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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1264033 |
審判番号 | 不服2011-14418 |
総通号数 | 155 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-11-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-07-05 |
確定日 | 2012-10-04 |
事件の表示 | 特願2008-286527「カメラモジュールの製造方法、およびカメラモジュールの製造装置」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 5月20日出願公開、特開2010-114731〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 経緯 1 手続 本願は、平成20年11月7日の出願であって、手続の概要は以下のとおりである。 拒絶理由通知 :平成22年12月16日(起案日) 手続補正 :平成23年 2月21日 拒絶査定 :平成23年 3月31日(起案日) 拒絶査定不服審判請求 :平成23年 7月 5日 手続補正 :平成23年 7月 5日 前置審査報告 :平成23年 9月 7日 審尋 :平成24年 4月13日(起案日) 回答書 :平成24年 6月18日 2 査定 原査定の拒絶の理由は、概略、以下のとおりである。 本願の請求項1ないし請求項4,請求項6,請求項7に係る発明は、下記刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができない。また、本願の請求項1ないし請求項7に係る発明は、下記刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 記(刊行物) 刊行物1:特開平3-30581号公報 第2 補正の却下の決定 平成23年7月5日付けの手続補正(以下、「本件補正」ともいう。)について次の通り決定する。 《補正の却下の決定の結論》 平成23年7月5日付けの手続補正を却下する。 《理由》 1 本件補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むところ、本件補正前および本件補正後の特許請求の範囲は、下記のとおりである。 記(補正前) 【請求項1】 撮像素子の撮像面に被写体の像を結像するための光学部材を一体化したカメラモジュールを製造する方法であって、 上記一体化する撮像素子と同じ光学特性を有する基準撮像素子を用意し、この基準撮像素子と上記一体化する光学部材を対向させてこの光学部材を介して上記基準撮像素子でテスト用の被写体を撮像しながら、当該光学部材と上記基準撮像素子を光軸方向に相対的に移動させて、当該被写体の像が上記基準撮像素子の撮像面に結像したときの当該光学部材の上記基準撮像素子に対するジャストフォーカス位置を測定する測定工程と、 この測定工程で測定したジャストフォーカス位置に当該光学部材を配置したときの上記基準撮像素子と当該光学部材との間の距離を上記一体化する撮像素子と当該光学部材との間で再現するように、上記一体化する撮像素子と当該光学部材を対向させて固定する一体化工程と、 を有することを特徴とするカメラモジュールの製造方法。 【請求項2】 上記一体化する撮像素子の撮像面に配置した透光部材の表面から当該撮像面までの光学的距離と、上記基準撮像素子の撮像面に配置した透光部材の表面から当該撮像面までの光学的距離と、の間のずれを補正するための補正値を算出する算出工程をさらに有し、 上記一体化工程では、この算出工程で算出した補正値を上記距離に加えた補正距離で当該撮像素子と上記光学部材を対向させて固定することを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュールの製造方法。 【請求項3】 上記測定工程では、通電状態の上記基準撮像素子を用いて複数の上記一体化する光学部材との間の上記距離を順次測定し、 上記算出工程では、上記複数の光学部材と一体化する複数の上記撮像素子それぞれの上記補正値を算出し、 上記一体化工程では、上記算出工程で上記補正値を算出した撮像素子と上記測定工程で上記距離を測定した光学部材を、当該距離に当該補正値を加えた補正距離で位置決めして固定することを特徴とする請求項2に記載のカメラモジュールの製造方法。 【請求項4】 撮像素子の撮像面に被写体の像を結像するための光学部材を一体化したカメラモジュールを製造する方法であって、 上記光学部材に固有の光学特性を測定する測定工程と、 この測定工程で測定した光学特性に基づいて当該光学部材を上記撮像素子に位置決めして固定する一体化工程と、 を有するカメラモジュールの製造方法。 【請求項5】 上記基準撮像素子の光学特性と上記撮像素子の光学特性との間のずれを補正するための補正値を算出する算出工程をさらに有し、 上記一体化工程では、この算出工程で算出した補正値を上記距離に加えた補正距離で当該撮像素子と上記光学部材を対向させて固定する請求項4の製造方法。 【請求項6】 撮像素子の撮像面に被写体の像を結像するための光学部材を一体化したカメラモジュールの製造装置であって、 上記光学部材の光学特性を測定する測定装置と、 この測定装置で測定した光学特性に基づいて当該光学部材を上記撮像素子に位置決めして固定する装置と、を有し、 上記測定装置は、 上記撮像素子と同じ光学特性を有する基準撮像素子と、 この基準撮像素子の撮像面に上記光学部材を対向させてその光軸方向に相対的に移動させる移動機構と、 テスト用の被写体を上記光学部材を介して上記基準撮像素子で撮像する撮像装置と、 この撮像装置で撮像した画像データに基づいて、上記被写体の像が上記基準撮像素子の撮像面に結像したときの当該光学部材の上記基準撮像素子に対するジャストフォーカス位置を演算する画像処理部と、 を有する製造装置。 【請求項7】 上記位置決めして固定する装置は、上記画像処理部で演算したジャストフォーカス位置に当該光学部材を配置したときの上記基準撮像素子と当該光学部材との間の距離を上記撮像素子と当該光学部材との間で再現するように、上記撮像素子と当該光学部材を位置決めして固定する請求項6の製造装置。 