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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する B01J
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する B01J
管理番号 1264526
審判番号 訂正2012-390102  
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2012-08-03 
確定日 2012-09-24 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2918808号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2918808号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、本件特許第2918808号(平成7年6月12日特許出願、平成11年4月23日設定登録)の願書に添付した明細書を本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正することを求めるものである。

第2 訂正の内容
以下の各訂正事項において、下線部は訂正箇所を示すものである。
1.訂正事項1
本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項5の、
「吸収開始から30分後の拡散吸収倍率が15 g/g以上であり、かつ、60分後の拡散吸収倍率が25 g/g以上であることを特徴とする吸水性樹脂。」を、
「吸収開始から30分後の拡散吸収倍率が15 g/g以上であり、かつ、60分後の拡散吸収倍率が28 g/g以上であることを特徴とする吸水性樹脂。」
と訂正する。

2.訂正事項2
本件特許明細書の発明の詳細な説明の【0015】の、
「請求項5記載の発明の吸水性樹脂は、上記の課題を解決するために、吸収開始から30分後の拡散吸収倍率が15 g/g以上であり、かつ、60分後の拡散吸収倍率が25 g/g以上であることを特徴としている。」を、
「請求項5記載の発明の吸水性樹脂は、上記の課題を解決するために、吸収開始から30分後の拡散吸収倍率が15 g/g以上であり、かつ、60分後の拡散吸収倍率が28 g/g以上であることを特徴としている。」
と訂正する。

第3 当審の判断
これらの訂正事項1、2について検討する。

1.訂正の目的の適否について
(1)訂正事項1について
上記訂正事項1の訂正は、請求項5において、「吸収開始から30分後の拡散吸収倍率が15 g/g以上であり、かつ、60分後の拡散吸収倍率が25 g/g以上」とされた吸収開始から60分後の拡散吸収倍率に関する記載を、「28 g/g以上」と、その下限値を減縮した記載事項としたものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

よって、上記訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当する。

(2)訂正事項2について
上記訂正事項2は、上記1.(1)のとおりの、特許請求の範囲の請求項5を減縮する訂正事項1に伴って、減縮された特許請求の範囲の請求項5の記載と発明の詳細な説明の記載とを整合させるために明細書の記載を訂正したものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

よって、上記訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものに該当する。

(3)小括
したがって、本件審判の請求に係る訂正事項は、特許法第126条第1項ただし書第1号または第3号に掲げる事項を目的とするものに該当する。

2.新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更について
(1)訂正事項1について
本件特許明細書の段落【0021】ないし【0026】には、拡散吸収倍率の測定方法、当該測定方法によりシート8上に支持円筒9を載置した時点から、20分間、30分間、或いは、60分間にわたって吸収性樹脂が吸水した生理食塩水の重量を測定すること、及び、拡散吸収倍率の算出式が記載されている。また、段落【0029】には、吸収体に含まれる吸水性樹脂の吸収開始から60分後の拡散吸収倍率に加えて、吸収開始から20分後または30分後の測定値から算出される拡散吸収倍率が15 g/g以上の吸水性樹脂がより好ましいことが、さらに、段落【0030】には、吸水性樹脂は、吸収開始から20分後の拡散吸収倍率が15 g/g以上であり、かつ、60分後の拡散吸収倍率が28 g/g以上であることが一層好ましいことが、それぞれ記載されている。
段落【0021】ないし【0026】に記載の測定方法に則すれば、吸水性樹脂が吸水した生理食塩水12の重量W_(2)は、少なくとも、時間の経過につれて減少することはないと認められるから、吸収開始から20分後の拡散吸収倍率が15 g/g以上であり、かつ、60分後の拡散吸収倍率が28 g/g以上である吸水性樹脂に関し、30分後の拡散吸収倍率が15 g/g以上であることは明らかである。また、段落【0029】には、吸水性樹脂が、吸収開始から30分後の拡散吸収倍率が15 g/g以上であることが好ましいことも記載されている。
これらの記載事項からすれば、吸収開始から30分後の拡散吸収倍率が15 g/g以上であり、かつ、60分後の拡散吸収倍率が28 g/g以上の吸水性樹脂が、願書に添付した明細書及び図面に記載されていることは明らかである。
さらに、上記訂正事項1の訂正は、吸収開始から60分後の拡散吸収倍率の下限値を限定する性格のものといえる。
そうしてみると、訂正事項1は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされるものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

よって、訂正事項1は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、特許明細書の段落【0015】において、「吸収開始から30分後の拡散吸収倍率が15 g/g以上であり、かつ、60分後の拡散吸収倍率が25 g/g以上」と例示された吸収開始から60分後の拡散吸収倍率に関する記載を、「28 g/g以上」とするものである。
既に訂正事項1について述べたとおり、吸収開始から60分後の拡散吸収倍率に関する記載を、「28 g/g以上」とすることは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされるものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

よって、訂正事項2は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(3)小括
したがって、本件審判の請求に係る訂正事項は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

3.独立特許要件について
(1)訂正事項1について
上記「1(1)」のとおり,訂正事項1は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるから,訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される、請求項5に係る発明(以下、「本件訂正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものかどうかについて検討する。

本件訂正発明は、訂正前の特許請求の範囲に記載された請求項5に係る発明において、吸収開始から60分後の拡散吸収倍率の下限値を限定したものであり、本件特許に係る出願は、拒絶の理由を発見しないとして特許査定されたものであるところ、再度検討しても、本件訂正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないとする新たな理由も発見しない。

よって、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであり、特許法第126条第7項の規定に適合する。

