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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C02F |
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管理番号 | 1263214 |
審判番号 | 不服2010-27987 |
総通号数 | 155 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-11-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-12-10 |
確定日 | 2012-09-24 |
事件の表示 | 特願2010- 15828「鉄粉混合物、鉄粉混合物の使用方法、鉄粉混合物の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 8月11日出願公開、特開2011-153353〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成22年1月27日の特許出願であって、平成22年7月2日付けの拒絶理由通知に対し、平成22年8月10日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成22年9月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年12月10日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに同日付けで手続補正書が提出され、当審において平成23年4月22日付けで補正却下の決定及び拒絶理由通知がなされ、平成23年6月21日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。 2.本願発明 本願の発明は、平成23年6月21日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、次のとおりのものである。 「鉄、及び酸化鉄を除く不可避的不純物を含む鉄粉と、酸化鉄と、炭素と、2価の鉄イオンとキレートを形成するとともに還元性を有する有機酸と、を含有し、 前記鉄粉と前記酸化鉄の含有量の合計を100重量%とした場合、 前記鉄粉の含有量が25重量%以上95重量%以下であり、 前記炭素の含有量が10重量%以上80重量%以下であり、 前記有機酸の含有量が7.7重量%以上55重量%以下であり、 水中への鉄イオン供給用途であることを特徴とする鉄粉混合物。」 3.平成23年4月22日付け拒絶理由通知の概要 当審による平成23年4月22日付け拒絶理由通知の概要は、本願発明は、本願出願前に頒布された刊行物である特開2006-212036号公報(以下、「刊行物1」という。)、及び同刊行物である特開2007-268511号公報(以下、「刊行物2」という。)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許を受けることができない、というものである。 4.刊行物の記載事項 (1)刊行物1 刊行物1には、次の事項が記載されている。 ア 「透水性を有する袋材に、二価鉄含有物質と腐植含有物質とが詰め込まれていることを特徴とする水域環境保全材料。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】) イ 「また、これらの水域環境保全材料における前記二価鉄含有物質は、例えば製鋼スラグ又は石炭溶融灰である。」(段落【0010】) ウ 「本発明の水域環境保全材料は、二価鉄(FeOやFe_(3)O_(4))を含有する物質と腐植(フルボ酸等)を含有する物質を共に用いて結合させ、安定的なフルボ酸鉄を生成させることが可能であり、生物への二価の鉄イオン供給の効率性が高い。このため、本発明によれば、製作から水中への設置作業が簡易で、かつ光合成生物に必要な二価の鉄イオンやフルボ酸鉄を効率よく、かつ持続的に供給可能となり、水域環境保全が達成できる。」