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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06Q 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q |
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管理番号 | 1263772 |
審判番号 | 不服2010-29488 |
総通号数 | 155 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-11-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-12-28 |
確定日 | 2012-09-27 |
事件の表示 | 特願2000-287764「景品情報の提供方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 4月 5日出願公開、特開2002- 99660〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成12年9月21日の出願であって、同年10月6日付けで手続補正がなされ、平成21年11月27日付け拒絶理由通知に対する応答時、平成22年1月28日付けで手続補正がなされ、同年9月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年12月28日付けで拒絶査定不服審判請求及び手続補正がなされた。 その後、平成24年5月8日付けで審尋がなされ、同年7月12日付けで回答書が提出されたものである。 2.平成22年12月28日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成22年12月28日付けの手続補正を却下する。 [理 由] (1)補正後の本願発明 平成22年12月28日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、 「【請求項1】 アクセス利用者が第1の遊技媒体または該第1の遊技媒体と景品交換単価の異なる第2の遊技媒体を用いて遊技機で遊技を行うことにより該アクセス利用者の所有となった遊技媒体数に該当する景品情報の提供を、データ通信可能に接続された複数のコンピュータ端末から成るコンピュータネットワークに接続されたサーバコンピュータを用いて、前記アクセス利用者に対して行う景品情報の提供方法であって、 前記サーバコンピュータが、景品提供者から、提供可能な景品と該景品の交換に必要な遊技媒体数を少なくとも含む景品情報を受け付けて登録する景品登録ステップと、 前記サーバコンピュータが、アクセス利用者から、少なくとも該アクセス利用者の所有する遊技媒体数を特定可能な情報を受け付ける受付ステップと、 前記サーバコンピュータが、各遊技場から、前記受付ステップにて受け付けた情報に基づいて該アクセス利用者の所有する前記第1の遊技媒体数と前記第2の遊技媒体数を入手するステップと、 前記サーバコンピュータが、入手した前記第2の遊技媒体数を所定比率にて前記第1の遊技媒体数として換算し、換算結果と入手した前記第1の遊技媒体数を合算した遊技媒体数に該当する景品を、前記景品登録ステップにて登録されている景品より抽出し、該抽出した景品に関する情報をアクセス利用者に配信する配信ステップと、 を少なくとも含むことを特徴とする景品情報の提供方法。」 と補正された。 上記補正は実質的に、 ア.請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「異なる遊技媒体」について、「第1の遊技媒体と景品交換単価の異なる第2の遊技媒体」であるとの限定を付加し、 イ.同じく請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「遊技媒体の有価価値の大きさ」について、「遊技媒体数」であるとの限定を付加し、 ウ.同じく請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「異なる遊技媒体の有価価値の合算」について、「前記第2の遊技媒体数を所定比率にて前記第1の遊技媒体数として換算し、換算結果と入手した前記第1の遊技媒体数を合算」するものであるとの限定を付加するものである。 よって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか)否かについて以下に検討する。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-164262号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。 ア.