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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G05B
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G05B
管理番号 1265099
審判番号 不服2012-2524  
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-02-08 
確定日 2012-10-25 
事件の表示 特願2006-314022「生産ライン作業指示システム」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 6月 5日出願公開、特開2008-129843〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成18年11月21日の出願であって、平成23年8月17日付け拒絶理由通知に応答して同年9月15日付けで手続補正がなされ、同年12月22日付けで拒絶査定がなされた。
これに対し、平成24年2月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされ、当審による同年6月4日付けの審尋に対して、同年7月11日付けで回答書が提出されたものである。


第2.平成24年2月8日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成24年2月8日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正の内容の概要
本件補正は、平成23年9月15日付けで補正された特許請求の範囲、明細書及び図面をさらに補正するものであって、特許請求の範囲の請求項1に関する以下の補正を含んでいる。なお、下線部は補正箇所を示す。

(1)本件補正前の請求項1
「 【請求項1】
複数の生産対象に対するメイン組立ラインおよびサブ組立ラインを含む生産ラインと、
前記生産ラインに沿って設けられた伝送路と、
無線LANを介して受信される前記生産ラインに関連した作業指示データを表示するPDA携帯端末と、
前記生産対象に個別に設けられて前記生産対象毎の組立指示データが書込まれるIDタグと、
前記伝送路に接続され、前記作業指示データおよび前記組立指示データを、前記生産ラインに関連した生産情報として提供するサーバ計算機と、
前記生産ラインの先頭工程に設置されて前記サーバ計算機から前記伝送路を介して送信された前記組立指示データを受信するIDタグ制御シーケンサと、
前記IDタグ制御シーケンサに接続されて前記組立指示データをIDタグに書込むためのIDタグコントローラおよびIDアンテナと、
前記生産ライン上での前記生産対象の通過を検出する生産設備と、
前記伝送路に接続されて前記生産設備からの生産対象検出信号に応答して準備要求信号を生成する設備シーケンサと、
前記伝送路に接続されて前記IDタグ内の組立指示データを前記準備要求信号の入力タイミングで読込むためのライン管理PCと、
前記ライン管理PCの読込データに基づく前記組立指示データを、前記PDA携帯端末に対して前記無線LANにより送信するアクセスポイントと、を備えた生産ライン作業指示システムにおいて、前記PDA携帯端末は、
前記サブ組立ラインで組立てられる各部品に付されたバーコードを読取るバーコード入力部と、
前記バーコード入力部により読取った部品データが前記無線LANにより受信した作業指示データと相違するか否かの異機種チェックを行い、そのチェック結果を表示する携帯端末表示部と、
前記チェック結果を音声信号として出力する音声信号出力部と、前記音声信号出力部が出力する音声信号を音声として出力するヘッドセットマイクと、
を備えたことを特徴とする生産ライン作業指示システム。」

(2)本件補正後の請求項1
「 【請求項1】
複数の生産対象に対するメイン組立ラインおよびサブ組立ラインを含む生産ラインと、
前記生産ラインに沿って設けられた伝送路と、
無線LANを介して受信される前記生産ラインに関連した組立作業現場の作業者へ取り付け部品を組立指示するための作業指示データを表示するPDA携帯端末と、
前記生産対象に個別に設けられて前記生産対象毎の識別番号、仕様、生産設備への制御指示データから構成される組立指示データが書込まれるIDタグと、
前記伝送路に接続され、前記作業指示データおよび前記組立指示データを、前記生産ラインに関連した生産情報として提供するサーバ計算機と、
前記生産ラインの先頭工程に設置されて前記サーバ計算機から前記伝送路を介して送信された前記組立指示データを受信するIDタグ制御シーケンサと、
前記IDタグ制御シーケンサに接続されて前記組立指示データをIDタグに書込むためのIDタグコントローラおよびIDアンテナと、
前記生産ライン上での前記生産対象の通過を検出する生産設備と、
前記伝送路に接続されて前記生産設備からの生産対象検出信号に応答して準備要求信号を生成する設備シーケンサと、
前記伝送路に接続されて前記IDタグ内の組立指示データを前記準備要求信号の入力タイミングで読込むためのライン管理PCと、
前記ライン管理PCの読込データに基づく前記組立指示データを、前記PDA携帯端末に対して前記無線LANにより送信するアクセスポイントと、を備えた生産ライン作業指示システムにおいて、
前記PDA携帯端末は、
前記サブ組立ラインで組立てられる各部品に付されたバーコードを読取るバーコード入力部と、
前記バーコード入力部により読取った部品データが前記無線LANにより受信した組立指示データと相違するか否かの異機種チェックを行い、そのチェック結果を表示する携帯端末表示部と、
前記チェック結果を音声信号として出力する音声認識処理部と、前記音声認識処理部が出力する音声信号を音声として出力するヘッドセットマイクと、を備え、
前記音声認識処理部は、作業者による部品の目視チェック結果を予め登録された音声の単語で前記ヘッドセットマイクから音声入力して文字情報に変換することを特徴とする生産ライン作業指示システム。」


