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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F
審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 G02F
管理番号 1263989
審判番号 不服2011-16124  
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-07-26 
確定日 2012-10-01 
事件の表示 特願2001-183569「液晶表示装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 1月 8日出願公開、特開2003- 5168〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 本願は、平成13年6月18日の出願であって、平成23年4月21日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月26日に拒絶査定不服審判請求がなされたものである。

そして、本願の請求項に係る発明は、明細書及び図面の記載からみて、出願当初の特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項によって特定されるものと認められるところ、請求項1に係る発明は次のとおりである。

「透明基板上に各ピクセルについてスイッチング素子を形成する工程と、前記透明基板上に前記スイッチング素子を覆うようにして複数色のカラーフィルタを形成する工程と、前記複数色のカラーフィルタに前記スイッチング素子の所定の電極まで到達する開口部を全ての色に対して同時に形成する工程と、前記開口部を介して前記所定の電極に接続される画素電極を前記カラーフィルタ上に形成する工程と、を有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。」(以下「本願発明」という。)


第2 進歩性(特許法第29条第2項)
1 引用刊行物の記載事項と引用発明
原審における拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2000-29069号公報(以下「引用刊行物」という。)には、図とともに下記の事項が記載されている。

(1)「【特許請求の範囲】

【請求項7】 画素電極および前記画素電極を駆動するスイッチング能動素子を備えたアレイ基板と、前記画素電極の対向電極を備えた対向基板とを配置するとともに、これらアレイ基板と対向基板との間隙に液晶を封入することで、液晶表示装置を製造するに際し、前記画素電極とスイッチング能動素子との間にネガ型感光性樹脂膜を形成し、前記アレイ基板のアレイ配線をマスクとして背面露光、現像により前記ネガ型感光性樹脂膜をパタニングし、このパタニングによって前記ネガ型感光性樹脂膜が除去された部分を用いて、前記画素電極とスイッチング能動素子とを導通させることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。」

(2)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置およびその製造方法に関し、特に、液晶表示装置のカラー化を目的として、画素電極を駆動するためのスイッチング素子が形成されたアレイ基板の表面にカラーフィルタを設けたカラーフィルタオンアレイ型の液晶表示装置、カラーフィルタを用いた液晶表示装置、およびそれらの製造方法に関する。」

(3)「【0025】(実施の形態1)以下、本発明の実施の形態1にもとづく液晶表示装置およびその製造方法について、図1の液晶パネル断面図と、図2のカラーフィルタが形成されたアレイ基板の形成工程を示す基板断面図とを用いて説明する。
【0026】カラーフィルタが形成されたアレイ基板を形成するに際しては、まず、図2(a)に示すように、ガラス基板3上に、スイッチング能動素子4を、一般的な半導体薄膜成膜と、絶縁膜成膜と、フォトリソ法によるエッチングとを繰り返すことにより形成する。さらに、同図(b)に示すように、能動素子4を形成したガラス基板3上に有機顔料を分散したブラックレジストを塗布し、フォトリソ法により遮光膜5を所要パターン形状に形成する。…
【0027】次に、同図(c)に示すように、遮光膜5が形成されたガラス基板3上に顔料分散の感光性樹脂6Aの層を形成し、ガラス基板3の背面から紫外線13で露光し、その後現像することにより、遮光性を示すアレイ配線4aを遮光膜として、同図(d)に示すように、これら顔料分散の感光性樹脂6Aの層を所要パタン形状に形成する。すなわち、コンタクトホール形成部7は、アレイ配線4a内に配置され、同形成部7の上面に形成されている樹脂6Aは露光されないため、現像によって除去されるものである。
【0028】この後、同図(e)に示すように、このようにして形成されたRGB着色層6上に、場合によっては平坦化膜8を塗布する。…この場合、上記のようにしてコンタクトホール形成部7上に塗布された平坦化膜8に、フォトリソ法によりコンタクトホール7aを形成する。最後に、同図(f)に示すようにITOスパッタにより全面に透明電極を形成し、その上でフォトリソ法によって画素電極9をパタニングすることにより、コンタクトホール7aを介して能動素子4と電気的に導通された画素電極9を形成することができる。これにより、カラーフィルタオンアレイ基板1が製造される。」

