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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B |
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管理番号 | 1265546 |
審判番号 | 不服2011-13003 |
総通号数 | 156 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-06-17 |
確定日 | 2012-10-31 |
事件の表示 | 特願2006-180280「記録媒体,記録媒体の制御情報構成方法,これを用いた記録及び再生方法,並びにその装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年11月30日出願公開,特開2006-323996〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 この出願は,平成18年6月29日に,平成16年8月13日(パリ条約による優先権主張 平成15年8月14日,同年9月4日,同年9月15日及び同年9月22日 いずれも大韓民国)を国際出願日とする特願2006-523136号(国際出願番号 PCT/KR2004/002041)の一部を特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願としたものであって,平成20年12月26日付け拒絶の理由に対し平成21年4月6日に手続補正がなされ,平成22年6月1日付け拒絶の理由に対し同年9月8日に手続補正がなされたが,平成23年3月31日付けで拒絶をすべき旨の査定がなされ,これに対し,平成23年6月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされると共に,同日付けで手続補正がなされたものである。 その後,当審の平成23年12月21日付け審尋に対し,平成24年3月7日に回答書が提出された。 第2 平成23年6月17日付け手続補正の却下の決定 《補正の却下の決定の結論》 平成23年6月17日付け手続補正を却下する。 《補正の却下の決定の理由》 1 本件補正 平成23年6月17日付け手続補正(以下,「本件補正」という。)は,特許請求の範囲について補正をしようとするものであり,本件補正前 「【請求項1】 少なくとも1つの記録層を有する記録媒体と共に使用するための制御情報のデータ構造を有する記録媒体であって,前記制御情報は,低い書込み倍速のための第1情報単位と高い書込み倍速のための第2情報単位と前記高い書込み倍速のための代替第2情報単位とを含む少なくとも3つの情報単位を含み, 前記第1情報単位は,第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記第2情報単位は,前記第1書込み方式タイプまたは前記第1書込み方式タイプと異なる第2書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記高い書込み倍速のための代替第2情報単位は,前記第2情報単位に使用される書込み方式タイプと異なる代替書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み, 前記第1情報単位における前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータは,前記第2情報単位または前記代替第2情報単位が前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含む場合,前記第2情報単位または前記代替第2情報単位における前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータと異なり, 前記第1および第2書込み方式タイプの各々は,前記記録媒体にマークを形成する書込みパルスの数を表すことを特徴とする記録媒体。 【請求項2】 前記情報単位のシーケンスは,前記第1情報単位,前記第2情報単位および前記代替第2情報単位が同じ記録層に使用可能な場合,前記低い書込み倍速のための情報単位が前記高い書込み倍速のための情報単位よりも先になるように書込み倍速によって順序付けられることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。 【請求項3】 前記第1情報単位,前記第2情報単位および前記代替第2情報単位は,前記書込み方式タイプを識別する識別情報をそれぞれ含むことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。 【請求項4】 前記識別情報は,n-1書込み方式タイプおよびn/2書込み方式タイプの1つを識別し,ここでnはマークの長さであることを特徴とする請求項3に記載の記録媒体。 