記(補正後) 【請求項1】 撮像素子の撮像面に被写体の像を結像するための光学部材を上記撮像素子と一体化したカメラモジュールを製造する方法であって、 上記一体化する撮像素子と同じ光学特性を有する基準撮像素子を用意し、この基準撮像素子と上記一体化する光学部材を対向させてこの光学部材を介して上記基準撮像素子でテスト用の被写体を撮像しながら、当該光学部材と上記基準撮像素子を光軸方向に相対的に移動させて、当該被写体の像が上記基準撮像素子の撮像面に結像したときの当該光学部材の上記基準撮像素子に対するジャストフォーカス位置を測定する測定工程と、 この測定工程で測定したジャストフォーカス位置に当該光学部材を配置したときの上記基準撮像素子と当該光学部材との間の距離を上記一体化する撮像素子と当該光学部材との間で再現するように、上記基準撮像素子に代えて上記一体化する撮像素子を当該光学部材に対向させて固定する一体化工程と、 を有することを特徴とするカメラモジュールの製造方法。 【請求項2】 上記一体化する撮像素子の上記撮像面に配置した透光部材の表面から当該撮像面までの光学的距離と、上記基準撮像素子の上記撮像面に配置した透光部材の表面から当該撮像面までの光学的距離と、の間のずれを補正するための補正値を算出する算出工程をさらに有し、 上記一体化工程では、この算出工程で算出した補正値を上記距離に加えた補正距離で当該撮像素子と上記光学部材を対向させて固定することを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュールの製造方法。 【請求項3】 上記測定工程では、通電状態の上記基準撮像素子を用いて複数の上記一体化する光学部材との間の上記距離を順次測定し、 上記算出工程では、上記複数の光学部材と一体化する複数の上記撮像素子それぞれの上記補正値を算出し、 上記一体化工程では、上記算出工程で上記補正値を算出した撮像素子と上記測定工程で上記距離を測定した光学部材を、当該距離に当該補正値を加えた補正距離で位置決めして固定することを特徴とする請求項2に記載のカメラモジュールの製造方法。 【請求項4】 撮像素子の撮像面に被写体の像を結像するための光学部材を上記撮像素子と一体化してカメラモジュールを製造する装置であって、 上記一体化する撮像素子と同じ光学特性を有する基準撮像素子用いて上記一体化する光学部材の光学特性を測定する測定装置と、 この測定装置で測定した光学特性に基づいて、上記基準撮像素子に代えて上記一体化する撮像素子を上記一体化する光学部材に位置決めして固定する装置と、 を有するカメラモジュールの製造装置。 【請求項5】 上記測定装置は、 上記基準撮像素子と、 上記基準撮像素子の撮像面に上記一体化する光学部材を対向させてその光軸方向に相対的に移動させる移動機構と、 テスト用の被写体を上記一体化する光学部材を介して上記基準撮像素子で撮像する撮像装置と、 この撮像装置で撮像した画像データに基づいて、上記被写体の像が上記基準撮像素子の撮像面に結像したときの当該光学部材の上記基準撮像素子に対するジャストフォーカス位置を演算する画像処理部と、 を有する請求項4の製造装置。 【請求項6】 上記位置決めして固定する装置は、上記画像処理部で演算したジャストフォーカス位置に当該光学部材を配置したときの上記基準撮像素子と当該光学部材との間の距離を上記一体化する撮像素子と当該光学部材との間で再現するように、上記一体化する撮像素子と当該光学部材を位置決めして固定する請求項5の製造装置。 2 本件補正の適合性 (1)補正の範囲 本件補正は、願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてする補正である。 (2)補正の目的 本件補正前請求項(以下「旧請求項」という。)と本件補正後請求項(以下「新請求項」という。)とを比較する。 ア 補正事項a 旧請求項1ないし旧請求項3に、限定事項を付加して、それぞれ新請求項1ないし新請求項3とする。 イ 補正事項b 旧請求項4、5を削除する。 ウ 補正事項c 旧請求項6に記載された発明を二つに分割して、新請求項4と新請求項5とし限定事項を付加したものであり、新たな請求項が一つ追加されており、新請求項4と新請求項5と、旧請求項6とが、一対一の対応関係になっていない。 しかも、新請求項4は、旧請求項6の発明特定事項の一部(「上記測定装置は、上記撮像素子と同じ光学特性を有する基準撮像素子と、この基準撮像素子の撮像面に上記光学部材を対向させてその光軸方向に相対的に移動させる移動機構と、テスト用の被写体を上記光学部材を介して上記基準撮像素子で撮像する撮像装置と、この撮像装置で撮像した画像データに基づいて、上記被写体の像が上記基準撮像素子の撮像面に結像したときの当該光学部材の上記基準撮像素子に対するジャストフォーカス位置を演算する画像処理部と」)を削除したものとなっている。 このような態様の補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当しない。また、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しない。 エ 補正事項d 新請求項6は、旧請求項7に、限定事項を付加し、自身の項番号を繰り上げるとともに、引用請求項を新請求項5としたものである。 オ 目的まとめ 以上、上記補正事項a、dは、限定的減縮に該当し、上記補正事項bは、請求項の削除に該当するものの、上記補正事項cは、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当しない。また、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しない。 (3)独立特許要件 補正事項aは、限定的減縮に該当するから、請求項1について独立特許要件を検討する。 ア 請求項1(補正後発明) 補正後の請求項1に係る発明(以下、「補正後発明」ともいう)を次に再掲する。 [補正後発明](【請求項1】) 撮像素子の撮像面に被写体の像を結像するための光学部材を上記撮像素子と一体化したカメラモジュールを製造する方法であって、 上記一体化する撮像素子と同じ光学特性を有する基準撮像素子を用意し、この基準撮像素子と上記一体化する光学部材を対向させてこの光学部材を介して上記基準撮像素子でテスト用の被写体を撮像しながら、当該光学部材と上記基準撮像素子を光軸方向に相対的に移動させて、当該被写体の像が上記基準撮像素子の撮像面に結像したときの当該光学部材の上記基準撮像素子に対するジャストフォーカス位置を測定する測定工程と、 この測定工程で測定したジャストフォーカス位置に当該光学部材を配置したときの上記基準撮像素子と当該光学部材との間の距離を上記一体化する撮像素子と当該光学部材との間で再現するように、上記基準撮像素子に代えて上記一体化する撮像素子を当該光学部材に対向させて固定する一体化工程と、 を有することを特徴とするカメラモジュールの製造方法。 イ 刊行物1 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開平3-30581号公報(以下、「刊行物1」ともいう。上記拒絶査定の「刊行物1」に同じ。)には、「半導体装置及びそれを用いたビデオ・カメラ・ユニット並びにその製造方法」(発明の名称)に関し、図面と共に、次に掲げる事項が記載されている。 (刊行物1の記載) (ア) 「[実施例6] 次にレンズのバックフォーカス調整機能を供えたホルダーについての実施例を示す。第28A図は本発明のビデオ・カメラ・ユニットの実施例を示す断面図であり、第28B図はそれを上からみたときの平面図である。第28B図の切断線28A-28Aにおける断面が第28A図に表わされている。なお第28B図の平面図は図面の複雑さを避けるため、第28A図の対応する部分を一部省略し主要部のみ描いている。またホルダー1及びホルダー2のみを組合せた場合の側面図を第18A図に、断面図を第18B図に示す。また、ホルダー1の底面図、断面図及び上面図をそれぞれ第19A図、第19B図、及び第19C図に示す。同様に、ホルダー2の単独の図面を第20図にそれぞれ示す。 前述の実施例と異なり本実施例ではホルダーはホルダー1とホルダー2の2つに分離されている。ホルダー1には4枚のレンズL1?L4が収納され、ホルダー2には固体撮像チップ64を搭載した固体撮像デバイス6が収納されている。 両ホルダーは、ホルダー1の内壁部分がホルダー2の外周面を部分的に覆うように重なり合って固定される。これは両ホルダーの円筒軸のぶれ精度を良くし、かつ円筒ホルダーの強度の向上を図ったものである。 ホルダー1にはホルダーの円筒軸に対して垂直な断面を基準にして、θ=5°の角度で斜めに溝400(又はスリット)が切ってある。また、特に制限されないが、上記溝400は貫通溝とする。 一方、ホルダー2には上記ホルダー1の溝400に挿入される突起401(又はピン)が設けてある。この突起401の溝400に沿った回転運動により、両ホルダーの円筒軸方向の距離が調整できる(すなわち、レンズL1?L4と固体撮像チップ64との距離が調整される)。この調整により、7mm×sin5°=0.61mmの範囲でレンズのバックフォーカス調整を行なえるようになる。 ホルダー2は、第20B図に示すようにd1>d2となる様に構成されている。但し、d2はホルダー2のホルダー1との重なり部分の外径(又は内径)とし、d1はこの重なり部分を基準にしてホルダー1と反対側に位置するホルダー2の外径(又は内径)とする。これはホルダー1のホルダー2との重なり部分の外径d3(第19B図)の拡大を防ぐようにしたものである。また、ホルダー2のレンズ押さえぶた114との重なり部分の外径をd4とし、ホルダー1のデバイス収納側の外径をd5とすると、これらの外径値は、d4<d1<d5及びd4<d3<d5を満足するように構成されている。ここで特に制限されないが、外径値d1と外径値d3はほぼ等しい値とし、両ホルダーの外径値をそろえておけば、監視カメラののぞき穴に入れて使用する場合など穴径がひとつですみ納まりやすく便利である。 ホルダー2に収納されるレンズは、ホルダー2の内径に合わせたレンズ径となっている。今デバイス側に収納されるレンズL4のレンズ径をd7とし、このレンズに対して上記デバイスと反対側に収納されるレンズL1のレンズ径をd6とする時、レンズ径はd6>d7を満足するように構成されている。これは前段レンズの有効面積を広くとりレンズを広角とするためである。 ホルダー2の内壁には、第20B及び第20C図に示すように、レンズのプラスチック注入形成時のゲート跡が収まる様に凹部の部分405を設けである。これによりレンズゲート跡のパリ取りが不要となり、またパリ取り後のパリ残りがあってもよいことになる。同様にホルダー2の底面には、樹脂注入時のゲート部跡406があるが、このゲート部跡406の周辺を凹部(407)とすることで、ゲート跡406が突出して邪魔になるようなことはなく、上記のゲート部跡406のパリ取りを不要としている。 次にホルダー1の構造について述べる。ホルダー1には上述した様に溝400が設けであるが(第18A図)、この溝400に通じる突起401の挿入溝402を溝400の左端に設けてある。なお、この挿入溝402は溝400の右端に設けても良い。この挿入溝402の深さは、第19C図に示すように、ホルダー1の円筒肉厚内に収まる大きさとすることで(貫通させないことで)、円筒強度の向上を図ることができる。 ホルダー1の内面に基準面403を設け、固体撮像チップ64の受光面となる表面を突き当て404に押し当て、上記基準面403に機械的に接触させてある。この突き当て404は、チップ64上面のフォーカス面の位置を決め、ペレット付時、封止時のチップ面の傾き誤差を低減するためのものである。 突き当て404にチップ64を押し当て撮像デバイス6をホルダー1に接着固定した場合、チップ64にかかる応力を軽減する目的で、ぺレット付け材又は封止材の両方又は一方をシリコンゴム系の接着剤などの弾性体としてもよい。 上記突き当て404に関連して、チップ64のレイアウト図を第21図に示す。固体撮像チップ64においてチップの一方の(上下の)対向辺にボンディングパッド280を設け、他方の(左右の)対向辺の所定部分を突き当て404で固定するようにする。ただしこの所定部分は、チップ64の光電変換素子を複数個配列した受光領域外にあるものとする。この様なチップレイアウトとしたのは左右の対向辺方向へ受光面積を広くとれ、ボンディングパット280を傷つけたりAlワイヤー242を切断する恐れをなくするようにしたものである。」 (公報17頁左上欄5行?18頁右上欄11行) (イ) 「次にレンズのバックフォーカス自動制御システムについて述べる。