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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03G
管理番号 1265100
審判番号 不服2012-3376  
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-02-22 
確定日 2012-10-25 
事件の表示 特願2006-145765「画像形成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年12月 6日出願公開、特開2007-316332〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成18年5月25日の出願であって、平成23年11月15日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成24年2月22日付けで拒絶査定不服審判が請求されたものである。

2 本願発明
本願の請求項1ないし6に係る発明は、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載の事項によりそれぞれ特定されるものであるところ、請求項1に係る発明は、願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものであると認める。

「導電性支持体と該導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体を帯電する帯電工程と、該感光体上に静電潜像を形成する露光工程と、トナーとキャリアとを含有する二成分現像剤を収容する現像器を用いて該静電潜像を現像する現像工程とを少なくとも有する画像形成方法であって、
該現像器へは、少なくとも補給用トナーと補給用キャリアを含有する補給用現像剤が補給され、且つ該現像器からは過剰になったキャリアが排出され、
該補給用現像剤は、補給用キャリア1質量部に対して補給用トナーを2乃至50質量部の質量比で含有してなり、
該感光層が少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を有し、
該感光層の総膜厚が5.0μm乃至15.0μmであり、
該キャリア及び補給用キャリアの体積基準の50%粒径(D50)が15乃至70μmであり、
該キャリア及び補給用キャリアの真比重が、2.5乃至4.2g/cm^(3)であり、
該キャリア及び補給用キャリアの1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さが40乃至70Am^(2)/kgであることを特徴とする画像形成方法。」(以下「本願発明」という。)

3 刊行物の記載事項
(1)原査定で引用された「本願の出願前に頒布された刊行物である特開2003-43754号公報(以下「引用例1」という。)」には、図とともに次の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。
ア「【0002】
【従来の技術】電子写真法として米国特許第2,297,691号明細書、特公昭42-23910号公報および特公昭43-24748号公報等に種々の方法が記載されている。これらの方法は、潜像保持体の光導電層に原稿に応じた光像を照射することにより静電潜像を形成し、次いで該静電潜像上にトナーを付着させて該静電潜像を現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、熱、圧力、加熱加圧あるいは溶剤蒸気等により定着し複写物又はプリントを得るものである。」

イ 「【0004】電子写真法において静電潜像を現像する工程は、帯電させたトナー粒子を静電潜像の静電相互作用を利用して静電潜像上に画像形成を行うものである。静電潜像を、トナーを用いて現像するための現像剤のうち、磁性体を樹脂中に分散してなる磁性トナーを用いる一成分系現像剤と、非磁性トナーを磁性キャリアと混合した二成分系現像剤があり、特に高画質を要求されるフルカラー複写機又はフルカラープリンタには後者が好適に用いられている。
【0005】二成分現像方法は、現像によってトナーは入れ替わるがキャリアは消費させずに現像器内に滞留させるため、トナー成分のキャリアへの移行によるキャリア汚染が生じたり、キャリアそのものが現像器内ストレスを受けその樹脂被覆層が剥がれたりすることで現像剤特性に影響を与え、画像濃度が変動したり、かぶりが発生したりすることがある。」

ウ 「【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らが鋭意検討した結果、トナーとキャリアからなる二成分系現像剤を収容した現像器を用いて潜像保持体の静電潜像を現像する際、トナーとキャリアからなる補給用現像剤を補給しながら現像を行う現像方法に使用するための補給用現像剤を以下の構成とすることで、良好な画像を長期にわたって得られるということを見出した。
【0012】即ち、本発明の補給用現像剤において、キャリアは結着樹脂中に金属化合物粒子が分散されている磁性体分散型樹脂キャリアであり、該磁性体分散型樹脂キャリアは、30℃、80%RH環境に放置後の水分吸着量T_(H2O-H)(質量%)と、23℃、5%RH環境に放置後の水分吸着量T_(H2O-L)(質量%)と、表面積Sm(cm^(2)/g)とが、下記式(1)、(2)を満たしており、
【0013】
【数3】
5.50×10^(-6)≦T_(H2O-H)/(100×Sm)≦1.50×10^(-5) (1)9.00×10^(-7)≦T_(H2O-L)/(100×Sm)≦5.50×10^(-6) (2)前記トナーは重量平均粒径3?10μmであり、前記磁性体分散型樹脂キャリア1質量部に対して前記トナー2?50質量部の配合割合であり、現像器内に収容された二成分系現像剤が、前記磁性体分散型樹脂キャリア1質量部に対して前記トナー0.05?0.20質量部の配合割合であることを特徴とする。」

エ 「【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明する。
<1>本発明におけるキャリア
キャリアとして、結着樹脂中に金属化合物粒子が分散されている磁性体分散型樹脂キャリアを用いることで、従来の鉄粉キャリア等に比べて比重を軽くすることができる。その結果、トナーとの比重差を少なくすることができるため、補給用現像剤の偏りがなく、安定して補給用現像剤を補給することが可能となる。
【0017】さらに比重が軽い分だけ、質量あたりの表面積を大きくすることができるため、トナー濃度を高くしてもトナーとキャリアが分離することがなくなる。その結果、補給用現像剤の安定供給に対して効果があるばかりか、現像器、補給用現像剤容器の質量を軽くし小型化することができる。
【0018】特に重合法により製造される磁性体分散型樹脂キャリアは、キャリアに形状的な歪みが少なく、粒子強度が高い球形形状にすることが比較的に容易であるため流動性に優れており、さらに、粒子サイズをシャープに制御することができることから、現像器内に残るキャリアと回収されるキャリアの粒度分布に差が生じにくく、微粉だけあるいは粗粉だけ回収される等の偏在もなく回収性にも優れていることから好適である。」

オ 「【0031】
【数7】(W1-W2)/W1×100
磁性体分散型樹脂キャリアの真比重は2.5?4.5が好ましく、さらには2.8?4.2が好ましい。真比重が4.5を超えるとトナーとの比重差が大きくなるため、磁性体分散型樹脂キャリアの回収が安定に行われにくくなり装置が複雑になり易い。一方、真比重が2.5未満であると、磁性体分散型樹脂キャリアの磁気特性とも関係するがキャリア付着が生じやすくなる。」

カ 「【0035】磁性体分散型樹脂キャリアの磁気特性は、1000/4π(kA/m)での磁化の強さσ1000が30?80Am^(2)/kgである事が良く、好ましくは40?80Am^(2)/kg、より好ましくは50?80Am^(2)/kgであることが好ましい。さらに、残留磁化σrは0.1?20Am^(2)/kgであることが好ましい。
【0036】σ1000が80Am^(2)/kgを超えると、磁性体分散型樹脂キャリア粒径にも関係するが、補給用現像剤容器内、及び現像器内でのストレスが大きくなりキャリア劣化が促進され、補給用現像剤中のキャリア量を多くしないと、特に多数枚の複写又はプリントによる現像剤の耐久劣化が生じやすい。30Am^(2)/kg未満では、キャリア微粉をカットしてもキャリアの磁気力が低下し、キャリア付着が生じやすく、トナー搬送性が低下する傾向がある。
【0037】また、σrが0.1Am^(2)/kgより小さいと、特に重合法などを用いて製造した球形トナーと球形キャリアとを使用した場合、流動性が良すぎてトナーとキャリアが密に詰まりやすくなり、補給用現像剤の劣化、補給不良などを起こしやすくなる。逆に20Am^(2)/kgより大きい場合には、キャリアのチェーン化などによりキャリアにトナーがうまく混合せず、帯電不良につながり、ひいては補給不良につながってしまう。
【0038】磁気特性の測定は、理研電子(株)製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV-35を用いて行う。磁性体分散型樹脂キャリアの磁気特性値は、1000/4π(kA/m)の外部磁場を作り、そのときの磁化の強さを求める。キャリアを円筒状のプラスチック容器にキャリアが動かないように十分密になるようにパッキングした状態に作製し、この状態で磁化モーメントを測定し、試料を入れたときの実際の重量を測定して、磁化の強さ(Am^(2)/kg)を求める。」

キ 「【0068】磁性体分散型樹脂キャリアの粒径は、体積基準による50%平均粒径で15?60μmが好ましい。磁性体分散型樹脂キャリアの粒径が、15μm以下であるとキャリアの粒度分布のうち、微粒子側の粒子による非画像部への磁性体分散型樹脂キャリア付着を良好に防止できない場合があり、60μmより大きいと、安定した補給を行うために補給用現像剤のトナー濃度を低めに設定しなければならず、その結果、補給剤の交換頻度が増してしまう。あるいは、補給用現像剤容器の大きさが大きくなってしまう。また、二成分現像方式である現像装置において、磁気ブラシの緻密さが損なわれやすくなり、画像のムラを生じてしまう場合もある。」

