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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  G01N
管理番号 1263375
審判番号 無効2011-800055  
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-04-07 
確定日 2012-05-09 
事件の表示 上記当事者間の特許第3805547号発明「試料作製装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第3805547号に係る発明についての手続の概要は次のとおりである。
平成11年 1月21日 特許出願
平成18年 5月19日 特許権の設定登録(請求項の数29)
平成23年 4月 7日 無効審判請求(請求人)(甲第1?6号証)
平成23年 7月 8日 答弁書提出(被請求人)(乙第1号証)
平成23年11月 4日 審理事項通知書(当審)
平成23年11月28日 口頭審理陳述要領書(請求人)
平成23年11月28日 口頭審理陳述要領書(被請求人)(乙2?
4号証)
平成23年12月12日 上申書(請求人)
平成23年12月12日 上申書(被請求人)
平成23年12月12日 口頭審理・審理終結

第2 請求人の主張の及び証拠方法
(1)請求人の主張
請求人は、特許第3805547号の請求項2に係る発明及び請求項21に係る発明を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、無効審判請求、口頭審理(口頭審理陳述要領書及び第1回口頭審理調書を含む)において、下記「(2)証拠方法」において示した甲第1号証?甲第6号証を提出し、次に示す無効理由を主張している。

(無効理由)
特許第3805547号の請求項2係る発明(以下、「本件発明2」という。)及び請求項21に係る発明(以下、「本件発明2」という。)は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて、又は、甲第1?3号証に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許が受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当し、無効とすべきである。

(2)証拠方法
甲第1号証 :特開平5-52721号公報
甲第2号証 :特開平8-304243号公報
甲第3号証 :特開平6-232238号公報
甲第4号証 :特開平6-103947号公報
甲第5号証 :特開平2-294644号公報
甲第6号証 :「Micromachining and Device Transplantation
Using Focused Ion Beam [集束イオンビームを
使用するマイクロマシニング及びデバイス移植]」
(Tohru Ishitani 他、Japanese Journal of Applied
Physics, Vol. 29, No. 10, October, 1990,
pp. 2283-2287)

(3)証拠等の記載
(3-1)甲第1号証
請求人が提出した本件特許の出願日前に頒布された甲第1号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は、当審で付与したものである。以下、同様である。)

(甲1-1)「【0002】
【従来の技術】従来技術としてマイクロスコピー・オブ・セミコンダクティング・マテリアルズ・コンファレンス、オックスフォ-ド大学(1989年)、501?506頁(Microscopy of Semiconducting Materials Conference,Oxford,(1989)pp.501-506)に開示される技術がある。この文献では、透過型電子顕微鏡(TransmissionElectron Microscope :略してTEM)分析が可能な薄膜試料を集束イオンビーム(Focused Ion Beam :略してFIB)を利用して切り出した例が述べられている。
【0003】上記文献の開示内容によれば、図7に示すように、半導体集積回路から長さ数mmで幅100 ?500 μmのチップ71をダイアモンド・ソーを用いて切出し、銅製のグリッド72( TEM観察用標準グリッド)に固定し、その後、FIBを利用してチップ71に薄膜試料73を加工・形成し、その薄膜試料73を電子ビーム74を用いてTEM観察している。図中、75は矩形開口部である。」

(甲1-2)「【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る試料の分離方法及び分析方法は、上記目的を達成するため、次のように構成される。
1. 本発明に係る試料の分離方法は、試料の表面に対し、少なくとも2つの異なる角度の方向から集束イオンビームを照射し、試料を集束イオンビームで加工し、試料の一部を分離するもので、試料の一部を分離する前に、外部から導入されたプローブを、分離される試料の一部に接続し、当該分離試料をプローブで支持し、任意の位置に分離試料を搬送し、また分離試料の姿勢を任意の姿勢にするものである。
2. 前記分離方法において、好ましくは、試料の一部とプローブの接続を、集束イオンビーム加工により発生したスパッタ粒子による再付着膜により、又はガス雰囲気中での集束イオンビーム照射により形成したビーム誘起堆積膜により行う。
3. 前記の各分離方法において、好ましくは、集束イオンビーム加工が、反応ガス雰囲気中でのガス支援エッチングである。
4. 前記の分離方法において、好ましくは、試料は半導体ウェハーであり、またプローブは半導体製造プロセスを利用して製造される。
5. 本発明に係る試料の分析方法は、試料の表面に対し、少なくとも2つの異なる角度の方向から集束イオンビームを照射して試料を集束イオンビーム加工し、試料の一部を分離して分析する方法であり、試料の一部を分離する前に、外部から導入されたプローブを、分離される一部に接続し、試料の一部を支持し、プローブによるこの支持状態で、観察手段を用いて、分離された試料の一部の断面を像観察するものである。
6. 本発明に係る更なる試料の分析方法は、試料の表面に対し、少なくとも2つの異なる角度の方向から集束イオンビームを照射して試料を集束イオンビーム加工し、試料の一部を分離して分析する方法であり、試料の一部を分離する前に、外部から導入されたプローブを、分離される一部に接続し、試料の一部を支持し、更に、試料の一部を分離する最中又は分離した後に部分的に薄膜化し、この薄膜部を透過型電子顕微鏡で像観察するものである。
・・・
【0009】
【作用】本発明では、試料基板表面に対し少なくとも二種類の角度からFIB加工することで、試料基板と分析部を含む微小試料とが機械的に分離するように構成される。またこの試料の一部分離の際において、別個に外部から導入したプローブに分離試料を機械的に接続しておくことで、分離試料が保持でき、プローブの移動により試料を任意の位置に運搬することができる。プローブに保持された分離試料は元の試料基板とは別個に、多種の分析装置に搬入して測定することが可能であり、分析に適した形状に再加工することも可能である。・・・」

(甲1-3)「【0010】
【実施例】以下に、本発明の実施例を図1?図6を参照して説明する。図3は、本実施例で用いられるFIB装置の基本構成を示す。液体金属イオン源100から放出したイオンは、コンデンサレンズ101と対物レンズ106によりFIB1となって試料2上に集束される。2つのレンズ101,106の間には、可変アパーチャ102、アライナ・スティグマ103、ブランカ104、デフレクタ105が配置されている。可変アパーチャ102には絞り駆動部102aが、ブランカ104にはブランキング・アンプ104aが、デフレクタ105には偏向制御部105aが、それぞれ付設されている。
【0011】試料2は、2軸(X,Y)方向に移動可能なステージ108上において、このステージ108に装着された試料回転装置120の回転軸に固定されている。ステージ108の移動は、ステージ制御部108aに基づきX及びYの各駆動部を介して行われる。この実施例で、試料回転装置120の回転軸はステージ108と平行に設定されている。
【0012】107はガス源で、ガス源107から発生したガス(W(CO)_(6 ))は、ガスノズル8によりFIB1の試料照射部の近傍に導かれる。ガス源107はガス源制御部107aにより制御される。FIBの照射により試料2の表面から発生した二次電子は、二次電子検出器109により検出される。二次電子検出器109からの二次電子信号をA/D変換し、FIBの偏向制御と同期してコンピュータ110の画像メモリに取り込むことにより、CRT110a上に走査イオン顕微鏡(Scanning Ion Microscope: 略してSIM) による像が表示される。
【0013】マニピュレータ112は、図4に示すように、3枚のバイモルフ型圧電素子30を90°ずつ方向を回転して接続し、X,Y,Zの3軸の駆動を可能としたものである。マニピュレータの先端には、金属製のプローブ31を装着している。プローブ31の先端部は、板状に加工されている。更に具体的に、プローブ31は、50μm以上の厚みを有するホルダー部と、このホルダー部の片面に先端から突出して設けられた10μm以下の厚みを有するプローブヘッドから構成されることが望ましい。図3に示すように、マニピュレータ112は、マニピュレータ制御部112aを備えている。」

(甲1-4)「【0015】次に、上記構成を有するFIB装置を用いて試料2を加工する。図1は、試料2から分析対象部を含む試料の一部を分離する工程(a)?(g)を示した斜視図である。この実施例で、試料2はシリコン基板であり、分離された試料の一部を、以下「分離試料」という。以下に、分離の手順を工程(a)?(g)に従って説明する。
【0016】(a) 試料2の表面に対しFIB1が直角に照射するように試料2の姿勢を保ち、試料2上でFIB1を矩形に走査させ、試料表面に所要の深さの角穴3を形成する。
(b) 試料2の表面に対するFIB1の軸が約70°傾斜するように、試料2を傾斜させ、底穴4を形成する。試料2の傾斜角の姿勢変更は、試料回転装置120によって行われる。
(c) 試料2の姿勢を変更し、試料2の表面がFIB1に対し再び垂直になるように試料2を設置し、切欠き溝5を形成する。
(d) マニピュレータ112を駆動し、プローブ31の先端を、試料2の分離する部分に接触させる。接触したか否かについての判定方法については、後述される。
(e) ガスノズル6からW(CO)_(6 )ガス7を供給し、FIB1を、プローブ31の先端部を含む領域に局所的に照射し、堆積膜8を形成する。接触状態にある試料2の分離部分とプローブ31の先端は、堆積膜8で接続される。試料2の分離部分とプローブ31の接続については、ガス雰囲気中での集束イオンビーム照射により形成したビーム誘起堆積膜により、又は集束イオンビーム加工により発生したスパッタ粒子による再付着膜により行うことができる。
(f) FIB1で残りの部分を切欠き加工し、試料2から分離試料9を切り出す。切り出された分離試料9は、接続されたプローブ31で支持された状態になる。
(g) マニピュレータ112を駆動し、分離試料9を所要の箇所に移動させる。
上記実施例において、FIB1の加工エリアを指定する際、予め加工エリアを含む領域をFIB1でラスタ走査し、試料2の表面から発生した二次電子(代表的な二次粒子)の信号量を輝度信号として画像化したSIM像を利用した。二次電子の検出は、二次電子検出器109によって行われる。SIM像を利用した試料表面の方向(X,Y軸方向)における加工エリアの設定は比較的簡単に行うことができる。しかし、プローブ31と試料2との接触に関する判定は、Z軸方向の情報が必要であるため、困難である。すなわち、FIB1のフォーカス状態の違いによりZ軸方向に関するある程度の情報が得られるが、ミクロンレベルの判定は困難である。」

