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審決分類 |
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 G11B 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B |
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管理番号 | 1264034 |
審判番号 | 不服2011-14517 |
総通号数 | 155 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-11-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-07-05 |
確定日 | 2012-10-04 |
事件の表示 | 特願2005-118139「ピックアップ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年11月 2日出願公開,特開2006-302334〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 この出願は,平成17年4月15日に出願されたものであって,平成22年1月20日付け拒絶の理由に対し,同年3月29日に手続補正がなされたが,平成23年3月30日付けで拒絶をすべき旨の査定がなされたものであり,これに対し,同年7月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされると共に,同日付けで手続補正がなされたものである。 その後,当審において,平成24年2月27日付けで審尋がなされたが,これに対する応答はなかった。 第2 平成23年7月5日付け手続補正の却下の決定 《補正の却下の決定の結論》 平成23年7月5日付け手続補正を却下する。 《補正の却下の決定の理由》 1 本件補正の概要 平成23年7月5日付け手続補正(以下,「本件補正」という。)は,特許請求の範囲及び発明の詳細な説明を補正しようとするものであって,そのうち,特許請求の範囲について,本件補正前 「 【請求項1】 ハウジングと, 該ハウジングに取り付けられるレンズと, を備え, 該ハウジングは, 該レンズを支える第一支持部と, 該レンズを支える第二支持部と, 該第一支持部に続く第一隔壁と, 該第二支持部に続く第二隔壁と, 該第一隔壁と該第二隔壁とを繋ぐ連結部と, を有し, 該第一支持部と,該第二支持部と,該第一隔壁と,該第二隔壁と,該連結部とは,一体形成されたことを特徴とするピックアップ装置。 【請求項2】 前記ハウジングに前記レンズが固定されるときに,該ハウジングに該レンズを固着させる接着剤が用いられたことを特徴とする請求項1記載のピックアップ装置。 【請求項3】 前記ハウジングおよび前記レンズに接着剤が三箇所塗布されて,該ハウジングに該レンズが固定されたことを特徴とする請求項1又は2記載のピックアップ装置。 【請求項4】 前記第一支持部と,前記第二支持部と,前記連結部とに接着剤が塗布されて,前記ハウジングに前記レンズが固定されたことを特徴とする請求項1?3の何れか1項に記載のピックアップ装置。 【請求項5】 前記レンズと前記連結部とに接着剤を塗布させ易くする突出部が,該連結部に設けられたことを特徴とする請求項1?4の何れか1項に記載のピックアップ装置。 【請求項6】 前記突出部に対応した切欠き部が,前記レンズに設けられたことを特徴とする請求項5に記載のピックアップ装置。 【請求項7】 前記接着剤は,前記突出部の先端面部と,前記切欠き部を形成する平面部とに塗布されたことを特徴とする請求項6に記載のピックアップ装置。 【請求項8】 前記ハウジングに前記レンズが装備されるときに, 該ハウジングの前記連結部に突設された前記突出部の先端面部が,該レンズの切欠き部の略中央部に位置する状態で,該ハウジングに該レンズが備えられたことを特徴とする請求項5?7の何れか1項に記載のピックアップ装置。 【請求項9】 前記ハウジングの前記第一支持部は,前記レンズの幅よりも広い幅の傾斜面部を備え, 該ハウジングの前記第二支持部は,該レンズの幅よりも広い幅の傾斜面部を備え, 該レンズは,レンズ曲面部の周縁部に平面部を備え, 該第一支持部の該傾斜面部と,該レンズの該平面部とに,該レンズを該ハウジングに固着させる接着剤が塗布され, 該第二支持部の該傾斜面部と,該レンズの該平面部とに,該レンズを該ハウジングに固着させる接着剤が塗布されたことを特徴とする請求項1?8の何れか1項に記載のピックアップ装置。 【請求項10】 前記ハウジングに前記レンズを固着させる接着剤が用いられ,該接着剤として,紫外線が照射されることで硬化する紫外線硬化型接着剤が用いられたことを特徴とする請求項1?9の何れか1項に記載のピックアップ装置。 