要求を受け取ると、メモリ装置2の制御部21は、メモリ23から読み出したシステム識別子IDをMDプレーヤ5に返送する(ステップSb5)。」との記載、及び同段落【0057】の「MDプレーヤ5は、システム識別子要求に対してシステム識別子IDが返送されてきたか否かを判定する(ステップSb6)。」との記載から、上記「データ処理方法」は「該システム識別子要求に対して、システム識別子を保持している他の電子機器が該システム識別子を返送したか否かを判定する第4ステップ」を有すると言える。

(7)上記引用文献記載事項1-4の段落【0058】の「システム識別子IDが返送されてきた場合、MDプレーヤ5は、再生した付加音楽データDyからシステム識別子IDを抽出し(ステップSb8)、」との記載から、上記「データ処理方法」は「該システム識別子が返送されてきた場合、前記付加識別子が付加されているデータからシステム識別子を抽出する第5ステップ」を有すると言える。

(8)上記引用文献記載事項1-4の段落【0058】の「抽出されたシステム識別子IDと返送されたシステム識別子IDとを比較し、両者が一致するか否かを判定する(ステップSb9)」との記載から、上記「データ処理方法」は「該抽出されたシステム識別子と前記返送されたシステム識別子とを比較し、両者が一致するか否かを判定する第6ステップ」を有すると言える。

(9)上記引用文献記載事項1-4の段落【0059】の「両者が一致する場合には、判定結果はYESとなり、MDプレーヤ5は、付加音楽データDyの再生を行う(ステップSb10)。」との記載から、上記「データ処理方法」は「 該第6ステップで両者が一致すると判定された場合に、前記データの利用をする第7ステップ」を有すると言える。

(10)上記引用文献記載事項1-4の段落【0060】の「この後、MDプレーヤ5は、次に再生すべき曲があるか否かを判定し(ステップSb11)」との記載から、上記「データ処理方法」は「次に利用すべきデータがあるか否かを判定する第8ステップ」を有すると言える。

(11)上記引用文献記載事項1-4の段落【0060】の「再生すべき曲があるときにはステップSb1からステップSb11までの処理を繰り返し、再生すべき曲が無くなったときに再生処理を終了する。」との記載から、上記「データ処理方法」は「該第8ステップで利用すべきデータがあると判定されたときには前記第1ステップから前記第8ステップまでの処理を繰り返し、利用すべきデータが無くなったときに処理を終了する第9ステップ」を有すると言える。

(12)上記引用文献記載事項1-5等から、上記「データ」とは「画像データ、音声データ、動画像データ、テキストデータ、プログラムデータ等である」と言える。

(13)よって、上記引用文献1には、下記引用発明1が記載されていると認められる。

<引用発明1>
「ネットワークを含むネットワークシステムの一部として用いられる電子機器であって、
該電子機器は、
そこに記録されているデータが、付加識別子が付加されていないデータであるか、あるいは該付加識別子が付加されているデータであるかを判定する第1ステップと、
前記付加識別子が付加されている場合には、その内部にシステム識別子を保持しているか否かをさらに判定する第2ステップと、
該第2ステップでシステム識別子を保持していないと判断された場合、システム識別子要求を、ネットワークを介して他の各電子機器に対して送出する第3ステップと、
該システム識別子要求に対して、システム識別子を保持している他の電子機器が該システム識別子を返送したか否かを判定する第4ステップと、
該システム識別子が返送されてきた場合、前記付加識別子が付加されているデータからシステム識別子を抽出する第5ステップ、
該抽出されたシステム識別子と前記返送されたシステム識別子とを比較し、両者が一致するか否かを判定する第6ステップと
該第6ステップで両者が一致すると判定された場合に、前記データの利用をする第7ステップと、
次に利用すべきデータがあるか否かを判定する第8ステップと、
該第8ステップで利用すべきデータがあると判定されたときには前記第1ステップから前記第8ステップまでの処理を繰り返し、利用すべきデータが無くなったときに処理を終了する第9ステップと
を有するデータ処理方法を実行するものであり、
前記データとは画像データ、音声データ、動画像データ、テキストデータ、プログラムデータ等である電子機器。」