(甲1-5)「【0018】切り出した分離試料9は、その後、その断面を再びFIB加工(微細ビームによる仕上げ加工)し、断面構造をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察した。・・・
【0019】図2は、前記実施例と同様の手法で試料2の一部を分離し、その分離試料9をTEM観察する目的で薄膜化した実施例を示す斜視図である。工程(a)に示されるように分離試料9の一部9aの肉厚が予め薄くされる。更に工程(b)で、分離試料9は、薄肉部9aをFIB1で薄膜化される。分離試料9の一部9aが、TEMの試料になる。本実施例によれば、試料2の任意の場所からTEM試料を容易に取り出すことができる。従って、試料2である基板を割る必要がない。」

(甲1-6)「【0022】図6(a)?(b)は、本発明による分離方法を、トランジスタ素子の移植方法に利用する実施例を説明するための工程図である。移植しようとするトランジスタ素子は、予め本発明による分離方法を利用してチップから分離しておく。以下に、移植の手順を述べる。
【0023】(a) 移植先の基板部分に角穴61をFIB加工する。
(b) 加工角穴61に、分離試料63(例えばトランジスタ等)をマニピュレータを駆動して運搬し、プローブヘッドをFIBにより切断して分離試料63を角穴61内に残す。
(c) 分離試料63上の電極とチップ基板上の配線60を、移植配線62により電気的に接続する。移植配線62は分離試料63と同様にマニピュレータにより運搬し、接続はW(CO)_(6) ガス雰囲気でのFIB局所照射によるW堆積膜で行う。
【0024】以上のように、本発明による分離方法を利用すれば、別のチップ内に形成されたデバイスを容易に分離し、運搬し、他のチップ内の所要の箇所に融合させることができる。」

(3-2)甲第2号証
請求人が提出した本件特許の出願日前に頒布された甲第2号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(甲2-1)「【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような従来技術の問題点に鑑み、本発明の主な目的は、特定箇所に方向がそれぞれ異なる断面薄膜試料を少なくとも2つ以上作製した試料を試料ホルダに支持し、効率よく構造解析及び組成分析を行い得る断面薄膜試料及びその作製方法及び断面薄膜試料用ホルダを提供することにある。」

(甲2-2)「【0010】図1(a)は、本発明に基づく試料の作製要領を示す試料全体の鳥瞰図であり、特定箇所を含む領域1に対して、試料加工時に特定箇所の位置が認識可能なように、その周辺にけがき等により、マーキング2を施す。このマーキング2は、切断時の特定箇所を認識できるサイズ及び形状であれば良い。
【0011】次に、マーキング2を施した材料からダイシングソー等の精密切断機により、試料片3を切断加工する。この際、特定箇所を含む領域1が凸形状となりかつ試料片3の中心近傍に位置するように切断する。図1(b)は、その切断手順を示した図であり、A及びBは試料片3の縦横の幅、C及びDは凸領域の縦横の幅を示している。A及びBの大きさは、加工後にTEM観察用の試料ホルダーによる試料の固定が可能であり、かつTEMの試料室へ挿入可能なサイズとする。一方、C及びDの大きさは、観察の対象となる特定箇所のサイズにより決定される。」

(甲2-3)「【0021】次に、本発明のTEM用の試料ホルダについて図5(a)を参照して以下に説明する。試料ホルダは、試料固定棒11と支持棒12、及び握り部13から構成されている。
・・・
【0023】図5(b)及び図5(c)は、試料固定棒11の先端部の構造を示した図であり、図に示されるように、試料固定棒11の先端部にはリング16と円板17とが設けられている。リング16は、図5(b)の矢印Kに示されるように試料固定棒11の軸線に直交する軸線回りに傾動可能に、試料固定棒11の先端部に二点で支持されており、図に示されるように試料固定棒11の軸線をX軸とした場合のX軸を含む面に対して90度まで傾斜可能にされている。また円板17は、リング16に回転機構を介して装着され、リング16の端面内で360度の回転が可能にされている。円板17の直径は、試料片3を固定する際、試料片3の固定面がリング16にかかることのない大きさとする。これにより、円滑な試料片3の回転が確保される。この円板17に、加工を施した試料片3を特定箇所の断面薄膜試料6の存在する凸領域1が上向きとなるように固定を行う。円板17への試料片3の固定は、導電性のある接着剤の塗布や同じく導電性のある粘着テープ等を使用することにより可能となる。
・・・
【0026】図5(b)は、集束イオンビーム5による機械加工時のホルダ先端の拡大図である。まず、ホルダ先端の円板17に機械加工後の試料片3を特定箇所が存在する凸領域1が上向きとなるように固定する。固定には、導電性のある接着剤の塗布や同じく導電性のある粘着テープ等を使用する。次に、集束イオンビーム装置の試料室内にホルダを挿入する。その後、集束イオンビーム5が特定箇所を含む凸領域1に適切に照射されるようリング16を傾斜し、集束イオンビーム5による穴あけ加工で、凸領域に断面薄膜試料6を作製する。加工完了後、試料ホルダを集束イオンビーム装置より取り出す。」

(3-3)甲第3号証
請求人が提出した本件特許の出願日前に頒布された甲第3号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(甲3-1)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体、磁性体、超電導体材料などの極薄膜構造から成る製品デバイスを初めとする各種試料を、各作製工程における処理直後の状態を正確に保ったまま、もしくは自由な環境下において複数の処理装置間で搬送し、その場動的に任意方向より原子レベルで多角的にかつ迅速にオンライン検査を初めとする処理装置における各種処理を行なうための試料処理装置および試料処理方法に関する。」

(甲3-2)「【0013】
【実施例】(実施例1)以下、本発明の実施例を説明する。図1は本発明の一実施例を示す試料搬送装置の基本構成図である。本実施例においては処理装置として成膜装置(スパッタ装置)と評価装置(TEM)を取り上げた。また制御する環境としては試料温度を取り上げた。試料搬送装置は、試料ホルダ本体1、トランスファロッド9、チャック10、トランスファチャンバ23、バッテリー、または太陽電池駆動の可搬型イオンポンプ24、液体窒素シュラウド(shroud)25、チャンバ電流導入端子26、リード線27、リード線を巻き取るためのリール28、中間排気室30、ゲートバルブ31から構成されている。前記構成部品は図8に示す台車53および架台54に搭載される。トランスファチャンバ23と成膜装置29あるいは評価装置は、成膜装置29あるいは評価装置側のゲートバルブ32と中間排気室30の間で連結される。中間排気室30は連結部にコンフラットフランジを備えており、該フランジ径はゲートバルブ32の径に合わせて変換される。中間排気室30は高速排気を可能とするためできる限り小体積なものとし、ここにターボ分子ポンプ等の排気容量の大きい粗引きポンプを接続する。トランスファロッド9により試料ホルダ本体1をトランスファチャンバ23と成膜装置29あるいは評価装置との間で移動させる。またトランスファロッド9の先端にあるチャック10により、試料ホルダ本体1とトランスファロッド9との物理的かつ電気的着脱を行なう。チャンバ電流導入端子26は外部温度制御回路と接続され、試料ホルダ本体1に設置される試料加熱用ヒータ或いは冷却用素子に通電される。バッテリー駆動の可搬型イオンポンプ24と液体窒素シュラウド25は、試料搬送装置を成膜装置29あるいは評価装置と連結している時、および成膜装置29と評価装置間で移動している時のトランスファチャンバ23内の真空排気を行なう。
【0014】試料ホルダ及びトランスファロッドとの接続部の詳細を、図2と図3にそれぞれ断面図と平面図で示す。試料は試料台6上に固定される。この試料ホルダは2軸傾斜機構および試料温度制御手段を持つ。2軸傾斜機構では、試料台6が試料台軸周りと、それに直交する軸周りに回転することによって2軸傾斜が成される。先ず、試料台軸周りの傾斜動作を以下に示す。試料ホルダ本体1には、軸2とそれに連動したバネ3及び傾斜板4が付けられており、軸受け5を矢印A方向に押すと、軸2と傾斜板4が軸受け5に押され、バネ3が伸びる。試料およびヒータを載せる試料台6が傾斜板4と接触する部分は曲率を持っており、傾斜板4が軸2と共に矢印Aの方向に押されると試料台6は矢印B方向に回転し傾斜する。この時試料台6は、傾斜用バネ7の弾性力を受けている試料台押さえ8によって下側から矢印Bの逆方向への復元力を受ける。そこで、軸受け5を試料ホルダ本体1から離すと、つまり矢印Aの逆方向に動かすと、バネ3により傾斜板4が矢印Aの逆方向に引っ張られ、試料台押さえ8により試料台6の傾斜が元に戻る。もう1つの前記とは直交する軸方向の傾斜は、ピン11を図3の紙面に垂直方向に押して試料ホルダ本体1を回転することにより成される。前記2軸傾斜機構のうち、試料台6、傾斜用バネ7、試料台押さえ8は、後述のように試料台6上に固定されるヒータへの温度制御用電流導入機構と兼用されるので、従来の試料加熱ホルダで用いられたような電流導入線は無い。従って、試料台6のスムーズな傾斜動作が可能である。」