【請求項11】 前記ハウジングに対して前記レンズを精度よく装備可能とさせる位置決め部が,該ハウジングに設けられたことを特徴とする請求項1?10の何れか1項に記載のピックアップ装置。 【請求項12】 前記位置決め部は,前記第一隔壁および前記第二隔壁から突設された突出部として形成されたことを特徴とする請求項11に記載のピックアップ装置。 【請求項13】 前記ハウジングに対し前記レンズの取付位置を定めるための基準面が,前記位置決め部に設けられ,該基準面に対応した平面部が該レンズの曲面部の周縁部に設けられ,該ハウジングに設けられた該位置決め部の該基準面に,該レンズの該平面部が当接されて,該ハウジングに該レンズが取り付けられたことを特徴とする請求項11又は12に記載のピックアップ装置。 【請求項14】 前記レンズとして,入射した光を平行光にして出射するコリメータレンズが用いられたことを特徴とする請求項1?13の何れか1項に記載のピックアップ装置。 【請求項15】 持運びが容易なコンピュータのディスク装置に装備可能とされたことを特徴とする請求項1?14の何れか1項に記載のピックアップ装置。 【請求項16】 前記第一支持部と,前記第二支持部と,前記第一隔壁と,前記第二隔壁と,前記連結部とは,同質材料が用いられて一体形成されたことを特徴とする請求項1?15の何れか1項に記載のピックアップ装置。」 とあったものを,本件補正により 「 【請求項1】 ハウジングと, 該ハウジングに取り付けられるレンズと, を備え, 該ハウジングは, 該レンズを支える第一支持部と, 該レンズを支える第二支持部と, 該第一支持部に続く第一隔壁と, 該第二支持部に続く第二隔壁と, 該第一隔壁と該第二隔壁とを繋ぐ連結部と, を有し, 該第一支持部と,該第二支持部と,該第一隔壁と,該第二隔壁と,該連結部とは,一体形成され, 前記レンズと前記連結部とに接着剤を塗布させ易くする突出部が該連結部に設けられ, 前記突出部に対応した切欠き部が前記レンズに設けられたことを特徴とするピックアップ装置。 【請求項2】 前記ハウジングに前記レンズが固定されるときに,該ハウジングに該レンズを固着させる接着剤が用いられたことを特徴とする請求項1記載のピックアップ装置。 【請求項3】 前記ハウジングおよび前記レンズに接着剤が三箇所塗布されて,該ハウジングに該レンズが固定されたことを特徴とする請求項1又は2記載のピックアップ装置。 【請求項4】 前記第一支持部と,前記第二支持部と,前記連結部とに接着剤が塗布されて,前記ハウジングに前記レンズが固定されたことを特徴とする請求項1?3の何れか1項に記載のピックアップ装置。 【請求項5】 前記ハウジングに前記レンズが装備されるときに, 前記突出部と,前記切欠き部とが合わせられたことを特徴とする請求項1?4の何れか1項に記載のピックアップ装置。 【請求項6】 前記ハウジングに前記レンズが装備されるときに, 前記突出部と,前記切欠き部との間に隙間がもたされた状態で,該ハウジングに該レンズが備えられたことを特徴とする請求項1?5の何れか1項に記載のピックアップ装置。 【請求項7】 前記接着剤は,前記突出部の先端面部と,前記切欠き部を形成する平面部とに塗布されたことを特徴とする請求項1?6の何れか1項に記載のピックアップ装置。 【請求項8】 前記ハウジングに前記レンズが装備されるときに, 該ハウジングの前記連結部に突設された前記突出部の先端面部が,該レンズの前記切欠き部の略中央部に位置する状態で,該ハウジングに該レンズが備えられたことを特徴とする請求項1?7の何れか1項に記載のピックアップ装置。 【請求項9】 前記ハウジングの前記第一支持部は,前記レンズの幅よりも広い幅の傾斜面部を備え, 該ハウジングの前記第二支持部は,該レンズの幅よりも広い幅の傾斜面部を備え, 該レンズは,レンズ曲面部の周縁部に平面部を備え, 該第一支持部の該傾斜面部と,該レンズの該平面部とに,該レンズを該ハウジングに固着させる接着剤が塗布され, 該第二支持部の該傾斜面部と,該レンズの該平面部とに,該レンズを該ハウジングに固着させる接着剤が塗布されたことを特徴とする請求項1?8の何れか1項に記載のピックアップ装置。 【請求項10】 前記ハウジングに前記レンズを固着させる接着剤が用いられ,該接着剤として,紫外線が照射されることで硬化する紫外線硬化型接着剤が用いられたことを特徴とする請求項1?9の何れか1項に記載のピックアップ装置。 【請求項11】 前記ハウジングに対して前記レンズを精度よく装備可能とさせる位置決め部が,該ハウジングに設けられたことを特徴とする請求項1?10の何れか1項に記載のピックアップ装置。 【請求項12】 前記位置決め部は,前記第一隔壁および前記第二隔壁から突設された突出部として形成されたことを特徴とする請求項11に記載のピックアップ装置。 