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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1264114
審判番号 不服2010-11211  
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-05-25 
確定日 2012-10-03 
事件の表示 特願2003-398159「情報検索装置及びその方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 6月24日出願公開、特開2004-178604〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯

1.手続の経緯の概要
本願は、
2002年11月27日(以下「優先日」と記す。)付けの英国での出願を基礎とする、パリ条約に基づく優先権主張をともなって、
平成15年11月27日付けで出願されたものであって、
平成18年11月22日付けで審査請求がなされると共に
同日付けで手続補正書が提出され、
平成21年9月7日付けで拒絶理由通知(同年同月15日発送)がなされ、
平成22年1月4日付けで意見書が提出されると共に、
同日付けで手続補正書が提出され、
同年同月22日付けで拒絶査定(同年2月2日発送)がなされ、
同年5月25日付けで審判請求がされ(ると共に)、手続補正書が提出されたものである。

なお、
同年7月5日付けで特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされ、
平成23年11月11日付けで当該報告に対する意見を求める旨の審尋(同年同月15日発送)がなされ、これに対して
平成24年2月14日付けで回答書が提出されている。


2.補正の内容

(1)平成22年1月4日付け手続補正
上記平成22年1月4日付けの手続補正書は特許請求の範囲を以下のとおりに補正するものである。
「 【請求項1】
検索により特定された情報アイテムの集合から、該情報アイテムの互いの類似性に基づいて、類似する情報アイテムが近接した位置にマッピングされるように、前記特定された情報アイテムをアレー内の各位置に対応させて示す、情報アイテムのマップを表すマップデータを受け取り、
前記マップデータを処理して、前記情報アイテムの複数のクラスタを有する第1のレベルのクラスタと、当該第1のレベルのクラスタのうち少なくとも1つのクラスタについての第2のレベルのクラスタとを含む、前記情報アイテムの階層クラスタを形成し、
前記第1のレベルのクラスタに、当該第1のレベルのクラスタ内の各情報アイテムを共通して特徴付ける情報特徴を与え、前記第2のレベルのクラスタに、当該第2のレベルのクラスタ内の各情報アイテムを共通して特徴付ける情報特徴を与える
マッピングプロセッサと、
前記特定された情報アイテムに対応するアレー内の位置の少なくとも幾つかを、表示装置の表示領域内のn次元表示配列の表示点として表示し、かつ、前記各クラスタ内の情報アイテムを特徴付ける情報特徴を示すデータを表示するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)と協働するディスプレイプロセッサとを備え、
前記表示領域は少なくとも2つの領域を含み、一方の領域には前記第1のレベルのクラスタがn次元で表示され、他方の領域には前記第2のレベルのクラスタがn次元で表示され、nは整数である
ことを特徴とする情報検索装置。
【請求項2】
前記情報アイテムは複数の前記情報特徴を含み、各情報アイテムの情報特徴は各情報アイテムの特徴ベクトルを生成するのに用いられ、当該特徴ベクトルは、前記アレー内の位置に前記情報アイテムをマッピングすることにより前記マップデータを生成するのに用いられることを特徴とする請求項1に記載の情報検索装置。
【請求項3】
前記各第1のレベルのクラスタと関連する前記情報特徴と前記各第2のレベルのクラスタと関連する前記情報特徴とは、各クラスタ内の情報アイテム内に存在する最も共通する情報特徴から生成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報検索装置。
【請求項4】
前記第2のレベルのクラスタ同士は相互に関連し、第1のレベルのクラスタは当該第2のレベルのクラスタ内の情報アイテムに対する追加的な情報アイテムを有するクラスタであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報検索装置。
【請求項5】
前記各クラスタを特徴付ける情報特徴は当該各クラスタ内の情報アイテムのそれぞれと関連するテキスト情報のうち最も共通的なワードであることを特徴とする請求項1、3又は4のいずれか1項に記載の情報検索装置。
【請求項6】
前記情報アイテムはテキスト情報からなり、前記情報特徴はワードであり、情報アイテムの前記特徴ベクトルは当該情報アイテム内におけるワードのグループそれぞれの、出現頻度の集合を表すことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報検索装置。
【請求項7】
前記情報アイテムはテキスト情報を含み、その特徴付ける情報特徴はワードであり、前記アレー内の位置が当該テキスト情報の少なくとも部分的な相互類似性によりマッピングされることを特徴とする請求項6に記載の情報検索装置。
【請求項8】
情報アイテムの集合中で出現頻度が閾値以上の頻度を有するテキスト情報内のワードを除外するように、前記マッピングに対する情報アイテムの前処理を行うことを特徴とする請求項6又は7に記載の情報検索装置。
【請求項9】
情報アイテムの集合中で出現頻度が閾値以下の頻度を有するテキスト情報内のワードを除外するように、マッピングに対する情報アイテムの前処理を行うことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の情報検索装置。
【請求項10】
前記情報アイテムのワード検索を実行する検索プロセッサを備え、
前記検索プロセッサと前記グラフィカルユーザインタフェースは、前記特定された情報アイテムに対応する表示点だけを表示するように協働するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の情報検索装置。
【請求項11】
前記ディスプレイプロセッサは、前記グラフィカルユーザインタフェース上に表示されたときに、前記第1のレベルのクラスタを閲覧しているユーザに、n次元空間における当該第1のレベルの他のクラスタの相対的な位置方向を示すデータを生成することを特徴とする請求項1又は10に記載の情報検索装置。
【請求項12】
前記ディスプレイプロセッサは、前記第1のレベルの他のクラスタ内の情報アイテムの数を示すデータを生成し、当該情報アイテムの数は、前記n次元空間における他のクラスタの相対的な位置方向を示すデータと関連することを特徴とする請求項11に記載の情報検索装置。
【請求項13】
前記ディスプレイプロセッサは、グラフィカルユーザインタフェースと協働して、前記表示装置の第1の領域内の他のクラスタの相対的な位置方向を示し、かつ、当該他のクラスタ内の情報アイテムの数を示すデータを表示することを特徴とする請求項11又は12に記載の情報検索装置。
【請求項14】
ユーザにより操作されるポインタにより前記n次元空間内の情報アイテム或いは当該情報アイテムが属するクラスタを選択するユーザ制御装置を備え、
前記他のクラスタ内の情報アイテムの数は、前記ポインタが前記位置方向を示すデータ上に位置されるのに応じて表示されることを特徴とする請求項13に記載の情報検索装置。
【請求項15】
前記次元数nは2であることを特徴とする請求項1、10乃至14のいずれか1項に記載の情報検索装置。
【請求項16】
前記情報アイテムはテキスト情報を有するビデオデータを含むことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の情報検索装置を備えるビデオ捕捉処理装置。
【請求項17】
前記情報アイテムを含む記憶装置と、
前記記憶装置を情報検索装置と接続するデータ通信ネットワークと
を備えることを特徴とする請求項16に記載のビデオ捕捉処理装置。
【請求項18】
前記情報アイテムは当該情報アイテムの代表画像を示す代表キースタンプを含むことを特徴とする請求項16又は17に記載のビデオ捕捉処理装置。
【請求項19】
前記情報アイテムを共通して特徴付ける情報特徴は、前記クラスタに共通する代表キースタンプを含むことを特徴とする請求項18に記載のビデオ収集及び/又は処理装置。
【請求項20】
検索により特定された情報アイテムの集合から、該情報アイテムの互いの類似性に基づいて、類似する情報アイテムが近接した位置にマッピングされるように、前記特定された情報アイテムをアレー内の各位置に対応させて示す、情報アイテムのマップを表すマップデータを受け取るステップと、
前記マップデータを処理して、前記情報アイテムの複数のクラスタを有する第1のレベルのクラスタと、当該第1のレベルのクラスタのうち少なくとも1つのクラスタについての第2のレベルのクラスタとを含む、前記情報アイテムの階層クラスタを形成するステップと、
前記第1のレベルのクラスタに、当該第1のレベルのクラスタ内の各情報アイテムを共通して特徴付ける情報特徴を与え、前記第2のレベルのクラスタに、当該第2のレベルのクラスタ内の各情報アイテムを共通して特徴付ける情報特徴を与えるステップと、
前記特定された情報アイテムに対応するアレー内の位置の少なくとも幾つかを、表示装置の表示領域内のn次元表示配列の表示点として表示し、かつ、前記各クラスタ内の情報アイテムを特徴付ける情報特徴を示すデータを表示するステップとを備え、
前記表示領域は少なくとも2つの領域を含み、一方の領域には前記第1のレベルのクラスタがn次元で表示され、他方の領域には前記第2のレベルのクラスタがn次元で表示され、nは整数である
ことを特徴とする情報検索表示方法。
【請求項21】
上記各情報アイテムは複数の前記情報特徴を含み、当該情報特徴は各情報アイテムの特徴ベクトルを生成するのに用いられ、当該特徴ベクトルは当該各情報アイテムを前記アレー内の位置にマッピングするのに用いられることを特徴とする請求項20に記載の情報検索表示方法。
【請求項22】
次元数nは2であることを特徴とする請求項20に記載の情報検索表示方法。
【請求項23】
請求項20乃至22のいずれか1項に記載された情報検索表示方法における各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項24】
請求項23に記載のプログラムを記録した記録媒体。」

