• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1265383
審判番号 不服2011-8573  
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-04-21 
確定日 2012-10-29 
事件の表示 特願2005-122948「情報処理装置及び情報処理方法並びにプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成18年11月 2日出願公開、特開2006-301975〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、平成17年4月20日の出願であって、平成20年4月16日付けで審査請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされ、平成22年9月9日付けで拒絶理由通知(同年9月13日発送)がなされ、同年11月11日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、平成23年1月17日付けで拒絶査定(同年1月21日謄本送達)がなされ、これに対して、同年4月21日付けで審判請求がなされたものである。

2.本願発明

本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記平成22年11月11日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「ネットワークを介して外部装置と通信可能な情報処理装置であって、
所定の検索条件を入力して前記ネットワーク上の情報の検索処理を実行する検索手段と、
前記検索手段による検索処理時に用いられた前記検索条件を登録する登録手段と、
前記検索手段によって前記検索条件を用いて検索された第1の検索結果を取得する第1の検索結果取得手段と、
前記第1の検索結果の取得後、前記登録手段によって登録された前記検索条件を用いて前記ネットワーク上の情報の再検索を実行する再検索手段と、
前記再検索手段によって前記検索条件を用いて再検索された第2の検索結果を取得する第2の検索結果取得手段と、
前記第1及び第2の検索結果を比較して、前記再検索手段により新規に検索された第1の情報及び前記検索手段では検索されたが前記再検索手段では再検索されなかった第2の情報を検出する差分検出手段と、
前記外部装置がウェブブラウザを用いて画面を表示するためのファイルを生成する生成手段であって、前記差分検出手段が検出した前記第1の情報のリストと前記差分検出手段が検出した前記第2の情報のリストを前記画面上の異なる領域にそれぞれ表示するためのファイルを生成する生成手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。」

3.先行技術

(1)引用文献1

特開2001-325275号公報(平成13年11月22日出願公開。以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、下記引用文献記載事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

A 「【0019】====クリッピングサービスを実現する基本システム====
図1は本発明のWEBページの検索リポート作成方法を実現する基本システム図である。クリッピングサービスの提供を望む依頼人は例えばクリッピング結果(検索レポート)を受け取るための装置としてユーザコンピュータ10を備えている。このコンピュータ10は公衆回線を介してインターネットに接続されているものであり、電子メールソフトやWEBブラウザがインストールされている。一般にクリッピングサービスは商業ベースで運営されるものであるから、このユーザコンピュータ10は依頼人の数だけ広域的に多く並存しており、インターネットを介して下記のサーバコンピュータ20と集約的に結ばれている。」

B 「【0023】前記サーバコンピュータ20とインターネットを介して結びついて、クリッピング対象としての情報ソースを提供するのが、新聞や雑誌などのオンラインサービスを行っているニュースサーバ21や、メッセージ掲載希望者からインターネットを介して投稿されたメッセージを定型の画面データ(通常はHTML形式)に作成し、その画面データをインターネット上に公開する電子掲示板サーバー22、電子メールの送受信や管理等を行うメールサーバ23、および企業や個人のホームページなどを配信するWEBサーバ24などである。」

C 「【0030】サーバコンピュータ20は、ユーザコンピュータ10から送られてきた検索条件に対して例えば「企業・個人は実在のもので、その決済手段が正当なものか」などの検証を行い、検証により正当と認められた場合はその内容を依頼人情報ファイル30に整理して記録する。…(後略)」

D 「【0031】依頼人情報ファイル30は依頼人の企業名(氏名)、住所、電子メールアドレス等のID情報と、検索キーワードや検索にヒットしたWEBページ上の抜粋範囲を設定するクエリー情報とが依頼人ごと整理され検索条件として記録されるものであり、ハードディスク装置などの外部記憶装置上に作成される。…(後略)」

