ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q |
---|---|
管理番号 | 1262583 |
審判番号 | 不服2011-17640 |
総通号数 | 154 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-10-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-08-15 |
確定日 | 2012-09-03 |
事件の表示 | 特願2006- 34561「人事データベースを利用した定期情報表示システム」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 8月23日出願公開、特開2007-213452〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成18年2月10日の出願であって、平成23年2月15日付けで拒絶理由通知がなされ、同年4月18日に意見書が提出されたが、同年5月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年8月15日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされ、当審において、平成24年1月26日付けで審尋がなされ、同年3月27日に回答書が提出されたものである。 第2 平成23年8月15日の手続補正の補正却下の決定について [補正却下の決定の結論] 平成23年8月15日の手続補正を却下する。 [理由] 1.手続補正の内容 平成23年8月15日の手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲は次のとおりに補正された(なお、下線は、当該手続補正において審判請求人が付与したものである)。 <本件補正後の特許請求の範囲> 「【請求項1】 出退社情報入力部と、 配信された情報を表示する表示部と、を有する社員毎に割り当てられる端末装置と、 前記端末装置に入力された出退社情報を取得する第一出退社情報取得部と、 社員情報を管理する社員情報管理部と、からなる社員情報サーバ装置と、 を有する既存の人事管理システムに付加して利用することが可能なコンテンツ情報配信サーバ装置であって、 社員情報サーバ装置から社員情報の全部又は一部を取得する社員情報取得部と、 コンテンツ情報を保持するコンテンツ情報保持部と、 取得した社員情報に基づいてコンテンツ情報保持部からコンテンツ情報を取得してその社員の端末装置に配信する配信部と、 を有するコンテンツ情報配信サーバ装置。 【請求項2】 社員情報サーバ装置から出退社情報を取得する第二出退社情報取得部を有し、 配信部は、第二出退社情報取得部が出退社情報を取得するタイミングに合わせて表示部にて表示されるように前記配信をする請求項1に記載のコンテンツ情報配信サーバ装置。」 そして、本件補正前の特許請求の範囲の請求項7及び請求項8は、次のとおりである。 <本件補正前の特許請求の範囲の請求項7及び請求項8> 「【請求項7】 出退社情報入力部と、 配信された情報を表示する表示部と、を有する社員毎に割り当てられる端末装置と、 前記端末装置に入力された出退社情報を取得する第一出退社情報取得部と、 社員情報を管理する社員情報管理部と、からなる社員情報サーバ装置と、 を有する人事管理システムとともに利用可能なコンテンツ情報配信サーバ装置であって、 社員情報サーバ装置から社員情報の全部又は一部を取得する社員情報取得部と、 コンテンツ情報を保持するコンテンツ情報保持部と、 取得した社員情報に基づいてコンテンツ情報保持部からコンテンツ情報を取得してその社員の端末装置に配信する配信部と、 を有するコンテンツ情報配信サーバ装置。 【請求項8】 社員情報サーバ装置から出退社情報を取得する第二出退社情報取得部を有し、 配信部は、第二出退社情報取得部が出退社情報を取得するタイミングに合わせて表示部にて表示されるように前記配信をする請求項7に記載のコンテンツ情報配信サーバ装置。」 2.本件補正の目的 本件補正は、本件補正前の請求項1?6、請求項9を削除し、本件補正前の請求項7及び8を請求項1及び2にすると共に、本件補正前の請求項7における「人事管理システムとともに利用可能なコンテンツ情報配信サーバ装置」を、「既存の人事管理システムに付加して利用することが可能なコンテンツ情報配信サーバ装置」に限定するものである。 したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号に規定される請求項の削除、及び、第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が、特許出願の際に独立して特許を受けることができるか、すなわち、本件補正が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定を満たすか否かについて、次に検討する。 3.引用文献 原査定の拒絶の理由において引用された特開2005-251226号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。(下線は、当審において付与した。) ア.「【0001】 この発明は、通信ネットワークを介して各従業者の出退時刻の管理を集中的に一括して行なうネットワークタイムレコーダの機能を用い、各従業者に効率良く告知情報を配信するようにした情報配信方法とそのシステム、装置、並びにプログラムに関する。」 イ.「【0008】 本発明は、基本的にネットワークタイムレコーダのシステムで管理する各従業者の属性情報に基づいて情報の配信先を選択決定しようとするものであるが、単に属性情報に基づいて情報を配信しようとするものではなく、通信ネットワークを介して各従業者の出退時刻の管理を集中的に一括して行なうネットワークタイムレコーダの機能を用いることで情報を受け取る側の情報配信時の状況を把握し、これに基づいて都合の良い時間を選択して情報を効率良く配信するようにしたものである。」 ウ.「【0054】 図1に示すように、本実施の形態で用いる告知情報配信システム1は、出退確認行為を行なうクライアント端末2と、通信ネットワークとしてインターネット10を介してクライアント端末2に接続されたサーバ3とから構成されている。ここで、出退確認行為とは、従業者の出勤時刻、退出時刻を従業者の識別コード(ID)に関連付けて入力(打刻)することを言う。そして、本実施の形態では、クライアント端末2は、店舗や事務所等の事業所に設置された第一のクライアント端末2aと、従業者が携帯する移動可能な第二のクライアント端末2bとからなり、第一のクライアント端末2aは、従業者の出退確認行為を行なうとともに、配信された告知情報を閲覧することに用いられ、第二のクライアント端末2bは、配信された告知情報を閲覧することだけに用いられる。」 エ.「【0055】 また、図2に示すように、第一のクライアント端末2aには、従業者の出退確認行為を行なう出退情報入力部4と、配信された告知情報を出力する告知情報出力部5とが具備されている。告知情報出力部5としては、本実施の形態の場合、情報を画像で表示するブラウザ機能付のディスプレイとしたが、これに限らず、情報を音声で確認するレシーバやスピーカ等と言ったものであっても良い。一方、サーバ3には、予め各従業者の属性を記録するとともに各従業者の出退確認行為に基づいて出退時刻の管理を行なう出退管理装置6と、出退管理装置6に記録された内容をテーブル形式のデータとして管理を行なうデータ管理装置7と、従業者の出退時刻に基づいて告知情報を配信する告知情報管理装置8とが具備されている。」 オ.「【0060】 一方、図3に示すように、出退管理装置(Webサーバ)6は、各従業者の属性や勤務予定を予め記録したり、出退確認行為によって特定された出退時刻を記録したりするための勤務先マスタ11や、スタッフマスタ12、賃金管理マスタ13とともに、時刻を特定する時計14を有する。また、出退管理装置(Webサーバ)6には、ウェッブ(WWW)に接続するためのアプリケーションソフトウェアや、ネットワークを介して接続された第一のクライアント端末2aから従業者の出退情報を受け取り、出退時刻の特定と勤務実績を記録するためのアプリケーションソフトウェア、出退管理装置7に有するテーブルから必要なデータを呼び出すアプリケーションソフトウェアが組み込まれている。」 カ.「【0061】 また、データ管理装置(DBサーバ)7は、出退管理装置6に記録された内容をコピーして読み出し易く管理するテーブル形式のマスタデータ21や勤務予定データ22、勤務実績データ23、及びこれらテーブルを検索可能とするための検索エンジン25を有する。さらに、データ管理装置(DBサーバ)7には、配信した告知情報を受け取った従業者に対して発行されたポイントを管理するポイント管理データ24が設けられている。」 キ.