• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1265059
審判番号 不服2011-721  
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-01-12 
確定日 2012-10-25 
事件の表示 特願2006- 86546「弾球遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 7月 6日出願公開、特開2006-175281〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、
平成12年8月11日に出願した特願2000-244261号の一部を分割して、平成18年3月27日に新たな特許出願としたものであって、
平成18年9月29日付けで手続補正書が提出され、
平成22年4月19日付けで拒絶理由が通知され、これに応答して同年7月5日付けで手続補正書が提出されたが、
同年10月5日付けで拒絶査定がされたため、
これを不服として平成23年1月12日付けで拒絶査定不服審判が請求され、
当審において、平成24年5月22日付けで拒絶理由通知が通知され、これに応答して同年8月2日付けで手続補正書が提出されたものである。


2.本願発明
本出願に係る発明は、平成24年8月2日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲により特定されるとおりのものである。
そして、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「特定入賞口に打球が入賞したことを検出するための特定入賞検出手段と、
図柄を表示可能な図柄表示装置と、
前記図柄表示装置の図柄の変動表示中、前記特定入賞検出手段により検出された打球を保留球として表示可能な保留表示装置と、
前記特定入賞検出手段、前記図柄表示装置、前記保留表示装置にそれぞれ接続され、遊技を制御するための遊技制御手段とを備え、
前記遊技制御手段には、
前記特定入賞検出手段によって打球が検出されたことにもとづいて、乱数を取得するための乱数取得手段と、
前記乱数取得手段により取得された乱数にもとづいて、前記図柄表示装置に図柄を変動表示させるための図柄変動表示手段と、
前記乱数取得手段により取得された乱数が当選乱数であることを条件に、前記図柄変動表示手段により、予め設定された賞態様を構成する図柄を前記図柄表示装置に停止表示させた後、遊技者に有利な特別遊技を行わせるための特別遊技制御手段と、
前記図柄変動表示手段による図柄の変動表示中又は前記特別遊技制御手段による特別遊技中、前記特定入賞検出手段により打球が検出されたことにもとづいて、前記乱数取得手段により乱数を取得し、当該乱数を保留乱数として記憶するための保留乱数記憶手段と、
保留乱数記憶手段に記憶された保留乱数を読み込み、当該保留乱数の抽選結果を判定するための保留乱数判定手段と、
前記保留乱数記憶手段に記憶された前記保留乱数の個数を、前記保留表示装置に表示するための保留表示制御手段と、
前記特別遊技制御手段による特別遊技の終了後、前記乱数取得手段により前記当選乱数を取得する可能性を通常変動遊技よりも増加させる確率変動遊技を行わせるための確率変動遊技制御手段とを備える弾球遊技機において、
前記確率変動遊技制御手段には、
前記確率変動遊技中の図柄の変動回数を計数するための図柄変動回数計数手段と、
前記図柄変動回数計数手段により計数した図柄の変動回数が、予め設定された所定回数に達したことを条件に、前記確率変動遊技を終了させるための確率変動遊技終了条件判定手段とを備え、
前記保留表示制御手段には、
前記通常変動遊技中、前記保留乱数記憶手段に記憶された保留乱数に対応した保留表示態様を第1の表示態様で表示し、
前記確率変動遊技中、前記保留乱数記憶手段に記憶された保留乱数に対応した保留表示態様を第2の表示態様で表示する保留情報表示手段を備え、
前記保留情報表示手段には、
図柄変動回数計数手段により計数した図柄の変動回数にもとづいて、前記確率変動遊技中の保留表示態様を変化させるための保留表示態様変化手段と、
前記保留乱数判定手段により判定した保留乱数が、特別遊技に移行する可能性が高い乱数に該当する場合に、その旨を前記保留表示装置に表示するための高確率演出パターン表示手段とを備え、
前記保留表示態様変化手段は、
前記確率変動遊技中に前記特定入賞検出手段により打球が検出されたことにもとづいて乱数を取得し、当該保留乱数にもとづく図柄の変動が前記所定回数に達する前に行われるときには、当該保留乱数に対応した保留表示態様を第2の表示態様で表示し、
前記確率変動遊技中に前記特定入賞検出手段により打球が検出されたことにもとづいて乱数を取得したものの、当該保留乱数にもとづく図柄の変動が前記所定回数に達した後に行われるときには、当該保留乱数に対応した保留表示態様を第1の表示態様で表示し、
前記高確率演出パターン表示手段は、
前記保留乱数判定手段により判定した前記保留乱数が、特別遊技に移行する可能性が高い乱数に該当するときには、前記特別遊技中に当該保留乱数に対応した保留表示態様を第3の表示態様で表示することを特徴とする弾球遊技機。」