(4)「【0035】(実施の形態3)以下、本発明の実施の形態3に基づき、所要パタン形状にカラーフィルタが形成されたアレイ基板の形成工程を、基板平面図である図6および図7を用いて説明する。
【0036】まず、図6(a)に示すように、ガラス基板3上にスイッチング能動素子4およびアレイ配線4aを形成する。7はコンタクトホール形成部である。次に、スイッチング能動素子4およびアレイ配線4a上に、同図(b)に示す遮光膜5を所要パターン形状に形成する。この後、図7(a)のように、着色層として、顔料分散のネガ型感光性樹脂6A、6B、6Cの膜を単色毎にそれぞれ形成する。最後に、基板3の背面より露光、現像することにより、同図(b)に示すように感光性樹脂6A、6B、6Cからなる着色層を所要パタン形状に形成することができる。」

(5)上記(3)【0027】及び【0028】に照らして図2(d)をみると、「着色層6(顔料分散の感光性樹脂6A)」に形成された「コンタクトホール形成部7」は、「能動素子4」の所定の電極まで達するようなものであることがみてとれる。

よって、上記(1)?(3)及び(5)の記載を総合すると、引用刊行物には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ガラス基板3上に、スイッチング能動素子4を、一般的な半導体薄膜成膜と、絶縁膜成膜と、フォトリソ法によるエッチングとを繰り返すことにより形成し、
さらに、能動素子4を形成したガラス基板3上に有機顔料を分散したブラックレジストを塗布し、フォトリソ法により遮光膜5を所要パターン形状に形成し、
次に、遮光膜5が形成されたガラス基板3上に顔料分散の感光性樹脂6Aの層を形成し、ガラス基板3の背面から紫外線13で露光し、その後現像することにより、遮光性を示すアレイ配線4aを遮光膜として、これら顔料分散の感光性樹脂6Aの層を所要パタン形状に形成し、すなわち、コンタクトホール形成部7は、アレイ配線4a内に配置され、同形成部7の上面に形成されている樹脂6Aは露光されないため、現像によって除去され、着色層6(顔料分散の感光性樹脂6A)に形成されたコンタクトホール形成部7は、能動素子4の所定の電極まで達するようなものであり、
この後、このようにして形成されたRGB着色層6上に、場合によっては平坦化膜8を塗布し、コンタクトホール形成部7上に塗布された平坦化膜8に、フォトリソ法によりコンタクトホール7aを形成し、
最後に、ITOスパッタにより全面に透明電極を形成し、その上でフォトリソ法によって画素電極9をパタニングすることにより、コンタクトホール7aを介して能動素子4と電気的に導通された画素電極9を形成し、
これにより、カラーフィルタオンアレイ基板1が製造される、液晶表示装置の製造方法。」

