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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1263402
審判番号 不服2009-22734  
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-11-20 
確定日 2012-09-12 
事件の表示 特願2006-130983「キーパッド、キーパッドアセンブリ及び携帯端末」拒絶査定不服審判事件〔平成18年11月30日出願公開、特開2006-323843〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は,平成18年5月10日(パリ条約による優先権主張2005年5月19日,大韓民国)の出願であって,平成21年7月14日付けで拒絶査定がなされ,これに対して同年11月20日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに,同日付けで手続補正がなされ,平成23年11月25日付けの当審の拒絶理由通知に対して平成24年3月22日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成24年3月22日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「 【請求項1】
全反射によって光を内部へ広げるように導くための,平板状に形成された柔軟性を有する導光板と,
前記導光板の側面に対向するように配置され,前記導光板の内部へ光を結合させる少なくとも一つの発光素子と,
前記導光板の上面上に保持され,押圧方向に押し込まれる複数のキーボタンと,
前記キーボタンと対応するように前記導光板に局所的に形成され,前記導光板内に広がる光の一部を前記キーボタン側に反射するための,複数の反射パターンと,
前記押圧方向の軸線上で前記導光板に形成された複数の突起部と,
を含むことを特徴とするキーパッド。」

3.引用例
(1)引用例1の記載事項及び引用例1発明
これに対して,当審において,平成23年11月25日付けで通知した拒絶の理由において引用した「特開2001-167655号公報」(以下,「引用例1」という。)には,図面とともに,次の(ア)?(ウ)の事項が記載されている。(下線は当審において付加したものである。)

(ア)「【0014】
【発明の実施の形態】以下,本発明を図面に基づいて説明する。図1及び図2は本発明の押ボタンスイッチの照明装置を適用した携帯電話の1例を示し,図1は分解斜視図,図2は操作キーの位置における断面図である。図1に示すように,本発明の押ボタンスイッチの照明装置を適用した携帯電話は,従来技術と同様に,上ケース1と下ケース2からなるケースの中に,回路基板となると共に,全体の基板を構成する剛体の基板3が配置されている。この基板3の上方には,押圧することによって電話番号等を入力する複数個の操作キー4が配置されたキーパッド5が配置されている。このキーパッド5の操作キー4の下方には,後述する導光板6を介して,それぞれの操作キー4に対応する複数個のスイッチング素子7が基板3に保持されている。そして,キーパッド5に設けられた操作キー4は,上ケース1に設けられた操作キーの挿通孔1aを挿通して上ケース1の表面に突出している。」

