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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1264023
審判番号 不服2011-9591  
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-05-09 
確定日 2012-10-04 
事件の表示 特願2001-102033「生体情報解析支援方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年10月 8日出願公開、特開2002-291707〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成13年3月30日を出願日とする出願であって,平成23年2月1日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年5月9日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに,同日付けにて手続補正(以下,「本件補正」という。)がなされたものである。
さらに,同年7月5日付けで審尋がなされ,回答書が同年9月9日付けで請求人より提出されたものである。

第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正後の本願発明
本件補正により,補正前の特許請求の範囲の請求項1は,
「【請求項1】 生体情報の解析を支援する生体情報解析支援方法において,
インターネット上に生体情報解析サービスホームページを設けるサーバに患者側端末が通信可能に接続し,
前記接続状態で,患者宅に配置される生体情報測定装置により測定された当該患者の生体情報を,前記患者側端末が通信回線を介して送信し,
前記サーバが前記送信された生体情報を受信し,それを格納し,
アクセス操作に応じて病院端末が前記ホームページにアクセスし,
前記アクセス状態において,通信回線を介して前記病院端末からの要求を受信すると,
前記サーバが,複数のレポート種類のうち当該要求によって選択されたレポート種類に従って前記格納された生体情報を解析し,当該生体情報の解析レポートを前記病院端末に送信し表示させることを特徴とする生体情報解析支援方法。」
から
「【請求項1】 生体情報の解析を支援する生体情報解析支援方法において,
インターネット上に生体情報解析サービスホームページを設けるサーバに患者側端末が通信可能に接続し,
前記接続状態で,患者宅に配置される生体情報測定装置により測定された当該患者の生体情報を,前記患者側端末が通信回線を介して送信し,
前記サーバが前記送信された生体情報を受信し,それを格納し,
アクセス操作に応じて病院端末が前記ホームページにアクセスし,
前記アクセス状態において,通信回線を介して前記病院端末からの要求を受信すると,
前記サーバが,複数のレポート種類のうち当該要求によって選択されたレポート種類に従って前記格納された生体情報を解析し,当該生体情報の解析レポートを前記病院端末に送信し表示させ, 前記解析レポートは,少なくとも,(1)当該生体情報から導かれる,今後必要とされる検査・診断の有無,又は,(2)当該生体情報から必要性が示される治療方法とその説明,のいずれかを含むことを特徴とする生体情報解析支援方法。」
と補正された。(下線は補正箇所を示す。)