第4 むすび
以上より、本件審判の請求に係る訂正事項1及び2は、特許法第126条第1項ただし書第1号または第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
吸収体および吸収性物品
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収開始から60分後の拡散吸収倍率が25g/g以上である吸水性樹脂を40重量%以上含むことを特徴とする吸収体。
【請求項2】
上記吸水性樹脂の吸収開始から30分後の拡散吸収倍率が15g/g以上であることを特徴とする請求項1記載の吸収体。
【請求項3】
親水性繊維を含み、吸水性樹脂と該親水性繊維との合計量に対する吸水性樹脂の量が50重量%以上であることを特徴とする請求項1または2記載の吸収体。
【請求項4】
上記請求項1ないし3の何れか1項に記載の吸収体を含む吸収層を、透液性を有するシートと、不透液性を有するシートとで挟持してなることを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
吸収開始から30分後の拡散吸収倍率が15g/g以上であり、かつ、60分後の拡散吸収倍率が28g/g以上であることを特徴とする吸水性樹脂。
【請求項6】
吸収開始から20分後の拡散吸収倍率が15g/g以上であり、かつ、60分後の拡散吸収倍率が30g/g以上であることを特徴とする吸水性樹脂。
【請求項7】
平均粒径が200μm?600μmの範囲内で、粒径が106μm未満の粒子の割合が5重量%以下の、カルボキシル基を有する吸水性樹脂前駆体を、該カルボキシル基と反応可能な、溶解度パラメータが12.5(cal/cm^(3))^(1/2)以上の第一表面架橋剤、および、溶解度パラメータが12.5(cal/cm^(3))^(1/2)未満の第二表面架橋剤の存在下で加熱処理することにより、吸収開始から60分後の拡散吸収倍率が25g/g以上である吸水性樹脂を得ることを特徴とする吸水性樹脂の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば、紙オムツ(使い捨てオムツ)や生理用ナプキン、いわゆる失禁パット等の衛生材料に好適に用いられる吸収体、および、吸収性物品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、紙オムツや生理用ナプキン、いわゆる失禁パット等の衛生材料には、その構成材として、体液を吸収させることを目的とする吸水性樹脂が幅広く利用されている。
【0003】
上記の吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸部分中和物架橋体(特開昭55-84304号公報、特開昭55-108407号公報、特開昭55-133413号公報)、澱粉-アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物(特開昭46-43995号公報)、澱粉-アクリル酸グラフト重合体の中和物(特開昭51-125468号公報)、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体のケン化物(特開昭52-14689号公報)、アクリロニトリル共重合体若しくはアクリルアミド共重合体の加水分解物(特開昭53-15959号公報)またはこれらの架橋体、カチオン性モノマーの架橋体(特開昭58-154709号公報、特開昭58-154710号公報)等が知られている。
【0004】
上記の吸水性樹脂が備えるべき特性としては、体液等の水性液体に接した際の優れた吸水量や吸水速度、ゲル強度、水性液体を含んだ基材から水を吸い上げる吸引力等が挙げられる。そして、従来より、これら特性を複数併せ持ち、紙オムツや生理用ナプキン等の衛生材料に用いられた場合に、優れた性能(吸水特性)を示す吸水性樹脂、または、該吸水性樹脂を用いた吸収体や吸収性物品が種々提案されている。
【0005】
上記従来の吸水性樹脂、或いは吸水性樹脂を用いた吸収体や吸収性物品としては、例えば、特定のゲル容量や剪断弾性率、抽出性重合体含量を組み合わせた吸水性樹脂(米国特許第4,654,039号)、吸水量や吸水速度、ゲル強度を特定した吸水性樹脂、および、該吸水性樹脂を用いた紙オムツや生理用ナプキン(特開昭60-185550号公報、特開昭60-185551号公報、特開昭60-185804号公報)、特定の吸水量や吸水速度、ゲル安定性を有する吸水性樹脂を用いた紙オムツ(特開昭60-185805号公報)、吸水量や吸引力、水可溶成分量を特定した吸水性樹脂を配した吸水性物品(特開昭63-21902号公報)、吸水量や加圧下の吸水量、ゲル破壊強度を特定した吸水性樹脂を含有する吸水性衛生用品(特開昭63-99861号公報)、吸水量や加圧下の吸水速度を特定した吸水性樹脂を含有する紙オムツ(特開平2-34167号公報)、加圧下の吸水量や、その粒径を特定した吸水性樹脂を含有する吸水剤(欧州特許第339,461号)、吸水速度や短時間での加圧下の吸水量を特定した吸水性樹脂を特定量以上含有する吸水剤(欧州特許第443,627号)、負荷時の変形や吸い上げ指数を特定した吸水性樹脂を特定量以上含有する吸水性複合材料(欧州特許第532,002号)等が知られている。
【0006】
一方、近年、紙オムツや生理用ナプキン等の衛生材料は、高機能化かつ薄型化が進み、衛生材料一枚当たりの吸水性樹脂の使用量、または、主に吸水性樹脂と親水性繊維とからなる吸収体における吸水性樹脂の重量%(以下、樹脂濃度と称する)が増える傾向にある。つまり、かさ比重の小さい親水性繊維を少なくし、吸水性に優れ、かつ、かさ比重の大きい吸水性樹脂を多くすることにより、吸収体における吸水性樹脂の比率を高め、これにより吸水量を低下させることなく衛生材料の薄型化を図っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本願発明者等が、衛生材料の吸水量を増加させるために、例えば吸収体における樹脂濃度を増加させるべく種々検討した結果、従来よりも樹脂濃度を高くした吸収体を用い、かつ、衛生材料からの水性液体の漏れ等の不都合を防止するには、上述した吸水量や吸水速度、ゲル強度、吸引力等の特性を制御するだけでは不充分であることが見い出された。例えば、近年、特に注目されている、加圧下の吸水量のみが非常に大きい吸水性樹脂においては、樹脂濃度を高くすると、吸収体での液拡散性が極端に低下する現象等が生じるという問題点を有している。
【0008】
また、本願発明者等は、従来よりも樹脂濃度を高くした吸収体の吸水特性に着目して種々検討した結果、公知の吸水性樹脂と親水性繊維とを混合した混合物を吸収体として用いると、樹脂濃度が低い場合には一定レベルの吸水特性を示すものの、樹脂濃度が40重量%を越えると液拡散性が急激に低下し、吸収体の単位重量当たりの吸水量が低下することを見い出した。即ち、公知の吸水性樹脂と親水性繊維とを混合した混合物を吸収体として用いると、上記の問題点が生じることとなる。
【0009】
従って、本発明の目的は、上述した問題点を解決し、例えば、衛生材料等に用いた場合に、吸水性樹脂の樹脂濃度を高くしても、常に非常に高い液拡散性および吸水量を保持する等の優れた性能(吸水特性)を示すことができる吸水性樹脂、吸収体、および、吸収性物品を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、上記目的を達成すべく、吸水性樹脂、吸収体および吸収性物品について鋭意検討した結果、或る特定の吸水性樹脂前駆体を合成し、この吸水性樹脂前駆体を特定の表面架橋剤の存在下に加熱処理する、という製造方法により得られる吸水性樹脂、つまり、該吸水性樹脂を含む吸収体および吸収性物品が、上記従来の吸水性樹脂が備えていない優れた性能(吸水特性)、即ち、吸水性樹脂の使用量が多い場合や、樹脂濃度が高い場合においても、非常に高い液拡散性および吸水量を保持する等の優れた性能を備えていることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、請求項1記載の発明の吸収体は、上記の課題を解決するために、吸収開始から60分後の拡散吸収倍率が25g/g以上である吸水性樹脂を40重量%以上含むことを特徴としている。
【0012】
請求項2記載の発明の吸収体は、上記の課題を解決するために、請求項1記載の吸収体において、上記吸水性樹脂の吸収開始から30分後の拡散吸収倍率が15g/g以上であることを特徴としている。
【0013】
請求項3記載の発明の吸収体は、上記の課題を解決するために、請求項1または2記載の吸収体において、親水性繊維を含み、吸水性樹脂と該親水性繊維との合計量に対する吸水性樹脂の量が50重量%以上であることを特徴としている。
【0014】
請求項4記載の発明の吸収性物品は、上記の課題を解決するために、上記請求項1ないし3の何れか1項に記載の吸収体を含む吸収層を、透液性を有するシートと、不透液性を有するシートとで挟持してなることを特徴としている。
【0015】
請求項5記載の発明の吸水性樹脂は、上記の課題を解決するために、吸収開始から30分後の拡散吸収倍率が15g/g以上であり、かつ、60分後の拡散吸収倍率が28g/g以上であることを特徴としている。
【0016】
請求項6記載の発明の吸水性樹脂は、上記の課題を解決するために、吸収開始から20分後の拡散吸収倍率が15g/g以上であり、かつ、60分後の拡散吸収倍率が30g/g以上であることを特徴としている。
【0017】
請求項7記載の発明の吸水性樹脂の製造方法は、上記の課題を解決するために、平均粒径が200μm?600μmの範囲内で、粒径が106μm未満の粒子の割合が5重量%以下の、カルボキシル基を有する吸水性樹脂前駆体を、該カルボキシル基と反応可能な、溶解度パラメータが12.5(cal/cm^(3))^(1/2)以上の第一表面架橋剤、および、溶解度パラメータが12.5(cal/cm^(3))^(1/2)未満の第二表面架橋剤の存在下で加熱処理することにより、吸収開始から60分後の拡散吸収倍率が25g/g以上である吸水性樹脂を得ることを特徴としている。