(イ)「【0016】キーパッド5と基板3上のスイッチング素子7との間には,キーパッド5に配置された操作キー4を内側から照明する照明装置として,導光板6が設けられている。この導光板6は,透明で可撓性の材質によって成形されており,線状又は複数個の点状の発光体を有する光源8から投射された光をキーパッド5の下面に投射するものである。そして,上ケース1と下ケース2との間に,各種部品が取り付けられた基板3と,操作キー4を内側から照明する導光板6,多数個の操作キー4が設けられたキーパッド5とを組み付けて一体に組み立てることによって携帯電話が構成されている。
【0017】図2は操作キー4の位置における断面図であって,図に示すように,基板3上に配置されたスイッチング素子7の上方に,導光板6を介してキーパッド5の操作キー4が配置されている。この操作キー4の下面には凸部4aが設けられており,操作キー4を押圧することによって,凸部4aが可撓性の導光板6を介して基板3上のスイッチング素子7を押圧し,スイッチングを行うように構成されている。
【0018】このキーパッド5は,従来技術と同様に,透明又は半透明で可撓性の材質によって成形されており,操作キー4の上面に数字又は記号を不透明な印刷インクで印刷した印刷面4bが設けられているので,キーパッド5の操作キー4を押圧することによって,凸部4aが可撓性の導光板6を介して基板3上のスイッチング素子7を押圧してスイッチングさせるとともに,キーパッド5の下面に投射された光がキーパッド5を透過して,不透明な印刷インクで印刷された数字又は記号が読み取れるように構成されている。
【0019】導光板6は,本発明の操作キー4を内側から照明する照明装置であって,従来技術と同様に,携帯電話を暗所で操作するときに,操作キー4の位置を見ることができるように設けられるものである。そして,何れかのキーを操作することによって点灯し,所定の時間だけキー操作が行われないときには自動的に消灯するようになっている。この照明装置は,点灯してキーパッド5を下面から照明したときに,操作キー4の透明又は半透明となっている部分或いは操作キー4と上ケース1に設けられた操作キーとの挿通孔1aとの隙間等を透過して内部の光が外部に投射されて,暗所でも操作キー4を読み取り可能な程度に照明する。
【0020】そして,この操作キー4を内側から照明する照明装置である導光板6は,液晶表示装置のバックライトとして使用される公知の導光板とほぼ同様のものであって,図1に示すように,1側面に光源8を有しており,図2に示すように,この光源8からの光Aとして導光板6の内部に入射され,この光をほぼ90度屈折して光Bとして操作キー4の下面に投射するものである。この導光板6は,液晶表示装置のバックライトとして周知になっているように,ほぼ45度に形成されたプリズムアレイによって光を反射してほぼ90度屈折させることも可能であり,或いは,表面にホログラムを形成し,このホログラムによって光をほぼ90度回折させて操作キー4の下面に投射するものであってもよい。
【0021】この導光板6の内部に入射した光を90度屈折させて操作キー4の下面に投射する屈折面6aの大きさは,操作キー4を透過して外部に投射される光の範囲のみで足りるので,不要な部分から光を操作キー4の下面に投射することによる光のロスを避けるために,図1に示すように,光を操作キー4の下面に投射する位置のみに不連続に配置することが望ましい。そして,この屈折面6aは,図1では4角形に描かれているが,円形,楕円形等の任意の形状にすることができる。また,屈折面6aは,このように部分的に形成する際の加工の容易さや屈折する光の効率等を勘案すると,表面にホログラムを形成し,このホログラムによって光を回折させる屈折面が望ましい。」

(ウ)「【0022】このようにして導光板6を介して基板3上のスイッチング素子7を押圧する際には,当然ながら導光板6は大きく変形し,屈折面6aの位置が変わるので,操作キー4の下面に投射される光の量は変形した部分で大きく変化する。しかし,この操作キー4の照明は,暗所で操作するときに操作キー4の位置を見ることができるように設けられるもので,操作キー4を操作しているときに光量が変化しても全く支障はない。
【0023】尚,図2では,キーパッド5,導光板6,基板3上のスイッチング素子7の間にそれぞれ十分な隙間があるように描かれているが,実際には,導光板6の変形を少なくするとともに位置を安定させるために,相互に密着し,或いは少なくとも接近した位置に配置することが望ましい。」