(甲3-3)「【0035】(実施例6)本発明をSi-ULSI等の真空一貫プロセスラインに適用した場合の実施例を図9を用いて以下に示す。試料であるSiウエハは、ウエハテスト室46、ウエハ前処理室47、薄膜形成室48、不純物導入室49、パターン形成室50から成る真空一貫プロセスラインで各プロセスを受けることにより、DRAM、BiCMOS等のデバイスの形態に加工される。前記各プロセス室におけるプロセス条件の仕様からのずれ、あるいはプロセス不良発生の有無をチェックすることは、最終的なデバイス形態での不良を未然に防ぐために必要不可欠である。各プロセスにおけるウエハ状態を正確に評価するために、本発明の試料搬送装置を以下のように用いる。各プロセス室には試料搬送装置40が接続する共通ポートを設けておき、該ポートからウエハを抜き取る。この時、試料搬送装置のトランスファロッドの先端には、実施例1で用いた2軸傾斜試料加熱ホルダではなく、Siウエハ対応の試料ホルダを設置しておく。次に、試料搬送装置で評価装置52へ搬送する。場合によっては試料をウエハ加工装置51に搬送し、劈開やイオンシニング等によってウエハを評価可能な形状に加工できるものとする。これは装置によっては規格の大きさのウエハを挿入することができないことがあるからである。またTEMでは、ウエハ状態では厚すぎて観察できないのでイオンシニングによって薄膜化する必要があることもある。また試料薄膜の積層構造を走査電子顕微鏡(SEM)やオージェ電子分光装置で分析する場合には、ウエハの断面を劈開により作り、観察する。評価装置がTEMである場合には、ウエハ加工装置51内に備えられたマニピュレータによって、加工された試料をSiウエハ対応の試料ホルダから実施例1で用いた2軸傾斜試料加熱ホルダに載せ替える。但しこうしたウエハ加工工程を経ることにより、一部の環境を連続的に維持することができなくなることもあり得るが、なお他の環境は維持可能である。上記加工や試料の載せ替えが不要な場合は、ウエハ加工装置51を経由せず直接評価装置52へ搬送する。」

(甲3-4)「【0039】
【発明の効果】本発明を用いることにより、真空度、温度等の環境を制御しながら目的の試料を複数の処理装置間で搬送可能となる。更に例えばスパッタ、CVD、MBE等の各種の成膜装置で作製した試料における、結晶構造、元素組成、結合状態などを作製直後の状態を保ったまま、その場動的に透過電子顕微鏡、2次イオン質量分析装置、光電子分光装置等の各種の評価装置により多角的に分析することができる。さらに、本発明は各種のプロセス装置および評価装置にフレキシブルに連結可能なので、Si-ULSIを始めとする製品デバイスの作製プロセスラインにおけるプロセス条件のオンライン検査に用いることもできる。」

(3-4)甲第4号証
請求人が提出した本件特許の出願日前に頒布された甲第4号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(甲4-1)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は集束イオンビームに係り、特に、加工した後観察するまで、微小な試料を載せ替える手間を省き効率的に加工作業が出来る集束イオンビーム装置に関する。
・・・
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明のシステムでは試料ホルダーにサイドエントリー方式を採用し、このホルダーの共用化を可能とすることによって、試料の載せ替えをしないでもFIBによる加工,TEM,SEMによる観察を可能にする。TEM試料作成の場合はホルダーの共用化を可能とするためには試料が少なくとも90度回転しても加工または観察が可能であることが必要であり、このため、本発明では切欠きのあるサイドエントリー試料ホルダーを一例として示した。」

(甲4-2)「【0006】【実施例】本発明の一実施例を図1を用いて説明する。この装置は、イオン源,カラム系,試料室,制御系(図示していない)から構成されている。イオン源はエミッター1,シールド電極2,引出電極3から構成されている。カラム系は、コンデンサーレンズ4,絞り5,走査電極6,対物レンズ7から構成されている。試料室8は試料微動装置10,試料ホルダー11,二次粒子検出器9から構成されている。試料12は試料ホルダーの先端に取り付けられている。
・・・
【0008】ここでは試料として半導体メモリーを考える。4M-DRAMの場合、加工線幅は約0.8μm であり、欠陥の不良解析をTEMを用いて行う場合、試料は0.8μm のなるべく中心で100nm以下の薄膜を作成する必要がある。この場合まずウエハー上の観察すべき点を中心にして、200μm×1000μm程度に機械的に切り出す図2に試料の概略寸法を示した。この試料を図3に示すごとくに取り付ける。図3は試料ホルダー先端部を拡大したもので、試料12は試料台14上に接着剤またはばねなどで固定され、この試料台はねじ15で試料ホルダー先端に固定する。固定する場合は観察点が試料ホルダーの回転中心17の軸上に配置されるよう光学顕微鏡等を用いて行うことが望ましい。紙面に垂直上からビームがあるものとすると、図3(a)はFIBによる加工位置、図3(b)はTEMによる観察する場合の位置を示す。図3において切欠き16は図3(a)の位置においてFIB加工を行う場合イオンビームが試料に到達させるためのもので通常のTEMの試料ホルダーには必要ないものである。
【0009】このようにして取り付けた試料を試料ホルダーごと試料微動装置10に挿入する。試料微動装置10はいわゆるサイドエントリー試料ステージであり、この機構には試料室と大気を遮断するバルブ,試料交換する場合の差動排気系が含まれる。試料を挿入する場合の方法の説明はここでは省略する。サイドエントリーステージを用いると、試料ホルダー11の先端に試料12を設置出来、この部分と使用時に真空外に出ているつまみ部が一体となっており、試料の手による搬送に好都合である。挿入された試料は前記した方法で加工される。FIBによる加工部は図2の13の部分である。加工を終わった試料は試料ホルダーごと引き抜き、TEMの試料ホルダーに挿入して観察される。この場合試料12には直接手を触れずに観察出来るため観察効率は非常に良くなる。もし、試料の装着をして観察する場合、その試料が小さいこともあって観察位置に正しく固定するためには、熟練と時間を要する。通常は30分?1時間程度必要である。また、加工が不備でTEM観察後再度FIB加工し、再びTEM観察する場合など、その困難は倍加する。」

(3-5)甲第5号証
請求人が提出した本件特許の出願日前に頒布された甲第5号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(甲5-1)「第2図は本発明の実施例で用いたFIB装置の基本構成図である。液体金属イオン源100から放出したイオンビーム1はコンデンサーレンズ101と対物レンズ106により試料200上に集束する。上記両レンズ間には、アパーチャー102,アライナー・スティグマ103,プラン力-104,デフレクタ105が配されている。試料200は2軸(X,Y)方向に移動可能なステージ111上に固定されている。ガス源110から発生したガスはガスノズル108によりFIB照射部近傍に導かれる。FIB照射により試料から発生した二次電子は、二次電子検出器107により検出され、この二次電子検出信号をイオンビーム1の偏向制御と同期させて走査されるCRTディスプレイ400の輝度信号として用いることによりCRT画面上にSIM像として表示される。3軸(X,Y,Z)マニピュレータ109はこの装置の最も特徴的な部分であり移植したいデバイス部品を試料の所望場所に運搬する役割を果たす。」(4頁左上欄3行?右上欄2行)

(甲5-2)「基板上での移植場所及び基板面に対する移植方向を変更したい場合には、フレームキャリア6のアーム21と移植デバイスとを両者間に堆積膜を形成することにより再び機械的に接続し、ついで移植デバイスを基板に密着させている堆積膜7をFIB照射によるスパッタリングにより除去せしめることにより、再びマニピュレーターによる移植デバイスの移動を可能とし,再度基板上の新しい位置での新しい向きでの移植を行うことができる。
上記実施例は、微細なデバイスを試料上の任意の場所に任意の向きに移植できることを示しており、例えば,検出すべき物理量を電気信号に変換して検出するセンサー素子を測定用プローブの先端に移植せしめたり、直接被測定試料上の測定点近傍に移植せしめることが可能となるため、被測定試料上の物理量の測定精度及び検出感度の向上が期待できる。」(6頁右上欄18行?左下欄15行)

