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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06Q |
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管理番号 | 1263698 |
審判番号 | 不服2011-15351 |
総通号数 | 155 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-11-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-07-15 |
確定日 | 2012-09-19 |
事件の表示 | 特願2001- 98074「受注オーダ引当システム及び受注オーダ引当方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年12月21日出願公開、特開2001-350984〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成13年3月30日(優先権主張平成12年4月6日)の出願であって,平成22年7月14日付けの拒絶理由通知に対して同年9月14日付けで手続補正がなされたが,平成23年4月11日付けで拒絶査定がなされ,これに対して同年7月15日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同日付けで手続補正がなされ,さらに平成24年1月26日付けで審尋がなされたものである。 なお,審尋に対する回答は提出されていない。 第2 平成23年7月15日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成23年7月15日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容について 平成23年7月15日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)は,補正前の請求項1,3,4,6を補正後の請求項1,3,4,6のようにそれぞれ補正するものであるところ,補正前の請求項1及びこれに対応する補正後の請求項1はそれぞれ以下のとおりである。 (なお,下線は,補正の個所を示すものとして審判請求人が付したものを当審で援用したものである。) <補正前> 「 【請求項1】 複数のコンピュータ端末と,前記複数のコンピュータ端末と接続され,商品の受注オーダを管理する管理用コンピュータとを有する受注オーダ引当システムであって, 前記各コンピュータ端末は,新たに出荷予定日を含む受注オーダの内容が入力されたときに,当該受注オーダを前記管理用コンピュータに送信する手段を備え, 前記管理用コンピュータは, 前記各コンピュータ端末から送信された受注オーダを記憶する記憶手段と, 所定のイベント発生時に前記記憶手段から所定の受注オーダを読み込み,前記受注オーダ毎に,当該受注オーダに関して所定の条件が満たされているか否かを判断し,その判断結果に応じて当該受注オーダを出荷保留対象とするか否かを決定し,出荷を保留する受注オーダを出荷保留対象として設定する保留処理手段と, 出荷を所定の出荷日に行う旨の指示を受けたときに,前記受注オーダの中から前記出荷予定日が当該出荷日以前の受注オーダであって出荷保留対象となっていないものを抽出し,その抽出した受注オーダに対して予め所定のメモリに記憶されたルールに基づいて引当順序を決定し,在庫商品の引当処理を行う引当処理手段と, を備えることを特徴とする受注オーダ引当システム。」 <補正後> 「 【請求項1】 複数のコンピュータ端末と,前記複数のコンピュータ端末と接続され,商品の受注オーダを管理する管理用コンピュータとを有する受注オーダ引当システムであって, 前記各コンピュータ端末は,新たに出荷予定日を含む受注オーダの内容が入力されたときに,未出荷商品の総数が,現在の在庫量と商品の製造能力とを考慮して決定される所定の基準数よりも大きいか否か判定し,大きい場合には,受注に応じられない旨のアラームを発し,未出荷商品の総数が所定の基準数以下の場合に,当該受注オーダを前記管理用コンピュータに送信する手段を備え, 前記管理用コンピュータは, 前記各コンピュータ端末から送信された受注オーダを記憶する記憶手段と, 所定のイベント発生時に前記記憶手段から所定の受注オーダを読み込み,前記受注オーダ毎に,当該受注オーダに関して所定の条件が満たされているか否かを判断し,その判断結果に応じて当該受注オーダを出荷保留対象とするか否かを決定し,出荷を保留する受注オーダを出荷保留対象として設定する保留処理手段と, 出荷を所定の出荷日に行う旨の指示を受けたときに,前記受注オーダの中から前記出荷予定日が当該出荷日以前の受注オーダであって出荷保留対象となっていないものを抽出し,その抽出した受注オーダに対して予め所定のメモリに記憶されたルールに基づいて引当順序を決定し,在庫商品の引当処理を行う引当処理手段と, を備えることを特徴とする受注オーダ引当システム。」 2.