上記摘記事項(ア)?(ウ)の記載及び図面の記載を総合すると,引用例1には以下の発明(以下,「引用例1発明」という。)が記載されていると認められる。

「上ケース1と下ケース2からなるケースの中に,回路基板となると共に,全体の基板を構成する剛体の基板3が配置され,この基板3の上方には,押圧することによって電話番号等を入力する複数個の操作キー4が配置されたキーパッド5が配置され,このキーパッド5の操作キー4の下方には,導光板6を介して,それぞれの操作キー4に対応する複数個のスイッチング素子7が基板3に保持されている,押ボタンスイッチの照明装置であって,
キーパッド5と基板3上のスイッチング素子7との間には,キーパッド5に配置された操作キー4を内側から照明する照明装置として,導光板6が設けられており,この導光板6は,透明で可撓性の材質によって成形されており,線状又は複数個の点状の発光体を有する光源8から投射された光をキーパッド5の下面に投射するものであり,
基板3上に配置されたスイッチング素子7の上方に,導光板6を介してキーパッド5の操作キー4が配置されており,この操作キー4の下面には凸部4aが設けられており,操作キー4を押圧することによって,凸部4aが可撓性の導光板6を介して基板3上のスイッチング素子7を押圧し,スイッチングを行うように構成されており,
キーパッド5は,透明又は半透明で可撓性の材質によって成形されており,操作キー4の上面に数字又は記号を不透明な印刷インクで印刷した印刷面4bが設けられているので,キーパッド5の操作キー4を押圧することによって,凸部4aが可撓性の導光板6を介して基板3上のスイッチング素子7を押圧してスイッチングさせるとともに,キーパッド5の下面に投射された光がキーパッド5を透過して,不透明な印刷インクで印刷された数字又は記号が読み取れるように構成されており,
導光板6は,操作キー4を内側から照明する照明装置であって,この照明装置は,点灯してキーパッド5を下面から照明したときに,操作キー4の透明又は半透明となっている部分を透過して内部の光が外部に投射されて,暗所でも操作キー4を読み取り可能な程度に照明するものであり,
導光板6は,液晶表示装置のバックライトとして使用される公知の導光板とほぼ同様のものであって,1側面に光源8を有しており,この光源8からの光Aとして導光板6の内部に入射され,この光をほぼ90度屈折して光Bとして操作キー4の下面に投射するものであり,この導光板6は,ほぼ45度に形成されたプリズムアレイによって光を反射してほぼ90度屈折させることも可能であり,或いは,表面にホログラムを形成し,このホログラムによって光をほぼ90度回折させて操作キー4の下面に投射するものであってもよく,
導光板6の内部に入射した光を90度屈折させて操作キー4の下面に投射する屈折面6aの大きさは,操作キー4を透過して外部に投射される光の範囲のみで足りるので,不要な部分から光を操作キー4の下面に投射することによる光のロスを避けるために,光を操作キー4の下面に投射する位置のみに不連続に配置するようにし,
キーパッド5,導光板6,基板3上のスイッチング素子7は,相互に密着した位置に配置するように構成した,
押ボタンスイッチの照明装置。」

(2)引用例2の記載事項
当審において,平成23年11月25日付けで通知した拒絶の理由において引用した「特開平2-270229号公報」(以下,「引用例2」という。)には,図面とともに,次の(エ)の事項が記載されている。(下線は当審において付加したものである。)

(エ)「導光板6はアクリル等の透明板よりなり,個々のスイッチ素子54に対応する位置に所定面積の開口部61とスイッチ素子の位置以外でキーグループ名表示72を必要とする位置に所定幅のV溝62とが形成されている。これら開口部の端面61a,61bやV溝の底面は,傾斜を有する粗面に形成されて,内部を伝播してきた光を全方向へ拡散出射させる。
そして導光板6の周囲には遮光部材81で3方を囲まれた蛍光ランプ等の直管状の光源8が,その光が4辺の端面から導光板6の内部に入射するように配置されている。
表面シート7は,柔軟性のある薄い透明シート材よりなり,各スイッチ素子を覆う位置に該スイッチ素子に対応する数字や文字等の表示ラベル71が,またその他の位置にキーグループ等の名称表示72が印刷表示されされたもので,導光板6の上側に積層されてキースイッチ部5を保護している。
次に第2図(a)の拡大断面図により上記構成になるキーボードの動作を説明する。
光源8から導光板6に入射した光のうち,導光板の表面62(当審注:「表面62」は,表面63」の誤記である。)に入射する入射角が表面63における臨界角より大きい光成分82は,全反射を繰り返しなから導光板6の内部を伝播する。」(第3頁右上欄第17行?同頁左下欄第19行)

上記摘記事項(エ)の記載によれば,引用例2には,「アクリル等の透明板よりなる導光板6の端面から光源8の光を入射すると,光源8から入射した光のうち,導光板の表面63に入射する入射角が表面63における臨界角より大きい光成分82は,全反射を繰り返しながら導光板6の内部を伝搬する。」との技術的事項(以下,「引用例2記載事項」という。)が記載されていると認められる。

