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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1262655 |
審判番号 | 不服2010-25200 |
総通号数 | 154 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-10-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-11-09 |
確定日 | 2012-09-06 |
事件の表示 | 特願2001- 92345「書類処理方法、書類処理プログラム及び書類処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年10月 4日出願公開、特開2002-288160〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成13年3月28日の出願であって、平成20年3月26日付けで審査請求がなされ、平成22年5月12日付けで拒絶理由通知(同年5月18日発送)がなされ、同年7月15日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、同年8月3日付けで拒絶査定(同年8月10日謄本送達)がなされ、これに対して、同年11月9日付けで審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 そして、平成22年12月1日付けで審査官により特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされ、平成24年4月6日付けで当審により特許法第134条第4項の規定に基づく審尋(同年4月10日発送)がなされたが、出願人からの応答がなかったものである。 第2 平成22年11月9日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成22年11月9日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 平成22年11月9日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の内容は、平成22年7月15日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項3の記載 「【請求項1】 コンピュータの処理手段が、印刷対象書類の印刷プレビューイメージを印刷プレビュー画面に表示させるステップと; 前記コンピュータの処理手段が、前記印刷プレビュー画面への前記印刷プレビューイメージの表示状態において利用者による編集指定を検出するステップと; 前記コンピュータの処理手段が、前記編集指定を検出したとき、前記印刷プレビューイメージ表示状態の印刷対象書類への編集対象箇所指定を検出して直接編集可能状態にするステップと; 前記コンピュータの処理手段が、前記直接編集可能状態において利用者により入力された変更内容を実ファイルに直接反映するステップと; を備える書類処理方法。 【請求項2】 印刷対象書類の印刷プレビューイメージを印刷プレビュー画面に表示させる手段と; 前記印刷プレビュー画面への前記印刷プレビューイメージの表示状態において利用者による編集指定を検出する手段と; 前記編集指定を検出したとき、前記印刷プレビューイメージ表示状態の印刷対象書類への編集対象箇所指定を検出して直接編集可能状態にする手段と; 前記直接編集可能状態において利用者により入力された変更内容を実ファイルに直接反映する手段としてコンピュータを機能させる 書類処理プログラム。 【請求項3】 印刷対象書類の印刷プレビューイメージを印刷プレビュー画面に表示させる手段と; 前記印刷プレビュー画面への前記印刷プレビューイメージの表示状態において利用者による編集指定を検出する手段と; 前記編集指定を検出したとき、前記印刷プレビューイメージ表示状態の印刷対象書類への編集対象箇所指定を検出して直接編集可能状態にする手段と; 前記直接編集可能状態において利用者により入力された変更内容を実ファイルに直接反映する手段と; を備える書類処理装置。」(以下、この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正前の請求項」という。) を、 「【請求項1】 コンピュータの処理手段が、印刷対象書類の印刷プレビューイメージを印刷プレビュー画面に表示させるステップと; 前記コンピュータの処理手段が、前記印刷プレビュー画面への前記印刷プレビューイメージの表示状態において利用者による編集指定を検出するステップと; 前記コンピュータの処理手段が、前記編集指定を検出したとき、前記印刷プレビューイメージ表示状態の印刷対象書類への編集対象箇所指定を検出して直接編集可能状態にするステップと; 前記コンピュータの処理手段が、前記直接編集可能状態において利用者により入力された変更内容を確定ボタン指定に応じて実ファイルに直接反映するステップと; を備える書類処理方法。 【請求項2】 印刷対象書類の印刷プレビューイメージを印刷プレビュー画面に表示させる手段と; 前記印刷プレビュー画面への前記印刷プレビューイメージの表示状態において利用者による編集指定を検出する手段と; 前記編集指定を検出したとき、前記印刷プレビューイメージ表示状態の印刷対象書類への編集対象箇所指定を検出して直接編集可能状態にする手段と; 前記直接編集可能状態において利用者により入力された変更内容を確定ボタン指定に応じて実ファイルに直接反映する手段としてコンピュータを機能させる 書類処理プログラム。 