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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1263564 |
審判番号 | 不服2010-21753 |
総通号数 | 155 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-11-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-09-28 |
確定日 | 2012-09-20 |
事件の表示 | 特願2004-323668「データ処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 5月25日出願公開、特開2006-134146〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成16年11月8日の出願であって、平成19年9月19日付けで審査請求がなされ、平成22年1月29日付けで拒絶理由通知(同年2月2日発送)がなされ、同年4月5日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、同年6月21日付けで拒絶査定(同年6月29日謄本送達)がなされ、これに対して、同年9月28日付けで審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 そして、平成22年11月10日付けで審査官により特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされ、平成24年4月6日付けで当審により特許法第134条第4項の規定に基づく審尋(同年4月10日発送)がなされ、同年6月8日付けで回答書の提出があったものである。 そして、平成22年9月28日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により補正された請求項1?6は、その記載からして、平成22年4月5日付け手続補正書の特許請求の範囲に記載されている請求項1?11から、請求項1、2、9?11を削除したものである。(補正後の請求項1?6は、それぞれ、補正前の請求項3?8に対応している。) したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除を目的としたものに該当する。 2.本願発明 本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記平成22年9月28日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。 「第1処理対象データに関する第1付加情報を取得する第1付加情報取得部と、 該第1処理対象データに関連して処理が行なわれる第2処理対象データに付加されている第2付加情報を取得する第2付加情報取得部と、 該第1付加情報および該第2付加情報と、予め設定された選択条件とに基づいて、前記複数の第2処理対象データの中から少なくとも1つの該第2処理対象データを選択する選択部と、 該選択条件を設定可能な選択条件設定部とをそなえ、 該選択部が、 該第1付加情報に基づいて該選択条件を参照することにより、前記複数の第2処理対象データの中から、該選択条件を満たす2以上の該第2処理対象データを選択する第1選択部と、 該第1選択部によって選択された前記2以上の第2処理対象データの中から、1の該第2処理対象データを選択する第2選択部とをそなえ、 該第2選択部が、当該第2処理対象データの処理履歴に基づいて、前記2以上の該第2処理対象データの中から、前記1の第2処理対象データを選択することを特徴とする、データ処理装置。」 3.先行技術 (1)引用文献に記載されている技術的事項及び引用発明の認定 本願の出願前に頒布または電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、原審の拒絶の査定の理由である上記平成22年1月29日付けの拒絶理由通知において引用された、特開平11-308513号公報(平成11年11月5日出願公開。以下、「引用文献」という。)には、図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。 A 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は撮影/記録した画像の再生時に再生画像や撮像時に記録された画像情報から自動的に抽出された撮影テーマに応じた音響情報を再生する、画像再生装置の画像再生効果補充技術に関する。」 