(3)引用例3の記載事項
当審において,平成23年11月25日付けで通知した拒絶の理由において引用した「特開2003-157738号公報」(以下,「引用例3」という。)には,図面とともに,次の(オ)の事項が記載されている。(下線は当審において付加したものである。)

(オ)「【0028】このようにして,導光板21内から下面に設けられた導光パターン21bに入射した光は,導光パターン21bにより乱反射され,拡散されて導光板21の上面から上方に出射する。これにより,導光板21から上方に拡散して出射した光が,キー入力装置10の透明基板11のキー部12,カバー13の操作部13aを透過し,ケース14のキー孔14aを通過することにより,各キー孔14a内のカバー13の各操作部13aがバック照明されて,キー照明が行なわれることになる。」

上記摘記事項(オ)の記載によれば,引用例3には,「導光板21の下面に設けられた導光パターン21bにより,入射した光を乱反射して,導光板21の上面から上方に出射することにより,キー照明を行う。」との技術的事項(以下,「引用例3記載事項」という。)が記載されていると認められる。

(4)引用例4の記載事項
当審において,平成23年11月25日付けで通知した拒絶の理由において引用した「実願平1-143070号(実開平3-82521号)のマイクロフィルム」(以下,「引用例4」という。)には,図面とともに,次の(カ)の事項が記載されている。(下線は当審において付加したものである。)

(カ)「キーボード2のフレキシブル回路基板11の下面には光伝達用パネル21が設けられている。光伝達用パネル21のパネル一端部下面はバックライト5の一端部上面に配置されている。そして,この光伝達用パネル21は,パネル一端部下面から垂直に入射された光が,パネル一端部上面に形成されたテーパ面22で全反射され,この全反射された光がパネル上下面で更に全反射されることにより,パネル全域に拡散され,更にキートップ19の下方におけるパネル下面に形成された光乱反射用凹凸部23で乱反射された光の一部がフレキシブル回路基板11の下面に入射されるようになっている。
この携帯型電子機器では,バックライト5の点灯により,液晶表示パネル4を暗い場所で目視することが可能な状態になると,バックライト5の一端部から照射された光が光伝達用パネル21の一端部下面に垂直に入射される。この入射された光は,光伝達用パネル21のテーパ面22で全反射され,更にパネル上下面で全反射され,パネル全域に拡散され,光乱反射用凹凸部23で乱反射される。この乱反射された光の一部は,フレキシブル回路基板11の下面に入射され,フレキシブル回路基板11を透過してキートップ19の下面に入射され,キートップ19を透過して外部に照射される。
したがって,この携帯型電子機器におけるキートップ照明機構では,蓄光しなくても,キートップ19を発光させることができる上,専用の光源を用いることなく,キートップ19を暗い場所で長時間発光させることが可能となる。」(第7頁第19行?第9頁第9行)

上記摘記事項(カ)の記載によれば,引用例4には,「キーボード2のフレキシブル回路基板11の下面には光伝達用パネル21が設けられており,キートップ19の下方における光伝達用パネルの下面に形成された光乱反射用凹凸部23で乱反射された光の一部がフレキシブル回路基板11の下面に入射されて,キートップ19を発光させることができる。」との技術的事項(以下,「引用例4記載事項」という。)が記載されていると認められる。

4.対比
本願発明と引用例1発明とを対比する。

(a)引用例1発明の「導光板6」は,「液晶表示装置のバックライトとして使用される公知の導光板とほぼ同様のものであって,1側面に光源8を有しており,この光源8からの光Aとして導光板6の内部に入射され」るものであるから,本願発明の「導光板」と引用例1発明の「導光板6」とは,「光を内部へ広げるように導くための導光板」である点で共通している。
また,引用例1発明の「導光板6」は,図1の記載からみて,「平板状に形成された」ものであることは明らかであり,また,「透明で可撓性の材質によって成形されて」いるから,「柔軟性を有する」ものであるといえる。
してみれば,本願発明の「導光板」と引用例1発明の「導光板6」とは,後記する点で相違するものの,ともに「光を内部へ広げるように導くための,平板状に形成された柔軟性を有する導光板」である点で共通している。