E 「【0033】====WEBページの検索レポートを作成する手順====
1.メインプログラム
本発明においてWEBページの検索レポートの作成を実際に行うメインプログラムとして、Perl(Practical Extraction and Report Language)言語でスクリプト記述をしたCGI(Common Gateway Interface)プログラムを想定する。このメインプログラムは、依頼人毎(ユーザコンピュータ10毎)に動作するものであり、前記の依頼人のID情報(名称そのまま、もしくは記号化されたID名)と電子メールアドレスとを引数とする。また、登録申請画面において入力したクエリー(検索キーワード含む)をサーバコンピュータ20内の検索キーワードテーブル32などから引き出し、SQL(Strucured Query Language)言語に変換して所定の検索エンジンSに発行する任を果たす。この際、企業名テーブル31から引き出した依頼人の企業名も検索キーワードに絡めて対応付けしておく。
【0034】またこれに対し、所定の検索エンジンSは、各々の検索エンジンが備えるデータベース内のURLレコードに沿って前記検索キーワードに基づいた全文検索をし、その検索結果であるエンジン別検索レポートをメインプログラムへとそれぞれ返す。得られたエンジン別検索レポートは、各キーワード、各検索エンジンS毎に分類されてエンジン別ヒットテーブル40(ハードディスクなど外部記憶装置内に設けられる)へと記録される。以下得られる検索結果は対応したテーブル名を付けて外部記憶装置に適宜記録するものとする。」

F 「【0036】各エンジン別検索レポートには前記クエリーに対してヒットしたWEBページのURLと更新日時のリストが含まれている。エンジン別検索レポートの前記リストのことをエンジン別ヒットリストと称する。このエンジン別ヒットリストを検索エンジンSに跨って相互に対照し、URLが同じであればその重複したWEBページを排除し更新日時が最新のデータを採択することで、更新日時情報を各々備えたURLリストを作成する。このURLリストのことをエンジン統合ヒットリストと称し、統合ヒットテーブル50に記録される。…(後略)」

G 「【0037】前記エンジン統合ヒットリストは、一旦登録しておいたクエリーを検索エンジンSに定期的に繰り返し発行することで、一定日時毎に繰り返し作成される。…(後略)」

H 「【0038】例えば、最新リストには含まれているが古いリストには含まれていないURLは、対応する検索エンジンに新規登録されたものであるとしてこれを抽出し、新旧両リストに含まれているURLではあるが最新リストでは更新日時が新しくなっている場合、WEBページ内容が更新されているとしてこれも抽出する。このように得られた最新で重複のないURLを集約し報告対象URLとする。この報告対象URLは統合ヒットテーブル50内に収められる。」

(ア)上記Aの「図1は本発明のWEBページの検索リポート作成方法を実現する基本システム図である。…(中略)…ユーザコンピュータ10を備えている。このコンピュータ10は公衆回線を介してインターネットに接続されているものであり、…(中略)…、インターネットを介して下記のサーバコンピュータ20と集約的に結ばれている。」との記載、上記Bの「前記サーバコンピュータ20とインターネットを介して結びついて、クリッピング対象としての情報ソースを提供するのが、…(中略)…ニュースサーバ21や、…(中略)…電子掲示板サーバー22、…(中略)…メールサーバ23、および…(中略)…WEBサーバ24などである。」との記載からすると、引用文献1には、
インターネットを介してユーザコンピュータや各種サーバ等の装置(以下、これらをまとめて、「外部装置」という。)と通信可能なサーバコンピュータ
が記載されているものと解される。

(イ)上記Bの「前記サーバコンピュータ20とインターネットを介して結びついて、クリッピング対象としての情報ソースを提供するのが、…(中略)…ニュースサーバ21や、…(中略)…電子掲示板サーバー22、…(中略)…メールサーバ23、および…(中略)…WEBサーバ24などである。」との記載、上記Cの「サーバコンピュータ20は、ユーザコンピュータ10から送られてきた検索条件に対して…(中略)…検証を行い、…(中略)…その内容を依頼人情報ファイル30に整理して記録する。」との記載、上記Dの「依頼人情報ファイル30は…(中略)…検索キーワード…(中略)…が依頼人ごと整理され検索条件として記録される」との記載、上記Eの「本発明においてWEBページの検索レポートの作成を実際に行うメインプログラム…(中略)…、登録申請画面において入力したクエリー(検索キーワード含む)をサーバコンピュータ20内の検索キーワードテーブル32などから引き出し、SQL(Strucured Query Language)言語に変換して所定の検索エンジンSに発行する任を果たす。…(中略)…、所定の検索エンジンSは、各々の検索エンジンが備えるデータベース内のURLレコードに沿って前記検索キーワードに基づいた全文検索をし、その検索結果であるエンジン別検索レポートをメインプログラムへとそれぞれ返す。」との記載からすると、引用文献1には、
所定の検索条件を入力してインターネット上の情報の検索処理を実行する手段(以下、「検索手段」という。)と、
前記検索手段による検索処理時に用いられた前記検索条件を記録する手段(以下、「記録手段」という。)
を備える態様が記載されているものと解される。