補正の目的について 請求項1に係る補正は,補正前の請求項1における「新たに出荷予定日を含む受注オーダの内容が入力されたときに,当該受注オーダを前記管理用コンピュータに送信する手段」を,補正後の請求項1における「新たに出荷予定日を含む受注オーダの内容が入力されたときに,未出荷商品の総数が,現在の在庫量と商品の製造能力とを考慮して決定される所定の基準数よりも大きいか否か判定し,大きい場合には,受注に応じられない旨のアラームを発し,未出荷商品の総数が所定の基準数以下の場合に,当該受注オーダを前記管理用コンピュータに送信する手段」と補正することによって,「受注オーダを前記管理用コンピュータに送信する」との処理を,「未出荷商品の総数が,現在の在庫量と商品の製造能力とを考慮して決定される所定の基準数よりも大きいか否か判定し,大きい場合には,受注に応じられない旨のアラームを発し,未出荷商品の総数が所定の基準数以下の場合に,当該受注オーダを前記管理用コンピュータに送信する」との処理に限定するものであり,補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項を限定して,補正後の請求項1とするものであるから,請求項1に係る本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下,「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に掲げられた「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。 そこで,補正後の請求項1に係る発明(以下,「本件補正発明」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 3.引用例 (1)引用例1 原査定の拒絶の理由に引用された特開昭63-288361号公報(以下,「引用例1」という。)には,図面とともに,次の(ア)?(ウ)の事項が記載されている。 なお,原文の丸付き数字は,カッコ()で囲んだ数字で表記した。 (ア)「〔産業上の利用分野〕 本発明は,当日処理として,データ処理ユニットが前日未結データと新規データとを業務処理する業務処理システムの日別のテストを行うための日別テスト方法に関する。 1日の業務処理で未結状態となるデータが発生する業務処理システムがある。例えば,受注データ処理システムにおいて,受注審査処理で不信客の受注らしいと判明し,調査の必要なものや,在庫引当処理で,在庫不足のため出荷を保留する等の場合には,これらを未結とし,翌日の業務処理に回すようにしている。 このようなシステムにおいては,複数日にまたがるサイクルテストを行う必要があり,円滑に運用テストができることが望まれている。」(第2頁左上欄第10行?同頁右上欄第6行) (イ)「〔従来の技術〕 第5図は係る業務処理システムの説明図である。 データ処理ユニット1は当日分の入力ファイル22と前日までの未結ファイル20とを用いて業務処理を行い,各ファイル22,20のデータは当日処理済のものはファイル23に,未結としたものは当日未結ファイル21に格納する。 例えば,受注データの業務処理においては,データ処理ユニット1の実行する業務処理は,受注審査処理,保留解除処理,在庫引当処理等の一連の受注データ処理であり,端末3から新規の受注データと,未結分受注データに対する当日の状態推移(受注OK,在庫入荷等)とが入力ファイル22にオンライン入力され,バッチ処理で係る業務処理が行われる。 この当日未結ファイル21は第5図(B)に示す如く,翌日処理においては,前日未結ファイル20として扱われ,同様に業務処理が行われる。」(第2頁右上欄第7行?同頁左下欄第5行) (ウ)「〔実施例〕 (a) 一実施例業務処理システムの説明 第2図は本発明の一実施例業務処理システム構成図であり,通信販売の受注処理システムを例にしてある。 図中,第1図及び第5図で示したものと同一のものは同一の記号で示してあり,2はファイル部であり,磁気ディスク,磁気テープ等で構成され,後述する各ファイルを格納するもの,3は端末であり,所望のプログラムの呼出し,データの入力等を行うもの,2aは受注ファイルであり,端末3から入力された注文を受けた顧客データと商品データとを格納しておくもの,2baは当日分受注保留ファイルであり,後述する受注審査処理BPによって受注保留(当日未結)とされた顧客データと商品データとで構成される受注データを格納しておくもの,2bbは受注クリーンファイルであり,受注審査処理BPで受注可とされた発注データを格納しておくもの,2bcは受注キャンセルファイルであり,受注審査処理BPで悪質顧客からの発注等のため受注を拒否する発注データを格納しておくものである。 2dは前日分受注保留ファイルであり,前日まで受注保留となっている発注データを格納しておくもの,2eaは再保留ファイルであり,後述する保留解除処理DPによって再び保留(当日未結)となった発注データを格納しておくもの,2ebは受注キャンセルファイルであり,保留解除処理DPにより悪質顧客からの発注又は与信限度オーバーと判明したため受注を拒否する発注データを格納しておくもの,2ecは受注OKファイルであり,保留解除処理DPによって受注可とされた発注データを格納しておくものである。 