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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1265097
審判番号 不服2012-245  
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-01-06 
確定日 2012-10-25 
事件の表示 特願2007- 74990「はんだリフロー装置、および、はんだリフロー方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年10月 2日出願公開、特開2008-235688〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成19年3月22日の出願であって、平成23年10月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年1月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明6」という。)は、平成23年5月23日付けの手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「 【請求項1】
基板を第1の搬送速度で搬送しながら加熱する加熱部と、
前記加熱部から受け取った複数の前記基板を複数の搬送路に振り分け、前記第1の搬送速度よりも低速の第2の搬送速度で前記複数の基板を搬送しながら徐冷する徐冷部と、
を備えたことを特徴とするはんだリフロー装置。
【請求項2】
前記複数の搬送路が、互いに水平方向に並んだ搬送路であることを特徴とする請求項1記載のはんだリフロー装置。
【請求項3】
前記複数の搬送路が、互いに垂直方向に並んだ搬送路であることを特徴とする請求項1記載のはんだリフロー装置。
【請求項4】
前記複数の搬送路が、前記基板の搬送方向に交わる幅方向に該基板複数が並ぶ幅広の搬送部材上に並んだ複数の搬送路であることを特徴とする請求項1記載のはんだリフロー装置。
【請求項5】
前記複数の搬送路の各々を、前記加熱部で加熱された前記基板を受け取る基板受取位置に移動させる移動機構を備えたことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項記載のはんだリフロー装置。
【請求項6】
基板を第1の搬送速度で搬送しながら加熱する加熱過程と、
前記加熱過程を経た複数の前記基板を受け取り、複数の搬送路に振り分け、前記第1の搬送速度よりも低速の第2の搬送速度で前記複数の基板を搬送しながら徐冷を行う徐冷過程と、
を有することを特徴とするはんだリフロー方法。」

3.本願発明1について
(1)本願発明1
本願発明1は、上記2.に記載したとおりである。
(2)引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物は、次のとおりである。
・特開平5-296663号公報(以下、「引用文献1」という。)
・特開2001-205428号公報(以下、「引用文献2」という。)
・特開平5-369号公報(以下、「引用文献3」という。)
(2-1)引用文献1
引用文献1には、下記の事項が図面とともに記載されている。
(あ)「【請求項9】 請求項1,2,3,4,5,6,7または8において、搬送手段を各容器で独立して設け、各容器での搬送速度を独自に制御することにより熱処理時間を自由に設定できるようにした加熱装置。」
(い)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半田を塗布した電子部品装着基板,工業用加工部品などの被加熱物を搬送しながら加熱したときに、同一温度条件のもとで被加熱物の温度分布が一様に得られ、かつ、効率的な熱処理が可能な加熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子部品を回路基板に半田づけする、または加工により内部歪をもった工業用加工部品などを加熱し熱処理を行う、塗装部品の乾燥・焼付け処理を行うなどの場合に、加熱手段としての熱板を接触させて、熱伝導により局部的に昇温を行う方法、溶融した半田液体に浸積したり、金属蒸気雰囲気中に被加熱物を通過させたりする方法、また、加熱媒体である熱ガスを噴流のようにして接触させたりする方法が知られている。このような工業用加熱炉においては、被加熱物を加熱するための加熱手段と、被加熱物の加熱時間を調整するための搬送手段から構成されており、加熱手段を構成している加熱炉内に、通常、一ないし、複数槽からなる予熱部と、所要の熱処理温度にて高温温度を保持するための本加熱部を備えるとともに、最後の工程に冷却部を備えている。前記本加熱部も、一ないし、複数槽からなっており、被加熱物を相対温度差のある各槽を通過させ、段階的に温度を変化させて所要の温度プロファイルに沿った熱処理を行う。」