2.補正の適否
上記補正は、「前記音声認識処理部は、作業者による部品の目視チェック結果を予め登録された音声の単語で前記ヘッドセットマイクから音声入力して文字情報に変換する」という補正事項を含むところ、当該補正事項が、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものかどうかについて、検討する。

(1)願書に最初に添付した明細書の段落【0050】の記載
「 【0050】
図4においては、作業指示データとして、生産対象(車両7)の型式および組立部品仕様と、バーコード入力データの照合チェック結果、および音声入力データ結果とが一括表示されている。」

(2)願書に最初に添付した図面の図2ないし4の記載
図2には、「ヘッドセットマイク」についての記載があり、図3には、「音声認識処理部」の記載があり、図4には、PDA携帯端末の表示部に関して、「音声入力データ結果 欠品無し」との記載がある。

(3)補正事項が記載されていたか否かの判断
上記(1)の記載からみて、音声入力データが、図4、すなわちPDA携帯端末の表示部に表示されることを理解でき、さらに(2)の記載からみて、図4の「音声入力データ結果 欠品無し」という表示は、上記(1)でいう音声入力データが表示されていると理解できるのの、その表示内容は、「欠品無し」というものである。
そして、願書に最初に添付した明細書の段落【0063】に「照合チェック内容(部品エラー、欠品など)を表示して」と記載され、段落【0064】に「音声認識処理部33aにより音声出力した照合チェック内容をヘッドセットマイク5a、5bにアンサーバックすると共に、PDA携帯端末4aの表示部に表示し」と記載されているように、欠品の有無は、PDA携帯端末で行われる照合チェックによって判明する事項であり、上記(1)でいう音声入力データの内容は、PDA携帯端末で行われる照合チェックをアンサーバック、すなわち作業者が確認して報告する程度の内容であると理解せざるを得ない。
そうすると、音声入力データの内容が、作業者による部品の目視チェック結果であること、すなわち、PDA携帯端末で行われる照合チェックとは関係なく、作業者が主体的に行うチェックの結果であることや、さらには、音声認識処理部が、予め登録された音声の単語で文字情報に変換することについては、記載されているとはいえない。
そして、上記の補正事項は、音声入力データの内容が、作業者による部品の目視チェック結果であること、すなわち、PDA携帯端末で行われる照合チェックとは関係なく、作業者が主体的に行うチェックの結果であることや、音声認識処理部が、予め登録された音声の単語で文字情報に変換することという、新たな技術的事項を導入するものである。

(4)請求人の主張について
請求人は、平成24年7月11日付けの回答書の2.(2)(ア)欄において、上記補正事項が願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものではないことについて、「明細書において、必ずしも明確に記載されているとは言えず」と認めている。
他方で、請求人は、平成24年2月8日付けの審判請求書の3.(2)欄において、上記補正事項の補正の根拠として、願書に最初に添付した明細書の段落【0050】の記載、及び願書に最初に添付した図面の図2ないし4の図示を挙げているが、それらの記載や図示を参照しても、上記(3)に説示するとおり、上記補正事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものではない。

(5)補正の適否についてのむすび
以上から、上記補正事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものではなく、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(6)付言
なお付言すると、請求人は、平成24年7月11日付けの回答書の2.(2)(ウ)欄において、請求項1を削除して請求項2に限定する補正を希望している。
当審において、請求人の希望する補正を検討するべき法的根拠はないが、一応検討すると、そもそも請求項2は請求項1を引用しているから、仮に請求項1を削除して請求項2に限定する補正をしたとしても、上記の補正事項は、依然として存在することになる。
また、請求項2には、「前記作業者による部品の目視チェック結果を予め登録された音声の単語で前記ヘッドセットマイクから音声入力した音声を文字情報に変換する音声認識処理部からの出力内容をチェック情報として」という事項が記載されており、当該事項は、上記補正事項と同様の技術的事項を含んでおり、音声入力データの内容が、PDA携帯端末で行われる照合チェックとは関係なく、作業者が主体的に行うチェックの結果であることや、音声認識処理部が、予め登録された音声の単語で文字情報に変換することという、新たな技術的事項を導入するものである。
以上から、請求項1を削除して請求項2に限定する補正をしたとしても、その補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものではない。


第3.本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、平成23年9月15日付けで補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、上記第2.1.(1)に示すとおりのものである。

2.引用刊行物の記載事項及び引用刊行物記載の発明
本願出願前に日本国内において頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2003-241821号公報(以下、「刊行物1」という。)及び特開平10-249678号公報(以下、「刊行物2」という。)には、以下の事項及び発明が記載されている。