2fは前日まで受注残ファイルであり,出荷指定日がまだ来ない,入荷予定の商品が入荷していない等の理由で前日まで受注残(未結)となっている発注データを格納しておくもの,2gaは出荷ファイルであり,後述する受注残更新処理EPで出荷可と判定した発注データを格納しておくもの,2gbは注文取消ファイルであり,受注残更新処理EPで顧客により注文取消とされた発注データを格納しておくものである。 2caは品切ファイルであり,後述する在庫引当処理FPによって,在庫もなく,入荷予定もなく品切となった発注データを格納しておくもの,2cbは当日出荷指図ファイルであり,在庫引当処理FPによって在庫があり出荷の指図をする発注データを格納しておくもの,2ccは当日まで受注残ファイルであり,在庫引当処理FPによって在庫はないが入荷予定があり品切にしないで残しておく未結の発注データを格納しておくものである。 2hは前日まで未報告ファイルであり,出荷指図があっても端末3から出荷報告のなかった未結の前日までの未報告発注データを格納しておくもの,2iaは出荷報告ファイルであり,後述する出荷報告処理GPによって出荷報告のあった発注データを格納しておくもの,2ibは当日まで未報告ファイルであり,出荷報告処理GPによって当日まで出荷未報告(未結)の発注データを格納しておくものである。 22は前述の入力ファイルであり,各端末3から当日分の入力された発注データや,受注OK,受注キャンセル,在庫有り,品切等の状態推移を格納しておくもの,24はテストデータファイルであり,日別データ変換処理CPによって日別テストスペックに展開されたテストデータを格納しておくものである。 データ処理ユニット1は,第3図にて詳述する受注入力処理プログラムAPと,受注審査処理プログラムBPと,保留解除処理プログラムDPと,受注残更新プログラムEPと在庫引当処理プログラムFPと,出荷報告処理プログラムGPと,テストツールである日別データ変換処理プログラムCPとを選択して実行するものとする。 ここで,前日未結ファイル20は,ファイル2d,ファイル2f,ファイル2hであり,当日未結ファイル21は,ファイル2ba,ファイル2ea,ファイル2cc,ファイル2ibである。 第3図は本発明の一実施例業務処理フロー図であり,受注入力から出荷報告までの一連の受注処理の流れを示している。 (1) 通信販売においては,電話又は郵便により注文を受け,受付部門のオペレータは端末3から注文書を見ながら,発注データを入力し,入力ファイル22にオンラインで格納する。又,受注審査部門では,前日の受注保留となった発注データを調べ,端末3より当日の状態推移(OK,キャンセル,再保留)を入力し,入力ファイル22にオンラインで格納する。 同様に,在庫管理部門では,受注後注文取消となったものや,品切のもの,出荷指図するもの等を端末3より入力し,出荷部門では,出荷したものの報告を端末3より入力し,各々入力ファイル22にオンラインで格納する。 (2) 上述の入力処理は例えば,1日の昼に行われ,夜に以下の受注データ処理が行われる。 先ず,受注入力処理プログラムAPがスケジューリングに従って,時間起動され,入力ファイル22を検索し,当日分の受注データを受注ファイル2aに格納する。 (3) そして同様に時間起動によって,受注審査処理プログラムBPが起動され,データ処理ユニット1が受注ファイル2aの受注データを1件づつ取り出し,顧客データベース(図示せず)を参照し,名寄せ処理,ネガティブチェック処理を行い,受注してよいか不明の受注は当日分受注保留ファイル2baに,受注可の受注は受注クリーンファイル2bbに,ネガティブチェックで悪質顧客からの受注のため受注を拒否するものは受注キャンセルファイル2bcに振分け格納する。 (4) 次にスケジューリングに従い保留解除処理プログラムDPが時間起動され,前日まで受注保留となっている受注データの保留解除処理が行われる。 このため,前述の如く,受注審査部門で前日までの受注保留の受注データリストを出力し,予め各受注データに対し,悪質顧客からの注文か,与信限度をオーバーしているか等を調べ,電話等で確認する。 そして,前日までの受注保留ファイル2dの各受注データに対し,端末3から再保留か,受注キャンセルか,受注OKかを入力し,入力ファイル22に格納しておく。 保留解除処理では,受注保留ファイル2dの受注データと,入力ファイル22の内容を参照し,入力ファイル22の内容に応じて,再保留ファイル2ea,受注キャンセルファイル2eb,受注OKファイル2ecに振り分け格納する。 (5) 一方,スケジューリングに従い,受注残更新処理プログラムEPが時間起動されると,受注残更新処理が行われる。 即ち,受注審査で受注可となった受注クリーンファイル2bbと,保留解除で受注可となった受注OKファイル2ecと,出荷指定日が未だ来ない,入荷予定の商品が入荷していないなどの理由で残っている前日まで受注残ファイル2fの受注データを一つにまとめ,入力ファイル22の内容を参照し,出荷可のものは出荷ファイル2gaに,注文取消のものは,注文取消ファイル2gbに振分け格納する。 (6) 出荷ファイル2gaの受注データは,スケジューリングに従い時間起動される在庫引当処理プログラムFPによって在庫引当処理される。 