(う)「【0027】以上のように構成された加熱装置1についてその動作を図1,図2を用いて以下に説明する。図1の被加熱物6は、無端のコンベア7上に一定間隔ごとに乗せられ、第一予熱室2a,第二予熱室2b,本加熱室3を通過する間に段階的に設定温度に昇温され、コンベア7で移動する間に所望の熱処理を受ける。すなわち、室温であった被加熱物6は、第一予熱室2aに入り昇温され、第二予熱室2b出口付近で例えば、温度150℃と熱的に飽和となり、表面温度が一定になり、最後に本加熱室3で一定時間の間、最高温度領域である250℃近く昇温され、やがて冷却室4に入り室温近くまで冷却される。
【0028】コンベア7は、加熱装置1の両端で掛け渡されており、コンベア駆動装置8と連動している駆動用スプロケット31を介して矢印Aの方向に一定速度で移動している。張力調整用ローラ32でコンベア7に一定張力を付与し、たわみを防止している。通常コンベア7の移動速度は、0.1?2.0m/secの範囲内で可変できるが、例えば被加熱物6を第一予熱室2a,第二予熱室2bで長時間処理し、本加熱室3で早く、冷却室4でゆっくりと処理したい場合には、搬送手段7aを予熱領域(第一予熱室2a,第二予熱室2b)と本加熱室3,冷却室4の3個に独立(図示せず)させることにより、各室での搬送速度を変化させることによって熱処理時間を自由に設定してもよいことは明らかである。」
(え)「【0054】(8)搬送手段を予熱室,本加熱室,冷却室の3室に独立して設け、各室での搬送速度を独自に制御することにより搬送手段を長く大きくすることなく、所要の熱処理時間を自由に設定でき、加熱装置を小さくして経済的にできるばかりでなく、能率的に被加熱物を加熱することができる。」
以上の記載事項及び図面からみて、本願発明1の記載ぶりに倣って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用文献1に記載されている発明」という。)が記載されている。
「半田を塗布した電子部品装着基板を早い搬送速度で搬送しながら加熱する本加熱部と、
前記本加熱部を通過した前記半田を塗布した電子部品装着基板をゆっくりとした搬送速度で搬送しながら冷却する冷却室と、
を備えた加熱装置。」
(2-2)引用文献2
引用文献2には、下記の事項が図面とともに記載されている。
(か)「【請求項1】 部品を搬送する搬送経路の数を増加させ、次工程に前記部品を搬送する多列変換部と、前記多列変換部によって増加した搬送経路の数に対応した数の搬送手段を備え、前記多列変換部から1度に各搬送経路を介して前記部品が、対応する前記搬送手段に移送され、前記部品を加熱し半田付け処理を行うリフロー炉と、並設された前記搬送手段によって前記リフロー炉から搬出される前記部品をそれぞれの前記搬送手段から取り出す部品取出手段と、その部品取出手段によって取り出された前記部品を並び替えて、搬送経路の数を減少させ次工程に移送する部品並び替え手段とを備えたことを特徴とする自動組立装置。
【請求項2】 部品を搬送する搬送経路の数を増加させて、その搬送経路の数と同数の前記搬送手段が並設されたリフロー炉に前記部品を投入し半田付け処理を行った後、前記部品の並び替えを行って搬送経路の数を減少させて次工程に前記部品を搬送することを特徴とする自動組立装置の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明はリフロー炉での半田付け行程を有する自動組立装置及びその組立方法に関するものである。」
(き)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】 組み立てラインに組み込まれたインライン方式のリフロー炉の内部には、リフロー炉の部品投入口側から部品取出口側へ部品を搬送する、ベルトコンベア状の搬送チェーンが設けられ、半田付け行程の前行程から一列に配列された状態で供給される部品を搬送チェーン上に載せかえ、半田付けに必要な時間、部品がリフロー炉内部に滞留するように所定の速度で搬送し、リフロー炉の部品取出口から搬出される部品を次行程のベルトコンベア等に載せかえるように構成されていた。しかし、このような自動組立装置では、半田付け行程の前行程、リフロー炉での半田付け行程、半田付け行程の後工程にわたって部品を一列に配列した状態で流すように構成されているが、リフロー炉を用いた半田付け行程の処理速度が、他の組立工程の処理速度に比べて遅く、他の組立工程を高速化しても、リフロー炉を用いた半田付け行程の処理速度に制限されてしまい、自動組立装置の高速化が図れないという問題点があった。」
(く)「【0009】 搬送チェーン5が部品3を搬送する速度は、半田付けに必要な時間等を考慮して設定されるが、搬送レール2の工程での部品搬送速度よりリフロー炉4に設けられた搬送チェーン5の部品搬送速度は遅いが、リフロー炉4は、搬送チェーン5を4個備え、3列の搬送経路を備えているので、自動組立装置全体の処理速度を低下させることがない。つまり、部品3を一旦搬送レール7上に待避させ、一度に3個ずつ並列にリフロー炉4に投入するように構成することによって見かけ上リフロー炉4の処理速度を向上させることができるので、搬送レール2によって搬送される部品を遅滞なく処理することができる。」
(2-3)引用文献3
引用文献3には、下記の事項が図面とともに記載されている。