(ウ)上記Eの「所定の検索エンジンSは、各々の検索エンジンが備えるデータベース内のURLレコードに沿って前記検索キーワードに基づいた全文検索をし、その検索結果であるエンジン別検索レポートをメインプログラムへとそれぞれ返す。得られたエンジン別検索レポートは、…(中略)…エンジン別ヒットテーブル40…(中略)…へと記録される。」との記載、上記Fの「各エンジン別検索レポートには前記クエリーに対してヒットしたWEBページのURLと更新日時のリストが含まれている。エンジン別検索レポートの前記リストのことをエンジン別ヒットリストと称する。このエンジン別ヒットリストを検索エンジンSに跨って相互に対照し、URLが同じであればその重複したWEBページを排除し更新日時が最新のデータを採択することで、更新日時情報を各々備えたURLリストを作成する。このURLリストのことをエンジン統合ヒットリストと称し、統合ヒットテーブル50に記録される。」との記載、上記Gの「前記エンジン統合ヒットリストは、一旦登録しておいたクエリーを検索エンジンSに定期的に繰り返し発行することで、一定日時毎に繰り返し作成される。」との記載からすると、定期的に検索を繰り返すことから、繰り返し検索を実行する手段(以下、「再検索手段」という。)を備えているものと解され、そして、前回分の検索結果を“第1の検索結果”、最新の検索結果を“第2の検索結果”と呼ぶことにすると、引用文献1には、
検索手段によって検索条件を用いて検索された第1の検索結果を取得する手段(以下、「第1の検索結果取得手段」という。)と、
前記第1の検索結果の取得後、記録手段によって記録された前記検索条件を用いてインターネット上の情報の再検索を実行する再検索手段と、
前記再検索手段によって前記検索条件を用いて再検索された第2の検索結果を取得する手段(以下、「第2の検索結果取得手段」という。)
を備える態様が記載されているものと解される。

(エ)上記Hの「最新リストには含まれているが古いリストには含まれていないURLは、対応する検索エンジンに新規登録されたものであるとしてこれを抽出し、新旧両リストに含まれているURLではあるが最新リストでは更新日時が新しくなっている場合、WEBページ内容が更新されているとしてこれも抽出する。このように得られた最新で重複のないURLを集約し報告対象URLとする。」との記載からすると、「最新リスト」は、上記(ウ)の“第2の検索結果”に相当し、「古いリスト」は、上記(ウ)の“第1の検索結果”に相当することから、引用文献1には、
第1及び第2の検索結果を比較して、第2の検索結果には含まれているが第1の検索結果には含まれていないURLの情報及び両検索結果に含まれているが更新日時が新しくなっているURLの情報を抽出する手段(以下、「差分抽出手段」という。)
を備える態様が記載されているものと解される。

以上、(ア)ないし(エ)で指摘した事項から、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

インターネットを介して外部装置と通信可能なサーバコンピュータであって、
所定の検索条件を入力して前記インターネット上の情報の検索処理を実行する検索手段と、
前記検索手段による検索処理時に用いられた前記検索条件を記録する記録手段と、
前記検索手段によって前記検索条件を用いて検索された第1の検索結果を取得する第1の検索結果取得手段と、
前記第1の検索結果の取得後、前記記録手段によって記録された前記検索条件を用いて前記インターネット上の情報の再検索を実行する再検索手段と、
前記再検索手段によって前記検索条件を用いて再検索された第2の検索結果を取得する第2の検索結果取得手段と、
前記第1及び第2の検索結果を比較して、前記第2の検索結果には含まれているが前記第1の検索結果には含まれていないURLの情報及び前記両検索結果に含まれているが更新日時が新しくなっているURLの情報を抽出する差分抽出手段と、
を備えることを特徴とするサーバコンピュータ。

(2)引用文献2

特開2003-256316号公報(平成15年9月12日出願公開。以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、下記引用文献記載事項が記載されている。

J 「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はインターネット上に公開されているWebページやWebサイトについて従前の内容との変更情報を抽出しその有益性を分析して有益な変更情報を提供する情報提供装置、情報提供システム及び情報提供方法並びにプログラムに関するものである。」