【請求項5】 前記代替書込み方式タイプは,n-1書込み方式タイプまたはn/2書込み方式タイプであり,ここでnはマークの長さであることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。 【請求項6】 前記高い書込み倍速のための第2書込み方式タイプは,n-1書込み方式タイプおよびn/2書込み方式タイプの1つであり,前記代替書込み方式タイプは,前記第2書込み方式タイプと異なる,n-1書込み方式タイプおよびn/2書込み方式タイプの1つであり,ここでnはマークの長さであることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。 【請求項7】 記録方法であって, 記録媒体の特定の領域からの制御情報を読み出すことであって,前記制御情報は低い書込み倍速のための第1情報単位と高い書込み倍速のための第2情報単位と前記高い書込み倍速のための代替第2情報単位とを含む少なくとも3つの情報単位を含み,前記第1情報単位は,第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記第2情報単位は,前記第1書込み方式タイプまたは前記第1書込み方式タイプと異なる第2書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記代替第2情報単位は,前記第2情報単位のために使用される書込み方式タイプと異なる代替書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記第1情報単位における前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータは,前記第2情報単位または前記代替第2情報単位が前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含む場合,前記第2情報単位または前記代替第2情報単位における前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータと異なり,前記第1および第2書込み方式タイプの各々は前記記録媒体にマークを形成する書込みパルスの数を表すことと, 少なくとも1つの情報単位に基づいて特定の書込み倍速でデータを記録することと を備えることを特徴とする方法。 【請求項8】 特定の書込み方式タイプを識別する識別情報および/または特定の書込み倍速を示す倍速情報に基づいて前記第1情報単位,前記第2情報単位および前記代替第2情報単位の1つを識別することをさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の方法。 【請求項9】 前記識別情報は,n-1書込み方式タイプおよびn/2書込み方式タイプの1つを識別し,ここでnはマークの長さであることを特徴とする請求項8に記載の方法。 【請求項10】 前記情報単位のシーケンスは,前記第1情報単位,前記第2情報単位および前記代替第2情報単位が同じ記録層のために使用される場合,前記低い書込み倍速のための情報単位が前記高い書込み倍速のための情報単位よりも先になるように書込み倍速によって順序付けられることを特徴とする請求項7に記載の方法。 【請求項11】 書込み倍速および記録層を決定することと, 前記決定するステップに基づいて前記読み出された制御情報から前記第1情報単位,前記第2情報単位および前記代替第2情報単位の少なくとも1つを選択することとをさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の方法。 【請求項12】 前記代替書込み方式タイプは,n-1書込み方式タイプまたはn/2書込み方式タイプであり,ここでnはマークの長さであることを特徴とする請求項7に記載の方法。 【請求項13】 前記高い書込み倍速のための第2書込み方式タイプは,n-1書込み方式タイプおよびn/2書込み方式タイプの1つであり,前記代替書込み方式タイプは,前記第2書込み方式タイプと異なる,n-1書込み方式タイプおよびn/2書込み方式タイプの1つであり,ここでnはマークの長さであることを特徴とする請求項7に記載の方法。 【請求項14】 データを記録するための装置であって, 記録媒体の特定領域から制御情報を読み出すように構成されたピックアップ部であって,前記制御情報は低い書込み倍速のための第1情報単位と高い書込み倍速のための第2情報単位と前記高い書込み倍速のための代替第2情報単位とを含む少なくとも3つの情報単位を含み,前記第1情報単位は,第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記第2情報単位は,前記第1書込み方式タイプまたは前記第1書込み方式タイプと異なる第2書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記高い書込み倍速のための前記代替第2情報単位は,前記第2情報単位のために使用される書込み方式タイプと異なる代替書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記第1情報単位における前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータは,前記第2情報単位または前記代替第2情報単位が前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含む場合,前記第2情報単位または前記代替第2情報単位における前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータと異なり,前記第1および第2書込み方式タイプの各々は,前記記録媒体にマークを形成する書込みパルスの数を表す,ピックアップ部と, 