ク 「【0139】<3>本発明の補給用現像剤
本発明に用いる補給用現像剤は、上述した磁性体分散型樹脂キャリアとトナーとを混合して用いる。
【0140】その混合比率は、キャリア1質量部に対してトナー2?50質量部の配合割合であることが好ましい。2質量部以下の場合は高印字率の画像で画出しした際、適当量の補給が行われず、画像濃度の低下を引き起こす傾向がある。50質量部以上の場合は、排出されるキャリア量と補給されるキャリア量のバランスをとることが難しい。
【0141】次に、本発明の上記補給用現像剤を用いる現像装置を備えた画像形成装置について説明する。現像器内にあらかじめ投入してある二成分系現像剤の混合比率は、キャリア1質量部に対して前記トナー0.05?0.20質量部の配合割合であることが好ましい。0.05質量%以下であると、補給スピードを速くしても、必要とするトナー量が足りず、画像濃度の低下を引き起こしてしまう。また、現像剤の劣化度合いも速くなってしまう。0.20質量%以上であると、トナーの帯電量が低下し、特に高湿化等において飛散、かぶり等の画像欠陥を引き起こしてしまう。」

ケ 「【0142】図1は、ロータリー回転方式の各色毎に現像器を有する現像装置13を搭載した電子写真方式のフルカラー画像形成装置の一例の概略構成図である。潜像保持体1は、帯電装置15によりその表面を負極性に一様に帯電される。次に露光装置14により、一色目、例えばイエロー画像に対応する像露光がなされ、潜像保持体1の表面にはイエロー画像に対応する静電潜像が形成される。
【0143】現像装置13は回転移動式の構成であり、前記イエロー画像に対応する静電潜像の先端が現像位置に到達する以前に、イエロー現像器が潜像保持体1に対向し、その後磁気ブラシが静電潜像を摺擦して、前記潜像保持体上にイエロートナー像を形成する。
【0144】現像に用いられる各現像器には、例えば、現像剤担持体としての現像スリーブ6、マグネットローラ8、規制部材7等が設けられている。図2は、図1の現像器2、3、4および5の概略構成図である。図2を用いて現像器内の現像剤が現像されるまでの搬送されていく流れを説明する。現像スリーブ6は固定したマグネットローラ8を内包し、潜像保持体1の周面との間に所定の現像間隔を保ち駆動回転される。なお、現像スリーブ6と潜像保持体1とは接触している場合もある。規制部材7は剛性かつ磁性を有し、現像スリーブ6に対し現像剤が介在しない状態で所定の荷重をもって圧接されるものや、現像スリーブ6との間に所定の間隔を保って配されるもの等、種々のものがある。一対の現像剤搬送スクリュー10、11は、スクリュー構造を持ち、互いに逆方向に現像剤を搬送循環させて、トナーとキャリアを十分撹拌混合した上、現像剤として現像スリーブ6に送る作用をするものである。マグネットローラ8は、例えば、N極およびS極を交互に等間隔に配置した等磁力の4極の磁石から構成されるもの、或いは、6極の磁石から構成されるものであってもよい。
【0145】上記一対の現像剤搬送スクリュー10、11は、互いに相反する方向に回転する撹拌部材を兼ねる部材であって、スクリューの推力によって補給用現像剤収容装置9より補給される補給用現像剤を搬送すると共に、トナーとキャリアとの混合作用によって、摩擦帯電がなされた均質な二成分の現像剤とされ、現像スリーブ6の周面上にその二成分系現像剤を層状に付着する。
【0146】現像スリーブ6の表面の現像剤は、マグネットローラ8の磁極に対向して設けた規制部材7により、均一な層を形成する。均一に形成された現像剤層は、現像領域において、潜像保持体1の周面上の潜像を現像し、トナー像を形成する。
【0147】図1において、用紙または透明シート等の転写材12は、給紙トレイ26または27から、送り出しローラ28または29により搬送され、一度レジストレーションローラ25で先端を塞き止められた後、所定のタイミングで転写ドラム24へと送り出される。送り出された転写材12は、吸着装置32と対向ローラ30により転写ドラム24へ静電的に保持され、転写ドラム24と潜像保持体1が対向する転写領域へ搬送される。そこで前記転写材は、潜像保持体1上のイエロートナー像と密着し、転写装置31の作用でイエロートナー像が転写材12上に転写され、前記転写ドラム24は、転写材12を保持したまま次の工程に備える。
【0148】イエロートナーの転写を終えた潜像保持体1は、その後、必要に応じてクリーニング前処理が施された後、除電コロトロンで除電され、クリーニング装置18により表面に残ったイエロートナーが掻き取られ、さらに除電装置16で表面に残った電荷が除電される。
【0149】次に、二色目、例えば、マゼンタ画像形成工程のために、前記潜像保持体1は、帯電装置15によりその表面を負極性に一様に帯電され、レーザ露光装置14によりマゼンタ画像に対応する像露光がなされ、潜像保持体1の表面にはマゼンタ画像に対応する静電潜像が形成される。また、現像装置13は、イエロートナー層の形成を終了した後で、マゼンタトナーの現像器が前記潜像保持体1に対向するように切り換えられており、前記マゼンタ画像に対応する静電潜像は、マゼンタ用の磁気ブラシで現像される。そして、前記転写ドラム上に保持されていた転写材が、再び転写領域へと搬送され、転写装置31の作用で今度はイエロートナー像の上にマゼンタトナー像が多重転写される。
【0150】マゼンタトナー像の転写を終えた潜像保持体1は、その後、イエロー画像形成工程と同様にして、表面の残留トナーのクリーニングと残留電荷の除電が行われ、一方で、マゼンタトナー像が転写された転写材は、転写ドラム24に保持されたまま、次の工程に備える。その後、マゼンタ画像形成工程と同様にして、三色目、例えばシアン画像形成工程が行われ、最後に四色目、例えばブラック画像形成工程が行われる。最後のブラックの画像形成工程では、転写材の搬送が前記三色目までの工程と異なる。すなわち、四色目の転写を終えた転写材は、除電装置19および搬送ガイド部材20の先端の図示していない剥離フィンガーにより、転写ドラム24から分離され、定着装置21で多重トナー像が転写材に転写された後、画像形成装置の外に搬出される。
【0151】また、転写材の分離を終えた転写ドラム24は、その表面を除電装置22、33で除電した後、クリーニング装置23で表面クリーニングが行われ、次の転写材12の供給を待つことになる。上記のような複写動作が繰り返されると、図2の現像器内の現像槽17内に収納されている現像剤中のトナーは徐々に消費され、キャリアに対するトナーの比率、すなわちトナー濃度が低下していく。このトナー濃度の変化は、現像槽17に設けられた図示しないトナー濃度センサによりトナー濃度が現像に必要な適性範囲内に常に入るようにフィードバック制御される。
【0152】上記制御により補給用現像剤収容装置9の補給口から、補給用現像剤が現像器内の現像槽17に供給される。
【0153】一方、現像槽17内の現像剤中のキャリアは、現像により消費されることはなく、現像槽17内でのトナーと一緒に撹拌されたり、マグネットローラの磁力および潜像保持体1との接触等の影響により徐々に表面等が汚染されて、劣化していく。このようにキャリアが劣化していくと、トナーに所定の帯電量を付与し得なくなり画質の低下を生じることになる。そこで、現像器内の消費されない劣化したキャリアを新しいキャリアと置換する必要がある。新しいキャリアを現像器内に補給する手段として、現像により消費されたトナーを補給するための補給用現像剤収容装置9の中に補給用のトナーと上記所定の量のキャリアを混合した補給用現像剤を入れ、補給用現像剤収容装置9の補給口から、各々の現像器2、3、4、5に補給する。過剰になった現像剤は、図4に示す現像器側現像剤排出口34より排出される。
【0154】そこで、図1に示した回転移動する現像装置13内の回転移動を利用した現像剤の入れ替えについて図3を用いて説明する。
【0155】回転移動方式を採用した現像装置13を具備するフルカラー画像形成装置において、現像器2、3、4、5は、現像装置13の内部で回転移動し、現像時、潜像保持体1に対向する位置に回転移動して現像を行い、非現像時は潜像保持体1に対向していない位置に回転移動する。
【0156】現像器2が潜像保持体1に対向し、現像動作を行っている位置で、現像器2に設けられた現像器側現像剤排出口34から溢出した現像剤は、回転動作により連通管36内を移動し、ロータリー回転方式現像装置の回転中心軸に設けられた現像剤回収口35から排出される。
【0157】本発明における現像方法は、具体的には、現像スリーブに交流電圧を印加して、現像領域に交番電界を形成しつつ、磁気ブラシが潜像保持体1に接触している状態で現像を行うことが好ましい。現像スリーブ6と潜像保持体1の距離(S-D間距離)は、100?1000μmであることがキャリア付着防止及びドット再現性の向上において良好である。100μmより狭いと現像剤の供給が不十分になりやすく画像濃度が低くなり、1000μmを超えると磁極S_(1)からの磁力線が広がり磁気ブラシの密度が低くなり、ドット再現性に劣ったり、キャリアを拘束する力が弱まりキャリア付着が生じやすくなる。
【0158】交番電界のピーク間の電圧は300?5000Vが好ましく、周波数は500?20000Hz、好ましくは1000?10000Hzであり、それぞれプロセスにより適宜選択して用いることができる。この場合、交番電界を形成するための交流バイアスの波形としては三角波、矩形波、正弦波、あるいはDuty比を変えた波形が挙げられる。ときにトナー像の形成速度の変化に対応するためには、非連続の交流バイアス電圧を有する現像バイアス電圧(断続的な交番重畳電圧)を現像スリーブに印加して現像を行うことが好ましい。印加電圧が300Vより低いと十分な画像濃度が得られにくく、また非画像部のカブリトナーを良好に回収することができない場合がある。また、5000Vを超える場合には磁気ブラシを介して、潜像を乱してしまい、画質低下を招く場合がある。
【0159】良好に帯電したトナーを有する二成分系現像剤を使用することで、カブリ取り電圧(Vback)を低くすることができ、潜像保持体の一次帯電を低めることができるために潜像保持体寿命を長寿命化できる。Vbackは、現像システムにもよるが200V以下、より好ましくは150V以下が良い。コントラスト電位としては、十分画像濃度が出るように100?400Vが好ましく用いられる。
【0160】また、周波数が500Hzより低いと、プロセススピードにも関係するが、潜像保持体に接触したトナーが現像スリーブに戻される際に、十分な振動が与えられずカブリが生じやすくなる。20000Hzを超えると、電界に対してトナーが追随できず画質低下を招きやすい。
【0161】本発明において現像方法で重要なことは、十分な画像濃度を出しドット再現性に優れ、かつキャリア付着のない現像を行うために、現像スリーブ6上の磁気ブラシの潜像保持体1との接触幅(現像当接部)を好ましくは3?8mmにすることである。現像当接部が3mmより狭いと十分な画像濃度とドット再現性を良好に満足することが困難であり、8mmより広いと現像剤のパッキングが起き機械の動作を止めてしまったり、またキャリア付着を十分に抑えることが困難になる。
【0162】現像当接部の調整方法としては、規制部材7と現像スリーブ6との距離を調整したり、現像スリーブ6と潜像保持体1との距離(S-D間距離)を調整することで当接幅を適宜調整する方法がある。
【0163】潜像保持体の構成としては、通常の画像形成装置に用いられる潜像保持体と同じで良く、例えば、アルミニウム、SUS等の導電性基体の上に、順に導電層、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、必要に応じて電荷注入層を設ける構成の潜像保持体が挙げられる。導電層、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層は、通常の潜像保持体に用いられるもので良い。潜像保持体の最表面層として、例えば電荷注入層あるいは保護層を用いてもよい。
【0164】本発明の補給用現像剤を用いることで現像装置内での現像剤にかかるシェアが小さく、多数枚の複写においてもキャリアへのトナーあるいは外添剤等のスペントが抑制され、補給用現像剤中のキャリア補給量が少なくとも、画質低下を押さえることが出来るなどの本発明の効果が十分に発揮できる。」