(3-6)甲第6号証
請求人が提出した本件特許の出願日前に頒布された甲第6号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(甲6-1)「§3. Device Transplantation(TP)
3.1 Device TP process and its feasibility experiment
Device TP comprises three processes : (1) TP -device fabrication , (2) TP-device manipulation . i.e., the TP-device is transferred to any desired place on the substrate, and (3) the attachment of the TP-device to the substrate . Here , mechanical or electrical connections between the device and substrate are carried out .
A feasibility experiment on device TP was performed . A schematic diagram of the experimental process is shown in Fig . 5 . Let us think of the end tip as a dummy device , which should be transplanted on the substrate . First , the dummy TP-device is transferred to the desired place on the substrate . A simple xyz micromaipulator composed of three bimorph-type piezoelectric actuators was used for TP-device transfer . Second , the substrate area near the TP-device is bombarded by a slow-speed scanning FIB . Here , the y-component of the FIB scanning direction is opposite to the device side wall . This enable most of the sputtered atoms to be directed toward the TP-device side wall. Redeposition is used to attach the TP-device to the substrate .[日本語訳:§3.デバイス移植(TP)
3.1 デバイスTPのプロセス及びその実施可能性の実験
デバイスTPは次の3つのプロセスから成る。(1)TP-デバイスの製作、(2)TP-デバイスの操作、つまり、TP-デバイスの基板上の望ましい場所への移転、及び(3)TP-デバイスの基板への付着である。ここで、デバイスと基板との間の機械的又は電気的接続が行われる。
デバイスTPの実施可能性の実験が行われた。実験のプロセスの模式図を図5に示す。先端部を、基板に移植されるべきダミーのデバイスと考える。第一にダミーのTP-デバイスが基板上の望ましい場所に移植される。3つのバイモルフ型の圧電アクチュエーターから成る単純なxyzマイクロマニピュレーターがTP-デバイスの移転に使用された。第二に、TP-デバイス付近の基板の領域を低速のスキャニングFIBによって照射する。ここで、FIBのスキャニング方向のy-コンポーネントはデバイスの側壁と反対方向である。このことにより、スパッタされた原子の殆どをTP-デバイスの側壁へと向かわせることができる。TP-デバイスを基板に付着させるために再堆積が使用される。」(2584頁右欄下から9行?2285頁左欄13行)

(甲6-2)「§4. Specifications of FIB Apparatus
Specifications of FIB apparatus for micromachining and device TP are reviewed as follows .
...
(3) Device mainpulation is needed for device TP . A piezoelectric actuator is one of the useful tools .[日本語訳:§4.FIB装置の仕様
マイクロマシニング及びデバイスTP用のFIB装置の仕様について次のように検討する。
・・・
(3)デバイスTPのためにデバイスの操作が必要である。圧電アクチュエーターは役立つツールの一つである。]」(2285頁右欄下から2行?2286頁左欄10行)

第4 被請求人の主張及び証拠
(1)被請求人の主張
本件無効審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担するとの審決を求め、無効審判請求、口頭審理(口頭審理陳述要領書及び第1回口頭審理調書を含む)において、下記「(2)証拠方法」に示した証拠を提出して、本件発明2及び本件発明21は、請求人の提出した甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて、又は、甲第1?3号証に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許が受けることができないものではなく、本件特許に無効理由は存在しない。

(2)証拠方法
乙第1号証 :「精密工学会誌 Vol.67,2001年
12月号」の「2001年度(第21回)
精密工学会技術賞受賞業績の紹介」欄の
「10μmレベルの微少片を直接摘出する
電子顕微鏡用マイクロサンプリング技術の開発」,
社団法人精密工学会 平成13年(2001年)
12月5日発行
乙第2号証 :特開平5-290787号公報
乙第3号証 :特開平6-176729号公報
乙第4号証 :特開平6-162982号公報

第5 当審の判断
(1)本件発明
本件無効審判請求の対象となった請求項2に係る発明(本件発明2)及び請求項21に係る発明(本件発明21)は、その特許請求の範囲からみて、次の技術的事項により特定されるものである。

「【請求項2】
試料を載置する、傾斜可能な試料ステージと、
該試料ステージが設置される真空排気可能な試料室と、
前記試料にイオンビームを照射する照射光学系と、
前記イオンビームの照射により前記試料より分離した試料片を保持できるホルダと、
前記試料室内において前記試料片を前記試料から摘出し前記ホルダへ移送する手段と,
前記試料ステージの傾斜軸に対する前記ホルダの回転角度を変更する手段とを備えることを特徴とする試料作製装置。」

「【請求項21】
試料を載置する傾斜可能な試料ステージと、
該試料ステージが設置される真空試料室と、
前記試料にイオンビームを照射する照射光学系と、
前記イオンビームの照射により試料より分離した試料片を保持できる試料ホルダと、
前記真空試料室内において前記試料片を前記試料から摘出し前記試料ホルダへ移送する手段と,
前記試料ステージの傾斜軸に対して平行な軸を中心に前記試料ホルダを回転させる手段とを備え、
前記試料ホルダの回転により、該試料ホルダに保持された前記試料片の姿勢を変更し、該試料片の加工を前記真空試料室内で実行することを特徴とする試料作製装置。」

(2)甲第1号証記載の発明
上記摘記事項(甲1-1)?(甲1-6)の記載を参照すると、甲第1号証には、
「試料2が固定される試料回転装置120が装着され、2軸(X,Y)方向に移動可能なステージ108と、
試料2、及び試料2から切り出された分離試料9に、液体金属イオン源100から放出したイオンを集束して集束イオンビーム(FIB)1を照射するコンデンサレンズ101と対物レンズ106と、
試料2から切り出された分離試料9と堆積膜8で接続されるプローブ31と、
先端にプローブ31を装着し、プローブ31と接続された分離試料9を所要の箇所に移動させるマニピュレータ112とを備え、
分離試料9の薄肉部9aを集束イオンビーム(FIB)1で薄膜化するFIB装置。」
の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

(3)本件発明2と引用発明との対比、及び本件発明21と引用発明との対比
(3-2-1)まず、本件発明2と引用発明とを対比する。
(i)引用発明の「試料2が固定される試料回転装置120」が、試料ステージに含まれることは明らかである。そして、引用発明の「2軸(X,Y)方向に移動可能なステージ108」には、試料2が固定される試料回転装置120が装着されていることから、引用発明の「試料2が固定される試料回転装置120が装着され、2軸(X,Y)方向に移動可能なステージ108」が、本件発明2の「試料基板を載置できる試料ステージ」に相当する。

(ii)真空室が真空排気されることは自明な事項であり、さらに、例えば、特開平2-15648号公報に、
「真空室1の一部には、微小加工手段として集束イオンビーム加エユニット7、加工断面観察手段として走査型電子顕微鏡ユニツト8が取付けられている。搬送ステージ5は、これら集束イオンビーム加工ユニット7、および走査型顕微鏡ユニット8の作用位置間をレール6によってスライドできる。」(3頁左上欄18行?右上欄4行)と記載され、また、特開平3-284826号公報に、
「集束イオンビーム加工は真空状態になっている真空チャンバー31内で行われる。試料1の出し入れは真空チャンバー31に設けられた試料出し入れ口32のドアを開けておこなわれる。試料出し入れ口32の大気側には予備真空チャンバー49が取り付けられている。予備真空チャンバー49には試料1の出し入れのための開閉窓50と試料1を保持している試料ホルダ2を真空チャンバー31内の加工試料ステージ40を載置する移動装置34が備えられている。」(3頁左下欄8?18行)と記載されているように、FIB装置の真空室に、試料用のステージを設けることは技術常識であることから、引用発明のFIB装置が、真空室、すなわち、真空排気可能な試料室を有し、この試料室に、試料2が固定される試料回転装置120が装着され、2軸(X,Y)方向に移動可能なステージ108が設置されることは明らかである。
そうすると、引用発明の「FIB装置」は、本件発明2の「試料作製装置」と同様に、「該試料ステージが設置される真空排気可能な試料室」を備えていることは明らかである。

(iii)上記甲第1号証の摘記事項(甲1-4)に、
「【0016】(a) 試料2の表面に対しFIB1が直角に照射するように試料2の姿勢を保ち、試料2上でFIB1を矩形に走査させ、試料表面に所要の深さの角穴3を形成する。
(b) 試料2の表面に対するFIB1の軸が約70°傾斜するように、試料2を傾斜させ、底穴4を形成する。試料2の傾斜角の姿勢変更は、試料回転装置120によって行われる。
(c) 試料2の姿勢を変更し、試料2の表面がFIB1に対し再び垂直になるように試料2を設置し、切欠き溝5を形成する。
・・・
(f) FIB1で残りの部分を切欠き加工し、試料2から分離試料9を切り出す。・・・」と記載され、さらに同摘記事項(甲1-5)に、
「【0018】切り出した分離試料9は、その後、その断面を再びFIB加工(微細ビームによる仕上げ加工)し、断面構造をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察した。・・・
【0019】図2は、前記実施例と同様の手法で試料2の一部を分離し、その分離試料9をTEM観察する目的で薄膜化した実施例を示す斜視図である。工程(a)に示されるように分離試料9の一部9aの肉厚が予め薄くされる。更に工程(b)で、分離試料9は、薄肉部9aをFIB1で薄膜化される。」と記載されていることから、引用発明の「コンデンサレンズ101と対物レンズ106」は、試料2、及び試料2から切り出された分離試料9に、液体金属イオン源100から放出したイオンを集束した集束イオンビーム(FIB)1を照射し、試料2、及び試料2から切り出された分離試料9を加工をしていることは明らかである。
そうすると、引用発明の「試料2、及び試料2から切り出された分離試料9に、液体金属イオン源100から放出したイオンを集束して集束イオンビーム(FIB)1を照射するコンデンサレンズ101と対物レンズ106」が、本件発明2の「前記試料にイオンビームを照射する照射光学系」に相当する。