本件補正は,請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「生体情報の解析レポート」を「少なくとも,(1)当該生体情報から導かれる,今後必要とされる検査・診断の有無,又は,(2)当該生体情報から必要性が示される治療方法とその説明,のいずれかを含む」として,生体情報の解析レポートを限定した補正を含むものである。
したがって,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前(以下,「平成18年法改正前」という。)の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2 引用刊行物およびその記載事項(下線は当審で付与した。)
(1)本願出願前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特表平10-500598号公報(以下「刊行物1」という。)には,「医療測定値を監視し且つ報告するための改良されたシステム」について,図面とともに次の事項が記載されている。
(1-ア) 「【特許請求の範囲】
1.患者によって測定がなされた時に患者の測定された生理学的特性の測定された状態を示す値を有する測定値データ要素を発生し,いつ測定が行われたかを示すタイムスタンプを発生する患者センサ装置を利用する医療情報報告システムにおいて,前記報告システムが,ハンドヘルドで低コストな患者操作式インターフェース装置と,リポート作成システムとから成り, 前記患者操作式インターフェース装置が, 制御信号を発生するユーザ入力装置と, データを書き込みかつ読み出すデータメモリと, 通信ネットワークからデータを送受信する患者側通信インタフェースと, 特定の遠隔インタフェース装置を個別に識別するIDコードを記憶するインタフェースIDユニットと, 前記データメモリに記憶されたアプリケーションプログラムおよびその他のデータに応答し,前記データメモリおよび前記時刻表示回路に結合して,測定がされた時に前記患者センサ装置から測定値データ要素および受信測定値日付要素が取り込まれた時に時刻および日付を示すタイムスタンプを受信し,前記データメモリ,前記インタフェースIDユニットおよび前記患者側通信インタフェースに結合するマイクロコントローラであって,前記患者センサ装置で測定が行われたときに前記データメモリに送信データ記録を圧縮,記憶し,前記送信データ記録は測定値データ要素の大きさおよび測定がされたときの時刻および日付を示すマイクロコントローラであり,ユーザ入力装置からの第1の制御信号の受信に応答して,記憶された送信データ記録を前記IDコードを含んで前記通信ネットワークを介して転送するためのデータ転送プロトコルを起動するマイクロコントローラとを含み, 前記リポート作成シスムテが, 前記通信ネットワークからデータを送受信するリポート側通信インタフェースと, リポート作成ユニットと, 患者と遠隔のセンサとを組み合わせる固有のIDコードをそれぞれが含む患者記録の集合を含み,各患者記録が生理学的特性の測定された状態の値を示す測定値データと何時患者によって測定が行われたかを示すタイムスタンプとを含むリレーショナルデータベースと, 前記リポート側通信インタフェースおよび前記データ管理装置に結合し,前記遠隔インタフェース装置によって起動されたデータ転送プロトコルに応答し,前記インタフェース装置のデータメモリから前記データ管理装置に転送された送信データ記録の転送を制御する通信制御手段とを含み, 前記データ管理装置は前記通信制御手段に結合して,特定の遠隔インタフェース装置から転送された前記固有のIDコードを含む送信データ記録を受信し,受信した送信データ記録を前記固有のID装置と組み合わされた患者の患者記録に記憶して受信した送信データ記録を含めるために前記患者記録を更新し,前記データ管理装置は前記リポート作成ユニットによって受信されたリポートリクエストにおいて識別された患者の前記データベースに格納された患者記録を供給するために前記リポート作成ユニットに結合し, 前記リポート作成ユニットは前記リポート側通信インタフェースに結合して特定の患者についてのリポート要求を受信し,前記データベースから識別されたその特定の患者についてリクエストされた患者記録を得るために前記データ管理装置に前記リポート要求を転送し,選択された図表形式で前記患者記録に含まれた前記測定値および時刻符号化情報を表すリポートフォーマットを作成するために要求された患者記録の情報を利用する医療情報報告システム。
2.前記データメモリに記憶されたデータ記録は循環ファイルとして整理され,前記データメモリが一杯の場合に最新のデータ記録が最も古いデータ記録に上書きされる請求の範囲第1項に記載にシステム。
3.通信ネットワークおよび前記リポート作成ユニットに結合し,通信ネットワーク上を転送された要求をしている健康ケア専門家からのリポート要求を受信し,要求されたリポートが作成されるように前記要求を前記リポート作成ユニットに転送する要求受信手段と, 通信ネットワークおよび前記リポート作成ユニットに結合し,作成されたリポートを受信しかつ前記リポートを通信ネットワーク上で前記請求をしている健康ケア専門家に送信するリポート送信手段と を含むリポート通信システムをさらに備える請求の範囲第1項に記載のシステム。」(第2頁1行?第4頁4行)

