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審決分類 |
審判 全部無効 2項進歩性 B21D |
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管理番号 | 1262512 |
審判番号 | 無効2007-800014 |
総通号数 | 154 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-10-26 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2007-01-25 |
確定日 | 2012-08-27 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第3727445号「パンチプレス機における成形金型の制御装置」の特許無効審判事件についてされた平成22年11月24日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成22年(行ケ)第10404号平成23年9月8日判決言渡)があり、確定したので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 1 本件特許第3727445号の請求項1ないし2に係る発明についての出願は、平成9年7月18日に出願され、平成17年10月7日にその発明について特許権の設定登録がされた。 2 これに対して、平成19年1月25日に審判請求人 株式会社アマダにより無効審判の請求がなされ、平成19年4月17日に被請求人から答弁書の提出及び訂正請求がなされ、平成19年6月12日に両当事者から口頭審理陳述要領書が提出されるとともに、口頭審理が行われた。その後、平成19年6月20日に請求人から上申書、平成19年7月20日に被請求人から上申書が提出され、平成19年8月27日に本件審判の請求は成り立たないとする旨の審決(以下「一次審決」という。)がされた。 3 平成19年10月5日に一次審決の取消しを求める訴(平成19年(行ケ)第10338号)が知的財産高等裁判所に提起されたところ、平成20年6月30日に知的財産高等裁判所において一次審決を取り消す旨の判決が言い渡された。 4 上記判決の確定の日から1週間以内である平成20年7月17日に被請求人から訂正請求の申立がなされ、訂正のための期間が指定され、平成20年8月22日付けで訂正請求がなされたが、平成20年10月24日に訂正を認めた上、本件特許の請求項1に係る発明についての特許を無効とする旨の審決(以下、「二次審決」という。)がされた。 5 平成20年12月5日に二次審決の取消しを求める訴(平成20年(行ケ)10464号)が知的財産高等裁判所に提起された。 6 本件特許につき、本件無効審判における被請求人である株式会社小松製作所外1名から平成21年2月24日に請求項2を削除するとともに請求項1を訂正する訂正審判(訂正2009-390020号)の請求がなされ、当該訂正審判は、平成21年9月16日に訂正を認める旨の審決がなされ、当該訂正審決は平成21年9月18日に確定した。 7 知的財産高等裁判所は、当該訂正審決の確定を受けて、平成21年10月29日に二次審決を取り消す旨の判決を言い渡し、同判決は確定した。 8 審判請求人 株式会社アマダから、平成22年1月19日付けで意見書が提出され、被請求人 株式会社小松製作所外1名から、平成22年5月25日付けで上申書が提出された。 9 平成22年7月12日付けで、当審から無効理由が通知され、これに対し、平成22年8月13日付けで、被請求人 株式会社小松製作所外1名から意見書が提出された。 10 平成22年11月24日に本件特許の請求項1に係る発明についての特許を無効とする旨の審決(以下、「三次審決」という。)がされた。 11 平成22年12月27日に三次審決の取消しを求める訴(平成22年(行ケ)第10404号)が知的財産高等裁判所に提起されたところ、平成23年9月8日に知的財産高等裁判所において三次審決を取り消す旨の判決が言い渡され、当該判決は確定した。 第2 本件発明 前述のとおり、訂正審判による訂正が確定していることから、本件特許の訂正後の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、訂正された明細書(以下、「本件特許明細書」という。)及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「パンチおよびダイを備え、ストローク量に応じて被加工物の成形加工量が変更可能な成形金型を用いて被加工物の成形加工を行うとともに、打抜加工も可能なパンチプレス機における成形金型の制御装置であって、 (a)加工プログラムから読み取られる被加工物の材質データおよび板厚データをそれぞれ記憶する材質メモリ部および板厚メモリ部、 (b)加工プログラム中の金型番号に対応するプレスモーション番号を記憶する金型情報メモリ部、 (c)各プレスモーション番号毎に被加工物の材質および板厚に無関係なプレスモーションの詳細設定データであって、前記パンチおよびダイのいずれかの成形位置を含むプレスモーションの詳細設定データを記憶する共通データメモリ部、 (d)各プレスモーション番号毎に被加工物の材質および板厚により、前記パンチおよびダイのいずれかの成形位置を変更する材質・板厚の補正データを記憶する変更データメモリ部、 (e)前記加工プログラムによる加工時に、前記金型情報メモリ部から装着金型に対応するプレスモーション番号を参照し、 このプレスモーション番号毎に、前記共通データメモリ部から被加工物の材質および板厚に無関係なプレスモーションの詳細設定データであって、前記パンチおよびダイのいずれかの成形位置を含むプレスモーションの詳細設定データを生成するとともに、 前記変更データメモリ部から転送された、参照されたプレスモーション番号毎の材質・板厚の補正データに基づく被加工物の材質および板厚に該当する設定値データにより、前記パンチおよびダイのいずれかの成形位置を補正し、補正された成形位置を含むプレスモーションの詳細設定データに基づきプレス軸を駆動するための駆動データを生成するプレス駆動データ生成部および (f)このプレス駆動データ生成部において生成された駆動データに基づいてプレスの駆動制御を行うプレス駆動制御部 を備えることを特徴とするパンチプレス機における成形金型の制御装置。」 第3 請求人の主張 請求人は、下記甲第1ないし4号証を提出し、本件発明を無効とするとの審決を求めている。 その理由の概要は、本件発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2ないし4号証などに示された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるというものである。ただし、訂正審決の確定に伴い対象が無くなったものについて、及び、その後撤回したものについては除外した。 [甲各号証] 甲第1号証: 特開平3-294135号公報 甲第2号証: 特開平5-282021号公報 甲第3号証: 特開平4-367332号公報 甲第4号証: 特開平4-270015号公報 第4 無効理由通知の概要 当審における平成22年7月12日付けで通知した無効理由の概要は、「訂正審判(訂正2009-390020号)で訂正された訂正後の本件発明は、上記甲第1号証に記載された発明、及び上記甲第2ないし甲第4号証に記載された周知技術及びその他の周知技術に基づいて当業者が容易になし得たものであるので、特許法第29第2項の規定に違反する。」というものである。 