【請求項13】 前記ハウジングに対し前記レンズの取付位置を定めるための基準面が,前記位置決め部に設けられ,該基準面に対応した平面部が該レンズの曲面部の周縁部に設けられ,該ハウジングに設けられた該位置決め部の該基準面に,該レンズの該平面部が当接されて,該ハウジングに該レンズが取り付けられたことを特徴とする請求項11又は12に記載のピックアップ装置。 【請求項14】 前記レンズとして,入射した光を平行光にして出射するコリメータレンズが用いられたことを特徴とする請求項1?13の何れか1項に記載のピックアップ装置。 【請求項15】 持運びが容易なコンピュータのディスク装置に装備可能とされたことを特徴とする請求項1?14の何れか1項に記載のピックアップ装置。 【請求項16】 前記第一支持部と,前記第二支持部と,前記第一隔壁と,前記第二隔壁と,前記連結部とは,同質材料が用いられて一体形成されたことを特徴とする請求項1?15の何れか1項に記載のピックアップ装置。」 としようとするものである。なお,下線は請求人が付していたものである。 2 補正の目的について (1) 本件補正による請求項1は,本件補正前の請求項1の事項の全てを含み,かつ,本件補正前の請求項5及び請求項6記載の事項を全て含むものである。 したがって,本件補正による請求項1は,本件補正前の請求項1を引用する請求項5を引用する請求項6である。 よって,本件補正により,本件補正前の請求項1及び請求項5は削除されることとなる。 (2) これに対し,本件補正による請求項5及び請求項6は,本件補正前の請求項5及び請求項6とは全く異なる技術事項の特定をするものであり,かつ,本件補正前の請求項1から請求項16のいずれの請求項にも記載されていなかった事項により技術事項の特定をしようとするものであるから,本件補正は,本件補正前に存在しなかった新たな技術事項からなる請求項を追加しようとするものである。 そして,補正前に存在しなかった新たな技術事項からなる請求項を追加することは,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項の規定によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法(以下,「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項各号に掲げる事項,すなわち,請求項の削除,特許請求の範囲の減縮,誤記の訂正及び明瞭でない記載の釈明のいずれにも該当するものではない。 よって,本件補正は,平成18年改正前特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものでない。 3 補正の却下の決定のむすび 以上のように,本件補正は,平成18年改正前特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものでないから,特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により,却下をすべきものである。 よって,結論のとおり決定する。 第3 本願発明 以上のように本件補正は却下されたから,この出願の特許請求の範囲に記載された請求項1の発明(以下,「本願発明」という。)は,前記第2《補正の却下の決定の理由》1に,本件補正前の請求項1の発明として示したとおりのものである。 第4 刊行物の記載事項 1 文献1 この出願の出願前に頒布された刊行物であり,原査定の拒絶の理由で引用された特開平11-273130号公報(以下,「文献1」という。)には,図面と共に次の事項が記載されている。なお,下線は当審において付したものである。 「【0024】 【発明の実施の形態】図1の(a),(b)は本発明の一実施の形態に係る光ピックアップ装置30を示す図である。なお,図1において,図5と同一機能部分には同一符号を付した。 【0025】図5は光ピックアップ装置40の第1の実施の形態を示す斜視図である。光ピックアップ装置40は,光学ベース10を備えている。光学ベース10上には,半導体レーザ光(波長650nm)を出力する第1の光源11と,焦点誤差検出素子12と,光検出器17とが設けられている。第1の光源11と光検出器17とはユニット18として一体化されている。なお,焦点誤差検出素子12は,ホログラムによる回折効果を利用して入射光を偏光方向に応じて直進させたり屈折させたりすることで,後述するビームスプリッタ13側から逆行してきた復路の光を回折し,光検出器17に導く機能を有している。 【0026】また,光学ベース10上には,半導体レーザ光(波長650nm)を出力する第2の光源21と,焦点誤差検出素子22と,光検出器27とが設けられている。第2の光源21と光検出器27とはユニット28として一体化されている。