• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61F
管理番号 1265304
審判番号 不服2010-8423  
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-04-21 
確定日 2012-10-10 
事件の表示 特願2000-591944号「改良型冷却/加温パッドおよびシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成12年7月13日国際公開、WO00/40185、平成14年10月15日国内公表、特表2002-534160号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、2000年1月3日を国際出願日とする出願(パリ条約による優先権主張 平成11年1月4日、米国)であって、平成21年12月18日付けで拒絶査定がなされたところ、同査定を不服として、平成22年4月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付で明細書の特許請求の範囲についての手続補正がなされたものである。

2 本願の請求項1に係る発明
本願の請求項1に係る発明は、平成22年4月21日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された、以下のとおりのものである。

「患者と接触させて、患者と熱エネルギーを交換するための医療用パッドであって、
熱エネルギーの吸収または熱エネルギーの放出の少なくとも一方を行い得る熱交換流体を収容するための該熱交換流体を収容すべく密封された流体収容層と、
流体入口および流体出口と、前記熱交換流体が、前記密封された流体収容層内を前記流体入口から前記流体出口まで循環し得ることと、
前記流体収容層の皮膚と接触する面側に配置された粘着性表面とを有し、
それによって、前記粘着性表面を患者の皮膚に直接接触させることにより前記パッドを患者に密着させることができると共に、前記パッドを患者に密着させたときに前記粘着性表面を横切って患者と前記密封された流体収容層により収容された前記循環可能な熱交換流体との間で熱エネルギーを交換し得るパッド。」(以下、「本願発明」という。)

3 引用刊行物の記載
本願優先日前に頒布された刊行物であり、原査定の拒絶の理由に引用された、特開平6-315497号公報(以下、「引用例1」という。)、及び、特開昭61-128967号公報(以下、「引用例2」という。)には、それぞれ以下の記載がある。

(1)引用例1
記載A
「冷却流体入口ポートおよび冷却流体出口ポートと前記入口ポートから前記出口ポートへ至る連続的冷却流体流路とを有する、被冷却箇所に位置決め可能なパッド;冷却流体容器;前記冷却流体容器中に保持され、かつ前記流路を通して循環される冷却流体;前記流体容器中に位置決め可能な第1入口端部と前記冷却流体入口ポートに接続される第2入口端部との2つの端部を有する冷却流体入口ライン;前記流体容器中に位置決め可能な第1入口端部と前記冷却流体入口ポートに接続される第2入口端部との2つの端部を有する冷却流体出口ライン;前記出口ラインの前記冷却流体の温度を測定する手段;前記出口ラインの前記冷却流体の温度に応答して前記流路を通る流体の流量を制御する手段;および前記流路と前記入口および出口ラインとを通して前記容器から前記冷却流体を流すため、前記容器内に保持される前記冷却流体に浸漬されるポンプ;を備えていることを特徴とする治療用の冷却流体循環装置。」(【特許請求の範囲】の欄の【請求項1】)

記載B
「従って、本発明の目的は、操作し易くかつ製造および保守が低コストででき、また使用者の日常のスケジユールを著しく中断させない、患者の身体の所望の箇所を治療するための非環境温度流体を循環させる装置を提供することにある。」(【0005】段落)

記載C
「パッドの温度制御を行うために、ライン内弁が入口または出口ラインの一方に設けられるが、好ましくは出口ラインに設けられる。前記の弁は、装置を通る流体の流量の制御を可能にする、制御可能な流量制限器である。冷却流体の場合には、装置を通る流体の流量を減じるように弁を閉じることにより、パッド内の流体滞留時間が増加し、対応して身体からの熱伝達作用によりパッド内の温度が上昇する。流量を増大するように弁を開くことにより、パッド内の冷却流体滞留時間が減少してその中の温度が低下する。逆に、加熱流体の場合には、弁の閉止はパッド内の温度を低下させ、一方、弁の開放はパッド内の温度を上昇させる。さらにライン内温度モニタを、好ましくは出口ラインに設けて、オペレータがパッド内の流体の温度を監視できるようにする。ライン内弁は、従ってモニタの温度の読み取りに応じて調整することができる。」(【0015】段落)