3.特許性についての検討
(1) 引用文献に記載された事項
平成24年5月22日付け拒絶理由における引用文献1である特開2000-217987号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(ア)「【0031】
【発明の実施の形態】以下に、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を具体化した一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0032】図1に示すように、パチンコ機1の遊技盤2には、作動口3及び大入賞口4が設けられている。・・・
【0034】遊技盤2の中央部分には、特別図柄表示装置13が組込まれている。この特別図柄表示装置13は、液晶ディスプレイ(LCD)よりなる表示部13aを備えており、ここに複数の図柄列が表示される。図2に示すように、本実施の形態では、これらの図柄列として左図柄列14、中図柄列15及び右図柄列16の3つの図柄列が表示されるが、それ以外の数の図柄列が表示されてもよい。
【0035】図2に示すように、各図柄列14?16は、それぞれ複数種類で複数個の図柄17A?17Hと、1種類で複数個の図柄17Kとによって構成されている。各図柄17A?17Hは、それぞれ「1」?「8」の数字によって構成され、これらの数字は順に配列されている。これらの図柄17A?17Hは、特別遊技図柄としての大当たり図柄、外れリーチ図柄及び外れ図柄のいずれかになり得る。また、図柄17Kは「菱形」のマークによって構成されており、当該図柄17Kは、外れ図柄にのみなりうる。
【0036】各々の図柄列14?16においては、各図柄17A?17H,17Kが例えば上から下へとスクロールすることにより変動表示される。」

(イ)「【0040】図2(a),(b)等に示すように、特別図柄表示装置13の表示部13aでは、各図柄列14?16の図柄変動(回転変動)が、遊技球5の作動口3への入賞に基づいて開始させられる。また、大当たり図柄、外れリーチ図柄、外れ図柄の中から1つが選択され、これが停止図柄として設定される。停止図柄とは、各図柄列14?16が図柄変動を停止したときに表示される図柄である。本実施の形態では、図柄変動は、左図柄列14、右図柄列16、中図柄列15の順に停止させられるが、これはあくまでも1例にすぎず、別の順序で停止させられるようにしてもよい。
【0041】大当たり図柄は、リーチ状態を経た後、遊技者に有利な特別遊技状態としての大当たり状態を発生させるための図柄である。詳しくは、図2(e),(f)に示すように、全ての図柄列14?16の変動が停止させられたとき、表示されている図柄17A?17Hの組合せが、予め定められた大当たりの組合せとなる場合がある。すなわち、同一種類の図柄17A?17Hが大当たりラインLに沿って並んだときに、同一図柄17A?17Hの組合せ(例えば、通常モードにおいて図2(e)では「4」、「4」、「4」の図柄17D、図2(f)では「3」、「3」、「3」の図柄17C)となる場合がある。この組合せを構成する図柄が「大当たり図柄」である。大当たりの組合せが成立すると、特別電動役物が作動し(大入賞口4が開かれ)、遊技者にとって有利な大当たり状態が発生させられる。すなわち、より多くの景品球を獲得することが可能となる。」

(ウ)「【0045】遊技球5の作動口3への入賞に基づいて各図柄列14?16の図柄変動が開始させられることはすでに説明したが、この変動表示中にさらに遊技球5が作動口3に入賞した場合には、通過ゲート54を通過した場合と同様、その分の変動表示は、現在行われている変動表示の終了後に行われる。つまり、変動表示が待機(保留)される。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められている。本実施の形態では保留最大回数が4回に設定されているが、これに限られるものではない。
【0046】図1に示すように、特別図柄表示装置13において、表示部13aの上方には、発光ダイオード(LED)からなる保留ランプ18a,18b,18c,18dが組み込まれている。当該保留ランプ18a?18dの数は、前述した保留最大回数と同じ(この場合4個)である。保留ランプ18a?18dは、変動表示の保留毎に点灯させられ、その保留に対応した変動表示の実行に伴い消灯させられる。」

