• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1263641
審判番号 不服2009-1571  
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-01-19 
確定日 2012-09-19 
事件の表示 特願2006-147935「携帯型端末装置、検索サーバ」拒絶査定不服審判事件〔平成18年11月30日出願公開、特開2006-323849〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成18年5月29日の特許出願であって、特願平9-203055号(平成9年7月29日出願)の分割出願として出願されたものであり、平成20年12月15日付けで拒絶査定され、これに対して平成21年1月19日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年2月17日付けで手続補正書が提出され、当審において、平成23年6月24日付けで最初の拒絶理由が通知され、同年11月28日付けで手続補正書が提出され、同年12月26日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成24年3月27日付けで手続補正書が提出されたものである。


2.平成24年3月27日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成24年3月27日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正内容
平成24年3月27日付けの手続補正(以下、「本件補正」という)は、本件補正前の平成23年11月28日付け手続補正書により補正された請求項1の内容を、
「通信機能が内部に組み込まれている携帯型端末装置において、
メロディを取り込むためのマイクと、
前記マイクにより取り込まれたメロディを記憶媒体に記憶する記憶手段と、
前記通信機能を用いて検索サーバと情報の送受信を行う通信手段と、
前記通信手段により受信された、前記メロディと同一のメロディを有する可能性のあるコンテンツのタイトルを含む関連情報を表示する表示手段と、
前記表示手段により表示された前記関連情報から、一つの関連情報を選択する選択手段と、
前記通信手段が、前記記憶媒体に記憶されるメロディをネットワークを介して前記検索サーバに送信し、前記検索サーバから前記関連情報を受信し、前記選択手段により選択された前記一つの関連情報に対応するコンテンツデータを要求するための要求情報を前記検索サーバに送信し、前記要求情報に応じて、前記検索サーバから送信された前記関連情報に対応するコンテンツデータを受信し、その受信されたコンテンツデータが前記記憶手段に記憶されるように制御する処理を実行するためのプログラムであり、通信ネットワークを介して配布された前記プログラムに基づき制御を行う制御手段と
を備える携帯型端末装置。」
から、
「通信機能が内部に組み込まれている携帯型端末装置において、
メロディを取り込むためのマイクと、
前記マイクにより取り込まれたメロディを記憶媒体に記憶する記憶手段と、
前記通信機能を用いて検索サーバと情報の送受信を行う通信手段と、
前記通信手段により受信された、前記メロディと同一のメロディを有する可能性のあるコンテンツのタイトルと歌手名からなる関連情報を表示する表示手段と、
前記表示手段により表示された前記関連情報から、一つの関連情報を選択する選択手段と、
前記通信手段が、前記記憶媒体に記憶されるメロディをネットワークを介して前記検索サーバに送信し、前記検索サーバから前記関連情報を受信し、前記選択手段により選択された前記一つの関連情報に対応するコンテンツデータを要求するための要求情報を前記検索サーバに送信し、前記要求情報に応じて、前記検索サーバから送信された前記関連情報に対応するコンテンツデータを受信し、その受信されたコンテンツデータが前記記憶手段に記憶されるように制御する処理を実行するためのプログラムであり、通信ネットワークを介して配布された前記プログラムに基づき制御を行う制御手段と
を備える携帯型端末装置。」
に、変更する補正を含むものである。

上記補正は、補正前の請求項1における「関連情報」を、「コンテンツのタイトルを含む関連情報」から「コンテンツのタイトルと歌手名からなる関連情報」に限定するものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の上記請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。