第5 被請求人の主張 これに対し、被請求人は、本件審判請求は成り立たないとの審決を求めている。 その理由の概要は、以下のとおりである。 1 パンチプレス機の制御は複雑であり、甲第1号証の穴明加工と成形加工とは技術分野が全く異なる。 2 本件訂正明細書等の表1に示されるように、異なる金型であっても、プレスモーション番号を同一に設定することが可能であり、「共通データメモリ部」内のプレスモーションの詳細設定データのデータ量を削減することができるという技術的意義がある。 3 甲2?4号証のいずれも、加工開始から加工終了に至る一連の加工動作を与える加工パターンは、入力される加工プログラム中に書き込まれており、加工プログラムに設定された1のデフォルトの加工パターンを、種々の加工条件に応じて変化させる構成しか開示されておらず、本件発明のごとく制御装置内の共通データメモリ部、変更データメモリ部により生成されるものではない。 4 また、当審における平成22年7月12日付けの無効理由通知に対する意見として、以下の点を挙げている。 (1)本件発明は、甲第1号証に記載された発明及び従来周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 本件発明が、当業者が容易に発明をすることができたと判断するのであれば、確定した訂正審決における周知例の認定判断を否定する合理的理由がなければならない。 (2)無効理由通知における本件発明と甲第1号証に記載された発明との対比に誤りがある。 無効理由通知では、本件発明を不当に上位概念化した上で、甲第1号証に記載された発明から導き出される上位概念化された発明との対比を行い、両者の共通事項を一致点として認定している。 (3)無効理由通知では、平成20年(行ケ)第10464号判決にいう「改めて特許の無効の審判によりこれを無効とすることが予定されている(特許法123条1項8号)」との判示事項について、「本件無効審判において無効とすることもできる」と解しているが、平成20年(行ケ)第10464号判決が依拠する最高裁平成7年(行ツ)第204号平成11年3月9日第三小法廷判決・民集53巻3号303頁は、無効審決取消訴訟の係属中に当該特許権について特許請求の範囲を減縮する訂正審決が確定した場合には、当該無効審決は、訂正審決の遡及効(特許法第128条)により、結果的に無効判断の対象となる発明の要旨の認定を誤った違法があることを判示している。 したがって、確定した訂正審決に係る本件発明が、独立特許要件を満たさないということ(特許法第126条第5項)は、訂正の要件を欠くとして訂正審決の違法を主張することに他ならないから、新たに無効審判を請求して訂正審決の違法を主張するべきであって、本件審判において訂正審決の違法性を判断することは、法の予定しないところである。 第6 当審の判断 1 本件発明について (1) 発明が解決しようとする課題 本件発明は、パンチプレス機における成形金型の制御装置に関するものであるところ、従来技術については、ア.材質・板厚が変わる生産においては、その都度、金型の調整と試打ち確認が必要になり、生産性が上がらないこと、イ.油圧駆動のパンチプレス機において、プレスモーションの設定値を変更するものでは、金型の調整と試打ち確認の手間を省くことは可能であるが、材料供給装置等を連動させた自動運転・連続運転で材質・板厚の変更が生じた場合にオペレータによる手動のプレスモーション変更作業が必要になること、ウ.上記イ.の問題点を回避する方法として、同一の成形加工を行う金型を各々の材質・板厚ごとに調整しておき、これら各金型をパンチプレス機に装着して運転する方法もあるが、この方法の場合には複数個の金型を準備しておく必要がありコスト高になり、また、金型を収納するターレットやマガジン部分を必要以上に使用することになるので、生産計画に基づいて連続運転を行う場合に、連続運転に必要な全金型が収納できず、1回の連続運転の生産計画量を少なく、あるいは短縮しなくてはならないこと、エ.プレスストローク量をある適正範囲内で変化させるようにしたものにおいては、成形加工に必要な種数の個数分の金型を準備することが必要であり、上記ウ.と同じ問題点が生じること等の課題があった(本件特許明細書の段落【0003】)。 (2) 課題を解決するための手段 本件発明は、このような問題点を解消するためにされたもので、加工対象としての被加工物の板厚や材質に変更が生じても、金型の調整や交換などの段取り作業を不要にし、1つの金型により所望の成形加工を行うことのできるパンチプレス機における成形金型の制御装置を提供することを目的とするものである(本件特許明細書の段落【0004】)。 本件発明においては、ストローク量に応じて被加工物の成形加工量が変更可能な成形金型が用いられ、この成形金型を用いた自動運転が行われると、加工プログラムに記述されている材質データが材質メモリ部に、板厚データが板厚メモリ部にそれぞれ記憶され、この処理の後、加工プログラムの指令に従って、順次以下の処理動作が実行される。ア.まず、加工プログラムの金型交換指令により、成形金型がプレス部に装着されると、この装着された金型番号データに基づいて、金型情報メモリ部に記憶されている該当する金型番号が検索・参照され、この金型番号に基づくプレスモーション番号データが共通データメモリ部及び変更データメモリ部に転送される。イ.共通データメモリ部では、転送されたプレスモーション番号データに基づいて該当するプレスモーション番号の詳細設定値をプレス駆動データ生成部に転送し、また変更データメモリ部では、転送されたプレスモーション番号データに基づいて該当する材質・板厚データを検索し、前記材質メモリ部のデータ及び板厚メモリ部のデータに従って、該当する設定値データをプレス駆動データ生成部に転送する。ウ.次いで、このプレス駆動データ生成部では、これら共通データメモリ部及び変更データメモリ部より転送されたデータおよび前記板厚メモリ部に記憶されている板厚データに基づいて実際にプレス軸を駆動するためのデータを作成する。エ.そして、プレス駆動制御部においては、この作成されたデータに基づいてパンチ動作指令によってパンチ軸若しくはダイ軸が駆動されて所要の成形加工が実行される(本件特許明細書の段落【0007】)。 本件発明においては、異なる成形金型を使用することを前提にしており、金型番号を基準とした金型情報、すなわち、金型番号に割り付けた金型の種別(打抜・成形・刻印等)や形状(丸・角・長角・バーリング・上ハーフシャー等その金型が被加工物に加工する形状を表現したもの)、その金型が加工するサイズを表す長辺(直径)・短辺(ピッチ)・半径(高さ)などが異なり、種々の加工ができるものである(本件特許明細書の段落【0017】)。 (3) 作用効果 本件発明の作用効果は、ア.加工対象としての被加工物の材質や板厚に変更が生じても、金型の調整や交換などの段取り作業を不要にし、1つの金型で所望の成形加工を行うことが可能となり、こうして、被加工物の材質・板厚が変わる生産であっても、金型の調整と試打ち確認が不要になり、生産性を向上させることができること、イ.材料供給装置等を連動させた自動運転・連続運転で材質・板厚の変更が生じた場合でも、オペレータによる手動のプレスモーション変更作業が不要になるので無人化・省人化運転が可能となり、生産性の向上を図ることができること、ウ.従来のような同一の成形加工を行う金型を各々の材質・板厚毎に調整しておき、パンチプレス機に装着して運転する方法と異なり、金型をパンチプレス機に実装するタレットステーションが1ステーションになり、余ったステーションに他の金型が実装できるので、段取り回数の削減につながり、より生産性の向上が期待できること、エ.