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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B28B 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B28B |
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管理番号 | 1264804 |
審判番号 | 不服2010-21319 |
総通号数 | 156 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-09-22 |
確定日 | 2012-10-17 |
事件の表示 | 特願2000-621141号「挿入物を備えるセラミックハニカム体」拒絶査定不服審判事件〔平成12年12月7日国際公開、WO00/73046、平成15年1月7日国内公表、特表2003-500256号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成12年5月22日(パリ条約による優先権主張 1999年5月31日 (DE)独国)を国際出願日とする出願であって、平成21年12月28日付けの拒絶理由が通知され、平成22年4月5日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年5月28日付けで拒絶査定され、これに対して同年9月22日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書が提出されたものであり、その後、特許法第164条第3項に基づく報告を引用した平成23年11月25日付けの審尋が通知され、平成24年2月27日付けで回答書が提出されたものである。 2.平成22年9月22日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成22年9月22日付けの手続補正を却下する。 [理由] (2-1)補正事項 平成22年9月22日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に係る補正を含み、補正前後の請求項1の記載は、次のとおりである。 (補正前) 「【請求項1】 少なくとも部分的にセラミックで構成された壁(8)を有しかつダクト(5)を備える排気ガス浄化用ハニカム体(4)を製造するための方法であって、ハニカム体(4)は、一連の 塑性変形可能でさらに塑性変形後に固化可能な第1の材料によって、予め設計可能な層(24)を生成するステップと、 層(24)を固化するステップとを繰返すことによって、層状に構成され、 ハニカム体(4)に第2の導電性材料(25)を付与することによって、および/または、導電体(9、10)を挿入することによって、測定センサ(15)および/または加熱装置を提供することを特徴とする、方法。」 (補正後) 「【請求項1】 少なくとも部分的にセラミックで構成された壁(8)を有しかつダクト(5)を備える排気ガス浄化用ハニカム体(4)を製造するための方法であって、ハニカム体(4)は、一連の セラミック原料を含み塑性変形可能でさらに塑性変形後に固化可能な第1の材料によって、コンピュータで予め設計された形状の層(24)を生成するステップと、 その層(24)を固化するステップとを繰返すことによって、積層状に構成され、 ハニカム体(4)に第2の導電性材料(25)を付与することによって、および/または、導電体(9、10)を挿入することによって、測定センサ(15)および/または加熱装置を提供することを特徴とする、方法。」 (2-2)補正の適否 請求項1に係る補正の補正事項は、 (i)補正前の「塑性変形可能でさらに塑性変形後に固化可能な第1の材料」を補正後の「セラミック原料を含み塑性変形可能でさらに塑性変形後に固化可能な第1の材料」とし、 (ii)補正前の「予め設計可能な層(24)を生成する」を補正後の「コンピュータで予め設計された形状の層(24)を生成する」とし、 (iii)補正前の「層(24)」を補正後の「その層(24)」とするものである。 ここで、 (i)については、請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「塑性変形可能でさらに塑性変形後に固化可能な第1の材料」に関して、「セラミック原料を含み」という事項でもって「塑性変形可能で・・第1の材料」が何であるかを具体的に限定するものであり、 (ii)については、請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「予め設計可能な層(24)を生成する」ことに関して、「コンピュータで」「設計された」という事項でもって「予め・・生成する」ことの形態がどのようなものであるかを具体的に限定するものであり、 (iii)については、上記(ii)で示す「・・・層(24)を生成する」の「層(24)」との関係が明らかになるように後出の「層(24)」に「その」を付加するものであり、かつ、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、請求項1に係る補正は、平成18年法律第55条改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮および同第4号の明りょうでない記載の釈明を目的にするものである。 そして、願書の最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」という。)