(段落【0014】) エ 「これに対し、本実施形態の水域環境保全材料は、二価の鉄イオンの安定化による長期的な水域環境保全を図るものであり、二価鉄含有物質と腐植(フルボ酸等)含有物質を共に袋材へ詰め込むことにより、溶出した二価の鉄イオンを腐植によってキレート化し、水中で安定に存在することができるフルボ酸鉄として生物へ供給することを可能とするものである。・・・・ フルボ酸鉄は、無酸素下で生成した二価鉄イオン(Fe^(2+))がキレート剤(錯体)としてフルボ酸と結合して生成されるものである。・・・・」(段落【0037】?【0038】) オ 「腐植含有物質とは、腐植であるフルボ酸とフミン酸が含有された物質である。・・・・」(段落【0042】) カ 「なお、製鋼スラグ、石炭溶融灰ともにアルカリを呈する。これにより、フルボ酸よりも存在量は多いが、アルカリ性の雰囲気でなければ水に溶けない腐植であるフミン酸も二価鉄のキレート剤とすることが可能となり、効果的に安定的な二価鉄イオンを生物に供給することが可能となる。」(段落【0052】) キ 「以下、本発明の効果について、具体的な実施例を挙げて説明する。先ず、本発明の実施例1について説明する。本実施例においては、腐植(廃木材を堆肥化したもの)と製鋼スラグとを容積比で50:50で混合したもの25kg、製鋼スラグ30kg、そして比較材として天然石材23kgを、それぞれ縦65cm、横45cmのココナッツ繊維製の袋材に投入し、投入口を綿糸で塞ぎ、水域環境修復材を作製した。・・・・」(段落【0084】) (2)刊行物2 刊行物2には、次の事項が記載されている。 サ 「【請求項1】 水中に没する状態にすることにより水中に鉄イオンを発生させる鉄イオン溶出体であって、 鉄と炭を水溶性バインダーと共に混合して固めた多数の小塊を、非水溶性バインダーで固めて所定の形状に成形されていることを特徴とする鉄イオン溶出体 【請求項2】 前記鉄が粉状又は粒状であることを特徴とする請求項1に記載の鉄イオン溶出体。 【請求項3】 前記炭が粉状又は粒状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄イオン溶出体。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】?【請求項3】) シ 「次に、この実施例の作用・効果を説明する。 この実施例の鉄イオン溶出体は、上述のように、鉄と炭を水溶性バインダーと共に混合して固めた多数の小塊を、非水溶性バインダーで固めて板状に成形されている構成としたことで、これを水中に没した状態とすると、水と接する小塊では、水溶性バインダーが徐々に溶けることで鉄と炭が接触し、局部電池を形成し、これにより、炭(C)に比べて電気陰性度及び又は電位の低い方の金属である鉄(Fe)が酸化され、鉄イオン(Fe^(2+))を溶出し出す。」(段落【0021】?【0022】) ス 「さらに、鉄イオンは、・・・・水中生物の増殖と活性により、ヘドロを浄化する働きがあることを発見した。 また、・・・・。 また、残った炭は、水の浄化に役立つ。」(段落【0025】?【0026】) 5.当審の判断 (1)刊行物1に記載された発明の認定 刊行物1には、記載アに、「透水性を有する袋材に、二価鉄含有物質と腐植含有物質とが詰め込まれている」「水域環境保全材料」が記載されている。 そして、上記「水域環境保全材料」及び「二価鉄含有物質」に関し、記載ウに、「本発明の水域環境保全材料は、二価鉄(FeOやFe_(3)O_(4))を含有する物質と腐植(フルボ酸等)を含有する物質を共に用いて結合させ、安定的なフルボ酸鉄を生成させることが可能であり、生物への二価の鉄イオン供給の効率性が高い。このため、本発明によれば、製作から水中への設置作業が簡易で、かつ光合成生物に必要な二価の鉄イオンやフルボ酸鉄を効率よく、かつ持続的に供給可能となり、水域環境保全が達成できる。」と記載されていることからみて、上記「水域環境保全材料」は、水中に設置し、生物に二価の鉄イオンを供給するものであり、上記「二価鉄含有物質」は、FeOやFe_(3)O_(4)などの二価鉄を含有するものであるといえる。 