コ 「【0165】本発明の補給用現像剤を用いる画像形成方法の他の形態について図5を用いて説明する。
【0166】マグネットローラ121の有する磁力によって搬送スリーブ122の表面に磁性粒子123よりなる帯電用磁気ブラシを形成し、この磁気ブラシを潜像保持体(以下、「感光体」という)101の表面に接触させ、感光体101を帯電する。搬送スリーブ122には、図示されないバイアス印加手段により帯電バイアスが印加されている。帯電された感光体101に、図示されない露光装置によりレーザ光124を照射することにより、デジタルな静電潜像を形成する。感光体101上に形成された静電潜像は、マグネットローラ112を内包し、図示されないバイアス印加装置によって現像バイアスを印加されている現像スリーブ111に担持された二成分系現像剤119中のトナー119aによって、現像される。
【0167】現像装置104は、隔壁117により現像剤室R_(1)、撹拌室R_(2)に区画され、それぞれ現像剤搬送スクリュー113、114が設置されている。撹拌室R_(2)の上方には、補給用現像剤118を収容した補給用現像剤収容室R_(3)が設置され、補給用現像剤収容室R_(3)の下部には補給用現像剤補給口120が設けられている。
【0168】現像剤搬送スクリュー113は回転することによって、現像剤室R_(1)内の現像剤を撹拌しながら現像スリーブ111の長手方向に沿って一方向に搬送する。隔壁117には図の手前側と奥側に図示しない開口が設けられており、スクリュー113によって現像剤室R_(1)の一方に搬送された現像剤は、その一方側の隔壁117の開口を通って撹拌室R_(2)に送り込まれ、現像剤搬送スクリュー114に受け渡される。スクリュー114の回転方向はスクリュー113と逆で、撹拌室R_(2)内の現像剤、現像剤室R_(1)から受け渡された現像剤及び補給用現像剤収容室R_(3)から補給された補給用現像剤を撹拌、混合しながら、スクリュー113とは逆方向に撹拌室R_(2)内を搬送し、隔壁117の他方の開口を通って現像剤室R_(1)に送り込む。
【0169】感光体101上に形成された静電潜像を現像するには、現像剤室R_(1)内の現像剤119がマグネットローラ112の磁力により汲み上げられ、現像スリーブ111の表面に担持される。
【0170】現像スリーブ111上に担持された現像剤は、現像スリーブ111の回転にともない規制部材115に搬送され、そこで適正な層厚の現像剤薄層に規制された後、現像スリーブ111と感光体101とが対向した現像領域に至る。マグネットローラ112の現像領域に対応した部位には、磁極(現像極)N_(1)が位置されており、現像極N_(1)が現像領域に現像磁界を形成し、この現像磁界により現像剤が穂立ちして、現像領域に現像剤の磁気ブラシが形成される。そして磁気ブラシが感光体101に接触し、反転現像法により、磁気ブラシに付着しているトナーおよび現像スリーブ111の表面に付着しているトナーが、感光体101上の静電潜像の領域に転移して付着し、静電潜像が現像されトナー像が形成される。
【0171】現像領域を通過した現像剤は、現像スリーブ111の回転にともない現像装置104内に戻され、スクリュー113により現像スリーブ111から剥ぎ取られ、現像剤室R_(1)および撹拌室R_(2)内に落下して回収される。
【0172】上記の現像により現像装置104内の現像剤119のT/C比(トナーとキャリアの混合比、すなわち現像剤中のトナー濃度)が減ったら、補給用現像剤収容室R_(3)から補給用現像剤118を現像で消費された量に見あった量で撹拌室R_(2)に補給し、現像剤119のT/Cが所定量に保たれる。現像装置104内の現像剤119のT/C比の検知には、コイルのインダクタンスを利用して現像剤の透磁率の変化を測定するトナー濃度検知センサを使用する。該トナー濃度検知センサは、図示されないコイルを内部に有している。
【0173】現像スリーブ111の下方に配置され、現像スリーブ111上の現像剤119の層厚を規制する規制部材115は、アルミニウム又はSUS316の如き非磁性材料で作製される非磁性ブレード115が挙げられる。ブレード115の端部と現像スリーブ111面との距離は150?800μmが好ましく、特に好ましくは250?700μmである。この距離が150μmより小さいと、キャリアが凝集してこの間に詰まり現像剤層にムラを生じやすいと共に、良好な現像を行うのに必要な現像剤を塗布しにくく、濃度の薄いムラの多い現像画像が形成されやすい。現像剤中に混在している不用粒子による不均一塗布(いわゆるブレードづまり)を防止するためにはこの距離は150μm以上が好ましい。800μmより大きいと現像スリーブ111上へ塗布される現像剤量が増加し所定の現像剤層厚の規制が行いにくく、感光体101へのキャリアの付着が多くなると共に現像剤の循環、規制部材115による現像規制が弱まりトナーのトリボが低下しカブリやすくなる。
【0174】この磁性キャリア層は、現像スリーブ111が矢印方向に回転駆動されても磁気力・重力に基づく拘束力と現像スリーブ111の移動方向への搬送力との釣合いによってスリーブ表面から離れるに従って動きが遅くなる。重力の影響により落下するものである。
【0175】また、現像されたトナー像は、搬送されてくる転写材(記録材)125上へ、バイアス印加手段126により転写バイアス印加されている転写手段である転写ブレード127により転写され、転写材上に転写されたトナー像は、図示されていない定着装置により転写材に定着される。転写工程において、転写材に転写されずに感光体101上に残った転写残トナーは、帯電工程において、帯電を調整され、現像時に回収される。」