【0018】
以下に本発明を詳しく説明する。本発明における拡散吸収倍率とは、吸水性樹脂の坪量が高く、かつ、外力によって樹脂粒子同士が密着している状態における水性液体の拡散力を加味した、吸収体の吸水量を評価するための新規な物性値である。上記の拡散吸収倍率は、所定条件下での測定における、吸収開始から所定時間後、例えば60分後の測定値から算出される。拡散吸収倍率の測定方法について詳述する。
【0019】
(a)拡散吸収倍率
先ず、拡散吸収倍率の測定に用いる測定装置について、図1および図2を参照しながら、以下に簡単に説明する。
【0020】
図1に示すように、測定装置は、天秤1と、この天秤1上に載置された所定容量の容器2と、外気吸入パイプ3と、導管4と、ガラスフィルタ6と、このガラスフィルタ6上に載置された測定部5とからなっている。上記の容器2は、その頂部に開口部2aを、その側面部に開口部2bをそれぞれ有しており、開口部2aに外気吸入パイプ3が嵌入される一方、開口部2bに導管4が取り付けられている。また、容器2には、所定量の生理食塩水12が入っている。外気吸入パイプ3の下端部は、生理食塩水12中に没している。上記のガラスフィルタ6は、直径70mmに形成されている。そして、容器2およびガラスフィルタ6は、導管4によって互いに連通している。また、ガラスフィルタ6は、外気吸入パイプ3の下端に対してごく僅かに高い位置に固定されている。
【0021】
図2に示すように、上記の測定部5は、濾紙7と、シート8と、支持円筒9と、この支持円筒9の底部に貼着された金網10と、重り11とを有している。そして、測定部5は、ガラスフィルタ6上に、濾紙7、シート8、支持円筒9(つまり、金網10)がこの順に載置されると共に、支持円筒9内部、即ち、金網10上に重り11が載置されてなっている。シート8は、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなり、中央部に直径18mmの開口部を有する厚さ0.1mmのドーナツ状に形成されている。支持円筒9は、内径60mmに形成されている。金網10は、ステンレスからなり、400メッシュ(目の大きさ38μm)に形成されている。そして、金網10上に所定量の吸水性樹脂が均一に撒布されるようになっている。重り11は、金網10、即ち、吸水性樹脂に対して、20g/cm^(2)の荷重を均一に加えることができるように、その重量が調整されている。
【0022】
上記構成の測定装置を用いて拡散吸収倍率を測定した。測定方法について以下に説明する。
【0023】
先ず、容器2に所定量の生理食塩水12を入れる、容器2に外気吸入パイプ3を嵌入する、等の所定の準備動作を行った。次に、ガラスフィルタ6上に濾紙7を載置し、この濾紙7上にシート8を、その開口部がガラスフィルタ6の中心部に位置するようにして載置した。一方、これら載置動作に並行して、支持円筒9内部、即ち、金網10上に吸水性樹脂1.5g(好ましくは、分級等の操作により、粒径を300μm?500μmに予め調整した吸水性樹脂1.5g)を均一に撒布し、この吸水性樹脂上に重り11を載置した。
【0024】
次いで、シート8上に、金網10、つまり、吸水性樹脂および重り11を載置した上記支持円筒9を、その中心部がガラスフィルタ6の中心部に一致するようにして載置した。
【0025】
そして、シート8上に支持円筒9を載置した時点から、20分間、30分間、或いは、60分間にわたって吸水性樹脂が吸水した生理食塩水12の重量W_(2)(g)を、天秤1を用いて測定した。尚、図3に示すように、生理食塩水12は、シート8の開口部を通過した後、吸水性樹脂の横方向にほぼ均一に拡散しながら、吸水性樹脂に吸水された。
【0026】
そして、上記の重量W_(2)から、次式、
拡散吸収倍率(g/g)=重量W_(2)(g)/吸水性樹脂の重量(g)
に従って、吸水開始から20分後、30分後、或いは、60分後の拡散吸収倍率(g/g)を算出した。
【0027】
拡散吸収倍率により、吸水性樹脂の新たな特性を評価することができる。即ち、この拡散吸収倍率により、吸水性樹脂が水性液体を樹脂層方向(以下、横方向と称する)にどの程度均一に素早く拡散させることができるか、また、吸水性樹脂全体として実際にどの程度の吸水量を備えているかを評価することができる。水性液体の横方向への液拡散性(液拡散能力および液伝達能力)は、水性液体を多量に吸収する上において、特に重要な因子である。そして、上記評価の結果から、例えば、主に吸水性樹脂と親水性繊維とからなる吸収体、特に、吸水性樹脂の重量%(以下、樹脂濃度と称する)が高い吸収体における吸水性樹脂の吸水挙動を容易に予測することができる。尚、吸収体の構成については後述する。
【0028】
尚、上述した先行出願には、加圧下の吸水量を評価している文献が多数見受けられる。しかしながら、該吸水量の従来の評価は、樹脂層方向と直交する方向(以下、縦方向と称する)についてのみ行われている。このため、水性液体が横方向にどの程度均一に素早く拡散するかについては、殆ど評価されていない。従って、上記従来の評価の結果からは、例えば樹脂濃度が高い吸収体を用いた紙オムツ等における、該吸収体の吸水挙動を正確に予測することができない。
【0029】
本発明の吸収体は、吸収開始から60分後の拡散吸収倍率が25g/g以上である吸水性樹脂を40重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上、最も好ましくは70重量%以上含んでいる。吸収開始から60分後の拡散吸収倍率が25g/g未満の吸水性樹脂は、樹脂濃度を高くした(高濃度の)吸収体における横方向の液拡散性が劣り、吸収体の吸収容量が小さくなる。吸収開始から60分後の拡散吸収倍率は、28g/g以上がより好ましく、30g/g以上がさらに好ましく、32g/g以上が最も好ましい。また、拡散吸収倍率が25g/g以上の吸水性樹脂を含んでいても、その割合が40重量%未満の吸収体は、その効果が顕著に現れ難い場合がある。本発明においては、拡散吸収倍率は、所定条件下での測定における、吸収開始から所定時間後の測定値で定義されるが、上記の拡散吸収倍率に加えて、さらに、吸収開始から20分後または30分後の測定値から算出される拡散吸収倍率が15g/g以上の吸水性樹脂がより好ましい。
【0030】
即ち、吸水性樹脂は、吸収開始から30分後の拡散吸収倍率が15g/g以上であり、かつ、60分後の拡散吸収倍率が25g/g以上であることがより好ましく、吸収開始から20分後の拡散吸収倍率が15g/g以上であり、かつ、60分後の拡散吸収倍率が25g/g以上であることがさらに好ましく、吸収開始から20分後の拡散吸収倍率が15g/g以上であり、かつ、60分後の拡散吸収倍率が28g/g以上であることが一層好ましく、吸収開始から20分後の拡散吸収倍率が15g/g以上であり、かつ、60分後の拡散吸収倍率が30g/g以上であることが最も好ましい。吸収開始から30分後の拡散吸収倍率が15g/g未満の吸水性樹脂は、横方向の液拡散性が劣り、吸収体の吸収力の低下を招く場合がある。
【0031】
本発明の吸収体は、吸水性樹脂の他に、必要に応じて親水性繊維を含んでいてもよい。そして、吸収体が例えば吸水性樹脂と親水性繊維とからなる場合には、吸収体の構成としては、例えば、吸水性樹脂と親水性繊維とを均一に混合した構成、層状に形成した親水性繊維間に吸水性樹脂を挟持した構成、吸水性樹脂と親水性繊維とを均一に混合して層状に形成し、この上に、層状に形成した親水性繊維を積層した構成、吸水性樹脂と親水性繊維とを均一に混合して層状に形成し、これと、層状に形成した親水性繊維との間に吸水性樹脂を挟持した構成等が挙げられる。さらに、吸収体は、吸水性樹脂に対して特定量の水を配合することによって該吸水性樹脂をシート状に形成してなる構成であってもよい。尚、吸収体の構成は、上記例示の構成に限定されるものではない。
【0032】
上記の親水性繊維としては、例えば、木材から得られるメカニカルパルプやケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維等が挙げられる。上記例示の繊維のうち、セルロース繊維が好ましい。また、親水性繊維は、ポリアミドやポリエステル、ポリオレフィン等の合成繊維を含有していてもよい。尚、親水性繊維は、上記例示の繊維に限定されるものではない。
【0033】
上記例示の構成のうち、吸収体における吸水性樹脂の割合が40重量%以上となるように該吸水性樹脂と親水性繊維とを均一に混合した構成がより好ましく、吸水性樹脂と親水性繊維との合計量に対する吸水性樹脂の量が50重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上となるように、これら吸水性樹脂と親水性繊維とを均一に混合した構成がさらに好ましい。これら構成とすることにより、吸収体は、その吸水特性を充分に発揮することができる。尚、該吸収体における樹脂濃度が高ければ高いほど、本発明の吸収体の特性は顕著に現れる。
【0034】
また、吸収体における親水性繊維の割合が比較的少ない場合には、接着性バインダーを用いて吸収体、つまり、親水性繊維同士を接着させてもよい。親水性繊維同士を接着させることにより、吸収体の使用前や使用中における該吸収体の強度や保形性を高めることができる。
【0035】
上記の接着性バインダーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、1-ブテン-エチレン共重合体等のポリオレフィン繊維等の熱融着繊維や接着性を有するエマルション等が例示できる。これら接着性バインダーは、単独で用いてもよく、また、2種類以上を混合して用いてもよい。親水性繊維と接着性バインダーとの重量比は、50/50?99/1の範囲内が好ましく、70/30?95/5の範囲内がより好ましく、80/20?95/5の範囲内がさらに好ましい。