さらに、上記「腐植含有物質」は、記載オによれば、「腐植」である「フルボ酸とフミン酸」を含有するものであり、この「腐植」である「フルボ酸とフミン酸」に関し、記載エに、「二価鉄含有物質と腐植(フルボ酸等)含有物質を共に袋材へ詰め込むことにより、溶出した二価の鉄イオンを腐植によってキレート化し、水中で安定に存在することができるフルボ酸鉄として生物へ供給することを可能とするものである。・・・・フルボ酸鉄は、無酸素下で生成した二価鉄イオン(Fe^(2+))がキレート剤(錯体)としてフルボ酸と結合して生成されるものである。」と記載され、記載カに、「腐植であるフミン酸も二価鉄のキレート剤とすることが可能となり、効果的に安定的な二価鉄イオンを生物に供給することが可能となる。」と記載されていることからみて、この「腐植」である「フルボ酸とフミン酸」は、いずれも溶出した二価の鉄イオンをキレート化するものであるといえる。 さらに、上記「水域環境保全材料」に関し、本発明の実施例の説明とされる記載キに、「本実施例においては、腐植(廃木材を堆肥化したもの)と製鋼スラグとを容積比で50:50で混合したもの25kg、製鋼スラグ30kg、そして比較材として天然石材23kgを、それぞれ縦65cm、横45cmのココナッツ繊維製の袋材に投入し、投入口を綿糸で塞ぎ、水域環境修復材を作製した。」と記載されているところ、この記載中の「製鋼スラグ」は、記載イによれば、「二価鉄含有物質」の一例であるから、上記「水域環境保全材料」を作製するにあたっては、「透水性を有する袋材」に「二価鉄含有物質」と「腐植含有物質」とを「混合」し、詰め込むといえる。 以上を踏まえ、刊行物1の記載事項を本願発明1の記載ぶりに則して整理すると、刊行物1には、 「FeOやFe_(3)O_(4)などの二価鉄を含有する二価鉄含有物質と、溶出した二価の鉄イオンをキレート化するフルボ酸とフミン酸を含有する腐植含有物質と、を混合して詰め込んだ、透水性を有する袋材を、水中に設置し、生物に二価の鉄イオンを供給する水域環境保全材料。」 の発明(以下、「刊行1発明」という。)が記載されているといえる。 (2)対比 ここで、本願発明1と刊行1発明とを対比する。 まず、刊行1発明の「二価鉄含有物質」は、「FeOやFe_(3)O_(4)などの二価鉄を含有する」ものであるところ、この「FeOやFe_(3)O_(4)」は、酸化鉄に他ならないから、刊行1発明の「二価鉄含有物質」は、本願発明1の「酸化鉄」に相当するものといえる。 また、刊行1発明の「腐植含有物質」に含有される「溶出した二価の鉄イオンをキレート化するフルボ酸とフミン酸」が「有機酸」であることは、当業者には自明のことであり、これら「フルボ酸とフミン酸」が「溶出した二価の鉄イオンをキレート化する」ことは、本願発明1の「2価の鉄イオンとキレートを形成する」ことに他ならないが、これら「フルボ酸とフミン酸」が「還元性を有する」か否かについては、明記されていない。そうすると、刊行1発明の「溶出した二価の鉄イオンをキレート化するフルボ酸とフミン酸」は、本願発明1の「2価の鉄イオンとキレートを形成するとともに還元性を有する有機酸」と、「2価の鉄イオンとキレートを形成する有機酸」である点で共通するといえる。 さらに、刊行1発明は、「二価鉄含有物質」と「腐植含有物質」とを「混合」しているものであって、「混合物」とみることができるものであるから、刊行1発明と本願発明1は、「混合物」である点で共通するといえる。 さらに、刊行1発明は、「水中に設置し、生物に二価の鉄イオンを供給する」ものであって、水中への鉄イオン供給をするためのものといえるから、刊行1発明と本願発明1は、「水中への鉄イオン供給用途である」点で共通するといえる。 以上検討したところを踏まえると、本願発明1と刊行1発明は、「酸化鉄と、2価の鉄イオンとキレートを形成する有機酸と、を含有し、水中への鉄イオン供給用途である混合物」の点で一致し、次の点で相違する。 相違点(一):本願発明1の有機酸は、「還元性を有する」ことが特定されているのに対し、刊行1発明の「フルボ酸とフミン酸」は、「還元性を有する」ことが特定されていない点。 