サ 「【0176】図6は、本発明の補給用現像剤を用いる画像形成方法をフルカラー画像形成装置に適用した概略図を示す。図6に於けるフルカラー画像形成装置は、各色の画像形成を各色毎の感光ドラムを用いて行うタンデム方式が用いられる。
【0177】図6におけるフルカラー画像形成装置は、感光体上に残存した転写残トナーを回収し貯蔵するための独立したクリーニング手段を有さず、現像手段がトナー像を転写材上に転写した後に感光体に残留したトナーを回収する現像同時クリーニング方法を行っているものである。
【0178】補給用現像剤に含有されるキャリアによって増量したキャリアは、容量UP分がオーバーフローして現像剤回収オーガに取り込まれ、補給用現像剤収容装置あるいは別の回収容器へ搬送される。
【0179】フルカラー画像形成装置本体には、第1画像形成ユニットPa、第2画像形成ユニットPb、第3画像形成ユニットPc及び第4画像形成ユニットPdが併設され、各々異なった色の画像が潜像形成、現像、転写のプロセスを経て転写材上に形成される。
【0180】画像形成装置に併設される各画像形成ユニットの構成について第1の画像形成ユニットPaを例に挙げて説明する。
【0181】第1の画像形成ユニットPaは、潜像保持体としての直径30mmの感光体61aを具備し、この感光体61aは矢印a方向へ回転移動される。帯電手段としての一次帯電装置62aは、直径16mmのスリーブの表面に形成された帯電用磁気ブラシが感光体61aの表面に接触するように配置されている。レーザ光67aは、一次帯電装置62aにより表面が均一に帯電されている感光体61aに静電潜像を形成するために、図示されていない露光装置により照射される。感光体61a上に担持されている静電潜像を現像してカラートナー像を形成するための現像手段としての現像装置63aは、カラートナーを保持している。転写手段としての転写ブレード64aは、感光体61aの表面に形成されたカラートナー像をベルト状の転写材担持体68によって搬送されて来る転写材(記録材)の面に転写する。この転写ブレード64aは、転写材担持体68の裏面に当接して転写バイアスを印加し得るものである。
【0182】第1の画像形成ユニットPaは、一次帯電装置62aによって感光体61aを均一に一次帯電した後、露光装置67aにより感光体に静電潜像を形成し、現像装置63aで静電潜像をカラートナーを用いて現像し、この現像されたトナー像を第1の転写部(感光体と転写材の当接位置)で転写材を担持搬送するベルト状の転写材担持体68の裏面側に当接する転写ブレード64aから転写バイアスを印加することによって転写材の表面に転写する。
【0183】現像によりトナーが消費され、T/C比が低下すると、その低下をコイルのインダクタンスを利用して現像剤の透磁率の変化を測定するトナー濃度検知センサ85で検知し、消費されたトナー量に応じて補給用現像剤装置65aから補給用現像剤を補給する。なお、トナー濃度検知センサ85は図示されないコイルを内部に有している。
【0184】本画像形成装置は、第1の画像形成ユニットPaと同様の構成で、現像装置に保有されるカラートナーの色の異なる第2の画像形成ユニットPb、第3の画像形成ユニットPc、第4の画像形成ユニットPdの4つの画像形成ユニットを併設するものである。例えば、第1の画像形成ユニットPaにイエロートナー、第2の画像形成ユニットPbにマゼンタトナー、第3の画像形成ユニットPcにシアントナー、及び第4の画像形成ユニットPdにブラックトナーをそれぞれ用い、各画像形成ユニットの転写部で各カラートナーの転写材上への転写が順次行われる。
【0185】この工程で、レジストレーションを合わせつつ、同一転写材上に一回の転写材の移動で各カラートナーは重ね合わせられ、終了すると分離帯電器69によって転写材担持体68上から転写材が分離され、搬送ベルトの如き搬送手段によって定着装置70に送られ、ただ一回の定着によって最終のフルカラー画像が得られる。
【0186】定着装置70は、例えば、一対の直径40mmの定着ローラ71と直径30mmの加圧ローラ72を有し、定着ローラ71は、内部に加熱手段75及び76を有している。転写材上に転写された未定着のカラートナー像は、この定着装置70の定着ローラ71と加圧ローラ72との圧接部を通過することにより、熱及び圧力の作用により転写材上に定着される。
【0187】図6において、転写材担持体68は、無端のベルト状部材であり、このベルト状部材は、80の駆動ローラによって矢印e方向に移動するものである。他に、転写ベルトクリーニング装置79、ベルト従動ローラ81、ベルト除電器82を有し、一対のレジストローラ83は転写材ホルダー内の転写材を転写材担持体68に搬送するためものである。
【0188】転写手段としては、転写材担持体の裏面側に当接する転写ブレードに代えて、ローラ状の転写ローラの如き転写材担持体の裏面側に当接して転写バイアスを直接印加可能な接触転写手段を用いることが可能である。
【0189】さらに、上記の接触転写手段に代えて一般的に用いられている転写材担持体の裏面側に非接触で配置されているコロナ帯電器から転写バイアスを印加して転写を行う非接触の転写手段を用いることも可能である。しかしながら、転写バイアス印加時のオゾンの発生量を制御できる点で接触転写手段を用いることが、より好ましい。」

シ 「【0190】
【実施例】以下、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
<1>キャリアの製造
(1)キャリア製造例1
・フェノール 7.5質量部
・ホルマリン溶液 11.25質量部
(ホルムアルデヒド約40%、メタノール約10%、残りは水)
・γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.7質量%で
親油化処理したマグネタイト微粒子 62質量部
(個数平均粒径0.35μm、比抵抗5.1×10^(5)Ω・cm)
・γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.7質量%で
親油化処理したα-Fe_(2)O_(3)微粒子 26質量部
(個数平均粒径0.60μm、比抵抗2×10^(9)Ω・cm)
ここで用いたマグネタイト及びα-Fe_(2)O_(3)の親油化処理は、マグネタイト99.3質量部及びα-Fe_(2)O_(3)99.3質量部のそれぞれに対して0.7質量部のγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを加え、ヘンシェルミキサー内で100℃で30分間、予備混合撹拌することによって行った。
【0191】上記材料および水11質量部を40℃に保ちながら、1時間混合を行った。このスラリーに塩基性触媒として28質量%アンモニア水2.0質量部、および水11質量部をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温・保持し、3時間反応させ、フェノール樹脂を生成し硬化させた。その後、30℃まで冷却し、100質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)に140℃で乾燥して、フェノール樹脂を結着樹脂としたマグネタイト微粒子含有の球状のキャリアコア粒子を得た。この粒子を60メッシュ及び100メッシュの篩によって、粗大粒子の除去をおこない、次いでコアンダ効果を利用した多分割風力分級機(エッボジェットラボEJ-L-3、日鉄鉱業社製)を使用して微粉除去及び粗粉除去をおこない、50%平均粒径35μmのキャリアコアを得た。
【0192】得られたキャリアコアをコーター内に投入し、その後、トルエン溶媒を用いて希釈したγ-アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量%を、剪断応力を連続して印加しつつ、キャリアコア表面に処理した。またその際、40℃、101.3kPa(760torr)にて10分間処理、更にその後、10分間かけて40.0kPa(300torr)にまで減圧させ、乾燥窒素気流下で溶媒を揮発させながら行った。引き続き、置換基がすべてメチル基であるストレートシリコーン樹脂0.5質量%及び、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン0.015質量%の混合物をトルエンを溶媒としてコートした。その際、まず混合物の1/3を40℃、101.3kPa(760torr)にて10分間処理、さらにその後10分間かけて66.5kPa(500torr)にまで減圧させ、乾燥窒素気流下で溶媒を揮発させた。この操作を1/3ずつその後2回繰り返し、残りの2/3の処理を行った。さらに、このコートキャリアを140℃で焼き付け、100メッシュの篩で、凝集した粗大粒子をカットし、次いで多分割風力分級機で微粉及び粗粉を除去して粒度分布を調整した。その後23℃、60%に保たれたホッパー内で100時間調湿してコートキャリア1を得た。得られたコートキャリア1の製法を表1、表2に、物性を表3に示す。
【0193】
【表1】


【0194】
【表2】


【0195】
【表3】



ス 「【0217】(6)トナーの製造例6(重合トナー6)
イオン交換水710質量部に、0.1M-Na_(3)PO_(4)水溶液450質量部を投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて攪拌した。これに1.0M-CaCl_(2)水溶液68質量部を徐々に添加し、Ca_(3)(PO_(4))_(2)を含む水系媒体を得た。
・スチレン 165質量部
・n-ブチルアクリレート 35質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3(着色剤) 15質量部
・ジアルキルサリチル酸金属化合物(荷電制御剤) 5質量部
・飽和ポリエステル(極性樹脂) 10質量部
・エステルワックス(融点70℃) 50質量部
一方、上記材料を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、11000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2′-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)10質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0218】水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、N_(2)雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて11000rpmで10分間攪拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、バドル攪拌翼で攪拌しつつ、80℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加えてリン酸カルシウムを溶解した後、ろ過、水洗、乾燥をして、シアントナー粒子を得た。得られたシアントナー粒子100質量部に対して、疎水化処理シリカ微粒子(一次粒子の個数平均粒径:0.03μm)を1.6質量部外添し、重量平均粒径7.0μmのシアントナー6を得た。得られたトナー6の組成及び物性を表4に示す。
【0219】
【表4】