(エ)「【0048】遊技者の操作に応じて変化するパチンコ機1の遊技状態を検出するべく、本実施の形態では、遊技盤2には、スルースイッチ20、作動口用スイッチ21、Vゾーン用スイッチ22及びカウントスイッチ23等がそれぞれ取付けられている。スルースイッチ20は、遊技球の通過ゲート54の通過を検出し、作動口用スイッチ21は、遊技球5の作動口3への入賞を検出する。また、Vゾーン用スイッチ22は遊技球5の大入賞口4のうちのVゾーン8への入賞を検出し、カウントスイッチ23は、遊技球5の大入賞口4への入賞を検出する。
【0049】本実施の形態では、各スイッチ20?23の検出結果に基づきソレノイド10,12、特別図柄表示装置13、各保留ランプ18a?18d、普通図柄表示装置51(7セグ表示部53及び保留ランプ52)、羽根6等をそれぞれ駆動制御するために制御装置24が設けられている。制御装置24は、読み出し専用メモリ(ROM)、中央処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)等を備えている。ROMは所定の制御プログラムや初期データを予め記憶しており、CPUはROMの制御プログラム等に従って各種演算処理を実行する。RAMは、CPUによる演算結果を、図3に示す図柄乱数バッファ31?36、図4に示す図柄乱数エリア41(i)?45(i)、図5に示す停止図柄エリア46?48等に一時的に記憶する。」

(オ)「【0051】また、本実施の形態においては、CPU(制御装置24)による制御の1つとして、モード切換制御がある。本実施の形態では、遊技モード(遊技状態)として通常モード及び確率変動モード(=高確率モード。以下、「確変モード」と称する)が用意されている。すなわち、例えば350分の1程度の比較的低確率で大当たり遊技状態を発生させる通常モードと、その約5倍である70分の1程度の高確率で大当たり遊技状態を発生させる確変モードとがある。
【0052】なお、一般的に、確変モードの概念としては、(1)7セグ表示部53に「7」が表示される確率を通常時に比べて高め、作動口3の羽根6を開放させる機会を増やすこと、(2)7セグ表示部53における数字の変動時間を短くすること、(3)羽根6の開放時間を長くすること(及び/又は入賞個数を多くすること)、(4)特別図柄表示装置13の表示部13aの図柄17A?17H,17Kの変動時間を短くすること、(5)大当たり確率が通常モードに比べて高くなること等が挙げられるが、本実施の形態における確変モードにおいては、これら(1)?(5)のうち、(5)のみ、すなわち、大当たり確率が単に高められることのみが実行される。
【0053】本実施の形態では、パチンコ機1の電源投入時においては、通常モードに設定される。また、その後は、大当たり遊技状態となった際に、確変モード又は通常モードのいずれかが選択される。そして、大当たり状態終了後において、当該選択されたモードが実行される。より詳しくは、本実施の形態では、大当たり遊技状態となったときの図柄17A?17H(大当たり図柄)が奇数(「1」、「3」、「5」、「7」)の場合には、大当たり状態終了後の遊技モードが確変モードに設定され、大当たり遊技状態となったときの図柄17A?17H(大当たり図柄)が偶数(「2」、「4」、「6」、「8」)の場合に、大当たり状態終了後の遊技モードが通常モードに設定される。
【0054】但し、本実施の形態では、遊技モードが確変モードに設定された場合であっても、必ずしも次回の大当たり状態の発生まで確変モードが継続されるわけではなく、図柄17A?17H,17Kの変動停止が所定回数行われることを必要条件に通常モードに切換えられるようになっている。より詳しくは、大当たり図柄が「1」又は「5」の場合には前記所定回数が「100回」に、大当たり図柄が「3」又は「7」の場合には前記所定回数が「10000回」にそれぞれ設定される。そして、当該設定された所定回数だけ図柄17A?17H,17Kの変動停止が行われたにもかかわらず大当たり状態が発生しない場合には、遊技モードがそれまでの確変モードから通常モードへと切換えられてしまうのである。
【0055】次に、前記のように構成されたパチンコ機1の作用及び効果について説明する。図7から図13のフローチャートは、制御装置24によって実行される各種ルーチンを示している。これらのルーチンの処理は、カウンタ群及び入賞判定フラグFE等に基づいて実行される。カウンタ群は、ラウンドカウンタCR、保留カウンタCH、入賞カウンタCE、内部乱数カウンタCI、外れリーチ乱数カウンタCO、大当たり図柄乱数カウンタCB、左・中・右の各図柄乱数カウンタCDL,CDC,CDR、リーチ種別決定カウンタCV等よりなっている。
【0056】なお、ラウンドカウンタCRは、ラウンド回数をカウントするためのものであり、入賞カウンタCEは大入賞口4への遊技球5の入賞個数をカウントするためのものである。また、保留カウンタCHは変動表示の保留回数をカウントするためのものであり、「0」,「1」,「2」,「3」,「4」の値を順にとる。これらの値は、前述した図柄乱数エリア41(i)?45(i)の「(i)」に対応している。従って、CH=0は、保留されていない状態を意味する。
【0057】図6(a)に示すように、内部乱数カウンタCIは、特別図柄表示装置13での大当たり状態を決定するためのものである。また、外れリーチ乱数カウンタCOは外れリーチ状態時の表示を行うか否かを決定するためのものである。さらに、大当たり図柄乱数カウンタCBは、大当たり図柄を決定するためのものである。これらのカウンタCI,CO,CBはそれぞれ所定時間(例えば「2ms」)毎に値を所定範囲内で更新する。各値は、所定の条件に従って乱数として読み出される。また、各カウンタCI,CO,CBは、各値がそれぞれ特定の値になった場合に、初期値に戻すようになっている。」