相違点(二):本願発明1は、「酸化鉄」と「有機酸」の他に、「鉄、及び酸化鉄を除く不可避的不純物を含む鉄粉」と「炭素」とを含有し、「前記鉄粉と前記酸化鉄の含有量の合計を100重量%とした場合、前記鉄粉の含有量が25重量%以上95重量%以下であり、前記炭素の含有量が10重量%以上80重量%以下であり、前記有機酸の含有量が7.7重量%以上55重量%以下であ」る「鉄粉混合物」であるのに対し、刊行1発明は、かかる事項を特定事項とするものでない点。 (3)相違点についての検討 (3-1)上記相違点(一)について まず、上記相違点(一)について検討する。フルボ酸とフミン酸が「還元性を有する」ことについては、刊行物1に記載されていないものの、このことは、例えば、平成23年4月22日付け拒絶理由通知において提示した特開2000-189983号公報(特に段落【0010】及び【0014】参照。以下、「周知例1」という。)だけでなく、特公昭58-24375号公報(特に第2頁左欄13行?同頁右欄16行参照。以下、「周知例2」という。)、特開平10-8075号公報(特に段落【0013】参照。以下、「周知例3」という。)、特開2006-89450号公報(特に段落【0004】参照。以下、「周知例4」という。)に記載されているように周知の技術事項である。 してみれば、刊行1発明の「フルボ酸とフミン酸」が「還元性を有する」ことは、当業者には自明のことといえるから、上記相違点(一)は、実質的なものではないといえる。また、刊行1発明において、「フルボ酸」と「フミン酸」を「還元性を有する」ものであると特定し、上記相違点(一)に係る本願発明1の発明特定事項を導出することは、当業者であれば容易になし得ることともいえる。 (3-2)上記相違点(二)について 次に、上記相違点(二)について検討するに、本願発明1の「前記鉄粉と前記酸化鉄の含有量の合計を100重量%とした場合、前記鉄粉の含有量が25重量%以上95重量%以下であり、前記炭素の含有量が10重量%以上80重量%以下であり、前記有機酸の含有量が7.7重量%以上55重量%以下」における「重量%」は、「前記鉄粉と前記酸化鉄の含有量の合計を100重量%とした場合」との事項によれば、本願発明1の「鉄粉混合物」の全体を基準(100重量%)とするものでなく、「前記鉄粉と前記酸化鉄の含有量の合計」を基準(100重量%)としていることは明らかであるが、各成分の含有割合を重量ベースで表す際に全体を基準(100重量%)としないときは、「重量%」でなく「重量部」で表すのが通常であるから(例えば、後述の周知例6参照。)、以下、この「重量%」を必要に応じて「重量部」で表すこととする。 本願発明1の「鉄、及び酸化鉄を除く不可避的不純物を含む鉄粉」について検討すると、この「鉄粉」は、「鉄粉」として「鉄、及び酸化鉄を除く不可避的不純物を含む」ものに限定したものであるところ、鉄粉が「鉄」を含むことは当然のことであり、また、鉄粉が「酸化鉄を除く不可避的不純物」を含むことは普通のことであるから(必要であれば、特開平6-248303号公報の段落【0013】、【0022】?【0023】参照。以下、「周知例5」という。)、本願発明1の「鉄、及び酸化鉄を除く不可避的不純物を含む鉄粉」は、「鉄粉」として普通のものである。 ところで、刊行物2には、記載サによれば、「水中に没する状態にすることにより水中に鉄イオンを発生させる鉄イオン溶出体であって、粉状鉄と粉状炭を水溶性バインダーと共に混合して固めた多数の小塊を、非水溶性バインダーで固めて所定の形状に成形されている鉄イオン溶出体」が記載されているといえるところ、この「鉄イオン溶出体」は、記載シによれば、「Fe^(2+)」すなわち二価の鉄イオンを溶出するものであって、さらに、記載スによれば、「ヘドロを浄化する働き」もあるほか「水の浄化」にも役立つものである。 してみると、刊行物2には、「水中に没する状態にすることにより水中に二価の鉄イオンを発生させ、ヘドロ及び水を浄化するための鉄イオン溶出体であって、粉状鉄と粉状炭を水溶性バインダーと共に混合して固めた多数の小塊を、非水溶性バインダーで固めて所定の形状に成形されている鉄イオン溶出体」の発明(以下、「刊行2発明」という。)