「【0062】 また、告知情報管理装置(APサーバ)8は、配信を希望する告知情報を受け付ける告知情報受付部31と、受け付けた告知情報を記録する告知情報記録部32と、告知情報の配信先条件を受け付ける情報配信受付部33と、情報配信受付部33で受け付けた配信条件に該当する配信先を選択する配信先絞込部34と、選択された配信先を記録する配信先記録部35と、出退管理装置6から従業者の出退時刻の連絡を受けて配信先記録部35に記録された配信先へ告知情報を配信する情報配信部38と、出退管理装置6から従業者の出退時刻の連絡を受けて告知情報の配信可否と配信する告知情報の数を決定する情報配信判定部36と、出退管理装置6から従業者の出退時刻の連絡を受けて告知情報の配信先端末を決定する配信端末決定部37とを有する。」 ク.「【0070】 一方、告知情報を配信する場合は、サーバ3側で予め配信する告知情報の登録と配信条件の設定がなされる。図7は、サーバ側で告知情報の配信を受け付ける流れを示すフローチャート図である。 ・・・(中略)・・・ 【0074】 次に進むボタン110が選択されると、次に、図9に示すような第一の広告情報作成の画面が告知情報配信依頼者の端末に表示される。ここではSTEP2として、告知情報を配信する対象者の性別や年齢、表示開始日、表示終了日といった表示条件の設定が求められる。性別は、性別選択ボックス121に設けられた男性、女性、不問といった項目より選択し、年齢は、年齢選択ボックス122に設けられた18歳?、19歳?22歳・・・50歳?といった所定の項目より選択する。また、表示開始日と表示終了日は、それぞれ表示開始日指定ボックス123と表示終了日指定ボックス124に設けられた西暦年、月、日毎のプルダウンメニューより選択する。なお、特記事項があれば、備考入力ボックス125に入力する。そして、性別や年齢、表示開始日、表示終了日といった表示条件の設定が完了したら、「次に進む」ボタン120を選択する。 【0075】 次に進むボタン120が選択されると、図10に示すような第二の広告情報作成の画面が告知情報配信依頼者の端末に表示される。ここではSTEP3として、引き続き雇用条件や勤務先業態、配信エリアといった表示条件の設定が求められる。雇用条件は、雇用条件選択ボックス131に設けられた管理部門や製造部門といった所定の項目より、適応する番号、例えば管理部門であれば1を、製造部門であれば4を、それぞれ選択する。また、勤務先業態は、勤務先業態選択ボックス132に設けられた飲食料品小売業や不動産サービス業、繊維製品卸業といった所定の項目より、適応する番号、例えば飲食料品小売業であれば2を、不動産サービス業であれば9を、繊維製品卸業であれば25をそれぞれ選択する。」 前記ア.?ク.によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 <引用発明> 「従業者の出勤時刻、退出時刻を従業者の識別コードに関連付けて入力する出退確認行為を行なう出退情報入力部4と、配信された告知情報を表示するディスプレイである告知情報出力部5と、を有する第一のクライアント端末2aと、 ネットワークを介して接続された第一のクライアント端末2aから従業者の出退情報を受け取り、出退時刻の特定と勤務実績を記録するためのアプリケーションソフトウェアが組み込まれ、各従業者の属性や勤務予定を予め記録したり、出退確認行為によって特定された出退時刻を記録したりするための勤務先マスタ11を有する出退管理装置(Webサーバ)6と、 出退管理装置6に記録された内容をコピーして読み出し易く管理するテーブル形式のマスタデータ21と、勤務予定データ22と、勤務実績データ23と、これらのデータを検索可能とする検索エンジン25とを有するデータ管理装置(DBサーバ)7と、 告知情報管理装置(APサーバ)8と、 を備えた告知情報配信システム1における、前記告知情報管理装置(APサーバ)8であって、 配信を希望する告知情報を受け付ける告知情報受付部31と、受け付けた告知情報を記録する告知情報記録部32と、告知情報の配信先条件を受け付ける情報配信受付部33と、情報配信受付部33で受け付けた配信先条件に該当する配信先を選択する配信先絞込部34と、選択された配信先を記録する配信先記録部35と、出退管理装置6から従業者の出退時刻の連絡を受けて配信先記録部35に記録された配信先へ告知情報を配信する情報配信部38と、出退管理装置6から従業者の出退時刻の連絡を受けて告知情報の配信可否と配信する告知情報の数を決定する情報配信判定部36と、出退管理装置6から従業者の出退時刻の連絡を受けて告知情報の配信先端末を決定する配信端末決定部37とを有し、 配信先条件は、告知情報を配信する対象者の性別、年齢、雇用条件、勤務先業態の条件を含む、告知情報管理装置(APサーバ)8」 4.対比 次に、本件補正発明と引用発明とを対比する。 A.本件の明細書には、「社員」について次の記載がある。 「【0028】 なお、本発明で「社員」とは、使用者、法人、国又は地方公共団体(以下、「会社等」とする。)