(1)刊行物1記載の事項及び刊行物1記載の発明
ア.段落【0007】ないし【0030】
「【0007】特に、近年においては、メイン組立ライン1aでの組立効率を向上させるために、主要部分をユニット部品として、メイン組立ライン1aの生産序列に合わせてユニット部品の組立作業手順を考慮して、サブ組立ライン1bでの組立作業をメイン組立ライン1aと同期して行う方式が採用されている。
【0008】図9はたとえば特開平10-161697号公報に記載された従来の生産ライン作業指示システムを示す構成図であり、ライン先頭部のID書込部1cと、これに続くID読込部1dとを示している。ここでは、ID読込部1dにおいて、指示画面を有する組立ライン作業指示装置が設置されたシステムが示されている。
【0009】図9において、2はメイン組立ライン1a(図8参照)に沿って配設された複数の支線LAN(Local-Area Network:伝送路)である。3はバックボーン幹線LAN(伝送路)であり、バックボーン幹線LAN3には、支線LAN2が分岐して並列に接続されている。
【0010】支線LAN2およびバックボーン幹線LAN3は、工場内に配設された機器の伝送路であり、各LAN2、3としては、工場内LAN(IEEE802.3規格準拠)が用いられている。
【0011】10は支線LAN2に接続されたサーバ計算機であり、生産ラインに関連した種々の生産情報を提供する。11はブラウン管を用いた画像表示装置を有する作業指示装置であり、生産ライン上の各作業箇所に対応して支線LAN2に適宜接続されており、生産ラインに関連した各種の作業指示データを作業者に表示するようになっている。
【0012】12は生産対象となる複数の車両であり、各車両12毎に、各種指示データを記憶しておくIDタグ17a、17bが設けられている。各車両12に個別に設けられたIDタグ17a、17bには、後述するように組立指示データが書込まれる。
【0013】この場合、IDタグ17aは、ライン先頭に位置する車両12に対応し、ID書込部1cに関連している。また、IDタグ17bは、ライン先頭から下流側に位置する車両12に対応し、ID読込部1dに関連している。
【0014】また、図面の煩雑さを避けるために、メイン組立ライン1aまたはサブ組立ライン1b上のID読込部1dに関連した各種要素および車両12は、便宜的に、生産ラインからシフトさせて示している。
【0015】13aはID書込部1cに関連した設備シーケンサであり、生産ラインの先頭工程において、支線LAN2に接続されている。13bはID読込部1dに関連した設備シーケンサであり、生産ラインの先頭工程に続く下流側の支線LAN2に接続されている。
【0016】28a、28bは生産ラインの各部に対応して設置された設備(生産設備)であり、各設備28a、28bからの検出信号は、設備シーケンサ13a、13bに入力される。
【0017】14aはID書込部1cに関連したタグ制御シーケンサであり、生産ラインの先頭工程において、支線LAN2に接続されている。14bはID読込部1dに関連したタグ制御シーケンサであり、生産ラインの先頭工程に続く下流側の支線LAN2に接続されている。
【0018】IDタグ制御シーケンサ14a、14bは、各設備シーケンサ13a、13bに対応して設置されており、支線LAN2を介してサーバ計算機10から送信された組立指示データを受信するとともに、各設備シーケンサ13a、13bからデータ書込タイミング、データ読込タイミングを受信する。
【0019】すなわち、設備シーケンサ13aは、コンベア設備や組立ライン設備などの設備28aからの生産対象検出信号に応答して、準備要求信号(IDタグ17aヘの書込タイミング)を生成し、支線LAN2を介してIDタグ制御シーケンサ14aに送信する。
【0020】これに応答して、IDタグ制御シーケンサ14aは、準備要求信号の入力タイミングで、IDタグ17aに対するデータ書込制御を実行する。
【0021】また、設備シーケンサ13bは、設備28bからの生産対象検出信号に応答して、準備要求信号(IDタグ17bに対する読込タイミング)を生成し、支線LAN2を介してIDタグ制御シーケンサ14bに送信する。
【0022】これに応答して、IDタグ制御シーケンサ14bは、準備要求信号の入力タイミングで、IDタグ17bに対するデータ読込制御を実行する。
【0023】15a、15bは各IDタグ制御シーケンサ14a、14bに接続されたIDタグコントローラであり、各IDタグ17a、17bに対する組立指示データの書込制御、読込制御を行う。
【0024】16a、16bは各IDタグコントローラ15a、15bに接続されたIDタグアンテナであり、各IDタグ17a、17bに対して組立指示データの書込、読込を非接触で行う。
【0025】次に、図8および図9を参照しながら、従来の生産ライン作業指示システムによる動作について説明する。サーバ計算機10は、製造すべき製品(車両12)について、あらかじめ製造順序に合わせた各工程別の作業指示内容データを全て管理している。
【0026】また、ID読込部1dに対応して各工程別に設置された作業指示装置11は、支線LAN2およびバックボーン幹線LAN3を介して、当該工程分のみの作業指示データをサーバ計算機10から受信して内部メモリに格納している。
【0027】まず、ID書込部1cのIDタグ制御シーケンサ14aは、IDタグアンテナ16aを介して、生産ラインの先頭に位置する車両12のIDタグ17aに対して組立指示データを非接触で書込む。
【0028】次に、ID読込部1dのIDタグ制御シーケンサ14bは、IDタグアンテナ16bを介して、車両12のIDタグ17bの通過信号とNO(ナンバー)とを受信し、支線LAN2を介して作業指示装置11に送信する。
【0029】作業指示装置11は、作業者に対する指示に必要なメモリ情報を読出して、支線LAN2を介してIDタグ制御シーケンサ14bに送信する。IDタグ制御シーケンサ14bは、作業指示装置11からの送信情報に応答して表示編集処理を行い、編集結果を作業指示装置11に送信して作業指示画面上に表示させる。
【0030】以下、作業者は、作業指示装置11の作業指示画面を見ながら、メイン組立ライン1aまたはサブ組立ライン1bにおいて各部品の組立作業を行う。」