(カ)「【0068】次に、図8のフローチャートに示す「格納処理ルーチン」について説明する。このルーチンの主な機能は、遊技球5が作動口3に入賞する毎に、乱数カウンタCI,CO,CDL,CDC,CDRの値を図柄乱数エリア41(i)?45(i)に格納することである。
【0069】当該「格納処理ルーチン」が開始されると、制御装置24は、ステップS10において、作動口用スイッチ21の検出結果に基づき、遊技球5が作動口3に入賞したか否かを判定する。そして、この判定条件が満たされていない場合には、その後の処理を一旦終了し、満たされている場合には、ステップS11において、保留カウンタCHの値が最大保留回数(この場合「4」)よりも小さいか否かを判定する。
【0070】保留カウンタCHの値が最大保留回数よりも小さい場合には、ステップS12において、保留カウンタCHに「1」を加算する。また、続くステップS13において、制御装置24は対応する保留ランプ(18aから18dのうちの1つ)を点灯させ、ステップS14へ移行する。一方、前記ステップS11の判定条件が満たされていない場合には、前述したステップS12以降の処理を行うことなくその後の処理を一旦終了する。従って、図柄変動表示は、4回までしか保留されず、それ以上の入賞があっても保留は記憶されない。
【0071】ステップS14において、制御装置24は、内部乱数カウンタCIの値を内部乱数エリア41(i)に格納する。また、次のステップS15において、外れリーチ乱数カウンタCOの値を、外れリーチ乱数エリア42(i)に格納する。さらに、ステップS16において、制御装置24は、左・中・右の各外れ図柄乱数バッファ31?33の値(CDL,CDC,CDR)を、対応する左・中・右の各外れ図柄乱数エリア43(i)?45(i)に格納し、その後の処理を一旦終了する。」

(キ)「【0077】次に、制御装置24は、ステップS90において、図柄の変動開始処理を実行する。詳しくは、図12の「変動開始処理ルーチン」に示すように、ステップS901において、内部乱数カウンタCIの値が大当たり値であるか否かを判定する。そして、内部乱数カウンタCIの値が大当たり値の場合には、ステップS902において、大当たり値に対応する大当たり図柄を停止図柄としてメモリに記憶する。その後、ステップS905へ移行する。」