(2)引用例
平成23年12月26日付けの拒絶理由通知で引用した特開平8-123818号公報(以下、「引用例」という)には、下記の事項が記載されている。

(あ)「【0021】
【実施例】以下、図面と共に本発明の実施例を詳細に説明する。図3は、本発明の第1の実施例の音楽情報検索システムのシステム構成図を示す。同図に示す音楽情報検索システムは、情報検索端末装置400と情報センタ装置500とが相互に接続されて構成される。
【0022】なお、以下に、本実施例で使用する音楽情報、音情報、音楽旋律情報、視覚情報、検索用旋律情報及び照合用旋律情報について説明する。音楽情報は、曲名や作曲家名等の書誌的な情報に加え、音として聴くことのできる音楽を表している。また、検索用のインデックス情報として後述する照合用旋律情報を含んでいる。
【0023】音情報は、「C」や「D」等の音程を示す記号を表している。音楽旋律情報は、音として聴くことのできる音楽の旋律及び、当該旋律をコード化した情報を表している。視覚情報は、音楽旋律情報が入力されている画面に表示されている情報を表している。
【0024】検索用旋律情報は、情報検索端末装置400で検索者によって入力された音楽旋律情報に基づいて生成される、音楽情報の検索条件である。照合用旋律情報は、情報センタ装置500の音楽情報に付与された音楽情報検索のためのインデックス情報である。以下に、本発明の第1の実施例の動作の概要を示す。
【0025】情報検索端末装置400は、所望の音楽情報を検索するために画面上に入力された音楽旋律情報に基づいて検索要求を情報センタ装置500へ発行し、情報センタ装置500から所望の音楽情報を取得する。このため、情報検索端末装置400は表示画面に対して音楽旋律情報を入力し、この情報より情報センタ装置500に検索要求をする。
【0026】情報センタ装置500は、検索要求に基づいて検索候補を情報検索端末装置400に送信する。情報検索端末装置400は、取得した検索候補より所望の候補を選択して情報センタ装置500に通知し、情報センタ装置500より選択した候補に対応する音楽情報を取得して出力する。即ち、本発明は、情報検索端末装置400において簡易な表示画面上に検索したいイメージの音を位置情報として入力し、検索された情報を音に変えて確認するものである。
【0027】情報検索端末装置400は、第1の回線制御部410、第1の制御部420、音データベース430、表示部440、マウス450、及びスピーカー460から構成される。第1の回線制御部410は、情報検索端末装置400と情報センタ装置500間で相互に通信を行なう。
【0028】第1の制御部420は、旋律入力画面を表示部440に表示し、検索者がマウス450を使用して画面上に入力する音楽旋律情報に基づいて音楽情報の検索要求を情報センタ装置500へ発行し、検索された音楽情報をスピーカー460へ出力する。詳細については後述する。音データベース430は、ディジタル化された複数の音高が記憶された音のデータベースである。
【0029】表示部440は、音楽旋律情報の一部を入力するための簡易な旋律入力画面等を表示する装置である。マウス450は、検索者が表示部440に表示される旋律入力画面に基づいて音楽旋律情報を入力するため等に使用される座標を指示する装置である。スピーカー460は、検索者が入力した音楽旋律情報又は検索結果の音楽情報を音として出力する。」

(い)「【0036】また、上記図6を用いて視覚情報作成・修正部421で音楽旋律情報が作成・修正された場合のメモリ422への音楽旋律情報の記憶の様子を説明する。図6の白丸の位置a、b、cに3つの音が音楽旋律情報として入力されると、メモリ422にはa、b、cの3つの音に対応する情報がこの順番で記憶される。メモリ422には、a(1,3)、b(2,3)、c(3,2)を記憶してもよいが、本実施例では音として分かりやすくするために位置情報を音情報に変換して記憶する。この音情報は、旋律入力画面の任意の音高(yh )に割り当てられた音程「G」を基準として相対的な音高を記号で表したものとする。例えばyh =6、即ち音高「6」に「G」の音を割り当てた場合、a(1,3)に音楽旋律情報が入力されると、視覚情報作成・修正部421には、位置情報(1,3)が入力される。視覚情報作成・修正部421は、この位置情報(1,3)が「G」の音が割り当てられているyh =6よりも半音3つ分低い音なので、「E」の音を表す音情報に変換して記憶する。図6の例では、旋律入力画面に入力された音楽旋律情報(図中の白丸)は、「E,E,D#」としてメモリ422に記憶される。」