には、「【請求項4】 流体が流れることができ互いに隣り合うように配置されるダクト(5)を備えるハニカム体(4)であって、ハニカム体(4)は、ダクト(5)を形成しセラミックから構成される壁(8)を有し、少なくとも1つの測定センサ(15)および/または導電性マスがハニカム体(4)のセラミック壁(8)に組込まれることを特徴とする、ハニカム体。」および「【0025】 【発明の実施の形態】 図1は、ハニカム体を製造するための方法を示す概略図である。方法およびさらなる特徴、具体的には用いられる材料とそれらの特性とに関して、開示の範囲内でEP 0 627 983 B1を参照する。ハニカム体の製造の前に、必要なすべての計算をコンピュータ設備1で行なう。具体的には、乱流の計算、化学反応の計算、熱の計算および安定度の計算によって、ハニカム体の動作範囲を考慮に入れて、ハニカム体の形状な構成を定めることができる。たとえばこの方法で、構造を利用して計算された設計を、たとえば同時に、対応する好適な製造機械2に、コンピュータ設備1によって移す。製造機械2は、たとえば示される座標系に従って、製造テーブル3上を、対応するように動く。同時に、予め計算された層および構造を形成し固着する。製造テーブル3上で形成されつつあるハニカム体4が示される。点線で示されるダクト5は、ハニカム体4を通る縦軸に沿って伸びる。ハニカム体4の第1の側6は、ハニカム体4を通って後に流れる流体のための入口を規定し、まだ完成していない第2の側7は、流体のための、対応する出口を規定する。第1の本体9および第2の本体10がハニカム体4の壁8に挿入され、さらなるハニカム体の仕上げの間に、それらはハニカム体に組込まれる。図示されるように、2つのボディ9および10は、製造の間、意図されたポイントに差し込まれる。このことは、ハニカム体4の内壁8においても可能である。断面状のディスクの構成に加えて、適切な固着の場合には、たとえば、ハニカム体がその中で作られる対応する型の助けでもって、ハニカム体4を水平に構成することもまた可能である。この種類の製造は、ハニカム体4に長い本体を挿入して組込むときに特に適切である。」との記載があり、これらからして、請求項1に係る補正は、当初明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであるので、平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定を満足するものである。 (2-3)独立特許要件について そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2-3-1)本願補正発明 本願補正発明は、上記(2-1)において示した補正後の請求項1に記載された事項により特定されるものである。 (2-3-2)引用例の記載事項 ◇原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用した特表平7-507013号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の記載がある。 (a)公報第6頁左上欄第16行?同右上欄第17行 「変法例1 公知の方法で有機物を含有しなくなった天然骨から層状に素材を取り出す。各層表面の写真記録を行なう。これらの記録あるいは層表面を直接CAD/CAMシステムにレーザースキャナーを使って転送する。層記録の配列および複製をコンピューターシステム内で行なう、これらの個々の層をポジフィルムに転送し、対応するプリントスクリーンをこれを使って製造する。 合成によって沈殿させたヒドロキシ燐灰石を慣用の有機物液化器を使って、液化セラミック組成物に加工する。 この組成物を第一のスクリーンを使用して基体上の層に印刷する。その後に熱風で乾燥する。第二層を第一の乾燥したセラミック層に第二の多孔層記録のスクリーンを使って適用し、再び乾燥する。全ての層を印刷し、セラミック製の未焼成の成形体が得られるまでこの工程が続く、得られた未焼成の成形体はさらに同じ組成のセラミックスリップを使用して、層の転移部分を平滑にするために、リンスされる。 未焼成の成形体をその後にセラミックに、例えば約1300℃まで50K/分の加熱速度、その後に2時間の維持時間を与える焼結プログラムで焼結する。冷却後にセラミック製の成形品が完成する。」 (b)公報第7頁左上欄第1?12行 「あらゆる希望する使用目的のための成形品は所定の細孔構造を有する多孔性成形品の製造のための本発明の方法により製造することも出来る。 これらの成形品の例は自動車の排気精製用のセラミック触媒支持体である。現在の技術によると、射出成形された蜂の巣状の形態をした物品は長さ方向のみの細孔を有し、その製造方法にしたがって、この目的のために使用される。3次元に接合している細孔構造を有し、本発明による方法で製造されるセラミック製の触媒支持体はかなり高い内部表面積故にその有効性が増大し、かつ構造上の大きさが減少している。」 (c)上記(a)の記載事項より、引用例1には、「成形品は、一連の 印刷後に乾燥される液化セラミック組成物によって、コンピュータで予め設計された形状の層を印刷する工程と、その層を乾燥する工程とを繰返すことによって、積層状に構成され」ることが記載されているということができる。 (d)上記(b)の記載事項より、引用例1には、「セラミックで構成された、長さ方向のみの細孔(ダクト)と壁を備える排気ガス浄化用の蜂の巣状形態の触媒支持体を製造する」ことが記載されているということができる。 