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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1262732
審判番号 不服2009-26038  
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-12-28 
確定日 2012-09-05 
事件の表示 特願2004-566948「選抜された粘膜付着性ポリマーを含む、感冒及びインフルエンザ様の症状の予防及び治療のための組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 8月 5日国際公開、WO2004/064867、平成18年 4月27日国内公表、特表2006-514077〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明

本願は、平成15年(2003年)12月23日(パリ条約による優先権主張、2003年(平成15年)1月13日、米国)を国際出願日とする出願であって、拒絶理由に応答して平成21年8月5日付けで手続補正がなされたが、その後、同年8月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月28日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

本願の請求項1に係る発明は、平成21年8月5日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち請求項1に係る発明(以下、本願発明という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
(a)0.001重量%?20重量%の金属イオンを含む金属化合物であって、該金属イオンはマンガン(Mn)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、およびこれらの混合物から成る群から選択される;
(b)0.01重量%?10重量%の有機酸;及び
(c)0.01重量%?30重量%の粘膜付着性ポリマーであって、該粘膜付着性ポリマーは高分子セルロース誘導体類または熱可逆性ポリマー類から選択される;
を含む呼吸器官用組成物であって、;
該組成物は0.001Pa・s(1cps)?2Pa・s(2000cps)の粘度を有し、該粘度は0?5℃の温度で測定され、該組成物のpHは4.5未満であり、該組成物はさらにpH調整剤を含み、かつ
該高分子セルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース類、ヒドロキシプロピルセルロース類、メチルセルロースポリマー類、カルボキシメチルセルロースポリマー類、カルボキシメチルセルロースの塩類、及びこれらの混合物から成る群から選択され;熱可逆性ポリマー類は、ポロキサマー類、エチルヒドロキシエチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択される、呼吸器官用組成物。」


第2 引用例

1.国際公開第01/28556号
(原審の引用文献1。以下、「引用例1」という。)
2.米国特許第6143329号明細書
(原審の引用文献3。以下、「引用例2」という。)
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布されたことが明らかな上記引用例1,2には、次の事項が記載されている。(引用例1,2は英文のため、翻訳文で示す。)