4-4.対比
以下、本件補正発明と引用発明1とを比較する。

(1)引用発明1における「データ」は「画像データ、音声データ、動画像データ、テキストデータ、プログラムデータ等である」から「コンテンツオブジェクト」とも言えるものであり、引用発明1も本件補正発明と同様に「コンテンツオブジェクトの使用装置」と言えるものである。

(2)
ア.引用発明1における「システム識別子」は「第6ステップ」で「判定」され「第7ステップ」での「データの利用」を可能とする情報であるから「使用許可情報」と言えるものであり、また、これは「コンテンツの使用のための情報」とも言えるものである。
そして、引用発明1における「第3ステップ」では「システム識別子要求を、ネットワークを介して他の各電子機器に対して送出する」のであるから、引用発明1は「コンテンツの使用のための情報を保存している他のデバイスに使用許可の要請情報を送信」している手段を有していると言える。

イ.また、引用発明1における「第4ステップ」では「システム識別子を保持している他の電子機器が該システム識別子を返送したか否かを判定」し、「第5ステップ」では「前記付加識別子が付加されているデータからシステム識別子を抽出する」のであるから、「他の電子機器」からの「システム識別子」を受信する手段、すなわち、「前記要請情報を受けた他のデバイスから使用許可情報を受信する」手段も有していることは明らかである。

ウ.一方、本件補正発明は「前記権利オブジェクトを保存している複数の他のデバイスに使用許可の要請情報を送信したり、前記要請情報を受けた複数の他のデバイスから使用許可情報を受信する送受信部」を含むものであるところ、「権利オブジェクト」とは、本願明細書の段落【0048】等を参酌すれば「暗号化されたコンテンツを使用することができる権限およびその権限に対する限定事項等を含む一種のライセンス」を意味するのであるから「コンテンツの使用のための情報」の一つと言えるものである。

エ.してみると、引用発明1と本件補正発明とは「コンテンツの使用のための情報を保存している他のデバイスに使用許可の要請情報を送信したり、前記要請情報を受けた他のデバイスから使用許可情報を受信する送受信部」を含むものである点で共通すると言える。


(3)引用発明1は、「第7ステップ」での「前記データの利用をする」手段を有していることは明らかであり、この「前記データ」とは「第1ステップ」における「そこに記録されているデータ」であるから、該手段は「保存されたコンテンツオブジェクトを使用するコンテンツオブジェクト使用部」とも言えるものである。
したがって、引用発明1と本件補正発明とは「保存されたコンテンツオブジェクトを使用するコンテンツオブジェクト使用部」を含む点で共通する。

(4) よって、本件補正発明は、下記の一致点1で引用発明1と一致し、下記の相違点1-1乃至相違点1-3で引用発明1と相違する。

<一致点1>
「コンテンツの使用のための情報を保存している他のデバイスに使用許可の要請情報を送信したり、前記要請情報を受けた他のデバイスから使用許可情報を受信する送受信部、および
保存されたコンテンツオブジェクトを使用するコンテンツオブジェクト使用部を含むコンテンツオブジェクトの使用装置。」

<相違点1-1>
本件補正発明における他のデバイスが保存している「コンテンツの使用のための情報」は「権利オブジェクト」すなわち「暗号化されたコンテンツを使用することができる権限およびその権限に対する限定事項等を含む一種のライセンス」である。
(これに対し、引用発明1においては「他の電子機器」に「システム識別子」が「保持」されてはいるものの、その管理形態の詳細な説明はなく「権利オブジェクト」に相当する情報についての言及はない。)

<相違点1-2>
本件補正発明は「使用しようとするコンテンツオブジェクトと前記コンテンツオブジェクトに相応する権利オブジェクトが、どのデバイスに保存されているのか検索する権利オブジェクト管理モジュール」を含むものである。
(これに対し、引用発明1においては「データ」の検索については記載されていない。また、「システム識別子要求を、ネットワークを介して他の各電子機器に対して送出」してはいるものの「システム識別子」の「検索」はしていない。)

<相違点1-3>
他のデバイスが「複数の」デバイスである。
(これに対して、引用発明1における「システム識別子を保持している他の電子機器」は複数では無い。)