前記ピックアップ部と動作可能なように結合され,前記ピックアップ部を制御して,少なくとも1つの情報単位に基づいて特定の書込み倍速でデータを記録するように構成された制御部と を備えたことを特徴とする装置。 【請求項15】 前記情報単位のシーケンスは,前記第1情報単位,前記第2情報単位および前記代替第2情報単位が同じ記録層のために使用される場合,前記低い書込み倍速のための情報単位が前記高い書込み倍速のための情報単位よりも先になるように書込み倍速によって順序付けられることを特徴とする請求項14に記載の装置。 【請求項16】 前記制御部は,特定の書込み方式タイプを識別する識別情報および/または特定の書込み倍速を示す倍速情報に基づいて前記第1情報単位,前記第2情報単位および前記代替第2情報単位の1つを識別し,前記ピックアップ部を制御して,少なくとも1つの情報単位に基づいて前記特定の書込み倍速でデータを記録するように構成されたことを特徴とする請求項14に記載の装置。 【請求項17】 前記制御部は,書込み倍速および記録層を決定し,前記決定に基づいて前記読み出された制御情報から前記第1情報単位,前記第2情報単位および前記代替第2情報単位の少なくとも1つを選択するように構成されたことを特徴とする請求項14に記載の装置。 【請求項18】 前記読み出された制御情報を格納するように構成されたメモリをさらに備え,前記制御部は,前記格納された制御情報から,前記対応する書込み倍速のための特定の書込み方式タイプを識別する識別情報に基づいて前記第1情報単位,前記第2情報単位および前記代替第2情報単位の1つを識別するように構成されたことを特徴とする請求項14に記載の装置。 【請求項19】 記録媒体にデータを記録するための装置であって, 低い記録倍速のための第1情報単位と高い記録倍速のための第2情報単位と前記高い書込み倍速のための代替第2情報単位とを含む少なくとも3つの情報単位を含む制御情報を格納するメモリであって,前記第1情報単位は,第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記第2情報単位は,前記第1書込み方式タイプまたは前記第1書込み方式タイプと異なる第2書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記高い書込み倍速のための前記代替第2情報単位は,前記第2情報単位のために使用される書込み方式タイプと異なる代替書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記第1情報単位における前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータは,前記第2情報単位または前記代替第2情報単位が前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含む場合,前記第2情報単位または前記代替第2情報単位における前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータと異なり,前記第1および第2書込み方式タイプの各々は,前記記録媒体にマークを形成する書込みパルスの数を表す,メモリと, 対応する記録層にデータを記録するように構成された光ピックアップと,前記メモリおよび前記光ピックアップと動作可能なように結合され,前記メモリに格納された前記制御情報を参照することによって対応する記録層に適用可能な記録倍速を決定し,前記光ピックアップを制御して,前記決定された記録倍速に依存して前記第1および第2書込み方式タイプの1つのための書込み方式パラメータを使用することによって前記データを記録するように構成された制御部と を備えたことを特徴とする装置。 【請求項20】 前記情報単位のシーケンスは,前記第1情報単位,前記第2情報単位および前記代替第2情報単位が同じ記録層のために使用される場合,前記低い書込み倍速のための情報単位が前記高い書込み倍速のための情報単位よりも先になるように書込み倍速によって順序付けられ,前記制御部は,前記光ピックアップを制御して,前記書込み方式パラメータを使用することによって前記データを記録するようにさらに構成されたことを特徴とする請求項19に記載の装置。 【請求項21】 前記制御部は,前記決定された記録倍速のための特定の書込み方式タイプを識別するための識別情報に基づいて前記第1および第2書込み方式タイプの1つを識別し,データの記録を制御するようにさらに構成されたことを特徴とする請求項20に記載の装置。」 