(1)引用例1の記載事項
(a-1)
「1.感冒およびインフルエンザウイルスの予防並びに治療用低刺激鼻組成物であって、
前記組成物が、ピログルタミン酸、或いは組成物の0.01%?20%の濃度のピログルタミン酸、および解離定数(pKa)値3.0?5.0を有する有機酸、或いは0.01%?10%の有機酸を含み、且つ前記ピログルタミン酸および有機酸の組合せ物が、pH3.5?5.5の鼻腔組織の表面pHを提供する、感冒およびインフルエンザウイルスの予防並びに治療用低刺激鼻組成物。
・・・
5.組成物が金属塩、或いは組成物の0.01%?10%の濃度で金属塩、或いは酢酸塩、アスコルビン酸塩、塩化物、安息香酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、グルタル酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩およびそれらの組合せ物からなる群より選択される金属塩を含む、請求項1?5のいずれかに記載の組成物。
6.組成物が粘膜接着剤を含み、その際に最終組成物の粘度が約1000cps未満であり、且つ組成物が3.5のpHを有し、或いはカルボキシポリメチレン;カルボキシビニルポリマー;ペンタエリトリトールのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー;スクロースのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー;ジビニルグリコールで架橋されたアクリル酸のホモポリマー;およびそれらの混合物からなる群より選択される粘膜接着剤を含む、請求項1?5のいずれかに記載の組成物。
7.被験者の鼻の鼻甲介において前記組成物をスプレーすることにより前記組成物を投与する場合に、前記組成物が感冒およびインフルエンザウイルスを予防並びに治療するために使用される、請求項1?6のいずれかに記載の組成物の製造方法。」(特許請求の範囲)
(a-2)
「「感冒およびインフルエンザ様症状」は、気道のウイルス感染に関連する典型的な症状をいう。これらの症状には、鼻鬱血(鼻づまり)、胸部鬱血、くしゃみ、鼻漏、疲労または倦怠感、咳、発熱、悪寒、身体痛、咽頭痛および頭痛並びに他の知られている感冒およびインフルエンザ様症状が挙げられるが、これらに限定されない。
「呼吸器ウイルス」は、感冒およびインフルエンザ様症状の原因病原体であるウイルスをいう。これらのウイルスには、ライノウイルス、ミクソウイルス(インフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス(パラインフルエンザウイルス)、呼吸器シンシチアウイルス、アデノウイルスおよびコロナウイルスが挙げられる。」(4頁18?24行)
(a-3)
「有機酸類
PCAに加えて、本発明は、上述のウイルスに悪条件の組成物をつくるために有機酸を使用する。これらの有機酸は、解離定数(pKa)約3.0?約5を有する。PCAと組合せた場合に、本組成物は増加した緩衝能を有し、約3.5?約5.5の鼻腔または鼻甲介において処理した組織の表面pHを提供する。これらの有機酸は、組成物の約0.01%?約10.00%、或いは約0.05%?約5.00%、特に約0.10%?約2.50%の濃度である。
とりわけ本発明において有用な有機酸は、アスコルビン酸、モノ-、ジ-、トリ-カルボン酸およびそれらの混合物からなる群より選択される。特にモノ-、ジ-またはトリ-カルボン酸は、・・・、クエン酸、・・・およびそれらの混合物からなる群より選択される。そのような有機酸の使用は、組成物が鼻組織に接触しても鼻組織に有意な刺激を与えることなく、ウイルスに対して悪条件の環境をつくることは、当業者にとって特に驚くべきことである。」(6頁3?17行)
(a-4)
「本発明の組成物のpHを4.5未満に調整するために薬剤が使用される。従って、組成物が鼻組織に適用された場合に、鼻組織上の組成物のpHは、約3.5?5.5に維持されるが、鼻組織の刺激の原因となるほどに低くはしない。そのようなpH調整剤には、・・・、水酸化ナトリウム、・・・およびそれらの組合せ物を含む局所鼻組成物の使用に通常関係するものが挙げられる。それらは、組成物に直接添加してもよく、またはpH調整工程の間に、組成物との相互作用により形成してもよい。pH調整剤は、一般的に組成物の約0.01?約5.0重量%の量で存在する。」(6頁18?26行)
(a-5)
「ビヒクルはまた、ウイルスを殺すのを促進させ、並びに気道のすみからすみまで組成物を拡散するのを助勢するために界面活性剤を含んでよい。ガム、粘質物、増粘剤、粘膜接着性ポリマーおよびそれらの混合物を、鼻腔から口腔咽頭に溶液の正常な生理的浄化を遅らせるために含んでよい。本発明の組成物が液体の形態である場合に、配合成分の組合せ物は、例えば最終組成物の粘度が約3.5の組成物pHにおいて約1000cps未満であるようなものである。
・・・