このため,入力ファイル22の内容に従い,出荷ファイル2gaの受注データを在庫もなく入荷予定もなく品切となるものは,品切ファイル2caに,在庫があり,出荷指図するものは,当日出荷指図ファイル2cbに,在庫はないが入荷予定があり品切にしないで残しておくものは,当日まで受注残ファイル2ccに振分け格納する。 (7) 出荷指図があり,出荷が行われると,端末3から出荷報告が入力ファイル22に入力される。出荷報告処理プログラムGPは,前日まで未報告ファイル2hと当日出荷指図ファイル2cbのデータに対し,入力ファイル22を参照し,端末3から出荷報告があったものは出荷報告ファイル2iaに,未報告のものは当日まで未報告ファイル2ibに振分け格納する。 このようにして,受注から出荷までがコンピュータ処理され,これは各々スケジューリングによるバッチ処理によって行われる。そして当日分受注保留ファイル2ba,当日まで受注残ファイル2cc,当日まで未報告ファイル2ibは,未結として,翌日の処理のため磁気テープ等に残される。」(第3頁右上欄第16行?第5頁左下欄第2行) 上記摘記事項(ア)?(ウ)の記載及び図面の記載を総合すると,引用例1には次のとおりの発明(以下,「引用例1発明」という。)が記載されていると認められる。 「発注データの入力等を行う端末3と, 受注入力処理プログラムAP,受注審査処理プログラムBP,保留解除処理プログラムDP,受注残更新プログラムEP,在庫引当処理プログラムFP,出荷報告処理プログラムGPを実行するデータ処理ユニット1と, 以下のファイル2a?ファイル22を格納するファイル部2と を有する受注処理システムであって, ファイル部2には, 端末3から入力された注文を受けた顧客データと商品データとを格納しておく受注ファイル2aと, 受注審査処理BPによって受注保留(当日未結)とされた顧客データと商品データとで構成される受注データを格納しておく当日分受注保留ファイル2baと, 受注審査処理BPで受注可とされた発注データを格納しておく受注クリーンファイル2bbと, 受注審査処理BPで悪質顧客からの発注等のため受注を拒否する発注データを格納しておく受注キャンセルファイル2bcと, 前日まで受注保留となっている発注データを格納しておく前日分受注保留ファイル2dと, 後述する保留解除処理DPによって再び保留(当日未結)となった発注データを格納しておく再保留ファイル2eaと, 保留解除処理DPにより悪質顧客からの発注又は与信限度オーバーと判明したため受注を拒否する発注データを格納しておく受注キャンセルファイル2ebと, 保留解除処理DPによって受注可とされた発注データを格納しておく受注OKファイル2ecと, 出荷指定日がまだ来ない,入荷予定の商品が入荷していない等の理由で前日まで受注残(未結)となっている発注データを格納しておく前日まで受注残ファイル2fと, 受注残更新処理EPで出荷可と判定した発注データを格納しておく出荷ファイル2gaと, 受注残更新処理EPで顧客により注文取消とされた発注データを格納しておく注文取消ファイル2gbと, 在庫引当処理FPによって,在庫もなく,入荷予定もなく品切となった発注データを格納しておく品切ファイル2caと, 在庫引当処理FPによって在庫があり出荷の指図をする発注データを格納しておく当日出荷指図ファイル2cbと, 在庫引当処理FPによって在庫はないが入荷予定があり品切にしないで残しておく未結の発注データを格納しておく当日まで受注残ファイル2ccと, 出荷指図があっても端末3から出荷報告のなかった未結の前日までの未報告発注データを格納しておく前日まで未報告ファイル2hと, 出荷報告処理GPによって出荷報告のあった発注データを格納しておく出荷報告ファイル2iaと, 出荷報告処理GPによって当日まで出荷未報告(未結)の発注データを格納しておく当日まで未報告ファイル2ibと, 各端末3から当日分の入力された発注データや,受注OK,受注キャンセル,在庫有り,品切等の状態推移を格納しておく入力ファイル22と が格納されており, 受付部門のオペレータは端末3から注文書を見ながら,発注データを入力し,入力ファイル22にオンラインで格納し, データ処理ユニット1は, 受注入力処理プログラムAPをスケジューリングに従って時間起動して,入力ファイル22を検索し,当日分の受注データを受注ファイル2aに格納し, 受注審査処理プログラムBPを起動して,受注ファイル2aの受注データを1件づつ取り出し,顧客データベースを参照し,名寄せ処理,ネガティブチェック処理を行い,受注してよいか不明の受注は当日分受注保留ファイル2baに,受注可の受注は受注クリーンファイル2bbに,ネガティブチェックで悪質顧客からの受注のため受注を拒否するものは受注キャンセルファイル2bcに振分け格納し, 保留解除処理プログラムDPを起動して,前日まで受注保留となっている受注データの保留解除処理を行い, 保留解除処理では,受注保留ファイル2dの受注データと,入力ファイル22の内容を参照し,入力ファイル22の内容に応じて,再保留ファイル2ea,受注キャンセルファイル2eb,受注OKファイル2ecに振り分け格納し, 受注残更新処理プログラムEPを起動して,受注審査で受注可となった受注クリーンファイル2bbと,保留解除で受注可となった受注OKファイル2ecと,出荷指定日が未だ来ない,入荷予定の商品が入荷していないなどの理由で残っている前日まで受注残ファイル2fの受注データを一つにまとめ,入力ファイル22の内容を参照し,出荷可のものは出荷ファイル2gaに,注文取消のものは,注文取消ファイル2gbに振分け格納する受注残更新処理を行い, 