(ク)「【0087】さて、上記再変動処理を行った後、制御装置24は、次に、ステップS140において、図柄17A?17H,17Kの組合せが大当たりの組合せであるか否かを判定する。なお、この際には、停止図柄の差替えが正しく行われたか否かの確認も行われる。そして、この判定条件が満たされていない場合には、「特別電動役物制御ルーチン」を終了する。また、図柄17A?17H,17Kの組合せが大当たりの組合せである場合には、ステップS150において、ラウンドカウンタCRを「0」にクリヤする。なお、このとき、制御装置24によって大当たり報知表示がなされる。さらには、前記残り回転数について、クリヤ処理が実行される。
・・・
【0092】さて、モード判定を行った後、制御装置24は、ステップS160(図10参照)において、入賞カウンタCEを「0」にクリヤするとともに、入賞判定フラグFEを「0」に設定する。また、続くステップS170においては、ラウンドカウンタCRを「1」ずつインクリメントする。さらに、ステップS175において、制御装置24は、表示部13aに表示されるラウンド数をラウンドカウンタCRに基づいて更新して表示するとともに、その他の表示事項(例えばカウント数)を初期化(「0」に初期化)して表示する。
【0093】さらに、ステップS180において、制御装置24は、大入賞口用ソレノイド12を励磁させる。すると、シャッタ11が倒れて略水平状態となり、大入賞口4が開放される。この開放により、遊技球5のVゾーン8及び入賞通路9への入賞が可能となる。
【0094】次に、ステップS190において、制御装置24は、入賞カウンタCEの値が予め定められた所定値CEmaxよりも小さいか否かを判定する。そして、この判定条件が満たされている場合には、ステップS200において、未だ大入賞口4の閉鎖予定時期が到来していないか否かを判定する。この閉鎖予定時期が到来していない場合には、処理をステップS190へ戻す。その結果、大入賞口4の開放開始後に所定値CEmax個よりも多くの遊技球5が入賞するか、閉鎖予定時期が到来するかしない限りは、大入賞口4が開放され続ける。これに対し、ステップS190又はステップS200のいずれか一方が満たされていないと、ステップS210において、制御装置24は、大入賞口用ソレノイド12を消磁する。すると、シャッタ11が起こされて略垂直状態となり、大入賞口4が閉鎖される。
【0095】続いて、ステップS220において、制御装置24は、ラウンドカウンタCRの値が予め定められた所定値CRmaxよりも小さいか否かを判定する。そして、ラウンドカウンタCRの値が所定値CRmax未満の場合には、続くステップS230において入賞判定フラグFEが「1」であるか否かを判定する。入賞判定フラグFEが「1」の場合には、処理をステップS160へと戻す。従って、一旦大当たり遊技状態が発生すると、遊技球5がVゾーン8に入賞することによる継続条件が、所定値CRmax回数満たされるまでは、大入賞口4が開閉のサイクルを繰り返す。例えば所定値CEmaxが「10」に設定され、大入賞口4の開放時間が「約29.5秒」に設定され、所定値CRmaxが「16」に設定されている場合には、大入賞口4の開放後、(1)遊技球5が大入賞口4へ10個入賞すること、(2)約29.5秒が経過すること、のいずれか一方の条件が満たされた時点で大入賞口4が閉鎖される。この大入賞口4の開閉のサイクルが遊技球5のVゾーン8への入賞を条件に最大で16回(16ラウンド)繰り返されることとなる。
【0096】そして、ステップS220又はステップS230の判定条件のいずれか一方が満たされていない場合には、大当たり状態が終了したものとして、ステップS240においてその旨を表示部13aに表示する。また、ステップS250において、次回の遊技モードを報知する処理を実行し、本ルーチンを終了する。」

以上、(ア)?(ク)、及び図面を総合すると、引用文献1には、以下の発明が開示されている。
「遊技球5の作動口3への入賞を検出する作動口用スイッチ21と、
複数の図柄列が表示される特別図柄表示装置13と、
各図柄列14?16の変動表示中にさらに遊技球5が作動口3に入賞した場合には、変動表示が待機(保留)され、変動表示の保留毎に点灯させられ、その保留に対応した変動表示の実行に伴い消灯させられる、保留ランプ18a?18dと、
前記作動口用スイッチ21の検出結果に基づき、前記特別図柄表示装置13及び前記保留ランプ18a?18dを駆動制御する制御装置24とを備え、
前記制御装置24は、
遊技球5が作動口3に入賞する毎に、特別図柄表示装置13での大当たり状態を決定するための内部乱数カウンタCIの値を図柄乱数エリア41(i)に格納し、i=0は保留されていない状態であり、i=1?4は保留されている状態であり、
内部乱数カウンタCIの値が大当たり値の場合には、大当たり値に対応する大当たり図柄を停止図柄としてメモリに記憶し、図柄17A?17H,17Kの組合せが大当たりの組合せである場合には、大当たり報知表示を行い、大入賞口4の開閉を繰り返す制御を行い、
大当たり遊技状態となった際に、例えば350分の1程度の比較的低確率で大当たり遊技状態を発生させる通常モードと、その約5倍である70分の1程度の高確率で大当たり遊技状態を発生させる確変モードの、いずれかを選択し、大当たり状態終了後において、当該選択されたモードに切り換えるモード切換制御を実行し、前記確変モードは、図柄17A?17H,17Kの変動停止が所定回数行われたにもかかわらず大当たり状態が発生しない場合には、通常モードへと切換えられる、
パチンコ機1。」
(以下、この発明を「引用発明」という。)