の下で自己の業務に従事する従業者、法人の役員、国家公務員又は地方公務員を意味する。」 上記記載によれば、「社員」は、「会社」の従業者に限定されておらず、使用者、法人、国又は地方公共団体の下で自己の業務に従事する従業者のことである。 したがって、引用発明の「従業者」は、本件補正発明の「社員」に相当する。 B.引用発明の「従業者の出勤時刻、退出時刻を従業者の識別コードに関連付けて入力する出退確認行為を行なう出退情報入力部4」は、本件補正発明の「出退社情報入力部」に相当する。 C.引用発明の「配信された告知情報を表示するディスプレイである告知情報出力部5」は、本件補正発明の「配信された情報を表示する表示部」に相当する。 D.前記A.?C.によれば、引用発明の「従業者の出勤時刻、退出時刻を従業者の識別コードに関連付けて入力する出退確認行為を行なう出退情報入力部4と、配信された告知情報を表示するディスプレイである告知情報出力部5と、を有する第一のクライアント端末2a」と、本件補正発明の「出退社情報入力部と、配信された情報を表示する表示部と、を有する社員毎に割り当てられる端末装置」は、 「出退社情報入力部と、配信された情報を表示する表示部と、を有する端末装置」の点で共通する。 E.引用発明の「ネットワークを介して接続された第一のクライアント端末2aから従業者の出退情報を受け取り、出退時刻の特定と勤務実績を記録するためのアプリケーションソフトウェア」を出退管理装置(Webサーバ)6において実行することによって実現される手段は、本件補正発明の「前記端末装置に入力された出退社情報を取得する第一出退社情報取得部」に相当する。 F.引用発明の「各従業者の属性や勤務予定を予め記録したり、出退確認行為によって特定された出退時刻を記録したりするための勤務先マスタ11」は、本件補正発明の「社員情報を管理する社員情報管理部」に相当する。 G.前記E.F.によれば、引用発明の「ネットワークを介して接続された第一のクライアント端末2aから従業者の出退情報を受け取り、出退時刻の特定と勤務実績を記録するためのアプリケーションソフトウェアが組み込まれ、各従業者の属性や勤務予定を予め記録したり、出退確認行為によって特定された出退時刻を記録したりするための勤務先マスタ11を有する出退管理装置(Webサーバ)6」は、本件補正発明の「前記端末装置に入力された出退社情報を取得する第一出退社情報取得部と、社員情報を管理する社員情報管理部と、からなる社員情報サーバ装置」に相当する。 H.引用発明の「受け付けた告知情報を記録する告知情報記録部32」は、本件補正発明の「コンテンツ情報を保持するコンテンツ情報保持部」に相当する。 I.引用発明の「情報配信受付部33で受け付けた配信先条件に該当する配信先を選択する配信先絞込部34と、選択された配信先を記録する配信先記録部35と、出退管理装置6から従業者の出退時刻の連絡を受けて配信先記録部35に記録された配信先へ告知情報を配信する情報配信部38と、出退管理装置6から従業者の出退時刻の連絡を受けて告知情報の配信可否と配信する告知情報の数を決定する情報配信判定部36と、出退管理装置6から従業者の出退時刻の連絡を受けて告知情報の配信先端末を決定する配信端末決定部37」は、全体として告知情報の配信に係る部分といえる。 また、配信される告知情報が、その告知情報を記録している告知情報記録部32から取得されることは明らかである。 したがって、引用発明の上記部分と、本件補正発明の「取得した社員情報に基づいてコンテンツ情報保持部からコンテンツ情報を取得してその社員の端末装置に配信する配信部」は、 「コンテンツ情報保持部からコンテンツ情報を取得して端末装置に配信する配信部」の点で共通する。 J.前記H.I.によれば、引用発明の「配信を希望する告知情報を受け付ける告知情報受付部31と、受け付けた告知情報を記録する告知情報記録部32と、告知情報の配信先条件を受け付ける情報配信受付部33と、情報配信受付部33で受け付けた配信先条件に該当する配信先を選択する配信先絞込部34と、選択された配信先を記録する配信先記録部35と、出退管理装置6から従業者の出退時刻の連絡を受けて配信先記録部35に記録された配信先へ告知情報を配信する情報配信部38と、出退管理装置6から従業者の出退時刻の連絡を受けて告知情報の配信可否と配信する告知情報の数を決定する情報配信判定部36と、出退管理装置6から従業者の出退時刻の連絡を受けて告知情報の配信先端末を決定する配信端末決定部37とを有し、 配信先条件は、告知情報を配信する対象者の性別、年齢、雇用条件、勤務先業態の条件を含む、告知情報管理装置(APサーバ)8」と、 本件補正発明の「社員情報サーバ装置から社員情報の全部又は一部を取得する社員情報取得部と、コンテンツ情報を保持するコンテンツ情報保持部と、取得した社員情報に基づいてコンテンツ情報保持部からコンテンツ情報を取得してその社員の端末装置に配信する配信部と、を有するコンテンツ情報配信サーバ装置」は、 「コンテンツ情報を保持するコンテンツ情報保持部と、コンテンツ情報保持部からコンテンツ情報を取得して端末装置に配信する配信部と、を有するコンテンツ情報配信サーバ装置」の点で共通する。 