(1-イ) 「好ましい実施例の説明
図1は,本発明の測定,監視,およびリポーティングシステムの機能的外観を示している。センサ装置10は,例えばピーク呼息流量(PEF)および強制的吐出し量(FEV1)といった呼吸機能,血液中のグルコースのレベル,血圧,心拍数,体重,流体摂取および放出速度やカロリー摂取等の患者の選択された生理学的特性の値を測定するために用いられる。これらの値を測定し,生理学的特性の測定された値を符号化したディジタルセンサ出力を提供するセンサが,市販されている。呼吸機能を測定する特定のセンサを以下においてより詳細に説明する。
インテリジェンス(知能)および通信機能は,患者が用いるモニタモジュール12内に設けられている。このセンサはモニタモジュール12に内蔵させることもできるが,ディジタルセンサ出力12へディジタルセンサ出力を転送するために用いられるケーブルまたは例えばIRビーム等の他の手段を用いて分離することもできる。モニタモジュール12は,ディジタルセンサ出力に符号化された測定値の収集および解析のインテリジェンス機能,何時測定が行われたかを示すタイムスタンプにしたがって複数の測定値を記憶する記憶機能,患者に解析済みの測定値を視覚的に伝える表示機能,および測定値およびタイムスタンプを電話システムを介して転送する通信機能を達成する。他の実施例においては,インテリジェンスおよび通信機能を別のモジュールに分離することができる。
遠隔リポーティングシステム14は,電話システムによってモニタモジュール12に接続されており,モニタモジュール12を利用する患者の記録にモニタモジュール12から転送された情報を追加するためにある期間わたる患者の記録データベースを更新し,図表形式で患者リポートを作成し,リポートを医者または患者に伝えるモニタモジュール12から転送された情報を受けとる機能を達成する。従って,リポートは,「メディカル・テレグラム(医療電報)」の如く医者にファックスで送られ,医者がデータを収集および精査するためにコンピュータを必要とするを無くしている。最初の好ましい実施例においてはファックスによる送達が行われるが,任意の患者のデータのリポートを,電話ファクシミリ,電子メール,ブロードキャストデータ通信,または通常の郵便サービスによって一人または複数の医者に送達することができる。同様に,患者は,類似の手段によってリポートのコピーを受けとることができる。
図2はリモートリポーティングシステム14のソフトウェアアーキテクチャのブロック図である。このシステムの核心は,モニタモジュール12によってもたらされる測定値およびタイムスタンプを含むある期間にわたる患者の記録,およびデータベースの記録およびデータを処理する分析アルゴリズムを記憶するためのリレーショナルデータベース20である。このある期間にわたる記録には,患者とリモートセンサとを組み合わせる固有のIDコード,および装置IDをケア提供者と組み合わせるサブスクリプションが含まれる。
データ管理装置24は,データベース20と,会話型音声応答システム25等の各種の入出力ブロックおよび制御ブロックとをインタフェースする。この会話型音声応答システムは,医療従事者がリポートの種類のメニューの選択に基づいてリポートを要求することを可能にしている。モニタモジュール12からの入力データは,電話システムとインタフェースを有する入力データコムフロントエンド26において受信され,入力コミュニケーションサーバ28を介してデータ管理装置24の入力データポートに転送される。
データマ管理装置24の出力データポートはリポート作成装置30に接続されている。このリポート作成装置は,ファックスサーバ32および出力バウンドコミュニケーションサーバ34を介してリポートを出力する。さらに,第2出力ポートは,電子患者記録をHMO情報センタ36に転送する。したがって,ある期間にわたる記録をコンピュータ手段を有する施設に電子的に転送してリポートを生成するためにデータを処理するか,あるいはリポート自体をコンピュータの介在を条件とせずに個々の医者に転送することができる。
図3は,モニタモジュール12の機能構造のブロック図である。モニタモジュール12は,アプリケーションプログラムおよび他のデータを格納するオンチップメモリを含む Motorola MC 6805 等のシングルチップマイクロコントローラ40によって制御されている。マイクロコントローラ40は,本発明の一部ではない標準のデータバス,アドレスバス,および制御バスを利用する他の機能ブロックとのインタフェースを有する。マイクロコントローラ40と機能ブロックとの相互接続をこの図において概略的に示す。図示するように,このマイクロコントローラは,オンボードディジタル信号処理アルゴリズム,プログラムメモリ,日付および時刻クロックおよび表示ドライバを備えている。
マイクロコントローラ40は,患者が,生理学的特性の値を測定する時にセンサ出力データデジタルデータ41を受信し,そして測定された特性の値,測定が行われたときの時刻と日付を示すタイムスタンプ,及びモニタモジュール12を識別する内部回路内に記憶された個々の装置の連続番号である固有のIDコードを形成する。データ記録はRAM42に循環ファイルとして記憶される。「データ記録」の内部ファイル構造は,測定値,時刻および日付,個人の最高値およびゾーン境界の値を含む数種のデータを識別する独自の特別な組み込み命令集合を有している。RAM42が一杯である場合,最新のデータ記録が最も古いデータ記録の上に上書きされる。」(第16頁16行?第18頁下から3行)