セ 「【0220】
【実施例1】キャリア1(1質量部)とトナー6(0.087質量部)をV型混合機で混合し、スタート用シアン現像剤Aとした。一方、キャリア1(1質量部)とトナー6(10質量部)をV型混合機で混合し、補給用シアン現像剤aとした。
【0221】市販の複写機GP55(キヤノン製)を図5に示すように改造した。具体的には、現像スリーブとしては直径16mmのSUSスリーブをサンドブラスト処理によって表面形状を表面粗さRz=12.1μmに調整したものに改造した。さらに、帯電部材としては、図5示す磁気ブラシ帯電装置を用いて磁性粒子を使用し、感光体の当接部に対して逆方向に100%で回転させ、直流/交流電界(-700V、1.5kHz/1.2kVpp)を重畳印加し、感光体を帯電させるものとした。なお、磁気ブラシ帯電装置に使用する磁性粒子は以下のように調製した。
【0222】MgO5質量部、MnO8質量部、SrO4質量部、Fe_(2)O_(3)83質量部をそれぞれ微粒化した後、水を添加混合し、造粒した後、1300℃にて焼成し、粒度を調整した後、平均粒径28μmのフェライト磁性粒子(σ1000が60Am^(2)/kg、保磁力が4.38×10^(-1)kA/m[=55エルステッド])を得た。
【0223】また、クリーニングユニットを取り外し、現像コントラスト250V、カブリとの反転コントラスト-180Vに設定し、不示図の現像バイアス印加手段から図7の非連続の交流電圧を有する現像バイアスを印加した。そして、定着装置を加熱ローラ、加圧ローラともに、表層をPFA(4フッ化エチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)で1.2μm被覆したローラに変更し、且つ、オイル塗布機構を除去した構成に改造した。このような画像形成装置を用いて、画出し評価を行った。
【0224】画像面積35%のオリジナル原稿を使用し、120mm/secの画像形成速度で通紙試験を行い、常温低湿下(23℃/5%RH)にて帯電安定性、画像濃度に関して評価し、高温高湿下(32.5℃/80%RH)にて帯電安定性、トナー飛散、カブリ、画像濃度に関して、以下の評価方法に基づいて評価した。
【0225】(帯電安定性)帯電安定性は、常温低湿下、および高温高湿下で3万枚の複写テストを行い、現像剤の帯電量変化から帯電安定性を評価した。評価は、1000枚複写時の帯電量と終了時の帯電量の変化幅を%で表わし、評価基準は以下のとおりとする。
A:帯電量の変化幅が、0?10%
B:帯電量の変化幅が、11?20%
C:帯電量の変化幅が、21?30%
D:帯電量の変化幅が、31?40%
E:帯電量の変化幅が、41?50%
F:帯電量の変化幅が、51%以上
【0226】なお、現像剤の帯電量の測定は以下のとおりに行った。現像剤を底部に635メッシュの導電性スクリーンを装着した金属製の容器にいれ、吸引機で吸引し、吸引前後の重量差と容器に接続されたコンデンサーに蓄積された電位から帯電量を求める。この際、吸引圧を250mmHgとする。帯電量を下記式を用いて算出する。
【数10】
Q(μC/g)=(C×V)/(W1-W2)
(式中、W1は吸引前の重量でありW2は吸引後の重量であり、Cはコンデンサーの容量、及びVはコンデンサーに蓄積された電位である)。
【0227】(トナー飛散)トナー飛散は、高温高湿下において3万枚画出しの後、現像器を取り出し、空回転機にセットする。現像器のスリーブ真下を中心にA4の紙を置き、10分間の空回転を行い、紙上に落ちたトナーの重量を測定し、以下の基準により評価した。
A:3mg以下
B:4?6mg
C:7?9mg
D:10?12mg
E:13?15mg
F:16mg以上
【0228】(カブリ)カブリに関しては、高温高湿下で反射濃度計(densitometer TC6MC:(有)東京電色技術センター)を用いて、白紙の反射濃度、及び3万枚目の画像における非画像部の反射濃度を測定し、両者の反射濃度の差を白紙の反射濃度を評価した。評価基準は以下のとおりである。
A:0.5%以下
B:0.6?1.0%
C:1.1?1.5%
D:1.6?2.0%
E:2.1?4.0%
F:4.1%以上
【0229】(画像濃度)画像濃度は、常温低湿下、および高温高湿下において、初期及び3万枚の複写終了後にベタ黒画像を複写し、その濃度を、カラー反射濃度計(Color reflection densitometer X-RITE 404A manufactured by X-Rite Co.)で測定した。評価結果を表5に示す。
【0230】
【表5】


尚、上記評価結果A?Fにおいて、A?Cまでを実用レベルとした。
【0231】
【実施例2?18及び比較例1?8】表5に示すような、キャリア及びトナーの組み合わせに代え、用いるスタート用現像剤B?Z、及び補給用現像剤b?zを得る以外は実施例1と同様にして画出しを行い評価した。評価結果を表5に示す。
【0232】
【発明の効果】本発明により、本体寿命を通じて安定な画像を得ることができる補給用現像剤を提供できる。」

ソ 表3から、コートキャリア1は、1000/4π(kA/m)での磁化の強さσ1000が40Am^(2)/kgであり、粒径が37μmであることが読み取れる。

タ 表4から、トナー6は重合トナーであることが読み取れる。

チ 表5から、実施例1は、キャリア1部対トナー0.0087部のコートキャリア1及びトナー6から成るスタート用現像剤及びキャリア1部対トナー10部のコートキャリア1及びトナー6から成る補給用現像剤を用いたものであり、常温低温下において、帯電安定性はA評価、初期の画像濃度は1.50、30000枚後の画像濃度は1.48、高温高湿下において、帯電安定性、トナー飛散及びカブリはいずれもA評価、初期の画像濃度は1.50、30000枚後の画像濃度は1.48であることが読み取れる。