「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、遊技店に設置された遊技機での遊技に供される遊技機用遊技媒体を用いて景品と交換するための情報制御技術に属し、より詳しくは、遊技者に付与した固有遊技者情報と関連付けて遊技媒体の種別や数量を計数記憶してなる遊技価値情報の集中管理を行うことで、遊技価値情報を媒介とした景品交換を可能ならしめる遊技機用遊技媒体による景品交換システムに関する。」 イ.「【0018】図2は、上記したようなシステムをより詳細に示したブロック図であり、1つの景品管理センタ1と複数の遊技店2…,複数の景品販売業者3…,景品交換用端末の導入された一般家庭10…とを相互に通信可能な状態で接続し、遊技者が望む賞品やサービスは、最終的に景品販売業者3…から当該利用者カードを有するシステム登録者の登録された住所(一般家庭4…)へ個別に提供されるようにしてある。 【0019】上記景品交換管理センタ1内には、遊技価値情報管理制御装置11と景品交換管理制御装置12とを設けてあり、上記遊技価値情報管理制御装置11は、遊技店2内の遊技媒体計数装置8から管理制御装置5を介して送信した固有遊技者情報と遊技媒体の数量とに基づいて、当該固有遊技者情報の付された遊技者が有する遊技媒体の種別および数量を個別に計数記憶し、これらを当該遊技者の遊技価値情報として記憶管理するもので、景品交換管理制御装置12は、上記遊技価値情報管理制御装置11に記憶された固有遊技者情報と関連付けられた遊技価値情報の読込および書換が可能で、遊技価値情報に基づく遊技媒体と景品との等価交換制御を行うものである。 【0020】なお、景品交換管理センタ1と遊技店2…,景品販売業者3…,一般家庭10…が双方向の通信を行うために、インターフェース装置13…を各々設けてあり、公知既存の種々の通信方式(有線・無線を問わない)を用いて、必要な情報の授受が行えるようにしてある。」 ウ.「【0024】次に、上記したシステム構成例における景品管理センタ1の処理概要を図3のフローチャートに基づいて説明する。 【0025】景品交換管理センタ1の遊技価値情報管理制御装置11は、遊技店2…の各管理制御装置5…から遊技者情報と関連付けられた遊技媒体の種別および数量である貯蓄データを受信すると、これらの貯蓄データに基づいてシステム登録者の遊技価値情報を更新して行くのである(ステップS1)。なお、遊技店2からの貯蓄データ送信タイミングを特に限定しない場合には、遊技価値情報の更新タイミングに一定の規則性が無いことから、システム登録者が貯玉(或いは貯メダル)を行った直後には遊技価値情報の更新が為されていないケースも起こり得る。このような場合でもシステム登録者の景品交換を可能とすることが望ましいので、遊技店2においては、遊技媒体計数装置8から貯蓄データを受ける毎に随時送信するようにすれば、システム登録者の便に供することができる。 【0026】次いで、景品交換用端末装置4からの通信を受けたか否かの判定を行い(ステップS2)、景品交換用端末装置4からの通信を受けていた場合には、システム登録者が入力する遊技店コードを受信し(ステップS3)、遊技者コードを受信し(ステップS4)、暗証番号を受信し(ステップS5)、これらの受信情報が全て登録されている情報に符合するか否かを判定する(ステップS6)。一つの項目でも符合していなければ、適正なシステム登録者からの景品交換要求とは認められないので、例えば、各項目の再入力を促すようにし、所定回数の再入力猶予によっても適正な入力が為されない場合には、景品交換用端末装置4との接続を強制的に切断するようにしても良い。 【0027】また、景品交換用端末装置4から入力された全ての項目が符合していれば、適正なシステム登録者からの景品交換要求を認められ、上記ステップS3で受信した遊技店コードに対応した遊技店でにおける遊技価値をシステム登録者が操作する景品交換用端末装置4に提供し(ステップS7)、遊技媒体との交換が可能な景品の情報を景品交換用端末装置4からの選択に応じて提供し(ステップS8)、これらの景品群の中から遊技者が指定した景品や個数等の情報よりなる景品交換要求を受信する(ステップS9)。」 エ.「【0029】また、本実施例においては、貯蓄に供している遊技媒体の種類や数量を遊技店毎に記憶保持するものとして、景品交換要求を行う前に遊技店を指定するので、各遊技店毎に独自に定めた遊技媒体と景品との交換レートを再現することができる。しかしながら、景品交換管理センタ1を媒介とした景品交換システムを利用する遊技店2…は一律の交換レートに統一するものと設定した場合には、複数の遊技店から貯蓄に供した遊技媒体を統括して景品交換に使用することが可能となるので、遊技者は遊技店毎の貯玉状況等を把握しておく必要がないと共に、複数の遊技店で貯めた遊技媒体を景品交換に利用できるので、遊技者にとっては価値ある景品交換システムとなる。」 オ.