イ.段落【0039】ないし【0040】
「【0039】
【課題を解決するための手段】この発明に係る生産ライン作業指示システムは、複数の生産対象に対するメイン組立ラインおよびサブ組立ラインを含む生産ラインと、生産ラインに沿って設けられた伝送路と、無線LANを介して受信される生産ラインに関連した作業指示データを表示するPDA携帯端末と、生産対象に個別に設けられて生産対象毎の組立指示データが書込まれるIDタグと、伝送路に接続されて生産ラインに関連した生産情報を提供するサーバ計算機と、生産ラインの先頭工程に設置されてサーバ計算機から伝送路を介して送信された組立指示データを受信するIDタグ制御シーケンサと、IDタグ制御シーケンサに接続されて組立指示データをIDタグに書込むためのIDタグコントローラおよびIDアンテナと、生産ライン上での生産対象の通過を検出する生産設備と、伝送路に接続されて生産設備からの生産対象検出信号に応答して準備要求信号を生成する設備シーケンサと、伝送路に接続されてIDタグ内の組立指示データを準備要求信号の入力タイミングで読込むためのライン管理PCと、ライン管理PCの読込データに基づく作業指示データを、PDA携帯端末に対して無線LANにより送信するアクセスポイントとを備えたものである。
【0040】また、この発明に係る生産ライン作業指示システムのPDA携帯端末は、サブ組立ラインで組立てられる各部品に付されたバーコードを読取り、バーコードに基づく部品データが無線LANにより受信したデータと相違するか否かの異機種チェックを行い、異機種チェックの内容および結果を表示するものである。」

ウ.段落【0045】
「【0045】
【発明の実施の形態】実施の形態1.以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。図1はこの発明の実施の形態1を示す構成図であり、前述(図9参照)と同様のものについては、同一符号を付して詳述を省略する。」

エ.段落【0051】
「【0051】上記設備シーケンサ13aからサーバ計算機10への送信タイミングにより、サーバ計算機10は、組立対象製品の組立指示データを送信する。組立指示データは、支線LAN2、IDタグ制御シーケンサ14a、IDタグコントローラ15aを介して伝送され、IDアンテナ16aから1台毎の車両12に取付けられたIDタグ17aに非接触で書込まれる。」

オ.段落【0053】ないし【0055】
「【0053】ライン管理PC18bは、通過信号の受信タイミングにしたがって、ライン管理PC18bおよびIDタグコントローラ15bを介して、IDアンテナ16bから1台毎の車両12に取付けられたIDタグ17bの組立指示データを非接触で読取る。
【0054】続いて、ライン管理PC18bは、読取った組立指示データを処理して、支線LAN2を介してアクセスポイント19に処理データを伝送し、アクセスポイント19から無線LANを使用して該当工程のPDA携帯端末20a、20bに送信する。
【0055】これに応答して、PDA携帯端末20a、20bは、携帯端末表示部に組立指示データを表示する。」

カ.段落【0075】ないし【0078】
「【0075】実施の形態2.なお、上記実施の形態1では、IDタグ17bからの読取データをライン管理PC18bで編集処理して携帯端末表示部25aに表示させたが、組立指示データまたは作業指示データのみならず、部品照合チェックの結果を携帯端末表示部25aに表示させてもよい。
【0076】すなわち、PDA携帯端末26aに設けられたバーコード入力部26a(バーコードリーダ)を用いて、部品に貼付されたバーコードのデータ(部品型式、部品NO、シーケンスNOなど)を読取り、アクセスポイント19から無線LANで受信したIDタグ17bのデータと同様か否かの照合チェックを実行することができる。
【0077】図3はこの発明の実施の形態2によるPDA携帯端末20a内の携帯端末表示部25a(図2参照)に表示されるデータフォーマット内容の一例を示す説明図である。
【0078】図3においては、作業指示データとして、生産対象(車両12)の型式および組立部品仕様と、バーコード入力データの照合チェック結果とが一括表示されている。」

キ.刊行物1記載の発明
上記イ.に示す段落【0039】の「伝送路に接続されて生産ラインに関連した生産情報を提供するサーバ計算機と」という記載における「生産情報」は、上記エ.に示す段落【0051】の「サーバ計算機10は、組立対象製品の組立指示データを送信する」という記載や、上記ア.に示す段落【0011】及び【0025】の記載からみて、作業指示データ及び組立て指示データを含む情報であるといえる。
以上の記載事項を、技術常識を踏まえつつ本願発明に沿って整理すると、刊行物1には次の発明(以下、「刊行物1記載の発明」という。)が記載されていると認める。