【0036】
本発明にかかる吸水性樹脂は、或る特定の吸水性樹脂前駆体を合成し、この吸水性樹脂前駆体を特定の表面架橋剤の存在下に加熱処理する、という製造方法により得られる。上記の吸水性樹脂前駆体は、平均粒径が200μm?600μmの範囲内で、しかも、粒径が106μm未満の粒子の割合が10重量%以下であり、かつ、多量の水を吸収することによりヒドロゲルを形成するカルボキシル基を有する樹脂である。吸水性樹脂前駆体は、例えば、水溶液重合により合成される。該吸水性樹脂前駆体としては、具体的には、例えば、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、澱粉-アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、澱粉-アクリル酸グラフト重合体の中和物、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリロニトリル共重合体若しくはアクリルアミド共重合体の加水分解物またはこれらの架橋体、カルボキシル基含有架橋ポリビニルアルコール変性物、架橋イソブチレン-無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
【0037】
上記の吸水性樹脂前駆体は、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、β-アクリロイルオキシプロピオン酸等の不飽和カルボン酸またはこれらの中和物から選ばれる1種類以上の単量体を重合若しくは共重合させた後、該重合体に対して必要により粉砕・分級等の操作を行い、上記の平均粒径に調整することにより得られる。上記単量体のうち、(メタ)アクリル酸およびこれらの中和物がより好ましい。
【0038】
さらに、吸水性樹脂前駆体は、上記単量体と、該単量体と共重合可能な別の単量体との共重合体であってもよい。上記別の単量体としては、具体的には、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸等のアニオン性不飽和単量体およびその塩;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、N-ビニルピロリドン、N-アクリロイルピペリジン、N-アクリロイルピロリジン等のノニオン性の親水基含有不飽和単量体;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、および、これらの四級塩等のカチオン性不飽和単量体等が挙げられる。
【0039】
吸水性樹脂前駆体におけるカルボキシル基の含有量は、特に限定されるものではないが、吸水性樹脂前駆体100g当たり、0.01当量以上のカルボキシル基が存在していることが好ましい。また、吸水性樹脂前駆体が例えばポリアクリル酸部分中和物架橋体である場合には、該架橋体におけるポリアクリル酸未中和物の割合は、1モル%?60モル%の範囲内が望ましく、10モル%?50モル%の範囲内がより望ましい。
【0040】
吸水性樹脂前駆体は、複数の重合性不飽和基や、複数の反応性基を有する架橋剤と反応または共重合させることにより、その内部が架橋されていることが好ましい。また、吸水性樹脂前駆体は、架橋剤を必要としない自己架橋型であってもよい。上記の架橋剤としては、具体的には、例えば、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら架橋剤は、単独で用いてもよく、また、2種類以上を混合して用いてもよい。上記例示の化合物のうち、複数の重合性不飽和基を有する化合物を架橋剤として用いることがより好ましい。
【0041】
架橋剤の使用量は、上記単量体の合計量に対して0.005モル%?2モル%の範囲内が好ましく、0.05モル%?1モル%の範囲内がより好ましい。架橋剤の使用量が0.005モル%よりも少ない場合、並びに、2モル%よりも多い場合には、吸水性樹脂の拡散吸収倍率が低下するので好ましくない。
【0042】
また、上記重合反応における重合開始時には、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、t-ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩等のラジカル重合開始剤、或いは、紫外線や電子線等の活性エネルギー線等を用いることができる。また、酸化性ラジカル重合開始剤を用いる場合には、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、L-アスコルビン酸等の還元剤を併用してレドックス重合を行っても良い。これら重合開始剤の使用量は、0.001モル%?2モル%の範囲内が好ましく、0.01モル%?0.5モル%の範囲内がより好ましい。
【0043】
上記の吸水性樹脂前駆体は、その拡散吸収倍率が本発明における好ましい範囲を満たしていない。このため、特定の表面架橋剤を用いることにより、該吸水性樹脂前駆体の表面近傍の架橋密度を内部よりも高くする必要がある。つまり、吸水性樹脂前駆体の表面近傍を特定の表面架橋剤を用いて架橋させることにより、本発明にかかる吸水性樹脂が得られる。
【0044】
即ち、本発明にかかる吸水性樹脂は、前記した水溶液重合によって得られる吸水性樹脂前駆体、即ち、平均粒径が200μm?600μmの範囲内で、しかも、粒径が106μm未満の粒子の割合が10重量%以下となるように分級等の操作により調整した後、該吸水性樹脂前駆体を溶解度パラメータ範囲が互いに異なる2種類以上の表面架橋剤の存在下に加熱処理することにより得られる。上記吸水性樹脂、つまり、吸水性樹脂前駆体は、所定形状に造粒されていてもよく、また、球状、鱗片状、不定形破砕状、顆粒状等の種々の形状であってもよい。さらに、吸水性樹脂前駆体は、1次粒子であってもよく、また、1次粒子の造粒体であってもよい。尚、平均粒径が200μm?600μmの範囲外である場合や、粒径が106μm未満の粒子の割合が10重量%を越える場合には、拡散吸収倍率等の性能に優れた吸水性樹脂を得ることができないおそれがある。
【0045】
上記の表面架橋剤は、溶解度パラメータ(SP値)が互いに異なる第一表面架橋剤および第二表面架橋剤を組み合わせてなる。尚、上記の溶解度パラメータとは、化合物の極性を表すファクターとして一般に用いられる値である。本発明においては、上記の溶解度パラメータに対して、ポリマーハンドブック第3版(WILEY INTERSCIENCE社発行)527頁?539頁に記載されている溶媒の溶解度パラメータδ(cal/cm^(3))^(1/2)の値を適用することとする。また、上記の頁に記載されていない溶媒の溶解度パラメータに関しては、該ポリマーハンドブックの524頁に記載されているSmallの式に、同525頁に記載されているHoyの凝集エネルギー定数を代入して導かれる値を適用することとする。
【0046】
上記の第一表面架橋剤は、カルボキシル基と反応可能な、溶解度パラメータが12.5(cal/cm^(3))^(1/2)以上の化合物が好ましく、13.0(cal/cm^(3))^(1/2)以上の化合物がより好ましい。上記の第一表面架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、エチレンカーボネート(1,3-ジオキソラン-2-オン)、プロピレンカーボネート(4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-オン)等が挙げられるが、これら化合物に限定されるものではない。これら第一表面架橋剤は、単独で用いてもよく、また、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0047】
上記の第二表面架橋剤は、カルボキシル基と反応可能な、溶解度パラメータが12.5(cal/cm^(3))^(1/2)未満の化合物が好ましく、9.5(cal/cm^(3))^(1/2)?12.0(cal/cm^(3))^(1/2)の範囲内の化合物がより好ましい。上記の第二表面架橋剤としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、2,4-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,5-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン等が挙げられるが、これら化合物に限定されるものではない。これら第二表面架橋剤は、単独で用いてもよく、また、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0048】
本発明では、表面架橋剤として、上記第一表面架橋剤の群より選ばれる1種類または2種類以上の化合物、および、上記第二表面架橋剤の群より選ばれる1種類または2種類以上の化合物を合わせて用いることが必要である。1種類または2種類以上の第一表面架橋剤のみを用いた場合、或いは、1種類または2種類以上の第二表面架橋剤のみを用いた場合は、拡散吸収倍率等の性能に優れた吸水性樹脂を得ることができないおそれがある。
【0049】
表面架橋剤の使用量は、用いる化合物やそれらの組み合わせ等にもよるが、吸水性樹脂前駆体の固形分100重量部に対して、第一表面架橋剤の使用量が0.01重量部?5重量部、第二表面架橋剤の使用量が0.001重量部?1重量部の範囲内が好ましく、第一表面架橋剤の使用量が0.1重量部?2重量部、第二表面架橋剤の使用量が0.005重量部?0.5重量部の範囲内がより好ましい。上記の表面架橋剤を用いることにより、吸水性樹脂前駆体、つまり、吸水性樹脂の表面近傍の架橋密度を内部よりも高くすることができる。表面架橋剤の使用量が10重量部を越える場合には、不経済となるばかりか、吸水性樹脂における最適な架橋構造を形成する上で、表面架橋剤の量が過剰となるため、好ましくない。また、表面架橋剤の使用量が0.001重量部未満の場合には、吸水性樹脂における拡散吸収倍率等の性能を向上させる上で、その改良効果が得られ難いため、好ましくない。