(2)平成22年5月25日付け手続補正
上記平成22年5月25日付けの手続補正書は特許請求の範囲を以下のとおりに補正しようとするものである。
「 【請求項1】
検索により特定された情報アイテムの集合から、該情報アイテムの互いの類似性に基づいて、類似する情報アイテムが近接した位置にマッピングされるように、前記特定された情報アイテムをアレー内の各位置に対応させて示す、情報アイテムのマップを表すマップデータを受け取り、
前記マップデータを処理して、前記情報アイテムの複数のクラスタを有する第1のレベルのクラスタと、当該第1のレベルのクラスタのうち少なくとも1つのクラスタについての第2のレベルのクラスタとを含む、前記情報アイテムの階層クラスタを形成し、
前記第1のレベルのクラスタに、当該第1のレベルのクラスタ内の各情報アイテムを共通して特徴付ける情報特徴を与え、前記第2のレベルのクラスタに、当該第2のレベルのクラスタ内の各情報アイテムを共通して特徴付ける情報特徴を与える
マッピングプロセッサと、
前記特定された情報アイテムに対応するアレー内の位置の少なくとも幾つかを、表示装置の表示領域内のn次元表示配列の表示点として表示し、かつ、前記各クラスタ内の情報アイテムを特徴付ける情報特徴を示すデータを表示するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)と協働するディスプレイプロセッサとを備え、
前記表示領域は、同時に表示される少なくとも2つの領域を含み、一方の領域には前記第1のレベルのクラスタがn次元で表示され、他方の領域には前記第2のレベルのクラスタがn次元で表示され、nは整数である
ことを特徴とする情報検索装置。
【請求項2】
前記情報アイテムは複数の前記情報特徴を含み、各情報アイテムの情報特徴は各情報アイテムの特徴ベクトルを生成するのに用いられ、当該特徴ベクトルは、前記アレー内の位置に前記情報アイテムをマッピングすることにより前記マップデータを生成するのに用いられることを特徴とする請求項1に記載の情報検索装置。
【請求項3】
前記各第1のレベルのクラスタと関連する前記情報特徴と前記各第2のレベルのクラスタと関連する前記情報特徴とは、各クラスタ内の情報アイテム内に存在する最も共通する情報特徴から生成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報検索装置。
【請求項4】
前記第2のレベルのクラスタ同士は相互に関連し、第1のレベルのクラスタは当該第2のレベルのクラスタ内の情報アイテムに対する追加的な情報アイテムを有するクラスタであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報検索装置。
【請求項5】
前記各クラスタを特徴付ける情報特徴は当該各クラスタ内の情報アイテムのそれぞれと関連するテキスト情報のうち最も共通的なワードであることを特徴とする請求項1、3又は4のいずれか1項に記載の情報検索装置。
【請求項6】
前記情報アイテムはテキスト情報からなり、前記情報特徴はワードであり、情報アイテムの前記特徴ベクトルは当該情報アイテム内におけるワードのグループそれぞれの、出現頻度の集合を表すことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報検索装置。
【請求項7】
前記情報アイテムはテキスト情報を含み、その特徴付ける情報特徴はワードであり、前記アレー内の位置が当該テキスト情報の少なくとも部分的な相互類似性によりマッピングされることを特徴とする請求項6に記載の情報検索装置。
【請求項8】
情報アイテムの集合中で出現頻度が閾値以上の頻度を有するテキスト情報内のワードを除外するように、前記マッピングに対する情報アイテムの前処理を行うことを特徴とする請求項6又は7に記載の情報検索装置。
【請求項9】
情報アイテムの集合中で出現頻度が閾値以下の頻度を有するテキスト情報内のワードを除外するように、マッピングに対する情報アイテムの前処理を行うことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の情報検索装置。
【請求項10】
前記情報アイテムのワード検索を実行する検索プロセッサを備え、
前記検索プロセッサと前記グラフィカルユーザインタフェースは、前記特定された情報アイテムに対応する表示点だけを表示するように協働するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の情報検索装置。
【請求項11】
前記ディスプレイプロセッサは、前記グラフィカルユーザインタフェース上に表示されたときに、前記第1のレベルのクラスタを閲覧しているユーザに、n次元空間における当該第1のレベルの他のクラスタの相対的な位置方向を示すデータを生成することを特徴とする請求項1又は10に記載の情報検索装置。
【請求項12】
前記ディスプレイプロセッサは、前記第1のレベルの他のクラスタ内の情報アイテムの数を示すデータを生成し、当該情報アイテムの数は、前記n次元空間における他のクラスタの相対的な位置方向を示すデータと関連することを特徴とする請求項11に記載の情報検索装置。
【請求項13】
前記ディスプレイプロセッサは、グラフィカルユーザインタフェースと協働して、前記表示装置の第1の領域内の他のクラスタの相対的な位置方向を示し、かつ、当該他のクラスタ内の情報アイテムの数を示すデータを表示することを特徴とする請求項11又は12に記載の情報検索装置。
【請求項14】
ユーザにより操作されるポインタにより前記n次元空間内の情報アイテム或いは当該情報アイテムが属するクラスタを選択するユーザ制御装置を備え、
前記他のクラスタ内の情報アイテムの数は、前記ポインタが前記位置方向を示すデータ上に位置されるのに応じて表示されることを特徴とする請求項13に記載の情報検索装置。
【請求項15】
前記次元数nは2であることを特徴とする請求項1、10乃至14のいずれか1項に記載の情報検索装置。
【請求項16】
前記情報アイテムはテキスト情報を有するビデオデータを含むことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の情報検索装置を備えるビデオ捕捉処理装置。
【請求項17】
前記情報アイテムを含む記憶装置と、
前記記憶装置を情報検索装置と接続するデータ通信ネットワークと
を備えることを特徴とする請求項16に記載のビデオ捕捉処理装置。
【請求項18】
前記情報アイテムは当該情報アイテムの代表画像を示す代表キースタンプを含むことを特徴とする請求項16又は17に記載のビデオ捕捉処理装置。
【請求項19】
前記情報アイテムを共通して特徴付ける情報特徴は、前記クラスタに共通する代表キースタンプを含むことを特徴とする請求項18に記載のビデオ収集及び/又は処理装置。
【請求項20】
検索により特定された情報アイテムの集合から、該情報アイテムの互いの類似性に基づいて、類似する情報アイテムが近接した位置にマッピングされるように、前記特定された情報アイテムをアレー内の各位置に対応させて示す、情報アイテムのマップを表すマップデータを受け取るステップと、
前記マップデータを処理して、前記情報アイテムの複数のクラスタを有する第1のレベルのクラスタと、当該第1のレベルのクラスタのうち少なくとも1つのクラスタについての第2のレベルのクラスタとを含む、前記情報アイテムの階層クラスタを形成するステップと、
前記第1のレベルのクラスタに、当該第1のレベルのクラスタ内の各情報アイテムを共通して特徴付ける情報特徴を与え、前記第2のレベルのクラスタに、当該第2のレベルのクラスタ内の各情報アイテムを共通して特徴付ける情報特徴を与えるステップと、
前記特定された情報アイテムに対応するアレー内の位置の少なくとも幾つかを、表示装置の表示領域内のn次元表示配列の表示点として表示し、かつ、前記各クラスタ内の情報アイテムを特徴付ける情報特徴を示すデータを表示するステップとを備え、
前記表示領域は、同時に表示される少なくとも2つの領域を含み、一方の領域には前記第1のレベルのクラスタがn次元で表示され、他方の領域には前記第2のレベルのクラスタがn次元で表示され、nは整数である
ことを特徴とする情報検索表示方法。
【請求項21】
上記各情報アイテムは複数の前記情報特徴を含み、当該情報特徴は各情報アイテムの特徴ベクトルを生成するのに用いられ、当該特徴ベクトルは当該各情報アイテムを前記アレー内の位置にマッピングするのに用いられることを特徴とする請求項20に記載の情報検索表示方法。
【請求項22】
次元数nは2であることを特徴とする請求項20に記載の情報検索表示方法。
【請求項23】
請求項20乃至22のいずれか1項に記載された情報検索表示方法における各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項24】
請求項23に記載のプログラムを記録した記録媒体。」