(b)引用例1発明では,導光板6は,「1側面に光源8を有しており,この光源8からの光Aとして導光板6の内部に入射され」るものであるから,引用例1発明の「光源8」が,本願発明の「導光板の側面に対向するように配置され,前記導光板の内部へ光を結合させる少なくとも一つの発光素子」に相当する。

(c)引用例1発明の「操作キー4」が本願発明の「キーボタン」に相当する。
また,引用例1発明では,「基板3上に配置されたスイッチング素子7の上方に,導光板6を介してキーパッド5の操作キー4が配置されており」,また,「キーパッド5,導光板6,基板3上のスイッチング素子7は,相互に密着した位置に配置する」ように構成されているから,引用例1発明の「操作キー4」は,「導光板6の上面上に配置され」ているということができる。
引用例1発明では,基板3の上方に,「押圧することによって電話番号等を入力する複数個の操作キー4が配置されたキーパッド5が配置され」ているから,引用例1発明の操作キー4は,「押圧方向に押し込まれる」ものであり,かつ,「複数の」ものである。
してみれば,本願発明の「キーボタン」と引用例1発明の「操作キー4」とは,後記する点で相違するものの,ともに「導光板の上面上に配置され,押圧方向に押し込まれる複数のキーボタン」である点で共通している。

(d)引用例1発明の「屈折面6a」は,「操作キー4を透過して外部に投射される光の範囲のみで足りるので,光を操作キー4の下面に投射する位置のみに不連続に配置」されるものであるから,「キーボタンと対応するように局所的に形成され」るものであるということができる。
また,引用例1の図2の記載からみて,引用例1発明の「屈折面6a」が,「導光板6に複数個形成され」ていることは明らかであり,当該屈折面6aは,プリズムアレイやホログラムで実現されるものであるから,所定の「パターン」であるということができる。
また,引用例1発明の導光板6は,「光源8からの光Aとして導光板6の内部に入射された光をほぼ90度屈折して光Bとして操作キー4の下面に投射する」ものであり,この作用が「屈折面6a」による作用であることは明らかである。
してみれば,引用例1発明の「屈折面6a」と本願発明の「反射パターン」とは,後記する点で相違するものの,ともに「キーボタンと対応するように導光板に局所的に形成され,前記導光板内に広がる光の一部をキーボタン側に出射するための,複数のパターン」である点で共通する。

(e)引用例1発明の「押ボタンスイッチの照明装置」は,「導光板6」「光源8」「操作キー4」「屈折面6a」を「含む」ものである点で,本願発明の「キーパッド」に相当する。

そうすると,本願発明と引用例1発明とは,

「光を内部へ広げるように導くための,平板状に形成された柔軟性を有する導光板と,
前記導光板の側面に対向するように配置され,前記導光板の内部へ光を結合させる少なくとも一つの発光素子と,
前記導光板の上面上に配置され,押圧方向に押し込まれる複数のキーボタンと,
前記キーボタンと対応するように前記導光板に局所的に形成され,前記導光板内に広がる光の一部を前記キーボタン側に出射するための,複数のパターンと,
を含むことを特徴とするキーパッド。」

の点で一致し,以下の点で相違する。

[相違点1]
本願発明の導光板は,「全反射によって」光を内部へ導いているのに対して,引用例1発明の導光板は,「全反射によって」光を内部へ導いているとの明示的な記載が無い点。

[相違点2]
本願発明のキーボタンは,導光板の上面上に「保持され」ているのに対して,引用例1発明の操作キー4は,導光板の上面上に「配置され」てはいるものの,導光板の上面上に「保持され」ているとの明示的な記載は無い点。

[相違点3]
導光板に形成されたパターンが,本願発明では,光をキーボタン側に「反射する」ための「反射パターン」であるのに対して,引用例1発明では,光をキーボタン側に「90度屈折させる」ための「屈折面6a」である点。