【0050】
吸水性樹脂前駆体と表面架橋剤とを混合する際には、溶媒として水を用いることが好ましい。水の使用量は、吸水性樹脂前駆体の種類や粒径等にもよるが、吸水性樹脂前駆体の固形分100重量部に対して、0を越え、20重量部以下が好ましく、0.5重量部?10重量部の範囲内がより好ましい。
【0051】
また、吸水性樹脂前駆体と表面架橋剤とを混合する際には、必要に応じて、溶媒として親水性有機溶媒を用いてもよい。上記の親水性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等の低級アルコール類;アセトン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられる。親水性有機溶媒の使用量は、吸水性樹脂前駆体の種類や粒径等にもよるが、吸水性樹脂前駆体の固形分100重量部に対して、20重量部以下が好ましく、0.1重量部?10重量部の範囲内がより好ましい。
【0052】
そして、吸水性樹脂前駆体と表面架橋剤とを混合する際には、例えば、上記の親水性有機溶媒中に吸水性樹脂前駆体を分散させた後、表面架橋剤を混合してもよいが、混合方法は、特に限定されるものではない。種々の混合方法のうち、必要に応じて水および/または親水性有機溶媒に溶解させた表面架橋剤を、吸水性樹脂前駆体に直接、噴霧若しくは滴下して混合する方法が好ましい。また、水を用いて混合する場合には、水に不溶な微粒子状の粉体や、界面活性剤等を共存させてもよい。
【0053】
吸水性樹脂前駆体と表面架橋剤とを混合する際に用いられる混合装置は、両者を均一かつ確実に混合するために、大きな混合力を備えていることが好ましい。上記の混合装置としては、例えば、円筒型混合機、二重壁円錐型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、流動型炉ロータリーデスク型混合機、気流型混合機、双腕型ニーダー、内部混合機、粉砕型ニーダー、回転式混合機、スクリュー型押出機等が好適である。
【0054】
吸水性樹脂前駆体と表面架橋剤とを混合した後、加熱処理を行い、吸水性樹脂前駆体の表面近傍を架橋させる。上記加熱処理の処理温度は、用いる表面架橋剤にもよるが、160℃以上、250℃以下が好ましい。処理温度が160℃未満の場合には、均一な架橋構造が形成されず、従って、拡散吸収倍率等の性能に優れた吸水性樹脂を得ることができないため、好ましくない。処理温度が250℃を越える場合には、吸水性樹脂前駆体の劣化を引き起こし、吸水性樹脂の性能が低下するため、好ましくない。
【0055】
上記の加熱処理は、通常の乾燥機または加熱炉を用いて行うことができる。上記の乾燥機としては、例えば、溝型混合乾燥機、ロータリー乾燥機、デスク乾燥機、流動層乾燥機、気流型乾燥機、赤外線乾燥機等が挙げられる。
【0056】
以上の製造方法により得られる吸水性樹脂は、吸収開始から30分後の拡散吸収倍率が15g/g以上であり、かつ、60分後の拡散吸収倍率が25g/g以上である。また、本発明の吸収体は、上記の吸水性樹脂を40重量%以上含んでなっている。このため、吸収体は、上述したような優れた吸水特性を備えている。従って、吸収体は、例えば、吸収性物品に用いた場合に、吸水性樹脂の使用量が多い場合や、吸収体における樹脂濃度が高い場合においても、非常に高い液拡散性および吸水量を保持する等の優れた性能(吸水特性)を示すことができる。
【0057】
本発明にかかる吸水性樹脂を用いた吸収体が非常に優れた拡散吸収倍率等の性能を示す原因は定かではないが、該吸収体中での水性液体の液拡散および液伝達が、従来の吸収体においては、親水性繊維の毛細管現象によってなされているのに対し、本発明にかかる吸収体においては、特定の表面架橋方法を行うことにより得られる優れた拡散吸収倍率を有する吸水性樹脂が備える高度な液拡散性(液拡散能力および液伝達能力)が吸収体中でも充分に発揮されるためと推測される。
【0058】
また、本発明にかかる吸収性物品は、上記構成の吸収体を含む吸収層を、透液性を有するシートと、不透液性を有するシートとで挟持してなる。そして、該吸収性物品は、上記構成の吸収体を含む吸収層を有してなるので、上述したような優れた吸水特性を備えている。吸収性物品としては、具体的には、例えば、紙オムツや生理用ナプキン、いわゆる失禁パット等の衛生材料等が挙げられるが、特に限定されるものではない。吸収性物品は優れた吸水特性を備えているので、例えば該吸収性物品が紙オムツである場合には、尿の漏れを防止することができると共に、いわゆるドライ感を付与することができる。
【0059】
上記の透液性を有するシート(以下、液透過性シートと称する)は、水性液体を透過する性質を備えた材料からなっている。液透過性シートの材料としては、例えば、不織布、織布;ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等からなる多孔質の合成樹脂フィルム等が挙げられる。上記の不透液性を有するシート(以下、液不透過性シートと称する)は、水性液体を透過しない性質を備えた材料からなっている。液不透過性シートの材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート、ポリ塩化ビニル等からなる合成樹脂フィルム;これら合成樹脂と不織布との複合材からなるフィルム;上記合成樹脂と織布との複合材からなるフィルム等が挙げられる。尚、液不透過性シートは、蒸気を透過する性質を備えていてもよい。
【0060】
吸収層の構成は、特に限定されるものではなく、上記の吸収体を有していればよい。また、吸収層の製造方法は、特に限定されるものではない。さらに、液透過性シートと液不透過性シートとで吸収層を挟持する方法、即ち、吸収性物品の製造方法は、特に限定されるものではない。
【0061】
尚、上記の吸収体にさらに消臭剤、香料、各種の無機粉末、発泡剤、顔料、染料、親水性短繊維、肥料、酸化剤、還元剤、水、塩類等を添加し、これにより、吸収体または吸収性物品に種々の機能を付与させてもよい。
【0062】
【作用】
以上のように、上記構成の吸水性樹脂は、非常に高い液拡散性および吸水量を保持する等の優れた性能(吸水特性)を示すことができる。また、上記構成の吸収体は、吸水性樹脂の使用量が多い場合や、吸収体における樹脂濃度が高い場合においても、非常に高い液拡散性および吸水量を保持する等の優れた性能を示すことができる。上記の吸収体は、例えば、高機能化かつ薄型化が望まれている紙オムツや生理用ナプキン、いわゆる失禁パット等の衛生材料等の吸収性物品に特に好適に用いることができる。これにより、上述した優れた性能を示す吸収性物品を提供することができる。
【0063】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。尚、吸水性樹脂および吸収体の諸性能は、以下の方法で測定した。
【0064】
(b)吸水倍率
吸水性樹脂0.2gを不織布製の袋(60mm×60mm)に均一に入れ、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)中に浸漬した。60分後に袋を引き上げ、遠心分離機を用いて250Gで3分間水切りを行った後、袋の重量W_(1)(g)を測定した。また、同様の操作を吸水性樹脂を用いないで行い、そのときの重量W_(0)(g)を測定した。そして、これら重量W_(1)・W_(0)から、次式、
吸水倍率(g/g)=(重量W_(1)(g)-重量W_(0)(g))/吸水性樹脂の重量(g)
に従って吸水倍率(g/g)を算出した。
【0065】
(c)吸収体の拡散吸収倍率
先ず、吸収体の拡散吸収倍率の測定に用いる測定装置について、図4および図5を参照しながら、以下に簡単に説明する。尚、説明の便宜上、前記拡散吸収倍率の測定に用いる測定装置と同一の機能を有する構成には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0066】
図4に示すように、測定装置は、天秤1と、容器2と、外気吸入パイプ3と、導管4と、直径120mmに形成されたガラスフィルタ6と、このガラスフィルタ6上に載置された測定部15とからなっている。図5に示すように、上記の測定部15は、濾紙7と、シート8と、支持角筒19と、重り11とを有している。尚、前記の金網は有していない。
【0067】
測定部15は、ガラスフィルタ6上に、濾紙7、シート8、支持角筒19がこの順に載置されると共に、支持角筒19内部に重り11が載置されてなっている。シート8は、ポリエチレンテレフタレートからなり、中央部に12.5mm×100mmの長方形の開口部を有する厚さ0.1mmの矩形状に形成されている。支持角筒19は、内寸法が100mm×100mmに形成されている。そして、支持角筒19内部に所定の大きさの吸収体が載置されるようになっている。測定装置のその他の構成は、前記拡散吸収倍率の測定に用いる測定装置と同一である。
【0068】
上記構成の測定装置を用いて吸収体の拡散吸収倍率を測定した。測定方法について以下に説明する。
【0069】
先ず、吸収体を100mm×100mmの大きさに形成した。また、所定の準備動作を行った。次に、ガラスフィルタ6上に濾紙7を載置し、この濾紙7上にシート8を、その開口部がガラスフィルタ6の中心部に位置するようにして載置した。次いで、シート8上に支持角筒19を、その中心部がガラスフィルタ6の中心部に一致するようにして載置した。
【0070】