レンズを収納したホルダー2と撮像デバイス6を収納したホルダー1を組み合わせたビデオ・カメラ・ユニットで、上記基準面403におけるバックフォーカスを検出する。バックフォーカスの検出は、例えば所定撮像距離にストライブ状の黒・白パターンを設定し、これをビデオ・カメラ・ユニットで撮像し、得られた電気信号をハイパスフィルタで処理して信号の高域成分を取り出す。高域成分はジャストフォーカス即ち、バックフォーカスが所定の値となった時最大となるので、この電気信号をホルダー1とホルダー2間の距離を調整するホルダー駆動系に入力し、信号の高域成分が最大となる位置を決める。この後、前述したホルダー1の溝400とホルダー2の突起401を十分固定できる量の紫外線硬化レジンを注入し、所定量の紫外光を照射することにより瞬時に接着固定すればよい。また他の固定方法としてホットメルト系の接着剤を用いても良い。」 (公報18頁右上欄12?左下欄11行) (ウ) 「ビデオ・カメラ・ユニットの組立方法としては、下記の方法がある。 (1)両ホルダー組立・バックフォーカス調整後デバイス実装 (○1) ホルダー2にレンズを収納しホルダー1と組み合わせる。 (○2) 上述した様に基準面403におけるバックフォーカスを調整し、両ホルダーを固定する。 (○3) 固体撮像デバイス6を無調整にて実装し組立てる。 この方法では、レンズとホルダーの組立て調整とデバイス製造から実装までの工程を分離できるため、例えば、光学分野と半導体分野とで製造分担することができ、量産性の点において有利である。 (2)デバイス実装後バックフォーカス調整 (○1) ホルダー2にレンズを収納し、ホルダー1にデバイス6を収納し、両ホルダーを組み合わせる。 (○2) デバイスのチップ上面を基準面にしてバックフォーカスを調整後、両ホルダーを固定する。 この方法では、組立の最後の方で(すなわち、種々のばらつき要因を含めた段階で)バックフォーカス調整を行なうので、その精度は非常に良い。」 (公報18頁左下欄12?右下欄16行) (以上、刊行物1の記載) (なお、上記(○1)などの表記は、○の中に数字1などがある記号を示す。情報処理装置の文字処理能力の事情によりこのように表記する。) 以上の記載によると、刊行物1には、「ビデオ・カメラ・ユニットの組立方法として」、「(1)両ホルダー組立・バックフォーカス調整後デバイス実装」「(2)デバイス実装後バックフォーカス調整」と記載され、「バックフォーカス調整」と「デバイス実装」の手順が異なる2つの「ビデオ・カメラ・ユニットの組立方法」が認められる。 この組立方法のうちの「(1)両ホルダー組立・バックフォーカス調整後デバイス実装」は、 (○1) ホルダー2にレンズを収納しホルダー1と組み合わせる。 (○2) 上述した様に基準面403におけるバックフォーカスを調整し、両ホルダーを固定する。 (○3) 固体撮像デバイス6を無調整にて実装し組立てる。 ものであり、 「(○2) 上述した様に基準面403におけるバックフォーカスを調整し、両ホルダーを固定する。」 の後に、 「(○3) 固体撮像デバイス6を無調整にて実装し組立てる。」 手順を有する。 そして、 「この方法では、レンズとホルダーの組立て調整とデバイス製造から実装までの工程を分離できるため、例えば、光学分野と半導体分野とで製造分担することができ、量産性の点において有利である。」 と説明されている。 このうち、「(○2) 上述した様に基準面403におけるバックフォーカスを調整し、両ホルダーを固定する。」は、上記(イ)において上述されている様になされると認められ、 「レンズを収納したホルダー2と撮像デバイス6を収納したホルダー1を組み合わせたビデオ・カメラ・ユニットで、上記基準面403におけるバックフォーカスを検出する。バックフォーカスの検出は、例えば所定撮像距離にストライブ状の黒・白パターンを設定し、これをビデオ・カメラ・ユニットで撮像し、得られた電気信号をハイパスフィルタで処理して信号の高域成分を取り出す。高域成分はジャストフォーカス即ち、バックフォーカスが所定の値となった時最大となるので、この電気信号をホルダー1とホルダー2間の距離を調整するホルダー駆動系に入力し、信号の高域成分が最大となる位置を決める。この後、前述したホルダー1の溝400とホルダー2の突起401を十分固定できる量の紫外線硬化レジンを注入し、所定量の紫外光を照射することにより瞬時に接着固定すればよい。また他の固定方法としてホットメルト系の接着剤を用いても良い。」 ものと認められる。 また、「(○3) 固体撮像デバイス6を無調整にて実装し組立てる。」は、上記(ア)記載のホルダー1の構造で説明されるように、 「ホルダー1の内面に基準面403を設け、固体撮像チップ64の受光面となる表面を突き当て404に押し当て、上記基準面403に機械的に接触させてある。この突き当て404は、チップ64上面のフォーカス面の位置を決め、ペレット付時、封止時のチップ面の傾き誤差を低減するためのものである。 突き当て404にチップ64を押し当て撮像デバイス6をホルダー1に接着固定した場合、チップ64にかかる応力を軽減する目的で、ぺレット付け材又は封止材の両方又は一方をシリコンゴム系の接着剤などの弾性体としてもよい。」 ものであって、「無調整」というのは、この「(○3) 固体撮像デバイス6を無調整にて実装し組立てる。」手順の前に、「(○2) 上述した様に基準面403におけるバックフォーカスを調整し、両ホルダーを固定する。」手順を行っていることから、「(○3) 固体撮像デバイス6を無調整にて実装し組立てる。」ときには、「上述した様に基準面403におけるバックフォーカスを調整」する調整を行わないことと認められる。 そうすると、刊行物1には、ビデオ・カメラ・ユニットの製造方法として、「(1)両ホルダー組立・バックフォーカス調整後デバイス実装」する方法が記載されており、 「(1)両ホルダー組立・バックフォーカス調整後デバイス実装」する方法は、 (○1) ホルダー2にレンズを収納しホルダー1と組み合わせる。 (○2) 上述した様に基準面403におけるバックフォーカスを調整し、両ホルダーを固定する。 (○3) 固体撮像デバイス6を無調整にて実装し組立てる。 ものであり、 「(○2) 上述した様に基準面403におけるバックフォーカスを調整し、両ホルダーを固定する。」