在庫引当処理プログラムFPを起動して,入力ファイル22の内容に従い,出荷ファイル2gaの受注データを在庫もなく入荷予定もなく品切となるものは,品切ファイル2caに,在庫があり,出荷指図するものは,当日出荷指図ファイル2cbに,在庫はないが入荷予定があり品切にしないで残しておくものは,当日まで受注残ファイル2ccに振分け格納し, 出荷指図があり,出荷が行われると,端末3から出荷報告が入力ファイル22に入力されるので, 出荷報告処理プログラムGPを起動して,前日まで未報告ファイル2hと当日出荷指図ファイル2cbのデータに対し,入力ファイル22を参照し,端末3から出荷報告があったものは出荷報告ファイル2iaに,未報告のものは当日まで未報告ファイル2ibに振分け格納する 受注処理システム。」 4.対比 本件補正発明と引用例1発明とを対比する。 (a)引用例1発明の「発注データの入力等を行う端末3」が,本件補正発明の「コンピュータ端末」に相当する。 また,引用例1発明の「発注データ」または「受注データ」が,本件補正発明の「受注オーダ」に相当する。 引用例1発明のデータ処理ユニット1は,受注入力処理プログラムAP,受注審査処理プログラムBP,保留解除処理プログラムDP,受注残更新プログラムEP,在庫引当処理プログラムFP,出荷報告処理プログラムGPを実行することによって,商品の発注データまたは受注データ(受注オーダ)を管理しているものであるから,引用例1発明の「データ処理ユニット1」が本件補正発明の「商品の受注オーダを管理する管理用コンピュータ」に相当する。 そして,引用例1発明の受注処理システムは,端末3から入力された発注データに対して在庫引当処理を行うものであるから,引用例1発明の「受注処理システム」が本件補正発明の「受注オーダ引当システム」に相当する。 してみれば,本件補正発明の「受注オーダ引当システム」と引用例1発明の「受注処理システム」とは,後記する点で相違するものの,ともに,「コンピュータ端末と,前記コンピュータ端末と接続され,商品の受注オーダを管理する管理用コンピュータとを有する受注オーダ引当システム」である点で共通している。 (b)引用例1発明では,「受付部門のオペレータは端末3から注文書を見ながら,発注データを入力し,入力ファイル22にオンラインで格納し」ているから,引用例1発明の端末3が,新たに入力された発注データの内容をデータ処理ユニット1(管理用コンピュータ)へ送信する手段を備えていることは明らかである。 また,引用例1発明において,受注残ファイル2fに格納される発注データ(受注データ)は,「出荷指定日がまだ来ない,入荷予定の商品が入荷していない等の理由で前日まで受注残(未結)となっている発注データ」であることから,引用例1発明の発注データ(受注データ)に,「出荷指定日」の情報が含まれていることは明らかである。 また,引用例1発明の「出荷指定日」が本件補正発明の「出荷予定日」に相当する。 してみれば,本件補正発明と引用例1発明とは,後記する点で相違するものの,ともに,「コンピュータ端末は,新たに出荷予定日を含む受注オーダの内容が入力されたときに,当該受注オーダを管理用コンピュータに送信する手段を備え」ている点で共通している。 (c)引用例1発明では,「受付部門のオペレータは端末3から注文書を見ながら,発注データを入力し,入力ファイル22にオンラインで格納し」ており,また,ファイル22はファイル部2に格納されているものであるから,引用例1発明の「ファイル部2」が,本件補正発明の「コンピュータ端末から送信された受注オーダを記憶する記憶手段」に相当する。 また,ファイル部2への発注データの格納は,データ処理ユニット1によって制御されるものであるから,データ処理ユニット1は,ファイル部2を「備え」ているということができる。 (d)引用例1発明では,データ処理ユニット1が,「受注入力処理プログラムAPをスケジューリングに従って時間起動して,入力ファイル22を検索し,当日分の受注データを受注ファイル2aに格納し」ており,「スケジューリングに従って時間起動」することは,「所定のイベント発生時に」処理を実行することに相当するから,引用例1発明の「受注入力処理プログラムAPをスケジューリングに従って時間起動して,入力ファイル22を検索」することが,本件補正発明の「所定のイベント発生時に前記記憶手段から所定の受注オーダを読み込」むことに相当する。 引用例1発明では,「受注審査処理プログラムBPを起動して,受注ファイル2aの受注データを1件づつ取り出し,顧客データベースを参照し,名寄せ処理,ネガティブチェック処理を行い,受注してよいか不明の受注は当日分受注保留ファイル2baに,受注可の受注は受注クリーンファイル2bbに,ネガティブチェックで悪質顧客からの受注のため受注を拒否するものは受注キャンセルファイル2bcに振分け格納し」ており,これらの振分け処理が,何らかの「条件」が「満たされているか否か」の「判断結果に応じて」行われていることは自明のことである。 