【請求項3】 印刷対象書類の印刷プレビューイメージを印刷プレビュー画面に表示させる手段と; 前記印刷プレビュー画面への前記印刷プレビューイメージの表示状態において利用者による編集指定を検出する手段と; 前記編集指定を検出したとき、前記印刷プレビューイメージ表示状態の印刷対象書類への編集対象箇所指定を検出して直接編集可能状態にする手段と; 前記直接編集可能状態において利用者により入力された変更内容を確定ボタン指定に応じて実ファイルに直接反映する手段と; を備える書類処理装置。」(以下、この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正後の請求項」という。) に補正するものである。 そして、補正前の請求項1ないし3に記載の発明特定事項 「前記直接編集可能状態において利用者により入力された変更内容を実ファイルに直接反映する手段」 を、 「前記直接編集可能状態において利用者により入力された変更内容を確定ボタン指定に応じて実ファイルに直接反映する手段」 とする補正は、 「実ファイルに直接反映する手段」を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるもの(以下、単に「限定的減縮」という。)に該当する。 2.独立特許要件 以上のように、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)は、補正前の請求項1に対して、限定的減縮を行ったものと認められる。そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)以下に検討する。 (1)本願補正発明 本願補正発明は、前記「1.補正の内容」の補正後の請求項1に記載されたとおりのものである。 (2)引用文献に記載されている技術的事項及び引用発明の認定 本願の出願前に頒布され、原審の拒絶の査定の理由である上記平成22年5月12日付けの拒絶理由通知において引用された、「広畑育生,アプリの奥義 Word Excel インターネット,I/O,日本,株式会社工学社,1999年11月1日,第24巻,p.86-p.91」(以下、「引用文献」という。)には、図面とともに、下記技術的事項が記載されている。 A 「文書を印刷する場合は,直前に印刷プレビューで文書全体のレイアウトを確認してから印刷を行います.Wordの印刷プレビュー画面では,レイアウトを確認するだけでなく, 余白やインデントを設定したり,文書を編集したりすることもできます.」(86頁左欄3?9行目) B 「■印刷プレビュー画面で編集する 印刷プレビュー画面では,文書を直接編集することもできます. …(中略)…. [ズーム]ボタンをクリックして押されていない状態に戻すと,マウス・ポインタはI字型に変わり,文書内の位置にカーソルを移動して編集することができます(画面5).」(86頁中欄21行目?右欄10行目) C 画面5に「印刷プレビュー画面で編集」する画面イメージが表示されている。この画面イメージにおいては、「ズームボタンが押されていない状態」の時に、利用者がマウス・ポインタを移動して指定する場所に、「文書中にカーソルが表示され編集可能となる」画面例が表示されているということができる。(87頁画面5) ここで、上記Bの「[ズーム]ボタンをクリックして押されていない状態に戻すと,マウス・ポインタはI字型に変わり,文書内の位置にカーソルを移動して編集することができます(画面5)」との記載において、「[ズーム]ボタンをクリックして押されていない状態に戻す」ということは、利用者によるズームボタンのクリックを検出することで、印刷プレビュー画面における利用者による編集指定を検出することに他ならない。また、「マウス・ポインタはI字型に変わり,文書内の位置にカーソルを移動して編集することができます」ということは、編集指定状態において、I字型のカーソル移動を検出することで、編集対象箇所指定を検出して直接編集することができるようにすることに他ならない。 したがって、上記AないしCの記載を総合すると、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているということができる。 印刷対象文書のレイアウトを印刷プレビュー画面に表示させるステップと; 前記印刷プレビュー画面への前記レイアウトの表示状態において、利用者による編集指定を検出するステップと; 前記編集指定を検出したとき、前記レイアウト表示状態の印刷対象文書への編集対象箇所指定を検出して直接編集可能状態にするステップと; を備える文書処理方法。 (3)本願補正発明と引用発明との対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「印刷対象文書」、「印刷プレビュー」画面に表示される「レイアウト」、及び「文書処理方法」は、それぞれ、本願補正発明の「印刷対象書類」、「印刷プレビューイメージ」、及び「書類処理方法」に相当する。そして、引用発明においても、引用発明に記載されている各ステップをコンピュータの処理手段が実行していることは、当業者にとって、自明の事項である。したがって、引用発明の「印刷対象文書のレイアウトを印刷プレビュー画面に表示させるステップ」は、本願補正発明の「コンピュータの処理手段が、印刷対象書類の印刷プレビューイメージを印刷プレビュー画面に表示させるステップ」に相当する。 引用発明の「前記印刷プレビュー画面への前記レイアウトの表示状態において、利用者による編集指定を検出するステップ」は、本願補正発明の「前記コンピュータの処理手段が、前記印刷プレビュー画面への前記印刷プレビューイメージの表示状態において利用者による編集指定を検出するステップ」に相当する。 