(1-ウ) 「 モニターの対人インタフェースは,子供および大人による利用を容易にするように設計されている。これはいくつかの重要な面を有している:
操作を簡単にするためにボタンが3つだけ設けられている;
その表示装置(LCD)は以下に列挙する複数の機能領域を用いる:
測定結果および計算された値を報告する数字ライン;
位置および色の符号化されたドットを用いてゾーンステイタスを報告するゾーンチャート;
報告された気道状態情報の意味をその動作および表現が補強するアニメーションキャラクター「ウェルビー」;
表示装置の他の部分に表された情報の項目を注釈し(例えばリットル/分やリットル等の測定の単位,AM,PM,個人最高値のクラウン,赤ゾーンのクロス,電話等),または特別なメッセージを伝える(例えば電池の電圧低下表示)各種シンボル。 」(第21頁下から7行?第22頁6行)

(1-エ) 「 図4Dに示すように,医者が患者のために一般的に作成する文面で表された整合ケアプログラムにおいては,ウェルビーキャラクターのいろいろな形状が用いられている。ウェルビーキャラクターの所定の形状を,患者の気道状態があるゾーンの内にある症例に対して処方した療法の説明に隣接するラベルとして用いる。」(第22頁下から7行?下から4行)

(1-オ)図4Dには,生体情報から必要性が示される治療方法とその説明が表示例として示されている。

上記(1-ア)?(1-エ)の記載と図1?6を参照すると,上記刊行物1には, 次の発明が記載されていると認められる。
「患者によって測定がなされた時に患者の測定された生理学的特性の測定された状態を示す値を有する測定値データ要素を発生する患者センサ装置を利用する医療情報報告システムにおける医療情報報告方法において,
前記報告システムが,患者操作式インターフェース装置と,リポート作成システムとから成り,
前記患者操作式インターフェース装置が,データメモリ,インタフェースIDユニットおよび患者側通信インタフェースに結合するマイクロコントローラを含み,
前記マイクロコントローラが,前記患者センサ装置で測定がされた時に前記患者センサ装置から測定値データ要素および受信測定値日付要素が取り込まれた時に時刻および日付を示すタイムスタンプを受信し,前記データメモリに送信データ記録を圧縮,記憶し,前記通信ネットワークを介して転送するためのデータ転送プロトコルを起動し,
前記リポート作成システムが,前記通信ネットワークからデータを送受信するリポート側通信インタフェースと,
リポート作成ユニットと,
各患者記録が生理学的特性の測定された状態の値を示す測定値データとを含むリレーショナルデータベースと,
通信制御手段とを含み,
前記レーショナルデータベースは前記リポート作成ユニットに結合して格納された患者記録を供給し,
前記リポート作成ユニットは前記リポート側通信インタフェースに結合して特定の患者についてのリポート要求を受信し,前記レーショナルデータベースに前記リポート要求を転送し,選択された図表形式で前記患者記録に含まれた前記測定値および時刻符号化情報を表すリポートフォーマットを作成するために要求された患者記録の情報を利用し,
さらに,要求受信手段と,リポート送信手段とを含むリポート通信システムを備え
前記要求受信手段は,通信ネットワークおよび前記リポート作成ユニットに結合し,通信ネットワーク上を転送された要求をしている健康ケア専門家からのリポート要求を受信し,要求されたリポートが作成されるように前記要求を前記リポート作成ユニットに転送し,
前記リポート送信手段は,通信ネットワークおよび前記リポート作成ユニットに結合し,作成されたリポートを受信しかつ前記リポートを通信ネットワーク上で前記請求をしている健康ケア専門家に送信する
医療情報報告方法。」(以下,「引用発明」という。)

3 対比・判断
補正発明と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「医療情報報告方法」は,「健康ケア専門家からのリポート要求を受信し,要求されたリポートを作成」するのであるから,補正発明の「生体情報の解析を支援する生体情報解析支援方法」に相当するといえる。

イ 引用発明の「患者操作式インターフェース装置」は,「患者センサ装置から測定値データ要素」「を受信」するものであり,「マイクロコントローラが,前記患者センサ装置で測定がされた時に前記患者センサ装置から測定値データ要素および受信測定値日付要素が取り込まれた時に時刻および日付を示すタイムスタンプを受信し,前記データメモリに送信データ記録を圧縮,記憶し,
前記通信ネットワークを介して転送するためのデータ転送プロトコルを起動」するのであるから,補正発明の「患者宅に配置される生体情報測定装置」に相当することは明らかである。
そして,補正発明の「患者宅に配置される生体情報測定装置により測定された当該患者の生体情報を,前記患者側端末が通信回線を介して送信」するに相当することも明らかである。