本発明において有用な適当な粘膜接着性ポリマーは、pH応答性を示す。pH応答性により、粘膜液または粘膜組織に接触する際に、組成物がその組織に付着するのに充分な粘着性または粘性となり、並びにその表面から急速に侵食されないことを意味する。これは、酸性製品がわずかに酸性の粘膜組織および粘膜組織液と接触するときに、pHの上昇により引き起こされる。これは、通常の流体製品を用いるよりも、粘膜表面上に長期間ウイルスの悪条件環境を維持することを助力する。例えば、組成物が噴霧式スプレーを使用して適用される液体である場合に、鼻腔内にスプレーする際に、組成物はくしゃみ、鼻をかむこと、または粘膜繊毛浄化による侵食に耐えるジェルのようなフィルムを急速に形成する。
粘膜接着性ポリマーは、カルボキシポリメチレン;カルボキシビニルポリマー;ペンタエリトリトールのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー;スクロースのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー;ジビニルグリコールで架橋されたアクリル酸のホモポリマー;およびそれらの混合物からなる群より選択される。ペンタエリトリトールのアリルエーテルまたはスクロースのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマーは、商品名「カルボポール(Carbopol)」で、B. F. Goodrich Company から入手可能である。特定のカルボポールには、カルボポール(Carbopol)934、940、941、956、980およびそれらの混合物が挙げられる。本発明の実施形態は、特にカルボポール(Carbopol)980を使用する。このタイプのポリマーは、わずかに酸性のカルボキシル基置換基を有する。そのようなポリマーは、一般的には水中で約3のpHを有し、一般的には組成物の調製中の中和化により使用されて、粘性ジェルを形成する。一般的にこれらのポリマーは、約0.01%?約2.5%で使用される。・・・」(7頁3行?8頁3行)
(a-6)
「金属塩
本発明の鼻組成物は、安全および有効量の金属塩を含んでよい。金属イオン(例えば、鉄、銀、銅および亜鉛)は、抗ウイルス特性を示すことが知られている。亜鉛および感冒における亜鉛の可能な効能は、「The Handbook for Curing the Common Cold)、George A. Eby、1994年出版、George Eby Reserch、テキサス、米国」に広く記載されている。亜鉛の作用の機構は、多くの要素からなると考えられる。亜鉛イオンは、抗ウイルスと抗細菌との双方であると示されている。それらはライノウイルスのポリペプチドの開裂を阻害して、感染性ウイルス粒子の複製および形成を妨げると考えられる。亜鉛イオンは、細胞間接着分子ICAMの発現を部分的に低下させることにより、ライノウイルスが細胞膜を通過する能力を減少させる。亜鉛イオンは、また、T細胞リンパ球を刺激することが示され、これには天然抗ウイルス物質、インターフェロン-γの産出が含まれている。それらは、細胞形質膜を安定化し、細胞毒成分から細胞を保護し、細胞の漏出を防止する。金属イオンは、塩の形態であってもよく、或いは陰イオンと錯体を形成してもよい。
適当な金属塩には、Mn、Ag、Zn、Sn、Fe、Cu、Al、Ni,Coおよびそれらの組合せ物からなる群より選択される金属の塩が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは金属塩には、Cu、Fe、Znおよびそれらの組合せ物からなる群より選択される金属の塩が挙げられる。
金属塩には、・・・、酢酸塩、・・・およびそれらの組合せ物からなる群より選択される生理的許容可能な金属塩が挙げられるが、これらに限定されない。一つの実施形態は、金属塩が、酢酸塩、・・・およびそれらの組合せ物からなる群より選択される。別の実施形態は、金属塩が、酢酸亜鉛、・・・およびそれらの組合せ物からなる群より選択される。特に包含される金属塩は、酢酸塩、・・・、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
理論により限定することはないが、本発明の組成物において、金属-酸錯体を形成するためのピログルタミン酸および金属塩錯体は、相乗作用的即時性および残存性抗ウイルス効果を提供することが見出されている。
本発明の組成物において、金属塩は、例えば、金属塩が組成物の約0.001?約20重量%、或いは約0.01?約10重量%、約0.05?約5重量%、特には約0.05?約2重量%を含む量で存在する。或いは、ピログルタミン酸および金属塩は、本発明の組成物をつくる前に錯体を形成してもよく、従ってピログルタミン酸-金属錯体を形成する。例えば、錯体は、好ましくは組成物の約0.001?約20重量%、或いは約0.01?約10重量%、特には約0.1?約5重量%の量で存在する。」(8頁32行?10頁2行)
(a-7)
「実施例II:
【表2】