「【0031】次に、一般家庭10…等からシステム登録者が景品交換用端末装置4を利用して景品交換を行う際の具体的な処理の流れを図4?図10に基づいて詳細に説明する。なお、図4は景品交換用端末装置4を用いた景品交換要求処理の概要を示すフローチャートであり、図5?図10は、景品交換管理制御装置12に対して景品交換要求を行う過程で、景品交換用端末装置4の画面に表示されるキャラクタベースの表示例を示すものである。 【0032】先ず、システム登録者は景品交換用端末装置4を用いて景品交換管理センタ1の景品交換管理制御装置12との通信を開始し(ステップS21)、景品交換管理制御装置12へのアクセスが完了すると、景品交換管理制御装置12から景品交換用端末装置4に対して所定の項目の入力要求が為される(図5参照)。この入力要求に対して、システム登録者は景品交換用端末装置4から遊技店コードを入力し(ステップS22)、遊技者コードを入力し(ステップS23)、暗証番号を入力する(ステップS24)。 【0033】上記のようにして入力した各項目が全て適正なものであるか否かを景品交換管理センタ1の景品交換管理制御装置12が判定し、入力情報が適正であった場合にのみ、上記ステップS22で入力した遊技店コードに対応する遊技店2における当該システム登録者の遊技価値情報が景品交換管理制御装置12から送信され(ステップS26)、該情報を取得した景品交換用端末装置4の画面には遊技媒体の種別および数量が表示される(図6参照)。 【0034】そして、遊技媒体の数量等の確認が終了する(例えば、遊技価値情報が表示されている図6の画面において矢印様のマウスカーソルを「OK」表示に合わせてクリックする)と、景品の湯別に応じた大項目の候補群が表示される(図7参照)。例えば、図7における項目1の“景品”とは、一般の遊技店2…の景品交換所で扱っているような有体の商品を提供するものであり、項目2の“レジャー”とは、航空券や宿泊施設等の予約等の無体のサービスを提供するものであり、項目3の“各種情報”は、景品交換管理制御装置12自体に入力された各種情報あるいは景品交換管理制御装置12と接続された他の情報ネット(景品販売業者3の一態様である。)等から提供を受けることが可能な有料情報(釣り情報やゲーム等)を提供するものである。 【0035】上記のような大項目の何れかを選択すると、当該項目下の更に詳細な項目群が表示され(図8参照)、これを繰り返すことによって、希望する景品情報の項目候補を表示させることができるような階層メニュー構造としてある。そして、各種景品情報の項目を候補群から選択すると(ステップS28)、選択した情報に応じた景品交換管理制御装置12から送信され(ステップS29)、この取得した情報を画面に表示する(図9参照)。なお、図9に示す画面表示例においては、当該景品の製造メーカー等と名称を文字表示するだけであるが、景品交換用端末装置4と景品交換管理制御装置12とが高速データ通信で接続されている場合には、膨大な情報量の画像通信が可能となるので、各景品の画像等を画面表示させるようにしても良い。」 カ.固有遊技者情報と関連付けられた遊技媒体の種別は、パチンコ玉とメダルの2種であり、これらは景品交換単価が異なる(メダルの方が景品交換単価が高い)。(図6、図9) キ.遊技媒体との交換が可能な景品の情報の提供には、景品の名称等と、その景品の交換に必要な玉数及びメダル数が含まれる。(図9) 特に、上記「ウ.」における、景品管理センタの各制御装置による処理のうち、景品交換管理制御装置による遊技媒体との交換が可能な景品の情報を提供する処理(ステップS8)に着目するとともに、上記「エ.」における、景品交換システムを利用する複数の各遊技店が一律の交換レートに統一するものと設定して、複数の遊技店から貯蓄に供した遊技媒体を統括して景品交換に使用する場合に着目し、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「1つの景品管理センタと複数の遊技店,複数の景品販売業者,複数の景品交換用端末の導入された一般家庭とが相互に双方向の通信が可能な状態で接続され、システム登録者である遊技者に付与した固有遊技者情報(遊技者コード)と関連付けて遊技機での遊技に供される遊技媒体(具体的には、パチンコ玉と、該パチンコ玉とは景品交換単価の異なるメダル)の種別や数量を計数記憶してなる遊技価値情報の集中管理を行うことで、遊技価値情報を媒介とした景品交換を可能ならしめる景品交換システムにおいて、 前記景品管理センタ内には、遊技価値情報管理制御装置と景品交換管理制御装置とが設けられ、これら制御装置を用いて前記システム登録者である遊技者に対して遊技価値情報に基づく遊技媒体との交換が可能な景品の情報等を提供する方法であって、 前記景品交換管理制御装置が、システム登録者である遊技者から前記景品交換用端末を用いて当該景品交換管理制御装置へのアクセスがなされた場合、システム登録者である遊技者が入力する固有遊技者情報(遊技者コード)等を受信するステップと、 