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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01J
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 H01J
管理番号 1264721
審判番号 不服2010-28624  
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-12-17 
確定日 2012-10-10 
事件の表示 特願2003-570380「放出ディスプレイの陰極構造」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 8月28日国際公開、WO03/71571、平成17年 6月23日国内公表、特表2005-518636〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成15年2月18日(パリ条約による優先権主張 2002年2月19日 フランス)を国際出願日とする出願であって、特許請求の範囲について、平成21年6月8日付けで補正(以下、「補正1」という。)がなされ、平成22年8月12日付け(送達:同年同月17日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月17日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲についての手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。
その後、平成23年6月29日付けで当審より審尋したところ、請求人より、同年12月27日付け回答書の提出があった。

そして、原査定における請求項1についての拒絶の理由は、概略、以下のとおりである。
本願の特許請求の範囲に記載の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に国内又は外国において頒布された刊行物である、特開平10-31954号公報に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


2.本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
(1)本件補正の内容
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおり補正された。

(本件補正前)
「重ね合わされた、陰極を形成する電極(23)、抵抗層(26)及び層形状の電子放出材料で形成された手段(24)と、電気絶縁層(21)及びグリッド電極(25)と、前記グリッド電極及び前記電気絶縁層に形成され、前記電子放出材料で形成された手段を露出する開口部(22)と、前記グリッド電極の開口部の中心部に位置する前記電子放出材料で形成された手段(24)とを備え、前記開口部がスリット形状であり、前記スリットによって露出された前記電子放出材料で形成された手段は、前記スリットの長手方向に沿って一列に並べられた少なくとも2つの素子からなり、陰極を形成する前記電極が前記電子放出材料に対してオフセットされていることを特徴とする三極管型陰極構造。」

(本件補正後)
「支持体上に実現された堆積によって形成された三極管型陰極構造であって、前記堆積は、炭素ナノチューブを有する電子放出手段(24)に抵抗層(26)によって電気的に接続された陰極(23)を形成する電極を備え、前記堆積は、また、前記電子放出手段を露出させる開口部(22)が設けられたグリッド電極(25)を備え、前記グリッド電極は、電気絶縁層(21)を介して前記支持体によって支持されており、 前記グリッド電極の開口部はスリットであり、前記スリットによって露出された前記電子放出手段は、前記スリットの長手方向に沿って一列に並べられ相互に分離された少なくとも2つの素子からなり、陰極(23)を形成する前記電極は、前記電子放出手段(24)が陰極を形成する前記電極上に配置されるように、前記電子放出手段に対して前記堆積内でオフセットされていることを特徴とする三極管陰極構造。」
(下線は補正箇所を明示するために当審で付した。)

(2)本件補正の目的
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記グリッド電極の開口部の中心部に位置する前記電子放出材料で形成された手段(24)」に関して、「前記グリッド電極の開口部の中心部に位置する」という限定を削除する補正事項を含むものであるから、この点において特許請求の範囲を拡張するものである。
したがって、本件補正は、特許請求の範囲の減縮には当たらない。
また、前記補正事項は、請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しないことも明らかである。
よって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号ないし第4号に掲げる事項のいずれを目的とするものでもない。

(3)補正却下の決定についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


3.本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし6に係る発明は、明細書及び図面の記載からみて、補正1によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。

「重ね合わされた、陰極を形成する電極(23)、抵抗層(26)及び層形状の電子放出材料で形成された手段(24)と、電気絶縁層(21)及びグリッド電極(25)と、前記グリッド電極及び前記電気絶縁層に形成され、前記電子放出材料で形成された手段を露出する開口部(22)と、前記グリッド電極の開口部の中心部に位置する前記電子放出材料で形成された手段(24)とを備え、前記開口部がスリット形状であり、前記スリットによって露出された前記電子放出材料で形成された手段は、前記スリットの長手方向に沿って一列に並べられた少なくとも2つの素子からなり、陰極を形成する前記電極が前記電子放出材料に対してオフセットされていることを特徴とする三極管型陰極構造。」

ところで、この請求項1において、「陰極を形成する前記電極が前記電子放出材料に対してオフセットされている」と記載されているが、当該記載は、日本語として必ずしも明確でない。
また、「オフセット」という文言は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面には記載されておらず、補正1によって加入された文言であるところ、補正1と同日付けで提出された意見書においても、その補正の根拠として「図4およびそれに係る段落[0019]?[0020]の記載に基づき補正」したとの記載にとどまり、明確な説明がなされていない。
したがって、本願の請求項1に係る発明を、「オフセット」の一般的な意味を踏まえて、次のように認定した。