B 「【0019】メモリ45はフラッシュメモリからなり、テーマ特徴リスト40および音響情報登録リスト50用の記憶領域および音声データ用の記憶領域が確保されており、それぞれの記憶領域には、再生画像から抽出された撮影テーマの特徴とテーマコードを対応づけるための比較用の特徴を登録したテーマ特徴リスト40と、デジタル化された音響情報データと抽出された撮影テーマを対応させた音響情報登録リスト50が記録(登録)されている。なお、メモリ45の代りにメモリーカードを用いてもよく、また、後述のメモリーカード51の記録領域の一部をテーマリスト領域および音声メモリ領域として用いてもよい。また、テーマ特徴リスト40と音響情報登録リスト50は個別に設けてもよいが、一つのリストとしてもよい。」 C 「【0026】<テーマ特徴リスト>図4はメモリ45に登録されているテーマ特徴リストの構造の一例を示す説明図であり、(a)は登録する特徴を一つとしたテーマ特徴リストの構造例を示し、(b)は複数の特徴を登録したテーマ特徴リストの例を示す。テーマ特徴リスト40には再生画像から抽出されたテーマの特徴とテーマコードを対応づけるための比較用の特徴とテーマコードが予め登録されている。また、後述するように学習処理手段240を設けた場合にはテーマ特徴リスト40に新たな特徴を追加したり、登録されている特徴の構成を変更することができる。」 D 「【0027】図4(a)で、テーマ特徴リスト40はテーマコード欄41と特徴欄42からなり、テーマコード欄41には抽出されるテーマ(海(春夏秋冬)、山(春夏秋冬)、湖、夜空、遊園地、祭・・・、子供、男、女、建物、花、動物、電車、飛行機、・・・等)を意味するテーマコードが登録され、特徴欄42にはその撮影テーマを特徴付ける値(背景色、画像類似度等再生画像から抽出可能な特徴や、月、期間(日時)、曜日、国の休日等の撮影日時から得られる時間的特徴や、高度、経度、緯度、国、州、県、島、施設など撮影時に得られる場所的(位置)特徴等)が一つ登録されている。」 E 「【0029】図4(b)で、テーマ特徴リスト40’はテーマコード欄41と複数の特徴欄42-1?42-5からなり、テーマコード欄41には図4(a)の場合と同様に抽出される撮影テーマを意味するテーマコードが登録され、特徴欄42-1?42-5にはその撮影テーマを特徴付ける値(背景色、画像類似度等再生画像から抽出可能な特徴や、撮影日時から得られる時間的特徴や、撮影時に得られる位置的特徴等)が登録されている。 【0030】図4(b)の例では、テーマ「海」に対応するテーマコード「01」は、5つの特徴、「青>50%」,「白>20%」,「高度<20」,「沖縄」,「3月」で特徴付けられている。…(後略)」 F 「【0031】<音響情報登録リスト>図5は、メモリ45に登録されている音響情報登録リスト50の構造の一例を示す説明図である。音響情報登録リスト50には上述したテーマ特徴リスト40,40’に対応するテーマコードとそれに対応する音響情報(音楽、メロディー、音、音声メッセージ等、再生画像に撮影テーマを連想させる効果を与える音情報)の記憶位置がデジタル化されて登録されている。なお、テーマコードとデジタル化された音響情報を登録するようにしてもよい。」 G 「【0037】特徴比較手段220は、これらの方法によって抽出された特徴や日時、場所等とテーマ特徴リスト40に登録されている特徴や時期、位置的特徴を比較して、テーマコードを決定する。」 H 「【0038】音響情報出力手段230は特徴比較手段220で決定されたテーマコードを基に音響情報登録リスト50をサーチして音響情報データ(音声データ)を取り出して音声出力手段10に与える。」 I 「【0039】学習処理手段240には、出力された音響情報が中心テーマと異なっていた場合に、使用者がボタン操作等により音響情報を切換えることにより遷移し、その切換えた結果を基にテーマ特徴リスト40に新たにテーマコードと比較用特徴データを追加したり、既に登録されている比較用特徴データを更新する。…(後略)」 J 「【0042】特徴抽出処理が終ると、制御部20はテーマ特徴リスト40をサーチして抽出した特徴とテーマ特徴リストに登録されている特徴を比較して(S6)、一致した特徴に対応するテーマコードを決定する。なお、図4(b)のテーマ特徴リスト40’のように1つのテーマコードについて複数の比較用特徴が対応している場合には、抽出された複数の種類の特徴が全てあるテーマコードに対応する複数の比較特徴条件を満たしている場合にそのテーマコードを再生画像のテーマに対応するテーマコードとして決定する(S7)。…(後略)」 K 「【0058】<実施例3>本実施例は再生画像の撮影テーマとなる特徴を画像の撮影日時から抽出する例である。