(う)「【0043】以下に、上記第1の実施例の動作を図を用いて説明する。図8は、本発明の第1の実施例の動作を示すフローチャートである。
(ステップ101) 情報検索端末装置400の視覚情報作成・修正部421は、表示部440に検索者が音楽情報を検索するための画面情報を送出し、これにより表示部440は旋律の一部を入力する旋律入力画面を表示する。
【0044】(ステップ102) 情報検索端末装置400の視覚情報作成・修正部421は、検索者から入力される音楽旋律情報に基づき表示部440上の画面情報を更新するとともに、当該音楽旋律情報に対応する音情報をメモリ422に記憶する。ステップ102の詳細な処理については後述する。
(ステップ103) 情報検索端末装置400の視覚情報作成・修正部421は、検索者から「音要求」が入力された場合(本実施例では、音を出力した後自動的に修正モードになるものとする)にはステップ104へ、「検索要求」が入力された場合にはステップ107へ移行する。」

(え)「【0046】(ステップ106) 情報検索端末装置400の視覚情報作成・修正部421は、検索者から入力される修正情報に基づいて旋律入力画面を更新するとともに、メモリ422に記憶している音情報を更新してステップ103へ移行する。ステップ106の詳細な処理については後述する。
(ステップ107) ステップ103で検索者から「検索要求」が入力された場合、情報検索端末装置400の視覚情報作成・修正部421は、メモリ422に記憶している音情報を旋律情報生成部423へ転送する。
【0047】(ステップ108) 情報検索端末装置400の旋律情報生成部423は、視覚情報作成・修正部421から音情報が転送されると、当該音情報に基づき検索用旋律情報を生成し、当該検索用旋律情報を含む検索要求を生成する。
(ステップ109) 情報検索端末装置400の旋律情報生成部423は、生成した検索要求を、第1の回線制御部410を介して情報センタ装置500へ発行する。
【0048】(ステップ110) 情報センタ装置500の第2の回線制御部510は、情報検索端末装置400が発行した検索要求を受信し、第2の制御部520へ出力する。
(ステップ111) 情報センタ装置500の第2の制御部520は、第2の回線制御部510から入力された検索要求から検索用旋律情報を抽出して旋律情報検索部540へ出力する。
【0049】(ステップ112) 情報センタ装置500の旋律情報検索部540は、第2の制御部520から入力された検索用旋律情報と音楽データベース530の各レコードの照合用旋律情報との類似度を計算し、類似度が最大となる照合用旋律情報から降順に任意の数のレコードを検索する。
(ステップ113) 情報センタ装置500の旋律情報検索部540は、ステップ112の検索結果の件数を情報検索端末装置400へ通知する。
【0050】(ステップ114) 情報センタ装置500の旋律情報検索部540は、ステップ112の検索結果のレコードから情報検索端末装置400で検索結果のメニュー表示に必要な曲名、作曲家を取り出し、類似度の大きいレコードの順に情報検索端末装置400へ送出する。
(ステップ115) 情報検索端末装置400は、情報センタ装置500から検索結果として、メニュー表示に必要な曲名及び作曲家名を受信すると、当該検索結果を表示部440へ出力する。この時、複数の検索結果を取得した場合には、受信順に出力する。
【0051】(ステップ116) 情報検索端末装置400は、検索者がマウス450で選択した検索結果に対応する音楽情報を情報センタ装置500へ要求する。
(ステップ117) 情報センタ装置500は、情報検索端末装置400より要求された音楽情報を音楽データベース530より読み出し、情報検索装置400へ送出する。
【0052】(ステップ118) 情報検索端末装置400は、情報センタ装置500の送出した音楽情報を取得し、D/A変換した後(図示せず)音としてスピーカー460へ出力する。以下に、上記ステップ102の音楽旋律情報の入力処理の動作を図を用いて説明する。図9は、本発明の第1の実施例の音楽旋律情報入力処理の動作を示すフローチャートである。」

(お)「【0071】情報検索端末装置400は、情報センタ装置500から検索結果を受信すると、当該検索結果に基づき6件の検索結果として、
「1. 曲名=F 作曲家=B」
:
「6. 曲名=… 作曲家=…」
のメニューを表示部440へ出力する(ステップ115)。
【0072】情報検索端末装置400は、検索者がマウス450で選択した、
「1」
に対応する音楽情報、
「音楽情報番号#1:曲名=F、作曲家=B」
を情報センタ装置500へ要求する(ステップ116)。」