「重ね合わされた、陰極を形成する電極(23)、抵抗層(26)及び層形状の電子放出材料で形成された手段(24)と、電気絶縁層(21)及びグリッド電極(25)と、前記グリッド電極及び前記電気絶縁層に形成され、前記電子放出材料で形成された手段を露出する開口部(22)と、前記グリッド電極の開口部の中心部に位置する前記電子放出材料で形成された手段(24)とを備え、前記開口部がスリット形状であり、前記スリットによって露出された前記電子放出材料で形成された手段は、前記スリットの長手方向に沿って一列に並べられた少なくとも2つの素子からなり、陰極を形成する前記電極が前記電子放出材料に対してずらして配置されていることを特徴とする三極管型陰極構造。」(下線は、補正1によって補正された請求項1からの変更点を明示するため、当審で付した。以下、「本願発明」という。)

この認定は、前記意見書において、補正の根拠として示された本願の図4の記載とも整合する。


4.引用刊行物・引用発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、前記特開平10-31954号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、「電界放出素子およびその製造方法」(発明の名称)に関し、次の事項(a)ないし(d)が図面とともに記載されている。

(a)「【0011】
【発明の実施の形態】本発明の電界放出素子の実施の形態の構成例を図1および図2に示す。図1は、本発明の電界放出素子の斜視図であり、図2はその一部を拡大して示す断面図である。図1において、電界放出素子が形成されているガラスあるいはセラミックのカソード基板1には、エッチング等によりストライプ状の溝が多数本形成されている。この溝内には平面状のエミッタライン2がそれぞれ形成されている。また、ストライプ状の溝と溝との間のカソード基板1上にはゲートライン6が形成されている。」

(b)「【0015】そこで、カソードライン5とエミッタライン2との間に抵抗層4を形成すると、エミッタライン2の中の一つが形状の不均一性から異常に多い電子を放出し始めた場合、ゲートライン6とカソードライン5間には抵抗層4による電圧降下が生じるようになる。この電圧降下により、異常に多い電流を放出しようとするエミッタライン2の印加電圧が放出電流に応じて下げられるために、電子放出が抑制され、各エミッタライン2から安定した電子放出を行えるようになる。また、1本のエミッタライン2において局部的に電流が上昇する場合も同様に動作する。さらに、上記放電が生じても抵抗層4によりカソードライン5が溶断されることを防止することができる。このように、抵抗層4を設けることにより、電界放出素子の製造上の歩留りの向上、および安定な動作を確保することができるようになる。」

(c)「【0016】図1および図2に示す本発明の電界放出素子は、表示装置の電子源、プリンタの光源の電子源、OCRの光源の電子源等として用いることができる。図2に示す電界放出素子の製造方法を概略説明すると、まず、カソード基板1にエッチング等により多数本のストライプ状の溝を形成する。ついで、この溝内にカソードライン5を形成し、その上に抵抗層4を蒸着あるいは厚膜パターニングで形成し、その上にエミッタ層3を形成する。最後に、溝と溝との間のカソード基板1の表面にゲートライン6を形成する。このとき、エミッタ層3の表面とゲートライン5との間隔は、例えば1μm?2μmの間隔とされる。
【0017】エミッタ層3の材料としては、仕事関数の低いBaO,SrO,CaO,Y_(2)O_(3) ,YB_(6) ,GdB_(6) ,LaB_(6) ,Gd_(2) O_(3) ,CeB_(6) ,Nd_(2) O_(3) ,ThO_(2) ,PrB_(6) ,NdB_(6) ,La_(2) O_(3) ,ZrC,EuB_(6) ,TaC,ZrO_(2),ZrB_(2) ,TiC等を用い、ファインセラミックスとして焼結成膜させるか、または、炭酸塩等の形で塗布し、真空中でレーザーアニールまたはハロゲンランプ等による赤外線加熱等により熱分解させて酸化粒子膜の形成を行うことにより、エミッタ層3を形成する。または、Mo,Ti,Zr,Au,W,Cu,Al等を蒸着することにより、エミッタ層3を形成してもよい。また、エミッタ層3の材料内に導電性処理した微少なダイヤモンドを混合するようにしてもよい。ダイヤモンドのように鋭い角を有している粒子を混合すると、成膜後のエミッタ層3の表面から突起が突出することになり、電子を放出されやすくすることができる。さらに、CVD法で形成されるダイヤモンドライクカーボンによりエミッタ層3を形成するようにしてもよい。さらに、C60のようなナノカーボンまたは金属の酸化物、炭化物、窒化物等の超微粒子をペースト状にして塗布形成してもよい。」