図16は特徴抽出手段210の一実施例としての時間特徴抽出手段の構成例を示すブロック図であり、時間特徴抽出手段210-3は、日時データ取得手段216および日時分析手段217からなり、比較用日データおよび時期データと特徴コードを登録した特徴カレンダ219を備えている。また、図17は撮影情報登録リストの一実施例を示す図である。 【0059】日時データ取得手段216は、画像の撮影時に画像と共に記録された日時を再生時に記録画像から取得する。撮影画像には撮影日時が記録されているか、撮影日時データが別途記録されて再生時に再生画像に重畳表示される。前者の場合、再生画像と対応する記録画像の日時記録領域を参照して日時データを取得することが出来る。また、後者の場合には図17(a)に示すような日時や、撮影場所等の撮影条件を撮影時に画像と対応づけて登録した撮影情報登録リスト170が画像データと共にメモリーカード51に記録されているので、撮影情報登録リストを参照して日時を取得することができる。」 L 「【0062】<実施例4>本実施例は再生画像の撮影テーマとなる特徴を画像の撮影場所から抽出する例である。また、本実施例は、フラッシュメモリ51に記録画像と共に図17(a)に示すような撮影日時や撮影場所を撮影時に画像と対応づけて登録した撮影情報登録リスト170か或いは図17(b)に示すような位置座標や高度等の位置データを撮影時に記録した撮影情報登録リスト170’が登録されている場合の本発明の実施例である。 【0063】図18は、特徴抽出手段210の一実施例としての位置(場所)特徴抽出手段の構成例を示すブロック図であり、位置特徴抽出手段210-4は、位置データ取得手段216’および位置分析手段217’からなり、比較用位置データを登録した地理辞書219’を備えている。位置データ取得手段216’は、画像の撮影時に記録された撮影場所データ等の位置データを画像情報リスト170(或いは170’)から取得する。」 (ア)上記Aの「本発明は撮影/記録した画像の再生時に再生画像や撮像時に記録された画像情報から自動的に抽出された撮影テーマに応じた音響情報を再生する、画像再生装置」との記載からすると、引用文献には、 画像の再生時に再生画像に応じた音響情報を再生する画像再生装置 が記載されているものと解される。 (イ)上記Kの「本実施例は再生画像の撮影テーマとなる特徴を画像の撮影日時から抽出する例である。」、「図17(a)に示すような日時や、撮影場所等の撮影条件を撮影時に画像と対応づけて登録した撮影情報登録リスト170が画像データと共にメモリーカード51に記録されているので、撮影情報登録リストを参照して日時を取得することができる。」との記載、及び上記Lの「本実施例は再生画像の撮影テーマとなる特徴を画像の撮影場所から抽出する例である。」、「フラッシュメモリ51に記録画像と共に図17(a)に示すような撮影日時や撮影場所を撮影時に画像と対応づけて登録した撮影情報登録リスト170」、「位置データ取得手段216’は、画像の撮影時に記録された撮影場所データ等の位置データを画像情報リスト170(或いは170’)から取得する。」との記載からすると、引用文献には、 再生画像に関する撮影情報(撮影日時や撮影場所等)を取得する手段(以下、「撮影情報取得手段」という。) が記載されているものと解される。 (ウ)上記Aの「本発明は撮影/記録した画像の再生時に再生画像や撮像時に記録された画像情報から自動的に抽出された撮影テーマに応じた音響情報を再生する」との記載、上記Cの「図4はメモリ45に登録されているテーマ特徴リストの構造の一例を示す説明図であり、(a)は登録する特徴を一つとしたテーマ特徴リストの構造例を示し、(b)は複数の特徴を登録したテーマ特徴リストの例を示す。テーマ特徴リスト40には再生画像から抽出されたテーマの特徴とテーマコードを対応づけるための比較用の特徴とテーマコードが予め登録されている。」との記載、上記Dの「テーマ特徴リスト40はテーマコード欄41と特徴欄42からなり、テーマコード欄41には抽出されるテーマ(海(春夏秋冬)、山(春夏秋冬)、湖、夜空、遊園地、祭・・・、子供、男、女、建物、花、動物、電車、飛行機、・・・等)を意味するテーマコードが登録」との記載、上記Fの「図5は、メモリ45に登録されている音響情報登録リスト50の構造の一例を示す説明図である。音響情報登録リスト50には上述したテーマ特徴リスト40,40’に対応するテーマコードとそれに対応する音響情報(音楽、メロディー、音、音声メッセージ等、再生画像に撮影テーマを連想させる効果を与える音情報)の記憶位置がデジタル化されて登録されている。」との記載、及び上記Gの「特徴比較手段220は、これらの方法によって抽出された特徴や日時、場所等とテーマ特徴リスト40に登録されている特徴や時期、位置的特徴を比較して、テーマコードを決定する。」