[相違点4]
本願発明では,キーパッドが「前記押圧方向の軸線上で前記導光板に形成された複数の突起部」を含むのに対して,引用例1発明の照明装置は,そのような構成となっていない点。

5.当審の判断
上記相違点について検討する。

[相違点1]について
引用例1の【0016】段落には,「導光板6は,透明で可撓性の材質によって成形されて」いるとの記載があることから,引用例1発明において,導光板6の内部へ導かれる光が「全反射によって」導かれていることは自明のことである。
また,仮にそうでないとしても,例えば引用例2には,「アクリル等の透明板よりなる導光板6の端面から光源8の光を入射すると,光源8から入射した光のうち,導光板の表面63に入射する入射角が表面63における臨界角より大きい光成分82は,全反射を繰り返しながら導光板6の内部を伝搬する。」との技術的事項(引用例2記載事項)が記載されており,引用例1発明に引用例2記載事項を適用して,導光板が光を「全反射によって」内部へ導くように構成することには何ら困難性がなく,当業者が適宜なし得たことである。

したがって,相違点1に係る本願発明の構成は,引用例1発明及び引用例2記載事項に基づいて当業者が容易に想到しえたものである。

[相違点2]について
本願発明における「保持」の語の意味が必ずしも明確ではないので,発明の詳細な説明の記載を参酌すると,【0020】段落には「キーボタン」と「導光板」に関して,以下の記載がある。

「【0020】
複数のキーボタン245は,導光板220の上面222上に形成され,その上面に文字,数字などがそれぞれ印刷される。かかるキーボタン245は,導光板220と同一若しくは異なる材質で一体(one-piece)に形成されることができる。或いは,キーボタン245は,ポリカーボネートまたはアクリル系樹脂などの材質で別々に形成された後に,導光板220の上面222に取り付けられることもできる。複数のキーボタン245は,それぞれ,円柱,楕円柱などのような任意の形状を有することができる。」

この記載によれば,「導光板の上面上に保持され」るとは,「導光板220の上面222に一体に形成され,または別々に形成されて取り付けられ」ること,すなわち,キーボタンが動かないように「導光板の上面上に固定され」るとの概念を含むものと解される。
ところで,引用例1発明では,「キーパッド5,導光板6,基板3上のスイッチング素子7は,相互に密着した位置に配置する」ように構成されるものであり,それぞれが互いに動かないように密着させることが通常であることから,キーパッド5,導光板6,及び基板3上のスイッチング素子7を相互に密着させた状態で動かないように「固定」するように構成することには何ら困難性がない。
してみると,導光板6の上面上にキーパッド5を「固定」するように構成し,もって,キーパッド5に配置される操作キー4(キーボタン)が,導光板6の上面上に固定されて「保持され」るように構成することには何ら困難性はなく,当業者が適宜なし得たことである。

したがって,相違点2に係る本願発明の構成は,引用例1発明に基づいて当業者が容易に想到しえたものである。

[相違点3]について
引用例3には,「導光板21の下面に設けられた導光パターン21bにより,入射した光を乱反射して,導光板21の上面から上方に出射することにより,キー照明を行う。」との技術的事項(引用例3記載事項)が記載されている。
また,引用例4には,「キーボード2のフレキシブル回路基板11の下面には光伝達用パネル21が設けられており,キートップ19の下方における光伝達用パネルの下面に形成された光乱反射用凹凸部23で乱反射された光の一部がフレキシブル回路基板11の下面に入射されて,キートップ19を発光させることができる。」との技術的事項(引用例4記載事項)が記載されている。
そして,引用例3記載事項における「導光パターン21b」,又は引用例4記載事項における「光乱反射用凹凸部23」は,導光板内に導かれた光を「乱反射」させるためのものであるから,本願発明の「反射パターン」に相当する。
してみれば,引用例1発明の照明装置に引用例3又は4記載事項を適用して,導光板に形成されるパターンを,「屈折面6a」に代えて,「光をキーボタン側に反射するための反射パターン」で構成することには何ら困難性がなく,当業者が適宜なし得たことである。

