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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F
管理番号 1262456
審判番号 不服2011-19334  
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-09-07 
確定日 2012-08-30 
事件の表示 特願2000-324585「LCDユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 5月 9日出願公開、特開2002-131775〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成12年10月24日の出願であって、平成22年7月26日付けで手続補正がなされたが、平成23年5月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年9月7日付けで拒絶査定不服審判請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである(以下、前記平成23年9月7日付けでなされた手続補正を「本件補正」という。)。

第2 本件補正についての却下の決定

1 結論
本件補正を却下する。

2 理由
(1)補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1につき、補正前(平成22年7月26日付けの手続補正後のもの。)の請求項5(引用形式で表現された請求項5を独立の形式で表現したもの)の
「第1の液晶パネルと、
前記第1の液晶パネルとは独立して構成され、自己の画素が前記第1の液晶パネルの該自己の画素に対応する画素と重なるように配置された第2の液晶パネルと、
前記第1の液晶パネル及び前記第2の液晶パネルを共に駆動する1つのLCDドライバ手段を更に備え、
前記LCDドライバと、前記第1の液晶パネル及び前記第2の液晶パネルを接続する接続手段を更に備えることを特徴とするLCDユニット。」

「第1の液晶パネルと、
前記第1の液晶パネルとは独立して構成され、自己の画素が前記第1の液晶パネルの該自己の画素に対応する画素と重なるように配置された第2の液晶パネルと、
前記第1の液晶パネル及び前記第2の液晶パネルを共に駆動する1つのLCDドライバと、
前記LCDドライバ上の2箇所に、前記第1の液晶パネル及び前記第2の液晶パネルを一枚ずつ接続する接続手段と、
を備えることを特徴とするLCDユニット。」
に補正することを含むものである。

(2)補正の目的
上記(1)の補正は、補正前の請求項5の「接続する接続手段」に関して、「(LCDドライバ上の)2箇所に」、「(第1の液晶パネル及び第2の液晶パネルを)一枚ずつ」接続する、との限定を付加するものであるから、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法第1条による改正前の特許法(以下「平成14年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(3)独立特許要件についての検討
本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)は、前記(1)において、本件補正後のものとして示したとおりのものと認められるところ、本願補正発明が、独立して特許を受けることができるものであるか(平成14年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

ア 刊行物の記載
(ア)引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された特開平4-296826号公報(以下「引用文献」という。)には、以下の記載がある(下線は当審にて付した。)。

a 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶表示装置に関し、特にネガ表示を行う液晶表示装置の遮光特性の改良に関するものである。」

b 「【0010】ところで、第2の液晶表示パネル(20)に表示される表示パターンと第1の液晶表示パネル(10)に表示される表示パターンの大きさは同一でなく、第2の液晶表示パネル(20)によって表示される表示パターンを若干大きく形成している(図2参照)。これは、本発明では第1および第2の液晶表示パネル(10)(20)を積層するために、視差角の影響により、斜めから表示パターンを見たときにセグメント形状の形が変形しないようにするためである。」

c 「【0015】となる。第1及び第2の液晶表示パネル(10)(20)は図イに示す如く、引き出し電極(15)(26)が形成された基板(11)(21)が密着するように偏光板(30)を介し例えば、両面テープあるいはフレーム等(図示しない)に入れて積層一体化される。この様に積層配置すれば、第1及び第2の引き出し電極(15)(26)が重畳して相対向する面に配置されることになり、クリップ状のリード端子(35)で夫々の透明基板(11)(21)を挟持すれば、夫々の表示パネル(10)(20)の同一セグメントを同時に駆動することができる。ところで、クリップ状の端子(35)を使用するために夫々の引き出し電極(15)(26)を極めて容易に接続が行えるとともに、リード固着部領域にはUV樹脂等のコーティング樹脂が塗布されているためリード端子(35)で第1および第2の表示パネル(10)(26)を保持することができる。
【0016】また、クリップ状のリード端子(35)で同一セグメントを駆動する引き出し電極(15)(26)を挟持するために、同一セグメントを同時駆動できるために1つの外部回路で同期回路等を必要とすることなく積層された第1および第2の液晶表示パネル(10)(20)を駆動することができる。図4は本発明の液晶表示装置のラビング方向と偏光板の吸収軸の関係を示したものでありネガ表示に設定されている。即ち、第1および第2の液晶表示パネル(10)(20)の同一表示パターンを表示するセグメント電極が駆動されると、光源からの光は選択された表示パターンのみを透過して表示される。一方、非選択の表示パターンは偏光板(32)(30)(31)及び第1及び第2の液晶表示パネル(10)(20)によって遮光されることになり、選択された表示パターンと非選択の表示パターンとの表示パターン領域でのコントラストを向上させることができる。」