は、 「レンズを収納したホルダー2と撮像デバイス6を収納したホルダー1を組み合わせたビデオ・カメラ・ユニットで、上記基準面403におけるバックフォーカスを検出する。バックフォーカスの検出は、例えば所定撮像距離にストライブ状の黒・白パターンを設定し、これをビデオ・カメラ・ユニットで撮像し、得られた電気信号をハイパスフィルタで処理して信号の高域成分を取り出す。高域成分はジャストフォーカス即ち、バックフォーカスが所定の値となった時最大となるので、この電気信号をホルダー1とホルダー2間の距離を調整するホルダー駆動系に入力し、信号の高域成分が最大となる位置を決める。この後、前述したホルダー1の溝400とホルダー2の突起401を十分固定できる量の紫外線硬化レジンを注入し、所定量の紫外光を照射することにより瞬時に接着固定すればよい。また他の固定方法としてホットメルト系の接着剤を用いても良い。」 ものであり、 「(○3) 固体撮像デバイス6を無調整にて実装し組立てる。」は、 「ホルダー1の内面に基準面403を設け、固体撮像チップ64の受光面となる表面を突き当て404に押し当て、上記基準面403に機械的に接触させてある。この突き当て404は、チップ64上面のフォーカス面の位置を決め、ペレット付時、封止時のチップ面の傾き誤差を低減するためのものである。 突き当て404にチップ64を押し当て撮像デバイス6をホルダー1に接着固定した場合、チップ64にかかる応力を軽減する目的で、ぺレット付け材又は封止材の両方又は一方をシリコンゴム系の接着剤などの弾性体としてもよい。」 ものであって、「無調整」というのは、「(○3) 固体撮像デバイス6を無調整にて実装し組立てる。」ときには、「上述した様に基準面403におけるバックフォーカスを調整」する調整を行わないことである。 そして、「この方法では、レンズとホルダーの組立て調整とデバイス製造から実装までの工程を分離できるため、例えば、光学分野と半導体分野とで製造分担することができ、量産性の点において有利である。」ものである。 この「(1)両ホルダー組立・バックフォーカス調整後デバイス実装」する方法を刊行物1に記載された発明(以下、「刊行物1発明」ともいう)とする。 ウ 対比 補正後発明と刊行物1発明とを対比する。 (ア)「撮像素子の撮像面に被写体の像を結像するための光学部材を上記撮像素子と一体化したカメラモジュールを製造する方法」 刊行物1発明は、「ビデオ・カメラ・ユニットの製造方法」であって、 刊行物1発明の「固体撮像デバイス6」は補正後発明の「撮像素子」といえ、 刊行物1発明のホルダー2に収納された「レンズ」は補正後発明の「撮像素子の撮像面に被写体の像を結像するための光学部材」といえ、 刊行物1発明の最後の手順「(○3) 固体撮像デバイス6を無調整にて実装し組立てる。」の結果として製造される「ビデオ・カメラ・ユニット」は補正後発明の「撮像素子の撮像面に被写体の像を結像するための光学部材を上記撮像素子と一体化したカメラモジュール」といえるから、 刊行物1発明は、「撮像素子の撮像面に被写体の像を結像するための光学部材を上記撮像素子と一体化したカメラモジュールを製造する方法」といいうる。 したがって、補正後発明と刊行物1発明とは、「撮像素子の撮像面に被写体の像を結像するための光学部材を上記撮像素子と一体化したカメラモジュールを製造する方法」という点で一致する。 (イ)「上記一体化する撮像素子と同じ光学特性を有する基準撮像素子を用意し、この基準撮像素子と上記一体化する光学部材を対向させてこの光学部材を介して上記基準撮像素子でテスト用の被写体を撮像しながら、当該光学部材と上記基準撮像素子を光軸方向に相対的に移動させて、当該被写体の像が上記基準撮像素子の撮像面に結像したときの当該光学部材の上記基準撮像素子に対するジャストフォーカス位置を測定する測定工程」 刊行物1発明の「(○2) 上述した様に基準面403におけるバックフォーカスを調整し、両ホルダーを固定する。」は、 「レンズを収納したホルダー2と撮像デバイス6を収納したホルダー1を組み合わせたビデオ・カメラ・ユニットで、上記基準面403におけるバックフォーカスを検出する。バックフォーカスの検出は、例えば所定撮像距離にストライブ状の黒・白パターンを設定し、これをビデオ・カメラ・ユニットで撮像し、得られた電気信号をハイパスフィルタで処理して信号の高域成分を取り出す。高域成分はジャストフォーカス即ち、バックフォーカスが所定の値となった時最大となるので、この電気信号をホルダー1とホルダー2間の距離を調整するホルダー駆動系に入力し、信号の高域成分が最大となる位置を決める。この後、前述したホルダー1の溝400とホルダー2の突起401を十分固定できる量の紫外線硬化レジンを注入し、所定量の紫外光を照射することにより瞬時に接着固定すればよい。また他の固定方法としてホットメルト系の接着剤を用いても良い。」 ものであり、両ホルダーを固定することで「レンズ」すなわち「光学部材」は「基準面403」に対する位置、すなわち、「撮像素子に対するジャストフォーカス位置」となる位置で固定される。 この「レンズ」を「基準面403」に対して固定する過程で、「バックフォーカスの検出は、例えば所定撮像距離にストライブ状の黒・白パターンを設定し、これをビデオ・カメラ・ユニットで撮像し、得られた電気信号をハイパスフィルタで処理して信号の高域成分を取り出す。高域成分はジャストフォーカス即ち、バックフォーカスが所定の値となった時最大となるので、この電気信号をホルダー1とホルダー2間の距離を調整するホルダー駆動系に入力し、信号の高域成分が最大となる位置を決める。」 ここで、「撮像」しているから、「レンズ」と「撮像デバイス」とを「対向させて」いると認められ、刊行物1発明は「撮像素子と光学部材を対向させて」いるといえる。 「所定撮像距離にストライブ状の黒・白パターンを設定し、これをビデオ・カメラ・ユニットで撮像し」ており、「ストライブ状の黒・白パターン」はこの製造の過程で用いるものだから「テスト用の被写体」といいえ、この「テスト用の被写体」である「ストライブ状の黒・白パターン」を撮像しているから、刊行物1発明は「この光学部材を介して上記撮像素子でテスト用の被写体を撮像」するといえる。 そして、そのように撮像しながら、「得られた電気信号をハイパスフィルタで処理して信号の高域成分を取り出す。高域成分はジャストフォーカス即ち、バックフォーカスが所定の値となった時最大となるので、この電気信号をホルダー1とホルダー2間の距離を調整するホルダー駆動系に入力し、信号の高域成分が最大となる位置を決める。」 