4-5.判断
上記相違点について以下に検討する。

(1)相違点1-1について
コンテンツの使用許可は、その使用権限やその権限に対する限定事項等のライセンスに基づいて判断するのが普通であり、該判断のためには係るライセンスを記述する情報が必要となることは、当業者において当然に想到される事項に過ぎない(必要があれば参考文献1(特に参考文献記載事項1-2、1-3)等参照)。
また、保護すべきコンテンツを暗号化することは証拠を挙げるまでもない周知慣用技術に他ならない。(必要があれば、引用文献2(特に引用文献記載事項2-1)、引用文献3(特に引用文献記載事項3-1)、引用文献4(特に引用文献記載事項4-1)、引用文献5(特に引用文献記載事項5-1)、参考文献1(特に参考文献記載事項1-1)、参考文献2(特に参考文献記載事項2-4)、参考文献3(特に参考文献記載事項3-1)、)
してみると、引用発明1におけるシステム識別子を保持している電子機器において、「暗号化されたコンテンツを使用することができる権限およびその権限に対する限定事項等を含む一種のライセンス」を保持し、これに基づいてシステム識別子の返送を制御する構成、すなわち上記相違点1-1に係る構成を採用することは、引用文献1に接した当業者であれば当然の如く想到する構成に過ぎない。

(2)相違点1-2について
コンテンツやライセンスを処理する際に、そのコンテンツやそのライセンスの所在を特定した上で、該処理を行うことも、通常行われる事項に過ぎず(必要があれば、引用文献1の引用文献記載事項1-6、引用文献5(特に引用文献記載事項5-1)等参照。)、引用発明1にもコンテンツやその権利オブジェクトを保有する装置を検索する手段を設けること、すなわち上記相違点1-2に係る事項を採用することは、当業者が適宜に採用し得た事項に過ぎないものである。

(3)相違点1-3について
参考文献2には、参考文献記載事項2-3記載の如く「制御情報を一元的に管理している」従来のシステムにおける「利便性」の低さを問題点とし、これを解決することを目的として、参考文献記載事項2-1、2-2記載の如き「ネットワーク機器」の発明が開示されているとともに、参考文献記載事項2-5記載の如く、「複数の端末から」コンテンツ情報の複製を行うことも可能となる技術思想が記載されている。
引用発明1は当該「制御情報を一元的に管理している」従来のシステムに相当するものであるところ、利便性の向上は当該分野における普遍的な課題であるから、引用発明1においても参考文献2記載の如く「複数の」電子機器からシステム識別子の複製を可能なものとすることも、当業者が容易に想到する事項である。
また、引用文献記載事項1-3の「むやみにシステム識別子の複製を許すと、著作権を有効に保護することができなくなる。」等の問題も、本願の出願時においては、参考文献2記載の発明などによって、既に解決済みのものであり、格別な阻害要因とはならないものとなっていたと認められる。
してみると、引用発明1において「システム識別子を保持している他の電子機器」を「複数」とすること、すなわち、上記相違点1-3に係る事項を採用することは、当業者であれば容易に想到し得た構成であると言える。

(4)以上のとおりであるから、本件補正発明の構成は引用発明1に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。
そして、当該構成の採用によって奏される作用効果も、当業者であれば容易に予測し得る程度のものであって、格別顕著なものではない。
よって、本件補正発明は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4-6.小結
以上 のとおり、本件補正後の請求項14に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものである。


5.むすび
上記2.のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

上記3.のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

上記4.のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。



第3.本件審判請求の成否について

1.手続きの経緯
本願の手続きの経緯は上記第1.記載のとおりのものであり、さらに、平成22年12月17日付けの手続補正は上記第2.のとおり却下された。
したがって、本願の特許請求の範囲は、上記第1.2.(1)に記載したとおりのものである。


2.本願請求項1に係る発明の進歩性について

2-1.本願請求項1に係る発明の認定
本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は上記第1.2.(1)に【請求項1】として記載したとおりのものであると認める。


