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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正しない A63F 審判 訂正 判示事項別分類コード:857 訂正しない A63F 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正しない A63F |
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管理番号 | 1265130 |
審判番号 | 訂正2012-390064 |
総通号数 | 156 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-12-28 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2012-05-17 |
確定日 | 2012-10-24 |
事件の表示 | 特許第4224630号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本件審判の請求に係る特許第4224630号(以下「本件特許」という。)の経緯は以下のとおりである。 平成 9年 5月30日:特許出願(特願平9-157784号) 平成20年12月 5日:設定登録(請求項数:3) 平成24年 5月17日:本件審判の請求(訂正2012-390064) 平成24年 6月 8日:訂正拒絶理由の通知 平成24年 7月 6日:意見書の提出 2 訂正事項 本件特許の訂正(以下「本件訂正」という。)は、次の訂正事項からなる。 (1)訂正事項1 本件特許の特許請求の範囲の請求項2(以下「本件特許の請求項2」と表現する。)において「【請求項2】遊技盤と、該遊技盤を覆うように開閉可能に設置されるガラス扉と、上記ガラス扉の下方に開閉可能に設置される上皿基板と、該上皿基板上に設置される上部受け皿と、上記上皿基板の下方に設置される下皿基板と、該下皿基板上に設置される下部受け皿と、を備えるパチンコ遊技機において、上記ガラス扉及び上記上皿基板の少なくとも一方を開放した場合に生じる四角形の空間の下辺に相当する位置に、左右に長尺で且つ中央側に向けて低く傾斜している傾斜面を備え、上記傾斜面は、上記上皿基板の上面又は上記下皿基板の上面に設けられ、中央正面側が最も低くなると共に、該上皿基板の上面から上記上部受け皿に向かって傾斜し又は該下皿基板の上面から上記下部受け皿に向かって傾斜しており、上記ガラス扉又は上記上皿基板を閉止した場合には、該ガラス扉の下端部又は該上皿基板の下端部によって遊技球が載らないように覆われることを特徴とするパチンコ遊技機。」とあったものを、「【請求項2】遊技盤と、該遊技盤を覆うように開閉可能に設置されるガラス扉と、上記ガラス扉の下方に設置される上皿基板と、該上皿基板上に設置される上部受け皿と、を備えるパチンコ遊技機において、上記ガラス扉を開放した場合に生じる四角形の空間の下辺に相当する位置に、左右に長尺で且つ中央側に向けて低く傾斜している傾斜面を備え、上記傾斜面は、上記上皿基板の上面に設けられ、中央正面側が最も低くなると共に、該上皿基板の上面から上記上部受け皿に向かって傾斜しており、上記ガラス扉を閉止した場合には、該ガラス扉の下端部によって遊技球が載らないように覆われることを特徴とするパチンコ遊技機。【請求項3】遊技盤と、開閉可能に設置される上皿基板と、該上皿基板上に設置される上部受け皿と、上記上皿基板の下方に設置される下皿基板と、該下皿基板上に設置される下部受け皿と、を備えるパチンコ遊技機において、上記上皿基板を開放した場合に生じる四角形の空間の下辺に相当する位置に、左右に長尺で且つ中央側に向けて低く傾斜している傾斜面を備え、上記傾斜面は、上記下皿基板の上面に設けられ、中央正面側が最も低くなると共に、該下皿基板の上面から上記下部受け皿に向かって傾斜しており、上記上皿基板を閉止した場合には、該上皿基板の下端部によって遊技球が載らないように覆われることを特徴とするパチンコ遊技機。」と訂正する。 (2)訂正事項2 本件特許の請求項3において「【請求項3】上記傾斜面は、パチンコ遊技機本体の部分よりも正面側に突出していることを特徴とする請求項2に記載のパチンコ遊技機。」とあったものを、「【請求項4】上記傾斜面は、パチンコ遊技機本体の部分よりも正面側に突出していることを特徴とする請求項2または3に記載のパチンコ遊技機。」と訂正する。 (3)訂正事項3 本件特許の特許請求の範囲の訂正に伴い、明細書の段落【0007】、【0029】、【0031】の記載を上記訂正事項1及び2に整合するように訂正する。 