上記(a)、(b)の記載事項および上記(c)、(d)の検討事項より、引用例1には、 「セラミックで構成された壁を有しかつダクトを備える自動車排気ガス浄化用の蜂の巣状形態の触媒支持体を製造するための方法であって、蜂の巣状形態の触媒支持体は、一連の 印刷後に乾燥される液化セラミック組成物によって、コンピュータで予め設計された形状の層を印刷する工程と、 その層を乾燥する工程とを繰返すことによって、積層状に構成される、方法。」の発明(以下、「引用例1記載の発明」という。)が開示されている。 ◇原査定の拒絶の理由で引用文献9として引用した特開平8-188478号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下の記載がある。 (e)「【0002】 【従来の技術】従来、セラミックスは、通常、微粒の窒化珪素や炭化珪素又はアルミナ等のセラミックス粉末を仮成形して焼結し、また、必要に応じ前記のセラミックス粉末内に炭化珪素線や窒化珪素線、アルミナ線等で形成した非導電性の強化繊維束を一体的に埋設して仮成形し焼結して製造され、高温強度とともに耐食性、耐摩耗性に優れ航空宇宙産業やエネルギー産業、自動車産業等において、その各部に適用される素材として開発されている。しかし、セラミックスは優れた特性を持つている反面、非常に脆くて信頼性に欠ける問題点があり、前記のセラミックスでは、従来、表面に多数のセンサー(歪計等)を貼着して応力等を検出して、その破壊等の致命的な結果を回避している。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】従来、各種のセラミックスにおける前記のようなセンサーによる検知手段は、セラミックスの破壊部位を特定するのは難しく、その劣化度や荷重負荷の履歴等の検出には限界があって予告なしに破壊が生じる可能性が残り、信頼性に欠けるとともにその検知に多くの手数、手間を要するなどの課題がある。 【0004】本発明は、前記のような課題を解決するために開発されたものであって、その目的とする処は、セラミックス内に設けた導電性の検知繊維による電気抵抗の変化測定により、セラミックスの破壊特性とともに応力状態や劣化度等を容易に検出可能とし、検知性能とともに使用条件や交換時期等への対応性を高めて信頼性を向上した破壊・劣化検知機構付きセラミックスを提供するにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、セラミックス粉末内に金属チタン線又は窒化チタン線等で形成した導電性の繊維束を埋設して焼結し、あるいは炭化珪素線又は窒化珪素線等で形成した非導電性の強化繊維束及び前記の導電性の繊維束を間隔を置き埋設して焼結し、この導電性の繊維束を電気抵抗の変化検出によるセラミックスの応力状態や劣化度等の検知繊維を構成したことにより、セラミックスの破壊特性や応力状態や劣化度等の容易に検知可能とし、検知性能とともに使用条件や交換時期等に対する対応性、信頼性を高めて前記のような課題を解決している。」 (f)「【0008】第1実施例は、セラミックス粉末1内に金属チタン線又は窒化チタン線等で形成した導電性の繊維束3を埋設して焼結し、導電性の繊維束3を電気抵抗の変化検出によるセラミックス5の応力状態や劣化度等の検知繊維3に構成した破壊・劣化検知機構付きセラミックスになっている。」 上記(e)、(f)の記載事項より、引用例2には、 「自動車産業において、その各部に適用される素材として開発されている『セラミックスの応力状態や劣化度等を検知する破壊・劣化検知機構付きセラミックス』を製造するための方法であって、セラミックス粉末内に導電性の繊維束を埋設して焼結することによって、破壊・劣化検知機構を提供する、方法。」の発明(以下、「引用例2記載の発明」という。)が開示されている。 (2-3-3)対比・判断 本願補正発明と引用例1記載の発明とを対比する。 ○引用例1記載の発明の「セラミックで構成された」、「自動車排気ガス浄化用の蜂の巣状形態の触媒支持体」、「印刷」、「液化セラミック組成物」、「工程」、「乾燥」は、本願補正発明の「少なくとも部分的にセラミックで構成された」、「排気ガス浄化用ハニカム体」、「生成」、「セラミック原料を含む第1の材料」、「ステップ」、「固化」にそれぞれ相当する。 ○引用例1記載の発明の「印刷後に乾燥(固化)される液化セラミック組成物(セラミック原料を含む第1の材料)によって、コンピュータで予め設計された形状の層を印刷する工程(ステップ)と、その層を乾燥する工程とを繰返すこと」は、液化セラミック組成物自体、印刷および乾燥されるものであることから、塑性変形可能でさらに塑性変形後に固化可能なものであるといえるので、本願補正発明の「セラミック原料を含み塑性変形可能でさらに塑性変形後に固化可能な第1の材料によって、コンピュータで予め設計された形状の層を生成するステップと、その層を固化するステップとを繰返すこと」に相当する。 上記より、本願補正発明と引用例1記載の発明とは、 「少なくとも部分的にセラミックで構成された壁を有しかつダクトを備える排気ガス浄化用ハニカム体を製造するための方法であって、ハニカム体は、一連の セラミック原料を含み塑性変形可能でさらに塑性変形後に固化可能な第1の材料によって、コンピュータで予め設計された形状の層を生成するステップと、 その層を固化するステップとを繰返すことによって、積層状に構成される、方法。」という点で一致し、以下の点で相違している。 <相違点> 本願補正発明では、「ハニカム体に第2の導電性材料を付与することによって、および/または、導電体を挿入することによって、測定センサおよび/または加熱装置を提供する」のに対して、引用例1記載の発明では、この点を発明特定事項にしていない点。 <相違点>について検討する。 