K 「【0029】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1による情報提供システムの構成を示す図である。図において、1はWebページ差分分析システム(情報提供装置)であって、インターネット網11上のWebページを定期的に収集・蓄積し同一Webページで収集時期の異なる内容を比較して、有益な変更があるとユーザに対する通知や変更情報の表示を行う。また、Webページ差分分析システム1は、例えばインターネット網11にアクセスする通信機能を有し、後述する各構成要素の機能を有するプログラムを実行するコンピュータ装置によって実現される。2はWebページ収集部(Webページ収集手段)で、インターネット網11上のWebページを定期的に且つ自動的に収集する。3は通信処理部(通信処理手段)であって、インターネット網11上のユーザからの要求を受け付ける。ユーザからの要求としては、変更情報を求めてほしいWebページのURL(UniformResource Locator)などがある。4はWebページ蓄積部(収集データ蓄積手段)で、Webページ収集部2によって収集されたWebページを蓄積する。Webページ蓄積部4による蓄積方法としては、そのまま世代ごとに蓄積する場合や変更情報のみを蓄積する場合などがある。
【0030】5はWebページ比較部(変更情報抽出手段、有益度付与手段)であって、従前のWebページと現在のWebページとの内容を比較して、Webサイト内におけるWebページやWebページ内容自体の有益な変更情報を抽出する。Webサイト内のWebページの変更情報としては、例えばユーザが指定したWebサイト内で有益な変更があったWebページ自体、新規に追加されたWebページ、削除や移動されたWebページに関する情報がある。また、Webページ内容自体の変更情報としては、有益な変更、追加、削除、移動に関するものが考えられる。6は通知処理部(提供処理手段)で、ユーザに対してWebページ比較部5によって抽出された有益な変更情報を通知する。7は表示部(提供処理手段)であって、通知処理部6によって通知された変更情報の内容をユーザ端末12で表示させる表示画面データを作成する。8はWebページ格納部(収集データ蓄積手段)で、Webページ蓄積部4によってWebページが蓄積される記憶手段である。また、Webページ比較部5は、Webページ格納部8に格納されたWebページを適宜取り出して、Webページ内容の比較を行う。このWebページ格納部8に格納されたWebページは、収集時期ごとに世代管理されており、必要な世代のWebページを適宜取り出すことができる。」

L 「【0032】図2は図1中の表示部が作成した特定のWebサイト内のWebページの追加、削除、変更、移動を表現するイメージ画面を示す図である。図示の例では、URL「www.aaa.bbb.co.jp」で特定されるWebサイト中におけるWebページの構成をツリー状に表示している。また、各Webページについて、追加、削除、変更、移動が容易に視認することができるようにマーキングされている。このツリー構造は、Webページ内のハイパーリンクを利用したものであり、実際の物理的なディレクトリツリーとは異なる。マーキングについて説明すると、例えばトップの「index.html」に付された「chg」マークは、Webページに変更があったことを表している。また、「index.html」とリンクしている「bbb.html」で特定されるWebページには、何のマークも付与されていない。これは、変更がなかったことを表している。同様に「index.html」とリンクしている「ccc.html」で特定されるWebページは、「new」のマークが付与されている。これは、新規に追加されたWebページであることを表している。さらに、「aaa.html」とリンクしていた「ddd.html」で特定されるWebページには、「del」マークが付与されている。これは、当該Webページが削除されたことを表している。ここで、「aaa.html」と「ddd.html」とのリンクを点線で表示する。これにより、以前は「aaa.html」からリンクされていたことを視認できるようにしている。」

M 「【0033】図3は図1中の表示部が作成した特定のWebページ内の追加、削除、変更、移動を表現するイメージ画面を示す図であり、図2のWebサイト内のイメージ画面で変更があったWebページを指定することで表示される画面である。図示の例では、画面の左側にナビゲーション用のウィンドウが配置され、右側には古いWebページの内容と新しいWebページの内容を表示するウィンドウが配置されている。ナビゲーション用ウィンドウには、新旧のWebページの構成と追加、削除、変更、移動などの項目を表示し、該当する項目を指定することで、右側のWebページ表示用ウィンドウに表示された新旧のWebページの該当部分がそれぞれ枠で囲まれるようになっている。これにより、ユーザは実際に変更した部分を容易に知ることができる。」