(か)上記(あ)の段落【0029】には、音楽旋律情報がマウスにより入力されることが記載され、上記(い)には、入力された音楽旋律情報がメモリ422に記憶されることが記載されている。

(き)図4には、「第1の制御部420」が、視覚情報作成・修正部等を含み、表示部、第1の回線制御部、スピーカーに接続されている構成が記載され、また、上記(あ)の段落【0028】には、「第1の制御部420」が、表示部440への表示、検索要求の情報センタ装置500への発行、検索された音楽情報のスピーカー460への出力を行うことが記載されている。

上記(あ)乃至(き)、関連図面の記載、及び技術常識から、引用例には、実質的に下記の発明(以下、「引用発明」という)が記載されている。

「通信機能が内部に組み込まれている情報検索端末装置において、
音楽旋律情報を入力するマウスと、
前記マウスにより入力された音楽旋律情報を記憶するメモリと、
前記通信機能を用いて情報センタ装置と情報の送受信を行う第1の回線制御部と、
前記第1の回線制御部により受信された、検索用旋律情報に類似する照合用旋律情報を有する音楽情報の曲名と作曲家名からなる検索候補を表示する表示部と、
前記表示部により表示された前記検索候補から、一つの検索候補を選択する手段と、
前記第1の回線制御部が、前記メモリに記憶される音楽旋律情報から生成された前記検索用旋律情報を回線を介して前記情報センタ装置に送信し、前記情報センタ装置から前記検索候補を受信し、前記選択する手段により選択された前記一つの検索候補を前記情報センタ装置に送信し、前記一つの検索候補に応じて、前記情報センタ装置から送信された前記一つの検索候補に対応する音楽情報を受信するように制御を行う第1の制御部と
を備える情報検索端末装置。」


(3)対比
(3-1)本件補正発明と引用発明との対応関係について
(ア)引用発明の「メモリ」、「第1の回線制御部」、「曲名」、「表示部」、「回線」、「選択する手段」、「音楽情報」は、本件補正発明の「記憶媒体に記憶する記憶手段」、「通信手段」、「タイトル」、「表示手段」、「ネットワーク」、「選択手段」、「コンテンツデータ」に相当する。

(イ)一般に「メロディ」と「旋律」は同義であり、引用発明の「音楽旋律情報」、「検索用旋律情報」、「照合用旋律情報」は、本件補正発明においてまとめて「メロディ」と称されているものに相当する。

(ウ)引用発明の「情報検索端末装置」と本件補正発明の「携帯型端末装置」は、「端末装置」である点で共通している。

(エ)引用発明の「マウス」と本件補正発明の「マイク」は、「メロディ情報を取り込むための手段」である点で共通している。

(オ)引用発明の「情報センタ装置」は、回線を介して情報検索端末装置に接続されて音楽情報の検索と提供のサービスを実施するものであり、コンピュータにより構成されるものであることは自明であるから、本件補正発明の「検索サーバ」に相当する。

(カ)引用発明の「検索候補」は、コンテンツデータである音楽情報自体ではなく、コンテンツデータに関連した曲名等の情報であるから、本件補正発明の「関連情報」に対応する。

(キ)引用発明では、音楽旋律情報から生成された検索用旋律情報に類似する照合用旋律情報を有する音楽情報の曲名等が検索候補とされるので、当該検索候補に対応する音楽情報は、前記音楽旋律情報に同一もしくは類似したメロディを有することになる。
よって、引用発明の「検索用旋律情報に類似する照合用旋律情報を有する曲名と作曲家名からなる検索候補」と、本件補正発明の「前記メロディと同一のメロディを有する可能性のあるコンテンツのタイトルと歌手名からなる関連情報」とは、「前記メロディと同一のメロディを有する可能性のあるコンテンツのタイトル等からなる関連情報」である点で共通している。

(ク)引用発明の「一つの検索候補」は、表示部に表示された検索候補の中から選択されたものであるとともに、情報センタ装置に対して音楽情報を要求するために送信される情報であるから、引用発明の「前記選択する手段により選択された前記一つの検索候補を前記情報センタ装置に送信し、前記一つの検索候補に応じて」は、本件補正発明の「前記選択手段により選択された前記一つの関連情報に対応するコンテンツデータを要求するための要求情報を前記検索サーバに送信し、前記要求情報に応じて」に相当する。