とあったものを,本件補正により 「【請求項1】少なくとも1つの記録層を有する記録媒体と共に使用するための制御情報のデータ構造を有する記録媒体であって, 前記制御情報は,低い書込み倍速のための第1情報単位と高い書込み倍速のための第2情報単位と前記高い書込み倍速のための代替第2情報単位とを含む少なくとも3つの情報単位を含み, 前記第1情報単位は,第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記第2情報単位は,前記第1書込み方式タイプまたは前記第1書込み方式タイプと異なる第2書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記高い書込み倍速のための代替第2情報単位は,前記第2情報単位に使用される書込み方式タイプと異なる代替書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み, 前記第1情報単位における前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータは,前記第2情報単位または前記代替第2情報単位が前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含む場合,前記第2情報単位または前記代替第2情報単位における前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータと異なり, 前記第1書込み方式タイプは,n-1書込み方式タイプであり,前記第2書込み方式タイプは,n/2書込み方式タイプであり,マーク長より1つ少ない書込みパルスの数が前記n-1書込み方式タイプの対応するマークを形成するために使用され,マーク長の半分に対応するパルスの数がn/2書込み方式タイプの対応するマークを形成するために使用されることを特徴とする記録媒体。 【請求項2】 前記情報単位のシーケンスは,前記第1情報単位,前記第2情報単位および前記代替第2情報単位が同じ記録層に使用可能な場合,前記低い書込み倍速のための情報単位が前記高い書込み倍速のための情報単位よりも先になるように書込み倍速によって順序付けられることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。 【請求項3】 前記第1情報単位,前記第2情報単位および前記代替第2情報単位は,前記書込み方式タイプを識別する識別情報をそれぞれ含むことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。 【請求項4】 前記識別情報は,前記n-1書込み方式タイプおよび前記n/2書込み方式タイプの1つを識別し,ここでnはマークの長さであることを特徴とする請求項3に記載の記録媒体。 【請求項5】 前記代替書込み方式タイプは,前記n-1書込み方式タイプであり,ここでnはマークの長さであることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。 【請求項6】 記録方法であって, 記録媒体の特定の領域からの制御情報を読み出すことであって,前記制御情報は低い書込み倍速のための第1情報単位と高い書込み倍速のための第2情報単位と前記高い書込み倍速のための代替第2情報単位とを含む少なくとも3つの情報単位を含み,前記第1情報単位は,第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記第2情報単位は,前記第1書込み方式タイプまたは前記第1書込み方式タイプと異なる第2書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記代替第2情報単位は,前記第2情報単位のために使用される書込み方式タイプと異なる代替書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記第1情報単位における前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータは,前記第2情報単位または前記代替第2情報単位が前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含む場合,前記第2情報単位または前記代替第2情報単位における前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータと異なり,前記第1書込み方式タイプは,n-1書込み方式タイプであり,前記第2書込み方式タイプは,n/2書込み方式タイプであり,マーク長より1つ少ない書込みパルスの数が前記n-1書込み方式タイプの対応するマークを形成するために使用され,マーク長の半分に対応するパルスの数がn/2書込み方式タイプの対応するマークを形成するために使用されることと, 少なくとも1つの情報単位に基づいて特定の書込み倍速でデータを記録することと を備えることを特徴とする方法。 