製造方法の説明:
冷水中でカルボポールを分散させる。酸配合成分および酢酸亜鉛を攪拌しながら添加して溶解させる。フェニルエチルアルコール中でユーカリプトールをプレミックスしたものを、攪拌しながら添加して溶解させる。水酸化ナトリウムの添加を用いてpH3.5に調整する。
その溶液を点滴ガラス瓶に充填して、ふたをする。鼻孔または鼻甲介のいずれかにおいて100μlの溶液をスプレーする。一日当たり3回繰り返す。」(10頁14行?11頁3行)
(a-8)
「実施例IV:
【表4】

製造方法の説明:
冷水中でカルボポールを分散させる。酸配合成分および酢酸亜鉛を攪拌しながら添加して溶解させる。フェニルエチルアルコール中でユーカリプトールをプレミックスしたものを、攪拌しながら添加して溶解させる。水酸化ナトリウムの添加を用いてpH3.5に調整する。
その溶液を点滴ガラス瓶に充填して、ふたをする。鼻孔または鼻甲介のいずれかにおいて100μlの溶液をスプレーする。一日当たり3回繰り返す。」(11頁12行?12頁2行)

(2)引用例2の記載事項
(b-1)
「1.各個人の鼻腔内に噴霧することができる水性薬理組成物であって、該組成物は、高圧ガスを含まず、約4.5?7.5のpHであり、以下の成分:(A)少なくとも85重量%の水;(B)約0.001?2重量%のトリアムシノロンアセトニドの固体粒子;(C)混合物の重量に基づき、約85?95重量%の微結晶セルロースと約5?15重量%のカルボキシメチルセルロースの混合物からなる、該組成物中に該固体粒子を均一な分散状態を維持し、かつ該組成物に以下のチキソトロピー性:(i)非-剪断状態における粘度が約400?800センチポワズであり;(ii)該組成物が噴霧用に処方する際に、剪断力(振盪)の作用下に置かれた場合に、該組成物の粘度は約50?200センチポワズであり、かつミスト状態にある該組成物が、該鼻道内を容易に流動して、該鼻腔の粘膜表面に堆積するような粘度であり、かつ(iii)該粘膜表面上に堆積した状態では、該組成物の粘度は、約400?800センチポワズであり、該鼻腔に見られる固有の粘膜性の力により、該粘膜表面からの排除傾向に対して耐性であるようなレベルにある、を付与する上で有効な量である約1?5重量%の懸濁化剤;そして、抗菌性を有する化合物、を含む組成物。」(特許請求の範囲の請求項1)
(b-2)
「本発明によれば、水性系の薬理組成物が提供され、該組成物は、各個人の鼻腔内に噴霧することができ、また該組成物は(A)薬理的に有効な量の、医薬の固体粒子と、ここで該医薬は鼻腔の粘膜表面に存在することにより、身体の状態を治療する上で有効であり、および(B)該組成物中に該粒子を均一な分散状態を維持し、かつ該組成物に以下のチキソトロピー性を付与する上で有効な量の懸濁化剤とを含む:(i)非-剪断状態における粘度が比較的高く、該組成物はゲル-状の形態にあり、(ii)該組成物が噴霧用に処方する際に、剪断力(振盪)の作用下に置かれた場合に、該組成物の粘度は比較的低く、かつミスト状態にある該組成物は、該鼻道内を容易に流動して、該鼻腔の粘膜表面に堆積するようなレベルにあり、かつ(iii)該粘膜表面上に堆積した状態で、該組成物の粘度は、比較的高くて、該鼻腔に見られる固有の粘膜性の力により、該粘膜表面からの排除傾向に対して耐性であるようなレベルにある。
・・・
本発明のもう一つの局面では、鼻腔の粘膜表面に医薬の固体粒子を適用する方法を提供し、該方法は、該医薬を含有する水性薬理組成物の単位投与量を、鼻腔の各々に噴霧することを含み、該用量は薬理的に有効な量の該医薬を含み、該組成物は所定量の懸濁化剤をも含み、該所定量は、該粒子を該組成物中に均一な分散状態に維持するのに有効で、かつ該組成物に、以下のようなチキソトロピー性を付与するのに有効な量である。該チキソトロピー性とは、薬理的に有効な量の該医薬が、少なくとも該鼻の前部領域、前部鼻腔洞および上顎部腔洞の粘膜表面各々上に、および甲介を覆う鼻甲介上にある粘膜表面各々上に、堆積されるようなものであり、しかも該量の各部分が、少なくとも約1時間に渡り該粘膜表面各々に維持されるような、チキソトロピー性である。