第2.平成22年5月25日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成22年5月25日付けの手続補正を却下する。


[理由]
1.本件補正の内容
平成22年5月25日付けの手続補正(以下「本件補正」と記す。)は、特許請求の範囲について、上記第1.2.(1)記載の特許請求の範囲から、上記第1.2.(2)記載の特許請求の範囲に補正しようとするものである。


2.本件補正の目的
本件補正は、本件審判の請求と同時にする補正であり、上記1.のとおり特許請求の範囲についてする補正を含むものであるから、本件補正における特許請求の範囲についてする補正の目的について検討するに、本件補正は本件補正前の請求項1、20の「前記表示領域は少なくとも2つの領域を含み」との記載を「前記表示領域は、同時に表示される少なくとも2つの領域を含み」との記載に補正するものであるから、本件補正前の請求項1、20に係る発明を特定するために必要な事項(以下「発明特定事項」と記す。)であるところの「少なくとも2つの領域」に対して、これが「同時に表示される」ものである旨の限定を付して下位概念化する補正である。そして、これによって当該発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が格別変更されるものではない。
したがって、本件補正の目的は請求項に記載した発明特定事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるもの(以下、単に「限定的減縮」と記す。)に該当し、本件補正は特許法第17条の2第4項第2号に掲げられる事項を目的とするものであると認められる。


3.本件補正の独立特許要件
上記2.のとおり、本件補正は限定的減縮を目的とするものである。そこで、該請求項20に記載されている事項により特定される発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下に検討する。


3-1.本件補正発明
本件補正発明は、上記第1.2.(2)において【請求項20】として記載したとおりのものである。


3-2.先行技術

(1)引用文献
本願の出願前であるとともにその優先日よりも前の日に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、上記原審の拒絶の査定の理由である上記平成21年9月7日付けの拒絶理由通知において引用された、下記引用文献には、それぞれ、下記引用文献記載事項が記載されている。

<引用文献1>
柿元俊博、外1名,「3次元情報検索インタフェース」,情報処理学会研究報告,社団法人情報処理学会,平成8年4月18日,Vol.96、No.34,p.45-52

<引用文献記載事項1-1>
「マルチメディア情報を対象にした情報検索システムの枠組と,それを実現する3次元情報検索インタフェースについて述べる。これは3次元情報空間のブラウジング検索に検索対象の拡大・紋りこみを実現するキーワード検索,対象指定による類似検索などのハンティング検索を統合したものである。本論文では,3次元情報空間の構成方法と3次元情報表示ツールの機能,ハンティング検索機能について述べ,図書データを対象にした実現例を説明する。」(第45頁欄第4行?第9行)

<引用文献記載事項1-2>
「(1)基礎情報空間
これは情報単位の各特徴量を座標として構成された空間である。空間を構成する特徴量は利用者の検索目的に応じて選択する。例えば,図書でも表紙の色で検索する場合には,表紙画像の色相を基にした特徴量を利用し,言葉による検索の場合にはキーワードを基にした特徴量を利用する。この空間は一般的に多次元空間となり,この空間に類似度を導入することにより2または3次元空間に写像する。類似度としては選択した特徴量によりユークリッド距離やコサイン関数などを利用する。この写像された2または3次元空間を基礎情報空間と呼ぶ。」(第48頁左欄第15行?第29行)

<引用文献記載事項1-3>
「(2)情報探索空間モデル
これは基礎情報空間の情報探索を効率的に実現することを目的に構成した3次元空間の構成モデルである。現在,検討しているモデルとしては階層空間モデルがあり,これには情報単位の数を基にした情報量モデルと,時間の特徴量を基にした時間軸モデルがある。
情報量モデルは基礎情報空間を第n層目の最下層の階層とし,一定の基準で分割し,各分割単位の代表を位置関係を保存したまま第n-1階層の情報単位として構成するもので,1桁の数の情報単位からなる階層まで,この過程を繰返すことにより構成する。
時間軸モデルは情報の作成日時により基礎情報空間を時間軸上に分散させるものである。」(第48頁左欄第30行?同頁右欄第6行)