2-2.引用文献の記載内容・引用発明の認定
これに対し、原審の拒絶の査定の理由である上記平成22年3月8日付けの拒絶理由通知書の特許法第29条第2項についての拒絶理由において引用された上記引用文献1には、上記第2.4-2.記載の引用文献記載事項が記載されており、上記引用文献1には上記第2.4-3.で認定したとおりの引用発明1が記載されていると認められるところ、これを方法発明として表現した下記引用発明2も記載されていると認められる。

<引用発明2>
「ネットワークを含むネットワークシステムの一部として用いられる電子機器によって実行されるデータ処理方法であって、
該電子機器に記録されているデータが、付加識別子が付加されていないデータであるか、あるいは該付加識別子が付加されているデータであるかを判定する第1ステップと、
前記付加識別子が付加されている場合には、その内部にシステム識別子を保持しているか否かをさらに判定する第2ステップと、
該第2ステップでシステム識別子を保持していないと判断された場合、システム識別子要求を、ネットワークを介して他の各電子機器に対して送出する第3ステップと、
該システム識別子要求に対して、システム識別子を保持している他の電子機器が該システム識別子を返送したか否かを判定する第4ステップと、
該システム識別子が返送されてきた場合、前記付加識別子が付加されているデータからシステム識別子を抽出する第5ステップ、
該抽出されたシステム識別子と前記返送されたシステム識別子とを比較し、両者が一致するか否かを判定する第6ステップと
該第6ステップで両者が一致すると判定された場合に、前記データの利用をする第7ステップと、
次に利用すべきデータがあるか否かを判定する第8ステップと、
該第8ステップで利用すべきデータがあると判定されたときには前記第1ステップから前記第8ステップまでの処理を繰り返し、利用すべきデータが無くなったときに処理を終了する第9ステップと
を有し、
前記データとは画像データ、音声データ、動画像データ、テキストデータ、プログラムデータ等であるデータ処理方法。」


2-3.対比
以下、本願請求項1に係る発明と引用発明2とを比較する。

(1)引用発明2における「第2ステップ」は、本願請求項1に係る発明における「第1段階」に対応付けられるものであるところ、両者は「使用しようとするコンテンツオブジェクトと前記コンテンツオブジェクトに相応するコンテンツの使用のための情報が同一なデバイスに保存されているのか判断する第1段階」と言えるものである点で共通する。

(2)引用発明2における「第3ステップ」は、本願請求項1に係る発明における「第2段階」に対応付けられるものであるところ、両者は「前記判断結果、同一なデバイスに保存されていない場合、コンテンツオブジェクトを保存している第1デバイスが前記コンテンツの使用のための情報を保存している第2デバイスに使用許可の要請情報を送信する第2段階」と言えるものである点で共通する。

(3)引用発明2は「該システム識別子要求に対して、システム識別子を保持している他の電子機器が該システム識別子を返送したか否かを判定する第4ステップと」、「該システム識別子が返送されてきた場合、前記付加識別子が付加されているデータからシステム識別子を抽出する第5ステップと」を有しているのであるから、本願請求項1に係る発明における「前記要請情報を受けた第2デバイスから使用許可情報を受信する第3段階」に相当する段階を有していることは明らかである。

(4)引用発明2における「第7ステップ」は、本願請求項1に係る発明における「第4段階」に対応付けられるものであるところ、前者も後者と同様に「前記使用許可情報を受信した前記第1デバイスは前記保存されたコンテンツオブジェクトを使用する第4段階」と言えるものである。

(5)よって、本願請求項1に係る発明は、下記の一致点2で引用発明2と一致し、下記の相違点で引用発明2と相違する。

<一致点2>
「使用しようとするコンテンツオブジェクトと前記コンテンツオブジェクトに相応するコンテンツの使用のための情報が同一なデバイスに保存されているのか判断する第1段階と、
前記判断結果、同一なデバイスに保存されていない場合、コンテンツオブジェクトを保存している第1デバイスが前記コンテンツの使用のための情報を保存している第2デバイスに使用許可の要請情報を送信する第2段階と、
前記要請情報を受けた第2デバイスから使用許可情報を受信する第3段階と、
前記使用許可情報を受信した前記第1デバイスは前記保存されたコンテンツオブジェクトを使用する第4段階とを含むコンテンツオブジェクトの使用方法。」