好ましい態様において、本発明の組成物は予備圧縮ポンプを使用して、噴霧することにより、該鼻腔に適用される。
・・・
本発明は、該鼻腔を覆う粘膜の表面への、医薬の適用を包含する、症状の治療における多数のかつ重要な利点をもたらす。・・・本発明によれば、該医薬は、比較的長期間、例えば少なくとも約1時間および2時間以上にも及ぶ期間に渡り、ターゲット組織との接触状態を維持する。・・・」(カラム2の27行?カラム3の41行)
(b-3)
「本発明の組成物は、また本発明の組成物を構成する医薬の固体粒子のチキソトロピー性懸濁液を生成するのに有効な、製薬上許容される賦形剤をも含有する。この賦形剤は、該組成物を使用しない間およびその鼻腔への噴霧の際に、かつまた該組成物が該鼻腔の粘膜表面上に堆積された場合に、該医薬粒子を該組成物中に分散状態に維持する量で存在する。静止中(剪断にかけられていない状態)の該組成物のチキソトロピー性は、ゲルとして説明することができ、該ゲル中に、該医薬粒子が実質的に均一に分散され、かつ懸濁されている。該組成物の静止中の粘度は、比較的高く、例えば約400?約1000cpの範囲内にある。該組成物を剪断力の作用下に置くと、即ち噴霧前の攪拌に関連する力の作用下に置かれた場合に、該組成物の粘度は減少(例えば、約50?約200cp)し、かつ該噴霧装置を通して容易に流動し、微細な羽毛状の形態で該装置から放出され、該羽毛状物は鼻の少なくとも以下の部分、即ち鼻の前部領域(前鼻腔);前鼻腔洞;上顎部腔洞;および該鼻腔の甲介上に横たわる鼻甲介の粘膜に浸透し、かつ堆積する。かくして、このチキソトロピー性組成物は、自由流動性の液体を含み、かつ噴霧状態では所定の粘膜を見出し、かつそこに堆積する微細なミストを含む。堆積され、かつ比較的歪のない状態では、本発明の組成物は粘度の増加を示し、そのゲル-状の形態にあると推定され、該ゲル形状はそこに懸濁された医薬粒子を含み、かつ該鼻腔内に存在する固有の粘膜性の力による、鼻道からの浄化に対して耐性である。テスト結果は、該堆積された組成物が、例えば少なくとも1時間および2時間以上にも及ぶ比較的長期間に渡り、該粘膜表面上に留まっていることを示している。
便宜的に、静止状態における該組成物の粘度を、「ゲル化粘度(setting viscosity)」と呼び、また振盪された組成物の粘度を「剪断粘度(shear viscosity)」と呼ぶ。上記のように、該組成物のゲル化粘度は、該医薬粒子を、該組成物中に実質的に均一な分散状態に維持し、かつ該組成物を該粘膜表面上に長期間に渡り留めるのに十分な値であるべきであり、該粘膜表面上で、該組成物は該鼻腔内に堆積される。即ち、該組成物は該鼻腔内に存在する粘膜性の力による排出に対して耐性である。・・・
該組成物の該ゲル化粘度および該剪断粘度に対する適当な値は、特定の組成物について、該組成物を鼻腔に適用するのに使用する、特定の手段をも考慮して、決定することができる。一例として、約400?約800cpのゲル化粘度が、抗-炎症性ステロイド、例えばトリアムシノロンアセトニドを含有する組成物に対して推奨される。このような組成物に対して推奨できる剪断粘度は、約50?約200cpである。粘度はブルックフィールドシンクローレトリック(Brookfield Synchro-Letric)粘度計(モデル(Model)LVT)を使用して測定する。該粘度は20℃にて測定する。・・・
該医薬の個体粒子を、該組成物中で実質的に均一な分散状態を維持し、かつ該組成物に該所定のチキソトロピー性を付与できる、任意の製薬上許容される物質を使用することができる。このような物質は、「懸濁化剤(suspending agent)」と呼ばれる。懸濁化剤の例は、カルボキシメチルセルロース、・・・、メチルセルロース、・・・を包含する。好ましい懸濁化剤はマイクロクリスタリンセルロースとカルボキシメチルセルロースとの混合物であり、前者は好ましくは多量に存在し、最も好ましくは約85?約95重量%の量で存在し、後者の成分は該混合物基準で、約5?約15重量%を構成する。」(カラム4の37行?カラム5の46行)