そして、引用発明の「前記編集指定を検出したとき、前記レイアウト表示状態の印刷対象文書への編集対象箇所指定を検出して直接編集可能状態にするステップ」は、本願補正発明の「前記コンピュータの処理手段が、前記編集指定を検出したとき、前記印刷プレビューイメージ表示状態の印刷対象書類への編集対象箇所指定を検出して直接編集可能状態にするステップ」に相当する。 以上から、本願補正発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。 (一致点) コンピュータの処理手段が、印刷対象書類の印刷プレビューイメージを印刷プレビュー画面に表示させるステップと; 前記コンピュータの処理手段が、前記印刷プレビュー画面への前記印刷プレビューイメージの表示状態において利用者による編集指定を検出するステップと; 前記コンピュータの処理手段が、前記編集指定を検出したとき、前記印刷プレビューイメージ表示状態の印刷対象書類への編集対象箇所指定を検出して直接編集可能状態にするステップと; を備える書類処理方法。 (相違点) 本願補正発明が、「前記コンピュータの処理手段が、前記直接編集可能状態において利用者により入力された変更内容を確定ボタン指定に応じて実ファイルに直接反映するステップ」を備えるのに対して、引用発明は、編集後のステップについて、特定されていない点。 (4)当審の判断 上記相違点について検討する。 一般に、編集後に変更内容を実ファイルに直接反映させることは、当該技術分野における常とう手段であるから、文書を編集する引用発明においても、編集後の変更内容を実ファイルに保存することに格別の困難性を有さない。そして、保存のために保存ボタン(本願補正発明における「確定ボタン」に相当)を用いることは、周知技術であるから(例えば、「ルービン チャールズ,Microsoft Word 2000 オフィシャルマニュアル,日経BPソフトプレス,1999年8月2日,第1版」(特に、20?22頁等)参照。)、引用発明に当該周知技術を用いて、上記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 よって、相違点は格別なものではない。 そして、本願補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 3.むすび 以上のとおり、補正後の請求項1に記載された発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項の規定により準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1.本願発明の認定 平成22年11月9日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成22年7月15日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「コンピュータの処理手段が、印刷対象書類の印刷プレビューイメージを印刷プレビュー画面に表示させるステップと; 前記コンピュータの処理手段が、前記印刷プレビュー画面への前記印刷プレビューイメージの表示状態において利用者による編集指定を検出するステップと; 前記コンピュータの処理手段が、前記編集指定を検出したとき、前記印刷プレビューイメージ表示状態の印刷対象書類への編集対象箇所指定を検出して直接編集可能状態にするステップと; 前記コンピュータの処理手段が、前記直接編集可能状態において利用者により入力された変更内容を実ファイルに直接反映するステップと; を備える書類処理方法。」 2.引用文献に記載されている技術的事項及び引用発明の認定 原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献およびその記載事項は、前記「第2 平成22年11月9日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2.独立特許要件」の「(2)引用文献に記載されている技術的事項及び引用発明の認定」に記載したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、前記「第2 平成22年11月9日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2.独立特許要件」で検討した本願補正発明の「確定ボタン指定に応じて」を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含む本願補正発明が、上記「第2 平成22年11月9日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2.独立特許要件」の「(2)引用文献に記載されている技術的事項及び引用発明の認定」ないし「(4)当審の判断」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-07-05 |
結審通知日 | 2012-07-10 |
審決日 | 2012-07-24 |
出願番号 | 特願2001-92345(P2001-92345) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 萩島 豪、田川 泰宏 |
特許庁審判長 |
酒井 伸芳 |
特許庁審判官 |
原 秀人 田中 秀人 |
発明の名称 | 書類処理方法、書類処理プログラム及び書類処理装置 |
代理人 | 今堀 克彦 |
代理人 | 川口 嘉之 |
代理人 | 平川 明 |
代理人 | 和久田 純一 |
代理人 | 松倉 秀実 |
代理人 | 高田 大輔 |