(d)「【0024】次に、本発明の電界放出素子を作成する製造方法の第2の実施の形態を図5および図6に示す。ただし、図5および図6においては1本のエミッタラインを形成する工程を示している。まず、図5(a)に示すようにガラスあるいはセラミックのカソード基板1にフォトレジスト10を塗布して、フォトレジスト10をパターニングし、ついでエッチングすることにより多数本のストライプ状溝7をカソード基板1の一表面に形成する。ついで、図3(b)に示すようにカソード基板1を回転させながら斜め蒸着、あるいは回転させながら斜め方向からスプレー塗布によりリフトオフ層11をフォトレジスト10上に形成する。このとき、リフトオフ層11はストライプ状溝7の底面には付着されず、その壁面を覆うように付着する。
【0025】ついで、同図(c)に示すようにリフトオフ層11上に、カソード材料層5ー1を正蒸着により形成する。すると、ストライプ状溝7の底面にカソード材料が蒸着されてカソードライン5が形成される。さらに、図6(a)に示すようにカソード材料層5ー1上に抵抗材料層4ー1を形成する。すると、ストライプ状溝7の底面に形成されたカソードライン5上に抵抗材料が蒸着されて抵抗層4が形成される。抵抗層3(当審注:「抵抗層4」の誤記であると認められる。)の形成方法は、アモルファスシリコンのスパッタ蒸着法あるいはプラズマ蒸着法、または、厚膜抵抗層材料のスプレー塗布による方法のいずれかを採用すればよい。さらに、図6(a)に示すように抵抗層4ー1上にエミッタ材料層3ー1を形成する。エミッタ層3の形成方法としては、前記したエミッタ層3の材料を溶液状にしてスプレー塗布する方法、あるいは、スパッタ蒸着法、電子ビーム蒸着法、プラズマ蒸着法のいずれかを採用すればよい。
【0026】抵抗層4上にエミッタ層3が形成された場合、エミッタ層3の最上面の高さが、カソード基板1の表面の高さを越えないようにする。ついで、リフトオフ層11を除去すると共に、フォトレジスト10を除去すると、ストライプ状溝7とストライプ状溝7との間のカソード基板1の表面が露出するようになる。すなわち、ストライプ状溝7内に形成されているカソードライン5、抵抗層4、および、エミッタ層3以外の層が除去される。ついで、図6(b)に示すように露出しているストライプ状溝7とストライプ状溝7との間のカソード基板1の表面にゲートライン6を印刷等により厚膜形成する。
【0027】なお、ストライプ状溝7の壁面にリフトオフ層11を形成するのは、カソードライン5、抵抗層4およびエミッタ層3を形成するための材料がストライプ状溝7内の壁面等に付着して、エミッタ層3とゲートライン6とが短絡するのを防止するためである。これにより、図6(b)に示すような電界放出素子を作製することができる。なお、図示されていないが、このようにして作製されたエミッタライン2はカソード基板1上に多数本形成されている。前記図3から図6で説明した電界放出素子において、各ラインの端子の取り出しは、各電極へのワイヤボンディングにより行うか、あるいは、ガラスストライプのエッチングの端子部にテーパをつけて端子を蒸着形成することにより行う。」

以下、特に、図5及び図6に示される第2の実施の形態に係る発明に関して、上記記載事項を検討する。

(1)段落【0025】における「ストライプ状溝7の底面に形成されたカソードライン5上に抵抗材料が蒸着されて抵抗層4が形成される。」及び「さらに、図6(a)に示すように抵抗層4ー1上にエミッタ材料層3ー1を形成する。」との記載並びに図6(a)の記載より、カソードライン5、抵抗層4及びエミッタ層3は重ね合わされていることが見て取れる。

(2)段落【0024】における「まず、図5(a)に示すようにガラスあるいはセラミックのカソード基板1にフォトレジスト10を塗布して、フォトレジスト10をパターニングし、ついでエッチングすることにより多数本のストライプ状溝7をカソード基板1の一表面に形成する。」との記載より、カソード基板1は絶縁性材料からなるものと認められる。

(3)段落【0026】における「ついで、図6(b)に示すように露出しているストライプ状溝7とストライプ状溝7との間のカソード基板1の表面にゲートライン6を印刷等により厚膜形成する。」との記載より、ゲートライン6が多数本のストライプ状溝7の間に形成されているのであるから、逆に多数本のゲートライン6の間にストライプ状溝7が形成されているとも言えることは明らかである。

(4)図5及び図6並びにその説明である段落【0024】ないし【0027】の全体より、エミッタ層3がストライプ状溝7によって露出しており、また該ストライプ状溝7の中心部に位置していることは明らかである。
また、前記エミッタ層3が、前記ストライプ状溝7の長手方向に沿って一列に形成されていることも明らかである。