同一の成形加工を行う金型の保有個数を減らせるのでランニングコストの低減が期待できることである(本件特許明細書の段落【0008】)。 (4) パンチプレス機について 以上のように、本件発明は、成形加工及び打抜加工の両方を行うパンチプレス機の制御装置に関する発明である。広義の工作機械は、塑性加工用機械と除去加工用機械を含むところ、パンチプレス機は塑性加工用機械である。なお、プレスとは、2個以上の対をなす工具(金型)を用い、それらの工具間に被加工材を置き、工具に互いに接近する関係運動を行わせ、成形加工を行う機械で、かつ工具間に発生する加工力の反力を機械自体で支えるように設計されている機械である。 2 刊行物記載の発明 (1)甲第1号証 本件発明の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証には、以下の記載がある。 ア.第2ページ左上欄第19行?左下欄第6行 「第8図は穴明機の構成概要を示すブロック図である。図で、1は穴明機を示し、この穴明機1は穴明機本体2および自動工具交換装置3で構成される。4は自動工具交換装置3に備えられている工具格納領域を示し、P_(1)?P_(n)は径の異なる各工具が格納される工具格納場所を示す。これら工具格納場所P1?P_(n)にはそれぞれ番号が付されている。このような穴明機lは、加工プログラムが記録されている記録媒体、例えば紙テープ等の指令内容を図示しない制御装置で読取り、これに従つて穴明機本体2において、プリント基板の穴明け加工を行なう。なお、このような穴明機1は周知である。 第9図は記録媒体としてのテープの記録内容の説明図である。図で、5はテープを示す。テープ5には記録領域51,52,53……が設定されている。記録領域51には、穴明加工に使用すべき工具番号(T1)が記録され、記録領域52には、記録領域51で指示された工具により穴明けすべき位置(X座標、Y座標により指定される)、当該位置への移動指令、および当該位置での穴明指令が記録されている。又、記録領域53には記録領域52で指示された穴明加工に引続く穴明加工に使用される工具番号T2が記録され、記録領域54には工具番号T2の工具で穴明加工すべき指令内容が記録されている。以下、工具番号とその工具番号の工具を用いて穴明加工すべき指令内容が順次記録されている。」 イ.第2ページ右下欄第5行?第3ページ右上欄第7行 「即ち、各格納工具に対してテープ5で指定されている工具番号が付与されることになる。作業者は、上記のように付与した格納工具番号を他にデータとともに制御装置の記憶部にキーボードを用いて記憶させる。 第10図は上記記憶部のデータテーブルの記憶内容の説明図である。図の上欄で、アドレスはこのデータテーブルのアドレス、格納場所番号は工具格納場所P_(1)?P_(n)のそれぞれに設定された番号(例えば工具格納場所P_(1)は1番、P_(2)は2番、……P_(n)はn番)、格納工具径は各工具格納場所に格納されている工具の径である。格納工具番号は上述のようにして各格納工具に付与された番号である。穴明回数は各工具が穴明けに使用された回数、寿命設定回数は各工具の寿命を穴明回数で表わしたものである。加工条件データは各工具に対する加工条件、例えば工具回転数や穴明速度等のデータである。この加工条件は、加工対象のプリント基板の材質や、それが両面板の場合、多層板の場合等により異なり、又、それらを何枚か重ねて同時に穴明加工する場合も重ねた枚数により加工条件が異なるものであつて、これら加工条件は作業者の経験等に基づいて決定される。・・・ 次に、上記穴明機1の動作の概略を説明する。穴明機1の制御装置は、まずテープ5の記録領域51に記録されている工具番号T1を読取る。この工具番号T1が「1番」であるとすると、制御装置は第10図に示すデータテーブルから格納工具番号が「1番」の工具を探し、これが工具格納場所「(n-1)番」に格納されていることを見出す。次いで、制御装置は寿命設定回数(3000)と穴明回数(600)とを比較し、後者が前者未満であることを確認した後、穴明機本体2のスピンドル(図示されていない)を工具格納場所P_(n-1)(工具格納番号は工具格納場所に付された符号の添字の数字と一致するものとする。)まで移行させ、格納されている工具(径5.0mm)をスピンドルに装着せしめる。次いで、データテーブルのアドレスA_(n-1)に格納されている加工条件データに従い、テープ5の記録領域52に記録されている穴明指令を実行する。」 ウ.第3ページ左下欄第4行?第11行 「上記従来の穴明機においては、穴明加工されるプリント基板の材質、それが両面板か多層板か、何枚重ねか等、加工対象のプリント基板の形態により加工条件データが変更されることになり、又、テープ5が変更される毎に格納工具番号も変更される。即ち、第10図に示すデータテーブルの格納工具番号と加工条件データが書換えられることになる。」 これら記載事項を、技術常識を勘案しつつ、本件発明に照らして整理すると、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「プリント基板の穴明加工を行う穴明機の工具の制御装置において、 加工に使用すべき工具番号が記録された加工プログラムを読み取る手段と、 加工プログラム中の工具番号に対応する、プリント基板の材質や重ねた枚数に応じた、工具回転数や穴明速度等の加工条件データを記憶する記憶部と、 加工プログラムによる加工時に、加工プログラムから読み取った工具番号により、当該工具に対応する加工条件データに従い穴明指令を実行する、 穴明機の工具の制御装置。」 (2)甲第2号証 同じく甲第2号証には、以下の記載がある。 ア.段落【0001】?【0003】 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、NC工作機械の加工条件生成方式に関する。 【0002】 【従来の技術】加工プログラムの作成に際して主軸回転速度や工具送り速度等の加工条件をワーク材質に基いて自動的に算出し、加工プログラムと一体に保存するようにしたNC自動プログラミング装置が既に公知である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のNC自動プログラミング装置には、ワーク材質を指定して加工条件の算出に必要とされる全てのデータを確定させて装置に入力してからでないと加工プログラムの作成作業が実行できないものがあり、特に、ディスプレイ画面に設問を表示してオペレータに入力操作を指示するような対話形の装置では、ワーク材質の入力が要求された時にこれを入力しないと先の操作に進めない場合もある。 イ.段落【0005】 「【0005】場合によっては、加工プログラムの作成が完了してから設計変更等の理由でワーク材質を変えなければならないこともあるが、このような場合、対話形のデータ入力作業で指定された初期のワーク材質に基く加工条件では適切な加工を行えなくなる。そこで、新たに選択されたワーク材質に対応して加工条件を修正してやる必要があるが、従来のNC自動プログラミング装置やNC工作機械の制御装置を用いてこのような操作を行うためには、加工プログラムの作成作業の段階でオペレータが入力した元データをNC自動プログラミング装置に呼び出してディスプレイ画面上に表示し、ワーク材質に関する部分の修正作業を行って再びNCデータへの変換作業を行うか、もしくは、NC工作機械の制御装置に初期の加工プログラムを呼び出してディスプレイ画面を参照しながら主軸回転速度や工具送り速度等に関するコマンドを検出した後、新たな主軸回転速度や工具送り速度等を手計算で算出してその値を再設定する以外になく、材質変更に関わる修正作業が非常に煩わしくなる。」 ウ.段落【0007】?