<相違点2>
本願請求項1に係る発明における第1デバイスが記憶する「コンテンツの使用のための情報」は「権利オブジェクト」である。

2-4.判断
上記相違点について以下に検討する。

(1)上記相違点2について検討するに、上記相違点2は上記第2.4-4.(4)で認定した相違点1-1と実質的に同一のものであり、上記相違点2については、上記第2.4-5.(1)で述べたことと同様のことが言える

(2)してみると、本願請求項1に係る発明の構成は引用発明2に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。
そして、当該構成の採用によって奏される作用効果も、当業者であれば容易に予測し得る程度のものであって、格別顕著なものではない。
よって、本願請求項1に係る発明は、引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


3.本願請求項8に係る発明の進歩性について

3-1.本願請求項8に係る発明の認定
本願の特許請求の範囲の請求項8に係る発明は上記第1.2.(1)に【請求項8】として記載したとおりのものである。

3-2.引用文献の記載内容・引用発明の認定
これに対し、原審の拒絶の査定の理由である上記平成22年3月8日付けの拒絶理由通知書の特許法第29条第2項についての拒絶理由において引用された上記引用文献1には、上記第2.4-2.記載の引用文献記載事項が記載されており、上記引用文献1には上記2-2.で認定したとおりの引用発明2が記載されていると認められる。

3-3.対比
以下、本願請求項8に係る発明と引用発明2とを比較する。

(1)引用発明2における「ネットワークを含むネットワークシステムの一部として用いられる電子機器」は、本願請求項8に係る発明における「デバイスA」に対応付けられるものであるところ、前者も後者と同様に「コンテンツオブジェクトを使用することができる機能を有するデバイスA」と言えるものである。

(2)引用発明2における「システム識別子を保持している他の電子機器」は、本願請求項8に係る発明における「デバイスB」に対応付けられるものであるところ、両者は「前記コンテンツオブジェクトに相応するコンテンツの使用のための情報を有するデバイスB」と言えるものである点で共通する。

(3)そして、引用発明2における「第3ステップ」「第4ステップ」は、本願請求項8に係る発明における「第1段階」に対応付けられるものであるところ、両者は「コンテンツオブジェクトを使用することができる機能を有するデバイスAが前記コンテンツオブジェクトに相応するコンテンツの使用のための情報を有するデバイスBと通信する第1段階」と言えるものである点で共通する。

(4)引用発明2における「第7ステップ」は、本願請求項8に係る発明における「第3段階」に対応付けられるものであるところ、両者は「前記デバイスAが前記デバイスBのコンテンツオブジェクトを使用する第3段階」と言えるものである点で共通する。

(5)よって、本願請求項8に係る発明は、下記の一致点3で引用発明2と一致し、下記の相違点3-1乃至相違点3-3で引用発明2と相違する。

<一致点3>
「コンテンツオブジェクトを使用することができる機能を有するデバイスAが前記コンテンツオブジェクトに相応するコンテンツの使用のための情報を有するデバイスBと通信する第1段階と、
前記デバイスAが前記デバイスBのコンテンツオブジェクトを使用する第3段階を含むコンテンツオブジェクトの使用方法。」

<相違点3-1>
本願請求項8に係る発明におけるデバイスBが保存している「コンテンツの使用のための情報」は「権利オブジェクト」である。

<相違点3-2>
本願請求項8に係る発明におけるデバイスBは権利オブジェクトと「同時に」「コンテンツオブジェクト」も有する。
(これ対して引用文献1には「電子機器に記録されているデータ」がどこから供給されたかの明示はないため、必ずしも、「システム識別子を保持している他の電子機器」が該データをも同時に保持しているとは言えない。)

<相違点3-3>
本願請求項8に係る発明は「前記デバイスAが使用しようとする前記デバイスBのコンテンツオブジェクトを検索する第2段階」を含む。

3-4.判断
上記相違点について以下に検討する。

(1)相違点3-1について
上記相違点3-1は上記第2.4-4.(4)で認定した相違点1-1と実質的に同一のものであり、上記相違点3-1については、上記第2.4-5.(1)で述べたことと同様のことが言える。