なお,焦点誤差検出素子22は,ホログラムによる回折効果を利用して入射光を偏光方向に応じて直進させたり屈折させたりすることで,ビームスプリッタ13側から逆行してきた復路の光を回折し,光検出器27に導く機能を有している。 【0027】さらに,光学ベース10上には,キューブ形のビームスプリッタ13が設けられている。ビームスプリッタ13は,第1の光源11からのレーザ光及び第2の光源21側からのレーザ光を,往路の同一出力方向(コリメータレンズ14側)へ導き出力するものである。またこのビームスプリッタ13は,同一出力方向から逆行してきた復路の反射光を,それぞれを射出した第1,第2の光源11,21側へ分岐し導くものである。 【0028】また,図1中50は,光学ベース10に取り付けられた光学ホルダを示している。光学ホルダは,光学ベース10に固定されたホルダ本体51と,このホルダ本体51側に基端側が取り付けられるとともに,先端側が反射ミラー15(光学部品)の側面15bに取り付けられた支持部材52とを備えている。また,ホルダ本体51の中央部には,レーザ光が通過する穴部51aが設けられ,コリメータレンズ14が取付けられている。なお,反射ミラー15及びコリメータレンズ14は,接着剤によりそれぞれ支持部材52及びホルダ本体51に接着され,その後,ホルダ本体51を光学ベース10に接着固定するようにしている。 【0029】コリメータレンズ14は,拡散光であるレーザ光に対して集束作用を及ぼす特性を持つので,拡散の度合いを調整する場合や,集束光や平行光を得る場合など多用途に用いられる。」 なお,段落0028の「光学ホルダ10」は「光学ホルダ」の誤記と認められるから,「光学ホルダ」と認めた。 以上の記載及び図面の記載から,文献1には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されている。 「光ピックアップ装置40において, 光学ベース10を備え, 該光学ベース10は,該光学ベース10に固定された光学ホルダを備え, 該光学ホルダは,ホルダ本体51を備え, 該ホルダ本体51の中央部には,レーザ光が通過する穴部51aが設けられ,コリメータレンズ15が接着剤により接着されている 光ピックアップ装置40。」 2 文献2 この出願の出願前に頒布された刊行物であり,原査定の拒絶の理由で引用された特開2005-037558号公報(以下,「文献2」という。)には,図面と共に次の事項が記載されている。なお,下線は当審において付したものである。 (1) 「【0019】 【発明の実施の形態】 以下,本発明の実施の形態を図面と共に説明する。 図1,図2,図3は本発明の第1の実施の形態によるマルチビーム光源装置10を示す。 図において,2つの半導体レーザ1は2つの光源保持部材2に圧入されて保持され,2つの光源保持部材2は,カップリングレンズ保持部材3に形成された所定の角度(1°?10°程度)をなす2つの光源保持部材固定面3a(図2)にねじ5で締結される。また2つのカップリングレンズ4は,図1に示すように,2つのカップリングレンズ固定平面3bに接した状態で接着固定される。カップリングレンズ固定平面3bは,カップリングレンズ4の光軸方向と略平行である。 【0020】半導体レーザ1とカップリングレンズ4との相対位置は調整が必要である。その調整方法は,カップリングレンズ光軸方向には,カップリングレンズ1を2つのカップリングレンズ固定面3bに接したまま移動させて調整し,光軸直行方向には,光源保持部材2を光源保持部材固定面3aに沿って2次元的に移動させて調整し,上記のように各々固定する。 【0021】図1におけるカップリングレンズ保持部を拡大したのが図4である。図示のように,カップリングレンズ4を2つのカップリングレンズ固定平面3bに接した状態で接着固定するため,接着剤6の層の厚さを薄くすることができ,温度変動での接着剤6の伸縮によるカップリングレンズ4の位置変動を小さく抑えられる。 【0022】また,図1から3では,2つのカップリングレンズ4を接着固定する合計4つのカップリングレンズ固定平面3bが同一部材3に一体的に形成されているため,2つのカップリングレンズ4が独立して位置変動することが起こりにくく,従って2つの光束の相対位置がずれにくい。」 (2) 図1は,次のとおりのものである。 第5 対比及び判断 1 本願発明と引用発明の対比 (1) 引用発明の「光ピックアップ装置40」は本願発明の「光ピックアップ装置」に相当する。 (2) 本願発明の「光ピックアップ装置」は,「ハウジングと,」「該ハウジングに取り付けられるレンズと,」「を備え,」というものであるから,「ハウジング」は「レンズ」が取り付けられる物品をいうものである。 これに対し,引用発明の「光学ホルダ」は「コリメータレンズ15が接着剤により接着されている」というものであり,引用発明の「光学ホルダ」も,レンズが取り付けられる物品である。 