ウ 引用発明の「リポート作成システム」は,「通信ネットワークからデータを送受信するリポート側通信インタフェースと,リポート作成ユニットと,各患者記録が生理学的特性の測定された状態の値を示す測定値データとを含むリレーショナルデータベースと,通信制御手段とを含」むのであるから,補正発明の「サーバ」と同様の機能を有することは明らかである。
そうすると,引用発明の「前記リポート作成システムが,
前記通信ネットワークからデータを送受信するリポート側通信インタフェースと,
リポート作成ユニットと,
各患者記録が生理学的特性の測定された状態の値を示す測定値データとを含むリレーショナルデータベースと,
通信制御手段とを含み,」
「前記レーショナルデータベースは前記リポート作成ユニットに結合して格納された患者記録を供給し,
前記リポート作成ユニットは前記リポート側通信インタフェースに結合して特定の患者についてのリポート要求を受信し,前記レーショナルデータベースに前記リポート要求を転送し,選択された図表形式で前記患者記録に含まれた前記測定値および時刻符号化情報を表すリポートフォーマットを作成するために要求された患者記録の情報を利用し,
さらに, 要求受信手段と,リポート送信手段とを含むリポート通信システムを備え
前記要求受信手段は,通信ネットワークおよび前記リポート作成ユニットに結合し,通信ネットワーク上を転送された要求をしている健康ケア専門家からのリポート要求を受信し,要求されたリポートが作成されるように前記要求を前記リポート作成ユニットに転送し,
前記リポート送信手段は,通信ネットワークおよび前記リポート作成ユニットに結合し,作成されたリポートを受信しかつ前記リポートを通信ネットワーク上で前記請求をしている健康ケア専門家に送信する」と補正発明の「インターネット上に生体情報解析サービスホームページを設けるサーバに患者側端末が通信可能に接続し,」
「前記サーバが前記送信された生体情報を受信し,それを格納し,
アクセス操作に応じて病院端末が前記ホームページにアクセスし,
前記アクセス状態において,通信回線を介して前記病院端末からの要求を受信すると,
前記サーバが,複数のレポート種類のうち当該要求によって選択されたレポート種類に従って前記格納された生体情報を解析し,当該生体情報の解析レポートを前記病院端末に送信し,」
とは
「通信ネットワーク上に生体情報解析サービスアクセスポイントを設けるサーバに患者側端末が通信可能に接続し,」
「前記サーバが前記送信された生体情報を受信し,それを格納し,
アクセス操作に応じて病院端末がアクセスポイントにアクセスし,
前記アクセス状態において,通信回線を介して前記病院端末からの要求を受信すると,
前記サーバが,複数のレポート種類のうち当該要求によって選択されたレポート種類に従って前記格納された生体情報を解析し,当該生体情報の解析レポートを前記病院端末に送信し,」の点で共通する。

そうすると,両者は,
(一致点)
「生体情報の解析を支援する生体情報解析支援方法において,
通信ネットワーク上に生体情報解析サービスアクセスポイントを設けるサーバに患者側端末が通信可能に接続し,
前記接続状態で,患者宅に配置される生体情報測定装置により測定された当該患者の生体情報を,前記患者側端末が通信回線を介して送信し,
前記サーバが前記送信された生体情報を受信し,それを格納し,
アクセス操作に応じて病院端末がアクセスポイントにアクセスし,
前記アクセス状態において,通信回線を介して前記病院端末からの要求を受信すると,
前記サーバが,複数のレポート種類のうち当該要求によって選択されたレポート種類に従って前記格納された生体情報を解析し,当該生体情報の解析レポートを前記病院端末に送信する生体情報解析支援方法。」
である点で一致し,以下の点で相違するといえる。

(相違点1)
サーバに設ける生体情報解析サービスへのアクセスについて,補正発明では,「インターネット上に」「ホームページを設ける」のに対して,引用発明では,通信ネットワークに要求受信手段が結合している点。