<引用文献記載事項1-4>
「(3)情報単位表現モデル
情報探索空間内の情報単位の3次元表現モデルであり,情報単位の種類と目的によりいろいろなモデルが考えられる。例えば,図書の場合は現実の本の物理的イメージを再現するために,本の大きさ,厚さ,表示の画像を利用して本の3次元表現を作り出す。また,カバンの場合には色,特徴のある形,大きさなどからカバンのイメージを表す3次元表現を作り出す。これにより,外観による感覚的な情報の選択を可能にする。」(第48頁右欄第7行?第18行)

<引用文献記載事項1-5>
「4 試作モデル
3次元情報検索インタフェースを評価するために図書データを対象に試作を行った。利用したデータはAriadne^(6))で利用した以下のようなデータを使った。
・対象データ
和書データ:96冊分(表紙画像データがある単行本)
・データ項目
書誌データ(表題,著者,出版,出版年,ぺージ数,大きさ(A4,B4など)など)
目次データ
表紙画像データ(BMP形式)
これらのデータを前提として,3次元情報検索インタフェースのモデルを構築した。情報単位としては図書全体を一つの単位とした。処理の流れを図6に示す。
以下では,この図に従って,主な構成要素について述べる。」(第48頁右欄第19行?第49頁左欄第2行)

<引用文献記載事項1-6>
「4. 1 基礎情報空間の作成
これは探索対象図書データの集合に対して,これらの図書データを複数の特徴量を座標とする多次元空間から類似度を利用して2次元空間ヘ写像するものである。これを実現するには特徴量多次元空間を構成する特徴量の選択と多次元空間から2次元空間への写像が必要になる。
(1)特徴量の選択
図書データの特徴量としては,キーワードの他に,著社名,出版社名,価格,頁数などの書誌情報データの他に表示画像データから抽出した色相データが考えられる。これらは,利用者の探索目的に応じて選択する必要がある。ここでは,最も一般的と考えられるキーワードを利用する方法について説明する。キーワードは探索図書データの集合を最も良く分類できるものを選択する必要がある。本来は各図書データの中でのキーワードの意味的な役割の分析を基にして選択するのが良いと思われるが,ここでは,これまで利用されてきたキーワードの図書データの中での出現頻度をもとにして以下のような選択方法を採用した。
1)各図書データに含まれる全キーワードを対象にし,これらの図書データを空間にうまく分布させるために,集合内の図書データの半分に出現するものから順に採用する。
2)同一の出現図書数の場合には頻度の総計が大きいものを採用する。
これで決まらない場合には,現在は出現順で決めている。
(2)多次元空間から2次元空間への写像
選択された特徴量を座標とし,図書データ内のその出現頻度を値とする座標に図書データを配置した空間から類似度を利用して,類似するものは近くに配置するように2次元空間への写像を行う必要がある。これは,コホネンの自己組織化写像^(7))を利用し,類似度はコサイン関数を採用して以下のように写像を実施した。
1)n×nの格子を持つ2次元空間を考える。各格子点(i,j)に対応して,特徴量ベクトル(m_(i,j,k))を学習させることを考える。kは選択された特徴量を表わす。
2)各図書の特徴量ベクトル(x_(i))は
√Σx_(i)^(2)=1に正規化されているものとする。(当審注:根号は左辺全体にかかっている。)
3)類似度s(x,y)は内積▲Σi▼x_(i)y_(i)(当審注:▲Σi▼はΣの下にiが付されている記号を意味する。)で表現し,この類似度により入カベクトル(x_(i))に最も近い格子点(m_(i,j,k))を選択し,半径h(1回目はn,2回目以降は学習回数に反比例)の範囲内の格子点の特徴量ベクトルを以下の式で更新していく。
m_(i,j,k)´=m_(i,j,k)+
exp(-ar^(2))(x_(k)-m_(i,j,k))
rは格子点間のユークリッド距離で,aは1より小さい係数である。
4)m_(i,j,k)´は,その絶対値は1ではないので1に正規化する。それをその格子点の新しい特徴量ベクトルとする。
5)3)から4)を図書データの集合単位で各図書データを入カデータとして実行し,各図書データに最も近い格子点とその図書データの類似度の最大値が一定の値に収束するまで繰り返す。例えば,収束条件として最大値が有効数字の上3桁が同一になるまで実施する。
6)収束した2次元空間の格子点の特徴量ベクトルを使い,各図書データを最も類似度の大きい格子点の近くに配置する。また,座標として採用した特徴量を単位ベクトルとして考え,同様の位置の計算を行い,基礎情報空間のデータとする。」(第49頁左欄第3行?第50頁右欄第9行)

<引用文献記載事項1-7>
「4.2 情報探索空間の作成
これは2次元空間に配置した図書データを効率良く検索するために図書データの数に関する階層化を実施し,3次元の情報探索空間を生成するものである。ここでは試作システムで採用した方法について述べる。
(1)階層空間の構成法
階層空間は各階層に属する図書データ数が3の階乗になるように図書データを選択することにより構成する。選択方法は基礎情報空間が類似度により構成されているので,等間隔で分割する方法で以下のように実施した。
1)最上位の階層には9個の図書データがあるように選択し,次の階層には3^(2×2)とし,第n階層には3^(n×2)個の図書データを配置する。対象としている図書データの総数をaとすると^(loga)/_(2log3)以上の最少整数値が階層数になる。
2)最下層のを第n階層とすると第n-1階層は第n階層を3^((n-1)×2)個の等しい大きさの部分空間に分割し,各分割された部分空間の中から中心に近い1つの図書データを第n-1階層の図書データとして採用する。これを3^((n-1)×2)個の全ての部分空間に対して行う。これを最上位階層まで繰り返す。図書データの位置は保存する。
この他に,座標として採用した特徴量を第0階層として作成する。特に,キーワードの場合には,この情報により分布の方向性を感覚的に認識させることができる。
(2)階層空間のスケール
実際に3次元階層空間の中を効率良く探索するためには階層間の距離や階層に表示する図書データの大きさを制御する必要がある。階層空間の構成方法から階層空間全体のスケールは一定にして空間内の図書データの密度を同一にして空間内のウォークスルーを実現した。これにより,階層間の表示イメージが一定になり最適な大きさと数を決めることにより探索の効果を高めることができる。ここでは以下の方法でスケールを決定した。
1)階層間の間隔は階層の深さ方向の移動で一定数の図書データを見ることを可能にするたように決めた。これは階層間の間隔を図書データ数の1/2乗に反比例させることによって実現する。
2)階層に表示する図書データの大きさも階層間の間隔と同じ様に図書データ数の1/2乗に反比例させることによって決める。
(3)図書データの表示モデル(情報単位表示モデル)
個々の図書データを3次元空間内で認識させるためにそれを表現する3次元表示モデルが必要になる。このために現実の本の物理的な形を使ってこのモデルを作成した。表紙にあたる部分は表紙画像を貼り,大きさは書誌データの大きさを利用し,厚さは頁数に比例させることにより図書のイメージを作り出した。
また,表紙画像のない場合には,書誌データから表題,著者名,出版社名を取り出し,表紙の一定位置にそれらを合成して表示することもできる。」(第50頁右欄第10行?第51頁左欄最終行)