【0008】 「【0007】そこで、本発明の目的は、これら従来技術の欠点を解消し、加工プログラムの作成が完了してからワーク材質の変更が必要になった場合でも、初期の加工プログラムに手を加えることなく、簡単な操作により適切な加工条件で加工を行わせることのできるNC工作機械の加工条件生成方式を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明によるNC工作機械の加工条件生成方式は、加工条件を決定するための関数をワーク材質の影響を受けない第1の関数部とワーク材質の影響を受ける第2の関数部とに分割し、加工プログラムの作成時に第1の関数部を加工プログラムと一体に保存すると共に、加工プログラムの実行段階でNC工作機械の制御装置に第2の関数部を設定し、第1の関数部と第2の関数部とを合成して加工条件を生成して加工を行うことにより前記目的を達成した。」 エ.段落【0027】?【0032】 「【0027】この場合、NC工作機械における制御装置10のROM12には、各種のワーク材質に対応して前述の補正値WおよびW′を記憶した図3(b)のようなファイルを保存しておき、また、図4に示すような「材質変更時の加工処理」に基いて加工プログラムを処理するためのシステムプログラムを設けておく(請求項2記載の構成に対応)。 【0028】まず、NC自動プログラミング装置100を用いた加工プログラムの作成段階では、エンドミル等の工具を駆動する主軸の回転速度や工具の切削送りおよび早送り等に関する移動指令、ならびに、工具移動経路の補間指令や座標データ等をキーボード103からNC言語の水準で直接コーディングする方式により、従来と同様にして加工プログラムを作成するが、予め選択された特定のワーク材質に対応して主軸の回転速度や工具の切削送り速度をプログラムする代わりに、荒取り、中仕上げ、仕上げ等の加工工程に対応して回転速度比Kや送り速度比K′を決め、また、使用工具に対応して標準切削速度Vおよび工具径Eや標準送り速度V′を決めて主軸回転速度Sに関する第1の関数部(K・C・V/E)や工具送り速度Fに関する第1の関数部(K′・V′)を算出し、これらの値を主軸回転速度や工具の切削送り速度の基準値としてプログラムする点が従来のものと異なる。加工プログラムと共にコーディングされた主軸回転速度や切削送り速度の基準値はプログラム作業の終了時点でフロッピーディスク111や穿孔テープに出力されて加工プログラムと一体的に保存される。 【0029】そして、この加工プログラムを保存したフロッピーディスク111や穿孔テープをNC工作機械の制御装置10にセットし、加工対象となるワークをNC工作機械のテーブルに取り付けて、制御装置10を「材質変更時の加工処理」のモードにして起動を掛けると、CPU11は、まず、加工対象となるワークの材質を問い掛けるメッセージをCRT/MDIユニット70のディスプレイに表示し、オペレータからの材質名の入力操作を待つ待機状態に入る(ステップa1)。 【0030】次いで、オペレータがCRT/MDIユニット70のキーボードを操作して加工対象となるワークの材質名を入力すると、CPU11はステップa1の判別処理でこの操作を検出し、図3(b)のファイルを検索して入力材質名に対応する補正値WおよびW′、即ち、ワーク材質の影響を受ける第2の関数部の値を検出して記憶する(ステップa2)。 【0031】入力材質名に対応する補正値WおよびW′を記憶したCPU11は、フロッピーディスク111や穿孔テープを介して与えられる加工プログラムを1ブロック読み込み(ステップa3)、この1ブロックが主軸の回転速度指令に関するものであるのか(ステップa4)、工具の切削移動指令に関するものであるのか(ステップa5)、アプローチや退避等に関する早送りのための移動指令に関するものであるのかを判別する(ステップa6)。 【0032】そして、今回読み込んだ1ブロックが主軸の回転速度指令に関するものであれば(ステップa4)、CPU11はこの回転速度指令に対応して加工プログラム中に指定された主軸回転速度の基準値(K・C・V/E)、即ち、主軸回転速度を形成する第1の関数部の値に、第2の関数部である補正値Wの値を乗じ、加工対象となるワークの材質に対応した主軸回転速度Sを求めてスピンドル制御回路60に出力し、フロッピーディスク111や穿孔テープで与えれた加工プログラムから新たな主軸回転速度指令が読み込まれるまでの間、主軸の回転速度をS(rpm)に保持する(ステップa11)。」 以上の事項からみて、甲第2号証には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 「加工プログラムの主軸回転速度、切削送り速度という加工条件を決定するための関数を、ワーク材質の影響を受けない第1の関数部(基準値)とワーク材質の影響を受ける第2の関数部(補正値)とに分割し、加工プログラムの作成時に第1の関数部を加工プログラムと一体に保存すると共に、加工プログラムの実行段階で、オペレータから入力されたワークの材質から、材質に対応して補正値を記憶したファイルを利用して、NC工作機械の制御装置に第2の関数部を設定し、第1の関数部と第2の関数部とを合成して加工条件を生成して加工を行うNC工作機械の加工条件生成方式。」 (3)甲第3号証 同じく甲第3号証には、以下の記載がある。 ア.段落【0006】 「・・・従来よりのプレス機械の制御方式にあっては、加工パターンを全てNCプログラム上で規定するものであったため、加工種毎、金型毎、材質、板厚変化の毎に加工パターンを決定しなければならず、また決定された加工パターンをNC文で表現しなければならず、NCプログラムの作成に多くの手間を要するという問題点があった。」 イ.段落【0010】 「【0010】 【作用】本発明のプレス機械の加工パターン発生装置では、各工具に各工具の識別情報の他に該工具に関連して定められる各軸制御条件を記憶するメモリチップ(IDチップ)を設け、選択工具のメモリチップの記憶内容を読出して、NCプログラム上で指定された加工条件に前記軸制御条件を加えて実際軸制御のための加工パターンを演算する。例えば、前記制御軸がパンチ金型駆動用のラムである場合、前記メモリチップには他のパンチ金型に対する駆動速度の比率が記憶され、前記軸制御演算部は、前記NCプログラムで規定される速度値に前記比率を乗じてラム駆動速度を演算する。また、例えば、前記制御軸が成形金型駆動用のラムである場合、前記メモリチップには、加圧保持時間が記憶され、前記軸制御演算部は、前記NCプログラム上で規定される材料板厚に応じて時間及びラム動作の加工パターンを演算する。従って、NCプログラム上では、加工パターンの全てを記述する必要がなく、工具のみ、或いは加工パターンの基本形のみを示すことにより、全工具に対して最適加工パターンが自動的に設定でき、高精度、高効率のプレス加工が行える。」 ウ.段落【0024】 「【0024】図5は、上記IDチップ26の記憶内容を示す説明図である。図示のように、IDチップ26には、金型固有番号や金型特性(形状、研磨層、金型ハイト等)の他、加工制御情報と、駆動制御条件が含まれる。加工制御情報は、ドウェル時間、座標オフセット値、エアブロー用のソレノイド作動指令等、加工制御のために直接的に利用されるものである。また、軸制御条件は、他の情報に関連して各軸をどのように制御するかの数値ないし関数が示されている。」 エ.段落【0035】?【0039】 「【0035】金型識別部56は、図5に示す金型固有番号または金型形状により、NCプログラム入力部59に入力されたNCプログラムで指定された通りの金型が各金型装着ステーションSiに装着されているかを確認するものである。識別方式は、一個一個の金型について順次識別する方式と、一度全ての装着金型を認識し、使用金型リストと照合する方式とがある。 