【請求項7】 特定の書込み方式タイプを識別する識別情報および/または特定の書込み倍速を示す倍速情報に基づいて前記第1情報単位,前記第2情報単位および前記代替第2情報単位の1つを識別することをさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の方法。 【請求項8】 前記識別情報は,n-1書込み方式タイプおよびn/2書込み方式タイプの1つを識別し,ここでnはマークの長さであることを特徴とする請求項7に記載の方法。 【請求項9】 前記情報単位のシーケンスは,前記第1情報単位,前記第2情報単位および前記代替第2情報単位が同じ記録層のために使用される場合,前記低い書込み倍速のための情報単位が前記高い書込み倍速のための情報単位よりも先になるように書込み倍速によって順序付けられることを特徴とする請求項6に記載の方法。 【請求項10】 書込み倍速および記録層を決定することと, 前記決定するステップに基づいて前記読み出された制御情報から前記第1情報単位,前記第2情報単位および前記代替第2情報単位の少なくとも1つを選択することとをさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の方法。 【請求項11】 前記代替書込み方式タイプは,前記n-1書込み方式タイプであり,ここでnはマークの長さであることを特徴とする請求項6に記載の方法。 【請求項12】 データを記録するための装置であって, 記録媒体との間でデータを読み出すか,記録するように構成されたピックアップ部と,前記ピックアップ部に動作可能に結合され,前記ピックアップ部を制御して,記録媒体の特定領域から制御情報を読み出すように構成された制御部であって,前記制御情報は低い書込み倍速のための第1情報単位と高い書込み倍速のための第2情報単位と前記高い書込み倍速のための代替第2情報単位とを含む少なくとも3つの情報単位を含み,前記第1情報単位は,第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記第2情報単位は,前記第1書込み方式タイプまたは前記第1書込み方式タイプと異なる第2書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記高い書込み倍速のための前記代替第2情報単位は,前記第2情報単位のために使用される書込み方式タイプと異なる代替書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記第1情報単位における前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータは,前記第2情報単位または前記代替第2情報単位が前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含む場合,前記第2情報単位または前記代替第2情報単位における前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータと異なり,前記第1書込み方式タイプは,n-1書込み方式タイプであり,前記第2書込み方式タイプは,n/2書込み方式タイプであり,マーク長より1つ少ない書込みパルスの数が前記n-1書込み方式タイプの対応するマークを形成するために使用され,マーク長の半分に対応するパルスの数がn/2書込み方式タイプの対応するマークを形成するために使用される,制御部とを備え, 前記制御部が前記ピックアップ部を制御して,少なくとも1つの情報単位に基づいて特定の書込み倍速でデータを記録するように構成されたことを特徴とする装置。 【請求項13】 前記情報単位のシーケンスは,前記第1情報単位,前記第2情報単位および前記代替第2情報単位が同じ記録層のために使用される場合,前記低い書込み倍速のための情報単位が前記高い書込み倍速のための情報単位よりも先になるように書込み倍速によって順序付けられることを特徴とする請求項12に記載の装置。 【請求項14】 前記制御部は,特定の書込み方式タイプを識別する識別情報および/または特定の書込み倍速を示す倍速情報に基づいて前記第1情報単位,前記第2情報単位および前記代替第2情報単位の1つを識別し,前記ピックアップ部を制御して,少なくとも1つの情報単位に基づいて前記特定の書込み倍速でデータを記録するように構成されたことを特徴とする請求項12に記載の装置。 【請求項15】 前記制御部は,書込み倍速および記録層を決定し,前記決定に基づいて前記読み出された制御情報から前記第1情報単位,前記第2情報単位および前記代替第2情報単位の少なくとも1つを選択するように構成されたことを特徴とする請求項12に記載の装置。 【請求項16】 前記読み出された制御情報を格納するように構成されたメモリをさらに備え,前記制御部は,前記格納された制御情報から,前記対応する書込み倍速のための特定の書込み方式タイプを識別する識別情報に基づいて前記第1情報単位,前記第2情報単位および前記代替第2情報単位の1つを識別するように構成されたことを特徴とする請求項12に記載の装置。 