2 対比
本願発明と引用発明を対比する。

(1)引用発明は、「ガラス基板3上に、スイッチング能動素子4を、一般的な半導体薄膜成膜と、絶縁膜成膜と、フォトリソ法によるエッチングとを繰り返すことにより形成」するから、
ア 引用発明の「ガラス基板3」及び「(スイッチング)能動素子4」は、それぞれ、本願発明の「透明基板」及び「スイッチング素子」に相当し、
イ 引用発明は、本願発明の「透明基板上に各ピクセルについてスイッチング素子を形成する工程」を有する。
(2)引用発明は、「遮光膜5が形成されたガラス基板3上に顔料分散の感光性樹脂6Aの層を形成し、ガラス基板3の背面から紫外線13で露光し、その後現像することにより、遮光性を示すアレイ配線4aを遮光膜として、これら顔料分散の感光性樹脂6Aの層を所要パタン形状に形成し、すなわち、コンタクトホール形成部7は、アレイ配線4a内に配置され、同形成部7の上面に形成されている樹脂6Aは露光されないため、現像によって除去され、着色層6(顔料分散の感光性樹脂6A)に形成されたコンタクトホール形成部7は、能動素子4の所定の電極まで達するようなものであり、この後、このようにして形成されたRGB着色層6上に、場合によっては平坦化膜8を塗布」するものであるから、
ア 引用発明の「着色層6(顔料分散の感光性樹脂6A)」、「アレイ配線4a」及び「コンタクトホール形成部7」は、それぞれ、本願発明の「カラーフィルタ」、「(スイッチング素子の)所定の電極」及び「開口部」に相当し、
イ 引用発明の「遮光膜5が形成されたガラス基板3上に顔料分散の感光性樹脂6Aの層を形成し、ガラス基板3の背面から紫外線13で露光し、その後現像することにより、遮光性を示すアレイ配線4aを遮光膜として、これら顔料分散の感光性樹脂6Aの層を所要パタン形状に形成し、すなわち、コンタクトホール形成部7は、アレイ配線4a内に配置され、同形成部7の上面に形成されている樹脂6Aは露光されないため、現像によって除去され、着色層6(顔料分散の感光性樹脂6A)に形成されたコンタクトホール形成部7は、能動素子4の所定の電極まで達するようなものであり」との事項と、本願発明の「前記透明基板上に前記スイッチング素子を覆うようにして複数色のカラーフィルタを形成する工程と、前記複数色のカラーフィルタに前記スイッチング素子の所定の電極まで到達する開口部を全ての色に対して同時に形成する工程と、を有する」との事項とは、「前記透明基板上に前記スイッチング素子を覆うようにしてカラーフィルタを形成する工程と、前記カラーフィルタに前記スイッチング素子の所定の電極まで到達する開口部を形成する工程と、を有する」との点で一致する。
(3)引用発明は、「最後に、ITOスパッタにより全面に透明電極を形成し、その上でフォトリソ法によって画素電極9をパタニングすることにより、コンタクトホール7aを介して能動素子4と電気的に導通された画素電極9を形成」するものであり、前記「画素電極9」は、「コンタクトホール形成部7」を介して「能動素子4と電気的に導通され」るといえるから、
ア 引用発明の「画素電極9」は、本願発明の「(前記開口部を介して前記所定の電極に接続される)画素電極」に相当し、
イ 引用発明は、本願発明の「前記開口部を介して前記所定の電極に接続される画素電極を前記カラーフィルタ上に形成する工程」を有する。
(4)引用発明の「液晶表示装置の製造方法」は、本願発明の「液晶表示装置の製造方法」に相当する。

よって、本願発明と引用発明とは、
「透明基板上に各ピクセルについてスイッチング素子を形成する工程と、前記透明基板上に前記スイッチング素子を覆うようにしてカラーフィルタを形成する工程と、前記カラーフィルタに前記スイッチング素子の所定の電極まで到達する開口部を形成する工程と、前記開口部を介して前記所定の電極に接続される画素電極を前記カラーフィルタ上に形成する工程と、を有する液晶表示装置の製造方法。」
の点で一致し、以下の点で相違するものと認められる。

本願発明は、透明基板上にスイッチング素子を覆うようにして複数色のカラーフィルタを形成し、前記複数色のカラーフィルタに前記スイッチング素子の所定の電極まで到達する開口部を全ての色に対して同時に形成するのに対し、引用発明は、透明基板上にスイッチング素子を覆うようにして複数色のカラーフィルタを形成するのか否か明らかではなく、また、複数色のカラーフィルタにスイッチング素子の所定の電極まで到達する開口部を全ての色に対して同時に形成するのか否か明らかではない点(以下「相違点」という。)

3 判断
上記相違点につき検討する。
引用刊行物には、「『ガラス基板3上にスイッチング能動素子4およびアレイ配線4aを形成』し、『次に、スイッチング能動素子4およびアレイ配線4a上に…遮光膜5を所要パターン形状に形成』し、『この後、…着色層として、顔料分散のネガ型感光性樹脂6A、6B、6Cの膜を単色毎にそれぞれ形成』し、『最後に、基板3の背面より露光、現像することにより、…感光性樹脂6A、6B、6Cからなる着色層を所要パタン形状に形成する」ことが記載され(上記1(4)参照。)、「顔料分散のネガ型感光性樹脂6A、6B、6Cの膜」をそれぞれ形成した後に、当該「感光性樹脂6A、6B、6Cからなる着色層」を所要パタン形状に同時に形成することが示唆されているから、引用発明においても、「ガラス基板3」上に「スイッチング能動素子4」を覆うようにして「RGB着色層6」(複数色のカラーフィルタ)を形成し、該「RGB着色層6」に「スイッチング能動素子4」の「アレイ配線4a」まで到達する「コンタクトホール7」を全ての色に対して同時に形成するようになして、上記相違点に係る本願発明の構成となすことは当業者が容易になし得ることである。