前記遊技価値情報管理制御装置は、複数の各遊技店の各管理制御装置から固有遊技者情報(遊技者コード)と関連付けられた遊技媒体(すなわち、パチンコ玉とメダル)の種別および数量である貯蓄データを受信し、複数の各遊技店は一律の遊技媒体と景品との交換レートに統一するものと設定した場合には、複数の遊技店から貯蓄に供した遊技媒体を統括して景品交換に使用することが可能となるように、当該遊技者の遊技価値情報として固有遊技者情報(遊技者コード)と関連付けて記憶管理しており、前記景品交換管理制御装置が、当該遊技価値情報管理制御装置から前記受信するステップで受信した固有遊技者情報(遊技者コード)と関連付けられた遊技価値情報を読込むステップと、 前記景品交換管理制御装置が、読込んだ遊技価値情報である貯玉数及び貯メダル数とともに、当該遊技価値情報に基づく遊技媒体との交換が可能な景品の情報(具体的には、景品の名称等と、その景品の交換に必要な玉数及びメダル数)を前記景品交換用端末装置に提供するステップと、 を含む景品の情報等の提供方法。」 (3)対比 そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、 ア.引用発明における「システム登録者である遊技者」は、後述する「・・前記景品交換管理制御装置が、システム登録者である遊技者から前記景品交換用端末を用いて当該景品交換管理制御装置へのアクセスがなされた場合・・」とあるように、景品管理センタの景品交換管理制御装置にアクセスできる者であり、本願補正発明における「アクセス利用者」に相当する。 また、引用発明における遊技媒体のうちの「パチンコ玉」、「メダル」は、それぞれ本願補正発明における「第1の遊技媒体」、「第2の遊技媒体」に相当し、引用発明における「遊技機」、「遊技価値情報」、「景品の情報」は、それぞれ本願補正発明における「遊技機」、「遊技媒体数」、「景品情報(景品に関する情報)」に相当する。 さらに、引用発明における、景品管理センタと双方向の通信が可能な状態で接続された複数の遊技店、複数の景品販売業者、複数の景品交換用端末の導入された一般家庭のうち、特に「景品交換端末」は、本願補正発明における「コンピュータ端末」に相当し、引用発明における、景品交換センタ内に設けられた制御装置のうち、少なくとも「景品交換管理制御装置」は、本願補正発明における「サーバコンピュータ」に相当するといえる。 したがって、引用発明における「1つの景品管理センタと複数の遊技店,複数の景品販売業者,複数の景品交換用端末の導入された一般家庭とが相互に双方向の通信が可能な状態で接続され、システム登録者である遊技者に付与した固有遊技者情報(遊技者コード)と関連付けて遊技機での遊技に供される遊技媒体(具体的には、パチンコ玉と、該パチンコ玉とは景品交換単価の異なるメダル)の種別や数量を計数記憶してなる遊技価値情報の集中管理を行うことで、遊技価値情報を媒介とした景品交換を可能ならしめる景品交換システムにおいて、前記景品管理センタ内には、遊技価値情報管理制御装置と景品交換管理制御装置とが設けられ、これら制御装置を用いて前記システム登録者である遊技者に対して遊技価値情報に基づく遊技媒体との交換が可能な景品の情報等を提供する方法であって」によれば、本願補正発明と引用発明とは、「アクセス利用者が第1の遊技媒体または該第1の遊技媒体と景品交換単価の異なる第2の遊技媒体を用いて遊技機で遊技を行うことにより該アクセス利用者の所有となった遊技媒体数に該当する景品情報の提供を、データ通信可能に接続された複数のコンピュータ端末から成るコンピュータネットワークに接続されたサーバコンピュータを用いて、前記アクセス利用者に対して行う景品情報の提供方法であって」の点で一致する。 イ.引用発明における「固有遊技者情報(遊技者コード)」は、後述のように遊技者の遊技価値情報に関連付けられるものであることから、本願補正発明における、アクセス利用者の所有する遊技媒体数を「特定可能な情報」に相当し、 したがって、引用発明における「前記景品交換管理制御装置が、システム登録者である遊技者から前記景品交換用端末を用いて当該景品交換管理制御装置へのアクセスがなされた場合、システム登録者である遊技者が入力する固有遊技者情報(遊技者コード)等を受信するステップと」は、本願補正発明における「前記サーバコンピュータが、アクセス利用者から、少なくとも該アクセス利用者の所有する遊技媒体数を特定可能な情報を受け付ける受付ステップと」に相当する。 ウ.