(イ)引用発明
上記a?cによれば、引用文献には、次の発明が記載されているものと認められる。
「第1及び第2の液晶表示パネルは、引き出し電極が形成された基板が密着するように偏光板を介し例えば、両面テープあるいはフレーム等に入れて積層一体化され、
この様に積層配置すれば、第1及び第2の引き出し電極が重畳して相対向する面に配置されることになり、クリップ状のリード端子で夫々の透明基板を挟持すれば、夫々の表示パネルの同一セグメントを同時に駆動することができ、
クリップ状のリード端子で同一セグメントを駆動する引き出し電極を挟持するために、同一セグメントを同時駆動できるために1つの外部回路で同期回路等を必要とすることなく積層された第1および第2の液晶表示パネルを駆動することができ、
光源からの光は選択された表示パターンのみを透過して表示され、非選択の表示パターンは偏光板及び第1及び第2の液晶表示パネルによって遮光されることになり、選択された表示パターンと非選択の表示パターンとの表示パターン領域でのコントラストを向上させることができ、
第2の液晶表示パネルに表示される表示パターンと第1の液晶表示パネルに表示される表示パターンの大きさは同一でなく、第2の液晶表示パネルによって表示される表示パターンを若干大きく形成している、第1および第2の液晶表示パネルを積層するために、視差角の影響により、斜めから表示パターンを見たときにセグメント形状の形が変形しないようにする液晶表示装置。」(以下「引用発明」という。)

イ 対比・判断
(ア)本願補正発明と引用発明とを対比する。
a 引用発明の「第1及び第2の液晶表示パネル」、「(夫々の表示パネルの同一セグメントを同時に駆動することができる1つの)外部回路」及び「液晶表示装置」は、本願補正発明の「『第1の液晶パネル』及び『第2の液晶パネル』」、「(前記第1の液晶パネル及び前記第2の液晶パネルを共に駆動する1つの)LCDドライバ」及び「LCDユニット」にそれぞれ相当する。

b 引用発明は、「第2の液晶表示パネルに表示される表示パターンと第1の液晶表示パネルに表示される表示パターンの大きさは同一でなく、第2の液晶表示パネルによって表示される表示パターンを若干大きく形成している」ものであるものの、「非選択の表示パターンは偏光板及び第1及び第2の液晶表示パネルによって遮光されることになり、選択された表示パターンと非選択の表示パターンとの表示パターン領域でのコントラストを向上させる」ものであるから、引用発明は、本願補正発明の「自己の画素が前記第1の液晶パネルの該自己の画素に対応する画素と重なるように配置された第2の液晶パネル」の構成を備えるといえる。

c 引用発明の「クリップ状のリード端子」は、「夫々の透明基板を挟持すれば」、「1つの外部回路で同期回路等を必要とすることなく積層された第1および第2の液晶表示パネルを駆動することができる」ものであるから、「1つの外部回路」と「第1および第2の液晶表示パネル」を接続するものであるといえる。
したがって、引用発明の「(1つの外部回路に第1および第2の液晶表示パネルを接続する)クリップ状のリード端子」と、本願補正発明の「前記LCDドライバ上の2箇所に、前記第1の液晶パネル及び前記第2の液晶パネルを一枚ずつ接続する接続手段」とは、「(前記LCDドライバに、第1の液晶パネル及び第2の液晶パネルを接続する)接続手段」である点で一致する。

d 以上によれば両者は、
「第1の液晶パネルと、自己の画素が前記第1の液晶パネルの該自己の画素に対応する画素と重なるように配置された第2の液晶パネルと、
前記第1の液晶パネル及び前記第2の液晶パネルを共に駆動する1つのLCDドライバと、
前記LCDドライバに、前記第1の液晶パネル及び前記第2の液晶パネルを接続する接続手段と、
を備えるLCDユニット。」
である点で一致し、

(a)本願補正発明では、「第2の液晶パネル」が、「第1の液晶パネルとは独立して構成され」ているのに対して、引用発明では、「第1及び第2の液晶表示パネル」が、「基板が密着するように偏光板を介し例えば、両面テープあるいはフレーム等に入れて積層一体化され」ており、独立して構成されていない点(以下「相違点1」という。)、及び、

(b)「接続手段」が、本願補正発明では、「LCDドライバ上の2箇所に、第1の液晶パネル及び第2の液晶パネルを一枚ずつ接続する」のに対して、引用発明は、このように接続するものではない点(以下「相違点2」という。)
で相違するものと認められる。

(イ)判断
a 上記相違点1について検討する。
引用発明は、「光源からの光は選択された表示パターンのみを透過して表示され、非選択の表示パターンは偏光板及び第1及び第2の液晶表示パネルによって遮光されることになり、選択された表示パターンと非選択の表示パターンとの表示パターン領域でのコントラストを向上させる」ものであるから、「第1及び第2の液晶表示パネル」を互いに独立した構成のものとして構成することは、当業者が容易になしうることである。

b 上記相違点2について検討する。
引用発明は、「接続手段」が、「クリップ状のリード端子」であり、1つの外部回路に第1および第2の液晶表示パネルを接続するために用いられているものであるところ、外部回路と液晶表示パネルを接続する「接続手段」として「フレキシブルケーブル」を用いることは、本願の出願時点で周知・慣用の技術であるから、引用発明において、「第1及び第2の液晶表示パネル」を「1つの外部回路」に接続する接続手段として「フレキシブルケーブル」を採用することは、当業者が容易に想到できたことである。
そして、その際、当該「フレキシブルケーブル」を、「第1の液晶表示パネル」、「第2の液晶表示パネル」と「1つの外部回路」とをどのように接続するかは、当業者が適宜定めるべき設計的事項であるところ、その接続を上記相違点2に係る本願補正発明の構成のものとなすことが当業者において格別困難なこととはいえない。