N 「【0040】図5は実施の形態1の情報提供システムによるWebページ比較動作の一例を示すフロー図であり、この図に沿って特定のWebサイト内における各Webページ構成の変更情報の抽出処理について説明する。先ず、Webページ比較部5は、Webページ格納部8内に、特定のWebサイト内で以前収集したWebページと同一のURLで特定されるWebページが存在するか否かを判定する(ステップST1a)。このとき、上記Webページが存在すると判定されると、Webページ比較部5は、両Webページの内容が同一か否かを判定する(ステップST2a)。ここで、両Webページの内容が同一であると、Webページ比較部5は、当該Webページに変更がなかったと判断する。また、両Webページの内容が異なる場合は、当該Webページに変更があったと判断する。
【0041】一方、ステップST1aにて同一のURLで特定されるWebページが存在しないと判定されると、Webページ比較部5は、Webページ格納部8内に、当該Webページと内容が同一なWebページが存在するか否かを判定する(ステップST3a)。このとき、同一のURLで特定されるWebページ以外が判定の対象とされる。ここで、内容が同一のWebページが存在する場合、Webページ比較部5は、そのWebページが移動したと判断する。
【0042】また、内容が同一のWebページが存在しないと判定されると、Webページ比較部5は、当該Webページを特定するURLが新規に登録されたものかどうかを判定する(ステップST4a)。ここで、該当するURLが以前に登録されていない場合、Webページ比較部5は、当該Webページが新規なものであると判断する。一方、以前に登録されていたが、これに対応するWebページが今回存在しない場合、Webページ比較部5は、当該Webページが削除されたものと判断する。
【0043】この処理をWebサイト内の全てのWebページに対して実行することにより、図2に示すようなイメージ画面を提供する表示画面データを作成することが可能となる。」

P 「図1中の表示部が作成した特定のWebサイト内のWebページの追加、削除、変更、移動を表現するイメージ画面を示す図」であって、追加されたURLの情報と削除されたURLの情報を画面上の異なる領域にそれぞれ表示することを示す図(図2)

4.対比

本願発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「インターネット」は、本願発明の「ネットワーク」に相当する。そして、引用発明の「サーバコンピュータ」は、検索条件を用いて、定期的に検索処理を実行し、検索結果の差分を抽出する装置であることから、本願発明の「情報処理装置」に相当する。したがって、引用発明の「インターネットを介して外部装置と通信可能なサーバコンピュータ」は、本願発明の「ネットワークを介して外部装置と通信可能な情報処理装置」に相当する。

(2)引用発明の「記録する」及び「記録手段」は、それぞれ、本願発明の「登録する」及び「登録手段」に相当する。したがって、引用発明の「前記検索手段による検索処理時に用いられた前記検索条件を記録する記録手段」は、本願発明の「前記検索手段による検索処理時に用いられた前記検索条件を登録する登録手段」に相当する。

(3)上記(1)及び(2)の対比から、引用発明の「前記第1の検索結果の取得後、前記記録手段によって記録された前記検索条件を用いて前記インターネット上の情報の再検索を実行する再検索手段」は、本願発明の「前記第1の検索結果の取得後、前記登録手段によって登録された前記検索条件を用いて前記ネットワーク上の情報の再検索を実行する再検索手段」に相当する。

(4)引用発明の「抽出する」及び「差分抽出手段」は、それぞれ、本願発明の「検出する」及び「差分検出手段」に相当する。そして、引用発明の「前記第2の検索結果には含まれているが前記第1の検索結果には含まれていないURLの情報及び前記両検索結果に含まれているが更新日時が新しくなっているURLの情報」とは、第1及び第2の検索結果を比較して得られる“第1及び第2の検索結果の差分情報”に他ならず、本願発明の「前記再検索手段により新規に検索された第1の情報及び前記検索手段では検索されたが前記再検索手段では再検索されなかった第2の情報」についても、第1及び第2の検索結果を比較して得られる“第1及び第2の検索結果の差分情報”に他ならない。してみると、引用発明の「前記第1及び第2の検索結果を比較して、前記第2の検索結果には含まれているが前記第1の検索結果には含まれていないURLの情報及び前記両検索結果に含まれているが更新日時が新しくなっているURLの情報を抽出する差分抽出手段」と、本願発明の「前記第1及び第2の検索結果を比較して、前記再検索手段により新規に検索された第1の情報及び前記検索手段では検索されたが前記再検索手段では再検索されなかった第2の情報を検出する差分検出手段」とは、ともに、“前記第1及び第2の検索結果を比較して、前記第1及び第2の検索結果の差分情報を検出する差分検出手段”である点で共通する。

以上から、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。

(一致点)