一般に、「セラミックで構成された排気ガス浄化用ハニカム体」において、温度変化による応力(膨張/収縮)で生じるセラミックハニカム体の損壊を回避すべきことは、先行技術文献を示すまでもなく、当業者において普通に知られた課題であることから、引用例1記載の発明の「セラミックで構成された壁を有しかつダクトを備える自動車排気ガス浄化用の蜂の巣状形態の触媒支持体(セラミックで構成された排気ガス浄化用ハニカム体)」においても、同じ課題が存しているとみるのが妥当であり、そうである以上、この課題を解決するために応力を検知する必要がある、つまり、セラミックハニカム体(セラミック体)に応力検知手段を提供することは当業者であれば当然想起し得ることである。 そして、上記(2-3-2)で示したように、引用例2には、「自動車産業において、その各部に適用される素材として開発されている『セラミックスの応力状態や劣化度等を検知する破壊・劣化検知機構付きセラミックス』を製造するための方法であって、セラミックス粉末内に導電性の繊維束を埋設して焼結することによって、破壊・劣化検知機構を提供する、方法。」の発明が開示されており、ここで、引用例2記載の発明の「破壊・劣化検知機構」、「導電性の繊維束」、「セラミックス」は、本願補正発明の「測定センサ」、「導電性材料」、「セラミック体」にそれぞれ相当していることから、引用例2記載の発明の「自動車産業において・・・『セラミックスの応力状態や劣化度等を検知する破壊・劣化検知機構付きセラミックス』を製造するための方法であって、セラミックス粉末内に導電性の繊維束を埋設して焼結することによって、破壊・劣化検知機構を提供する、方法。」は、「セラミック体を製造するための方法であって、セラミック体に導電性材料を付与することによって、応力等を検知する測定センサを提供する、方法。」であるということができる。 そうすると、引用例1記載の発明の「セラミックで構成された壁を有しかつダクトを備える自動車排気ガス浄化用の蜂の巣状形態の触媒支持体(セラミックで構成された排気ガス浄化用ハニカム体)」において、上記で示したように、セラミックハニカム体(セラミック体)に応力検知手段を提供しようとするとき、引用例2記載の発明の上記「セラミック体に導電性材料を付与することによって、応力等を検知する測定センサを提供する」という事項を適用すること、つまり、「ハニカム体(セラミック体)に導電性材料(前出の『第1の材料』と区別する観点より『第2の材料』としてみることができるもの)を付与することによって、および/または、導電体を挿入することによって、測定センサおよび/または加熱装置を提供する」という事項を構成することは、当業者であれば容易に想到し得ることである。 したがって、相違点に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、引用例1、2記載の発明に基いて当業者であれば容易になし得ることである。 そして、本願補正発明の作用効果は、本願明細書および図面を参酌しても格別顕著なものとして把握することができない。 よって、本願補正発明は、引用例1、2記載の発明から当業者であれば容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 (2-3-4)補正却下についてのむすび 以上のとおりであるから、本件補正は、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるので、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について (3-1)本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成22年4月5日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、上記2.(2-1)で補正前として示したとおりのものである。 (3-2)引用例記載の発明 引用例1、2記載の発明は、上記2.(2-3-2)で示したとおりである。 (3-3)対比・判断 上記2.(2-2)で示したように、請求項1に係る補正は、特許請求の範囲の減縮および明りょうでない記載の釈明を目的にするものであることから、本願発明は、本願補正発明を包含している。 そうすると、本願補正発明が、上記2.(2-3-3)で示したように、引用例1、2記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、本願補正発明を包含する本願発明も同じく、引用例1、2記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3-4)むすび したがって、本願発明は、引用例1、2記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 それゆえ、本願は、特許請求の範囲の請求項2ないし10に係る発明について、検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-05-17 |
結審通知日 | 2012-05-22 |
審決日 | 2012-06-07 |
出願番号 | 特願2000-621141(P2000-621141) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B28B)
P 1 8・ 575- Z (B28B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小川 武 |
特許庁審判長 |
豊永 茂弘 |
特許庁審判官 |
田中 則充 斉藤 信人 |
発明の名称 | 挿入物を備えるセラミックハニカム体 |
代理人 | 森田 俊雄 |
代理人 | 深見 久郎 |
代理人 | 仲村 義平 |
代理人 | 堀井 豊 |