記載D
「図1を参照して、装置10は治療上低温処置が所望される点において患者の身体に位置決め可能な冷却パッド12を備えている。このパッド12はここでは腕14上に示されているが、パッド12は処置が所望される身体のどこにでも実質上位置決めできることは明らかである。パッド12はこれが患者の身体の輪郭に少なくとも幾らか適合し得るように好ましくは柔軟なポリウレタンから製造される。適合を容易にするために、パッド12はそれに形成された複数の継ぎ目15を有している。」(【0021】段落)

記載E
「図2は冷却パッド12の内部バッフルパターンを示す。図中、パッド12のポリウレタン外殻体は省略されている。パッド12は入口ポート16を経てパッド12に入り、出口ポート18を経てパッド12を出る流体60を冷却するための曲がりくねつた流路64となる複数のバッフル62を含む。留意されるべきことは、バッフル62の短絡を防止するためにバッフル62がその頂部および底部でパッド12の外殻体に係合し、それにより冷却流体60を曲がりくねつた方法でバッフル62のまわりに流れさせることである。」(【0029】段落)

記載F
「【作用】本発明の流体循環装置10は水の凍結点にほぼ等しい温度にある氷水60で低温容器58を充填し、かつ容器58内の流体温度を維持するために該容器58を被覆して作動される。固定された接合部24により、パッド12は治療処置が所望される患者の身体の皮膚上に置かれる。柔らかい布のごとき追加のパッド材料が患者を快適にするためにパッドの柔軟な面と皮膚との間に置かれてもよい。」(【0032】段落)

記載G
「装置10の高温の実施例は、まず加熱流体を冷却流体に代えることにより上述した低温実施例と識別できる。加熱流体は、好ましくは室温以上、すなわち周囲温度を超える温度に加熱された水である。加熱流体を収容するパッドの温度は、出口ラインに設けられている弁をそこを通る流れが減少するように部分的に閉じることにより下げることができ、一方パッドの温度は流れを増加するように弁を開けることにより上昇することができる。」(【0036】段落)

次にこれらの記載について検討する。
(1-1)記載Aにおける、「・・被冷却箇所に位置決め可能なパッド・・を備えていることを特徴とする治療用の冷却流体循環装置。」の記載からみて、被冷却箇所にパッドを位置決めすること、及び、当該パッドを治療用の冷却流体循環装置に用いることが記載されている。
記載Fにおける、「・・パッド12は治療処置が所望される患者の身体の皮膚上に置かれる。柔らかい布のごとき追加のパッド材料が患者を快適にするためにパッドの柔軟な面と皮膚との間に置かれてもよい。」の記載からみて、パッド12の柔軟な面を患者の身体の皮膚上に、柔らかい布を介して間接的に置くことと、何も介さずに直接的に置くこと、すなわちパッド12の柔軟な面を患者の身体の皮膚に直接接触するように置くこととが記載されている。
記載Dにおける、「図1を参照して、装置10は治療上低温処置が所望される点において患者の身体に位置決め可能な冷却パッド12を備えている。このパッド12はここでは腕14上に示されているが、パッド12は処置が所望される身体のどこにでも実質上位置決めできることは明らかである。パッド12はこれが患者の身体の輪郭に少なくとも幾らか適合し得るように好ましくは柔軟なポリウレタンから製造される。・・」の記載からみて、パッド12を身体の各所に適合させること、及び、そのためにパッド12は柔軟であることが好ましいことが記載されている。
図1の記載から、腕14に片面が重ねられた状態のパッド12が窺える。

してみると、引用例1には、患者と位置決めしつつ接触させて、治療のために患者の被冷却箇所を冷却するパッドであって、患者の皮膚に接触する柔軟な面を有し、それによって、前記柔軟な面を患者の皮膚に直接接触させることにより前記パッドを患者の身体の輪郭に少なくとも幾らか適合させることができるようにしたパッドが記載されている。

(1-2)記載Cにおける、「・・冷却流体の場合には、装置を通る流体の流量を減じるように弁を閉じることにより、パッド内の流体滞留時間が増加し、対応して身体からの熱伝達作用によりパッド内の温度が上昇する。流量を増大するように弁を開くことにより、パッド内の冷却流体滞留時間が減少してその中の温度が低下する。逆に、加熱流体の場合には、弁の閉止はパッド内の温度を低下させ、一方、弁の開放はパッド内の温度を上昇させる。・・」の記載から、熱の伝達により、身体とパッド内の流体との間で熱の交換がなされ、その結果、流体の温度が変化することが記載されている。
そして、この流体の温度の変化に関し、温度が低下する場合は、流体は熱エネルギーを放出する、温度が上昇する場合は、流体は熱エネルギーを吸収すると言い換えられることは明らかである。