(2) 対比
引用発明と本願発明とを対比する。
引用発明における「遊技球」、「作動口3」及び「作動口用スイッチ21」は、本願発明における「打球」、「特定入賞口」及び「特定入賞検出手段」に相当し、以下同様に、
「特別図柄表示装置13」は「図柄表示装置」に、
「保留ランプ18a?18d」は「保留表示装置」に、
「制御装置24」は「遊技制御手段」に、
「内部乱数カウンタCIの値」は「乱数」に、
「大当たり状態」は「特別遊技」に、
「確変モード」は「確率変動遊技」に、
「パチンコ機1」は「弾球遊技機」に、相当する。

本願の【0031】?【0032】(出願当初は【0046】?【0047】)には、本願発明の「遊技制御手段」が備える各手段について、「遊技制御手段」の「CPU」が各手段として機能する旨記載されている。
そうしてみると、
引用発明の「制御装置24」が、「遊技球5が作動口3に入賞する毎に・・・内部乱数カウンタCIの値を図柄乱数エリア41(i)に格納」する点は、本願発明の「遊技制御手段」が「乱数取得手段」を備える点に相当し、
以下同様に、
「前記作動口用スイッチ21の検出結果に基づき、前記特別図柄表示装置13・・・を駆動制御する」及び「内部乱数カウンタCIの値が大当たり値の場合には、大当たり値に対応する大当たり図柄を停止図柄としてメモリに記憶」する点は、「図柄変動表示手段」に、
「内部乱数カウンタCIの値が大当たり値の場合には・・・大入賞口4の開閉を繰り返す制御を行」う点は、「特別遊技制御手段」に、
「変動表示の保留毎に点灯させられ、その保留に対応した変動表示の実行に伴い消灯させられる、保留ランプ18a?18d」を「駆動制御する」点は、「保留表示制御手段」に、
「大当たり遊技状態となった際に、例えば350分の1程度の比較的低確率で大当たり遊技状態を発生させる通常モードと、その約5倍である70分の1程度の高確率で大当たり遊技状態を発生させる確変モードの、いずれかを選択し、大当たり状態終了後において、当該選択されたモードに切り換えるモード切換制御を実行」する点は、「確率変動遊技制御手段」に、相当する。

引用発明の「制御装置24」が「遊技球5が作動口3に入賞する毎に・・・内部乱数カウンタCIの値を内部乱数エリア41(i)に格納」する点であって「i=1?4」の場合は、本願発明の「遊技制御手段」が「前記特定入賞検出手段により打球が検出されたことにもとづいて、前記乱数取得手段により乱数を取得し、当該乱数を保留乱数として記憶するための保留乱数記憶手段」を備える点に相当する。
また、引用発明において「各図柄列14?16の変動表示中にさらに遊技球5が作動口3に入賞した場合には、変動表示が待機(保留)され」る点は、本願発明において「前記図柄変動表示手段による図柄の変動表示中」に保留する点に相当する。

引用発明の「制御装置24」の「モード切換制御」において切り換えられる「確変モード」において、「図柄17A?17H,17Kの変動停止が所定回数行われたにもかかわらず大当たり状態が発生しない場合には、通常モードへと切換えられる」ので、
前記「制御装置24」が、「図柄17A?17H,17Kの変動停止」の回数を計数していること、この回数が「所定回数」に達したことを条件に「確変モード」を「通常モード」へ切り換えていることは、自明である。
よって、引用発明は、本願発明における「図柄変動回数計数手段」及び「確率変動遊技終了条件判定手段」を備える。

よって、本願発明と引用発明は、
「特定入賞口に打球が入賞したことを検出するための特定入賞検出手段と、
図柄を表示可能な図柄表示装置と、
前記図柄表示装置の図柄の変動表示中、前記特定入賞検出手段により検出された打球を保留球として表示可能な保留表示装置と、
前記特定入賞検出手段、前記図柄表示装置、前記保留表示装置にそれぞれ接続され、遊技を制御するための遊技制御手段とを備え、
前記遊技制御手段には、
前記特定入賞検出手段によって打球が検出されたことにもとづいて、乱数を取得するための乱数取得手段と、
前記乱数取得手段により取得された乱数にもとづいて、前記図柄表示装置に図柄を変動表示させるための図柄変動表示手段と、
前記乱数取得手段により取得された乱数が当選乱数であることを条件に、前記図柄変動表示手段により、予め設定された賞態様を構成する図柄を前記図柄表示装置に停止表示させた後、遊技者に有利な特別遊技を行わせるための特別遊技制御手段と、
前記図柄変動表示手段による図柄の変動表示中、前記特定入賞検出手段により打球が検出されたことにもとづいて、前記乱数取得手段により乱数を取得し、当該乱数を保留乱数として記憶するための保留乱数記憶手段と、
前記保留乱数記憶手段に記憶された前記保留乱数の個数を、前記保留表示装置に表示するための保留表示制御手段と、
前記特別遊技制御手段による特別遊技の終了後、前記乱数取得手段により前記当選乱数を取得する可能性を通常変動遊技よりも増加させる確率変動遊技を行わせるための確率変動遊技制御手段とを備える弾球遊技機において、
前記確率変動遊技制御手段には、
前記確率変動遊技中の図柄の変動回数を計数するための図柄変動回数計数手段と、
前記図柄変動回数計数手段により計数した図柄の変動回数が、予め設定された所定回数に達したことを条件に、前記確率変動遊技を終了させるための確率変動遊技終了条件判定手段とを備えた弾球遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