との記載からすると、引用文献には、 再生画像に応じて再生される音響情報(音楽、メロディー、音、音声メッセージ等、再生画像に撮影テーマを連想させる効果を与える音情報)に対応するテーマコード(テーマ)を決定する際に用いられる特徴が予め登録されているテーマ特徴リストを取得する手段(以下、「テーマ特徴リスト取得手段」という。) が記載されているものと解される。 (エ)上記Cの「テーマ特徴リスト40には再生画像から抽出されたテーマの特徴とテーマコードを対応づけるための比較用の特徴とテーマコードが予め登録されている。」との記載、上記Fの「音響情報登録リスト50には上述したテーマ特徴リスト40,40’に対応するテーマコードとそれに対応する音響情報…(中略)…の記憶位置がデジタル化されて登録されている。」との記載、上記Gの「特徴比較手段220は、これらの方法によって抽出された特徴や日時、場所等とテーマ特徴リスト40に登録されている特徴や時期、位置的特徴を比較して、テーマコードを決定する。」、及び上記Hの「音響情報出力手段230は特徴比較手段220で決定されたテーマコードを基に音響情報登録リスト50をサーチして音響情報データ(音声データ)を取り出して音声出力手段10に与える。」との記載からすると、引用文献には、 撮影情報と、特徴が予め登録されているテーマ特徴リストとに基づいて、テーマコード(テーマ)を決定することにより、音響情報登録リストに登録されている複数の音響情報の中から少なくとも1つの該音響情報を選択する手段(以下、「選択手段」という。) が記載されているものと解される。 (オ)上記Cの「学習処理手段240を設けた場合にはテーマ特徴リスト40に新たな特徴を追加したり、登録されている特徴の構成を変更することができる。」との記載、及び上記Iの「学習処理手段240には、出力された音響情報が中心テーマと異なっていた場合に、使用者がボタン操作等により音響情報を切換えることにより遷移し、その切換えた結果を基にテーマ特徴リスト40に新たにテーマコードと比較用特徴データを追加したり、既に登録されている比較用特徴データを更新する。」との記載からすると、引用文献には、 テーマ特徴リストを設定可能な学習処理手段 が記載されているものと解される。 以上、(ア)ないし(オ)で指摘した事項から、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認める。 画像の再生時に再生画像に応じた音響情報を再生する画像再生装置において、 再生画像に関する撮影情報(撮影日時や撮影場所等)を取得する撮影情報取得手段と、 再生画像に応じて再生される音響情報(音楽、メロディー、音、音声メッセージ等、再生画像に撮影テーマを連想させる効果を与える音情報)に対応するテーマコード(テーマ)を決定する際に用いられる特徴が予め登録されているテーマ特徴リストを取得するテーマ特徴リスト取得手段と、 該撮影情報と、該特徴が予め登録されているテーマ特徴リストとに基づいて、テーマコード(テーマ)を決定することにより、音響情報登録リストに登録されている複数の音響情報の中から少なくとも1つの該音響情報を選択する選択手段と、 該テーマ特徴リストを設定可能な学習処理手段とを備えることを特徴とする画像再生装置。 (2)参考文献に記載されている技術的事項 本願の出願前に頒布または電気通信回線を通じて公衆に利用可能となされた、特開平9-138689号公報(平成9年5月27日出願公開。以下、「参考文献」という。)には、図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。 M 「【請求項1】 配信センタから配信される複数の楽曲のデータや複数の静止画のデータ等を記憶する主記憶手段と、複数の動画のデータを記憶する動画記憶手段と、利用者のリクエスト曲を入力する入力手段と、この入力手段からのリクエスト曲に対応して前記楽曲のデータとこれに対応する静止画或いは動画のデータを背景画として選択する制御手段と、選択された背景画を映像として出力すると共に前記リクエスト曲を楽音として出力する出力手段とを有する通信カラオケ装置の画像選択方法において、前記各楽曲、各静止画及び各動画に、個別に複数の属性を予め付しておき、前記入力手段からのリクエスト曲によって規定される楽曲の前記複数の属性と前記静止画及び動画の各属性とを比較し、両者の属性が合致した静止画或いは動画を背景画として選択して再生するように構成したことを特徴とする通信カラオケ装置の画像選択方法。 …(中略)… 【請求項4】 前記属性の合致した背景画が複数個存在する場合には、乱数的操作で1つの背景画を抽出して再生するように構成したことを特徴とする請求項1乃至3記載の通信カラオケ装置の画像選択方法。 【請求項5】 前記乱数的操作は複数回行い、抽出された背景画が直前に再生された背景画と同じ時には、次に抽出された背景画を用いるように構成したことを特徴とする請求項4記載の通信カラオケ装置の画像選択方法。」 