(iv)引用発明の「FIB装置」が、本件発明2の「試料作製装置」に相当する。

そうすると、本件発明2と引用発明とは、
「試料を載置する、傾斜可能な試料ステージと、
該試料ステージが設置される真空排気可能な試料室と、
前記試料にイオンビームを照射する照射光学系とを備える試料作製装置。」
である点で一致し、次の相違点(あ)で相違する。

・相違点(あ)
本件発明2は、「前記イオンビームの照射により前記試料より分離した試料片を保持できるホルダと、前記試料室内において前記試料片を前記試料から摘出し前記ホルダへ移送する手段と、前記試料ステージの傾斜軸に対する前記ホルダの回転角度を変更する手段とを備える」のに対して、引用発明では、試料2から切り出された分離試料9と堆積膜8で接続されるプローブ31と、先端にプローブ31を装着し、プローブ31と接続された分離試料9を所要の箇所に移動させるマニピュレータ112とを備えている点。

(3-2-2)相違点の検討・判断
・相違点(あ)について、
(あ-1)本件発明2の「試料作製装置」は「試料を載置する、傾斜可能な試料ステージと、該試料ステージが設置される真空排気可能な試料室と、」「前記イオンビームの照射により前記試料より分離した試料片を保持できるホルダと、前記試料室内において前記試料片を前記試料から摘出し前記ホルダへ移送する手段」とを備えていることから、真空の試料室内に、試料と、試料から分離した試料片を保持するホルダとが設けられていることは明らかである。
また、本件特許明細書に「【0064】上記の関係式に従って微小試料片9の降下を停止させ、そこで試料ホルダ上面14に接近させ、微小試料片9の垂直面が試料ホルダ上面14に接触した時点で接近を停止させる。この状態で、試料ホルダ上面14と微小試料片9の両方に架かるようにデポジション膜を形成させて、微小試料片9を試料ホルダ上面14に固定する。【0065】・・・ 次に、図2(k)のように、試料ホルダ12を90°回転させて試料ホルダ上面14が試料ステージ面と平行になるように姿勢設定する(図2(k)参照)。・・・【0066】 最後に、微小試料片9のTEM観察領域を薄壁化加工する(図2(l))。・・・」と記載されているように、本件発明2の「試料より分離した試料片を保持できるホルダ」は、保持した試料片を薄壁化加工するためのホルダであることは明らかである。
(あ-2)ところで、上記「(3-1)」の(ii)で検討したように、引用発明のFIB装置が、真空排気可能な試料室を有しており、さらに、「試料2、及び試料2から切り出された分離試料9に、液体金属イオン源100から放出したイオンを集束して集束イオンビーム(FIB)1を照射するコンデンサレンズ101と対物レンズ106と、試料2から切り出された分離試料9と堆積膜8で接続されるプローブ31と、先端にプローブ31を装着し、プローブ31と接続された分離試料9を所要の箇所に移動させるマニピュレータ112とを備え、分離試料9の薄肉部9aを集束イオンビーム(FIB)1で薄膜化する」構成を有することから、真空の試料室内で、試料2から分離試料9を切り出し、切り出された分離試料9を堆積膜8でプローブ31に接続し、接続された分離試料9を所要の箇所にマニピュレータ112で移動させ、分離試料9の薄肉部9aを集束イオンビーム(FIB)1で薄膜化する作業を行っていることは明らかである。
(あ-3)他方、上記甲第2号証の摘記事項(甲2-2)に、
「【0011】次に、マーキング2を施した材料からダイシングソー等の精密切断機により、試料片3を切断加工する。・・・」と記載され、同(甲2-3)に、
「【0026】図5(b)は、集束イオンビーム5による機械加工時のホルダ先端の拡大図である。まず、ホルダ先端の円板17に機械加工後の試料片3を特定箇所が存在する凸領域1が上向きとなるように固定する。固定には、導電性のある接着剤の塗布や同じく導電性のある粘着テープ等を使用する。次に、集束イオンビーム装置の試料室内にホルダを挿入する。その後、集束イオンビーム5が特定箇所を含む凸領域1に適切に照射されるようリング16を傾斜し、集束イオンビーム5による穴あけ加工で、凸領域に断面薄膜試料6を作製する。・・・」と記載されていることから、甲第2号証には、回転可能なホルダの円板に、切断加工された試料片3を、接着剤の塗布や粘着テープ等を使用して固定した後、試料室内にホルダを挿入し、その後、集束イオンビーム5を試料片3に照射し、断面薄膜試料6する、ことが記載されており、また、上記甲第4号証の摘記事項(甲4-1)に、
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は集束イオンビームに係り、特に、加工した後観察するまで、微小な試料を載せ替える手間を省き効率的に加工作業が出来る集束イオンビーム装置に関する。
・・・
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明のシステムでは試料ホルダーにサイドエントリー方式を採用し、このホルダーの共用化を可能とすることによって、試料の載せ替えをしないでもFIBによる加工,TEM,SEMによる観察を可能にする。TEM試料作成の場合はホルダーの共用化を可能とするためには試料が少なくとも90度回転しても加工または観察が可能であることが必要であり、このため、本発明では切欠きのあるサイドエントリー試料ホルダーを一例として示した。」と記載され、同(甲4-2)に、
「【0006】【実施例】本発明の一実施例を図1を用いて説明する。この装置は、イオン源,カラム系,試料室,制御系(図示していない)から構成されている。イオン源はエミッター1,シールド電極2,引出電極3から構成されている。カラム系は、コンデンサーレンズ4,絞り5,走査電極6,対物レンズ7から構成されている。試料室8は試料微動装置10,試料ホルダー11,二次粒子検出器9から構成されている。試料12は試料ホルダーの先端に取り付けられている。
・・・
【0008】ここでは試料として半導体メモリーを考える。4M-DRAMの場合、加工線幅は約0.8μm であり、欠陥の不良解析をTEMを用いて行う場合、試料は0.8μm のなるべく中心で100nm以下の薄膜を作成する必要がある。この場合まずウエハー上の観察すべき点を中心にして、200μm×1000μm程度に機械的に切り出す図2に試料の概略寸法を示した。この試料を図3に示すごとくに取り付ける。図3は試料ホルダー先端部を拡大したもので、試料12は試料台14上に接着剤またはばねなどで固定され、この試料台はねじ15で試料ホルダー先端に固定する。固定する場合は観察点が試料ホルダーの回転中心17の軸上に配置されるよう光学顕微鏡等を用いて行うことが望ましい。紙面に垂直上からビームがあるものとすると、図3(a)はFIBによる加工位置、図3(b)はTEMによる観察する場合の位置を示す。図3において切欠き16は図3(a)の位置においてFIB加工を行う場合イオンビームが試料に到達させるためのもので通常のTEMの試料ホルダーには必要ないものである。
【0009】このようにして取り付けた試料を試料ホルダーごと試料微動装置10に挿入する。試料微動装置10はいわゆるサイドエントリー試料ステージであり、この機構には試料室と大気を遮断するバルブ,試料交換する場合の差動排気系が含まれる。試料を挿入する場合の方法の説明はここでは省略する。サイドエントリーステージを用いると、試料ホルダー11の先端に試料12を設置出来、この部分と使用時に真空外に出ているつまみ部が一体となっており、試料の手による搬送に好都合である。挿入された試料は前記した方法で加工される。FIBによる加工部は図2の13の部分である。・・・」と記載されていることから、甲第4号証には、回転可能な試料ホルダーの先端部の試料台14に、機械的に切り出した試料を接着剤またはばねなどで固定し、試料ホルダーごと試料微動装置10に挿入して、試料室8で、切り出した試料にイオンビームが到達し、薄膜を作成する集束イオンビーム装置が記載されていることになる。
以上のことから、上記甲2号証、又は甲第4号証には、回転可能なホルダに、機械加工された試料片を、接着剤、粘着テープ、ばね等で固定して試料室に挿入し、集束イオンビームを照射して薄膜加工するFIB装置が記載されているものの、甲第2号証、又は甲第4号証では、試料から機械加工された試料片が、試料ホルダに、接着剤、粘着テープ、ばね等によりFIB装置外で固定されるものであり、FIB装置の真空な試料室内で、試料から機械加工された試料片を、試料ホルダに保持させるものではない。
そうすると、甲第2号証、又は甲第4号証のように、回転可能なホルダに、機械加工された試料片を、接着剤、粘着テープ、ばね等で固定して試料室に挿入し、集束イオンビームを照射して薄膜加工するFIB装置が周知の技術事項であったとしても、この周知の技術事項は、試料から機械加工された試料片が、試料ホルダに、接着剤、粘着テープ、ばね等によりFIB装置外で固定されるものであり、FIB装置の真空な試料室内で、試料から機械加工された試料片を、試料ホルダに保持させるものではないから、上記(あ-2)で検討したように、試料回転装置120に固定された試料2から分離試料9を切り出し、切り出された分離試料9を堆積膜8でプローブ31に接続し、接続された分離試料9を所要の箇所にマニピュレータ112で移動させ、分離試料9の薄肉部9aを集束イオンビーム(FIB)1で薄膜化する作業を全て真空の試料室内で行っている引用発明のFIB装置に、甲第2号証、又は甲第4号証の、試料室外で回転可能な試料ホルダに、試料から機械加工された試料片を固定する周知の構成が適用する動機付けがないことは明らかなことである。
仮に、甲第2号証、又は甲第4号証の、試料室外で回転可能な試料ホルダに、試料から機械加工された試料片を固定する周知の構成を、試料2が固定される試料回転装置120が装着され、2軸(X,Y)方向に移動可能なステージ108を有する引用発明に適用した場合、真空の試料室内で、試料回転装置120に固定されている試料2から切り出した分離試料9をいったん真空の試料室外に取り出し、回転可能な試料ホルダに試料2から切り出した分離試料9を固定し、分離試料9を固定した試料ホルダを、真空の試料室に挿入し、集束イオンビームを照射して薄膜加工するFIB装置が得られるから、本件発明2の「前記試料ステージの傾斜軸に対する前記ホルダの回転角度を変更する手段とを備える」構成は得られるものの、本件発明2と引用発明の相違点の1つである「前記イオンビームの照射により前記試料より分離した試料片を保持できるホルダと、前記試料室内において前記試料片を前記試料から摘出し前記ホルダへ移送する手段と」を備える構成が得られないのは明らかである。
さらに、甲第3号証、甲第5号証、及び甲第6号証のいずれにも、「FIB装置の真空な試料室内で、試料から機械加工された試料片を、試料ホルダに保持させる」ことは、開示されていないし、示唆もされていないことから、引用発明に甲第2号証?甲第6号証に記載された技術事項をどのように適用しても、本件発明2の「前記イオンビームの照射により前記試料より分離した試料片を保持できるホルダと、前記試料室内において前記試料片を前記試料から摘出し前記ホルダへ移送する手段と」を備える構成を得ることはできない。
(あ-4)また、上記甲第1号証の摘記事項(甲1-6)に、
「【0022】図6(a)?(b)は、本発明による分離方法を、トランジスタ素子の移植方法に利用する実施例を説明するための工程図である。移植しようとするトランジスタ素子は、予め本発明による分離方法を利用してチップから分離しておく。以下に、移植の手順を述べる。
【0023】(a) 移植先の基板部分に角穴61をFIB加工する。
(b) 加工角穴61に、分離試料63(例えばトランジスタ等)をマニピュレータを駆動して運搬し、プローブヘッドをFIBにより切断して分離試料63を角穴61内に残す。
(c) 分離試料63上の電極とチップ基板上の配線60を、移植配線62により電気的に接続する。移植配線62は分離試料63と同様にマニピュレータにより運搬し、接続はW(CO)_(6) ガス雰囲気でのFIB局所照射によるW堆積膜で行う。」と記載されている。上記甲第3号証の摘記事項(甲3-3)に
「【0035】・・・試料搬送装置で評価装置52へ搬送する。場合によっては試料をウエハ加工装置51に搬送し、劈開やイオンシニング等によってウエハを評価可能な形状に加工できるものとする。・・・評価装置がTEMである場合には、ウエハ加工装置51内に備えられたマニピュレータによって、加工された試料をSiウエハ対応の試料ホルダから実施例1で用いた2軸傾斜試料加熱ホルダに載せ替える。・・・」と記載されている。上記甲第5号証の摘記事項(甲5-2)に、
「基板上での移植場所及び基板面に対する移植方向を変更したい場合には、フレームキャリア6のアーム21と移植デバイスとを両者間に堆積膜を形成することにより再び機械的に接続し,ついで移植デバイスを基板に密着させている堆積膜7をFIB照射によるスパッタリングにより除去せしめることにより,再びマニピュレーターによる移植デバイスの移動を可能とし,再度基板上の新しい位置での新しい向きでの移植を行うことができる。」と記載されている。上記甲第6号証の摘記事項(甲6-1)に、