【0036】補助コード適正化部58は、NCプログラム入力部38より入力されたNCプログラムのデフォルト値に対し、IDチップ26の加工制御情報を優先し、Mコードの内容を変更させるものである。 【0037】例えば、バーリング金型のIDチップ26にパンチ完了と軸移動までの遅延時間であるドウェル時間(100ms)が与えられていた場合、NCパラメータで与えられるデフォル値60msに対して、100msが優先され、実行されるが如くである。また、補助コード適正化部57は、金型に対し当然に記述されなければならないMコードにつき、この挿入を忘れたNCプログラムに対し、これを自動的に与えることもできる。 【0038】一方、軸制御条件演算部57は、図5に示すIDチップ26の情報のうち、主には軸制御条件の情報を入力し、各金型に対して最適の加工パターンを演算し、NCプログラム修正部61に提供するものである。 【0039】図8は穴明け金型についての加工パターンを示す。横軸は時間を縦軸はラム位置を示す。この加工パターンは材質、板厚に応じストライカの下端が材料上面に接近ないし接触するまでは高速V_(1)で下降され、その後の打ち抜きを区間では低騒音の目的を達成する速度V_(2)とされ、打ち抜き完了で高速値V_(3)にて元の位置へ戻らせるよう定められる。ここに、打ち抜き速度V_(2)は、IDチップ26に記憶させたプレス速度をそのまま代入してもよく、また、材質、板厚と、IDチップ26の他の軸制御条件から算出しても良い。この軸制御条件としては、材質、板厚等に関連して使用金型に応じた値を算出しても良く、また金型との間の比較値として定めた比率を定める例がある。・・・」 オ.段落【0040】?【0041】 「【0040】図9はセンターポンチ刻印についての加工パターンを示す説明図である。この加工パターンは、板厚dに対するポンチ先端下降位置と、下限位置での停止時間と、下降速度と上昇速度とで定められる。この場合の加工パターンはポンチに対し一定で良いので、板厚dに応じて求めれば良い。 【0041】図10は、ルーバ、ランス、カウンターシンク、バーリング等の成形金型に対する加工パターンを示す説明図である。この加工パターンは、接触位置P_(0)と、下限位置での加圧保持時間tと、各区間速度で定められるので、他は全て金型固有のパラメータを用い、材質、板厚dの関数として求められば良い。」 カ.段落【0044】 「【0044】図8?図11に示す加工パターンにつき、NCプログラム上では、金型と、板厚dと、必要に応じては基本速度を指定すれば、後は全て軸制御条件演算部57でパターン生成されるので、NCプログラムは極めて簡潔に書くことができる。・・・」 キ.段落【0046】?【0047】 「【発明の効果】以上の通り、本発明は特許請求の範囲に記載の通り、各工具に各工具の識別情報の他に該工具に関連して定められる各軸制御条件を記憶するメモリチップ(IDチップ)を設け、選択工具のメモリチップの記憶内容を読出して、NCプログラム上で指定された加工条件に前記軸制御条件を加えて実際軸制御のための加工パターンを演算するプレス機械の加工パターン発生装置であるので、例えば、前記制御軸がパンチ金型駆動用のラムである場合、前記メモリチップには他のパンチ金型に対する駆動速度の比率が記憶され、前記軸制御演算部は、前記NCプログラムで規定される速度値に前記比率を乗じてラム駆動速度を演算する。また、例えば、前記制御軸が成形金型駆動用のラムである場合、前記メモリチップには、加圧保持時間が記憶され、前記軸制御演算部は、前記NCプログラム上で規定される材料板厚に応じて時間及びラム動作の加工パターンを演算する。 【0047】従って、NCプログラム上では、加工パターンの全てを記述する必要がなく、工具のみ、或いは加工パターンの基本形のみを示すことにより、全工具に対して最適加工パターンが自動的に設定でき、高精度、高効率のプレス加工が行える等の効果を奏するものである。」 ク.ここで、上記イ.に「NCプログラム上では、加工パターンの全てを記述する必要がなく、工具のみ、或いは加工パターンの基本形のみを示すことにより」なる記載があることから、甲第3号証のものは、「NCプログラム上では、工具のみを示す」ものも含まれると認められる。 以上の事項からみて、甲第3号証には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。 NCプログラム上で「工具のみ、或いは加工パターンの基本形のみ」を示すことを前提として、「各工具に各工具の識別情報の他に該工具に関連して定められる各軸制御条件を記憶するメモリチップ(IDチップ)を設け、NCプログラム上で指定された工具番号により、選択工具のメモリチップの記憶内容を読出して、NCプログラム上で指定された加工条件に、材質、板厚に関連する前記軸制御条件を加えて、実際軸制御のための加工パターンを自動的に演算するプレス機械の加工パターン発生装置。」 (4)甲第4号証 同じく甲第4号証には、以下の記載がある。 ア.段落【0005】?【0009】 「【0005】この発明の目的は、板厚や材質に応じた良好な加工が行えるパンチプレス制御装置を提供することである。 【0006】 【課題を解決するための手段】この発明の構成を実施例に対応する図1と共に説明する。このパンチプレス制御装置は、ディジタルサーボコントローラ(14)に予め基本パンチプログラム(18)を入力しておき、その駆動指令(d)を生成する所定項目のデータを、変数(PR♯1)?(PR♯5)としたものである。ディジタルサーボコントローラ(14)は、数値制御装置(13)の起動指令(a)に応答し基本パンチプログラム(18)に従ってパンチ駆動用アクチュエータ(8)に駆動指令(d)を出力するものである。所定項目のデータとは、ワークの板厚または材質の違いによって変更すべき項目のデータのことであり、パンチ速度等のデータが含まれる。 【0007】数値制御装置(13)には、ワークの板厚および材質を入力する入力手段(19)と、この板厚および材質の入力値から前記所定項目のデータを演算してディジタルサーボコントローラ(14)に転送する演算手段(25)とを設ける。 【0008】 【作用】オペレータの操作等によりワークの板厚および材質のデータを入力手段(19)から入力する。演算手段(25)は、その入力値から所定項目のデータを演算してディジタルサーボコントローラ(14)に転送する。 【0009】ディジタルサーボコントローラ(14)は、数値制御装置(13)の起動指令(b)により、基本パンチプログラム(18)に従って駆動指令(d)をアクチュエータ(8)に出力する。このとき、ディジタルサーボコントローラ(14)は、前記所定項目の変数(PR♯1)?(PR♯5)を、演算手段(25)から転送された定数のデータに置き換えて、パンチ速度等の駆動指令(d)を生成する。」 イ.段落【0012】 「【0012】制御装置12は、数値制御装置13とディジタルサーボコントローラ14等で構成される。数値制御装置13は、NC機能部15と、PMC(プログラマブルマシンコントローラ)16と、MMC(マンマシンコントローラ)17とで構成される。NC機能部15は、加工プログラム18を解析して実行する手段であり、ワーク送り装置等の各軸駆動指令aを出力する。PMC16は、NC機能部15から転送された加工プログラム18のシーケンス制御コード等により、オンオフ制御等のシーケンス制御を主に行う手段であり、パラレルI/O26を介して、ディジタルサーボコントローラ14に起動指令bとサイクル完了信号cの送受を行う。MMC17は、キーボード等の入力手段19とCRT等の表示手段20とで、オペレータとのインタフェースを図る機能部である。」 