「複数の生産対象に対するメイン組立ライン1aおよびサブ組立ライン1bを含む生産ラインと、
前記生産ラインに沿って設けられた伝送路2、3と、
無線LANを介して受信される前記生産ラインに関連した作業指示データを表示するPDA携帯端末20a、20bと、
前記生産対象に個別に設けられて生産対象毎の組立指示データが書込まれるIDタグ17a、17bと、
前記伝送路2、3に接続され、前記作業指示データおよび前記組立て指示データを、前記生産ラインに関連した生産情報として提供するサーバ計算機10と、
前記生産ラインの先頭工程に設置されて前記サーバ計算機10から前記伝送路2、3を介して送信された前記組立指示データを受信するIDタグ制御シーケンサ14aと、
前記IDタグ制御シーケンサ14aに接続されて前記組立指示データをIDタグ17a、17bに書込むためのIDタグコントローラ15aおよびIDアンテナ16aと、
前記生産ライン上での前記生産対象の通過を検出する生産設備28a、28bと、
前記伝送路2、3に接続されて前記生産設備28a、28bからの生産対象検出信号に応答して準備要求信号を生成する設備シーケンサ13a、13bと、
前記伝送路2、3に接続されて前記IDタグ17a、17b内の組立指示データを前記準備要求信号の入力タイミングで読込むためのライン管理PC18bと、
前記ライン管理PC18bの読込データに基づく作業指示データを、前記PDA携帯端末20a、20bに対して前記無線LANにより送信するアクセスポイント19と、を備えた生産ライン作業指示システムにおいて、前記PDA携帯端末20a、20bは、
前記サブ組立ライン1bで組立てられる各部品に付されたバーコードを読取るバーコード入力部26a、26bと、
前記バーコード入力部26a、26bにより読取った部品データが前記無線LANにより受信したデータと相違するか否かの異機種チェックを行い、そのチェック結果を表示する携帯端末表示部25a、25bと、
を備えた生産ライン作業指示システム。」


(2)刊行物2記載の事項
ア.段落【0001】
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は製造管理システムに関し、特に車両等の被組立物の製造を管理するための製造管理システムに関する。」

イ.段落【0011】
「【0011】この生産ラインは、被組立物である車両(車体)に構成要素である部品を組み付ける複数の作業場を配置し、車体を搬送しながら各製造工程の作業員及び自動機が車体に部品を組み付けていくラインであり、具体的には、車体1を流す組立ライン(製造ライン)2を備え、この組立ライン2で搬送される車体1に構成部品であるSRS(Supplemental Restraint System:安全装置)関係部品を組み付けるための複数の作業場(各製造工程)を設けている。そして、この組立ライン2の各製造工程で行われた車体1へのSRS関係部品の取付け状況を検査する完検ライン3及び必要な加修を行うための加修場4などを配置している。」

ウ.段落【0013】ないし【0014】
「【0013】そして、この組立ライン2には、SRSを組み付けるべき車両(SRS仕様車)の車体1が流されるが、SRS仕様車であっても、上記のSRS関係部品をすべて組み付ける車両もあれば、SRS関係部品の一部が不要な車両もあり、種々の車体1(被組立物)が搬送されることになる。
【0014】そこで、この組立ライン2の車体搬入部付近には、車体1の車種(仕様)を識別するため情報を表示する識別部材を作成する識別部材作成手段であるバーコード作成装置5を設けている。このバーコード作成装置5は、車体1が搬入される際に作業員によって車両の仕様データが図示しないコンピュータから入力されることで、少なくとも当該車体1(車両)の仕様データを表示するバーコードを付した識別部材であるバーコードラベルを作成してプリントアウトする。また、このバーコード作成装置5によって作成するバーコードラベル(識別部材)は、車体1に対して、貼付、添付、係止等の適宜の手段を用いて装着することができる。」

エ.段落【0017】
「【0017】主制御装置11は、バーコードリーダ12からの読取り情報に基づいて当該車体1の仕様を識別し、また、車体1の仕様に該当する部品の種類名、組付ける部品の締結箇所、部品の適合性、組立状況などをモニタ装置13に表示するための表示制御、組立検出手段14からの検出信号の検査確認手段15への転送及び検査確認手段15からの検査確認結果情報の取込み、後述するファイルサーバ7からのデータ読み込み及びファイルサーバ7へのデータの格納等の作業に必要な制御及び作業結果に関する情報の出力などを司る。」