「デバイスTPは次の3つのプロセスから成る。(1)TP-デバイスの製作、(2)TP-デバイスの操作、つまり、TP-デバイスの基板上の望ましい場所への移転、及び(3)TP-デバイスの基板への付着である。ここで、デバイスと基板との間の機械的又は電気的接続が行われる。・・・第一にダミーのTP-デバイスが基板上の望ましい場所に移植される。3つのバイモルフ型の圧電アクチュエーターから成る単純なxyzマイクロマニピュレーターがTP-デバイスの移転に使用された。」と記載され、同(甲6-2)に「マイクロマシニング及びデバイスTP用のFIB装置の仕様について次のように検討する。・・・(3)デバイスTPのためにデバイスの操作が必要である。圧電アクチュエーターは役立つツールの一つである。」と記載されている。
上記各証拠のうち、上記甲第5号証、及び甲第6号証には、「FIB装置において、マニピュレータにより、移植デバイスを所望の場所に移動させる」ことが記載されているが、広辞苑(第5版)によれば、「試料」とは「試験・検査・分析などに供する物質や生物」と記載されていることを考慮すれば、甲第5号証、及び甲第6号証のマニュピュレータが所望の場所に移動させるのは、「デバイス移植」であり、「試料」ではないから、甲第5号証、及び甲第6号証には、マニュピュレータにより、「試料」を移動させて、「試料ホルダ」に「試料」を保持させることは記載されていないし、示唆もされていない。
また、甲第3号証には、「ウエハ加工装置51内に備えられたマニピュレータによって、加工された試料をSiウエハ対応の試料ホルダから2軸傾斜試料加熱ホルダに載せ替える」ことが記載されているが、このマニピュレータによって、加工された試料をSiウエハ対応の試料ホルダから2軸傾斜試料加熱ホルダに載せ替えることは、上記甲第3号証の摘記事項(甲3-3)に記載されているように、加工した試料を評価装置で移動させ、評価装置で評価するためのものであり、本件発明2ように、マニュピュレータのような移送する手段で、試料より分離した試料片を移送し、移送した試料片を薄壁化加工するためのホルダで保持させる構成は、記載されていないし、示唆もされていない。
さらに、甲第1号証には、「移植しようとする分離試料63(例えばトランジスタ等)をマニピュレータを駆動して角穴61内に運搬し、分離試料63上の電極とチップ基板上の配線60を、移植配線62により電気的に接続する」ことが記載されているが、マニピュレータにより運搬する分離試料63は、上記甲第5号証、及び甲第6号証に記載された、移植デバイスと同様のトランジスタ等であり、しかも、分離試料63(例えばトランジスタ等)がマニピュレータにより運搬される場所は、チップ基板上の角穴61であるから、本件発明2のように、試料より分離した試料片を移送し、移送した試料片を薄壁化加工するためのホルダではない。
そうすると、甲第1号証、甲第3号証、甲第5号証、及び甲第6号証には、「FIB装置を含む加工装置において、マニュピュレータを駆動して、移植デバイスや加工した試料を所望の場所に移動させる」ことは記載されているものの、FIB装置の真空な試料室内で、試料から機械加工された試料片を、試料ホルダに保持させる構成、又はマニピュレータのような移送する手段で、試料より分離した試料片を移送し、移送した試料片を薄壁化加工するためのホルダで保持させる構成は、記載されていないし、示唆もされていないから、引用発明に、第1号証、甲第3号証、甲第5号証、及び甲第6号証に記載された、「FIB装置を含む加工装置において、マニピュレータを駆動して、移植デバイスや加工した試料を所望の場所に移動させる」周知の構成を適用しても、引用発明のマニピュレータ112が、プローブ31と接続された分離試料9を所要の箇所に移動させる構成が得られるのみであり、さらに、上記(あ-3)で検討したように、甲第2号証、又は甲第4号証のように、回転可能なホルダに、機械加工された試料片を、接着剤、粘着テープ、ばね等で固定して試料室に挿入し、集束イオンビームを照射して薄膜加工するFIB装置が周知の技術事項であったとしても、試料から機械加工された試料片が、試料ホルダに、接着剤、粘着テープ、ばね等によりFIB装置外で固定されるものであり、FIB装置の真空な試料室内で、試料から機械加工された試料片を、試料ホルダに保持させるものではないから、引用発明に、甲第1号証?甲第6号証に記載された技術事項をどのように適用しても、本件発明2の「前記イオンビームの照射により前記試料より分離した試料片を保持できるホルダと、前記試料室内において前記試料片を前記試料から摘出し前記ホルダへ移送する手段と」を備える構成を得ることはできない。
(あ-5)そして、本件発明2の「前記イオンビームの照射により前記試料より分離した試料片を保持できるホルダと、前記試料室内において前記試料片を前記試料から摘出し前記ホルダへ移送する手段と、前記試料ステージの傾斜軸に対する前記ホルダの回転角度を変更する手段とを備える」構成により、本件特許明細書に記載された、
「【0098】
試料基板から摘出した試料片9を試料ホルダ12へ固定するに際しては、摘出試料片9の表面(元の試料基板の表面)が試料ホルダ12の上面(試料片取付け面)と垂直となるよう設定されているため、試料ホルダ設置面73aは試料ステージ面と平行になるよう静止させておき、摘出試料片9を試料ホルダ12の上面に固定する。この時、試料ホルダ設置面73aはFIB光学軸73と垂直な位置関係にある。
【0099】
この時の試料ホルダ12の向きや、FIB光学軸との位置関係をさらに明確に示すために、図8(b)に、試料ホルダ12を通り試料ホルダ回転具70の中心軸垂直な断面74を矢印Aの方向から見た断面図を示す。試料ホルダ12は、その側面16が4分割円柱部75の試料ホルダ設置面73aと同一平面上になるように、かつ、試料片9がFIB光学軸73の近傍に位置するように配置設定する。 次に、摘出試料片9の試料ホルダ12上面への固定後、試料ホルダ回転具70を適当な回転手段(図示省略)により90°回転させて、図9(a)のように試料ホルダ12の側面がFIB光学軸73とほぼ平行となるように姿勢変更する。図9(b)は、試料ホルダ12を通る断面74’を矢印Bの方向から見た図である。試料ホルダ設置面73aの90°回転によって、試料ホルダ12の上面(試料片取付け面)がFIB光学軸73と垂直な位置関係となり、試料片9の表面(元の試料基板の表面)がFIB光学軸73と平行な位置関係となる。この状態で試料片9に対し薄壁部形成のためのFIB加工を施す。」ことの効果があるのは明らかである。
(あ-6)なお、請求人は、審判請求書において、
(a)「甲1発明は、分離試料9を堆積膜8でプローブ31に支持してFIB加工により薄膜化させてTEMグリッド試料を作製しているが、その後、TEM試料は TEMグリッドに固定され、TEM装置の試料ホルダに載置されてTEM観察されるものである。上記○1(当審注:○1は、○の中に数字1が挿入されていることを意味する。)のとおり、FIB装置及びTEM装置を含む複数の処理装置において共通に使用され、試料の傾斜角度を変更可能な試料ホルダも周知技術であったし、かかる試料ホルダに切り出された試料片を固定してFIB装置に挿入し、FIB加工によってTEM試料を作製することも従来から行われていたのである。かかる周知の技術を参酌すれば、甲1発明において、周知技術と同様に試料角度を変更可能な試料ホルダに切り出された試料片を固定してFIB装置に挿入し、FIB加工によってTEM試料を作製することは当業者にとって容易に想到できる事項に過ぎないのである。」(審判請求書15頁6?16行)と主張し、さらに、
(b)「マニピュレータ有するFIB装置において、試料室内においてマニピュレータを用いて試料を移動させ、所望の箇所に移し替えることも周知技術であったことからすれば、甲1発明の分離試料9を所望の位置に搬送できるマニピュレータを用いて、プローブ31に接続された分離試料9をFIB装置に挿入された試料ホルダに移し替えることも当業者にとって容易に想到できる事項に過ぎないのである。」(審判請求書15頁17?22行)と主張している。
しかしながら、請求人が主張するように、FIB装置及びTEM装置を含む複数の処理装置において共通に使用され、試料の傾斜角度を変更可能な試料ホルダが周知技術であり、さらに、かかる試料ホルダに切り出された試料片を固定してFIB装置に挿入し、FIB加工によってTEM試料を作製することが周知であったとしても、上記(あ-3)において検討したように、甲第2号証、又は甲第4号証には、試料から機械加工された試料片が、試料ホルダに、接着剤、粘着テープ、ばね等によりFIB装置外で固定されることが記載されているにすぎず、FIB装置の真空な試料室内で、試料から機械加工された試料片を、試料ホルダに保持させることが記載されていないことから、試料回転装置120に固定された試料2から分離試料9を切り出し、切り出された分離試料9を堆積膜8でプローブ31に接続し、接続された分離試料9を所要の箇所にマニピュレータ112で移動させ、分離試料9の薄肉部9aを集束イオンビーム(FIB)1で薄膜化する作業を全て真空の試料室内で行っている引用発明のFIB装置に、甲第2号証、又は甲第4号証の試料室外で試料ホルダに試料から機械加工された試料片を固定する周知の構成が適用できないのは自明な事項である。
仮に、甲第2号証、又は甲第4号証の試料室外で、回転可能な試料ホルダに、試料から機械加工された試料片を固定する周知の構成を引用発明に適用した場合、真空の試料室内で試料2から切り出した分離試料9をいったん真空の試料室外に取り出し、回転可能な試料ホルダに試料2から切り出した分離試料9を固定し、分離試料9を固定した試料ホルダを、真空の試料室に挿入し、集束イオンビームを照射して薄膜加工するFIB装置が得られるものの、「前記イオンビームの照射により前記試料より分離した試料片を保持できるホルダと、前記試料室内において前記試料片を前記試料から摘出し前記ホルダへ移送する手段と」を備える構成が得られないのは明らかであり、請求人の上記(a)の主張は採用できないものである。
そして、請求人が主張するように、マニピュレータ有するFIB装置において、試料室内においてマニピュレータを用いて試料を移動させ、所望の箇所に移し替えることも周知技術であったとしても、上記(あ-4)において検討したように、引用発明に、第1号証、甲第3号証、甲第5号証、及び甲第6号証に記載された、「FIB装置を含む加工装置において、マニピュレータを駆動して、移植デバイスや加工した試料を所望の場所に移動させる」周知の構成を適用しても、引用発明のマニピュレータ112が、プローブ31と接続された分離試料9を所要の箇所に移動させる構成が得られるのみであり、さらに、上記(あ-3)で検討したように、甲第2号証、又は甲第4号証には、試料から機械加工された試料片が、試料ホルダに、接着剤、粘着テープ、ばね等によりFIB装置外で固定される構成が記載されているのみで、FIB装置の真空な試料室内で、試料から機械加工された試料片を、試料ホルダに保持させる構成は記載されていないことから、引用発明の分離試料9を所望の位置に搬送できるマニピュレータに、「FIB装置を含む加工装置において、マニピュレータを駆動して、移植デバイスや加工した試料を所望の場所に移動させる」周知の構成を適用しても、引用発明の分離試料9を所望の位置に搬送できるマニピュレータを用いて、プローブ31に接続された分離試料9をFIB装置に挿入された試料ホルダに移し替えることはできないから、請求人の上記(b)の主張は採用できないものである。
また、請求人は、
(c)甲1発明のFIB装置は、TEM試料を作製するものであるから、甲2発明、甲3発明及び周知技術を参酌して、目的の試料を複数の処理装置間で搬送可能とし、効率よく構造解析及び組成分析を行うために、甲2発明に開示された透過型電子顕微鏡の試料室にも、集束イオンビーム装置の試料室内にも共通して使用され、二軸方向に試料を傾斜可能なTEM用試料ホルダを挿入可能に構成し、さらに甲3発明に開示されているように、ウエハ加工装置であるFIB装置内に備えられたマニピュレータを用いて試料をTEM用試料ホルダに載せ替え、TEM用試料ホルダに取り付けられた試料をFIB加工によって薄膜化してTEM試料を作製することは当業者にとって容易に想到できる事項である。」(審判請求書16頁9?17行)と主張している。
しかしながら、上記(a)において検討したように、甲第2号証には、試料から機械加工された試料片が、試料ホルダに、接着剤、粘着テープ、ばね等によりFIB装置外で固定される構成が記載されているものの、FIB装置の真空な試料室内で、試料から機械加工された試料片を、試料ホルダに保持させる構成は記載されていないし、さらに、甲第3号証には、ウエハ加工装置51内に備えられたマニピュレータによって、加工された試料をSiウエハ対応の試料ホルダから2軸傾斜試料加熱ホルダに載せ替えることが記載されているものの、マニュピュレータのような移送する手段で、試料より分離した試料片を移送し、移送した試料片を薄壁化加工するためのホルダで保持させる構成は、記載されていないし、また、FIB装置を含む加工装置において、マニピュレータを駆動して、移植デバイスや加工した試料を所望の場所に移動させる周知技術にも、FIB装置の真空な試料室内で、試料から機械加工された試料片を、試料ホルダに保持させる構成、又はマニピュレータのような移送する手段で、試料より分離した試料片を移送し、移送した試料片を薄壁化加工するためのホルダで保持させる構成は、記載されていないことから、上記(c)において、請求人の主張するような、ウエハ加工装置であるFIB装置内に備えられたマニピュレータを用いて試料をTEM用試料ホルダに載せ替え、TEM用試料ホルダに取り付けられた試料をFIB加工によって薄膜化してTEM試料を作製する構成は得られないことは明らかである。