3 当審の判断 (1)上記訂正事項1について ア 特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当するか否か ア)本件訂正の請求項2及び3は、本件特許の請求項2という一つの請求項を二つの請求項に増加させるものであるから、上記訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮に該当しない。 イ)本件訂正の請求項2は、本件特許の請求項2における上皿基板について、「開閉可能に設置される」なる発明特定事項が削除されるとともに、パチンコ遊技機の構成について、「上皿基板の下方に設置される下皿基板と、該下皿基板上に設置される下部受け皿」を備えるという発明特定事項が削除されるものである。 そうすると、当該訂正は、直列的に記載された構成要件の一部を削除する訂正に相当するから、上記訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮に該当しない。 ウ)本件訂正の請求項3は、本件特許の請求項2におけるパチンコ遊技機の構成について、「遊技盤を覆うように開閉可能に設置されるガラス扉」を備えるという発明特定事項が削除されるとともに、上皿基板について、「ガラス扉の下方に設置される」なる発明特定事項が削除されるものである。 そうすると、当該訂正は、直列的に記載された構成要件の一部を削除する訂正に相当するから、上記訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。 イ 明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当するか否か ア)平成24年7月6日付け意見書(第1ページ下第2行?第4ページ第17行)において、請求人は、「本件特許の請求項2は、16通りの態様を含むものであったが、本件訂正により、16通りの態様から14通りの態様を排除することで明瞭でない記載が明瞭な記載に正されたので、上記訂正事項1は明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。」旨、主張する。 そこで、この点について検討する。 本件特許の請求項2の「ガラス扉及び上皿基板の少なくとも一方を開放した場合に生じる四角形の空間の下辺に相当する位置に、左右に長尺で且つ中央側に向けて低く傾斜している傾斜面を備え」ることなる発明特定事項は、左右に長尺で且つ中央側に向けて低く傾斜している「傾斜面」を備える位置について、次の3通りの位置が含まれることを特定するものと認められる。 a:ガラス扉を開放した場合に生じる四角形の空間のみの下辺に相当する位置。 b:上皿基板を開放した場合に生じる四角形の空間のみの下辺に相当する位置。 c:ガラス扉及び上皿基板を開放した場合に生じる四角形の空間の両方の下辺に相当する位置。 一方、本件特許の請求項2の「傾斜面は、上皿基板の上面又は上記下皿基板の上面に設けられ、中央正面側が最も低くなると共に、該上皿基板の上面から上記上部受け皿に向かって傾斜し又は該下皿基板の上面から下部受け皿に向かって傾斜しており、ガラス扉又は上皿基板を閉止した場合には、該ガラス扉の下端部又は該上皿基板の下端部によって遊技球が載らないように覆われること」なる記載中には、4箇所に、少なくとも一つが成り立つ意(広辞苑第六版参照。)の「又は」という接続詞が用いられている。 そして、左右に長尺で且つ中央側に向けて低く傾斜している「傾斜面」について、傾斜面を備える位置を上記a?cのいずれかに特定したとき、どのような発明特定事項が傾斜面に関連する構成として選択されるかについて検討する。 上記aの位置の場合は、傾斜面が、ガラス扉のみに関連する構成である「上皿基板の上面」「に設けられ」ること、「上皿基板の上面から上部受け皿に向かって傾斜」すること、「ガラス扉」「を閉止した場合」、「ガラス扉の下端部」「によって遊技球が載らないように覆われる」ことなる発明特定事項が選択される。また。上記bの位置の場合は、傾斜面が、上皿基板のみに関連する構成である「下皿基板の上面」「に設けられる」こと、「下皿基板の上面から下部受け皿に向かって傾斜」すること、「上皿基板を閉止した場合」、「上皿基板の下端部」「によって遊技球が載らないように覆われる」ことなる発明特定事項が選択される。さらに、上記cの位置の場合は、傾斜面に関する構成としてガラス扉及び上皿基板の両者に関連する発明特定事項が選択される。 そうすると、本件特許の請求項2は、左右に長尺で且つ中央側に向けて低く傾斜している「傾斜面」を備える位置として、単にa?cの3通りの態様を包含したものであることを記載したものであるから、この点からみて明瞭に記載されているといえる。 