したがって、引用例1には、パッドは、患者と熱エネルギーの交換をするためのパッドであり、パッドを流れる流体は、熱エネルギーの吸収または熱エネルギーの放出の少なくとも一方を行い得る流体であることが記載されている。

(1-3)記載Aにおける、「冷却流体入口ポートおよび冷却流体出口ポートと前記入口ポートから前記出口ポートへ至る連続的冷却流体流路とを有する、被冷却箇所に位置決め可能なパッド;冷却流体容器;前記冷却流体容器中に保持され、かつ前記流路を通して循環される冷却流体;・・」の記載から、パッドは、入口ポートから前記出口ポートへ至る連続的冷却流体流路を有することが記載されている。
また、記載Bにおける、「・・患者の身体の所望の箇所を治療するための非環境温度流体を循環させる装置を提供する・・」の記載から、上記連続的冷却流体流路内の流体の流れは循環するものであることが記載されている。
また、記載Eにおける、「図2は冷却パッド12の内部バッフルパターンを示す。図中、パッド12のポリウレタン外殻体は省略されている。パッド12は入口ポート16を経てパッド12に入り、出口ポート18を経てパッド12を出る流体60を冷却するための曲がりくねつた流路64となる複数のバッフル62を含む。留意されるべきことは、バッフル62の短絡を防止するためにバッフル62がその頂部および底部でパッド12の外殻体に係合し、それにより冷却流体60を曲がりくねつた方法でバッフル62のまわりに流れさせることである。」の記載から、流路は、バッフル62の頂部および底部の位置に配置される外殻の間に形成されるものであることが記載されている。
さらに、図2の記載からみて、パッドに形成された「連続的冷却流体流路」は、密封された流路といえるものである。

したがって、引用例1には、パッドが流体を収容すべく密封された流路と、入口ポートおよび出口ポートとを有し、前記流体が、前記密封された流路内を前記入口ポートから前記出口ポートまで循環し得ることが記載されている。
また、上記(1-1)に記載した、バッドが患者の皮膚に接触する柔軟な面を有していることと、上記(1-2)に記載した、パッドを流れる流体は、熱エネルギーの吸収または熱エネルギーの放出の少なくとも一方を行い得る流体であることと、及び、上記した、パッドが流体を収容すべく密封された流路を有していることとを併せてみて、パッドは密封された流路の皮膚と接触する箇所に柔軟な面を有しているといえるものである。

(1-4)上記(1-1)に記載した、柔軟な面を患者の皮膚に直接接触させることにより前記パッドを患者の身体の輪郭に少なくとも幾らか適合させることができることと、上記(1-3)に記載した、パッドは密封された流路の皮膚と接触する箇所に柔軟な面を有していることと、記載Cにおける「・・冷却流体の場合には、・・パッド内の流体滞留時間が増加し、対応して身体からの熱伝達作用によりパッド内の温度が上昇する。・・、パッド内の冷却流体滞留時間が減少してその中の温度が低下する。・・」の記載とを併せてみて、パッドを患者の身体の輪郭に幾らか適合させたときにパッドの柔軟な面を横切って患者とパッドの流路内の流体との間で熱交換されることは、明白である。

してみると、引用例1には、パッドを患者の身体の輪郭に少なくと幾らか適合させたときに、前記柔軟な面を横切って患者と前記密封された流路により収容された前記循環可能な流体との間で熱エネルギーを交換することが記載されている。

以上の(1-1)?(1-4)を総合し、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

患者と位置決めしつつ接触させて、患者と熱エネルギーを交換するためのパッドであって、
熱エネルギーの吸収または熱エネルギーの放出の少なくとも一方を行い得る流体を収容するための該流体を収容すべく密封された流路と、
入口ポートおよび出口ポートと、前記流体が、前記密封された流路内を前記入口ポートから前記出口ポートまで循環し得ることと、
前記密封された流路の皮膚と接触する箇所に柔軟な面を有し、
それによって、前記柔軟な面を患者の皮膚に直接接触させることにより前記パッドを患者の身体の輪郭に少なくと幾らか適合させることができると共に、前記パッドを患者の身体の輪郭に少なくと幾らか適合させたときに前記柔軟な面を横切って患者と前記密封された流路により収容された前記循環可能な流体との間で熱エネルギーを交換し得るパッド。