<引用文献記載事項1-8>
「4. 3 3次元情報空間インタフェース
これは情報探索空間のデータを基に2次元ディスプレイ上に情報探索空間の3次元空間を仮想的に生成し,情報探索空間内を3次元イメージで探索することを実現するものである。3次元空間の生成とウォークスルーはRender Wearを利用している。現在実現している機能には以下のものがある。
1)表示機能
・階層構造の表示機能
情報探索空間データに従って,3次元イメージを2次元上に作成する。階層に図書データの表紙を平行に表示するモードと斜めに表示するモードを持つ。
・図書情報表示
図書データの3次元イメージを表示する。
・展望ヴュウ機能
全体の空間を展望する縮小表示を行う。そのなかに現在の視点の位置を表示する。
2)操作機能
・3次元情報空間のウォークスルー機能
空間内の視点の方向を階層の奥行き方向に固定し,奥行き方向移動はマウスの左ボタンを押しながらマウスを前後に移動する。上下,左右移動はマウスの右ボタンを押しながらマウスを前後,左右に移動する。
・情報内容の表示
図書データをマウスで指示し,右ボタンの2回クリックでWWWヴューアを呼び出し, HTMLで記述された書誌情報,表紙画像の詳細データ,目次データなどを見ることができる。
・ハンティング検索用のインターフェース機能
図書データをマウスで指示し右ボタンの1回クリックで,その図書データを選択し,その近傍の図書データに対象図書の範囲を絞ることができる。ただし,第0階層空間のキーワードを指定した場合には,そのキーワードにより全文検索を実施する。複数選択の場合にはORで処理する。
また,キーワード入力画面により,キーワードを入力することにより,全文検索を実施 し,複数選択の場合にはORで処理する。」(第51頁右欄第1行?第52頁左欄第19行)


<引用文献2>
波多野賢治、外3名,「自己組織化マップと検索エンジンを用いたWeb文書の分類ビュー機構」,情報処理学会論文誌 ,社団法人情報処理学会,平成11年2月15日,第40巻、No.SIG3(TOD1),p.47-59

<引用文献記載事項2-1>
「3.1 Web文書の特徴ベクトルの生成
SOMを利用した検索エンジンの検索結果に対して情報の組織化を行うには,検索エンジンに対する問い合わせの結果から各Web文書のUniform Resource Locators(URL)を抜き出し,それにしたがってWeb文書自体を解析し特徴を抽出しなければならない.本論文では,検索エンジンによって検索された各Web文書に対して単語抽出を行い,これを基に各Web文書の情報単位ごとに特徴ベクトルを構成する.すなわち,特徴ベクトルの基底はWeb文書から抽出された単語を表しベクトルの各成分はそれらの重要度を表す.」(第49頁右欄第26行?第36行)


(2)参考文献記載事項
本願の出願前であるとともにその優先日よりも前の日に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、下記参考文献には、それぞれ、下記参考文献記載事項が記載されている。

<参考文献1>
特開2001-256244号公報(平成13年9月21日出願公開)

<参考文献記載事項1-1>
「【0063】このとき、画像出力手段9からは、図6に示すように、各クラスタの中心付近に位置する画像データが、各クラスタの特徴がよく表れている代表画像として、例示出力される。これにより、各クラスタの特徴、すなわちクラスタリングによる各画像データの分類結果が明確化されることになる。ただし、画像出力手段9は、各クラスタの外延を明らかにするため、各クラスタの中心付近に位置する画像データと関連性の高い画像データを一覧出力するようにしてもよい。」


<参考文献2>
特開平7-121551号公報(平成7年5月12日出願公開)

<参考文献記載事項2-1>
「【0046】表示処理部12には、位置算出手段12a,画像生成手段12b,表示手段12c,多重化画像変更手段12d,および同一情報単位画像変更手段12eが備えられている。位置算出手段12aが、判別結果保持手段11cに保持された判定結果により、すなわち、情報単位が条件に適合するか否かの判定結果に応じて当該情報単位の存在を意味する画像構成要素(ここでは後述するように小さな四角形図形を用いる)を配置する位置を算出して決定する。この画像構成要素を配置する位置は、対応の情報単位を特定する情報と共に、対応関係保持手段14aに送出されて対応関係情報として保持される。そして、画像生成手段12bが、決定された位置に画像構成要素を配置した画像を生成する。表示手段12cは生成された画像を表示する。」


<参考文献3>
特開平9-62690号公報(平成9年3月7日出願公開)

<参考文献記載事項3-1>
「【0032】図8に本発明の第3実施例の文書一覧の表示例を示す図を示す。図8において「●」は文書の位置マーク、「●」に添付された文字列は、文書名、枠F1、F2、F3、F4はカテゴリの領域を示す。図8に示すように本実施例の文書一覧は、2次元空間上に表示され、互いに関連する文書「日本文法」と文書「基礎日本文法」とは、互いに関連するものとして近接して文書位置マーク「●」が配置される。また、文書「日本文法」と文書「commonLISP」は、互いにその内容が異なるため、互いの文書位置マーク「●」は離れた距離に配置される。」


<参考文献4>
国際公開第01/31503号(2001年5月3日国際公開)

<参考文献記載事項4-1>
「請求の範囲
1. 画像情報、テキスト情報、音声情報を含むメディア情報の集合から同じ対象に関連している同種および異種メディア情報をグループ化したものを情報セットとし、その情報セットを単位としてメディア情報を取得する情報セット取得部と、
取得した各情報セットに含まれる各メディア情報から抽出される特徴量の属性を、情報セットの集合を配置する空間の軸として割り当て、1以上の軸を備えた情報セット配置空間を設定する軸設定部と、
各情報セットの各メディア情報から特徴量の成分を抽出する特徴量抽出部と、
各情報セットを、該情報セットが持つメディア情報の特徴量の属性とその特徴量の成分に基づいて前記情報セット配置空間内に分類配置する情報セット分類配置部と、
前記情報セット配置空間内に分類配置された各情報セットのメディア情報のうち、前記情報セット配置空間に対する視点に応じたメディア情報を表示する情報表示部を備えたことを特徴とするマルチメディア情報分類配置装置。」

<参考文献記載事項4-2>
「例えば、テキスト情報に対する特徴量として特定単語の存在を示す特徴量により一次検索を実行し、引き続き、画像情報に対する特徴量としてウェーブレット変換係数特徴量とHSI色ヒストグラム特徴量を組み合わせて当該情報セットを再分類、再配置すれば、特定単語により検索された情報セットは、特定の形状部分と色を持つものが多いなど、従来知られていなかった傾向を発見できるなどと言った新しい検索システムの利用方法も提供できる。」(9頁20行?26行)


<参考文献5>
特開平9-259130号公報(平成9年10月3日出願公開)