また、本願発明の奏する効果が、引用発明及び引用刊行物の上記記載事項から当業者が予測困難な程の格別顕著なものということはできない。

したがって、本願発明は、引用刊行物に記載された発明及びその記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 小括
以上のとおり、本願発明は、引用刊行物に記載された発明及びその記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


第3 拡大先願(特許法第29条の2)
1 先願
原審における拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前の他の出願であって、その出願後に出願公開された特願2000-149561号(以下「先願」という。特開2001-330851号公報参照。)の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下「先願明細書」という。)には、図とともに以下の事項が記載されている。

(1)「【特許請求の範囲】

【請求項5】 画素電極およびそれを駆動するスイッチング能動素子を備えたアレイ基板と、前記画素電極の対向電極を有する対向基板とを有し、これらアレイ基板と対向基板との間隙に液晶を封入した液晶表示装置の製造方法であって、(1)前記能動素子上に着色膜を形成する工程、(2)前記着色膜の上に感光性樹脂膜を形成する工程、(3)前記着色膜および感光性樹脂膜からなる積層膜を露光現像して、前記積層膜にコンタクトホールを一括に形成する工程、および(4)前記積層膜上に画素電極を形成するとともに前記コンタクトホールに前記画素電極と前記能動素子とを導通するための電気的導通手段を形成する工程からなる液晶表示装置の製造方法。
【請求項6】 前記着色膜が、印刷法、基板に直接着色剤を滴下する方法、被着色性樹脂膜に着色剤を滴下する方法または染色法により形成される請求項3?5のいずれかに記載の液晶表示装置の製造方法。」

(2)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置の製造方法および液晶表示装置に関する。また、本発明は、特に、画素電極を駆動するためのスイッチング能動素子が形成されたアレイ基板上にカラーフィルタを設けたカラーフィルタオンアレイ型の液晶表示装置およびその製造方法に関する。」

(3)「【0015】
【発明の実施の形態】実施の形態1
本発明の実施の形態1に係る液晶表示装置(以下、液晶パネルという。)について、図1および図2を参照しながら説明する。図1は、実施の形態1に係る液晶パネルの断面図である。この液晶パネル31bは画素電極の対向電極を有する対向基板1bとカラーフィルタを具備するアレイ基板(以下、カラーフィルタオンアレイ基板という。)11bからなっている。
【0016】対向基板1bは、ガラス基板2aおよびその上に形成された透明電極10からなっており、透明電極10上には配向膜9aが形成されている。カラーフィルタオンアレイ基板11b上には配向膜9bが形成されている。対向基板1bとカラーフィルタオンアレイ基板11bとは、球状のスペーサ15を介して配向膜9aと9bとが相対向するように配され、その周辺部はシール材13で閉じられている。対向基板1bとカラーフィルタオンアレイ基板11bとの間隙には、液晶14が充填されている。
【0017】図2に、前記カラーフィルタオンアレイ基板11bの製造工程を概念的に示す。工程(a)では、ガラス基板2b上にスイッチング能動素子3を形成する。能動素子3は、一般的な半導体薄膜の成膜、絶縁膜の成膜およびフォトリソグラフィを繰り返すことで形成される。
【0018】次の工程(b)では、遮光膜4を形成する。まず、能動素子3を形成したガラス基板2b上に有機顔料を分散させたブラックレジストを塗布する。次に、フォトリソグラフィにより塗布膜を所要パターンに形成し、遮光膜4とする。…
【0019】次の工程(c)では、遮光膜4が形成されたガラス基板2b上に印刷法を用いて着色膜6を形成する。図3(a)に、印刷法の一例である凹版オフセット印刷法の工程を概念的に示す。図3(b)に示すような凹版25のセル(所要パターンの溝状の凹み)26内に顔料分散型インク28Aをスキージ29でスキージングして充填する。次に、シリコンの厚膜が表面に形成されたブランケットロール27を凹版25上で転がしてセル内に充填されていたインク28Aをロール27上に転写する。そのロールをガラス基板2b上で転がすと、ロール上のインク28Aが同ガラス基板上に転写される。これを各色について3回繰り返せば所要パタンのRGBの着色膜からなるカラーフィルタが得られる。
【0020】次の工程(d)では、着色膜6に同図(e)に示すようなコンタクトホール7を形成する。その際コンタクトホールを形成する部分に対応させた開口を有する遮光マスク16を用いる。遮蔽マスク16の上部からはレーザ光17が照射される。このとき開口を通過したレーザ光17が照射された部分の着色膜6が除去され、膜に所要パターンのコンタクトホール7が形成される。レーザ光17としては、エキシマレーザが適している。
【0021】次の工程(f)は着色膜6の段差を平坦化させるための工程である。この工程では、着色膜6の上に感光性の樹脂膜5を形成し、その後、露光現像してコンタクトホール7を復活させる。前記感光性樹脂としては、エポキシ系あるいはアクリル系のポジ型の樹脂などが好適である。
【0022】最後の工程(g)では、能動素子3と導通したITO膜を樹脂膜5上に形成し、これをフォトリソグラフィで加工して所要パターンの画素電極8とする。」