以上のとおりであるから、引用刊行物には、次の発明が記載されているものと認める。
「重ね合わされた、カソードライン5、抵抗層4及びエミッタ層3と、絶縁性のカソード基板1及びゲートライン6と、該ゲートライン6及び前記カソード基板1に形成され、前記エミッタ層3を露出するストライプ状溝7とを備え、前記エミッタ層3は、前記ストライプ状溝7の中心部に位置して、該ストライプ状溝7の長手方向に沿って一列に形成されている電界放出素子の構造。」(以下、「引用発明」という。)


5.対比
本願発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明における、「カソードライン5」、「抵抗層4」及び「エミッタ層3」は、本願発明における、「陰極を形成する電極(23)」、「抵抗層(26)」及び「層形状の電子放出材料で形成された手段(24)」に、それぞれ相当する。
また、引用発明における、「ゲートライン6」及び「ストライプ状溝7」は、本願発明における、「グリッド電極(25)」及び「開口部(22)」に、それぞれ相当する。

(2)引用発明における「絶縁性のカソード基板1」が、本願発明における「電気絶縁層(21)」に相当する層を形成していることは明らかである。

(3)引用発明における「ストライプ状溝7」の形状は、本願発明と同様の「スリット形状」であると言える。

(4)引用発明の「電界放出素子の構造」は、本願発明と同様の「三極管型陰極構造」であることは明らかである。

してみると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

(一致点)
「重ね合わされた、陰極を形成する電極(23)、抵抗層(26)及び層形状の電子放出材料で形成された手段(24)と、電気絶縁層(21)及びグリッド電極(25)と、前記グリッド電極及び前記電気絶縁層に形成され、前記電子放出材料で形成された手段を露出する開口部(22)とを備え、前記電子放出材料で形成された手段(24)は、前記グリッド電極の開口部の中心部に位置し、前記開口部がスリット形状であり、前記スリットによって露出された前記電子放出材料で形成された手段は、前記スリットの長手方向に沿って一列に形成されていることを特徴とする三極管型陰極構造。」

(相違点)
相違点1:本願発明において、「前記電子放出材料で形成された手段(24)」は、前記スリットの長手方向に沿って「一列に並べられた少なくとも2つの素子」からなるのに対して、引用発明においては、「エミッタ層3」が、スリットの長手方向に沿って「一列に」形成されてはいるものの、「一列に並べられた少なくとも2つの素子」からなるとは認められない点。

相違点2:本願発明において、「陰極を形成する前記電極が前記電子放出材料に対してずらして配置」されているのに対して、引用発明においては、カソードライン5上に抵抗層4及びエミッタ層3が形成されている点。


6.判断
上記相違点について判断する。

(1)相違点1について
引用発明において、スリットの長手方向に沿って一列に形成されたエミッタ層3を「少なくとも2つの素子」からなるようにすることに技術的な困難性は認められないから、当業者が適宜なし得る設計的な事項であると認められる。
現に、三極管型陰極構造の技術分野において、電子放出材料で形成された手段を、「スリットの長手方向に沿って一列に形成された少なくとも2つの素子」からなるようにすることは、特開平7-249368号公報(特に、段落【0028】、【0029】、【0067】、図10、図45ないし図48を参照。)で開示されているように、本願の優先日前において周知の技術である。

(2)相違点2について
三極管型陰極構造の技術分野において、陰極を形成する電極を電子放出材料に対して「ずらして配置」することは、本願の優先日前において周知の技術であり、引用発明においても、カソードライン5をエミッタ層3に対してずらして配置するようにすることは、当業者であれば容易になし得たことである。
前記周知の技術について、必要であれば、特開平4-292831号公報(特に、段落【0010】、【0015】、【0016】等と図面を参照。)、国際公開第99/62093号(特に、第8ページ第1ないし7行及び第11ページ第12ないし14行並びに第3Aないし3F図及び第4Aないし4D図を参照。)又は特開2001-23506号公報(特に、段落【0042】ないし【0050】並びに図12及び図14を参照。)を参照のこと。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び上記周知の技術から当業者が予測可能なものである。


7.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-05-09 
結審通知日 2012-05-15 
審決日 2012-05-30 
出願番号 特願2003-570380(P2003-570380)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01J)
P 1 8・ 57- Z (H01J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山口 剛佐藤 高之  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 ▲高▼木 真顕
森 雅之
発明の名称 放出ディスプレイの陰極構造  
代理人 市川 利光  
代理人 小栗 昌平  
代理人 本多 弘徳  

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