(3-2)本件補正発明と引用発明の一致点について
上記の対応関係から、本件補正発明と引用発明は、下記の点で一致する。

「通信機能が内部に組み込まれている端末装置において、
メロディを取り込むための手段と、
前記メロディを取り込むための手段により取り込まれたメロディを記憶媒体に記憶する記憶手段と、
前記通信機能を用いて検索サーバと情報の送受信を行う通信手段と、
前記通信手段により受信された、前記メロディと同一のメロディを有する可能性のあるコンテンツのタイトル等からなる関連情報を表示する表示手段と、
前記表示手段により表示された前記関連情報から、一つの関連情報を選択する選択手段と、
前記通信手段が、メロディをネットワークを介して前記検索サーバに送信し、前記検索サーバから前記関連情報を受信し、前記選択手段により選択された前記一つの関連情報に対応するコンテンツデータを要求するための要求情報を前記検索サーバに送信し、前記要求情報に応じて、前記検索サーバから送信された前記関連情報に対応するコンテンツデータを受信するように制御を行う制御手段と
を備える端末装置。」

(3-3)本件補正発明と引用発明の相違点について
本件補正発明と引用発明は、下記の点で相違する。
(相違点1)
本件補正発明の端末装置は「携帯型端末装置」であるのに対し、引用発明の端末装置は携帯型とはなっていない点。

(相違点2)
本件補正発明はメロディを取り込むためのマイクを有しており、本件補正発明の記憶媒体に記憶されるメロディは該マイクにより取り込まれるメロディであるのに対し、引用発明はマイクを有しておらず、引用発明の記憶媒体に記憶されるメロディは、マイクにより取り込まれるメロディではない点。

(相違点3)
本件補正発明の関連情報は、「コンテンツのタイトルと歌手名」からなるものであるのに対し、引用発明の関連情報には「歌手名」は含まれていない点。

(相違点4)
本件補正発明では、「記憶媒体に記憶されるメロディをネットワークを介して前記検索サーバに送信」しているのに対し、引用発明はメモリに記憶されるメロディ(音楽旋律情報)から生成されたメロディ(検索用旋律情報)を送信している点。

(相違点5)
本件補正発明の制御手段は、「受信されたコンテンツデータが前記記憶手段に記憶される」ような制御をも行うものであるのに対し、引用発明の制御手段はそのような制御をも行うものか定かではない点。

(相違点6)
本件補正発明の制御手段は、通信ネットワークを介して配布されたプログラムに基づき制御を行うものであるのに対し、引用発明の制御手段はそのようなプログラムに基づき制御を行うものか定かでない点。


(4)当審の判断
(4-1)相違点1について
携帯型端末装置を用いて情報検索を行うことは一般に行われていることから、引用発明の情報検索端末装置を「携帯型」の端末装置により構成することに格別の困難性は認められない。

(4-2)相違点2について
メロディをマイクにより取り込んで、取り込んだメロディと類似する音楽をデータベース等から検索することは、引用例の段落【0004】に記載された「従来の第3の方式」に関する記載箇所、特開平2-54300号公報、特開平7-121556号公報にも示されているように周知技術である。

そして、該周知技術が有する「検索条件の入力が容易である」といった自明な特徴を考えると、引用発明においても該周知技術が有用である場合があることは当業者に自明である。

してみると、引用発明に上記周知技術を採用することは、当業者が容易に推考し得たことである。そして、引用発明に上記周知技術を採用する場合に、相違点2に係る本件補正発明の構成を採用すべきことは当然のことである。
よって、相違点2は本件補正発明の進歩性を根拠付けるものではない。

(4-3)相違点3について
引用例には、具体的な検索候補として情報検索端末装置の表示部に表示されるものが、「曲名」と「作曲家名」であることが段落【0071】に記載されているが、「歌手名」を表示することは記載されていない。

しかしながら、歌謡曲等の音楽のジャンルによっては、音楽情報を選択するための情報として「作曲家名」よりも「歌手名」が有用な場合があることは自明であり、また、引用例では、検索候補を「曲名や作曲家名等の検索結果に対応する書誌的な情報」とすることが段落【0075】に記載され、音楽情報の書誌的な情報に「歌手名」があることは段落【0007】に記載されている。