また,引用例1発明の「受注してよいか不明の受注」は「当日分受注保留ファイル2ba」に格納され,その後の保留解除処理プログラムDPによって受注OKファイル2ecに振り分けられない限りは,その後の「受注残更新処理プログラムEP」や「在庫引当処理プログラムFP」の処理の対象とはならないものであり,また,「ネガティブチェックで悪質顧客からの受注のため受注を拒否するもの」は「受注キャンセルファイル2bc」に格納されて,その後の「受注残更新処理プログラムEP」や「在庫引当処理プログラムFP」の処理の対象とはならないものであるから,引用例1発明の「受注してよいか不明の受注」や「ネガティブチェックで悪質顧客からの受注のため受注を拒否するもの」が,本件補正発明の「出荷を保留する受注オーダ」に相当し,上記「受注してよいか不明の受注」を「当日分受注保留ファイル2ba」に振分け格納する処理や,「ネガティブチェックで悪質顧客からの受注のため受注を拒否するもの」を「受注キャンセルファイル2bc」に振分け格納する処理が,本件補正発明の「出荷保留対象として設定する」処理に相当する。 してみれば,引用例1発明の「受注入力処理プログラムAP」及び「受注審査処理プログラムBP」が本件補正発明の「所定のイベント発生時に前記記憶手段から所定の受注オーダを読み込み,前記受注オーダ毎に,当該受注オーダに関して所定の条件が満たされているか否かを判断し,その判断結果に応じて当該受注オーダを出荷保留対象とするか否かを決定し,出荷を保留する受注オーダを出荷保留対象として設定する保留処理手段」に相当する。 (e)引用例1発明では,「在庫引当処理プログラムFPを起動して,・・・在庫があり,出荷指図するものは,当日出荷指図ファイル2cbに・・・振分け格納し」ているから,引用例1発明の「在庫引当処理プログラムFP」が「在庫商品の引当処理を行」っていることは明らかである。 また,受注残更新処理プログラムEPの処理と在庫引当処理プログラムFPの処理を経て,当日出荷指図ファイル2cbに格納されたデータは,「出荷を所定の出荷日に行う」ためのデータであり,また,「受注残更新処理プログラムEP」及び「在庫引当処理プログラムFP」を起動するために,何らかの「指示」が実行されることは自明のことであるから,この「受注残更新処理プログラムEP」及び「在庫引当処理プログラムFP」を起動するため「指示」が,本件補正発明の「出荷を所定の出荷日に行う旨の指示」に相当する。 してみれば,引用例1発明の「受注残更新処理プログラムEP」及び「在庫引当処理プログラムFP」と,本件補正発明の「出荷を所定の出荷日に行う旨の指示を受けたときに,前記受注オーダの中から前記出荷予定日が当該出荷日以前の受注オーダであって出荷保留対象となっていないものを抽出し,その抽出した受注オーダに対して予め所定のメモリに記憶されたルールに基づいて引当順序を決定し,在庫商品の引当処理を行う引当処理手段」とは,後記する点で相違するものの,ともに,「出荷を所定の出荷日に行う旨の指示を受けたときに,在庫商品の引当処理を行う引当処理手段」である点で共通している。 そうすると,本件補正発明と引用例1発明とは, 「コンピュータ端末と,前記コンピュータ端末と接続され,商品の受注オーダを管理する管理用コンピュータとを有する受注オーダ引当システムであって, 前記コンピュータ端末は,新たに出荷予定日を含む受注オーダの内容が入力されたときに,当該受注オーダを前記管理用コンピュータに送信する手段を備え, 前記管理用コンピュータは, 前記コンピュータ端末から送信された受注オーダを記憶する記憶手段と, 所定のイベント発生時に前記記憶手段から所定の受注オーダを読み込み,前記受注オーダ毎に,当該受注オーダに関して所定の条件が満たされているか否かを判断し,その判断結果に応じて当該受注オーダを出荷保留対象とするか否かを決定し,出荷を保留する受注オーダを出荷保留対象として設定する保留処理手段と, 出荷を所定の出荷日に行う旨の指示を受けたときに,在庫商品の引当処理を行う引当処理手段と, を備えることを特徴とする受注オーダ引当システム。」 の点で一致し,次の点で相違する。 [相違点1] 本件補正発明では,コンピュータ端末が「複数」であるのに対して,引用例1発明では,コンピュータ端末が「複数」であるか否かは明らかでない点。 [相違点2] 本件補正発明では,コンピュータ端末が,「未出荷商品の総数が,現在の在庫量と商品の製造能力とを考慮して決定される所定の基準数よりも大きいか否か判定し,大きい場合には,受注に応じられない旨のアラームを発し,未出荷商品の総数が所定の基準数以下の場合に」,入力された受注オーダを管理用コンピュータに送信するのに対して,引用例1発明では,そのような構成となっていない点。 [相違点3] 在庫商品の引当処理を行う際に,本件補正発明では,「受注オーダの中から前記出荷予定日が当該出荷日以前の受注オーダであって出荷保留対象となっていないものを抽出し,その抽出した受注オーダに対して予め所定のメモリに記憶されたルールに基づいて引当順序を決定し」ているのに対して,引用例1発明では,そのような構成となっていない点。 5.当審の判断 上記各相違点について検討する。 [相違点1]について 一つのコンピュータに複数の端末を接続することは普通に行われていることであり,引用例1発明のシステムにおいて,端末3を複数とし,複数の端末3から発注データの入力が行えるように構成することには何ら困難性が無く,当業者が適宜なしうることである。 