第3 対比・判断

(1)引用発明
引用例1の特許請求の範囲には、感冒およびインフルエンザウイルスの予防並びに治療用低刺激鼻組成物であって、前記組成物が、ピログルタミン酸、或いは組成物の0.01%?20%の濃度のピログルタミン酸、および解離定数(pKa)値3.0?5.0を有する有機酸、或いは0.01%?10%の有機酸を含み、且つ前記ピログルタミン酸および有機酸の組合せ物が、pH3.5?5.5の鼻腔組織の表面pHを提供する、感冒およびインフルエンザウイルスの予防並びに治療用低刺激鼻組成物(請求項1)が記載され、前記組成物は、さらに、組成物の0.01%?10%の濃度で酢酸塩等の金属塩を含むこと(請求項5)、組成物が粘膜接着剤を含み、その際に最終組成物の粘度が約1000cps未満であり、且つ組成物が3.5のpHを有し、或いはカルボキシポリメチレン;カルボキシビニルポリマー;ペンタエリトリトールのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー;スクロースのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー;ジビニルグリコールで架橋されたアクリル酸のホモポリマー;およびそれらの混合物からなる群より選択される粘膜接着剤を含むこと(請求項6)が記載されている(摘記事項a-1)。
さらに、引用例1には、「感冒およびインフルエンザ様症状」は、気道のウイルス感染に関連する典型的な症状をいい、「呼吸器ウイルス」は、感冒およびインフルエンザ様症状の原因病原体であるウイルスをいうこと(摘記事項a-2)、組成物のpHを4.5未満に調整するために薬剤が使用され、水酸化ナトリウム等のpH調節剤を組成物に添加してもよいこと(摘記事項a-4)、粘膜接着性ポリマーおよびそれらの混合物を、鼻腔から口腔咽頭に溶液の正常な生理的浄化を遅らせるために含んでよく、組成物が液体の形態である場合に、配合成分の組合せ物は、例えば最終組成物の粘度が約3.5の組成物pHにおいて約1000cps未満であるようなものであること、粘膜接着性ポリマーは、ペンタエリトリトールのアリルエーテルまたはスクロースのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー等より選択され、該アクリル酸のホモポリマーは、商品名「カルボポール(Carbopol)」であり、一般的にこれらのポリマーは、約0.01%?約2.5%で使用されること(摘記事項a-5)、組成物は、安全および有効量の金属塩を含んでよく、金属イオン(例えば、鉄、銀、銅および亜鉛)は、抗ウイルス特性を示すことが知られており、適当な金属塩には、Mn、Ag、Zn、Sn、Fe、Cu、Al、Ni,Coおよびそれらの組合せ物からなる群より選択される金属の塩が挙げられること(摘記事項a-6)が記載されている。
さらに、実施例IIには、PCA(ピログルタミン酸)、アスコルビン酸を1.00%(W/W)、酢酸亜鉛を0.33%(W/W)、粘膜接着性ポリマー1としてカルボポール980を1.00%(W/W)、水を成分として含有し、水酸化ナトリウムの添加を用いてpH3.5に調製した組成物(摘記事項a-7)が、実施例IVには、PCA(ピログルタミン酸)、クエン酸を0.50%(W/W)、酢酸亜鉛を0.33%(W/W)、粘膜接着性ポリマー1としてカルボポール980を1.00%(W/W)、水を成分として含有し、水酸化ナトリウムの添加を用いてpH3.5に調製した組成物(摘記事項a-8)が具体的に開示されている。ここで、引用例1には、それぞれの実施例の組成物の成分であるアスコルビン酸、クエン酸は、有機酸であること(摘記事項a-3)、酢酸亜鉛は、金属塩であること(摘記事項a-3)、粘膜接着性ポリマーであるカルボポール980は、ペンタエリトリトールのアリルエーテルまたはスクロースのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマーであること(摘記事項a-5)、水酸化ナトリウムは、pH調整剤であること(摘記事項a-4)が記載されている。
これらの引用例1の摘記事項の記載からみて、引用例1には、次の発明(これを以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「PCA(ピログルタミン酸)、有機酸を0.01%?10%、Mn、Ag、Zn、Sn、Fe、Cu、Al、Ni,Coおよびそれらの組合せ物からなる群より選択される金属塩を0.01%?10%、粘膜接着性ポリマーとしてペンタエリトリトールのアリルエーテルまたはスクロースのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマーを0.01%?2.5%、水を成分として含有し、pH調整剤の添加により3.5のpHを有し、粘度が約1000cps未満である組成物であって、感冒およびインフルエンザウイルスの予防並びに治療用低刺激鼻組成物。」

(2)対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比する。
(i)引用発明の「PCA(ピログルタミン酸)」は、本願発明の組成物では、必須成分として含有されるものではないが、本願明細書において、「発明の呼吸器官用組成物は、ピログルタミン酸を約3.0?約5.5のpKa値を有する有機酸と組み合わせて含むことができ、その際、前記ピログルタミン酸と有機酸との組み合わせは、鼻腔組織の表面pHを約pH3.0?5.5にすることが示された。本発明の呼吸器官用組成物は、ピログルタミン酸を、典型的には組成物の約0.01重量%?約20重量%、・・・、最も好ましくは約0.1重量%?約5重量%の範囲の濃度で含む。」(段落【0022】)、「本発明の呼吸器官用組成物は、上述したピログルタミン酸と組み合わせて使用するのに好適な有機酸を含む。呼吸器官用組成物が有機酸とピログルタミン酸との組み合わせを含む場合、感冒及びインフルエンザ様の症状の原因となることが知られているウイルスにとって不利となる組成物が作り出されると考えられる。」(段落【0029】)、「前記有機酸はピログルタミン酸と組み合わせて使用された場合に効果的であるが、前記有機酸と金属化合物類との組み合わせもまた感冒及びインフルエンザ様の症状の予防及び治療に効果的であることが見出された。前記有機酸と金属化合物との組み合わせは、ピログルタミン酸の添加を伴って、あるいは伴わずに、呼吸器官用組成物に含まれて、感冒及びインフルエンザ様の症状の予防及び治療において治療的利益を提供することができる。」(段落【0032】)、「あるいは、本発明の呼吸器官用組成物は、金属化合物と有機酸をピログルタミン酸と組み合わせて含むことができる。理論に制限されないが、本発明の呼吸器官用組成物が金属化合物、有機酸、及びピログルタミン酸を含む場合、前記金属化合物及びピログルタミン酸は相乗的な即時の及び残留性の抗ウイルス効果を与えることができる金属-酸錯体を形成することができるものと考えられる。金属化合物をピログルタミン酸と組み合わせて金属-酸錯体を形成してから、この金属-酸錯体を本発明の呼吸器官用組成物に組み込むことができる。金属-酸錯体を形成してから本明細書の呼吸器官用組成物に含ませる場合、この金属-酸錯体は組成物の約0.001重量%?約20重量%、・・・%、より好ましくは約0.1重量%?約5重量%の範囲の濃度で含まれる。本発明の呼吸器官用組成物が、有機酸を含まずに金属化合物とピログルタミン酸との組み合わせを含み得ることも、意図されている。」(段落【0036】)と記載し、平成21年8月5日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項10では、本願発明を引用し「前記組成物が0.01重量%?20重量%のピログルタミン酸を更に含む、請求項1?9のいずれか1項に記載の呼吸器官用組成物。」と記載していることから、本願発明の組成物もピログルタミン酸を含有する組成物を包含するものであることが明らかである。
(ii)引用発明の「金属塩」は、本願発明の「金属イオンを含む金属化合物」に相当する。
(iii)引用発明の「粘膜接着性ポリマー」は、本願発明の「粘膜付着性ポリマー」に相当する。
(iv)引用例1には、「感冒およびインフルエンザ様症状」は、気道のウイルス感染に関連する典型的な症状をいい、「呼吸器ウイルス」は、感冒およびインフルエンザ様症状の原因病原体であるウイルスをいうこと(摘記事項a-2)と記載され、また、引用発明の組成物は、被験者の鼻の鼻甲介に投与され、感冒およびインフルエンザウイルスを予防並びに治療するために使用されるものである(摘記事項a-1)ことから、引用発明の「感冒およびインフルエンザウイルスの予防並びに治療用低刺激鼻組成物」は、本願発明の「呼吸器官用組成物」に相当する。