その後、支持角筒19内部、即ち、シート8上に吸収体を載置し、この吸収体上に重り11を載置した。尚、吸収体および重り11の載置動作は、素早く行った。
【0071】
そして、シート8上に吸収体を載置した時点から、30分間、或いは、60分間にわたって吸収体が吸水した生理食塩水12の重量W_(3)(g)を、天秤1を用いて測定した。尚、図6に示すように、生理食塩水12は、シート8の開口部を通過した後、吸収体中を横方向にほぼ均一に拡散しながら、吸収体に吸水された。
【0072】
そして、上記の重量W_(3)から、次式、
吸収体の拡散吸収倍率(g/g)=重量W_(3)(g)/吸収体の重量(g)
に従って、吸水開始から30分後、或いは、60分後の、吸収体の拡散吸収倍率(g/g)を算出した。
【0073】
〔実施例1〕
単量体としてのアクリル酸ナトリウム(中和率65モル%)の30重量%水溶液5500gに、架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)18.49gを溶解させて反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸アンモニウム2.3gおよびL-アスコルビン酸0.12gを添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、30℃?80℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。
【0074】
得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュの金網上に広げ、150℃で90分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュの金網で分級することにより、平均粒径が360μmで、しかも、粒径が106μm未満の粒子の割合が5重量%の不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体を得た。
【0075】
得られた吸水性樹脂前駆体100重量部に、第一表面架橋剤としてのグリセリン(SP値:δ=16.5(cal/cm^(3))^(1/2))1重量部と、第二表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル(SP値:δ=10.2(cal/cm^(3))^(1/2))0.05重量部と、水3重量部と、エチルアルコール1重量部とからなる表面架橋剤を混合した。上記の混合物を195℃で40分間加熱処理することにより、吸水性樹脂を得た。得られた吸水性樹脂の平均粒径は360μmであり、粒径が106μm未満の粒子の割合は5重量%であった。この吸水性樹脂の吸水倍率および拡散吸収倍率(以下、単に結果と記す)を表1に合わせて記載した。
【0076】
〔実施例2〕
アクリル酸ナトリウム(中和率75モル%)の39重量%水溶液5500gに、架橋剤としてのトリメチロールプロパントリアクリレート3.59gを溶解させて反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、実施例1の反応器と同様の反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸アンモニウム2.4gおよびL-アスコルビン酸0.12gを添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、30℃?80℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。
【0077】
得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュの金網上に広げ、150℃で90分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュの金網で分級することにより、平均粒径が400μmで、しかも、粒径が106μm未満の粒子の割合が5重量%の不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体を得た。
【0078】
得られた吸水性樹脂前駆体100重量部に、第一表面架橋剤としてのエチレングリコール(SP値:δ=14.6(cal/cm^(3))^(1/2))0.5重量部と、第二表面架橋剤としてのグリセロールポリグリシジルエーテル(SP値:δ=10.8(cal/cm^(3))^(1/2))0.1重量部と、水3重量部と、エチルアルコール1重量部とからなる表面架橋剤を混合した。上記の混合物を195℃で40分間加熱処理することにより、吸水性樹脂を得た。得られた吸水性樹脂の平均粒径は400μmであり、粒径が106μm未満の粒子の割合は3重量%であった。この吸水性樹脂の結果を表1に合わせて記載した。
【0079】
〔実施例3〕
アクリル酸ナトリウムの20重量%水溶液5500gに、架橋剤としてのN,N’-メチレンビスアクリルアミド2.35gを溶解させて反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、実施例1の反応器と同様の反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸アンモニウム1.5gおよびL-アスコルビン酸0.07gを添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、30℃?80℃で重合を行い、重合を開始して60分後に、中和剤である炭酸ナトリウム606.7gをさらに加えて撹拌した後、含水ゲル状重合体を取り出した。
【0080】
得られた含水ゲル状重合体は中和率が75モル%であり、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュの金網上に広げ、150℃で90分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュの金網で分級することにより、平均粒径が390μmで、しかも、粒径が106μm未満の粒子の割合が4重量%の不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体を得た。
【0081】
得られた吸水性樹脂前駆体100重量部に、第一表面架橋剤としてのプロピレングリコール(SP値:δ=12.6(cal/cm^(3))^(1/2))0.75重量部と、第二表面架橋剤としてのプロピレングリコールジグリシジルエーテル(SP値:δ=10.1(cal/cm^(3))^(1/2))0.05重量部と、水3重量部と、エチルアルコール0.75重量部とからなる表面架橋剤を混合した。上記の混合物を195℃で40分間加熱処理することにより、吸水性樹脂を得た。得られた吸水性樹脂の平均粒径は390μmであり、粒径が106μm未満の粒子の割合は3重量%であった。この吸水性樹脂の結果を表1に合わせて記載した。
【0082】
〔比較例1〕
アクリル酸ナトリウム(中和率75モル%)の39重量%水溶液5500gに、架橋剤としてのトリメチロールプロパントリアクリレート7.18gを溶解させて反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、実施例1の反応器と同様の反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウム5.0gおよびL-アスコルビン酸0.25gを添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、30℃?80℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。
【0083】
得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュの金網上に広げ、150℃で90分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュの金網で分級することにより、平均粒径が360μmで、しかも、粒径が106μm未満の粒子の割合が5重量%の不定形破砕状の比較用吸水性樹脂を得た。得られた比較用吸水性樹脂の結果を表1に合わせて記載した。
【0084】
〔比較例2〕
比較例1におけるトリメチロールプロパントリアクリレートに代えて、架橋剤としてのN,N’-メチレンビスアクリルアミド18.67gを用いた以外は、比較例1と同様の反応および操作を行い、平均粒径が400μmで、しかも、粒径が106μm未満の粒子の割合が3重量%の不定形破砕状の比較用吸水性樹脂を得た。得られた比較用吸水性樹脂の結果を表1に合わせて記載した。
【0085】
〔比較例3〕
部分的に中和および架橋されたアクリル酸重合体(商品名:アクアリックCA・W4;株式会社日本触媒製)を比較用吸水性樹脂とした。得られた結果を表1に合わせて記載した。
【0086】
〔比較例4〕
部分的に中和および架橋された澱粉-アクリル酸グラフト重合体(商品名:サンウエットIM3900P;ヘキストセラニーズ株式会社製)を比較用吸水性樹脂とした。得られた結果を表1に合わせて記載した。
【0087】
〔比較例5〕
部分的に中和および架橋されたアクリル酸重合体(商品名:ダイヤウエットUS2-45Z;三菱油化株式会社製)を比較用吸水性樹脂とした。得られた結果を表1に合わせて記載した。
【0088】
〔比較例6〕
部分的に中和および架橋されたアクリル酸重合体(商品名:アクアキープSA-60;住友精化株式会社製)を比較用吸水性樹脂とした。得られた結果を表1に合わせて記載した。
【0089】
〔比較例7〕
株式会社ユニチャーム製のマミーポコ(商品名)と称する紙オムツから吸水性樹脂を取り出し、これを比較用吸水性樹脂とした。得られた結果を表1に合わせて記載した。
【0090】
【表1】