ここで、 「ホルダー1とホルダー2間の距離を調整」しており、ホルダー2に収納された「レンズ」とホルダー1の基準面403に機械的に接触させてある固体撮像チップ64との距離が調整されるから、刊行物1発明は「撮像をしながら、当該光学部材と上記撮像素子を光軸方向に相対的に移動させて」いるといえる。 「信号の高域成分が最大となる位置を決め」ており、「ジャストフォーカス」となる位置を決めているといえる。こうして決められた「ジャストフォーカス」となる位置は、「この後、前述したホルダー1の溝400とホルダー2の突起401を十分固定できる量の紫外線硬化レジンを注入し、所定量の紫外光を照射することにより瞬時に接着固定」されてホルダー1とホルダー2とが固定され、ホルダー2に収納された「レンズ」とホルダー1の基準面403に機械的に接触させてある固体撮像チップ64との距離が固定される。 この後、このように固定されたホルダー1、ホルダー2に、「(○3) 固体撮像デバイス6を無調整にて実装し組立てる。」から、この組立を行う前に、ホルダー2に収納された「レンズ」とホルダー1の基準面403に機械的に接触させてある固体撮像チップ64との距離、すなわち、「ジャストフォーカス」となる位置が各レンズ毎に構造的に保存されているといえ、「ジャストフォーカス」となる位置が各レンズ毎に構造的に測定されているといえる。 このように対比されるから、刊行物1発明は、 「撮像素子と光学部材を対向させてこの光学部材を介して上記撮像素子でテスト用の被写体を撮像しながら、当該光学部材と上記撮像素子を光軸方向に相対的に移動させて、当該被写体の像が上記撮像素子の撮像面に結像したときの当該光学部材の上記撮像素子に対するジャストフォーカス位置を測定する測定工程」を有すると一旦いうことができる。 さらに、「撮影素子」について対比する。 刊行物1発明は、 「(○2) 上述した様に基準面403におけるバックフォーカスを調整し、両ホルダーを固定する。」 の後に、 「(○3) 固体撮像デバイス6を無調整にて実装し組立てる。」 ものであり、 「この方法では、レンズとホルダーの組立て調整とデバイス製造から実装までの工程を分離できるため、例えば、光学分野と半導体分野とで製造分担することができ、量産性の点において有利である。」ものである。 「レンズとホルダーの組立て調整とデバイス製造から実装までの工程を分離」し「光学分野と半導体分野とで製造分担する」のであるから、 「レンズとホルダーの組立て調整」すなわち「(○2) 上述した様に基準面403におけるバックフォーカスを調整し、両ホルダーを固定する。」 と 「デバイス製造から実装」すなわち「固体撮像デバイス6」の製造(半導体分野)および「(固体撮像デバイス6を)無調整にて実装し組立てる。」 とが分離され、製造分担されるのであり、 「(○2) 上述した様に基準面403におけるバックフォーカスを調整し、両ホルダーを固定する。」が多くのレンズに対して「光学分野」としてまとめて実施され、 その後に、 「(○3) 固体撮像デバイス6を無調整にて実装し組立てる。」が多くのレンズ及び固体撮像デバイス6について、まとめて実施されるものと認められる。 この「(○3) 固体撮像デバイス6を無調整にて実装し組立てる。」において一つのレンズと一つの固体撮像デバイス6が一体化され、ビデオ・カメラ・ユニットが最終的に製造されるから、 「(○3) 固体撮像デバイス6を無調整にて実装し組立てる。」において一体化される一つのレンズと一つの固体撮像デバイス6が、「撮像素子の撮像面に被写体の像を結像するための光学部材を上記撮像素子と一体化したカメラモジュールを製造する方法」における一体化する光学部材と撮像素子であると認められる。 そして、この「(○3) 固体撮像デバイス6を無調整にて実装し組立てる。」と分離される「(○2) 上述した様に基準面403におけるバックフォーカスを調整し、両ホルダーを固定する。」において、「撮像」をおこなう撮像素子は、工程が分離され製造分担されるのであるから、「撮像素子の撮像面に被写体の像を結像するための光学部材を上記撮像素子と一体化したカメラモジュールを製造する方法」における一体化する撮像素子である「(○3) 固体撮像デバイス6を無調整にて実装し組立てる。」において一体化される固体撮像デバイス6とは「別の撮像素子」であると理解され、「(○2) 上述した様に基準面403におけるバックフォーカスを調整し、両ホルダーを固定する。」において「別の撮像素子」が用意されているといえる。 したがって、刊行物1発明は、 「上記一体化する撮像素子と別の撮像素子を用意し、この別の撮像素子と光学部材を対向させてこの光学部材を介して上記別の撮像素子でテスト用の被写体を撮像しながら、当該光学部材と上記別の撮像素子を光軸方向に相対的に移動させて、当該被写体の像が上記別の撮像素子の撮像面に結像したときの当該光学部材の上記別の撮像素子に対するジャストフォーカス位置を測定する測定工程」を有するということができ、この点で補正後発明と一致する。 もっとも、「別の撮像素子」が補正後発明では「上記一体化する撮像素子と同じ光学特性を有する基準撮像素子」であり、刊行物1発明は別の撮像素子である点で相違する。 (ウ)「この測定工程で測定したジャストフォーカス位置に当該光学部材を配置したときの上記基準撮像素子と当該光学部材との間の距離を上記一体化する撮像素子と当該光学部材との間で再現するように、上記基準撮像素子に代えて上記一体化する撮像素子を当該光学部材に対向させて固定する一体化工程」 刊行物1発明の、 「(○3) 固体撮像デバイス6を無調整にて実装し組立てる。」は、 「ホルダー1の内面に基準面403を設け、固体撮像チップ64の受光面となる表面を突き当て404に押し当て、上記基準面403に機械的に接触させてある。この突き当て404は、チップ64上面のフォーカス面の位置を決め、ペレット付時、封止時のチップ面の傾き誤差を低減するためのものである。 突き当て404にチップ64を押し当て撮像デバイス6をホルダー1に接着固定した場合、チップ64にかかる応力を軽減する目的で、ぺレット付け材又は封止材の両方又は一方をシリコンゴム系の接着剤などの弾性体としてもよい。」 ものであって、「無調整」というのは、「(○3) 固体撮像デバイス6を無調整にて実装し組立てる。」ときには、「上述した様に基準面403におけるバックフォーカスを調整」する調整を行わないことである。 