したがって,引用発明の「光学ホルダ」は本願発明の「ハウジング」に,引用発明の「コリメータレンズ」は本願発明の「レンズ」に相当する。 2 一致点及び相違点 以上より,本願発明と引用発明は以下の点で一致する。 「ハウジングと, 該ハウジングに取り付けられるレンズと, を備えたことを特徴とするピックアップ装置。」 そして,本願発明は,「該ハウジングは, 該レンズを支える第一支持部と, 該レンズを支える第二支持部と, 該第一支持部に続く第一隔壁と, 該第二支持部に続く第二隔壁と, 該第一隔壁と該第二隔壁とを繋ぐ連結部と, を有し, 該第一支持部と,該第二支持部と,該第一隔壁と,該第二隔壁と,該連結部とは,一体形成された」ものであるのに対し,引用発明はこのような構成でない点(以下,「相違点」という。)で相違する。 3 相違点についての判断 (1) 文献2には,2つのカップリングレンズ4を接着固定する4つのカップリングレンズ固定平面3bを同一部材3に一体的に形成し,各カップリングレンズ4を,2つのカップリングレンズ固定平面3bに接した状態で接着固定するものが記載されている(摘記箇所及び図1参照。)。 すると,文献2の「部材3」にある「2つのカップリングレンズ固定平面3b」は,「レンズを支える第一支持部」及び「レンズを支える第二支持部」ということができる。 ここで,文献2の図1において,「カップリングレンズ固定平面3b」を示す左の引出線の示す面が「第一支持部」に,右の引出線の示す面が「第二支持部」に対応するものとすると,それぞれの「カップリングレンズ固定平面3b」の「光源保持部材2」の存在する光軸方向の延長上に存在する丸(光源保持部材2に半導体レーザが存在することから,貫通穴である。)が描かれている面のうち,左の引出線が示す「カップリングレンズ固定平面3b」の延長上に存在する丸の上側の面が「第一支持部に続く第一隔壁」,右の引出線が示す「カップリングレンズ固定平面3b」の同じく延長上に存在する丸の下側の面が「第二支持部に続く第二隔壁」,そして,該丸の右側にある部分が「連結部」といえるものである。 そして,文献2の「部材3」は「2つのカップリングレンズ4を接着固定する合計4つのカップリングレンズ固定平面3bが同一部材3に一体的に形成されている」(摘記箇所の段落0022参照。)から,「一体形成された」ものである。 よって,文献2に記載された「部材3」は,本願発明の 「該レンズを支える第一支持部と, 該レンズを支える第二支持部と, 該第一支持部に続く第一隔壁と, 該第二支持部に続く第二隔壁と, 該第一隔壁と該第二隔壁とを繋ぐ連結部と, を有し, 該第一支持部と,該第二支持部と,該第一隔壁と,該第二隔壁と,該連結部とは,一体形成された」 との要件を備えているということができる。 (2) そして,部材にレンズを固定することは,光ピックアップの技術分野に限らず,光学機器の分野全般において広く共通に用いられる技術であって,引用発明の光ピックアップ装置のレンズの取付構造として,文献2記載の技術を適用することができない特段の事情があるとも認められないから,引用発明の「光学ホルダ」において文献2記載の技術を採用することで,本願発明のようにすることは,当業者でれあれば容易になし得ることである。 (3) また,部材を一体形成とすればその剛性が向上することは一般的に知られていることであり,引用発明の「光学ホルダ」において文献2記載の技術を採用することでも当然に奏する程度のものにすぎないから,引用発明の光学ホルダにおいて文献2記載の技術を採用することによって本願発明のように構成することにより生じる効果も,格別顕著なものであるとはいえない。 4 小括 以上検討したように,本願発明は,引用発明及び文献2記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 第5 むすび 以上のように,本願発明は,引用発明及び文献2記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって,この出願については,他の請求項について論及するまでもなく,原査定の拒絶の理由により拒絶をすべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-07-26 |
結審通知日 | 2012-07-31 |
審決日 | 2012-08-17 |
出願番号 | 特願2005-118139(P2005-118139) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G11B)
P 1 8・ 57- Z (G11B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 中野 浩昌 |
特許庁審判長 |
山田 洋一 |
特許庁審判官 |
齊藤 健一 小松 正 |
発明の名称 | ピックアップ装置 |
代理人 | 大橋 雅昭 |