【0091】
〔実施例4〕
実施例1で得られた吸水性樹脂45重量部と、親水性繊維としての木材粉砕パルプ55重量部とを、ミキサーを用いて乾式混合した。得られた混合物を100mm×100mmの大きさのウェブに成形した後、このウェブを圧力2kg/cm^(2)で1分間プレスすることにより、坪量が約0.050g/cm^(2)の吸収体を得た。得られた吸収体の拡散吸収倍率(以下、単に結果と記す)を表2に合わせて記載した。
【0092】
〔実施例5〕
実施例1で得られた吸水性樹脂50重量部と、木材粉砕パルプ50重量部とを、ミキサーを用いて乾式混合した。得られた混合物を100mm×100mmの大きさのウェブに成形した後、このウェブを圧力2kg/cm^(2)で1分間プレスすることにより、坪量が約0.047g/cm^(2)の吸収体を得た。得られた吸収体の結果を表2に合わせて記載した。
【0093】
〔実施例6〕
実施例1で得られた吸水性樹脂60重量部と、木材粉砕パルプ40重量部とを、ミキサーを用いて乾式混合した。得られた混合物を100mm×100mmの大きさのウェブに成形した後、このウェブを圧力2kg/cm^(2)で1分間プレスすることにより、坪量が約0.041g/cm^(2)の吸収体を得た。得られた吸収体の結果を表2に合わせて記載した。
【0094】
〔実施例7〕
実施例1で得られた吸水性樹脂75重量部と、木材粉砕パルプ25重量部とを、ミキサーを用いて乾式混合した。得られた混合物を100mm×100mmの大きさのウェブに成形した後、このウェブを圧力2kg/cm^(2)で1分間プレスすることにより、坪量が約0.035g/cm^(2)の吸収体を得た。得られた吸収体の結果を表2に合わせて記載した。
【0095】
〔実施例8・9〕
実施例7において、実施例1で得られた吸水性樹脂に代えて、実施例2・実施例3で得られた吸水性樹脂をそれぞれ順に用いた以外は、実施例7と同様にして吸収体を得た。得られた吸収体の結果を表2に合わせて記載した。
【0096】
〔比較例8〕
実施例4において、実施例1で得られた吸水性樹脂に代えて、比較例1で得られた比較用吸水性樹脂を用いた以外は、実施例4と同様にして比較用吸収体を得た。得られた比較用吸収体の結果を表2に合わせて記載した。
【0097】
〔比較例9〕
実施例5において、実施例1で得られた吸水性樹脂に代えて、比較例1で得られた比較用吸水性樹脂を用いた以外は、実施例5と同様にして比較用吸収体を得た。得られた比較用吸収体の結果を表2に合わせて記載した。
【0098】
〔比較例10〕
実施例6において、実施例1で得られた吸水性樹脂に代えて、比較例1で得られた比較用吸水性樹脂を用いた以外は、実施例6と同様にして比較用吸収体を得た。得られた比較用吸収体の結果を表2に合わせて記載した。
【0099】
〔比較例11?17〕
実施例7において、実施例1で得られた吸水性樹脂に代えて、比較例1?比較例7で得られた比較用吸水性樹脂をそれぞれ順に用いた以外は、実施例7と同様にして比較用吸収体を得た。得られた比較用吸収体の結果を表2に合わせて記載した。
【0100】
【表2】