したがって,相違点3に係る本願発明の構成は,引用例1発明及び引用例3,4記載事項に基づいて当業者が容易に想到しえたものである。

[相違点4]について
当審において,平成23年11月25日付けで通知した拒絶の理由において例示した引用例5(実願平4-53312号(実開平6-15227号)のCD-ROM)の第2図には,クリック板4の上方に設置された導光板5の,クリック板4に対向する位置にプッシャ5a(突起部)を設けること(以下,「引用例5記載事項」という。)が記載されている。そして,プッシャ5aは,「クリック板の押圧部」として機能するものであるから(引用例5の【0008】段落),プッシャ5aが,キートップ7(キーボタン)の「押圧方向の軸線上」に設けられていること,及び,キートップ7が「押圧方向に押し込まれる」と,プッシャ5aによってクリック板4(スイッチ)が押圧されることは自明のことである。
してみると,キーボタンと導光板とスイッチとがこの順に重ねられた構成において,キーボタンの「押圧方向の軸線上で導光板に突起部を形成」し,キーボタンが「押圧方向に押し込まれる」と,導光板に形成された突起部によってスイッチが押圧されるように構成することには何ら困難性がなく,当業者が適宜なし得たことである。
また,そのような作用を有する「突起部」を,平板状の部材に,キーボタンに対応させて「複数」設けることも,例えば,特開2000-113762号公報(特に第3図,「押圧部14」の記載参照),特開2004-63449号公報(特に第4図,「動作用突起部22a」の記載参照),特開2005-85582号公報(特に第2図,「押し子7」の記載参照)等に記載されているように周知技術である。
してみれば,引用例1発明に引用例5記載事項及び周知技術を適用して,キーボタン(操作キー4)の「押圧方向の軸線上で導光板に複数の突起部を形成」することにより,照明装置(キーパッド)が,「押圧方向の軸線上で導光板に形成された複数の突起部」を含むように構成することには何ら困難性がなく,当業者が適宜なし得たことである。

したがって,相違点4に係る本願発明の構成は,引用例1発明,引用例5記載事項,及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到しえたものである。

そして,本願発明の作用効果も,引用例1発明,引用例2?5記載事項,及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

よって,本願発明は,引用例1発明,引用例2?5記載事項,及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.審判請求人の意見書における主張について
(1)審判請求人は平成24年3月22日付けの意見書において,次のとおり主張している。
「(4-1) 拒絶理由通知において合議体は,[相違点3]に関し,
『[相違点3]について
例えば,引用例5には,スイッチベース上に設けられたスイッチのクリック板を押圧するために,当該クリック板の上方に設置された導光板の,クリック板に対向する位置にプッシャ5a(本願発明1における「突起部」に相当する)を設けることにより,良好なクリック感触を容易に得ることができること(以下,「引用例5記載事項」という。)が記載されている。
してみれば,引用例1発明において,良好なクリック感触を容易に得ることができるようにするために,引用例5記載事項を適用して,照明装置が「導光板に形成された少なくとも1つの突起部」を含むように構成することには何ら困難性がなく,当業者が適宜なし得たことである。』
と判断されています。
しかしながら,引用例1発明は,「操作キー4を押し込むと,導光板6の上面に操作キー4の凸部4aが点接触し,下降した凸部4aが,導光板6を介して,基板3に設けられたスイッチング素子3を,いわば面的に押圧する構成となっています(引用例1の第2図参照)。
すなわち引用例1発明にあっては,操作キー4は,導光板6に対して相対的に変位することを予定しており,本願発明1の導光板のように「キーボタンを保持させる」構成と為すことについては,何らの記載も示唆もありません。
ここで,引用例1の段落[0023]では,「尚,図2では,キーパッド5,導光板6,基板3上のスイッチング素子7の間にそれぞれ十分な隙間があるように描かれているが,実際には,導光板6の変形を少なくするとともに位置を安定させるために,相互に密着し,或いは少なくとも接近した位置に配置することが望ましい。」と述べられており,キーパッド5と導光板6とを相互に密着させることが望ましい旨の記載はされておりますが,「相互に密着させる」ことと,本願発明1のように「導光板でキーボタンを保持させる」こととは,全く異なる技術思想であると言えます。
つまり,引用例1の第1図からも理解されるように,引用例1においては,操作キー4を備えたキーパッド5を,導光板6で保持するとの技術的思想を,何ら開示乃至示唆しておりません。
このような引用例1に,他の引用例の記載事項を適用したとしても,当業者は,本願発明1のように,「キーボタンを保持する機能」を有する導光板を備えたキーパッドを導出することはできません。」(意見書第4頁第4行?同頁下から6行)