が記載されているといえる。 そして、刊行2発明の「鉄イオン溶出体」は、粉状鉄と粉状炭を混合して固めたものであることから、「鉄粉」と「炭素」とを含有する「鉄粉混合物」とみることができるものである。 ここで、刊行2発明の「鉄イオン溶出体」は、ヘドロ及び水を浄化するためのものであるから、刊行1発明と刊行2発明とは、「水域環境保全」という同一の分野に属するものということができ、さらに、水中に二価の鉄イオンを供給するという課題も共通するから、「酸化鉄」と「有機酸」との「混合物」とみることができる刊行1発明において、刊行2発明の「鉄粉」と「炭素」とを含有する「鉄粉混合物」を付加することは、当業者であれば容易に想到し得ることといえ、このことを具体化するにあたり、複数の成分を混合して水処理剤を製造する際に、各成分の含有割合を検討し、効果的な含有割合とすることは、当業者の常套手段であること(例えば、刊行物1の記載キ参照。さらに必要であれば、特開平4-190894号公報の第2頁右上欄15?19行参照。以下、この公報を「周知例6」という。)を踏まえれば、例えば、鉄粉を50重量部、酸化鉄を50重量部として鉄粉と酸化鉄の合計が100重量部となるようにした上で、炭素も50重量部、有機酸も50重量部として、これらの混合物とすること、さらに、「鉄粉」として普通のものである「鉄、及び酸化鉄を除く不可避的不純物を含む鉄粉」を採用することとし、上記相違点(二)に係る本願発明1の発明特定事項を導出することは、当業者であれば容易になし得ることと認められる。 (3-3)相違点についての検討のまとめ 上記相違点(一)及び(二)に係る本願発明1の発明特定事項を採用することにより奏される本願明細書に記載の効果について検討しても、当業者が予測し得ない格別なものは見いだせないし、上記相違点(二)に係る本願発明1の発明特定事項中の各成分の数値範囲の限定に臨界的意義があるともいえない。 したがって、本願発明1は、刊行1発明及び刊行2発明並びに周知例1?6に例示される周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)請求人の主張についての検討 請求人は、平成23年6月21日付け意見書において、「還元性のあるL-アスコルビン酸を使用した場合において、その含有量の大小による効果の差は、実施例6と実施例7を比較することにより判断できます。具体的には、鉄粉の量に対して、有機酸の割合が、実施例6において3.1重量%、実施例7においては7.7重量%であります。鉄イオンの溶出量は、実施例6が147ppmであったのに対し、実施例7では361ppmと多くなりました。」という主張をしている。 しかしながら、上記(3-1)で検討したように、刊行1発明の「フルボ酸とフミン酸」が還元性を有する有機酸であることは、周知のことであり、また、有機酸の含有量が少ないと、効果が十分に得られないことは、当業者であれば容易に予測し得る当然のことである。 よって、請求人の上記主張は、採用することができない。 6.むすび 以上検討したところによれば、本願発明1は、当審による平成23年4月22日付け拒絶理由通知に引用された刊行物である刊行物1及び2に記載された発明並びに周知例1?6に例示される周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-08-22 |
結審通知日 | 2011-08-23 |
審決日 | 2011-09-21 |
出願番号 | 特願2010-15828(P2010-15828) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(C02F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 金 公彦、齊藤 光子 |
特許庁審判長 |
松本 貢 |
特許庁審判官 |
斉藤 信人 目代 博茂 |
発明の名称 | 鉄粉混合物、鉄粉混合物の使用方法、鉄粉混合物の製造方法 |
代理人 | 佐藤 浩司 |
代理人 | 佐藤 浩司 |
代理人 | 速水 進治 |
代理人 | 速水 進治 |