【請求項17】 記録媒体にデータを記録するための装置であって, 低い記録倍速のための第1情報単位と高い記録倍速のための第2情報単位と前記高い書込み倍速のための代替第2情報単位とを含む少なくとも3つの情報単位を含む制御情報を格納するメモリであって,前記第1情報単位は,第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記第2情報単位は,前記第1書込み方式タイプまたは前記第1書込み方式タイプと異なる第2書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記高い書込み倍速のための前記代替第2情報単位は,前記第2情報単位のために使用される書込み方式タイプと異なる代替書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記第1情報単位における前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータは,前記第2情報単位または前記代替第2情報単位が前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含む場合,前記第2情報単位または前記代替第2情報単位における前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータと異なり,前記第1書込み方式タイプは,n-1書込み方式タイプであり,前記第2書込み方式タイプは,n/2書込み方式タイプであり,マーク長より1つ少ない書込みパルスの数が前記n-1書込み方式タイプの対応するマークを形成するために使用され,マーク長の半分に対応するパルスの数がn/2書込み方式タイプの対応するマークを形成するために使用される,メモリと,対応する記録層にデータを記録するように構成された光ピックアップと, 前記メモリおよび前記光ピックアップと動作可能なように結合され,前記メモリに格納された前記制御情報を参照することによって対応する記録層に適用可能な記録倍速を決定し,前記光ピックアップを制御して,前記決定された記録倍速に依存して前記第1および第2書込み方式タイプの1つのための書込み方式パラメータを使用することによって前記データを記録するように構成された制御部と を備えたことを特徴とする装置。 【請求項18】 前記情報単位のシーケンスは,前記第1情報単位,前記第2情報単位および前記代替第2情報単位が同じ記録層のために使用される場合,前記低い書込み倍速のための情報単位が前記高い書込み倍速のための情報単位よりも先になるように書込み倍速によって順序付けられ,前記制御部は,前記光ピックアップを制御して,前記書込み方式パラメータを使用することによって前記データを記録するようにさらに構成されたことを特徴とする請求項17に記載の装置。 【請求項19】 前記制御部は,前記決定された記録倍速のための特定の書込み方式タイプを識別するための識別情報に基づいて前記第1および第2書込み方式タイプの1つを識別し,データの記録を制御するようにさらに構成されたことを特徴とする請求項18に記載の装置。」 としようとするものである。なお,本件補正による特許請求の範囲の下線は本件審判請求人が付していたものである。 すると,請求項1については,本件補正前,「前記第1および第2書込み方式タイプの各々は,前記記録媒体にマークを形成する書込みパルスの数を表す」とあった事項を,本件補正により,「前記第1書込み方式タイプは,n-1書込み方式タイプであり,前記第2書込み方式タイプは,n/2書込み方式タイプであり,マーク長より1つ少ない書込みパルスの数が前記n-1書込み方式タイプの対応するマークを形成するために使用され,マーク長の半分に対応するパルスの数がn/2書込み方式タイプの対応するマークを形成するために使用される」とするものであり,「第1書込み方式タイプ」及び「第2書込み方式タイプ」の「パルスの数」についてさらに特定しようとするものであるから,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項の規定によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法(以下,「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第4号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そこで,以下,本件補正により特許請求の範囲に記載しようとする発明が,出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて検討する。 2 本件補正発明 本件補正による特許請求の範囲に記載された請求項1の発明(以下,「本件補正発明」という。)は,前記1に本件補正による特許請求の範囲の請求項1の発明として示したとおりのものである。 3 刊行物の記載事項 (1) 文献1 この出願の優先日前に頒布された刊行物であり,原査定の拒絶の理由で引用された特開2003-203341号公報(以下,「文献1」という。)