(2)引用例2
記載H
「(1)発熱体又は吸熱体を直接又は間接的に収容する適宜容量及び形状を有する熱伝導性の容器の少なくとも被施術皮膚面当接面に貼着層を形成し、該貼着層の外面に指掛け端を有する剥離紙を被設して成る温熱又は冷熱治療具。
(2)・・
(3)前記容器の被施術皮膚面当接面が該被施術皮膚面と沿設する形状に成ることを特徴とする特許請求の範囲第1項及び第2項記載の温熱又は冷熱治療具。」(第1ページ下段左欄第5-16行)

記載I
「ト.効果
以上述べた如く本発明の温熱又は冷熱治療具は患部に対して容器の一部を接着し、該接着面を介して容器内熱源からの温度刺激を得る構造に成る為、被施術位置からずれることがないばかりでなく、皮膚貼着剤層に代えて貼付薬剤層を設けることに依り温度刺激効果と同時に薬効を得ることができるように成るものである等、本発明の実用的効果は極めて大きい。」(第3ページ下段左欄第2-10行)

上記の記載事項H及びIを併せてみて、引用例2における冷熱治療具の被施術皮膚面当接面は熱を伝達する部分、即ち、熱エネルギーを交換する面としての機能を有するものであるところ、当該当接面に被施術位置に対する位置がずれないようにするために皮膚貼着剤層を設けることが記載されている。
よって、引用例2には、熱交換を行う医療用の装置において、熱交換を行う面に被施術位置に対する位置がずれないようにするために貼着層を設けることが記載されている。

4 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、文言の意味、配置、作用の観点から、引用発明の「患者」および「皮膚」は、本願発明の「患者」および「皮膚」に相当し、その患者との間で、熱エネルギーの交換を司り、循環をしている引用発明の「流体」は、本願発明の「熱交換流体」に相当する。
また、引用発明の流体の循環に係る「入口ポート」および「出口ポート」は、相互の関係、流れの方向等からみて、本願発明の「流体入口」および「流体出口」に相当し、その間に配置され、流体が密封された状態にある引用発明の「流路」は、本願発明の、密封された「流体収容層」に相当する。
本願発明の「粘着性表面」と引用発明の「柔軟な面」とは、その機能及び構造からみて、「熱交換を行う面」である限りにおいて一致する。
本願発明の「前記流体収容層の皮膚と接触する面側に配置された粘着性表面とを有し、」と引用発明の「前記密封された流路の皮膚と接触する箇所に柔軟な面を有し、」とは、「前記流体収容層の皮膚と接触する箇所に熱交換を行う面を有し、」である限りにおいて一致する。
本願発明の「前記粘着性表面を患者の皮膚に直接接触させることにより前記パッドを患者に密着させることができる」と引用発明の「前記柔軟な面を患者の皮膚に直接接触させることにより前記パッドを患者の身体の輪郭に少なくとも幾らか適合し得る」とは「前記熱交換を行う面を患者の皮膚に直接接触させることにより前記パッドを患者に少なくとも幾らか適合し得る」である限りにおいて一致する。
本願発明の「前記パッドを患者に密着させたときに前記粘着性表面を横切って患者と前記密封された流体収容層により収容された前記循環可能な熱交換流体との間で熱エネルギーを交換し得る」と引用発明の「前記パッドを患者の身体の輪郭に少なくと幾らか適合させたときに前記柔軟な面を横切って患者と前記密封された流路により収容された前記循環可能な流体との間で熱エネルギーを交換し得る」とは、「前記パッドを患者に少なくとも幾らか適合させたときに前記熱交換を行う面を横切って患者と前記密封された流体収容層により収容された前記循環可能な熱交換流体との間で熱エネルギーを交換し得る」である限りにおいて一致する。