ウ.段落【0016】 「【0016】図1において、MMC17はワークデータ記憶部24と演算手段25とを有し、入力手段19から対話処理手段27を介して入力される板厚データと、材質データとがワークデータ記憶部24に記憶される。・・・」 エ.段落【0019】 「【0019】ディジタルサーボコントローラ14は、PMC16から送出される起動指令bにより、基本パンチプログラム18に従って1回のパンチ駆動の指令dを、バルブ駆動アンプ21等に出力する。このとき、加速度、パンチ速度、待ち時間、および位置座標の各変数PR♯1?PR♯5は、前記の演算手段25から送られた値として制御動作を行う。1回のパンチが終了すると、ディジタルサーボコントローラ14はサイクル完了信号cをPMCに送る。」 オ.段落【0021】 「【0021】ここで、K1は材質、K2はパンチ特性、K3は加工孔形状、K4は材料厚さの値である。材質K1の値は、例えばスチールを1.0、ステンレスを0.7、アルミニウムを2.5とする。このK1の値は、入力手段19から数値として入力しても良く、また材質を選ぶことにより、対話処理手段27または演算手段25で、材質と数値との対応テーブルから選択されるようにしても良い。・・・」 カ.段落【0022】 「【0022】このパンチプレス制御装置は、このようにディジタルサーボコントローラ14の駆動指令dとなる加速度、パンチ速度、打抜き直前の位置座標、待ち時間、およびニブリング回数を、板厚および材質に応じた適正な値に変更されるようにしたため、良好な加工が行え、サイクルタイムの短縮と、パンチ騒音の低減と、加工品質の向上が図れる。」 以上の事項からみて、甲第4号証には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。 「予め基本パンチプログラム18が入力されたディジタルサーボコントローラ14と、入力手段により入力されたワークの板厚および材質のデータを記憶するワークデータ記憶部24、ワークデータ記憶部24に記憶された板厚および材質の値から所定項目のデータを演算する演算手段25を有する数値制御装置13とを備え、数値制御装置13の演算手段25により演算された前記所定項目のデータをディジタルサーボコントローラ14に転送し、駆動指令を生成するパンチプレス制御装置。」 3 本件発明についての対比・判断 (1)対比 本件発明と甲1発明とを対比する。 甲1発明の「穴明加工」、「穴明機」、「工具」と、本件発明の「成形加工」、「打抜加工も可能なパンチプレス機」、「成形金型」とは、それぞれ「加工」、「加工機」、「加工具」である限りにおいて共通する。 甲1発明の「加工条件データ」は「プリント基板の材質や重ねた枚数に応じた、工具回転数や穴明速度等の」データであり、工具の駆動のためのデータであるから、本件発明の「詳細設定データ」に相当する。 また、甲1発明の「加工に使用すべき工具番号が記録された加工プログラムを読み取る手段と、加工プログラム中の工具番号に対応する、プリント基板の材質や重ねた枚数に応じた、工具回転数や穴明速度等の加工条件データを記憶する記憶部と、加工プログラムによる加工時に、加工プログラムから読み取った工具番号により、当該工具に対応する加工条件データに従い穴明指令を実行する」ことと、本件発明の「(b)加工プログラム中の金型番号に対応するプレスモーション番号を記憶する金型情報メモリ部、(c)各プレスモーション番号毎に被加工物の材質および板厚に無関係なプレスモーションの詳細設定データであって、前記パンチおよびダイのいずれかの成形位置を含むプレスモーションの詳細設定データを記憶する共通データメモリ部、(d)各プレスモーション番号毎に被加工物の材質および板厚により、前記パンチおよびダイのいずれかの成形位置を変更する材質・板厚の補正データを記憶する変更データメモリ部、(e)前記加工プログラムによる加工時に、前記金型情報メモリ部から装着金型に対応するプレスモーション番号を参照し、このプレスモーション番号毎に、前記共通データメモリ部から被加工物の材質および板厚に無関係なプレスモーションの詳細設定データであって、前記パンチおよびダイのいずれかの成形位置を含むプレスモーションの詳細設定データを生成するとともに、前記変更データメモリ部から転送された、参照されたプレスモーション番号毎の材質・板厚の補正データに基づく被加工物の材質および板厚に該当する設定値データにより、前記パンチおよびダイのいずれかの成形位置を補正し、補正された成形位置を含むプレスモーションの詳細設定データに基づきプレス軸を駆動するための駆動データを生成するプレス駆動データ生成部および(f)このプレス駆動データ生成部において生成された駆動データに基づいてプレスの駆動制御を行うプレス駆動制御部を備える」こととは、「加工具番号に対応する加工の詳細設定データを記憶するデータメモリ部を有し、加工プログラムによる加工時に、加工プログラムから加工具番号を読み取り、加工具番号に対応する加工の詳細設定データに基づいて、加工軸を駆動するための駆動データを生成する加工駆動データ生成部を有し、この加工駆動データ生成部において生成された駆動データに基づいて加工の駆動制御を行う加工駆動制御部を備える」ことという限りにおいて、共通する。 したがって、両者の一致点及び相違点は次のとおりと認められる。 <一致点> 「加工具を用いて被加工物の加工を行う加工機における加工具の制御装置であって、 加工具番号に対応する加工の詳細設定データを記憶するデータメモリ部を有し、 加工プログラムによる加工時に、加工プログラムから加工具番号を読み取り、 加工具番号に対応する加工の詳細設定データに基づいて、加工軸を駆動するための駆動データを生成する加工駆動データ生成部を有し、 この加工駆動データ生成部において生成された駆動データに基づいて加工の駆動制御を行う加工駆動制御部 を備える加工機における加工具の制御装置。」である点。 <第1相違点> 加工機及び加工具に関して、本件発明は、「パンチおよびダイを備え、ストローク量に応じて被加工物の成形加工量が変更可能な成形金型を用いて被加工物の成形加工を行うとともに、打抜加工も可能なパンチプレス機における成形金型」であるが、甲1発明は、「プリント基板の穴明加工を行う穴明機の工具」である点。 <第2相違点> 本件発明では、 「(a)加工プログラムから読み取られる被加工物の材質データおよび板厚データをそれぞれ記憶する材質メモリ部および板厚メモリ部、 (b)加工プログラム中の金型番号に対応するプレスモーション番号を記憶する金型情報メモリ部、 (c)各プレスモーション番号毎に被加工物の材質および板厚に無関係なプレスモーションの詳細設定データであって、前記パンチおよびダイのいずれかの成形位置を含むプレスモーションの詳細設定データを記憶する共通データメモリ部、 (d)各プレスモーション番号毎に被加工物の材質および板厚により、前記パンチおよびダイのいずれかの成形位置を変更する材質・板厚の補正データを記憶する変更データメモリ部」を備え、 「(e)前記加工プログラムによる加工時に、前記金型情報メモリ部から装着金型に対応するプレスモーション番号を参照し、 このプレスモーション番号毎に、前記共通データメモリ部から被加工物の材質および板厚に無関係なプレスモーションの詳細設定データであって、前記パンチおよびダイのいずれかの成形位置を含むプレスモーションの詳細設定データを生成するとともに、 前記変更データメモリ部から転送された、参照されたプレスモーション番号毎の材質・板厚の補正データに基づく被加工物の材質および板厚に該当する設定値データにより、前記パンチおよびダイのいずれかの成形位置を補正し、補正された成形位置を含むプレスモーションの詳細設定データに基づきプレス軸を駆動するための駆動データを生成するプレス駆動データ生成部および (f)このプレス駆動データ生成部において生成された駆動データに基づいてプレスの駆動制御を行うプレス駆動制御部」を備えるとしているのに対し、 甲1発明では、材質メモリ部および板厚メモリ部を備えているか否かは不明であり、金型番号に対応するプレスモーション番号を記憶する金型情報メモリ部を備えておらず、加工条件データとして共通データと変更データとに分けて記憶しておらず、加工時にプレスモーション番号を参照して両データから駆動データを生成するようにもしていない点。 (2)相違点についての検討 ア.<第2相違点>について (ア) 本件発明は、パンチ及びダイを備え、成形加工及び打抜加工を行うことができるパンチプレス機における成形金型の制御装置に関する発明である。相違点2に係る本件発明の構成は、「(a)加工プログラムから読み取られる被加工物の材質データおよび板厚データをそれぞれ記憶する材質メモリ部および板厚メモリ部、(b)加工プログラム中の金型番号に対応するプレスモーション番号を記憶する金型情報メモリ部、(c)各プレスモーション番号毎に被加工物の材質および板厚に無関係なプレスモーションの詳細設定データであって、前記パンチおよびダイのいずれかの成形位置を含むプレスモーションの詳細設定データを記憶する共通データメモリ部、(d)各プレスモーション番号毎に被加工物の材質および板厚により、前記パンチおよびダイのいずれかの成形位置を変更する材質・板厚の補正データを記憶する変更データメモリ部」を備え、「(e)前記加工プログラムによる加工時に、前記金型情報メモリ部から装着金型に対応するプレスモーション番号を参照し、このプレスモーション番号毎に、前記共通データメモリ部から被加工物の材質および板厚に無関係なプレスモーションの詳細設定データであって、前記パンチおよびダイのいずれかの成形位置を含むプレスモーションの詳細設定データを生成するとともに、前記変更データメモリ部から転送された、参照されたプレスモーション番号毎の材質・板厚の補正データに基づく被加工物の材質および板厚に該当する設定値データにより、前記パンチおよびダイのいずれかの成形位置を補正し、補正された成形位置を含むプレスモーションの詳細設定データに基づきプレス軸を駆動するための駆動データを生成するプレス駆動データ生成部および(f)このプレス駆動データ生成部において生成された駆動データに基づいてプレスの駆動制御を行うプレス駆動制御部」を備えるものである。 (イ) 「パンチおよびダイのいずれかの成形位置」の意義 このように、本件発明は、詳細設定データと変更データを別々に記憶し、加工時にプレスモーション番号を参照し、両データにより、駆動データを生成するものであり、「パンチおよびダイのいずれかの成形位置」を含む詳細設定データ(構成要件(c)(e))、「パンチおよびダイのいずれかの成形位置」を変更する補正データ(構成要件(d))、「パンチおよびダイのいずれかの成形位置」を補正し、補正された成形位置により駆動データを生成すること(構成要件(e))を要件とするものである。 そして、本件特許明細書の段落【0014】、【0019】、【0020】、【0023】、図面の【図5】、【図6】には、パンチだけでなくダイの昇降装置付きのパンチプレス機が使用され、パンチが被加工物の上表面に位置決めされた状態でダイが上昇して被加工物を上方向に加工する動きをしたり、ダイが被加工物の下表面に位置決めされた状態でパンチが下降して被加工物を下方向に加工する動きをする実施例が記載され、ダイの下降と上昇が行われていることや、ダイの成形位置についても図示されており、ダイの成形位置を変更、補正するものを含むものである。 そうすると、平成22年(行ケ)第10404号判決において判示されたとおり、本件発明の「パンチおよびダイのいずれかの成形位置」とは、パンチ及びダイの双方の成形位置をいうものと解される。したがって、本件発明の「パンチおよびダイのいずれかの成形位置を変更」及び「パンチおよびダイのいずれかの成形位置を補正」とは、パンチ及びダイの双方の成形位置を変更、補正するものであると解される。 (ウ) 周知技術の内容 甲2発明は、パンチプレス機の制御装置についての発明ではなく、NC工作機械の制御に関するものである。被加工物であるワークの材質の影響を受けない無関係な加工条件を決定するためのデータ、すなわち第1の関数部と、ワークの材質の影響を受ける第2の関数部とに分割し、第1の関数部と第2の関数部とを合成して加工条件を生成するものである。ワークの加工条件は、主軸回転速度や工具送り速度についての条件であって(段落【0023】参照)、ダイの成形位置についての記載はない。 甲3発明は、プレス機械の制御装置についての発明であり、選択工具のメモリチップの記憶内容を読み出して、NCプログラム上で指定された加工条件に、材質、板厚に関連する軸制御条件を加えて、実際軸制御のための加工パターンを自動的に演算するプレス機械の加工パターン発生装置である。ラムに設けられたストライカが、パンチヘッドを打圧し、これを押し下げることにより、パンチボディの下端刃部を、ダイに対して突き出してワークを打抜加工するものである(段落【0022】参照)。パンチの加工パターンが板厚に応じて求められることは記載されているが(段落【0040】、【0041】参照)、ダイの成形位置を補正することや、変更することについての記載はない。 甲4発明は、パンチプレス制御装置についての発明であり、あらかじめ基本パンチプログラムすなわちワークの板厚及び材質に影響を受けないデータが入力されたディジタルサーボコントローラと、入力手段により入力されたワークの板厚及び材質のデータを記憶するワークデータ記憶部、ワークデータ記憶部に記憶された板厚及び材質の値から所定項目のデータを演算する演算手段を有する数値制御装置とを備え、数値制御装置の演算手段により演算された前記所定項目のデータをディジタルサーボコントローラに転送し、駆動指令を生成するパンチプレス制御装置である。アクチュエータのラムにより、タレットのパンチ工具がパンチ駆動されるものであって(段落【0010】参照)、パンチ速度やストローク途中におけるパンチ速度変化位置の座標を、板厚及び材質に応じた適正な値として加工(段落【0025】参照)するものであるが、ダイの成形位置を補正することや、変更することについての記載はない。 周知技術文献としての特開平1-150499号公報はパンチプレス機、特開昭58-205700号公報はプレス機械の駆動装置に関するものであるところ、いずれも、パンチの位置補正についての記載はあるが、ダイの成形位置を補正することや、変更することについての記載は見当たらない。 以上のとおり、甲2ないし甲4発明並びに周知技術文献である特開平1-150499号公報、特開昭58-205700号公報のいずれにも、パンチのみの成形位置を変更、補正するものが開示され、ダイの成形位置を変更、補正することの記載はない。 そもそも、甲1発明は穴明機の制御装置に係る発明であり、「穴明機」の制御装置である甲1発明に、上記甲2ないし甲4発明、及び他の周知技術を適用したとしても、その結果が相違点2に係る本件発明の構成になるものではなく、甲1発明から本件発明を想到することは容易とはいえない。 しかも、甲1発明は、ドリルを用いて上下に移動して被加工物に穴を明けるといった、単純な加工を行う穴明機の制御装置であるのに対し、本件発明においては、異なる成形金型を使用することを前提にして、種々の加工ができる、パンチプレス機の制御装置である。そして、広義の工作機械の中でも、穴明機は除去加工用機械に属するもので、パンチプレス機は塑性加工用工作機械に属するものである。