(4)上記(3)【0020】に照らして図2(e)をみると、「着色層6」に形成された「コンタクトホール7」は、「能動素子3」の所定の電極にまで達するようなものであることがみてとれる。

したがって、上記記載事項を総合すると、先願明細書には次の発明(以下「先願発明」という。)が記載されているものと認められる。

「画素電極およびそれを駆動するスイッチング能動素子を備えたアレイ基板(カラーフィルタオンアレイ基板)と、前記画素電極の対向電極を有する対向基板とを有し、これらカラーフィルタオンアレイ基板と対向基板との間隙に液晶を封入した液晶表示装置の製造方法であって、
前記カラーフィルタオンアレイ基板の製造工程が、
ガラス基板2b上にスイッチング能動素子3を形成し、
次の工程では、能動素子3を形成したガラス基板2b上に有機顔料を分散させたブラックレジストを塗布し、次に、フォトリソグラフィにより塗布膜を所要パターンに形成して遮光膜4を形成し、
次の工程では、凹版25のセル26内に顔料分散型インク28Aをスキージ29でスキージングして充填し、次に、シリコンの厚膜が表面に形成されたブランケットロール27を凹版25上で転がしてセル内に充填されていたインク28Aをロール27上に転写し、そのロールをガラス基板2b上で転がしてロール上のインク28Aを同ガラス基板上に転写し、これを各色について3回繰り返して遮光膜4が形成されたガラス基板2b上に所要パタンのRGBの着色膜からなるカラーフィルタを形成し、
次の工程では、コンタクトホールを形成する部分に対応させた開口を有する遮光マスク16を用い、遮蔽マスク16の上部からレーザ光17を照射して、着色膜6にコンタクトホール7を形成し、該コンタクトホール7は、能動素子3の所定の電極にまで達するようなものであり、
次の工程では、着色膜6の上に感光性の樹脂膜5を形成して着色膜6の段差を平坦化させ、その後、露光現像してコンタクトホール7を復活させ、
最後の工程では、能動素子3と導通したITO膜を樹脂膜5上に形成し、これをフォトリソグラフィで加工して所要パターンの画素電極8とする、
ものである、液晶表示装置の製造方法。」

2 対比、判断
本願発明と先願発明とを対比する。
(1)先願発明は、「ガラス基板2b上にスイッチング能動素子3を形成」するから、
ア 先願発明の「ガラス基板2b」及び「(スイッチング)能動素子3」は、それぞれ、本願発明の「透明基板」及び「スイッチング素子」に相当し、
イ 先願発明は、本願発明の「透明基板上に各ピクセルについてスイッチング素子を形成する工程を有し」との事項を備える。