オ.段落【0022】ないし【0025】
「【0022】次に、このように構成した製造管理システムの作用について図3及び図4をも参照して説明する。図3を参照して、塗装工程が終了した車体1が組立ライン2に投入されるときに、作業員によって当該車両の仕様データが図示しないコンピュータによりバーコード作成装置5に入力されて、このバーコード作成装置5からは当該車体1の仕様データを含む情報をバーコード化したバーコードラベルがプリントアウトされる。そこで、作業員はこのプリントアウトされたバーコードラベルを当該車体1に適宜の手段、方法で装着する。
【0023】そして、組立ライン2に投入された車体1が各々のSRS関係部品を組付ける作業場所に搬送されると、作業員は、作業制御装置6のバーコードリーダ12を用いて、車体1に装着されているバーコードラベルのバーコードを読取らせることで、バーコードリーダ12が読取ったバーコード情報(仕様データ)が主制御装置11に入力される。そこで、主制御装置11は、入力された仕様データに応じたSRS関連部品の種類名をモニタ装置13の画面に表示させる。
【0024】これによって、作業員が、モニタ装置13の画面に表示されている種類名の部品を選択抽出して、この部品に予め装着されている部品種別を表わす情報をバーコード化したバーコードラベルのバーコードをバーコードリーダ12によって読取らせることで、この読取られたバーコード情報(部品種別情報)が主制御装置11に入力される。
【0025】ここで、主制御装置11は、作業員が選択抽出した部品が当該車体1の仕様に合致しているか否かを判別して、合致していなければ、モニタ装置12の画面に警告を表示(或いは、その他の手段、例えばランプ、ブザー、音声などで警告を発してもよい。)して、作業員に対して適合部品の再度の選択を促し、作業員がこれに従って再度選択した部品のバーコードを読取らせるようにする。」

カ.刊行物2記載の技術的事項
上記オ.に示す段落【0025】の「モニタ装置12」という記載が、「モニタ装置13」の誤記であることは、明らかである。
以上の記載事項を、技術常識を踏まえつつ本願発明に沿って整理すると、刊行物2には次の技術的事項発明(以下、「刊行物2記載の技術的事項」という。)が記載されていると認める。
「種々の車体1に対する組立ライン2及び複数の作業場を含む生産ラインと、
車体1の仕様に該当する部品の種類名、組付ける部品の締結箇所、部品の適合性、組立状況などを表示するモニタ装置13と、
車体1に装着されて車体の仕様データを表示するバーコードラベルと、
前記仕様データを提供するコンピュータと、
前記コンピュータから提供された仕様データをバーコードラベルに表示するバーコード作成装置5と、
バーコードラベルに表示された仕様データを読込むための主制御装置11と、
部品に予め装着されているバーコードを読取るバーコードリーダ12と、を備えた製造管理システムにおいて、
主制御装置11は、前記バーコードリーダ12により読取った部品種別情報が前記主制御装置11が読取った仕様データに合致しているか否かを判別して、合致していなければ、モニタ装置13の画面に警告を表示し、或いは、音声などで警告を発すること。」


3.対比
本願発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明の「複数の生産対象に対するメイン組立ライン1aおよびサブ組立ライン1bを含む生産ライン」が本願発明の「複数の生産対象に対するメイン組立ラインおよびサブ組立ラインを含む生産ライン」に相当し、「生産ラインに沿って設けられた伝送路2、3」が「生産ラインに沿って設けられた伝送路」に相当し、「無線LANを介して受信される生産ラインに関連した作業指示データを表示するPDA携帯端末20a、20b」が「無線LANを介して受信される生産ラインに関連した作業指示データを表示するPDA携帯端末」に相当し、「生産対象に個別に設けられて生産対象毎の組立指示データが書込まれるIDタグ17a、17b」が「生産対象に個別に設けられて生産対象毎の組立指示データが書込まれるIDタグ」に相当し、「伝送路2、3に接続され、作業指示データおよび組立て指示データを、生産ラインに関連した生産情報として提供するサーバ計算機10」が「伝送路に接続され、作業指示データおよび組立指示データを、生産ラインに関連した生産情報として提供するサーバ計算機」に相当し、「生産ラインの先頭工程に設置されてサーバ計算機10から伝送路2、3を介して送信された組立指示データを受信するIDタグ制御シーケンサ14a」が「生産ラインの先頭工程に設置されてサーバ計算機から伝送路を介して送信された組立指示データを受信するIDタグ制御シーケンサ」に相当し、「IDタグ制御シーケンサ14aに接続されて組立指示データをIDタグ17a、17bに書込むためのIDタグコントローラ15aおよびIDアンテナ16a」が「IDタグ制御シーケンサに接続されて組立指示データをIDタグに書込むためのIDタグコントローラおよびIDアンテナ」に相当し、「生産ライン上での生産対象の通過を検出する生産設備28a、28b」が「生産ライン上での生産対象の通過を検出する生産設備」に相当し、「伝送路2、3に接続されて生産設備28a、28bからの生産対象検出信号に応答して準備要求信号を生成する設備シーケンサ13a、13b」が「伝送路に接続されて生産設備からの生産対象検出信号に応答して準備要求信号を生成する設備シーケンサ」に相当し、「伝送路2、3に接続されてIDタグ17a、17b内の組立指示データを準備要求信号の入力タイミングで読込むためのライン管理PC18b」が「伝送路に接続されてIDタグ内の組立指示データを準備要求信号の入力タイミングで読込むためのライン管理PC」に相当することは、明らかである。
また、刊行物1記載の発明の「ライン管理PC18bの読込データに基づく作業指示データ」は、「ライン管理PCの読込データに基づく生産情報」という点で、本願発明の「ライン管理PCの読込データに基づく組立指示データ」と共通するといえるし、「PDA携帯端末20a、20bに対して無線LANにより送信するアクセスポイント19と、を備えた生産ライン作業指示システム」が「PDA携帯端末に対して無線LANにより送信するアクセスポイントと、を備えた生産ライン作業指示システム」に相当し、「サブ組立ライン1bで組立てられる各部品に付されたバーコードを読取るバーコード入力部26a、26b」が「サブ組立ラインで組立てられる各部品に付されたバーコードを読取るバーコード入力部」に相当する。
そして、刊行物1記載の発明の「バーコード入力部26a、26bにより読取った部品データが無線LANにより受信したデータと相違するか否かの異機種チェック」は、「バーコード入力部により読取った部品データが無線LANにより受信した情報と相違するか否かの異機種チェック」という点で、本願発明の「バーコード入力部により読取った部品データが無線LANにより受信した作業指示データと相違するか否かの異機種チェック」と共通し、刊行物1記載の発明の「そのチェック結果を表示する携帯端末表示部25a、25b」が本願発明の「そのチェック結果を表示する携帯端末表示部」に相当する。