4.対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「画像再生装置」は、本願発明の「データ処理装置」に対応する。 (2)引用発明の「再生画像」、「撮影情報(撮影日時や撮影場所等)」、及び「撮影情報取得手段」は、それぞれ、本願発明の「第1処理対象データ」、「第1付加情報」、及び「第1付加情報取得部」に相当する。したがって、引用発明の「再生画像に関する撮影情報(撮影日時や撮影場所等)を取得する撮影情報取得手段」は、本願発明の「第1処理対象データに関する第1付加情報を取得する第1付加情報取得部」に相当するといえる。 (3)引用発明の「音響情報(音楽、メロディー、音、音声メッセージ等、再生画像に撮影テーマを連想させる効果を与える音情報)」は、本願発明の「第2処理対象データ」に相当する。 ここで、上記Eに記載の「図4(b)で、テーマ特徴リスト40’はテーマコード欄41と複数の特徴欄42-1?42-5からなり、テーマコード欄41には図4(a)の場合と同様に抽出される撮影テーマを意味するテーマコードが登録され、特徴欄42-1?42-5にはその撮影テーマを特徴付ける値(背景色、画像類似度等再生画像から抽出可能な特徴や、撮影日時から得られる時間的特徴や、撮影時に得られる位置的特徴等)が登録されている。」及び関連する図4(b)を参酌すると、各テーマコードには、それぞれ、テーマを特徴付ける複数の特徴(時間的特徴や位置的特徴等)が紐付けられていることが読み取れ、また、上記Fに記載の「音響情報登録リスト50には上述したテーマ特徴リスト40,40’に対応するテーマコードとそれに対応する音響情報(音楽、メロディー、音、音声メッセージ等、再生画像に撮影テーマを連想させる効果を与える音情報)の記憶位置がデジタル化されて登録されている。」及び関連する図5を参酌すると、各テーマコードには、それぞれ、音響情報が割り当てられていることが読み取れる。そうすると、テーマコードに紐付けられている特徴は、音響情報を特徴付けるものであることから、音響情報に関する情報といえるものである。すなわち、引用発明の「特徴」は、本願発明の「第2付加情報」に相当する。 そして、引用発明の「テーマ特徴リスト取得手段」は、テーマ特徴リストに登録されている特徴を取得するものであることから、本願発明の「第2付加情報取得手段」に相当するといえる。 してみると、引用発明と本願発明とは、ともに、“該第1処理対象データに関連して処理が行なわれる第2処理対象データに関する第2付加情報を取得する第2付加情報取得部”を備える点で共通するといえる。 (4)引用発明の「テーマ特徴リスト」は、「テーマコード」と「特徴」が登録されたものであるが、上記Eの記載「テーマ「海」に対応するテーマコード「01」は、5つの特徴、「青>50%」,「白>20%」,「高度<20」,「沖縄」,「3月」で特徴付けられている。」、及び上記Jの記載「1つのテーマコードについて複数の比較用特徴が対応している場合には、抽出された複数の種類の特徴が全てあるテーマコードに対応する複数の比較特徴条件を満たしている場合にそのテーマコードを再生画像のテーマに対応するテーマコードとして決定する」からすると、「テーマコード」を選択するための“選択条件”も有しているといえることから、引用発明は、「特徴」と“選択条件”に基づいて、「テーマコード」を選択するものに他ならない。 また、引用発明の「選択手段」は、本願発明の「選択部」に相当する。 してみると、引用発明の「該撮影情報と、該特徴が予め登録されているテーマ特徴リストとに基づいて、テーマコード(テーマ)を決定することにより、音響情報登録リストに登録されている複数の音響情報の中から少なくとも1つの該音響情報を選択する選択手段」と、本願発明の「該第1付加情報および該第2付加情報と、予め設定された選択条件とに基づいて、前記複数の第2処理対象データの中から少なくとも1つの該第2処理対象データを選択する選択部」とは、“該第1付加情報および該第2付加情報と、予め設定された選択条件とに基づいて、前記複数の第2処理対象データの中から少なくとも1つの該第2処理対象データを選択する選択部”である点で共通するといえる。 (5)引用発明の「学習処理手段」は、テーマ特徴リストを設定可能とするものであることから、本願発明の「選択条件設定部」に相当する。したがって、引用発明の「該テーマ特徴リストを設定可能な学習処理手段」は、本願発明の「該選択条件を設定可能な選択条件設定部」に相当する。 以上、(1)ないし(5)で検討した事項から、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。 (一致点) 第1処理対象データに関する第1付加情報を取得する第1付加情報取得部と、 該第1処理対象データに関連して処理が行なわれる第2処理対象データに付加されている第2付加情報を取得する第2付加情報取得部と、 該第1付加情報および該第2付加情報と、予め設定された選択条件とに基づいて、前記複数の第2処理対象データの中から少なくとも1つの該第2処理対象データを選択する選択部と、 該選択条件を設定可能な選択条件設定部とを備えることを特徴とするデータ処理装置。 (相違点1) 第2付加情報の取得に関して、本願発明が、「第2処理対象データに付加されている第2付加情報を取得する」ものであるのに対して、引用発明は、「特徴が予め登録されているテーマ特徴リストを取得する」ものである点。 (すなわち、引用発明における「特徴」(本願発明の「第2付加情報」に相当)は、「テーマ特徴リスト」に登録されているものであり、「音響情報」(本願発明の「第2処理対象データ」に相当)に付加されているものではない点。) (相違点2) 選択部に関して、本願発明が、「該第1付加情報に基づいて該選択条件を参照することにより、前記複数の第2処理対象データの中から、該選択条件を満たす2以上の該第2処理対象データを選択する第1選択部と、」「該第1選択部によって選択された前記2以上の第2処理対象データの中から、1の該第2処理対象データを選択する第2選択部とをそなえ、」「該第2選択部が、当該第2処理対象データの処理履歴に基づいて、前記2以上の該第2処理対象データの中から、前記1の第2処理対象データを選択する」ものであるのに対して、引用発明は、「該撮影情報(撮影日時や撮影場所等)と、該特徴が予め登録されているテーマ特徴リストとに基づいて、テーマコード(テーマ)を決定することにより、音響情報登録リストに登録されている複数の音響情報の中から少なくとも1つの該音響情報を選択する」ものである点。 5.判断 相違点1及び相違点2について検討する。 (1)相違点1について 上記Bの記載「テーマ特徴リスト40と音響情報登録リスト50は個別に設けてもよいが、一つのリストとしてもよい。」からすると、引用発明においても、テーマ特徴リストと音響情報登録リストが一つのリストとして構成されているものと認められる。そして、リストの情報に付加情報を付加することは、当該技術分野において慣用的に行われている技術にすぎず、引用発明の音響情報においても、特徴という付加情報を付加するように構成すること、すなわち相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 よって、相違点1は格別なものではない (2)相違点2について 複数の楽曲のデータと複数の静止画のデータに対して、属性が合致するデータを抽出し、属性の合致したデータが複数個存在する場合、直前に抽出したデータに基づいてデータを抽出する技術は周知技術(例えば、上記M(特に【請求項1】及び【請求項5】等)参照。)であり、引用発明においても、当該周知技術を適用し、相違点2に係る構成とすること、すなわち、“撮影情報(撮影日時や撮影場所等)に基づいて選択条件を参照することにより、複数の音響情報の中から、該選択条件を満たす2以上の該音響情報を選択する第1選択部と、該第1選択部によって選択された前記2以上の音響情報の中から1の該音響情報を選択する第2選択部とを備え、該第2選択部が、当該音響情報の処理履歴に基づいて、前記2以上の該音響情報の中から、前記1の音響情報を選択する”ように構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。 よって、相違点2は格別なものではない (3)小括 上記で検討したごとく、相違点1及び相違点2は格別のものではなく、そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、上記引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 したがって、本願発明は、上記引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 6.むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、本願の特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-07-11 |
結審通知日 | 2012-07-17 |
審決日 | 2012-07-31 |
出願番号 | 特願2004-323668(P2004-323668) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 今村 剛 |
特許庁審判長 |
山崎 達也 |
特許庁審判官 |
田中 秀人 原 秀人 |
発明の名称 | データ処理装置 |
代理人 | 真田 有 |