(相違点2)
サーバに設ける生体情報解析サービスで病院端末に送信した生体情報の解析レポートについて,補正発明では,「表示させ,
前記解析レポートは,少なくとも,
(1)当該生体情報から導かれる,今後必要とされる検査・診断の有無,又は,
(2)当該生体情報から必要性が示される治療方法とその説明,
のいずれかを含む」ものに限定しているのに対して,引用発明では,「健康ケア専門家からのリポート要求」ではあるがリポート内容を特定していない点。

(1)相違点1についての検討
サーバをインターネットに接続し,ホームページを設けることは,サーバ上のサービスへの不特定多数からのアクセスを可能とするための周知の技術的事項である。
そして,公衆回線を用いた接続から,インターネットを用いた接続への移行は,コストや,利便性などの点から,多くの分野で行われている。
してみると,引用発明に上記周知の技術的事項を適用して,相違点1に記載の補正発明の構成とすることは,当業者が容易に想到するものと認められる。

(2)相違点2についての検討
端末が表示装置を有し,受信した情報を表示することは周知の技術事項であり,刊行物1の記載事項である上記(1-ウ)にも「モニターの対人インタフェースは,子供および大人による利用を容易にするように設計されている。これはいくつかの重要な面を有している:
操作を簡単にするためにボタンが3つだけ設けられている;
その表示装置(LCD)は以下に列挙する複数の機能領域を用いる:
・・・
報告された気道状態情報の意味をその動作および表現が補強するアニメーションキャラクター「ウェルビー」; 」と表示装置を有するモニターが記載されている。
また,上記(1-オ)には,生体情報から必要性が示される治療方法とその説明が表示例として記載されている。
してみると,相違点2は実質的な相違点ではない。

(3)そして,補正発明の作用効果は,引用発明,周知の技術的事項から当業者が予測し得る範囲内のものにすぎない。

(4)したがって,補正発明は,引用発明,周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるというべきであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 まとめ
以上のとおりであるから,本件補正は,平成18年法改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により,却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は,上記のとおり却下されることとなるので,本願の請求項1?3に係る発明は,平成22年8月18日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されたものであって,その請求項1に係る発明は,次のとおりであると認める。
「【請求項1】 生体情報の解析を支援する生体情報解析支援方法において,
インターネット上に生体情報解析サービスホームページを設けるサーバに患者側端末が通信可能に接続し,
前記接続状態で,患者宅に配置される生体情報測定装置により測定された当該患者の生体情報を,前記患者側端末が通信回線を介して送信し,
前記サーバが前記送信された生体情報を受信し,それを格納し,
アクセス操作に応じて病院端末が前記ホームページにアクセスし,
前記アクセス状態において,通信回線を介して前記病院端末からの要求を受信すると,
前記サーバが,複数のレポート種類のうち当該要求によって選択されたレポート種類に従って前記格納された生体情報を解析し,当該生体情報の解析レポートを前記病院端末に送信し表示させることを特徴とする生体情報解析支援方法。」(以下,「本願発明」という。)

2 引用刊行物およびその記載事項
本願出願前に頒布された刊行物1およびその記載事項は,上記「第2 2」に記載したとおりである。

3 当審の判断
本願発明は,補正発明の「少なくとも,(1)当該生体情報から導かれる,今後必要とされる検査・診断の有無,又は,(2)当該生体情報から必要性が示される治療方法とその説明,のいずれかを含む」から「生体情報の解析レポート」と生体情報の解析レポートの限定を省いたものに相当する。
そうすると,本願発明の構成要件を全て含む補正発明が,上記「第2 3」において検討したとおり,引用発明,周知の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,引用発明,周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるというべきである。

第4 まとめ
以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,その他の請求項について言及するまでもなく,本願出願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-08-02 
結審通知日 2012-08-07 
審決日 2012-08-20 
出願番号 特願2001-102033(P2001-102033)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61B)
P 1 8・ 575- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 早川 貴之  
特許庁審判長 岡田 孝博
特許庁審判官 後藤 時男
信田 昌男
発明の名称 生体情報解析支援方法  
代理人 土井 健二  
代理人 林 恒徳  

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