前記A.?J.によれば、本件補正発明と引用発明は、次の点で一致する。 <一致点> 「出退社情報入力部と、 配信された情報を表示する表示部と、を有する端末装置と、 前記端末装置に入力された出退社情報を取得する第一出退社情報取得部と、 社員情報を管理する社員情報管理部と、からなる社員情報サーバ装置と、 とともに利用することが可能なコンテンツ情報配信サーバ装置であって、 コンテンツ情報を保持するコンテンツ情報保持部と、 コンテンツ情報保持部からコンテンツ情報を取得して端末装置に配信する配信部と、 を有するコンテンツ情報配信サーバ装置。」 そして、本件補正発明と引用発明は、以下の点で相違する。 <相違点1> 端末装置が、本件補正発明では「社員毎に割り当てられる」ものであるのに対し、引用発明では「社員毎に割り当てられる」ものではない点。 <相違点2> 本件補正発明のコンテンツ情報配信サーバ装置は、「社員情報サーバ装置から社員情報の全部又は一部を取得する社員情報取得部」を有するのに対し、引用発明の告知情報管理装置(APサーバ)8は、出退管理装置(Webサーバ)6から従業者の属性情報を取得する取得部を有するのか否か不明である点。 また、本件補正発明の配信部は、コンテンツ情報保持部からのコンテンツ情報の取得が「取得した社員情報に基づいて」おり、配信先の端末装置が「その社員」の端末装置、すなわち、取得した社員情報の社員に割り当てられた端末装置であるのに対し、引用発明の情報配信部38は、告知情報記録部32からの告知情報の取得が、出退管理装置(Webサーバ)6から取得した従業者の属性情報に基づくのか否か不明であり、配信先の第一のクライアント端末が、その従業者のクライアント端末ではない点。 <相違点3> 本件補正発明の端末装置と社員情報サーバ装置は、「既存の人事管理システム」であると特定しているのに対し、引用発明の第一のクライアント端末2aと出退管理装置(Webサーバ)6は、「既存の人事管理システム」であるとの特定がない点。 本件補正発明のコンテンツ情報配信サーバ装置は、「既存の人事管理システムに付加して利用することが可能な」ものであると特定しているのに対し、引用発明の告知情報管理装置(APサーバ)8は、「既存の人事管理システムに付加して利用することが可能な」ものであるとの特定がない点。 5.判断 <相違点1>について 従業者が業務に用いるクライアント端末を、従業者毎に割り当てることは周知である。 してみると、引用発明において、第一のクライアント端末を従業者毎に割り当て、上記相違点1に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは容易に想到し得ることである。 <相違点2>について 引用文献1には、告知情報の配信について次の記載がある。 「【0019】 また、本発明の第四の情報配信方法は、上述の各発明の情報配信方法に加え、告知情報は、情報配信依頼者の配信要求に適合するよう予め出退管理装置に記録された各従業者の属性(例えば、性別、年齢、住所、趣味、勤務地、職業、職種、勤務形態など)に基づいて選択され、情報配信日に出退確認行為を行なった従業者にだけ配信するようにしたものでもある。」 上記のような配信を行うためには、告知情報管理装置(APサーバ)8が、出退管理装置に記録された従業者の属性情報を取得し、その属性情報に基づいて各従業者に配信する告知情報を選択しなければならない。したがって、告知情報管理装置(APサーバ)8に、出退管理装置から従業者の属性情報の全部又は一部を取得する取得部を設けることは格別困難ではない。 その場合、告知情報管理装置(APサーバ)8の情報配信部38は、取得された従業者の属性情報に基づいて選択された告知情報を告知情報記録部32から取得して、その従業者に配信するといえる。 また、前記のとおり、第一のクライアント端末を従業者毎に割り当てた場合、取得した従業者の属性情報に基づいて選択された告知情報は、その従業者に割り当てられた第一のクライアント端末に配信されることになる。 