したがって,相違点1に係る本件補正発明の構成は,引用例1発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 [相違点2]について 例えば特開平6-325059号公報(特に【0052】段落の記載参照)には,「入力された納品数が在庫と未生産量の和より多いとき(S41),その旨を警告して入力の訂正を促す(S43)。」と記載され,当該記載における「在庫」「未生産量」が本件補正発明の「現在の在庫量」「商品の製造能力」にそれぞれ相当し,また,特開平6-28362号公報(特に第3図及びその説明の記載参照)には,ロット完成予想数量と受注数量と在庫数量とに基づいて出荷可能を判断することが記載され,当該記載における「在庫数量」「ロット完成予想数量」が本件補正発明の「現在の在庫量」「商品の製造能力」にそれぞれ相当する。 してみれば,所定の受注に対して,当該受注に応じられるか否かを「現在の在庫量と商品の製造能力とを考慮して決定」することは周知技術(以下,「周知技術1」という。)であるものと認められる。 また,当該決定を具体的に実行するために,受注オーダに応じて決定される未出荷商品の総数と,これに対応する所定の基準数(現在の在庫量と商品の製造能力とを考慮して決定される所定の基準数)とを設定し,これらの大小関係に応じて受注に応じられるか否かを決定するように構成することは当業者が適宜採用しうる設計的事項である。 してみれば,引用例1発明に上記周知技術1を適用して,新たに出荷予定日を含む受注オーダの内容が入力されたときに,受注に応じられるか否かを,現在の在庫量と商品の製造能力とを考慮して決定し,受注に応じられない場合には,受注に応じられない旨のアラームを発し,受注に応じられる場合には,当該受注オーダを前記管理用コンピュータに送信するように構成することには何ら困難性がなく,その際,さらに,上記設計的事項を採用して,新たに出荷予定日を含む受注オーダの内容が入力されたときに,未出荷商品の総数が,現在の在庫量と商品の製造能力とを考慮して決定される所定の基準数よりも大きいか否か判定し,大きい場合には,受注に応じられない旨のアラームを発し,未出荷商品の総数が所定の基準数以下の場合に,当該受注オーダを前記管理用コンピュータに送信するように構成することには何ら困難性がなく,当業者が容易に想到し得たことである。 したがって,相違点2に係る本件補正発明の構成は,引用例1発明,及び周知技術1に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 [相違点3]について 引用例1発明では,出荷指定日(本件補正発明における「出荷予定日」に相当する)がまだ来ない発注データを受注残ファイル2fに格納していることから,受注残更新プログラムEPと在庫引当処理プログラムFPは,「出荷指定日(出荷予定日)が来た発注データであって,かつ,出荷保留対象となっていないもの」を処理の対象としているものと認められる。 また,引用例1発明では,受注審査処理BPや保留解除処理DP,受注残更新処理EP等の各処理において処理された発注データをその処理結果に応じて別々のファイルに格納して管理しているが,これらの発注データを1つのファイルに格納して管理することは発注データの管理手法として一般的に行われている周知技術(以下,「周知技術2」という。)である。(必要であれば,特開平9-114897号公報(特に第3図及びその説明の記載参照),特開平10-177686号公報(特に第6図及びその説明の記載参照)等を参照されたい)。 また,「出荷指定日(出荷予定日)が来た発注データであって,かつ,出荷保留対象となっていないもの」の中には,「出荷指定日(出荷予定日)を過ぎた後に保留解除となった発注データ」すなわち「出荷予定日が出荷日以前の受注オーダ」も含まれていることは自明であるから,1つのファイルに格納された「受注オーダの中から」,「出荷指定日(出荷予定日)が来た発注データであって,かつ,出荷保留対象となっていないもの」を処理対象として「抽出」するにあたり,出荷指定日(出荷予定日)を過ぎた後に保留解除となった発注データも在庫引当処理の対象となすべく,「出荷予定日が当該出荷日以前の受注オーダであって出荷保留対象となっていないものを抽出」するように構成することには何ら困難性がなく,当業者が適宜なし得たことである。 また,抽出した発注データの在庫引当処理に際し,在庫に限りがあり,全ての発注に応じられないような場合に,所定の優先順序を付けて在庫商品の引当処理を行うようにすることは常套手段であり,また,その優先順序のルールを予め所定のメモリに記憶しておくように構成することも適宜なし得る設計的事項である。 してみれば,引用例1発明に上記周知技術2を採用して発注データを1つのファイルに格納して管理しておき,出荷を所定の出荷日に行う旨の指示を受けたときに,「前記受注オーダの中から前記出荷予定日が当該出荷日以前の受注オーダであって出荷保留対象となっていないものを抽出」するように構成することには何ら困難性がなく,また,「その抽出した受注オーダに対して予め所定のメモリに記憶されたルールに基づいて引当順序を決定し,在庫商品の引当処理を行う」ように構成することにも何ら困難性はなく,当業者が適宜なし得たことである。 