ツ 上記アないしチからみて、引用例1には、
「帯電装置により潜像保持体の表面を負極性に一様に帯電する工程、潜像保持体の光導電層に原稿に応じた光像を照射することにより静電潜像を形成する工程、次いで該静電潜像上にトナーを付着させて該静電潜像を現像する工程、紙等の転写材にトナー画像を転写する工程、その後、熱、圧力、加熱加圧あるいは溶剤蒸気等により定着する工程を含み、
前記静電潜像を現像する工程は、帯電させたトナー粒子を静電潜像の静電相互作用を利用して静電潜像上に画像形成を行うものであり、使用する現像剤は、高画質を要求されるフルカラー複写機又はフルカラープリンタに好適に用いられる、非磁性トナーを磁性キャリアと混合した二成分系現像剤であり、その現像方法は二成分現像方法である、複写物又はプリントを得る電子写真法において、
従来の二成分現像方法では、現像によってトナーは入れ替わるがキャリアは消費させずに現像器内に滞留させるため、トナー成分のキャリアへの移行によるキャリア汚染が生じたり、キャリアそのものが現像器内ストレスを受けその樹脂被覆層が剥がれたりすることで現像剤特性に影響を与え、画像濃度が変動したり、かぶりが発生したりすることがあるので、
前記現像方法を、トナーとキャリアからなる二成分系現像剤(以下「スタート用現像剤」という。)を収容した現像器を用いて潜像保持体の静電潜像を現像する際、トナーとキャリアからなる補給用現像剤を補給しながら現像を行い、過剰になった現像剤は現像剤排出口より排出し、前記補給用現像剤が、前記キャリアは重合法により製造され結着樹脂中に金属化合物粒子が分散されている磁性体分散型樹脂キャリアであり、該磁性体分散型樹脂キャリアは、30℃、80%RH環境に放置後の水分吸着量T_(H2O-H)(質量%)と、23℃、5%RH環境に放置後の水分吸着量T_(H2O-L)(質量%)と、表面積Sm(cm^(2)/g)とが、5.50×10^(-6)≦T_(H2O-H)/(100×Sm)≦1.50×10^(-5)及び9.00×10^(-7)≦T_(H2O-L)/(100×Sm)≦5.50×10^(-6)を満たしており、前記トナーは重量平均粒径3?10μmであり、前記磁性体分散型樹脂キャリア1質量部に対して前記トナーの配合割合は、2質量部以下の場合は高印字率の画像で画出しした際、適当量の補給が行われず、画像濃度の低下を引き起こす傾向があり、50質量部以上の場合は、排出されるキャリア量と補給されるキャリア量のバランスをとることが難しいので、前記磁性体分散型樹脂キャリア1質量部に対して前記トナー2?50質量部の割合であり、前記スタート用現像剤の配合割合は、0.05質量%以下であると、補給スピードを速くしても、必要とするトナー量が足りず、画像濃度の低下を引き起こしてしまい、現像剤の劣化度合いも速くなってしまい、0.20質量%以上であると、トナーの帯電量が低下し、特に高湿化等において飛散、かぶり等の画像欠陥を引き起こしてしまうので、前記磁性体分散型樹脂キャリア1質量部に対して前記トナー0.05?0.20質量部の割合とした現像方法とすることで、前記キャリアは、従来の鉄粉キャリア等に比べて比重が軽く、トナーとの比重差が少なく、補給用現像剤の偏りがなく、トナー濃度を高くしてもトナーとキャリアが分離することがなく、安定して補給用現像剤を補給でき、流動性に優れ、粒子サイズをシャープに制御することができ、現像器内に残るキャリアと回収されるキャリアの粒度分布に差が生じにくく、微粉だけあるいは粗粉だけ回収される等の偏在もなく回収性にも優れたものとして、前記補給用現像剤を用いることで、多数枚の複写においてもキャリアへのトナーあるいは外添剤等のスペントが抑制され、補給用現像剤中のキャリア補給量が少なくとも画質低下を押さえることが出来るなどの効果が十分に発揮でき、良好な画像を長期にわたって得られる現像方法とした電子写真法であって、
前記潜像保持体の構成としては、通常の画像形成装置に用いられる潜像保持体と同じで良く、例えば、アルミニウム、SUS等の導電性基体の上に、順に導電層、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、必要に応じて電荷注入層を設ける構成が挙げられ、潜像保持体の最表面層として、例えば電荷注入層あるいは保護層を用いてもよいものであり、
磁性体分散型樹脂キャリアの真比重が4.5を超えるとトナーとの比重差が大きくなるため、磁性体分散型樹脂キャリアの回収が安定に行われにくくなり装置が複雑になり易く、一方、前記真比重が2.5未満であると、磁性体分散型樹脂キャリアの磁気特性とも関係するがキャリア付着が生じやすくなるので、前記真比重の好ましい範囲は2.5?4.5であり、さらに好ましい範囲は2.8?4.2であり、
磁性体分散型樹脂キャリアの磁気特性は、1000/4π(kA/m)での磁化の強さσ1000が80Am^(2)/kgを超えると、磁性体分散型樹脂キャリア粒径にも関係するが、補給用現像剤容器内、及び現像器内でのストレスが大きくなりキャリア劣化が促進され、補給用現像剤中のキャリア量を多くしないと、特に多数枚の複写又はプリントによる現像剤の耐久劣化が生じやすく、30Am^(2)/kg未満では、キャリア微粉をカットしてもキャリアの磁気力が低下し、キャリア付着が生じやすく、トナー搬送性が低下する傾向があるので、σ1000は30?80Am^(2)/kgである事が良く、好ましくは40?80Am^(2)/kgであって、具体的には、40Am^(2)/kgであり、
磁性体分散型樹脂キャリアの粒径が、15μm以下であるとキャリアの粒度分布のうち、微粒子側の粒子による非画像部への磁性体分散型樹脂キャリア付着を良好に防止できない場合があり、60μmより大きいと、安定した補給を行うために補給用現像剤のトナー濃度を低めに設定しなければならず、その結果、補給剤の交換頻度が増したり、補給用現像剤容器の大きさが大きくなってしまい、二成分現像方式である現像装置において、磁気ブラシの緻密さが損なわれやすくなり、画像のムラを生じてしまう場合もあるので、前記磁性体分散型樹脂キャリアの粒径は、体積基準による50%平均粒径で15?60μmが好ましく、具体的には37μmであり、
前記トナーは、具体的には重量平均粒径が7.0μmの重合トナーであり、
常温低湿下、および高温高湿下で3万枚の複写テストを行い、1000枚複写時の帯電量と終了時の帯電量の変化幅を%で表わし帯電安定性を評価したところ、いずれも帯電量の変化幅が0?10%の範囲内のA評価であり、
高温高湿下において3万枚画出しの後、現像器を取り出し、空回転機にセットし、現像器のスリーブ真下を中心にA4の紙を置き、10分間の空回転を行い、紙上に落ちたトナーの重量を測定し、トナー飛散を評価したところ、3mg以下のA評価であり、
高温高湿下で反射濃度計(densitometer TC6MC:(有)東京電色技術センター)を用いて、白紙の反射濃度及び3万枚目の画像における非画像部の反射濃度を測定し、白紙の反射濃度に対する両者の反射濃度の差をカブリとして評価したところ、0.5%以下のA評価であり、
常温低湿下、および高温高湿下において、初期及び3万枚の複写終了後にベタ黒画像を複写し、その濃度を、カラー反射濃度計(Color reflection densitometer X-RITE 404A manufactured by X-Rite Co.)で測定して画像濃度を評価したところ、いずれも初期は1.5で3万枚の複写終了後は1.48であった、電子写真法。」の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

(2)原査定で引用された「本願の出願前に頒布された刊行物である特開2005-91837号公報(以下「引用例2」という。)」には、図とともに次の事項が記載されている。
ア「【請求項1】
有機感光体を帯電した後、静電潜像を形成し、該静電潜像をトナーとキャリアを含有する現像剤を有機感光体に接触させてトナー像に現像する画像形成方法において、該有機感光体の感光層及び必要により設けられる保護層の合計膜厚が5?15μmであり、前記キャリアの重量平均粒径が20?50μmであることを特徴とする画像形成方法。」

イ 「【0001】
本発明は、電子写真方式の複写機やプリンターの分野において用いられる画像形成方法及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真感光体には有機感光体が広く用いられている。有機感光体は可視光から赤外光まで各種露光光源に対応した材料が開発しやすいこと、環境汚染のない材料を選択できること、製造コストが安い事など他の感光体に対して有利な点があるが、欠点としては機械的強度、化学的な耐久性が弱く、多数枚のプリント時に感光体の静電特性の劣化や、表面の傷の発生等がある。
【0003】
即ち、有機感光体(以下単に感光体とも云う)の表面には帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段などにより電気的、機械的な外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性が要求される。
【0004】
具体的には摩擦による感光体表面の摩耗や傷の発生、コロナ帯電時に発生するオゾン等の活性酸素、チッソ酸化物などによる表面の劣化などに対する耐久性が要求される。
【0005】
上記のような機械的、化学的耐久性の問題を解決するために、有機感光体はその層構成を電荷発生層と、電荷輸送層の積層構成にし、保護層の電荷輸送層を高強度且つ活性ガスが透過しにくい均一層にし、電荷輸送層の膜厚を20μmより厚くする構成が多く採用されている。
【0006】
又、他のアプローチとして、感光体の表面に高強度の保護層を設置するなどの技術が検討されてきた。例えば、感光体の保護層として、硬化性シリコーン樹脂を用いることが報告されている(特許文献1)。しかしながら上記のような電荷輸送層を厚膜化する方法や高強度の保護層を設ける方法は電荷発生層で発生したキャリアが表面に達するまでに、横方向に拡散する問題があり、鮮鋭性等に問題が生じる。デジタル複写機の分野ではより高画質への要求が高まり高解像度の画像形成が検討されているが、このようにキャリアの拡散を招きやすい層構成や保護層では良好な静電潜像を得ることができない。
【0007】
高画質の電子写真画像を得るためには、画像情報を静電潜像として忠実に再現し、有機感光体上の露光/未露光部の電位コントラストがシャープに形成されることが必要があるが、この為には、発生キャリアが表面電荷に到達するまでのキャリアの拡散を押さえることが重要である。高密度画像の潜像劣化は、電荷輸送層の拡散定数(D)とドリフト移動度(μ)との比D/μが大きくなると静電潜像への拡散の効果が無視できず、電荷輸送層の膜厚が大きくなると潜像劣化は大きくなると報告されている(非特許文献1)。
【0008】
又、膜厚が薄い感光体はトナー像のチリ防止に効果があるとの報告(特許文献2)や薄層で静電容量が大きい感光体が高品質の電子写真画像を形成できるとの報告(特許文献3)がなされている。同様に、電荷輸送層を薄膜化し、静電潜像の拡散を防止する有機感光体も既に提案されている(特許文献4)。
【0009】
しかしながら、これらの提案された薄層の有機感光体を実際に電子写真画像形成装置を用いて、画像形成すると、従来の20μm以上の厚膜の有機感光体に比し、機械的減耗ムラによる画像むらが目立ちやすくなり、長期に亘って画像品質を維持することが難しい。この原因は図1(電位保持能低下の膜厚依存性を示した図)に示したように、同一減耗量の場合は、感光層膜厚が小さいほど、電位保持能の低下(ΔV_(1)>ΔV_(2))が大きいことによると思われる。
その結果、薄膜の有機感光体を用いた場合は、有機感光体の減耗むらによる画像むらが発生しやすい。
【0010】
又、薄機感光体の減耗むらによる画像むらが発生しやすい。これは有機感光体の表面の減耗むらの凹凸領域で飛散しやすいトナー成分が存在するためと思われる。
【特許文献1】特開平6-118681号公報
【特許文献2】特開2001-209206号公報
【特許文献3】特開2001-312082号公報
【特許文献4】特開平5-119503号公報
【非特許文献1】日本画像学会誌第38巻第4号296頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上記の問題点を解決することにあり、薄層の有機感光体を用いて、長期に亘って高画質の電子写真画像を提供することであり、更には、画像むらや、文字チリの少ない高画質の有機感光体を用いた画像形成方法、画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
我々は上記問題点について検討を重ねた結果、薄膜化された有機感光体を用いて鮮鋭性を改良し、且つ有機感光体の減耗むらを原因とする画像むらや文字チリの発生を防止するには、有機感光体の表面に、減耗むらが発生しにくい現像剤を用いると同時に、減耗むらが発生しても、画像濃度に濃淡状の画像むらを発生させない現像法を用いることが効果的であることを見いだし、本発明を完成した。即ち、薄層化した有機感光体上に形成された静電潜像を特定の範囲の粒径キャリアを用いた2成分現像剤を用いて、現像することにより、画像むらや文字チリの発生を防止できることを見いだし、本発明を達成した。
【0013】
又、上記のような、2成分現像剤に用いるトナーには、微細トナーの割合を少なくしたトナーを用いることがより顕著に本発明の目的を達成できることを見いだし、本発明を完成した。即ち、本発明の目的は、以下の構成を持つことにより達成される。
(請求項1)
有機感光体を帯電した後、静電潜像を形成し、該静電潜像をトナーとキャリアを含有する現像剤を有機感光体に接触させてトナー像に現像する画像形成方法において、該有機感光体の感光層及び必要により設けられる保護層の合計膜厚が5?15μmであり、前記キャリアの重量平均粒径が20?50μmであることを特徴とする画像形成方法。
…(略)…。」