そこで、本願発明の用語を用いて表現すると、両発明は次の点で一致する。

(一致点)
患者と接触させて、患者と熱エネルギーを交換するための医療用パッドであって、
熱エネルギーの吸収または熱エネルギーの放出の少なくとも一方を行い得る熱交換流体を収容するための該熱交換流体を収容すべく密封された流体収容層と、
流体入口および流体出口と、前記熱交換流体が、前記密封された流体収容層内を前記流体入口から前記流体出口まで循環し得ることと、
前記流体収容層の皮膚と接触する箇所に熱交換を行う面を有し、
それによって、前記熱交換を行う面を患者の皮膚に直接接触させることにより前記パッドを患者に少なくとも幾らか適合し得ると共に、前記パッドを患者に少なくとも幾らか適合させたときに前記熱交換を行う面を横切って患者と前記密封された流体収容層により収容された前記循環可能な熱交換流体との間で熱エネルギーを交換し得るパッド。

そして、両発明は次の点で相違する。

(相違点)
熱交換を行う面について、本願発明は、前記流体収容層の皮膚と接触する面側に配置された粘着性表面を有しており、前記粘着性表面を患者の皮膚に直接接触させることにより前記パッドを患者に密着させることができ、前記パッドを患者に密着させたときに前記粘着性表面を横切って患者と前記密封された流体収容層により収容された前記循環可能な熱交換流体との間で熱エネルギーを交換し得るとしているのに対し、引用発明は、前記流体収容層の皮膚と接触する箇所に柔軟な面を有しており、前記柔軟な面を患者の皮膚に直接接触させることにより前記パッドを患者の身体の輪郭に少なくとも幾らか適合させることができ、前記パッドを患者の身体の輪郭に少なくとも幾らか適合させたときに前記柔軟な面を横切って患者と密封された前記流体収容層により収容された前記循環可能な流体との間で熱エネルギーを交換し得るとしている点。

5 判断
上記相違点について検討する。
引用発明のパッドは、患者と位置決めしつつ接触させて、治療のために患者の被冷却箇所を冷却するパッドである。
引用例2には、引用発明と同様に熱交換を行う医療用の装置において、熱交換を行う面に被施術位置に対する位置がずれないようにするために貼着層を設けることが記載されている。
そして、患者等人体に部材を貼着するに際し、その貼着面を粘着性表面とすることは常套手段である。
したがって、引用発明のパッドを患者に位置決めしつつ接触させることについて引用例2の上記技術を適用し、引用発明の柔軟な面を粘着性表面とすることは当業者が容易になし得る程度の事項にすぎない。
そして、引用発明のパッドは患者の皮膚と接触することによりパッドと患者の皮膚との間で熱エネルギーの交換をするものであるから、引用発明において、その熱エネルギーの交換をよりよくするためにその粘着性表面によりパッドを患者の身体の輪郭により適合させる、すなわち密着させることは当業者が必要に応じてなし得る事項にすぎない。

以上から、引用発明におけるパッドの熱交換を行う面を患者の身体の輪郭により適合させるために、引用例2の技術を適用し、「前記流体収容層の皮膚と接触する箇所に柔軟な面を有しており、前記柔軟な面を患者の皮膚に直接接触させることにより前記パッドを患者の身体の輪郭に少なくとも幾らか適合させることができ、前記パッドを患者の身体の輪郭に少なくとも幾らか適合させたときに前記柔軟な面を横切って患者と密封された前記流体収容層により収容された前記循環可能な流体との間で熱エネルギーを交換し得る」ことにかえて、「前記流体収容層の皮膚と接触する面側に配置された粘着性表面を有しており、前記粘着性表面を患者の皮膚に直接接触させることにより前記パッドを患者に密着させることができ、前記パッドを患者に密着させたときに前記粘着性表面を横切って患者と前記密封された流体収容層により収容された前記循環可能な熱交換流体との間で熱エネルギーを交換し得る」ものとすることは当業者が必要に応じてなし得る程度の事項にすぎない。

本願発明の効果は、引用発明及び引用例2の技術から当業者が予測し得た以上の格別のものとは認められない。

したがって、本願発明は、引用発明及び引用例2の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用例2の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-09-06 
結審通知日 2011-09-13 
審決日 2011-09-27 
出願番号 特願2000-591944(P2000-591944)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 望月 寛  
特許庁審判長 高木 彰
特許庁審判官 関谷 一夫
寺澤 忠司
発明の名称 改良型冷却/加温パッドおよびシステム  
代理人 恩田 誠  
代理人 池上 美穂  
代理人 本田 淳  
代理人 恩田 博宣  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