以上から、本願発明と刊行物1記載の発明とは、以下の点で一致及び相違する。

<一致点>
「複数の生産対象に対するメイン組立ラインおよびサブ組立ラインを含む生産ラインと、
前記生産ラインに沿って設けられた伝送路と、
無線LANを介して受信される前記生産ラインに関連した作業指示データを表示するPDA携帯端末と、
前記生産対象に個別に設けられて前記生産対象毎の組立指示データが書込まれるIDタグと、
前記伝送路に接続され、前記作業指示データおよび前記組立指示データを、前記生産ラインに関連した生産情報として提供するサーバ計算機と、
前記生産ラインの先頭工程に設置されて前記サーバ計算機から前記伝送路を介して送信された前記組立指示データを受信するIDタグ制御シーケンサと、
前記IDタグ制御シーケンサに接続されて前記組立指示データをIDタグに書込むためのIDタグコントローラおよびIDアンテナと、
前記生産ライン上での前記生産対象の通過を検出する生産設備と、
前記伝送路に接続されて前記生産設備からの生産対象検出信号に応答して準備要求信号を生成する設備シーケンサと、
前記伝送路に接続されて前記IDタグ内の組立指示データを前記準備要求信号の入力タイミングで読込むためのライン管理PCと、
前記ライン管理PCの読込データに基づく生産情報を、前記PDA携帯端末に対して前記無線LANにより送信するアクセスポイントと、を備えた生産ライン作業指示システムにおいて、前記PDA携帯端末は、
前記サブ組立ラインで組立てられる各部品に付されたバーコードを読取るバーコード入力部と、
前記バーコード入力部により読取った部品データが前記無線LANにより受信した情報と相違するか否かの異機種チェックを行い、そのチェック結果を表示する携帯端末表示部と、
を備えた生産ライン作業指示システム。」である点。

<相違点1>
アクセスポイントが送信する生産情報が、本願発明では「組立指示データ」であるのに対して、刊行物1記載の発明では「作業指示データ」であり、また、異機種チェックにおいて部品データと比較する情報が、本願発明では「無線LANにより受信した作業指示データ」であるのに対して、刊行物1記載の発明では「無線LANにより受信したデータ」であり、作業指示データであるかどうかが不明である点。

<相違点2>
本願発明の生産ライン作業指示システムは、チェック結果を音声信号として出力する音声信号出力部と、前記音声信号出力部が出力する音声信号を音声として出力するヘッドセットマイクを備えているのに対して、刊行物1記載の発明は、音声信号出力部やヘッドセットマイクを備えていない点。


4.各相違点の判断
(1)相違点1について
上記2.(1)カ.に示す段落【0075】に「IDタグ17bからの読取データをライン管理PC18bで編集処理して携帯端末表示部25aに表示させたが、組立指示データまたは作業指示データのみならず、部品照合チェックの結果を携帯端末表示部25aに表示させてもよい」との記載があるところ、当該記載は、携帯端末表示部に、組立指示データと作業指示データとの、いずれをも表示できることを意味している。また、携帯端末表示部に組立指示データを表示させた場合と、作業指示データを表示させた場合とで、作業者の組み立て作業が異なることの記載や示唆がないことを考慮すると、組立指示データが指示する内容と、作業指示データが指示する内容との間には、作業者の組み立て作業に変更が生じる程度の差異はなく、同程度の指示内容であるといえる。
そうすると、同程度の指示内容を含んでいる組立指示データと作業指示データとのいずれを選択して、作業者に指示するかは、当業者が適宜に決定すればよい程度の事項にすぎず、アクセスポイントが送信する生産情報として、刊行物1記載の発明の「作業指示データ」から「組立指示データ」に変更し、異機種チェックにおいて部品データと比較する情報として、刊行物1記載の発明の「無線LANにより受信したデータ」を「無線LANにより受信した作業指示データ」に特定することは、当業者が容易に想到できた事項である。