ウ 「【発明の効果】
【0015】
本発明の画像形成方法を用いることにより、薄層の感光層を有する有機感光体で発生しやすい減耗むらによる画像むらや文字チリの発生を防止し、高い解像性を有する電子写真画像が得られる。又、該画像形成方法を用いた画像性能の良好な画像形成装置を提供することが出来る。」

エ 上記アないしウからみて、引用例2には、
「電子写真方式の複写機やプリンターの分野において用いられる画像形成方法であって、有機感光体を帯電した後、静電潜像を形成し、該静電潜像をトナーとキャリアを含有する現像剤を有機感光体に接触させてトナー像に現像する画像形成方法において、
電荷輸送層を厚膜化する方法や高強度の保護層を設ける方法は電荷発生層で発生したキャリアが表面に達するまでに、横方向に拡散する問題があり、鮮鋭性等に問題が生じ、良好な静電潜像を得ることができず、電荷輸送層の膜厚が大きくなると潜像劣化は大きくなり、膜厚が薄い感光体はトナー像のチリ防止に効果があり、薄層で静電容量が大きい感光体が高品質の電子写真画像を形成でき、同様に、電荷輸送層を薄膜化し、静電潜像の拡散を防止する有機感光体も既に提案されているが、これらの提案された薄層の有機感光体を実際に電子写真画像形成装置を用いて画像形成すると、従来の20μm以上の厚膜の有機感光体に比し、機械的減耗ムラによる画像むらが目立ちやすくなり、長期に亘って画像品質を維持することが難しく、有機感光体の減耗むらによる画像むらが発生しやすいことから、これらの問題点を解決し、薄層の有機感光体を用いて、長期に亘って高画質の電子写真画像を提供し、更には、画像むらや、文字チリの少ない高画質の有機感光体を用いた画像形成方法を提供することを目的として、
該有機感光体の感光層及び必要により設けられる保護層の合計膜厚を5?15μmとし、前記キャリアの重量平均粒径を20?50μmとすることにより、
薄層の感光層を有する有機感光体で発生しやすい減耗むらによる画像むらや文字チリの発生を防止し、高い解像性を有する電子写真画像が得られるようにした画像形成方法。」の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。

4 対比
本願発明と引用発明1とを対比する。
(1)引用発明1の「アルミニウム、SUS等の導電性基体」、「『電荷発生層、電荷輸送層、電荷注入層及び保護層』、『光導電層』」、「潜像保持体」、「帯電する工程」、「静電潜像」、「原稿に応じた光像を照射することにより静電潜像を形成する工程」、「トナー」、「キャリア」、「二成分系現像剤」、「現像器」、「現像する工程」、「複写物又はプリントを得る電子写真法」、「補給」、「補給用現像剤」、「排出」、「電荷発生層」、「電荷輸送層」、「体積基準による50%平均粒径」、「真比重」及び「1000/4π(kA/m)での磁化の強さσ1000」は、それぞれ、本願発明の「導電性支持体」、「感光層」、「電子写真感光体」、「帯電工程」、「静電潜像」、「露光工程」、「トナー」、「キャリア」、「二成分現像剤」、「現像器」、「現像工程」、「画像形成方法」、「補給」、「補給用現像剤」、「排出」、「電荷発生層」、「電荷輸送層」、「体積基準の50%粒径(D50)」、「真比重」及び「1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さ」に相当する。

(2)引用発明1において、「帯電工程(帯電する工程)」は、帯電装置により「電子写真感光体(潜像保持体)」の表面を負極性に一様に帯電する工程であり、「電子写真感光体」の構成としては、例えば、「導電性支持体(アルミニウム、SUS等の導電性基体)」の上に、順に導電層、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、必要に応じて電荷注入層を設ける構成が挙げられ、潜像保持体の最表面層として、例えば電荷注入層あるいは保護層を用いてもよいものであり、この電荷発生層、電荷輸送層、電荷注入層及び保護層は、本願発明の「感光層」に相当する(上記(1)参照。)から、引用発明の「電子写真感光体」は、「導電性支持体」と該「導電性支持体」上に「感光層」を有するものといえる。
したがって、引用発明の「電子写真感光体」と本願発明の「電子写真感光体」とは、「導電性支持体と該導電性支持体上に感光層を有する」点で一致し、引用発明の「帯電工程」と本願発明の「帯電工程」とは「導電性支持体と該導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体を帯電する」点で一致する。

(3)引用発明の「露光工程(原稿に応じた光像を照射することにより静電潜像を形成する工程)」は、「感光体(潜像保持体)」の「感光層(光導電層)」に原稿に応じた光像を照射することにより「静電潜像」を形成するものであり、原稿に応じた光像を照射することは「露光」といえるから、本願発明の「露光工程」と、「該感光体上に静電潜像を形成する露光工程」である点で一致する。

(4)引用発明の「現像器」は、「トナー」と「キャリア」からなる「二成分系現像剤」(以下「スタート用現像剤」という。)を収容したものであるから、本願発明の「現像器」と、「トナーとキャリアとを含有する二成分現像剤を収容する」点で一致する。

(5)引用発明の「現像工程(現像する工程)」は、トナーとキャリアからなる二成分系現像剤(以下「スタート用現像剤」という。)を収容した現像器を用いて静電潜像上にトナーを付着させて潜像保持体の静電潜像を現像するものであるから、本願発明の「現像工程」と、「現像器を用いて該静電潜像を現像する」点で一致する。

(6)引用発明の「画像形成方法(複写物又はプリントを得る電子写真法)」は、「帯電工程(帯電する工程)」、「露光工程(原稿に応じた光像を照射することにより静電潜像を形成する工程)」、「現像工程(現像する工程)」を含んでいるから、本願発明の「画像形成方法」と、「帯電工程と、露光工程と、現像工程とを少なくとも有する」点で一致する。

(7)引用発明において、前記現像方法を、トナーとキャリアからなる二成分系現像剤(以下「スタート用現像剤」という。)を収容した現像器を用いて潜像保持体の静電潜像を現像する際、トナーとキャリアからなる補給用現像剤を補給しながら現像を行い、過剰になった現像剤は現像剤排出口より排出する現像方法としており、現像剤排出口より排出される過剰になった現像剤にはキャリアが含まれることが明らかであるから、引用発明の「画像形成方法(複写物又はプリントを得る電子写真法)」と本願発明の「画像形成方法」とは「該現像器へは、少なくとも補給用トナーと補給用キャリアを含有する補給用現像剤が補給され、且つ該現像器からは過剰になったキャリアが排出され」る点で一致する。