(3-2-3)小括
したがって、本件発明2は、相違点(あ)について、甲第1号証に記載された発明及び周知技術(甲第2号証?甲第6号証)に基づいて、又は甲第1号証?甲第3号証に記載された発明及び周知技術(甲第4号証?甲第6号証)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって、請求人の主張する無効理由によっては、本件発明2を無効とすることはできない。

(3-21-1)次に、本件発明21と引用発明とを対比する。
(i)本件発明21と本件発明2との構成上の差異は、本件発明21は、本件発明2の「前記試料室内において前記試料片を前記試料から摘出し前記ホルダへ移送する手段と、前記試料ステージの傾斜軸に対する前記ホルダの回転角度を変更する手段とを備えることを特徴とする試料作製装置。」の構成を、「前記真空試料室内において前記試料片を前記試料から摘出し前記試料ホルダへ移送する手段と、前記試料ステージの傾斜軸に対して平行な軸を中心に前記試料ホルダを回転させる手段とを備え、前記試料ホルダの回転により、該試料ホルダに保持された前記試料片の姿勢を変更し、該試料片の加工を前記真空試料室内で実行することを特徴とする試料作製装置。」の構成に変更したのみで、その他の構成は本件発明21と本件発明2とは、ともに同じ構成であるから、上記「(3-2-1)」において検討した、本件発明2と引用発明との対比を参考にすると、本件発明21と引用発明とは、
「試料を載置する、傾斜可能な試料ステージと、
該試料ステージが設置される真空排気可能な試料室と、
前記試料にイオンビームを照射する照射光学系とを備える試料作製装置。」
である点で一致し、次の相違点(い)で相違する。