(ウ)請求人の主張について
請求人は、平成23年9月7日付けの審判請求書において、
「引用文献1のリード端子は、クリップ状なので特別な形状に加工してある。したがって、引用文献1は、一般的な形状のフレキシブルケーブルを用いることができる本願発明の構成と比較して、作業性及び歩留まりが低下する。すなわち、引用文献1には、クリップ状のリード端子の作成と、クリップ状のリード端子を接続する為の接続工程の複雑化等、本願発明にはない作業負担がある。また、引用文献1には、一般的な形状のフレキシブルケーブルを用いて、液晶パネルとLCDドライバを接続するための構成について記載も示唆もない」と主張し(同審判請求書4頁21?27行)、
また、平成24年5月11日付けの回答書において、
「本願発明の請求項1の構成は、特別な構成を有する圧着器を用いずとも、片面からのみ圧着可能な通常の圧着機を用いてプリント基板へフレキシブルケーブル(接続手段)を一括圧着することができます。また、本願発明の請求項1の構成では、片面からのみフレキシブルケーブルを圧着すればよいので、プリント基板へフレキシブルケーブルを圧着する際に特別な作業を要しません。これに対して、引用文献1では、クリップ状のリード端子を用いているので、一括圧着するには、上下から同時に圧着することができる特別な構成の圧着機を準備しなければなりません。また、引用文献1の液晶表示装置の作成において、片面からのみ圧着可能な通常の圧着機を使用する場合には、リード端子がクリップ状であるため、まず第1の液晶表示パネルの接点にリード端子を圧着します。その後に、液晶表示装置をひっくり返して第2の液晶表示パネルの接点にリード端子を圧着しなければなりません。したがって、引用文献1の構成は、本願発明の請求項1の構成と比較して、リード端子の圧着作業が煩雑になります。」(同回答書3頁1?15行)と主張している。
しかしながら、上記(イ)bで述べたように、外部回路と液晶表示パネルを接続する「接続手段」として「フレキシブルケーブル」を用いることは、本願の出願時点で周知・慣用の技術であるから、引用発明において、「一般的な形状のフレキシブルケーブルを用いて、液晶パネルとLCDドライバを接続するための構成について記載も示唆もな」くとも、「第1及び第2の液晶表示パネル」を「1つの外部回路」に接続する接続手段として「フレキシブルケーブル」を採用することは、当業者が容易に想到できたことである。
また、本願補正発明は、「特別な構成を有する圧着器を用いずとも、片面からのみ圧着可能な通常の圧着機を用いてプリント基板へフレキシブルケーブル(接続手段)を一括圧着することができ」るものに特定されるものではないから、圧着機や圧着作業に関する請求人の上記主張は本願請求項1の記載に基づくものではなく採用できない。
なお、請求人は、上記回答書で「前記第1の接点、前記第2の接点、前記第3の接点、および前記第4の接点が同じ向きを向いた状態で、前記第1の接点と前記第3の接点とを接続し、かつ、前記第2の接点と前記第4の接点とを接続する」旨の補正案を示しているが、当該「フレキシブルケーブル」を、「第1の液晶表示パネル」、「第2の液晶表示パネル」と「1つの外部回路」とをどのように接続するかは、上記(イ)bで述べたように、当業者が適宜定めるべき設計的事項であるから、上記補正案の補正を行っても、本願補正発明と同様に、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

ウ 小括
以上の検討によれば、本願補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 むすび
以上のとおり、本件補正は、平成14年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明
上記のとおり、本件補正は却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成22年7月26日付けで補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項によって特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2、2(1)において、補正前のものとして示したとおりのものである。

2 刊行物の記載及び引用発明
前記第2、2(3)アのとおりである。

3 対比・判断
上記第2 2(2)のとおり、本願補正発明は、本願発明に限定を付加したものである。
そして、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに限定を付加した本願補正発明が、引用文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである以上、上記第2、2(3)での検討と同様の理由により、本願発明は引用文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明し得るものである。
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-06-26 
結審通知日 2012-07-03 
審決日 2012-07-17 
出願番号 特願2000-324585(P2000-324585)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02F)
P 1 8・ 575- Z (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 磯野 光司  
特許庁審判長 吉野 公夫
特許庁審判官 北川 創
松川 直樹
発明の名称 LCDユニット  
代理人 大菅 義之  

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