(8)引用発明において、前記補給用現像剤が、前記キャリアは重合法により製造され結着樹脂中に金属化合物粒子が分散されている磁性体分散型樹脂キャリアであり、該磁性体分散型樹脂キャリアは、30℃、80%RH環境に放置後の水分吸着量T_(H2O-H)(質量%)と、23℃、5%RH環境に放置後の水分吸着量T_(H2O-L)(質量%)と、表面積Sm(cm^(2)/g)とが、5.50×10^(-6)≦T_(H2O-H)/(100×Sm)≦1.50×10^(-5)及び9.00×10^(-7)≦T_(H2O-L)/(100×Sm)≦5.50×10^(-6)を満たしており、前記トナーは重量平均粒径3?10μmであり、前記磁性体分散型樹脂キャリア1質量部に対して前記トナーの配合割合は、2質量部以下の場合は高印字率の画像で画出しした際、適当量の補給が行われず、画像濃度の低下を引き起こす傾向があり、50質量部以上の場合は、排出されるキャリア量と補給されるキャリア量のバランスをとることが難しいので、前記磁性体分散型樹脂キャリア1質量部に対して前記トナー2?50質量部の割合であるから、引用発明の「補給用現像剤」と本願発明の「補給用現像剤」とは「補給用キャリア1質量部に対して補給用トナーを2乃至50質量部の質量比で含有してな」る点で一致する。

(9)引用発明の「感光層」は、電荷発生層、電荷輸送層、電荷注入層及び保護層であるから、本願発明の「感光層」と、「少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を有」する点で一致する。

(10)引用発明の「キャリア及び補給用キャリア」である磁性体分散型樹脂キャリアの粒径は、体積基準による50%平均粒径で15?60μmが好ましく、具体的には37μmであるから、本願発明の「体積基準の50%粒径(D50)が15乃至70μmである、キャリア及び補給用キャリア」と、「体積基準の50%粒径(D50)が15乃至60μmであ」る点で一致する。

(11)引用発明の「キャリア及び補給用キャリア」である磁性体分散型樹脂キャリアの真比重のさらに好ましい範囲は2.8?4.2であるから、本願発明の「真比重が、2.5乃至4.2g/cm^(3)である、キャリア及び補給用キャリア」と、「真比重が、2.8乃至4.2g/cm^(3)であ」る点で一致する。

(12)引用発明の「キャリア及び補給用キャリア」である磁性体分散型樹脂キャリアの磁気特性は、1000/4π(kA/m)での磁化の強さσ1000は、好ましくは40?80Am^(2)/kgであって、具体的には、40Am^(2)/kgであるから、本願発明の「1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さが40乃至70Am^(2)/kgである、キャリア及び補給用キャリア」と、「1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さが40乃至70Am^(2)/kg」の範囲で一致し、具体的には、「1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さが40Am^(2)/kgである」点で一致する。

(13)上記(1)ないし(12)からみて、本願発明と引用発明1とは、
「導電性支持体と該導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体を帯電する帯電工程と、該感光体上に静電潜像を形成する露光工程と、トナーとキャリアとを含有する二成分現像剤を収容する現像器を用いて該静電潜像を現像する現像工程とを少なくとも有する画像形成方法であって、
該現像器へは、少なくとも補給用トナーと補給用キャリアを含有する補給用現像剤が補給され、且つ該現像器からは過剰になったキャリアが排出され、
該補給用現像剤は、補給用キャリア1質量部に対して補給用トナーを2乃至50質量部の質量比で含有してなり、
該感光層が少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を有し、
該キャリア及び補給用キャリアの体積基準の50%粒径(D50)が15乃至60μmであり、
該キャリア及び補給用キャリアの真比重が、2.8乃至4.2g/cm^(3)であり、
該キャリア及び補給用キャリアの1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さが40乃至70Am^(2)/kgの範囲で具体的には40Am^(2)/kgである画像形成方法。」である点で一致し、「前記感光層の総膜厚が本願発明では5.0μm乃至15.0μmであるのに対して、引用発明では明らかでない。」点(以下「相違点」という。)で相違する。

5 判断
上記相違点について検討する。
(1)引用例2には、上記3(2)で述べたとおりの引用発明2(上記3(2)エ参照。)が記載されている。

(2)引用発明2は、「電子写真方式の複写機やプリンターの分野において用いられる画像形成方法であって、有機感光体を帯電した後、静電潜像を形成し、該静電潜像をトナーとキャリアを含有する現像剤を有機感光体に接触させてトナー像に現像する画像形成方法において、電荷輸送層を厚膜化する方法や高強度の保護層を設ける方法は電荷発生層で発生したキャリアが表面に達するまでに、横方向に拡散する問題があり、鮮鋭性等に問題が生じ、良好な静電潜像を得ることができず、電荷輸送層の膜厚が大きくなると潜像劣化は大きくなり、膜厚が薄い感光体はトナー像のチリ防止に効果があり、薄層で静電容量が大きい感光体が高品質の電子写真画像を形成でき、同様に、電荷輸送層を薄膜化し、静電潜像の拡散を防止する有機感光体も既に提案されているが、これらの提案された薄層の有機感光体を実際に電子写真画像形成装置を用いて画像形成すると、従来の20μm以上の厚膜の有機感光体に比し、機械的減耗ムラによる画像むらが目立ちやすくなり、長期に亘って画像品質を維持することが難しく、有機感光体の減耗むらによる画像むらが発生しやすいことから、これらの問題点を解決し、薄層の有機感光体を用いて、長期に亘って高画質の電子写真画像を提供し、更には、画像むらや、文字チリの少ない高画質の有機感光体を用いた画像形成方法を提供することを目的として、該有機感光体の感光層及び必要により設けられる保護層の合計膜厚を5?15μmとし、前記キャリアの重量平均粒径を20?50μmとすることにより、薄層の感光層を有する有機感光体で発生しやすい減耗むらによる画像むらや文字チリの発生を防止し、高い解像性を有する電子写真画像が得られるようにした」ものであるところ、引用発明1も、電荷発生層、電荷輸送層、最表面層としての保護層を有した潜像保持体と静電潜像をトナーとキャリアを含有する現像剤とを用いて複写物又はプリントを得る電子写真法(画像形成方法)であって、有機感光体を用いており、キャリアである磁性体分散型樹脂キャリアの粒径は、具体的には37μmであるから、引用発明2と、有機感光体を用いる点及びキャリアの重量平均粒径が範囲「20?50μm」に含まれる点で共通する。

(3)してみると、引用発明1において、電荷輸送層を厚膜化する方法や高強度の保護層を設ける方法は電荷発生層で発生したキャリアが表面に達するまでに、横方向に拡散する問題があり、鮮鋭性等に問題が生じ、良好な静電潜像を得ることができず、電荷輸送層の膜厚が大きくなると潜像劣化は大きくなり、膜厚が薄い感光体はトナー像のチリ防止に効果があり、薄層で静電容量が大きい感光体が高品質の電子写真画像を形成でき、同様に、電荷輸送層を薄膜化し、静電潜像の拡散を防止する有機感光体も既に提案されているが、これらの提案された薄層の有機感光体を実際に電子写真画像形成装置を用いて画像形成すると、従来の20μm以上の厚膜の有機感光体に比し、機械的減耗ムラによる画像むらが目立ちやすくなり、長期に亘って画像品質を維持することが難しく、有機感光体の減耗むらによる画像むらが発生しやすいことから、これらの問題点を解決し、薄層の有機感光体を用いて、長期に亘って高画質の電子写真画像を提供し、更には、画像むらや、文字チリの少ない高画質の有機感光体を用いた画像形成方法を提供することを目的として、引用発明2と同様に、該有機感光体の感光層及び必要により設けられる保護層の合計膜厚を5?15μmとし、キャリアである磁性体分散型樹脂キャリアの粒径を37μmのままとすることにより、薄層の感光層を有する有機感光体で発生しやすい減耗むらによる画像むらや文字チリの発生を防止し、高い解像性を有する電子写真画像が得られるようにすること、すなわち、引用発明1において上記相違点に係る本願発明の構成となすことは、当業者が引用発明2に基づいて容易に想到することができた程度のことである。

(4)本願発明の奏する効果は、引用発明1の奏する効果及び引用発明2の奏する効果から、当業者が予測することができた程度のものである。

(5)まとめ
したがって、本願発明は、当業者が引用例1に記載された発明及び引用例2に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
本願発明は、上記5のとおり、当業者が引用例1に記載された発明及び引用例2に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-08-27 
結審通知日 2012-08-28 
審決日 2012-09-10 
出願番号 特願2006-145765(P2006-145765)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川口 真隆阿久津 弘  
特許庁審判長 小牧 修
特許庁審判官 立澤 正樹
住田 秀弘
発明の名称 画像形成方法  
代理人 坂井 浩一郎  
代理人 和久田 純一  
代理人 丹羽 武司  
代理人 中村 剛  
代理人 川口 嘉之  
代理人 世良 和信  

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