<参考文献記載事項5-1>
「【0027】図1及び図2において、探索空間SSには、第1から第3の探索対象層SL1?3が互いに距離をあけて配置されている。第1の探索対象層SL1の上にはシンボル表示層BLが配置されている。シンボル表示層BLを第0の階層と言うことがある。そうした場合には第0?第4の4つの階層が配置されていることとなる。」

<参考文献記載事項5-2>
「【0066】次に、探索画像FSの具体例について説明する。探索を開始した時点では、視点PVはシンボル表示層BLの全体が視界に入る位置にある。そのときの探索画像FS1が図9に示されている。図9において、画面HG1には、探索画像FS1及び展望用縮小画像FV1が表示されている。画面HG1の左上には、視点PV1の視線方向を変えるためのボタンBT1、図書SJBを3次元イメージで表示させるためのボタンBT2などが表示されている。
【0067】探索画像FS1には、一番手前にシンボルBLSを配置したシンボル表示層BL1が表示され、その奥に図書SJBを配置した探索対象層SL1が、さらにその奥に図書SJBを配置した探索対象層SL2が極めて小さく表示されている。さらにその奥にも探索対象層SL3が表示されるのであるが、余りにも小さく且つ手前の図書SJBに隠れてしまっており、図9においては認識されない。つまり、この探索画像FS1には探索空間SS1の全体が一応表示されている。展望用縮小画像FV1には、探索空間SS1の斜視図、及び視点PV1の位置が表示されている。展望用縮小画像FV1によって、探索空間SS1の全体の構造及び視点PV1の現在位置が一目瞭然である。」


<参考文献6>
柿元俊博,「電子図書館システムのためのブラウジング検索機能」,FUJITSU,富士通株式会社,平成10年11月10日,VOL.49、No.6,p.418-422

<参考文献記載事項6-1>
「●3次元情報探索空間の作成
これは2次元の情報分布空間に1次元のナビゲーション軸を追加し3次元化したものである。このナビゲーション軸として,デー夕数の軸を考え,図書データの数に関する階層化を実施したものと,時間や空間などの図書データの共通的に存在する属性を1軸としたものがある。
前者は,情報分布空間を最下層(第n層)とし,一定の基準で分割し,各分割単位の代表の図書データを,2次元位置はそのままに,第n-1階層の図書データとするものである。さらに,選択したキーワード数と同程度の数を持つ階層まで,この過程を繰り返すことにより構成するものである。図-2は階層空間の説明図である。
後者は図書データを共通的な属性値によりナビゲーション軸上に分散させるものである。軸の例としては,図書デ-タの著者,出版年,ぺージ数,価格などが考えられる。
この3次元情報探索空間に,座標として採用したキーワードを第0階層として作成する。この情報により分布の方向性を感覚的に認識させることができる。さらに,キーワード選択の方法により中立語は出てこないため,つぎのハンティング検索用のキーワード候補として役に立つ可能性もある。
この空間構成法に対応して,ウォ-クスルーは,XY平面上の移動とZ軸(ナビゲーション軸)方向の移動とに切り替えて操作し,視点の方向は固定することで,位置を見失うことを防ぐようにしている。さらに,3次元空間の特徴を生かすため,表示情報そのものを3次元形状で表現し,3次元形状の特徴により情報選択を判断するため,この3次元形状を傾ける機能を用意している。
図-3は図書データの3次元情報探索空間の例である。図-4は同じ方法を写真データに適用し作成したもので,時間軸を持つ3次元情報探索空間の例である。この場合の特徴表現には色ヒストグラムを利用した。」(第421頁左欄第20行?同頁右欄第17行)


3-3.引用発明の認定

(1)上記引用文献記載事項1-1記載のように、引用文献1には「マルチメディア情報を対象にした情報検索システムの枠組と,それを実現する3次元情報検索インタフェース」として「3次元情報空間の構成方法と3次元情報表示ツールの機能,ハンティング検索機能」について述べられ、さらに「図書データを対象にした実現例」が示されており、これらの記載から「情報検索システム」において行われる情報の処理手順、すなわち「情報検索方法」を読み取ることができる。

(2)該「情報検索方法」においては、まず、引用文献記載事項1-2記載の如き「基礎情報空間」が作成されるところ、引用文献記載事項1-5?1-8に記載の「図書データを対象にした実現例」においては、該「基礎情報空間」は、引用文献記載事項1-6記載の如く「探索対象図書データの集合に対して,これらの図書データを複数の特徴量を座標とする多次元空間から類似度を利用して2次元空間ヘ写像する」ことで作成されるものであり、この際には「類似するものは近くに配置するように2次元空間への写像を行う」ものである。
これらのことから、引用文献1における「情報検索方法」においては、「探索対象データの集合に対して,これらの探索対象データを複数の特徴量を座標とする多次元空間から類似度を利用して、類似するものは近くに配置するように2次元空間ヘ写像して基礎情報空間の作成」をしていると言える。

(3)
ア.上記「情報検索方法」においては、次に「情報探索空間」が作成されるところ、引用文献記載事項1-3にはその1つのモデルとして「基礎情報空間を第n層目の最下層の階層とし,一定の基準で分割」して得られる「情報量モデル」が示されており、「図書データを対象にした実現例」においては引用文献記載事項1-7記載の如く「第n-1階層は第n階層を3^((n-1)×2)個の等しい大きさの部分空間に分割し,各分割された部分空間の中から中心に近い1つの図書データを第n-1階層の図書データとして採用する」ことを「3^((n-1)×2)個の全ての部分空間に対して行う」と言う手順で分割し「図書データの数に関する階層化を実施し,3次元の情報探索空間を生成」している。
これらのことから、引用文献1記載の「情報検索方法」では「該基礎情報空間を第n層目の最下層の階層とし,第n-1階層は第n階層を3^((n-1)×2)個の等しい大きさの部分空間に分割し,各分割された部分空間の中から中心に近い1つの探索対象データを第n-1階層の探索対象データとして採用することを3^((n-1)×2)個の全ての部分空間に対して行う探索対象データの数に関する階層化」をして「3次元の情報探索空間のデータの作成」をしていると言える。

イ.また、該「情報探索空間」内の「情報単位」すなわち「探索対象データ」は上記引用文献記載事項1-4記載の如き「外観による感覚的な情報の選択を可能に」する「情報単位表現モデル」で表現されるところ、「図書データを対象にした実現例」においては、これを「図書のイメージ」や「表題,著者名,出版社名」等、すなわち、「画像や文字」で表現している。
これらのことから、該「3次元の情報探索空間の作成」では「個々の前記探索対象データを外観による感覚的な情報の選択を可能にする画像や文字列で表現すること」もしていると言える。

ウ.上記ア.及びイ.より、引用文献1記載の「情報検索方法」では「該基礎情報空間を第n層目の最下層の階層とし,第n-1階層は第n階層を3^((n-1)×2)個の等しい大きさの部分空間に分割し,各分割された部分空間の中から中心に近い1つの探索対象データを第n-1階層の探索対象データとして採用することを3^((n-1)×2)個の全ての部分空間に対して行う探索対象データの数に関する階層化と、個々の前記探索対象データを外観による感覚的な情報の選択を可能にする画像や文字列で表現することをして3次元の情報探索空間のデータの作成」をしていると言える。