引用発明における、複数の「各遊技店」は、本願補正発明における「各遊技場」に相当し、 引用発明における「前記遊技価値情報管理制御装置は、複数の各遊技店の各管理制御装置から固有遊技者情報(遊技者コード)と関連付けられた遊技媒体(すなわち、パチンコ玉とメダル)の種別および数量である貯蓄データを受信し、複数の各遊技店は一律の遊技媒体と景品との交換レートに統一するものと設定した場合には、複数の遊技店から貯蓄に供した遊技媒体を統括して景品交換に使用することが可能となるように、当該遊技者の遊技価値情報として固有遊技者情報(遊技者コード)と関連付けて記憶管理しており、前記景品交換管理制御装置が、当該遊技価値情報管理制御装置から前記受信するステップで受信した固有遊技者情報(遊技者コード)と関連付けられた遊技価値情報を読込むステップと」によれば、景品交換管理制御装置は、システム登録者である遊技者の所有する遊技価値情報、すなわちパチンコ玉の数(貯玉数)とメダルの数(貯メダル数)とを遊技価値情報管理制御装置から読込むことで入手するものであることから、本願補正発明と引用発明とは、「前記サーバコンピュータが、各遊技場から、前記受付ステップにて受け付けた情報に基づいて該アクセス利用者の所有する前記第1の遊技媒体数と前記第2の遊技媒体数を入手するステップと」を含む点で一致する。 エ.「前記景品交換管理制御装置が、読込んだ遊技価値情報である貯玉数及び貯メダル数とともに、当該遊技価値情報に基づく遊技媒体との交換が可能な景品の情報(具体的には、景品の名称等と、その景品の交換に必要な玉数及びメダル数)を前記景品交換用端末装置に提供するステップと」によれば、多数の提供可能な景品の中から、システム登録者である遊技者が所有する遊技価値情報(つまり遊技媒体数)で交換が可能な景品が抽出(選択)されるものであることは明らかであるから、本願補正発明と引用発明とは、「前記サーバコンピュータが、入手した遊技媒体数に該当する景品を抽出し、該抽出した景品に関する情報をアクセス利用者に配信する配信ステップと」を含む点で共通するといえる。 よって、本願補正発明と引用発明とは、 「アクセス利用者が第1の遊技媒体または該第1の遊技媒体と景品交換単価の異なる第2の遊技媒体を用いて遊技機で遊技を行うことにより該アクセス利用者の所有となった遊技媒体数に該当する景品情報の提供を、データ通信可能に接続された複数のコンピュータ端末から成るコンピュータネットワークに接続されたサーバコンピュータを用いて、前記アクセス利用者に対して行う景品情報の提供方法であって、 前記サーバコンピュータが、アクセス利用者から、少なくとも該アクセス利用者の所有する遊技媒体数を特定可能な情報を受け付ける受付ステップと、 前記サーバコンピュータが、各遊技場から、前記受付ステップにて受け付けた情報に基づいて該アクセス利用者の所有する前記第1の遊技媒体数と前記第2の遊技媒体数を入手するステップと、 前記サーバコンピュータが、入手した遊技媒体数に該当する景品を抽出し、該抽出した景品に関する情報をアクセス利用者に配信する配信ステップと、 を少なくとも含むことを特徴とする景品情報の提供方法。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 本願補正発明では、「前記サーバコンピュータが、景品提供者から、提供可能な景品と該景品の交換に必要な遊技媒体数を少なくとも含む景品情報を受け付けて登録する景品登録ステップ」を含み、配信ステップにおける景品の抽出を「前記景品登録ステップにて登録されている景品」より行うと特定するのに対し、引用発明ではこのような明確な特定がない点。 [相違点2] 入手した遊技媒体数に該当する景品を抽出するに際し、この「遊技媒体数」が、本願補正発明では「入手した前記第2の遊技媒体数を所定比率にて前記第1の遊技媒体数として換算し、換算結果と入手した前記第1の遊技媒体数を合算した」ものであると特定するのに対し、引用発明では遊技価値情報として貯玉数(第1の遊技媒体数)と貯メダル数(第2の遊技媒体数)の双方を入手するものではあるものの、そのような換算及び合算することの特定がない点。 (4)判断 上記相違点について検討する。 [相違点1]について 引用発明には「前記景品交換管理制御装置が、読込んだ遊技価値情報である貯玉数及び貯メダル数とともに、当該遊技価値情報に基づく遊技媒体との交換が可能な景品の情報(具体的には、景品の名称等と、その景品の交換に必要な玉数及びメダル数)を前記景品交換用端末装置に提供する・・」とあるように、提供する景品の情報として、景品の名称等と、その景品の交換に必要な玉数及びメダル数が含まれることからして、引用発明においても、少なくとも景品交換センタには、景品の名称等とその景品の交換に必要な玉数及びメダル数を含む多数の景品の情報が登録(記憶管理)されているものと解され、したがってその前提となる、景品交換管理制御装置が予め複数の景品販売業者から提供可能な景品と該景品の交換に必要な遊技価値情報(すなわち、玉数及びメダル数)とを含む情報を取得して登録するステップを有するようすることや、それに伴って、情報を提供する景品の抽出(選択)を当該登録ステップにて登録されている景品より行うことは当業者にとってごく普通になし得る技術事項にすぎない。 [相違点2]について パチンコ機に使用するパチンコ玉、及びスロットマシン等に使用するメダルはともに景品交換のための媒体として用いられることは常識ともいえる事項であって、引用発明においてもパチンコ玉とメダルの双方が景品交換のための媒体として用いられるものであるところ、例えば特開平6-134135号公報(段落【0045】?【0047】を参照)、特開平11-76578号公報(例えば段落【0074】?【0077】を参照)、特開平11-164953号公報(例えば段落【0024】?【0025】、【0084】を参照)に記載のように、メダル数を所定比率にてパチンコ玉数に換算し、もともとのパチンコ玉数と合算した遊技媒体数を求めておき、当該合算された遊技媒体数でもって景品交換を行うことは周知の事項であり、引用発明においても、かかる周知事項を採用し、読込んだ(入手した)遊技価値情報である貯玉数及び貯メダル数について、貯メダル数を所定比率にてパチンコ玉数に換算し、貯玉数と合算した遊技媒体数を求め、これをもとに景品を抽出するようにすることも当業者であれば適宜なし得ることである。 そして、上記各相違点を総合的に判断しても本願補正発明が奏する効果は、引用発明及び周知事項から当業者が十分に予測できたものであって、格別顕著なものがあるとはいえない。 (5)むすび 以上のとおり、本願補正発明は、引用発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 平成22年12月28日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成22年1月28日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。 「【請求項1】 アクセス利用者が遊技機で遊技を行うことにより該アクセス利用者の所有となった遊技媒体の有価価値の大きさに該当する景品情報の提供を、データ通信可能に接続された複数のコンピュータ端末から成るコンピュータネットワークに接続されたサーバコンピュータを用いて、前記アクセス利用者に対して行う景品情報の提供方法であって、 前記サーバコンピュータが、景品提供者から、提供可能な景品と該景品の交換に必要な遊技媒体の有価価値の大きさを少なくとも含む景品情報を受け付けて登録する景品登録ステップと、 前記サーバコンピュータが、アクセス利用者から、少なくとも該アクセス利用者の所有する遊技媒体の有価価値の大きさを特定可能な情報を受け付ける受付ステップと、 前記サーバコンピュータが、各遊技場から、前記受付ステップにて受け付けた情報に基づいて該アクセス利用者の所有する複数の遊技場における異なる遊技媒体の有価価値の大きさを入手するステップと、 前記サーバコンピュータが、前記入手したアクセス利用者の所有する前記複数の遊技場における異なる遊技媒体の有価価値の合算した大きさに該当する景品を、前記景品登録ステップにて登録されている景品より抽出し、該抽出した景品に関する情報をアクセス利用者に配信する配信ステップと、 を少なくとも含むことを特徴とする景品情報の提供方法。」 (1)引用例 原査定の拒絶の理由で引用された引用例及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願発明は、前記「2.」で検討した本願補正発明の発明特定事項である「異なる遊技媒体」について、「第1の遊技媒体と景品交換単価の異なる第2の遊技媒体」であるとの限定を省き、同じく発明特定事項である「遊技媒体の有価価値の大きさ」について、「遊技媒体数」であるとの限定を省き、さらに同じく発明特定事項である「異なる遊技媒体の有価価値の合算」について、「前記第2の遊技媒体数を所定比率にて前記第1の遊技媒体数として換算し、換算結果と入手した前記第1の遊技媒体数を合算」するものであるとの限定を省いたものに相当する。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、更に他の限定事項を付加したものに相当する本願補正発明が前記「2.(4)」に記載したとおり、引用発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-07-26 |
結審通知日 | 2012-07-31 |
審決日 | 2012-08-13 |
出願番号 | 特願2000-287764(P2000-287764) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G06Q)
P 1 8・ 121- Z (G06Q) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 唐橋 拓史 |
特許庁審判長 |
金子 幸一 |
特許庁審判官 |
井上 信一 松尾 俊介 |
発明の名称 | 景品情報の提供方法 |
代理人 | 清水 英雄 |
代理人 | 秋庭 英樹 |
代理人 | 中野 佳直 |
代理人 | 高木 祐一 |
代理人 | 堅田 多恵子 |
代理人 | 重信 和男 |
代理人 | 溝渕 良一 |