(さ)「【請求項1】 電子部品等を搭載した基板を予備加熱するための予熱ゾーン(2)と、該基板を更に高温に加熱してはんだを再溶融させ電子部品等のはんだ付けをおこなうためのリフローゾーン(3)、とを有する自動はんだ付け装置において、予熱ゾーン(2)に、リフローゾーン(3)の基板搬送装置(23)と別個独立的に作動し得ると共に、搬送方向に概ね垂直な方向に基板が並置されるように複数個の基板を所定時間収納し得る基板搬送装置(11)を設け、予熱ゾーン(2)における搬送時間を基板毎に変更し得るように構成し、以て基板の最適な予熱時間を容易に得ることができるようにし、不活性ガスの消費量を低減させることにより酸素濃度コントロールを容易にしたことを特徴とする自動はんだ付け装置。」
(し)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この不活性ガス雰囲気リフロー装置においては、通常のリフロー装置におけると同様に、次のような問題が内在する。 すなわち、良好なはんだ付けを行うにはプリント基板(以下、単に基板)を充分に予備加熱(予熱)する必要があり、現状では図示しない搬送コンベヤ上に一列に並べた基板を予備加熱する予熱ゾーンの全体長を、リフローゾーンの3?4倍の長さにすることによって、これに対処している。このため、装置が大型化するという不都合がある。そして、この装置の大型化によって、不活性ガスの消費量が多くなったり、不活性ガス量(酸素濃度)のバラツキが起き易い。
【0004】また、上記従来装置においては、搬送コンベヤが単一の連続した長いチェーンから成り、これが予熱ゾーン及びリフローゾーンを一定のスピードで走行するように構成されているため、基板(はんだ付け部品)に対するきめの細かい温度及び時間の設定(管理)が実際上行えないという不都合がある。」
(3)対比
そこで、本願発明1と引用文献1に記載されている発明とを対比すると、その意味、機能または構造からみて、後者の「半田を塗布した電子部品装着基板」は前者の「基板」に相当する。
本願発明1の「加熱部」に関して、本願明細書の段落【0027】には「図1に示すように、このはんだリフロー装置1は、電子部品を基板にはんだ付けするためのはんだリフロー装置であり、電子部品が搭載されはんだ付けが行われる基板2を加熱する加熱部3と、加熱部3で加熱された基板を徐冷する徐冷部6とを有している。なお、このはんだリフロー装置1の加熱部3は、基板を予備加熱する予熱ゾーン3aと、基板を本加熱する本加熱ゾーン3bとの2つのゾーンに分かれているが、加熱部は、必ずしもこのように2つのゾーンに分かれていなければならないわけではなく、さらに多数のゾーンで構成してもよく、又は1つのゾーンで構成してもよい。」と記載されており、引用文献1に記載されている発明の「本加熱部」は、上記段落【0027】に記載されているうちの「本加熱ゾーン」に相当するところ、該「本加熱ゾーン」は「加熱部」に含まれるものであるから、引用文献1に記載されている発明の「本加熱部」は、本願発明1の「加熱部」に相当する。
引用文献1に記載されている発明の「本加熱部を通過した前記半田を塗布した電子部品装着基板」は本加熱部を通過した後に冷却室の搬送手段に移動されるので、本願発明1の「加熱部から受け取った前記基板」に相当する。
引用文献1に記載されている発明の「ゆっくりとした搬送速度で搬送しながら冷却する」の「ゆっくりとした搬送速度」は、「早い搬送速度で搬送しながら加熱する」の「早い搬送速度」より低速であることは明白なものであるから、引用文献1に記載されている発明の「早い搬送速度」は本願発明1の「第1の搬送速度」に相当し、同様に「ゆっくりとした搬送速度」は「第2の搬送速度」に相当する。
引用文献1に記載されている発明の「冷却室」は、「ゆっくりとした搬送速度で搬送しながら冷却する」ものであるから、本願発明1の「徐冷部」に相当する。
引用文献1に記載されている発明の「加熱装置」は、「半田を塗布した電子部品装着基板」を加熱して半田づけするものであるから、本願発明1の「リフロー装置」に相当する。
そうすると、両者は本願発明1の用語を用いて表現すると、次の点で一致する。
[一致点]
「基板を第1の搬送速度で搬送しながら加熱する加熱部と、
前記加熱部から受け取った前記基板を、前記第1の搬送速度よりも低速の第2の搬送速度で前記基板を搬送しながら徐冷する徐冷部と、
を備えたはんだリフロー装置。」
そして、両者は次の点で相違する。
[相違点]
徐冷部において、本願発明1は、「前記加熱部から受け取った複数の前記基板を複数の搬送路に振り分け、前記複数の基板を搬送しながら徐冷する」のに対して、引用文献1に記載されている発明では、「前記本加熱部を通過した前記半田を塗布した電子部品装着基板をゆっくりとした搬送速度で搬送しながら冷却する」点。

(4)判断
上記相違点について検討する。
引用文献2には、上記記載事項(か)?(く)及び図面からみて、「組立ラインに組み込まれたリフロー炉において、内部に部品を搬送する搬送経路の数を増加させて、その搬送経路の数と同数の搬送手段が並設されたリフロー炉に前記部品を投入し半田付け処理を行う自動組立装置」の発明(以下、「引用文献2に記載されている発明」という。)が記載されている。
また、引用文献3には、上記記載事項(さ)、(し)及び図面からみて、「予熱ゾーン(2)に、リフローゾーン(3)の基板搬送装置(23)と別個独立的に作動し得ると共に、搬送方向に概ね垂直な方向に基板が並置されるように複数個の基板を所定時間収納し得る基板搬送装置(11)を設け、予熱ゾーン(2)における搬送時間を基板毎に変更し得るように構成した自動はんだ付け装置」の発明(以下、「引用文献3に記載されている発明」という。)が記載されている。