(2)相違点3-2について
コンテンツ本体と該コンテンツの使用のための情報は一体化されて供給されるのが普通であり、また、これらを別体として供給する場合でも共通の供給元から供給することも適宜なされている事である(必要があれば、上記引用文献3(特に引用文献記載事項3-2)等参照)から、引用発明2における電子機器に記録されているデータシステム識別子を保持している他の電子機器が「画像データ、音声データ、動画像データ、テキストデータ、プログラムデータ等」の「データ」も同時に保持するようにすること、すなわち、上記相違点3-2に係る事項を採用することは、その実施に際して当業者が適宜に採用し得る事項に過ぎない。

(3)相違点3-3について
コンテンツを処理する際に、そのコンテンツの所在を特定した上で、該処理を行うことは上記第2.4.(2)でも述べたように、通常行われる事項に過ぎず(必要があれば、上記引用文献5(特に引用文献記載事項5-1)等参照。)、引用発明2にもコンテンツを保有する装置を検索する手段を設けること、すなわち上記相違点3-3に係る事項を採用することは、当業者が適宜に採用し得た事項に過ぎないものである。


4.本願請求項15に係る発明の進歩性について

4-1.本願請求項15に係る発明の認定
本願請求項15に係る発明は上記第1.2.(1)に【請求項15】として記載したとおりのものである。

4-2.引用文献の記載内容・引用発明の認定
これに対し、原審の拒絶の査定の理由である上記平成22年3月8日付けの拒絶理由通知書の特許法第29条第2項についての拒絶理由において引用された上記引用文献1には、上記第2.4-2.記載の引用文献記載事項が記載されており、上記引用文献1には上記第2.4-3.で認定したとおりの引用発明1が記載されていると認められる。

4-3.対比
上記第第2.4.で検討した本件補正発明は、本願請求項15に係る発明に対し上記第2.3.(8)で述べた限定的減縮をしたものであるから、本願請求項15に係る発明は、上記本件補正発明から当該限定的減縮により限定される要件、すなわち「他のデバイス」が「複数の」ものである旨の限定を無くしたものに相当する。
したがって、本願請求項15に係る発明は、下記の一致点4で引用発明1と一致し、下記の相違点4-1、相違点4-2で引用発明1と相違する。

<一致点4>
「コンテンツの使用のための情報を保存している他のデバイスに使用許可の要請情報を送信したり、前記要請情報を受けた他のデバイスから使用許可情報を受信する送受信部、および
前記保存されたコンテンツオブジェクトを使用するコンテンツオブジェクト使用部を含むコンテンツオブジェクトの使用装置。」

<相違点4-1>
本願請求項15に係る発明における他のデバイスが保存している「コンテンツの使用のための情報」は「権利オブジェクト」である。

<相違点4-2>
本願請求項15に係る発明は「使用しようとするコンテンツオブジェクトと前記コンテンツオブジェクトに相応する権利オブジェクトが、どのデバイスに保存されているのか検索する権利オブジェクト管理モジュール」を含むものである。

4-4.判断
上記相違点について以下に検討する。

(1)相違点4-1について
上記相違点4-1は上記第2.4-4.(4)で認定した相違点1-1と実質的に同一のものであり、上記相違点4-1については、上記第2.4-5.(1)で述べたことと同様のことが言える。

(2)相違点4-2について
上記相違点4-2は上記第2.4-4.(4)で認定した相違点1-2と実質的に同一のものであり、上記相違点4-2については、上記第2.4-5.(2)で述べたことと同様のことが言える。

(3)してみると、本願請求項15に係る発明の構成は引用発明1に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。
そして、当該構成の採用によって奏される作用効果も、当業者であれば容易に予測し得る程度のものであって、格別顕著なものではない。
よって、本願請求項15に係る発明は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


5.本願請求項20に係る発明の進歩性について

5-1.本願請求項20に係る発明の認定
本願請求項20に係る発明は上記第1.2.(1)に【請求項20】として記載したとおりのものである。

5-2.引用文献の記載内容・引用発明の認定
これに対し、原審の拒絶の査定の理由である上記平成22年3月8日付けの拒絶理由通知書の特許法第29条第2項についての拒絶理由において引用された上記引用文献1には、上記第2.4-2.記載の引用文献記載事項が記載されており、上記引用文献1には上記第2.4-3.で認定したとおりの引用発明1が記載されていると認められる。