【0101】
〔実施例10〕
実施例1で得られた吸水性樹脂50重量部と、木材粉砕パルプ50重量部とを、ミキサーを用いて乾式混合した。次いで、得られた混合物を、400メッシュ(目の大きさ38μm)に形成されたワイヤースクリーン上にバッチ型空気抄造装置を用いて空気抄造することにより、120mm×400mmの大きさのウェブに成形した。さらに、このウェブを圧力2kg/cm^(2)で5秒間プレスすることにより、坪量が約0.047g/cm^(2)の吸収体を得た。
【0102】
続いて、液不透過性のポリプロピレンからなり、いわゆるレッグギャザーを有するバックシート(液不透過性シート)、上記の吸収体、および、液透過性のポリプロピレンからなるトップシート(液透過性シート)を、両面テープを用いてこの順に互いに貼着すると共に、この貼着物に2つのいわゆるテープファスナーを取り付けることにより、吸収性物品(つまり、紙オムツ)を得た。この吸収性物品の重量は46gであった。
【0103】
上記の吸収性物品を、いわゆるキューピー人形(体長55cm、重量5kg)に装着し、該人形をうつ伏せ状態にした後、吸収性物品と人形との間にチューブを差込み、人体において排尿を行う位置に相当する位置に、1回当たり50mlの生理食塩水を、20分間隔で順次注入した。そして、注入した生理食塩水が吸収性物品に吸収されなくなって漏れ出した時点で、上記の注入動作を終了し、このときまでに注入した生理食塩水の量を測定した。
【0104】
そして、上記の測定を4回繰り返した後、得られた測定値の平均を求め、この値を吸収量とした。その結果、該吸収量は250gであった。
【0105】
〔比較例18〕
実施例10において、実施例1で得られた吸水性樹脂に代えて、比較例1で得られた比較用吸水性樹脂を用いた以外は、実施例10と同様にして比較用吸収性物品を得た。この比較用吸収性物品の重量は46gであった。
【0106】
上記の比較用吸収性物品を用いて、実施例10と同様の測定を4回繰り返した後、得られた測定値の平均を求め、この値を吸収量とした。その結果、該吸収量は225gであった。
【0107】
表1・表2に記載された結果から明らかなように、本発明の吸水性樹脂および吸収体は、拡散吸収倍率が高く、しかも、非常に高い液拡散性を備えている。つまり、本発明の吸水性樹脂および吸収体の吸水特性と、比較用の吸水性樹脂および吸収体の吸水特性との差は、特に、吸収体における樹脂濃度が高くなるにつれて大きくなっていることがわかる。また、実施例10および比較例18に記載された結果から明らかなように、本発明の吸収性物品は、比較用吸収性物品よりも、非常に高い吸収量(吸水量)を保持する等の優れた性能(吸水特性)を示すことがわかる。
【0108】
【発明の効果】
上記の吸水性樹脂は、非常に高い液拡散性および吸水量を保持する等の優れた性能(吸水特性)を示すことができる。また、上記の吸収体は、吸水性樹脂の使用量が多い場合や、吸収体における樹脂濃度が高い場合においても、非常に高い液拡散性および吸水量を保持する等の優れた性能を示すことができるという効果を奏する。上記の吸収体は、例えば、高機能化かつ薄型化が望まれている紙オムツや生理用ナプキン、いわゆる失禁パット等の衛生材料等の吸収性物品に特に好適に用いることができる。これにより、上述した優れた性能を示す吸収性物品を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における吸水性樹脂が示す性能の一つである拡散吸収倍率の測定に用いる測定装置の概略の断面図である。
【図2】上記測定装置の要部の断面図である。
【図3】上記測定装置において、生理食塩水の拡散方向を説明する説明図である。
【図4】本発明における吸収体が示す性能の一つである拡散吸収倍率の測定に用いる測定装置の概略の断面図である。
【図5】図4の測定装置の要部の断面図である。
【図6】図4の測定装置において、生理食塩水の拡散方向を説明する説明図である。
【符号の説明】
1 天秤
2 容器
3 外気吸入パイプ
4 導管
5 測定部
6 ガラスフィルタ
7 濾紙
8 シート
9 支持円筒
10 金網
11 重り
12 生理食塩水
15 測定部
19 支持角筒
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2012-09-13 
出願番号 特願平7-145012
審決分類 P 1 41・ 851- Y (B01J)
P 1 41・ 853- Y (B01J)
最終処分 成立  
前審関与審査官 井上 雅博中村 敬子  
特許庁審判長 新海 岳
特許庁審判官 松岡 美和
井上 茂夫
登録日 1999-04-23 
登録番号 特許第2918808号(P2918808)
発明の名称 吸収体および吸収性物品  
代理人 特許業務法人原謙三国際特許事務所  
代理人 特許業務法人原謙三国際特許事務所  
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