(2)相違点2について
刊行物2記載の技術的事項は、上記2.(2)カ.に示すとおりであり、本願発明と対比すると、刊行物2記載の技術的事項における「種々の車体1」が本願発明の「複数の生産対象」に相当し、「組立ライン2及び複数の作業場を含む生産ライン」が「メイン組立ラインおよびサブ組立ラインを含む生産ライン」に相当することは、明らかである。
また、「車体1の仕様に該当する部品の種類名、組付ける部品の締結箇所、部品の適合性、組立状況など」は、「作業指示情報」という点で、「生産ラインに関連した作業指示データ」と共通し、「モニタ装置13」は、「表示装置」という点で、「PDA携帯端末」と共通する。
また、「車体1に装着されて車体の仕様データを表示するバーコードラベル」は、仕様に関する情報を含んでいるから、「生産対象に個別に設けられて生産対象毎の組立指示データが書込まれるIDタグ」に相当し、「仕様データを提供するコンピュータ」は、「組立指示データを提供する計算機」という点で、「作業指示データおよび組立指示データを、生産ラインに関連した生産情報として提供するサーバ計算機」と共通し、「コンピュータから提供された仕様データをバーコードラベルに表示するバーコード作成装置5」は、「組立指示データをIDタグに書込むためのIDタグコントローラ」に相当する。
また、「バーコードラベルに表示された仕様データを読込むための主制御装置11」は、「IDタグ内の組立指示データを読込むための制御装置」という点で、「伝送路に接続されてIDタグ内の組立指示データを準備要求信号の入力タイミングで読込むためのライン管理PC」と共通し、「部品に予め装着されているバーコードを読取るバーコードリーダ12」は、「サブ組立ラインで組立てられる各部品に付されたバーコードを読取るバーコード入力部」に相当し、「製造管理システム」は「生産ライン作業指示システム」に相当する。
そして、「バーコードリーダ12により読取った部品種別情報が前記主制御装置11が読取った仕様データに合致しているか否かを判別」することは、「バーコード入力部により読取った部品データがIDタグから読み取ったデータと相違するか否かのチェック」という点で、「バーコード入力部により読取った部品データが無線LANにより受信した作業指示データと相違するか否かの異機種チェック」と共通し、「モニタ装置13の画面に警告を表示」することは、「チェック結果を表示する」ことに相当し、「音声などで警告を発すること」は、「音声として出力する」ことに相当する。
そうすると、刊行物2記載の事項を本願発明の用語を用いて表現すると、
「複数の生産対象に対するメイン組立ラインおよびサブ組立ラインを含む生産ラインと、
作業指示情報を表示する表示装置と、
生産対象に個別に設けられて生産対象毎の組立指示データが書込まれるIDタグと、
組立指示データを提供する計算機と、
組立指示データをIDタグに書込むためのIDタグコントローラと、
IDタグ内の組立指示データを読込むための制御装置と、
サブ組立ラインで組立てられる各部品に付されたバーコードを読取るバーコード入力部と、を備えた生産ライン作業指示システムにおいて、
バーコード入力部により読取った部品データがIDタグから読み取ったデータと相違するか否かのチェックを行い、チェック結果を表示し、音声として出力すること。」
となり、部品についてのチェックの結果を、生産ラインにおける作業者に対して音声で出力することは、刊行物2記載の事項に示されているといえる。
そして、音声以外の信号を音声として出力するにあたり、当該信号を音声として出力できるように変換する装置、すなわち音声信号出力部を設けることは、ごく普通に行われている程度の技術的事項である。
さらに、製造工程における作業者に対して音声を出力する手段として、ヘッドセットマイクが存在することは、例えば特開2002-328716号公報の段落【0026】や、特開2005-251041号公報の段落【0017】ないし【0018】に示すように周知の技術的事項である。
これらを考慮すると、刊行物1記載の発明において、チェック結果を音声で出力することは、刊行物2記載の技術的事項に基づいて、当業者が格別の困難性を有することなく想到し得た事項といえるし、そのような音声を出力するにあたり、チェック結果である信号を音声として出力できるように変換する装置、すなわち音声信号出力部を設けることや、その音声信号を音声として出力する手段としてヘッドセットマイクを採用することは、いずれも、普通に行われ、又は一般的に知られている程度の技術的事項を適用したものにすぎない。
以上から、刊行物1記載の発明において、チェック結果を音声信号として出力する音声信号出力部と、前記音声信号出力部が出力する音声信号を音声として出力するヘッドセットマイクを備えるように構成することは、当業者が容易に発明できた事項である。


5.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1記載の発明、並びに刊行物2記載の技術的事項及び周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-08-07 
結審通知日 2012-08-14 
審決日 2012-09-06 
出願番号 特願2006-314022(P2006-314022)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (G05B)
P 1 8・ 121- Z (G05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 稲垣 浩司星名 真幸  
特許庁審判長 野村 亨
特許庁審判官 藤井 眞吾
刈間 宏信
発明の名称 生産ライン作業指示システム  
代理人 高田 守  
代理人 高橋 英樹  
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