(4)そして、引用文献1記載の「情報検索方法」においては、引用文献記載事項1-8記載の如く「情報探索空間のデータを基に2次元ディスプレイ上に情報探索空間の3次元空間を仮想的に生成し,情報探索空間内を3次元イメージで探索することを実現する」「3次元情報空間インタフェース」が採られており、該「情報検索方法」は「該情報探索空間のデータを基に2次元ディスプレイ上に該情報探索空間の3次元空間を仮想的に生成し,該情報探索空間内を3次元イメージで探索することを実現する」ものであると言える。

よって、引用文献1には、下記引用発明が記載されていると認められる。

<引用発明>
「探索対象データの集合に対して,これらの探索対象データを複数の特徴量を座標とする多次元空間から類似度を利用して、類似するものは近くに配置するように2次元空間ヘ写像して基礎情報空間の作成をし、
該基礎情報空間を第n層目の最下層の階層とし,第n-1階層は第n階層を3^((n-1)×2)個の等しい大きさの部分空間に分割し,各分割された部分空間の中から中心に近い1つの探索対象データを第n-1階層の探索対象データとして採用することを3^((n-1)×2)個の全ての部分空間に対して行う探索対象データの数に関する階層化と、個々の前記探索対象データを外観による感覚的な情報の選択を可能にする画像や文字列で表現することをして3次元の情報探索空間のデータの作成をし、
該3次元の情報探索空間のデータを基に2次元ディスプレイ上に情報探索空間の3次元空間を仮想的に生成し,該情報探索空間内を3次元イメージで探索することを実現する情報検索方法。」


3-4.対比
以下、引用発明と本件補正発明とを比較する。

(1)引用発明は、「2次元ディスプレイ上に情報探索空間の3次元空間を仮想的に生成し,該情報探索空間内を3次元イメージで探索することを実現する情報検索方法」であるから、本件補正発明と同様に「情報検索表示方法」とも言えるものである。

(2)
ア.引用発明における「基礎情報空間」に「写像」される「探索対象データ」は、本件補正発明における「情報アイテム」に対応付けられるものであるところ、前者は「探索対象」となるものであるからデータベースの分野における所謂「アイテム」としてとらえることができるものであり、前者も後者と同様に「情報アイテム」と言えるものである。

イ.引用発明における「基礎情報空間の作成」時に利用される「類似度」は、本件補正発明における「類似性」に相当する。

ウ.引用発明における「基礎情報空間の作成」時の写像先となる「2次元空間」は、本件補正発明における「アレー」に対応付けられるものであるところ、コンピュータ上では「空間」を「アレー」として扱うのが常識であるから、前者も後者と同様に「アレー」とも言えるものである。

エ.引用発明における「基礎情報空間」作成時になされる「写像」は、本件補正発明における「マッピング」と同義である。

オ.以上の点を踏まえて、引用発明における「基礎情報空間」と本件補正発明における「マップデータ」とを比較するに、前者における「探索対象データの集合」が「検索により特定された」ものとは言えないものの、両者は「情報アイテムの集合から、該情報アイテムの互いの類似性に基づいて、類似する情報アイテムが近接した位置にマッピングされるように、前記特定された情報アイテムをアレー内の各位置に対応させて示す、情報アイテムのマップを表すマップデータ」とも言えるものである点で共通すると言える。

カ.引用発明において「作成」された「基礎情報空間」は、「3次元の情報探索空間のデータの作成」に用いられるのであるから、引用発明においても、これを行う技術的手段が「基礎情報空間」の情報を「受け取る」ことは明らかである。

キ.したがって、引用発明と本件補正発明とは「情報アイテムの集合から、該情報アイテムの互いの類似性に基づいて、類似する情報アイテムが近接した位置にマッピングされるように、前記特定された情報アイテムをアレー内の各位置に対応させて示す、情報アイテムのマップを表すマップデータを受け取るステップ」を備える点で共通するといえる。

(3)引用発明における「3次元の情報探索空間のデータの作成」は、本件補正発明における「情報アイテムの階層クラスタを形成するステップ」に対応付けられるものであるところ、前者は「該基礎情報空間を第n層目の最下層の階層とし,第n-1階層は第n階層を3^((n-1)×2)個の等しい大きさの部分空間に分割し,各分割された部分空間の中から中心に近い1つの探索対象データを第n-1階層の探索対象データとして採用することを3^((n-1)×2)個の全ての部分空間に対して行う探索対象データの数に関する階層化」を行うものであり、しかも、該「探索対象データ」は「類似するものは近くに配置するように2次元空間ヘ写像」されているのであるから、前者も後者と同様に「前記マップデータを処理して、前記情報アイテムの複数のクラスタを有する第1のレベルのクラスタと、当該第1のレベルのクラスタのうち少なくとも1つのクラスタについての第2のレベルのクラスタとを含む、前記情報アイテムの階層クラスタを形成するステップ」とも言えるものである。

(4)引用発明における「探索対象データ」を「表現する」「画像や文字列」は、本件補正発明における「情報特徴」に対応付けられるものであるところ、前者は「個々の前記探索対象データを外観による感覚的な情報の選択を可能にする」ものであるから各「クラスタ内の各情報アイテムを特徴付ける情報特徴」とも言えるものであり、後者もまた「クラスタ内の各情報アイテムを特徴付ける情報特徴」と言えるものである。
そして、引用発明において作成される「画像や文字列」が表現する「探索対象データ」はどの階層にもあるのであるから、引用発明においても複数の階層において「探索対象データ」が「表画像や文字列で表現」されることは明らかである。
さらに、特徴量に基づいてクラスタリングした場合には、クラスタの中心のデータが該クラスタの特徴を良く表すものであることは、当業者の技術常識である(必要があれば、参考文献1(特に参考文献記載事項1-1)等参照)から、引用発明における「画像や文字列」も、これに対応する「部分空間」内の「探索対象データ」を「共通して」特徴付けるものであると言える。
したがって、引用発明と本件補正発明は、「前記第1のレベルのクラスタに、当該第1のレベルのクラスタ内の各情報アイテムを共通して特徴付ける情報特徴を与え、前記第2のレベルのクラスタに、当該第2のレベルのクラスタ内の各情報アイテムを共通して特徴付ける情報特徴を与えるステップ」を備える点で共通するといえる。