<相違点1>
本願発明における「保留乱数記憶手段」が、「特別遊技制御手段による特別遊技中」に打球が検出されたときにも保留を行うのに対し、
引用発明はこのようなときに保留を行うか不明である点。

<相違点2>
本願発明が「保留乱数記憶手段に記憶された保留乱数を読み込み、当該保留乱数の抽選結果を判定するための保留乱数判定手段」を備えるのに対し、
引用発明はこのような手段を備えるか不明である点。

<相違点3>
本願発明が、「前記通常変動遊技中、前記保留乱数記憶手段に記憶された保留乱数に対応した保留表示態様を第1の表示態様で表示し、
前記確率変動遊技中、前記保留乱数記憶手段に記憶された保留乱数に対応した保留表示態様を第2の表示態様で表示する保留情報表示手段を備え、
前記保留情報表示手段には、
図柄変動回数計数手段により計数した図柄の変動回数にもとづいて、前記確率変動遊技中の保留表示態様を変化させるための保留表示態様変化手段」を備え、
「前記保留表示態様変化手段は、
前記確率変動遊技中に前記特定入賞検出手段により打球が検出されたことにもとづいて乱数を取得し、当該保留乱数にもとづく図柄の変動が前記所定回数に達する前に行われるときには、当該保留乱数に対応した保留表示態様を第2の表示態様で表示し、
前記確率変動遊技中に前記特定入賞検出手段により打球が検出されたことにもとづいて乱数を取得したものの、当該保留乱数にもとづく図柄の変動が前記所定回数に達した後に行われるときには、当該保留乱数に対応した保留表示態様を第1の表示態様で表示」するのに対し、
引用発明はこのような手段を備えるか不明である点。

<相違点4>
本願発明が、「前記保留乱数判定手段により判定した保留乱数が、特別遊技に移行する可能性が高い乱数に該当する場合に、その旨を前記保留表示装置に表示するための高確率演出パターン表示手段」を備え、当該「高確率演出パターン表示手段」が「前記保留乱数判定手段により判定した前記保留乱数が、特別遊技に移行する可能性が高い乱数に該当するときには、前記特別遊技中に当該保留乱数に対応した保留表示態様を第3の表示態様で表示する」のに対し、
引用発明はこのような手段を備えるか不明である点。

(3) 判断
<相違点1>について
特別遊技中に特定入賞検出手段により打球が検出されたときに、当該検出について保留を行うことは、周知である。(以下「周知技術1」という。一例として、平成24年5月22日付け拒絶理由における引用文献2である特開2000-135332号公報の【0005】、【0031】を参照。)