よって、両者は、
「(a)0.01重量%?20重量%の金属イオンを含む金属化合物であって、該金属イオンはマンガン(Mn)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、およびこれらの混合物から成る群から選択される;
(b)0.01重量%?10重量%の有機酸;
(c)0.01重量%?2.5重量%の粘膜付着性ポリマー;
(d)ピログルタミン酸;
(e)pH調整剤;及び
を含む呼吸器官用組成物であって、;
該組成物は1000cps未満の粘度を有し、組成物のpHは3.5である、呼吸器官用組成物。」である点で一致するが、以下の点で相違する。
(I)粘膜付着性ポリマーが、本願発明では、高分子セルロース誘導体類または熱可逆性ポリマー類から選択され、さらに、該高分子セルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース類、ヒドロキシプロピルセルロース類、メチルセルロースポリマー類、カルボキシメチルセルロースポリマー類、カルボキシメチルセルロースの塩類、及びこれらの混合物から成る群から選択され、熱可逆性ポリマー類は、ポロキサマー類、エチルヒドロキシエチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択されるのに対し、引用発明では、ペンタエリトリトールのアリルエーテルまたはスクロースのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマーを含有する点。(以下、「相違点(I)」という。)
(II)本願発明では、粘度が0?5℃の温度で測定されるのに対し、引用発明では、この特定がなされていない点。(以下、「相違点(II)」という。)

(3)相違点についての判断
上記相違点(I)について検討する。
引用例2には、鼻腔内に噴霧することができる水性薬理組成物であって、約85?95重量%の微結晶セルロースと約5?15重量%のカルボキシメチルセルロースの混合物からなる懸濁化剤を含有する組成物が記載され、該懸濁化剤により、該組成物中に該固体粒子を均一な分散状態を維持し、かつ該組成物に以下のチキソトロピー性:(i)非-剪断状態における粘度が約400?800センチポワズであり;(ii)該組成物が噴霧用に処方する際に、剪断力(振盪)の作用下に置かれた場合に、該組成物の粘度は約50?200センチポワズであり、かつミスト状態にある該組成物が、該鼻道内を容易に流動して、該鼻腔の粘膜表面に堆積するような粘度であり、かつ(iii)該粘膜表面上に堆積した状態では、該組成物の粘度は、約400?800センチポワズであり、該鼻腔に見られる固有の粘膜性の力により、該粘膜表面からの排除傾向に対して耐性であるようなレベルとするものである組成物が記載され(摘記事項b-1)、さらに、該組成物が、例えば少なくとも1時間および2時間以上にも及ぶ比較的長期間に渡り、該粘膜表面上に留まっていること(摘記事項b-2,3)、また、懸濁化剤の例は、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等を包含し、好ましい懸濁化剤が、マイクロクリスタリンセルロースとカルボキシメチルセルロースとの混合物であることが記載されている(摘記事項b-3)。
そうしてみると、上記のとおり、引用例2には、鼻腔投与用水性薬理組成物において、カルボキシメチルセルロース等の高分子セルロース誘導体を含有するものとすることにより、該組成物が鼻腔の粘膜表面に堆積すること、粘膜表面上に堆積した状態では、該組成物の粘度は約400?800センチポワズであり、該鼻腔に見られる固有の粘膜性の力により、該粘膜表面からの排除傾向に対して耐性であるようなレベルとなり、組成物が粘膜表面上に少なくとも1?2時間以上の比較的長期間に渡って留まることが記載されているのであるから、引用発明における粘膜付着性ポリマーとして、カルボキシメチルセルロース等の高分子セルロース誘導体を含有するものとすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