(5)引用発明における「2次元ディスプレイ上」に「情報探索空間の3次元空間を仮想的に生成」することは、本件補正発明における「表示点として表示し」かつ「情報特徴を示すデータを表示するステップ」に対応付けられるものであるところ、前者における「3次元の情報探索空間のデータ」は「礎情報空間を第n層目の最下層の階層とし,第n-1階層は第n階層を3^((n-1)×2)個の等しい大きさの部分空間に分割し,各分割された部分空間の中から中心に近い1つの探索対象データを第n-1階層の探索対象データとして採用することを3^((n-1)×2)個の全ての部分空間に対して行う探索対象データの数に関する階層化」をして作成されたものであるから、これを基に「仮想的に生成」した「3次元空間」を表示する「2次元ディスプレイ」は「前記特定された情報アイテムに対応するアレー内の位置の少なくとも幾つかを、表示装置の表示領域内のn次元表示配列の表示点として表示」するものであると言える。
また、引用発明においては「画像や文字列」が「情報探索空間」内の「探索対象データ」を「表現する」のであるから、これは「前記各クラスタ内の情報アイテムを特徴付ける情報特徴を示すデータを表示する」ことに他ならない。
したがって、引用発明と本件補正発明は、「前記特定された情報アイテムに対応するアレー内の位置の少なくとも幾つかを、表示装置の表示領域内のn次元表示配列の表示点として表示し、かつ、前記各クラスタ内の情報アイテムを特徴付ける情報特徴を示すデータを表示するステップ」を備える点でも共通するといえる。
なお、本件補正発明における該「表示するステップ」に係る記載は、「点」の表示パターンと「情報特徴を示すデータ」の双方が表示される旨を限定するとも解釈し得るものであるところ、「位置」を示す際に「点」の表示パターンを用いることも従来から常用される表現であり(必要があれば参考文献2(特に参考文献記載事項2-1)、参考文献3(特に参考文献記載事項3-1)等参照)、仮にこの点が相違点であると仮定しても本決定ひいては本審決の結論に影響を与えるものでは無い。

(6)引用発明における「2次元ディスプレイ上」の表示領域には「情報探索空間の3次元空間を仮想的に生成」した画像が表示されるのであるから、「情報探索空間」のどの「階層」も表示されるようになされていることは明らかである。
したがって、引用発明と本件補正発明とは「前記表示領域は、前記第1のレベルのクラスタがn次元で表示され、前記第2のレベルのクラスタがn次元で表示され、nは整数である」点で共通するといえる。


よって、本件補正発明は、下記の本件補正発明と引用発明との一致点で引用発明と一致し、下記の本件補正発明と引用発明との相違点で引用発明と相違する。

<一致点>
「情報アイテムの集合から、該情報アイテムの互いの類似性に基づいて、類似する情報アイテムが近接した位置にマッピングされるように、前記特定された情報アイテムをアレー内の各位置に対応させて示す、情報アイテムのマップを表すマップデータを受け取るステップと、
前記マップデータを処理して、前記情報アイテムの複数のクラスタを有する第1のレベルのクラスタと、当該第1のレベルのクラスタのうち少なくとも1つのクラスタについての第2のレベルのクラスタとを含む、前記情報アイテムの階層クラスタを形成するステップと、
前記第1のレベルのクラスタに、当該第1のレベルのクラスタ内の各情報アイテムを共通して特徴付ける情報特徴を与え、前記第2のレベルのクラスタに、当該第2のレベルのクラスタ内の各情報アイテムを共通して特徴付ける情報特徴を与えるステップと、
前記特定された情報アイテムに対応するアレー内の位置の少なくとも幾つかを、表示装置の表示領域内のn次元表示配列の表示点として表示し、かつ、前記各クラスタ内の情報アイテムを特徴付ける情報特徴を示すデータを表示するステップとを備え、
前記表示領域は、前記第1のレベルのクラスタがn次元で表示され、前記第2のレベルのクラスタがn次元で表示され、nは整数である
ことを特徴とする情報検索表示方法。」

<相違点1>
本件補正発明における情報アイテムの集合は「検索により特定された」ものである。
(これに対し、引用文献1には探索対象データの集合が如何にして特定されたものであるかの記載はない。)

<相違点2>
本件補正発明における表示領域は「同時に表示される少なくとも2つの領域」を含み、「一方の領域には」前記第1のレベルのクラスタが表示され、「他方の領域には」前記第2のレベルのクラスタが表示されるものである。
(これに対し、引用文献1では引用文献記載事項1-8に「階層構造の表示機能」や「展望ヴュウ機能」の説明があるものの、これらが複数の階層を「同時」に表示するのか否かは定かでない。)


3-5.判断
以下、上記相違点について検討する。

(1)相違点1について
自己組織化の対象となる母集団を「検索により特定された」ものとすることは、当該技術分野においては、当業者が必要に応じて適宜に採用する事項であり(必要があれば、引用文献2(特に上記引用文献記載事項2-1)、参考文献4(特に参考文献記載事項4-1、4-2)等参照)、引用発明における「探索対象データの集合」を「検索により特定された」ものとすること、すなわち上記相違点1に係る構成を採用することは、当業者が適宜に採用し得た事項にすぎないものである。

(2)相違点2について
階層構造にある情報を表示する際に、2つの階層を同時に表示することも,適宜に採用されている表現手法であり(必要があれば、参考文献5(特に参考文献記載事項5-1、5-2)、参考文献6(特に参考文献記載事項6-1及び図3、図4)等参照)、引用文献記載のものにおいても2つの階層を同時に表示するように構成すること、すなわち、上記相違点2に係る構成を採用することも、当業者が適宜に採用し得た事項にすぎないものである。

(3)してみると、本件補正発明の構成は引用発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。
そして、当該構成の採用によって奏される作用効果も、当業者であれば容易に予測し得る程度のものであって、格別顕著なものではない。
よって、本件補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


3-6.小結
以上のとおり、本件補正発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。


4.むすび
上記3.のとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。



第3.本件審判請求の成否について

1.手続の経緯、本願発明の認定
本願の手続きの経緯は上記第1.記載のとおりのものであり、さらに、平成22年5月25日付けの手続補正は上記第2.のとおり却下された。
したがって、本願の特許請求の範囲は、上記第1.2.(1)に記載した特許請求の範囲に記載のとおりのものであり、その請求項20に係る発明(以下「本願発明」と記す。)は同特許請求の範囲に【請求項20】として記載したとおりのものである。

2.引用文献の記載内容・引用発明の認定
本願の出願前であるとともにその優先日よりも前の日に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、上記原審の拒絶の査定の理由である上記平成21年9月7日付けの拒絶理由通知において引用された、上記引用文献1には、上記第2.3-2.(1)記載の引用文献記載事項が記載されており、上記引用文献1には上記第2.3-3.で認定したとおりの引用発明が記載されていると認められる。

3.対比・判断
上記第2.3.で検討した本件補正発明は、本願発明に対し上記第2.2.で述べた限定的減縮をしたものであるから、本願発明は、上記本件補正発明から当該限定的減縮により限定される要件を無くしたものに相当する。
そして、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の要件を付加したものに相当する上記本件補正発明は、上記第2.3-5.に記載したとおり、上記引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願発明も同様の理由により、上記引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
上記のとおり、本願請求項20に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、他の請求項についての検討をするまでもなく、本願を拒絶すべきものとした原審の拒絶査定は妥当なものである。

よって、上記結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-05-01 
結審通知日 2012-05-08 
審決日 2012-05-22 
出願番号 特願2003-398159(P2003-398159)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 紀田 馨  
特許庁審判長 山崎 達也
特許庁審判官 原 秀人
田中 秀人
発明の名称 情報検索装置及びその方法  
代理人 大森 純一  
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