してみると、引用発明において、 従業者に配信する告知情報を、情報配信依頼者の配信要求に適合するよう予め出退管理装置に記録された各従業者の属性情報に基づいて選択し、 そのために、告知情報管理装置(APサーバ)8に、出退管理装置から従業者の属性情報の全部又は一部を取得する取得部を設け、 情報配信部38が、取得された従業者の属性情報に基づいて選択された告知情報を告知情報記録部32から取得して、その従業者に割り当てられた第一のクライアント端末に配信することにより、 引用発明が、上記相違点2に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは容易に想到し得ることである。 <相違点3>について 人事管理の技術分野において、従業者により入力された出退情報を管理装置に送信するとともに配信情報を表示するクライアント端末と、従業者の出退情報や勤務情報、従業者の性別、年齢などの属性情報等を管理する管理装置とを有した人事管理システムは周知である。 また、各種勤務情報を管理するデータ管理装置やデータベースを備えた人事管理システムも周知である。 そして、引用発明において、第一のクライアント端末2aと、出退管理装置(Webサーバ)6と、データ管理装置(DBサーバ)7とが、既存の人事管理システムと共通する構成を有している点、及び、本件補正発明のコンテンツ情報配信サーバ装置は、既存の人事管理システムに付加して利用することを可能にするための、特別な構成や機能を有するものでもない点を、総合的に判断すると、 引用発明において、上記周知技術に基づいて、第一のクライアント端末2aと、出退管理装置(Webサーバ)6と、データ管理装置(DBサーバ)7とを、既存の人事管理システムとし、 告知情報管理装置(APサーバ)8を、既存の人事管理システムに付加して利用することが可能なものとして、上記相違点3に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。 そして、本件補正発明の作用効果も、引用発明、引用文献1の記載事項、及び、周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献1の記載事項、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができない。 よって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反する。 6. 補正却下の決定のむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するから、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 第3 本願発明について 平成23年8月15日の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項7に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、本件補正前(出願当初)の特許請求の範囲の請求項7に記載された事項により特定されるものである。 第4 引用文献 引用文献1の記載事項は、前記第2 3.に記載したとおりである。 第5 対比及び判断 本願発明は、本件補正発明から前記第2 2.に示した限定事項を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の限定を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2 4.?第2 5.に記載したとおり、引用発明、引用文献1の記載事項、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献1の記載事項、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は他の請求項について検討するまでもなく拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-07-03 |
結審通知日 | 2012-07-04 |
審決日 | 2012-07-23 |
出願番号 | 特願2006-34561(P2006-34561) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06Q)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 中内 大介 |
特許庁審判長 |
手島 聖治 |
特許庁審判官 |
松尾 俊介 井上 信一 |
発明の名称 | 人事データベースを利用した定期情報表示システム |
代理人 | 工藤 一郎 |