には,図面と共に以下の事項が記載されている。なお,下線は当審で付したものである。 ア「【0002】 【従来の技術】レーザ光を利用して高密度の情報の再生や記録を行う技術は,主に光ディスク装置として実用化されている。光ディスクは,再生専用型,追記型,書換型に大別することができる。再生専用型は音楽情報を記録したCD(Compact Disc)や画像情報を記録したVCD(Video CD)やDVDとして,また追記型はCD-RやDVD-Rとして,それぞれ商品化されている。また,書換型として,CD-RWやDVD-RAM,DVD-RWなどが映像や音声の記録用,あるいはパソコン用のデータ記録用として商品化されつつある。 【0003】これらのうち,書換型は,レーザ光などの照射条件を変えることによって,2つ以上の状態が可逆的に変化する記録薄膜を用いるものであり,主なものとして光磁気型と相変化型がある。相変化型ディスクは,レーザ光の照射条件を変化させることによって,記録膜をアモルファスと結晶間で可逆的に状態変化させて信号を記録し,アモルファスと結晶のレーザ光反射率の違いを光学的に検出して再生を行うものである。このようなレーザ光の反射率変化として信号の再生が可能である点は再生専用型や追記型と同様であり,またレーザパワーを消去レベルと記録レベルの間で変調することによって追記(オーバーライト)が1ビームでできるため,装置構成を簡略化できるといったメリットがある。 【0004】このような書換可能な光ディスクにおける信号記録の高密度化の手法としては,記録マークの前後のエッジ位置がデジタル信号の「1」に対応するパルス幅変調(PWM)方式が用いられていて,各社で材料の組成,添加物,膜厚などの違いにより,それぞれのディスクにあった最適な記録パワーや,最適な消去パワーや,先頭パルスの幅,中間のマルチパルスの幅,後端パルスの幅などが異なるために,メーカごとにその最適な記録パワーや,最適な消去パワーや,先頭パルスの幅,中間のマルチパルスの幅,後端パルスの幅などの情報をディスクにプリピットとして記録しておくようになっている。また,近年,このような記録型ディスクの倍速化の競争が激化してきている。 【0005】ところで,PWM方式では,記録マークの長さが情報を持つため,記録マークを歪のないように,すなわち前後対称に記録膜に記録する必要がある。しかし,信号を記録する際のディスクのレーザ照射部分は,蓄熱効果によって照射の開始点より終点の方が高温になる。このため,記録マークは,先端より終端の方が幅が広くなり,記録マーク形状が先端部で細く終端部で太くなって涙滴状に歪むという不都合がある。このように熱記録であるので記録時の速度が変化すると記録条件が変化することが知られている。 【0006】このために,本出願人の下記の特許文献1に記載のようにそれぞれのディスクにあった最適な記録パワーや,最適な消去パワーや,先頭パルスの幅,中間のマルチパルスの幅,後端パルスの幅などが異なるという実状である。 【0007】したがって,メーカごとにその最適な記録パワーや,最適な消去パワーの情報や,先頭パルスの幅,中間のマルチパルスの幅,後端パルスの幅などの時間情報(ストラテジー)をディスクにプリピットとして記録しておくようになっているが,高倍速化が急速に進む中にあって,1倍速(線速度は3.49m/s)用の前記の情報はあっても,高倍速用の情報はなかった。 【0008】 【特許文献1】特開2001-209940号公報 【0009】 【発明が解決しようとする課題】例えば,あるディスクが1倍速,2倍速(線速度は3.49*2m/s),4倍速(線速度は3.49*4m/s)の3種類に対応していて,1倍速用の情報しかない場合,1倍速,2倍速,4倍速を記録可能な装置で記録する場合に,1倍速で記録するかあるいは,4倍速で記録するために長時間をかけて記録パワー及びストラテジーをテスト記録して求めるなどの処理を行って4倍速用の最適パワーなどを探す必要があった。ただしユーザーが数10秒の時間を待つのは商品として許されるものではなかった。 【0010】また,例えば,あるディスクが1倍速,2倍速,4倍速の3種類に対応していて,1倍速と4倍速用の情報しかない場合,1倍速と2倍速を記録可能な装置で記録する場合に,1倍速で記録するかあるいは,2倍速で記録するために長時間をかけて記録パワー及びストラテジーをテスト記録して求めるなどの処理を行って2倍速用の最適パワーなどを探す必要があった。 【0011】特に将来の,より高密度に記録可能な媒体にとっては,そのディスクのそれぞれの回転数での記録条件,特にストラテジーをディスクに記録しておくことが必要であり,この結果,どの速度においても記録を開始するまでの時間を短縮することができ,ディスクがVTRに取って代わるためには必須な条件であった。 【0012】加えて,この記録条件をディスクに記録する場合に,ディスクの領域にも制限があり,現在のCD-Rのように,例えば,24倍速の記録を予想して,1,2,4,6,8,12,16倍速用に記録条件を記録する領域をそれぞれ確保しておいても,DVD-R/RWでその倍速数に達するのは何年かかるか分からないし,何倍速まで用意をしておけばよいのかも分からない。