5-3.対比
(1)引用発明1における「システム識別子を保持している他の電子機器」は、本願請求項20に係る発明における「他のデバイス」に対応付けられるものであるところ、両者は「コンテンツオブジェクトに相応するコンテンツの使用のための情報を有する他のデバイス」と言えるものである点で共通する。

(2)そして、引用発明1は「該第2ステップでシステム識別子を保持していないと判断された場合、システム識別子要求を、ネットワークを介して他の各電子機器に対して送出する第3ステップと」、「該システム識別子要求に対して、システム識別子を保持している他の電子機器が該システム識別子を返送したか否かを判定する第4ステップと」「を有するデータ処理方法を実行するもの」であるから、該「他の電子機器」と通信する手段を有することは明らかであり、これは本願請求項20に係る発明における「インターフェース部」に対応付けられるものであるところ、上記(1)を勘案すれば、両者は「コンテンツオブジェクトに相応するコンテンツの使用のための情報を有する他のデバイスと通信するインターフェース部」と言えるものである点で共通する。

(3)引用発明1は、「第7ステップ」での「前記データの利用をする」手段を有していることは明らかであり、これは本願請求項20に係る発明における「コンテンツオブジェクト使用部」に対応付けられるものであるところ、両者は「前記他のデバイスのコンテンツオブジェクトを使用するコンテンツオブジェクト使用部」と言えるものである点で共通する。

(4)よって、本願請求項20に係る発明は、下記の一致点5で引用発明1と一致し、下記の相違点5-1乃至相違点5-3で引用発明1と相違する。

<一致点5>
コンテンツオブジェクトに相応するコンテンツの使用のための情報を有する他のデバイスと通信するインターフェース部と、
前記他のデバイスのコンテンツオブジェクトを使用するコンテンツオブジェクト使用部を含むコンテンツオブジェクトの使用装置。

<相違点5-1>
本願請求項20に係る発明における他のデバイスが保存している「コンテンツの使用のための情報」は「権利オブジェクト」である。

<相違点5-2>本願請求項20に係る発明における他のデバイスは権利オブジェクトと「同時に」「コンテンツオブジェクト」も有する。

<相違点5-3>本願請求項20に係る発明は「前記他のデバイスのコンテンツオブジェクトを検索する制御部」を含む。

5-4.判断
上記相違点について以下に検討する。

(1)相違点5-1について
上記相違点5-1は実質的に上記第2.4-4.(4)で認定した相違点1-1と同一のものであり、上記相違点5-1については、上記第2.4-5.(1)で述べたことと同様のことが言える。

(2)相違点5-2について
上記相違点5-2は実質的に上記3-3.(5)で認定した相違点3-2と同一のものであり、上記相違点5-2については、上記.3-4.(2)で述べたことと同様のことが言える。

(3)相違点5-3について
上記相違点5-3は実質的に上記3-3.(5)で認定した相違点3-3と同一のものであり、上記相違点5-3については、上記.3-4.(3)で述べたことと同様のことが言える。

(4)してみると、本願請求項20に係る発明の構成は引用発明1に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。
そして、当該構成の採用によって奏される作用効果も、当業者であれば容易に予測し得る程度のものであって、格別顕著なものではない。
よって、本願請求項20に係る発明は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


6.むすび
上記2.乃至5.のとおり、本願請求項1、8、15、20に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、他の請求項についての検討をするまでもなく、本願を拒絶すべきものとした原査定は妥当なものであり、これを取り消すことはできない。

よって、上記結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-03-23 
結審通知日 2012-03-27 
審決日 2012-04-09 
出願番号 特願2007-550310(P2007-550310)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 戸島 弘詩  
特許庁審判長 山崎 達也
特許庁審判官 清木 泰
石井 茂和
発明の名称 デバイス間権利オブジェクトの移動方法とそれによるコンテンツオブジェクトの使用方法およびこれを利用したデバイス  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  
代理人 大貫 進介  
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