・相違点(い)
本件発明21は「前記イオンビームの照射により試料より分離した試料片を保持できる試料ホルダと、前記真空試料室内において前記試料片を前記試料から摘出し前記試料ホルダへ移送する手段と、前記試料ステージの傾斜軸に対して平行な軸を中心に前記試料ホルダを回転させる手段とを備え、 前記試料ホルダの回転により、該試料ホルダに保持された前記試料片の姿勢を変更し、該試料片の加工を前記真空試料室内で実行する」のに対して、引用発明では、試料2から切り出された分離試料9と堆積膜8で接続されるプローブ31と、先端にプローブ31を装着し、プローブ31と接続された分離試料9を所要の箇所に移動させるマニピュレータ112とを備えている点。

(3-21-2)相違点の検討・判断
・相違点(い)について
(い-1)上記「(3-2-2)相違点の検討・判断」の「・相違点(あ)について」において検討したように、
甲第2号証、又は甲第4号証に記載されているように、回転可能なホルダに、機械加工された試料片を、接着剤、粘着テープ、ばね等で固定して試料室に挿入し、集束イオンビームを照射して薄膜加工するFIB装置が周知の技術事項であったとしても、試料から機械加工された試料片が、試料ホルダに、接着剤、粘着テープ、ばね等によりFIB装置外で固定されるものであり、FIB装置の真空な試料室内で、試料から機械加工された試料片を、試料ホルダに保持させるものではないから、試料回転装置120に固定された試料2から分離試料9を切り出し、切り出された分離試料9を堆積膜8でプローブ31に接続し、接続された分離試料9を所要の箇所にマニピュレータ112で移動させ、分離試料9の薄肉部9aを集束イオンビーム(FIB)1で薄膜化する作業を全て真空の試料室内で行っている引用発明のFIB装置に、甲第2号証、又は甲第4号証の試料室外で試料ホルダに試料から機械加工された試料片を固定する周知の構成が適用できないのは自明な事項である。
仮に、甲第2号証、又は甲第4号証の試料室外で、回転可能な試料ホルダに、試料から機械加工された試料片を固定する周知の構成を引用発明に適用しようと場合、真空の試料室内で試料2から切り出した分離試料9をいったん真空の試料室外に取り出し、回転可能な試料ホルダに試料2から切り出した分離試料9を固定し、分離試料9を固定した試料ホルダを、真空の試料室に挿入し、集束イオンビームを照射して薄膜加工するFIB装置が得られるから、「前記試料ステージの傾斜軸に対する前記ホルダの回転角度を変更する手段とを備える」構成は得られるものの、本件発明21の、「前記イオンビームの照射により試料より分離した試料片を保持できる試料ホルダと、前記真空試料室内において前記試料片を前記試料から摘出し前記試料ホルダへ移送する手段と、前記試料ステージの傾斜軸に対して平行な軸を中心に前記試料ホルダを回転させる手段とを備え、前記試料ホルダの回転により、該試料ホルダに保持された前記試料片の姿勢を変更し、該試料片の加工を前記真空試料室内で実行する」構成が得られないのは明らかである。
さらに、甲第3号証、甲第5号証、及び甲第6号証のいずれにも、「FIB装置の真空な試料室内で、試料から機械加工された試料片を、試料ホルダに保持させる」ことは、開示されていないし、示唆もされていないことから、引用発明に甲第2号証?甲第6号証に記載された技術事項をどのように適用しても、本件発明21の「前記イオンビームの照射により試料より分離した試料片を保持できる試料ホルダと、前記真空試料室内において前記試料片を前記試料から摘出し前記試料ホルダへ移送する手段と、前記試料ステージの傾斜軸に対して平行な軸を中心に前記試料ホルダを回転させる手段とを備え、前記試料ホルダの回転により、該試料ホルダに保持された前記試料片の姿勢を変更し、該試料片の加工を前記真空試料室内で実行する」を備える構成を得ることはできない。
(い-2)また、甲第1号証、甲第3号証、甲第5号証、及び甲第6号証には、「FIB装置を含む加工装置において、マニュピュレータを駆動して、移植デバイスや加工した試料を所望の場所に移動させる」ことは記載されているものの、FIB装置の真空な試料室内で、試料から機械加工された試料片を、試料ホルダに保持させる構成、又はマニピュレータのような移送する手段で、試料より分離した試料片を移送し、移送した試料片を薄壁化加工するためのホルダで保持させる構成は、記載されていないし、示唆もされていないから、引用発明に、第1号証、甲第3号証、甲第5号証、及び甲第6号証に記載された、「FIB装置を含む加工装置において、マニピュレータを駆動して、移植デバイスや加工した試料を所望の場所に移動させる」周知の構成を適用しても、引用発明のマニピュレータ112が、プローブ31と接続された分離試料9を所要の箇所に移動させる構成が得られるのみであり、さらに、上記(い-1)で検討したように、甲第2号証、又は甲第4号証のように、回転可能なホルダに、機械加工された試料片を、接着剤、粘着テープ、ばね等で固定して試料室に挿入し、集束イオンビームを照射して薄膜加工するFIB装置が周知の技術事項であったとしても、試料から機械加工された試料片が、試料ホルダに、接着剤、粘着テープ、ばね等によりFIB装置外で固定されるものであり、FIB装置の真空な試料室内で、試料から機械加工された試料片を、試料ホルダに保持させるものではないから、引用発明に、甲第1号証?甲第6号証に記載された技術事項をどのように適用しても、「前記試料ステージの傾斜軸に対する前記ホルダの回転角度を変更する手段とを備える」構成は得られるものの、本件発明21の「前記イオンビームの照射により試料より分離した試料片を保持できる試料ホルダと、前記真空試料室内において前記試料片を前記試料から摘出し前記試料ホルダへ移送する手段と、前記試料ステージの傾斜軸に対して平行な軸を中心に前記試料ホルダを回転させる手段とを備え、 前記試料ホルダの回転により、該試料ホルダに保持された前記試料片の姿勢を変更し、該試料片の加工を前記真空試料室内で実行する」構成を得ることはできない。
(い-3)そして、本件発明21の、「前記イオンビームの照射により試料より分離した試料片を保持できる試料ホルダと、前記真空試料室内において前記試料片を前記試料から摘出し前記試料ホルダへ移送する手段と、前記試料ステージの傾斜軸に対して平行な軸を中心に前記試料ホルダを回転させる手段とを備え、 前記試料ホルダの回転により、該試料ホルダに保持された前記試料片の姿勢を変更し、該試料片の加工を前記真空試料室内で実行する」構成により、本件特許明細書に記載された、
「【0098】
試料基板から摘出した試料片9を試料ホルダ12へ固定するに際しては、摘出試料片9の表面(元の試料基板の表面)が試料ホルダ12の上面(試料片取付け面)と垂直となるよう設定されているため、試料ホルダ設置面73aは試料ステージ面と平行になるよう静止させておき、摘出試料片9を試料ホルダ12の上面に固定する。この時、試料ホルダ設置面73aはFIB光学軸73と垂直な位置関係にある。
【0099】
この時の試料ホルダ12の向きや、FIB光学軸との位置関係をさらに明確に示すために、図8(b)に、試料ホルダ12を通り試料ホルダ回転具70の中心軸垂直な断面74を矢印Aの方向から見た断面図を示す。試料ホルダ12は、その側面16が4分割円柱部75の試料ホルダ設置面73aと同一平面上になるように、かつ、試料片9がFIB光学軸73の近傍に位置するように配置設定する。 次に、摘出試料片9の試料ホルダ12上面への固定後、試料ホルダ回転具70を適当な回転手段(図示省略)により90°回転させて、図9(a)のように試料ホルダ12の側面がFIB光学軸73とほぼ平行となるように姿勢変更する。図9(b)は、試料ホルダ12を通る断面74’を矢印Bの方向から見た図である。試料ホルダ設置面73aの90°回転によって、試料ホルダ12の上面(試料片取付け面)がFIB光学軸73と垂直な位置関係となり、試料片9の表面(元の試料基板の表面)がFIB光学軸73と平行な位置関係となる。この状態で試料片9に対し薄壁部形成のためのFIB加工を施す。」の効果があるのは明らかである。

(3-21-3)小括
したがって、本件発明21は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術(甲第2号証?甲第6号証)に基づいて、又は甲第1号証?甲第3号証に記載された発明及び周知技術(甲第4号証?甲第6号証)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって、請求人の主張する無効理由によっては、本件発明21を無効とすることはできない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠によっては、本件発明2に係る特許、及び本件発明21に係る特許を無効とすることができない。また、本件発明2に係る特許、及び本件発明21に係る特許を無効とすべき他の理由を発見しない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2011-12-26 
出願番号 特願平11-13130
審決分類 P 1 123・ 121- Y (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西村 直史  
特許庁審判長 後藤 時男
特許庁審判官 横井 亜矢子
岡田 孝博
登録日 2006-05-19 
登録番号 特許第3805547号(P3805547)
発明の名称 試料作製装置  
代理人 鷺 健志  
代理人 磯田 志郎  
代理人 永島 孝明  
代理人 安國 忠彦  
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