次に、上記相違点(II)について検討する。
一般に、組成物の粘度は測定温度によって異なるものであるが、具体的な測定条件は、当業者がその目的に応じて適宜設定し得るものであり、本願発明において、粘度が0?5℃の温度で測定されるものとすることに、格別の意義を見出すことはできない。

次に、本願発明の効果について検討する。
本願明細書の実施例には、 粘膜付着性ポリマーとして、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを配合した試料1,4,5が例示され、また、カーボポール980を配合した試料3,4が例示されるが、調整方法が具体的に記載されるのみであり、得られた組成物の粘度や呼吸気管用組成物としての効果も不明であるため、引用発明において、粘膜付着性ポリマーとしてカルボキシメチルセルロース等の高分子セルロース誘導体を含有するものとしたことによる有利な効果を評価することはできない。
また、本願明細書のその余の記載を検討しても、本願発明が引用例1及び2の記載から予測し得ない程、優れた効果を奏し得たものとも認められない。

したがって、本願発明は、その優先権主張の日前に頒布された刊行物である引用例1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。


なお、請求人は、審判請求書の請求の理由(平成21年12月28日付けの審判請求書)において、カーボポールは、中和される前から不溶性であり、長期間の保存で懸濁液から析出し、また、Zn^(2+)の存在で、不溶性の複合体を形成し、これが製品の保存や効果へ悪影響を及ぼすことも報告されているが、本願発明のポリマーはそのような問題を生じない旨、引用例1は、1週間の使用で鼻粘膜の炎症を起こすカーボポールのようなポリマーの使用を開示し、カーボポールにより引き起こされる重度の炎症により、このようなポリマーは経鼻投与に適していないこと、引用例1から上記のような課題を認識できず、本願発明は引用例1,2の記載から本願発明に想到することは当業者にも容易ではない旨を主張する。(なお、引用文献3は、引用例2に置き換えて記載した。)
しかしながら、本願明細書には、好適な既知の粘膜付着性ポリマーとして、カルボキシメチルセルロース等の高分子セルロース誘導体の他に、カーボポール、その中でも、カーボポール980がとりわけ好ましい旨が記載され(段落【0046】?【0047】)、実施例の試料3,4では、カーボポール980を配合した調製例が記載されており(段落【0069】?【0073】)、カーボポールが製品の保存や効果へ悪影響を及ぼすという問題を有することや、経鼻投与に適していないことについて何ら記載されていない。
さらに、本願明細書には、粘膜付着性ポリマーをカーボポールではなく、高分子セルロース誘導体等の本願発明のものに特定することにより、カーボポールによる上記問題が解決でき、経鼻投与に適したものとなるという効果を奏することに関する記載も何らなされておらず、また、本願明細書の記載から、上記効果を当業者が推論できるものとも認められないから、上記請求人の主張は、参酌することができない。
そして、本願発明が、引用例1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである点については、上記「(3)相違点についての判断」において既に検討したとおりである。
してみると、上記請求人の主張は理由がなく、採用することができない。


第4 むすび

以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-03-28 
結審通知日 2012-04-03 
審決日 2012-04-17 
出願番号 特願2004-566948(P2004-566948)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 澤田 浩平  
特許庁審判長 横尾 俊一
特許庁審判官 上條 のぶよ
内藤 伸一
発明の名称 選抜された粘膜付着性ポリマーを含む、感冒及びインフルエンザ様の症状の予防及び治療のための組成物  
代理人 古川 秀利  
代理人 鈴木 憲七  
代理人 曾我 道治  
代理人 梶並 順  
代理人 大宅 一宏  

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