そして、「この方法では、レンズとホルダーの組立て調整とデバイス製造から実装までの工程を分離できるため、例えば、光学分野と半導体分野とで製造分担することができ、量産性の点において有利である。」ものである。 上記(イ)で述べたように、「(○3) 固体撮像デバイス6を無調整にて実装し組立てる。」で一体化される固体撮像デバイス6は、「(○2) 上述した様に基準面403におけるバックフォーカスを調整し、両ホルダーを固定する。」において用いられる「別の撮像素子」とは物として異なるもので、「撮像素子の撮像面に被写体の像を結像するための光学部材を上記撮像素子と一体化したカメラモジュールを製造する方法」における一体化する撮像素子であると認められる。 この一体化する撮像素子が「無調整にて実装」すなわち「固体撮像チップ64の受光面となる表面を突き当て404に押し当て、上記基準面403に機械的に接触させてある。この突き当て404は、チップ64上面のフォーカス面の位置を決め」ており、「(○2) 上述した様に基準面403におけるバックフォーカスを調整し、両ホルダーを固定する。」において用いられる「別の撮像素子」と同じ位置に実装するといえる。 そうであるから 「(○3) 固体撮像デバイス6を無調整にて実装し組立てる。」で一体化される固体撮像デバイス6は、 「(○2) 上述した様に基準面403におけるバックフォーカスを調整し、両ホルダーを固定する。」において用いられる「別の撮像素子」に代えて、「別の撮像素子」とレンズとの距離と同じ距離になる位置に固定されるといえる。 したがって、刊行物1発明は「この測定工程で測定したジャストフォーカス位置に当該光学部材を配置したときの上記別の撮像素子と当該光学部材との間の距離を上記一体化する撮像素子と当該光学部材との間で再現するように、上記別の撮像素子に代えて上記一体化する撮像素子を当該光学部材に対向させて固定する一体化工程」といいえ、この点で補正後発明と一致する。 もっとも、上記(イ)で述べたとおり「別の撮像素子」についての相違が認められる。 エ 一致点相違点 以上のとおり対比されるから、補正後発明と刊行物1発明との一致点、相違点は次のとおりである。 [一致点] 撮像素子の撮像面に被写体の像を結像するための光学部材を上記撮像素子と一体化したカメラモジュールを製造する方法であって、 上記一体化する撮像素子と別の撮像素子を用意し、この別の撮像素子と光学部材を対向させてこの光学部材を介して上記別の撮像素子でテスト用の被写体を撮像しながら、当該光学部材と上記別の撮像素子を光軸方向に相対的に移動させて、当該被写体の像が上記別の撮像素子の撮像面に結像したときの当該光学部材の上記別の撮像素子に対するジャストフォーカス位置を測定する測定工程と、 この測定工程で測定したジャストフォーカス位置に当該光学部材を配置したときの上記別の撮像素子と当該光学部材との間の距離を上記一体化する撮像素子と当該光学部材との間で再現するように、上記別の撮像素子に代えて上記一体化する撮像素子を当該光学部材に対向させて固定する一体化工程と、 を有することを特徴とするカメラモジュールの製造方法。 [相違点] 「別の撮像素子」が補正後発明では「上記一体化する撮像素子と同じ光学特性を有する基準撮像素子」であり、刊行物1発明は別の撮像素子である点で相違する。 オ 相違点判断 刊行物1発明において「別の撮像素子と当該光学部材との間の距離を上記一体化する撮像素子と当該光学部材との間で再現する」、すなわち、一体化する撮像素子とレンズとの距離を別の撮像素子が撮像するときと同じ距離とするのは、一体化する撮像素子に対してレンズがジャストフォーカスするようになすためであり、そうであるから、一体化する撮像素子と同じレンズの位置に対してジャストフォーカスする別の撮像素子を用いようとするのは当然であり、ホルダー2に設けた際に、一体化する撮像素子と同じ位置でジャストフォーカスする光学的関係を有する撮像素子とすることは、当業者が容易に想到されることと認められる。 この「ホルダー2に設けた際に、一体化する撮像素子同じ位置でジャストフォーカスする光学的関係を有する」ことは、「一体化する撮像素子と同じ光学特性を有する」といいえ、数多くの一体化する撮像素子と同じ光学特性にある別の撮像素子は「基準」といいうるから、 刊行物1発明の「別の撮像素子」を「上記一体化する撮像素子と同じ光学特性を有する基準撮像素子」とすることで、補正後発明の相違点に係る構成とすることは当業者が容易に想到できることといえる。 そして、補正後発明の効果も予測できるものである。 したがって、補正後発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。 カ 独立特許要件まとめ 以上のとおり、本件補正後の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるということができない。 3 まとめ 以上のとおり、補正事項cは、特許法第17条の2第5項第2号で規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当せず、また、同法第17条の2第5項第1号,第3号,第4号でそれぞれ規定する請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれを目的とするものにも該当しない。したがって、補正事項cを含む本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 また、本件補正後の請求項1に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるということができないから、本件補正は、平成23年法律第63号改正附則第2条第18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明 平成23年7月5日付けの手続補正は上記のとおり却下する。 本願の請求項1から請求項7までに係る発明は、本願特許請求の範囲、明細書及び図面(平成23年2月21日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲、明細書及び図面)の記載からみて、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1から請求項7までに記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうち、請求項1係る発明(以下「本願発明」という。)