甲1発明に係る穴明機は、ドリルという一つの工具の上下移動のみを制御するものであり、穴明機の加工条件は、例えば工具回転数や穴明速度等のデータである。他方、本件発明においては、パンチとダイといった成形金型をともに制御することをその本質としており、成形金型が2つあることによる制御パラメータの増大に加え、パンチ、ダイのそれぞれについて、他方との相対的な制御タイミングを制御パラメータとして規定する必要がある。 そうすると、制御の対象がドリルのみである甲1発明に基づいて、パンチとダイといった成形金型を制御の対象とし、パンチのみならずダイの成形位置を変更、補正し、パンチとダイとの相対的な制御タイミングを制御パラメータとして規定する本件発明の構成に、容易に想到することはできないものといわざるを得ない。 イ.<第1相違点>について 甲1発明は穴明機の制御装置に係る発明であり、甲2ないし甲4発明並びに上記ア.で指摘した周知技術のいずれにも、本件発明に開示された、被加工物の材質及び板厚に応じてダイの成形位置を変更、補正するパンチプレス機の制御装置に関連する周知技術が開示されていないことは、前記ア.のとおりであるから、穴明機の制御装置に係る甲1発明に、上記周知技術等を適用しても、パンチとダイという複数の成形金型を制御の対象とし、パンチのみならずダイの成形位置を変更、補正し、パンチとダイとの相対的な制御タイミングを制御パラメータとして規定する本件発明に想到することは容易とはいえない。しかも、当業者が、ドリルしかなく制御パラメータが極めて少ない甲1発明の穴明機を出発点として、わざわざ、パンチとダイという複数の成形金型を制御の対象とし、パンチのみならずダイの成形位置を変更、補正し、パンチとダイとの相対的な制御タイミングを制御パラメータとして規定するパンチプレス機における成形金型に置き換える動機付けはないから、甲1発明をパンチプレス機に適用することが困難でないとはいえない。 なお、「打抜加工も可能なパンチプレス機」の制御装置と、「穴明機」の制御装置は、工作機械の数値制御装置である点で共通し、同じような制御方法であれば相互に適用可能であることは、例えば、特開平1-115508号公報、特開昭58-186805号公報に記載されているように技術常識であったとしても、上記両文献のいずれにも、被加工物の材質及び板厚に応じてダイの成形位置を変更、補正することは記載されていないし、穴明機から出発して、パンチプレス機の制御装置に想到することには、阻害要因があるといわざるを得ない。 ウ.作用ないし効果について 本件発明は、特許請求の範囲に記載された構成をとることにより、(ア)加工対象としての被加工物の材質や板厚に変更が生じても、金型の調整や交換等の段取り作業を不要にし、1つの金型で所望の成形加工を行うことが可能となり、こうして、被加工物の材質・板厚が変わる生産であっても、金型の調整と試打ち確認が不要になり、生産性を向上させることができること、(イ)材料供給装置等を連動させた自動運転・連続運転で材質・板厚の変更が生じた場合でも、オペレータによる手動のプレスモーション変更作業が不要になるので無人化・省人化運転が可能となり、生産性の向上を図ることができること、(ウ)従来のような同一の成形加工を行う金型を各々の材質・板厚毎に調整しておき、パンチプレス機に装着して運転する方法と異なり、金型をパンチプレス機に実装するタレットステーションが1ステーションになり、余ったステーションに他の金型が実装できるので、段取り回数の削減につながり、より生産性の向上が期待できること、(エ)同一の成形加工を行う金型の保有個数を減らせるのでランニングコストの低減が期待できること、以上の本件特許明細書記載の作用効果を奏する(段落【0008】参照)。 本件発明に係るパンチ及びダイを備えたパンチプレス機の成形金型の制御装置は、成形金型の金型番号に対応してプレス動作を示すプレスモーション番号を設定・記憶し、そのプレスモーション番号ごとに設定された詳細設定データを生成するものであるから、複数の成形金型を使用する際に、共通のプレスモーションがあれば、そのプレスモーション分、詳細設定データを減らすことができ、またその分データの修正の作業量も少なくなる。そして、新たな成形金型を追加する場合でも、既に利用できるプレスモーションがある場合には、そのデータ入力作業が不要になるのであって、成形金型が2つあることによる制御パラメータの増大に加え、パンチとダイのそれぞれについて、他方との相対的な制御タイミングを制御パラメータとして規定する必要があるパンチプレス機において、データ入力作業が不要になることは、格別の作用効果と評価すべきである。 また、従来技術において、複数個の金型を準備しておく必要があってコスト高になるほか、収納部分が必要以上に多くなって生産量に限界があったことが本件発明の課題の1つであったのであり(段落【0003】参照)、本件発明の特許請求の範囲に記載された構成をとることにより、被加工物の多種多様な成形加工や打抜加工のために予め準備すべき成形金型の数が少なくてすむことになり、金型の調整や試打ち確認の作業も少なくできる効果を奏するものであり、同一の成形加工を行う金型の保有個数を減らせることによりランニングコストの低減が期待できることも、複雑なパンチプレス機にあっては、格別の作用効果ということができる。 そもそも、甲1発明に係る穴明機にあっては、ドリルという一つの工具の上下移動のみを制御するものであり、パンチ及びダイといった複数の成形金型を同期制御することを本質とし、制御パラメータが極めて多いパンチプレス機と異なり、制御すべきパラメータが極めて少ないのであるから、パンチプレス機に係る本件発明において、上記のような効果を奏することは、予測し得る作用効果とはいえない。 エ.まとめ したがって、本件発明は、甲1発明に、甲2ないし甲4発明、及び従来周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 第7 むすび 以上のとおり、本件発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2ないし甲第4号証に記載された発明、及び従来周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件特許は、特許法第29条第2項に違反してなされたものとすることはできない。 したがって、本件発明は、請求人の主張する無効理由によって、無効とすることはできない。 審判費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-06-27 |
結審通知日 | 2012-07-02 |
審決日 | 2012-07-19 |
出願番号 | 特願平9-209778 |
審決分類 |
P
1
113・
121-
Y
(B21D)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 高山 芳之 |
特許庁審判長 |
野村 亨 |
特許庁審判官 |
刈間 宏信 豊原 邦雄 菅澤 洋二 千葉 成就 |
登録日 | 2005-10-07 |
登録番号 | 特許第3727445号(P3727445) |
発明の名称 | パンチプレス機における成形金型の制御装置 |
代理人 | 黒川 恵 |
代理人 | 木下 實三 |
代理人 | 黒川 恵 |
代理人 | 津田 幸宏 |
代理人 | 中山 寛二 |
代理人 | 末吉 ▲わたる▼ |
代理人 | 木下 実三 |
代理人 | 櫻井 義宏 |
代理人 | 田中 昌利 |
代理人 | 三好 秀和 |
代理人 | 豊岡 静男 |
代理人 | 中山 寛二 |
代理人 | 高橋 元弘 |
代理人 | 津田 幸宏 |
代理人 | 石崎 剛 |
代理人 | 石崎 剛 |
代理人 | 田中 昌利 |