したがって,相違点3に係る本件補正発明の構成は,引用例1発明,周知技術2,及び常套手段に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 そして,本件補正発明の作用効果も,引用例1発明,周知技術1,周知技術2,及び常套手段から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって,本件補正発明は,引用例1発明,周知技術1,周知技術2,及び常套手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 6.本件補正についてのむすび したがって,本件補正は,改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成23年7月15日付けの手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明は,平成22年9月14日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。(以下,「本願発明」という。) 「 【請求項1】 複数のコンピュータ端末と,前記複数のコンピュータ端末と接続され,商品の受注オーダを管理する管理用コンピュータとを有する受注オーダ引当システムであって, 前記各コンピュータ端末は,新たに出荷予定日を含む受注オーダの内容が入力されたときに,当該受注オーダを前記管理用コンピュータに送信する手段を備え, 前記管理用コンピュータは, 前記各コンピュータ端末から送信された受注オーダを記憶する記憶手段と, 所定のイベント発生時に前記記憶手段から所定の受注オーダを読み込み,前記受注オーダ毎に,当該受注オーダに関して所定の条件が満たされているか否かを判断し,その判断結果に応じて当該受注オーダを出荷保留対象とするか否かを決定し,出荷を保留する受注オーダを出荷保留対象として設定する保留処理手段と, 出荷を所定の出荷日に行う旨の指示を受けたときに,前記受注オーダの中から前記出荷予定日が当該出荷日以前の受注オーダであって出荷保留対象となっていないものを抽出し,その抽出した受注オーダに対して予め所定のメモリに記憶されたルールに基づいて引当順序を決定し,在庫商品の引当処理を行う引当処理手段と, を備えることを特徴とする受注オーダ引当システム。」 2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例1には,上記「第2 [理由]3.」に記載したとおりの事項が記載されている。 3.対比・判断 上記「第2 [理由]」で検討した本件補正発明は,本願発明における「新たに出荷予定日を含む受注オーダの内容が入力されたときに,当該受注オーダを前記管理用コンピュータに送信する手段」を,「新たに出荷予定日を含む受注オーダの内容が入力されたときに,未出荷商品の総数が,現在の在庫量と商品の製造能力とを考慮して決定される所定の基準数よりも大きいか否か判定し,大きい場合には,受注に応じられない旨のアラームを発し,未出荷商品の総数が所定の基準数以下の場合に,当該受注オーダを前記管理用コンピュータに送信する手段」と補正することによって,「受注オーダを前記管理用コンピュータに送信する」との処理を,「未出荷商品の総数が,現在の在庫量と商品の製造能力とを考慮して決定される所定の基準数よりも大きいか否か判定し,大きい場合には,受注に応じられない旨のアラームを発し,未出荷商品の総数が所定の基準数以下の場合に,当該受注オーダを前記管理用コンピュータに送信する」との処理に限定したものである。 そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,さらに上記「第2 [理由]4.」に記載した[相違点2]に係る構成を限定した本件補正発明が,上記「第2 [理由]5.」に記載したとおり引用例1発明,周知技術1,周知技術2,及び常套手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,上記[相違点2]に係る構成を省いた本願発明も同様の理由により,引用例1発明,周知技術2,及び常套手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 そして,本願発明の作用効果も,引用例1発明,周知技術2,及び常套手段から当業者が予測できる範囲のものである。 4.むすび 以上のとおり,本願発明は,引用例1発明,周知技術2,及び常套手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-07-11 |
結審通知日 | 2012-07-23 |
審決日 | 2012-08-03 |
出願番号 | 特願2001-98074(P2001-98074) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06Q)
P 1 8・ 575- Z (G06Q) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小原 正信 |
特許庁審判長 |
金子 幸一 |
特許庁審判官 |
須田 勝巳 松尾 俊介 |
発明の名称 | 受注オーダ引当システム及び受注オーダ引当方法 |
代理人 | 半田 昌男 |