引用文献2に記載されている発明では、リフロー炉での半田付け処理に時間を要するために、該リフロー炉では搬送手段を増加させ、部品を振り分けて搬送処理することで生産性を向上させている。
引用文献3に記載されている発明では、予熱ゾーンでの処理に時間を要するために、該予熱ゾーンでの搬送手段を増加させ、基板を振り分けて搬送処理することでて生産性を向上させている。
よって、上記引用文献2および引用文献3に記載されている発明からは、「搬送経路中に複数の処理ゾーンを配置して各ゾーンで被搬送物に対して処理を行うリフロー装置において、他の処理ゾーンに比べて時間を要するゾーンでは、搬送経路を複数にして被搬送物を振り分けて搬送し処理することで、生産性を向上させる」と言う半田づけのリフロー装置技術が導き出せる。
また、引用文献1に記載されている発明において、本加熱室は早い搬送速度で、冷却室でゆっくりとした搬送速度で処理を行なえば、本加熱室から冷却室の移動時に基板が滞ることは、当業者であれば予測しうる程度のものであり、該滞りを改善し生産性を向上させるために、何らかの措置を施さなければならないことは自明な課題と言える。
よって、生産性を向上させるために、引用文献1に記載されている発明の「ゆっくりとした搬送速度で搬送しながら冷却する冷却室」の搬送手段において、引用文献2及び3に記載されている発明から導きだせる上記半田づけのリフロー装置技術を適用し、本加熱室を通過した基板を冷却室で複数の搬送手段に振り分けて搬送する構造に変更することで、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本願発明1の奏する作用効果も、引用文献1ないし引用文献3に記載されている発明に基づいて当業者が予測できる程度のものである。

なお、審判請求人は、審判請求書の請求の理由において、本願発明1に関して、「このように引用文献1?3は、『徐冷ゾーンの搬送速度を遅くしたとしても生産性を低下させない』という本願特有の課題に着目したものではないため、いずれの文献に記載の技術でも、徐冷ゾーンの搬送速度を遅くした場合は、全体のスループットが引きずられてしまいます。
つまり、引用文献1?3を組み合わせたとしても、はんだリフロー装置において、『加熱部から受け取った複数の基板を複数の搬送路に振り分け、加熱部での第1の搬送速度よりも低速の第2の搬送速度でこれら複数の基板を搬送しながら徐冷を行う』という技術思想を想到することはできません。」(「(4)引用文献の内容および本願発明との対比」の項を参照。)と主張する。
しかしながら、引用文献1に記載されている発明からは、冷却室でゆっくりと処理するために本加熱部と冷却室とで搬送手段を独立させる構造であることが把握することができる。
また、冷却室でゆっくり処理して半田付けの質を担保をする課題と生産性の課題とは独立した課題である。上記(4)判断で述べたように、引用文献1に記載されている発明において、本加熱室は早い搬送速度で冷却室でゆっくりとした搬送速度で処理を行えなえば、本加熱室から冷却室の移動時に基板が滞ることは、当業者であれば予測しうるものであり、また、引用文献1ないし3に記載されている発明は、半田づけのリフロー装置である点で、共通する技術分野に属するものであるから、引用文献2及び3に記載されている発明から抽出できる、「搬送経路中に複数のゾーンを配置して各ゾーンで被搬送物に対して処理を行うリフロー装置において、他の処理ゾーンに比べて時間を要するゾーンでは、搬送経路を複数にして被搬送物を振り分けて搬送し処理することで、生産性を向上させる」技術を引用文献1に記載されている発明の冷却室の搬送手段に適用し、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。
よって審判請求人の主張は認められない。
(5)むすび
したがって、本願発明1は、引用文献1ないし引用文献3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4.結論
以上のとおり、本願発明1が特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである以上、本願発明2?6について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-08-22 
結審通知日 2012-08-28 
審決日 2012-09-10 
出願番号 特願2007-74990(P2007-74990)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中尾 麗  
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 川本 真裕
常盤 務
発明の名称 はんだリフロー装置、および、はんだリフロー方法  
代理人 山田 正紀  
代理人 三上 結  

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