したがって、本件特許の請求項2の記載は、明瞭であって、不明瞭な箇所は認められず、請求人の上記主張は採用できない。 イ)平成24年7月6日付け意見書(第4ページ第18行?第5ページ第8行)において、請求人は、本件特許の請求項2に係る発明のうち、ガラス扉に関連した「上記ガラス扉を開放した場合に生じる四角形の空間の下辺に相当する位置に、左右に長尺で且つ中央側に向けて低く傾斜している傾斜面を備え、上記傾斜面は、上記上皿基板の上面に設けられ、中央正面側が最も低くなると共に、該上皿基板の上面から上記上部受け皿に向かって傾斜しており、上記ガラス扉を閉止した場合には、該ガラス扉の下端部によって遊技球が載らないように覆われる」なる発明(以下「発明1」という。)を抽出したうえで、これに対して、ガラス扉に技術的に何ら寄与しない構成である「上皿基板が開閉可能である点」(以下「構成1」という。)、「上皿基板の下方に下皿基板が設置される点」(以下「構成2」という。)、「下皿基板上に下部受け皿が設置される点」(以下「構成3」という。)のそれぞれが不明瞭であるとし、当該不明瞭な記載を削除することで明瞭な記載に正すものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する旨主張する。 そこで、この点について検討する。 本件特許の請求項2は、「ガラス扉」、「上皿基板」、「上部受け皿」、「下皿基板」、「下部受け皿」の全ての発明特定事項を一体として具備するパチンコ遊技機に関する発明である。 そして、「下皿基板」及び「下部受け皿」も本件特許の請求項2に係る発明を特定する発明特定事項であり、当該発明特定事項を具備することで、本件特許の請求項2に係る発明が不明瞭になるものでもない。 したがって、本件特許の請求項2の記載は、明瞭であって、上記請求人の主張は認められない。 ウ その他の目的に該当するか否か 上記訂正事項1は、誤記の訂正を目的とする訂正でなく(第2号)、また、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものにすること(請求項間の引用関係の解消)を目的とする訂正でない(第4号)。 エ 小括 上記ア?ウにおいて検討したように、上記訂正事項1は、特許法第126条第1項各号のいずれにも該当しない。 (2)上記訂正事項2について 本件訂正の請求項4は、本件訂正の請求項2または3を引用する関係があるから、本件訂正の請求項2?4は「一群の請求項」に係るものとみなせる。 そして、上記(1)において検討したように、上記訂正事項1が訂正の要件を満たすものでないから、本件訂正の請求項2及び3と一群の請求項として一体で扱われるべき本件訂正の請求項4に係る上記訂正事項2の訂正は、これを認めない。 (3)上記訂正事項3について 上記訂正事項1?2は、上記(1)?(2)において検討したように訂正の要件を満たすものでない。 そうすると、訂正の要件を満たさない訂正事項1?2に整合させる内容の訂正を行う上記訂正事項3は、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当しない。 4 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項の規定に適合しないので、当該訂正を認めることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 なお、本件特許の請求項2は、「ガラス扉」、「上皿基板」、「上部受け皿」、「下皿基板」、「下部受け皿」の全ての発明特定事項を一体として具備するパチンコ遊技機に関する発明であるから、パチンコ遊技機が「ガラス扉」、「上皿基板」、「上部受け皿」、「下皿基板」、「下部受け皿」の全てを一体として具備することを前提としたうえで、左右に長尺で且つ中央側に向けて低く傾斜している「傾斜面」を設ける位置について、前記したa?cの3通りに場合分けし、さらに、前記a?cに対応して択一的記載を特定した場合は、この限りでない。 |
審理終結日 | 2012-08-30 |
結審通知日 | 2012-09-03 |
審決日 | 2012-09-14 |
出願番号 | 特願平9-157784 |
審決分類 |
P
1
41・
851-
Z
(A63F)
P 1 41・ 853- Z (A63F) P 1 41・ 857- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 郡山 順、高橋 三成 |
特許庁審判長 |
木村 史郎 |
特許庁審判官 |
長崎 洋一 瀬津 太朗 |
登録日 | 2008-12-05 |
登録番号 | 特許第4224630号(P4224630) |
発明の名称 | パチンコ遊技機 |
代理人 | 特許業務法人 サトー国際特許事務所 |