してみると、引用発明において、検索候補に「曲名」及び「作曲家名」以外の書誌的な情報を含め得ることは明らかであり、「歌手名」が音楽情報の検索に有用な書誌的情報であることを鑑みれば、引用発明において検索候補に「タイトル」と「歌手名」を採用することに格別の困難性は認められない。

(4-4)相違点4について
引用発明のようにメモリに記憶されたメロディ(音楽旋律情報)から生成されたメロディ(検索用旋律情報)を送信するようにするか、本件補正発明のように「記憶媒体に記憶されるメロディをネットワークを介して前記検索サーバに送信」するかは、発明を具体化する際に当業者が適宜決定し得た事項に過ぎず、相違点4も本件補正発明の進歩性を根拠付けるものではない。

(4-5)相違点5について
引用例の段落【0052】には、情報検索端末装置が情報センタ装置から送出された音楽情報を取得してスピーカへ出力することは記載されているが、取得した音楽情報をメモリ等に記憶することは記載されていない。

しかしながら、回線で受信した音楽情報をスピーカから出力する際、受信した音楽情報を何らかの記憶媒体に記憶することはごく普通に行われていることであり、引用例に記載された構成においても、情報センタ装置から送信された音楽情報を音楽旋律情報を記憶するメモリに記憶させることは設計的事項にすぎない。

よって、引用発明において、「受信されたコンテンツデータが前記記憶手段に記憶される」ものとすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

(4-6)相違点6について
プログラムに基づき制御を行わせることや、端末装置を制御するプログラムを、通信ネットワークを介して配布することは、平成23年12月26日付けの拒絶理由通知に提示した、特開平8-274758号公報(段落【0184】?【0191】の記載)、特開平7-231309号公報(段落【0094】の記載)にも示されているように周知技術であり、該周知技術を引用発明に採用することは、当業者が容易に推考し得たことである。
よって、引用発明の制御手段を、「通信ネットワークを介して配布されたプログラムに基づき制御を行う」ものとすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

(4-7)本件補正発明の作用効果について
また、本件補正発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。


(5)むすび
よって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。



3.補正却下の決定を踏まえた検討
(1)本願発明
平成24年3月27日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願に係る発明は、平成23年11月28日付けの手続補正書の特許請求の範囲に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、次のとおりのものである。

「通信機能が内部に組み込まれている携帯型端末装置において、
メロディを取り込むためのマイクと、
前記マイクにより取り込まれたメロディを記憶媒体に記憶する記憶手段と、
前記通信機能を用いて検索サーバと情報の送受信を行う通信手段と、
前記通信手段により受信された、前記メロディと同一のメロディを有する可能性のあるコンテンツのタイトルを含む関連情報を表示する表示手段と、
前記表示手段により表示された前記関連情報から、一つの関連情報を選択する選択手段と、
前記通信手段が、前記記憶媒体に記憶されるメロディをネットワークを介して前記検索サーバに送信し、前記検索サーバから前記関連情報を受信し、前記選択手段により選択された前記一つの関連情報に対応するコンテンツデータを要求するための要求情報を前記検索サーバに送信し、前記要求情報に応じて、前記検索サーバから送信された前記関連情報に対応するコンテンツデータを受信し、その受信されたコンテンツデータが前記記憶手段に記憶されるように制御する処理を実行するためのプログラムであり、通信ネットワークを介して配布された前記プログラムに基づき制御を行う制御手段と
を備える携帯型端末装置。」


(2)引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用例の記載事項は、上記2.(2)に記載したとおりである。


(3)対比・判断
本願発明は、上記2.(1)で検討した本件補正発明における限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要素を全て含み、さらに特定の点に限定を施したものに相当する本件補正発明が、上記2.(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-04-17 
結審通知日 2012-04-24 
審決日 2012-05-10 
出願番号 特願2006-147935(P2006-147935)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 紀田 馨  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 本郷 彰
飯田 清司
発明の名称 携帯型端末装置、検索サーバ  
代理人 青木 篤  
代理人 稲本 義雄  
代理人 西川 孝  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