本願発明は,「前記導光板の上面上に保持され,押圧方向に押し込まれる複数のキーボタン」との事項で特定されるものであり,必ずしも,意見書で主張するような「導光板でキーボタンを保持させる」との事項で特定されるものではない。
仮に,本願発明が「導光板でキーボタンを保持させる」との事項で特定されるものであるとしても,上記「[相違点2]について」で判断したとおり,操作キー4(キーボタン)が,導光板6の上面上に固定されて「保持され」るように構成することには何ら困難性がないことから,「導光板でキーボタンを保持させる」ように構成することにも何ら困難性がない。
したがって,審判請求人の意見書における主張は採用することができない。

(2)また,審判請求人は平成24年3月22日付けの意見書において,次のとおり主張している。
「また,引用例5に記載されている導光部材(導光板5)は,全反射によって光を内部へ広げるように導くためのものではなく,平板状に形成されたものでもありませんので,当業者は,引用例1発明に引用例5の突起部(プッシャ5a)のような異形部を適用しようとする動機付けは何ら存在しないものと思料致します。」(意見書第4頁下から5行?下から2行)

しかしながら,この主張の点については,上記「[相違点4]について」で判断したとおりであるから,審判請求人の意見書における主張は採用することができない。

(3)また,審判請求人は平成24年3月22日付けの意見書の「第4頁下から1行?第7頁第6行」において,引用例1発明は,「導光板上面に操作キーの突起部が点接触する構造」であるのに対して,本願発明は,「キーボタンの下面が導光板上面に面接触する構成」である点で相違するため,本願発明は,引用例1発明に対して,「全反射を維持するとの第1の技術的特徴」と「導光板等の劣化を防止するとの第2の技術的特徴」を優位点として有する旨主張する。
確かに引用例1発明は,「操作キー4を押圧することによって,凸部4aが可撓性の導光板6を介して基板3上のスイッチング素子7を押圧し,スイッチングを行うように構成されて」いるものであるから,操作キー4の断面積よりも相対的に小さい断面積を有する凸部4aで導光板に接触しているとは認められるものの,引用例1の第2図の記載を見ても,これから直ちに,引用例1発明の凸部4aが導光板に「点接触」しているとはいえない。
また,本願発明は,「前記導光板の上面上に保持され,押圧方向に押し込まれる複数のキーボタン」との事項で特定されるにとどまるものであり,「キーボタンの下面が導光板上面に面接触する構成」を特定するものではない。
してみれば,「前記導光板の上面上に保持され,押圧方向に押し込まれる複数のキーボタン」との事項で特定されるにとどまるものである本願発明と,引用例1発明とが,審判請求人が主張するような,「面接触」と「点接触」の点で相違するとは認められない。
したがって,審判請求人の意見書における主張は採用することができない。

7.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用例1発明,引用例2?5記載事項,及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-04-11 
結審通知日 2012-04-17 
審決日 2012-05-02 
出願番号 特願2006-130983(P2006-130983)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩橋 龍太郎  
特許庁審判長 清田 健一
特許庁審判官 須田 勝巳
松尾 俊介
発明の名称 キーパッド、キーパッドアセンブリ及び携帯端末  
代理人 実広 信哉  
代理人 渡邊 隆  
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