(2)先願発明は、「凹版25のセル26内に顔料分散型インク28Aをスキージ29でスキージングして充填し、次に、シリコンの厚膜が表面に形成されたブランケットロール27を凹版25上で転がしてセル内に充填されていたインク28Aをロール27上に転写し、そのロールをガラス基板2b上で転がしてロール上のインク28Aを同ガラス基板上に転写し、これを各色について3回繰り返して遮光膜4が形成されたガラス基板2b上に所要パタンのRGBの着色膜からなるカラーフィルタを形成」するから、
ア 先願発明の「RGBの着色膜」は、本願発明の「複数色のカラーフィルタ」に相当し、
イ 先願発明は、本願発明の「前記透明基板上に前記スイッチング素子を覆うようにして複数色のカラーフィルタを形成する工程を有し」との事項を備える。

(3)先願発明は、「(所要パタンのRGBの着色膜からなるカラーフィルタを形成後、)コンタクトホールを形成する部分に対応させた開口を有する遮光マスク16を用い、遮蔽マスク16の上部からレーザ光17を照射して、(RGBの)着色膜6にコンタクトホール7を形成し、該コンタクトホール7は、能動素子3の所定の電極にまで達するようなものであ」るから、
ア 先願発明の「能動素子3の所定の電極」及び「(能動素子3の所定の電極にまで達するような)コンタクトホール7」は、それぞれ、本願発明の「スイッチング素子の所定の電極」及び「(スイッチング素子の所定の電極まで到達する)開口部」に相当し、
イ 先願発明は、本願発明の「前記複数色のカラーフィルタに前記スイッチング素子の所定の電極まで到達する開口部を全ての色に対して同時に形成する工程を有し」との事項を備える。

(4)先願発明は、「着色膜6の上に感光性の樹脂膜5を形成して着色膜6の段差を平坦化させ、その後、露光現像してコンタクトホール7を復活させ、最後の工程では、能動素子3と導通したITO膜を樹脂膜5上に形成し、これをフォトリソグラフィで加工して所要パターンの画素電極8とする」から、
ア 先願発明の「(コンタクトホール7を介して能動素子3と導通した、ITO膜からなる)画素電極8」は、本願発明の「(前記開口部を介して前記所定の電極に接続される)画素電極」に相当し、
イ 先願発明は、本願発明の「前記開口部を介して前記所定の電極に接続される画素電極を前記カラーフィルタ上に形成する工程を有し」との事項を備える。

(5)先願発明の「液晶表示装置の製造方法」は、本願発明の「液晶表示装置の製造方法」に相当する。

したがって、両者は、
「透明基板上に各ピクセルについてスイッチング素子を形成する工程と、前記透明基板上に前記スイッチング素子を覆うようにして複数色のカラーフィルタを形成する工程と、前記複数色のカラーフィルタに前記スイッチング素子の所定の電極まで到達する開口部を全ての色に対して同時に形成する工程と、前記開口部を介して前記所定の電極に接続される画素電極を前記カラーフィルタ上に形成する工程と、を有する液晶表示装置の製造方法。」
である点で一致し、両者の間には実質的な相違点は存在せず、本願発明は先願明細書に記載された発明と同一である。

しかも、本願発明の発明者が上記先願明細書に記載された先願発明の発明者と同一であるとも、また、本願の出願時に、その出願人が先願の出願人と同一であるとも認められないので、本願発明は、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないものである。

3 小括
したがって、本願発明は、先願明細書に記載された発明と同一であり、しかも、本願発明の発明者が上記先願明細書に記載された発明の発明者と同一であるとも、また、本願の出願時に、その出願人が先願の出願人と同一であるとも認められないので、本願発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。


第4 まとめ
以上、第2及び第3のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、また、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-05-09 
結審通知日 2012-05-11 
審決日 2012-05-22 
出願番号 特願2001-183569(P2001-183569)
審決分類 P 1 8・ 161- Z (G02F)
P 1 8・ 121- Z (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 福田 知喜  
特許庁審判長 吉野 公夫
特許庁審判官 北川 創
小松 徹三
発明の名称 液晶表示装置の製造方法  
代理人 田中 祐  
代理人 河村 英文  
代理人 中村 綾子  
代理人 広瀬 幹規  
代理人 奥山 尚一  
代理人 松島 鉄男  
代理人 徳本 浩一  
代理人 角田 恭子  
代理人 森本 聡二  
代理人 渡辺 篤司  
代理人 深川 英里  
代理人 有原 幸一  
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