は、下記(上記補正前の請求項1に同じ、再掲)のとおりである。 記(本願発明:請求項1に係る発明) 撮像素子の撮像面に被写体の像を結像するための光学部材を一体化したカメラモジュールを製造する方法であって、 上記一体化する撮像素子と同じ光学特性を有する基準撮像素子を用意し、この基準撮像素子と上記一体化する光学部材を対向させてこの光学部材を介して上記基準撮像素子でテスト用の被写体を撮像しながら、当該光学部材と上記基準撮像素子を光軸方向に相対的に移動させて、当該被写体の像が上記基準撮像素子の撮像面に結像したときの当該光学部材の上記基準撮像素子に対するジャストフォーカス位置を測定する測定工程と、 この測定工程で測定したジャストフォーカス位置に当該光学部材を配置したときの上記基準撮像素子と当該光学部材との間の距離を上記一体化する撮像素子と当該光学部材との間で再現するように、上記一体化する撮像素子と当該光学部材を対向させて固定する一体化工程と、 を有することを特徴とするカメラモジュールの製造方法。 第4 判断 1 刊行物1 上記[第2 2 (3) イ 刊行物1]の記載を援用し、同じ刊行物1発明を認定する。 2 対比 本願発明は上記[第2 2 (3) ア 請求項1(補正後発明)]の補正後発明に対して、補正事項を戻す関係にあり、 「撮像素子の撮像面に被写体の像を結像するための光学部材を上記撮像素子と一体化したカメラモジュールを製造する方法」(補正後発明)を 「撮像素子の撮像面に被写体の像を結像するための光学部材を一体化したカメラモジュールを製造する方法」(本願発明)とし、 「この測定工程で測定したジャストフォーカス位置に当該光学部材を配置したときの上記基準撮像素子と当該光学部材との間の距離を上記一体化する撮像素子と当該光学部材との間で再現するように、[上記基準撮像素子に代えて]上記一体化する撮像素子[を]当該光学部材[に]対向させて固定する一体化工程」(補正後発明)を 「この測定工程で測定したジャストフォーカス位置に当該光学部材を配置したときの上記基準撮像素子と当該光学部材との間の距離を上記一体化する撮像素子と当該光学部材との間で再現するように、上記一体化する撮像素子と当該光学部材を対向させて固定する一体化工程」(本願発明)と、 したものであって、 上記[第2 2 (3) ウ 対比]と同様に対比され、本願発明と刊行物1発明との一致点、相違点は次のとおりである。 [一致点] 撮像素子の撮像面に被写体の像を結像するための光学部材を一体化したカメラモジュールを製造する方法であって、 上記一体化する撮像素子と別の撮像素子を用意し、この別の撮像素子と光学部材を対向させてこの光学部材を介して上記別の撮像素子でテスト用の被写体を撮像しながら、当該光学部材と上記別の撮像素子を光軸方向に相対的に移動させて、当該被写体の像が上記別の撮像素子の撮像面に結像したときの当該光学部材の上記別の撮像素子に対するジャストフォーカス位置を測定する測定工程と、 この測定工程で測定したジャストフォーカス位置に当該光学部材を配置したときの上記別の撮像素子と当該光学部材との間の距離を上記一体化する撮像素子と当該光学部材との間で再現するように、上記一体化する撮像素子と当該光学部材を対向させて固定する一体化工程と、 を有することを特徴とするカメラモジュールの製造方法。 [相違点] 「別の撮像素子」が本願発明では「上記一体化する撮像素子と同じ光学特性を有する基準撮像素子」であり、刊行物1発明は別の撮像素子である点で相違する。 3 相違点判断 上記本願発明と刊行物1発明との相違点は、上記[第2 2 (3) エ 一致点相違点]で述べた補正後発明と刊行物1発明との相違点と同じであり、上記[第2 2 (3) オ 相違点判断]と同じく判断されるから、本願発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。 4 判断まとめ 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第5 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願の請求項2ないし請求項7に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-08-02 |
結審通知日 | 2012-08-07 |
審決日 | 2012-08-20 |
出願番号 | 特願2008-286527(P2008-286527) |
審決分類 |
P
1
8・
57-
Z
(H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N) P 1 8・ 575- Z (H04N) P 1 8・ 121- Z (H04N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 井出 和水 |
特許庁審判長 |
奥村 元宏 |
特許庁審判官 |
小池 正彦 猪瀬 隆広 |
発明の名称 | カメラモジュールの製造方法、およびカメラモジュールの製造装置 |
代理人 | 河野 哲 |
代理人 | 竹内 将訓 |
代理人 | 岡田 貴志 |
代理人 | 村松 貞男 |
代理人 | 野河 信久 |
代理人 | 中村 誠 |
代理人 | 幸長 保次郎 |
代理人 | 中村 誠 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 河野 哲 |
代理人 | 岡田 貴志 |
代理人 | 河野 直樹 |
代理人 | 峰 隆司 |
代理人 | 佐藤 立志 |
代理人 | 幸長 保次郎 |
代理人 | 福原 淑弘 |
代理人 | 佐藤 立志 |
代理人 | 白根 俊郎 |
代理人 | 白根 俊郎 |
代理人 | 河野 直樹 |
代理人 | 砂川 克 |
代理人 | 峰 隆司 |
代理人 | 竹内 将訓 |
代理人 | 堀内 美保子 |
代理人 | 村松 貞男 |
代理人 | 砂川 克 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 福原 淑弘 |
代理人 | 堀内 美保子 |
代理人 | 野河 信久 |