<相違点3>について
平成24年5月22日付け拒絶理由における引用文献3である特開平6-182049号公報(以下「引用文献3」という。)には、
普通電動始動口64に玉が入賞したときに、4個の範囲内でその入賞玉数を記憶したことを表示する特図スイッチ記憶表示器66を備え(【0037】?【0038】等)、
大当り後の所定期間である連チャン可能性期間において、大当りとなる可能性を増加させる連チャン制御処理(【0229】?【0238】等)を行い、
前記特図スイッチ記憶表示器66は、残りの連チャンチャンスがあといくらあるかを容易に確認することができるようにするために、連チャン発生の可能性のある始動記憶では赤色に、通常の始動記憶では緑色に発光する(【0277】?【0279】等)、パチンコ機の技術が開示されている。
引用文献3に開示された「普通電動始動口64」及び「玉」は本願発明における「特定入賞口」及び「打球」に相当し、以下同様に、
「特図スイッチ記憶表示器66」は「保留表示装置」に、
「大当り」は「特別遊技」に、
「赤色」及び「緑色」に発光する態様は「第2の表示態様」及び「第1の表示態様」に、
「パチンコ機」は「弾球遊技機」に、相当する。
引用文献3に開示された「連チャン制御処理」は、特別遊技の終了後に、図柄の変動回数が所定回数に達するまで、特別遊技になる可能性を他の状態よりも増加させる点で、本願発明における「確率変動遊技制御手段」による処理に相当する。
引用文献3に開示されたパチンコ機において、「残りの連チャンチャンスがあといくらあるかを容易に確認することができるようにするために、連チャン発生の可能性のある始動記憶では赤色に、通常の始動記憶では緑色に発光する」際の具体的な処理は明らかでない。しかしながら、「特図スイッチ記憶表示器66」の色を、今現在が「連チャン可能性期間」であるか否かに応じて「赤色」又は「緑色」に一旦決定し(本願発明が「保留情報表示手段」を備える点に相当。)、今現在が「連チャン可能性期間」であったとしても「通常の始動記憶」については「緑色」に変える(本願発明が「保留表示態様変化手段」を備える点に相当。)ことは、「残りの連チャンチャンスがあといくらあるかを容易に確認することができるようにするために、連チャン発生の可能性のある始動記憶では赤色に、通常の始動記憶では緑色に発光する」上で、当業者が適宜なしうるものであるし、その場合の効果も予測しうる程度のものである。
したがって、引用発明に、引用文献3に開示された技術を適用して、相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到しうるものである。

<相違点2><相違点4>について
相違点2、4については合わせて判断する。
・特開平7-185081号公報
(【0042】「具体的には、通常は緑色で始動記憶が表示されるが、抽出した乱数値がリーチ図柄に対応する値である場合にはLEDが緑色から青色に変化してリーチ発生の予告が開始される。」、【0053】「加えて、例えば始動記憶表示器67の3番目のLEDが大当り予告あるいはリーチ予告をしており、今回の(1番目)のLEDが外れであるような場合には」)
・特開平8-150248号公報
(【0024】「当該乱数値がリーチ領域に含まれる場合には、抽選結果をリーチと判定するとともに、当該乱数値が、リーチ領域中の入賞領域に含まれる場合には、入賞と判定する入賞判定手段123からなる図柄抽選手段124と、上記図柄変動表示装置40による図柄の変動表示中には、図柄抽選手段124からの図柄抽選結果を最大4つまで保留する」、【0031】「そして、この保留球中に、リーチ図柄の組合せとなる抽選結果が含まれている場合には、保留球数表示ランプ97のうち、該当する保留球を表示しているランプ93?96を、赤色とは異なった色、例えば緑色で発光させるようにしてもよい。」、図4)
・特開平8-243224号公報
(【0115】「始動入賞時のタイミングでCRND1の値が抽出され、その抽出した値が、1,201,401,601,801のときに大当りを発生させることが事前決定され」、【0123】「この図49(A)は、始動入賞記憶が「3」であり、その3回目の始動入賞時にCRND1の抽出値が大当りとなる値であった場合を示している。・・・C RND1の抽出値が1,2,201,202,401,402,601,602,801,802のいずれかであった場合に、3個目の始動記憶表示器を他の始動記憶表示器とは異なった態様で点灯させる。」)
に開示されているように、保留についての乱数が特別遊技に移行する可能性が高い乱数に該当するときに、その保留に対応した保留表示態様を、通常の表示態様とは異ならせることは、周知である。(以下「周知技術2」という。)
よって、引用発明に周知技術2を適用して、保留についての「内部乱数カウンタCIの値」が「大当たり状態」を発生させる可能性が高い値である場合に、その保留に対応した「保留ランプ18a?18d」の保留表示態様を、通常の表示態様とは異ならせる処理を実行すること(本願発明が「高確率演出パターン表示手段」を備える点に相当。)は、当業者が容易に想到しうるものである。また、「内部乱数エリア41(i)に格納」された「内部乱数カウンタCIの値」を読み込んで各保留についての「内部乱数カウンタCIの値」を判定すること(本願発明が「保留乱数判定手段」を備える点に相当。)は、前記処理を実行する上で、当業者が適宜なしうるものである。
したがって、引用発明及び周知技術2に基づき、相違点2、4に係る本願発明の構成とすることは、当業者が適宜なしうるものである。

(4) むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、周知技術1、引用文献3に開示された技術及び周知技術2から、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-08-27 
結審通知日 2012-08-28 
審決日 2012-09-10 
出願番号 特願2006-86546(P2006-86546)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石塚 良一  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 瀬津 太朗
秋山 斉昭
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 竹山 宏明  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