ネットワークを介して外部装置と通信可能な情報処理装置であって、
所定の検索条件を入力して前記ネットワーク上の情報の検索処理を実行する検索手段と、
前記検索手段による検索処理時に用いられた前記検索条件を登録する登録手段と、
前記検索手段によって前記検索条件を用いて検索された第1の検索結果を取得する第1の検索結果取得手段と、
前記第1の検索結果の取得後、前記登録手段によって登録された前記検索条件を用いて前記ネットワーク上の情報の再検索を実行する再検索手段と、
前記再検索手段によって前記検索条件を用いて再検索された第2の検索結果を取得する第2の検索結果取得手段と、
前記第1及び第2の検索結果を比較して、前記第1及び第2の検索結果の差分情報を検出する差分検出手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。

(相違点1)

第1及び第2の検索結果の差分情報において、本願発明が、「前記再検索手段により新規に検索された第1の情報及び前記検索手段では検索されたが前記再検索手段では再検索されなかった第2の情報」であるのに対して、引用発明は、「前記第2の検索結果には含まれているが前記第1の検索結果には含まれていないURLの情報及び前記両検索結果に含まれているが更新日時が新しくなっているURLの情報」である点。

(相違点2)

本願発明が、「前記外部装置がウェブブラウザを用いて画面を表示するためのファイルを生成する生成手段であって、前記差分検出手段が検出した前記第1の情報のリストと前記差分検出手段が検出した前記第2の情報のリストを前記画面上の異なる領域にそれぞれ表示するためのファイルを生成する生成手段」を備えているのに対して、引用発明は、差分抽出手段で抽出した情報の表示について、特に明記されていない点。

5.判断

相違点1及び相違点2について検討する。

(1)相違点1について

引用文献2(上記J、K、L、M等参照。)に、“ユーザから受け付けたWebページのURL(検索条件)を用いて、当該Webページを検索し、従前に検索されたWebページの内容と現在のWebページの内容とを、それぞれのWebページに含まれるURLを比較することで、追加、削除、変更等の変更情報(URL)を抽出する”技術が記載されるように、異なる時期に検索したURLを比較して、追加、削除、変更等の変更情報(URL)を抽出する技術は周知技術に過ぎない。
してみると、引用発明の「第1及び第2の検索結果の差分情報」抽出においても、「前記第2の検索結果には含まれているが前記第1の検索結果には含まれていないURLの情報」(すなわち、追加されたURLの情報)及び「前記両検索結果に含まれているが更新日時が新しくなっているURLの情報」(すなわち、変更されたURLの情報)に加えて、ユーザ等からの要望に応じて、“前記第1の検索結果には含まれているが前記第2の検索結果には含まれていないURLの情報”(すなわち、削除されたURLの情報)をも抽出するように構成することは、必要に応じて、当業者が適宜採用しうる設計事項に過ぎない。

よって、相違点1は格別なものではない。

(2)相違点2について

処理した結果を必要に応じて画面に表示させるようにすることについては、当該技術分野において、通常行われていることに過ぎない。そして、引用文献2(特に、上記N、P等参照。)に記載されるように、“検索結果を比較することにより抽出された変更情報(追加、削除、変更されたURL)を画面上の異なる領域に表示する”技術についても周知技術に過ぎない。してみると、引用発明においても、差分抽出手段で抽出した結果を画面上の異なる領域にそれぞれ表示させるように構成すること、すなわち、相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
なお、引用文献2の図2は、抽出された変更情報をツリー上に表示するものであるが、画面上にどのように表示するかについては、当業者が適宜採用し得る設計事項に過ぎず、本願の図11のように、上下に並べるように表示する構成とすることについても、格別の困難性は見いだせない。

よって、相違点2は格別なものではない。

(3)小括

上記で検討したごとく、相違点1及び相違点2は格別のものではなく、そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、上記引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、容易に発明できたものである。

6.むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、本願の特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-08-30 
結審通知日 2012-09-03 
審決日 2012-09-14 
出願番号 特願2005-122948(P2005-122948)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 波内 みさ  
特許庁審判長 山崎 達也
特許庁審判官 原 秀人
田中 秀人
発明の名称 情報処理装置及び情報処理方法並びにプログラム  
代理人 大塚 康弘  
代理人 下山 治  
代理人 高柳 司郎  
代理人 永川 行光  
代理人 大塚 康徳  
代理人 木村 秀二  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