その時点になるまでは,高倍速用の領域は無駄になってしまうという問題点があった。つまり,将来性を含めて,その領域を有効に活用することが望まれていた。 【0013】本発明は上記の問題点に鑑み,DVD-RWなどの光ディスクに設けられている高倍速用の領域を有効に活用できる光ディスク,光ディスク記録再生装置及び光ディスク記録再生方法を提供することを目的とする。」 イ 「【0015】 【発明の実施の形態】以下,本発明の実施の形態につき好ましい実施例により説明する。 【0016】後述するように,本発明の一実施例である光ディスク22(図9)は,光ピックアップ(PU)24より照射するレーザビームにより情報を記録する情報記録領域であるデータ領域,及び情報管理領域であるリードイン領域(いずれも図12)からなる光ディスクである。情報管理領域には,情報記録領域に情報を記録するための記録パワーPo及び記録ストラテジーTtop,Tmp,Tcl(図1)情報が,当該光ディスクの各倍速数(例えば1倍速,2倍速,4倍速,8倍速,12倍速,16倍速)に対応した記録管理情報として記録形成されている。 【0017】また,本発明の光ディスクは,情報記録領域又は情報管理領域の記録再生の単位がブロック(ECCブロック)であり,ブロックは2つのブロックアドレスを有するブロック(各フィールドIDを構成するパートA,Bにそれぞれブロックアドレスが記録されている状態,情報記録領域の記録再生に用いられている)と,1つのブロックアドレスと管理情報とを有するブロック(各フィールドIDを構成するパートA,BのうちのパートAだけにブロックアドレスが記録され,パートBには管理情報が記録されている状態,情報管理領域の記録再生に用いられている)とが存在する光ディスクである。 【0018】さらに,本発明の光ディスクは,倍速数の数に対応した記録管理情報を単位として,記録管理情報が情報管理領域に繰り返し記録形成されていることを特徴としている。例えば,(1倍速に関する記録管理情報,2倍速に関する記録管理情報,4倍速に関する記録管理情報,8倍速に関する記録管理情報,12倍速に関する記録管理情報,16倍速に関する記録管理情報,…)=α,α,α,…,αというように,繰り返し記録形成されている。 【0019】さらにまた,本発明の光ディスクは,記録管理情報を繰り返し記録形成することで情報管理領域に生じた余りのブロックは,2つのブロックアドレスを有するブロックとして記録形成されている。例えば,情報管理領域の総ブロック数=n(n:整数)×α+β の場合に,αを1つのブロックアドレスと管理情報とを有するブロックで構成し,βを2つのブロックアドレスで構成することである。 【0020】一方,本発明の光ディスク記録再生装置の一実施例である光ディスク記録再生装置(図9)は,前述した本発明の光ディスク22(図9,図12)に対して,情報を記録再生する光ディスク記録再生装置であって,情報管理領域に記録形成されている各倍速数に対応した記録管理情報の記録パワー及び記録ストラテジー情報の中から,必要な倍速数に対応した記録パワー及び記録ストラテジー情報を読み出す読出手段(光ピックアップ24)と,読出手段で読み出した記録パワー及び記録ストラテジー情報を基に,レーザビームの記録パワー及び記録ストラテジーを設定する設定手段(システムコントローラ12,サーボプロセッサ15,ドライバ18)とを有し,設定手段で設定した記録パワー及び記録ストラテジーを備えたレーザビームを用いて,情報記録領域に情報を記録することを特徴としている。 【0021】他方,本発明の光ディスク記録再生方法は,前述した本発明の光ディスク22(図9,図12)に対して,情報を記録再生する光ディスク記録再生方法であって,情報管理領域に記録形成されている各倍速数に対応した記録管理情報の記録パワー及び記録ストラテジー情報の中から,必要な倍速数に対応した記録パワー及び記録ストラテジー情報を読み出す手順と,読み出す手順で読み出した記録パワー及び記録ストラテジー情報を基に,レーザビームの記録パワー及び記録ストラテジーを設定する手順とを有し,設定する手段で設定した記録パワー及び記録ストラテジーを備えたレーザビームを用いて,情報記録領域に情報を記録することを特徴としている。 【0022】次に,本発明の具体的な実施例について説明する。本発明に係る高密度な光ディスクでは,その種類や記録時の線速度の変化に応じて,記録レーザ波形を最適形状に補正する必要がある。本発明の実施の形態の光ディスクであるDVD-RWの記録波形の形状は,図1のようになる。 【0023】この記録データは8-16変調信号の入力波形の一例であり,Tはクロック周期である。ここで,マークを形成すべくマーク長8Tと3Tに対応する信号のパワーレベルは,記録部の(最適)記録パワーPoと,消去部の消去パワーPeと,記録パワー中のマルチパルスTmpと記録から消去に切り換わる時点のクーリングパルスTclのバイアスパワーPbの3種類がある。バイアスパワーPbは,DVD-RWの場合,再生パワーと同じ値である。また,記録のタイミングのストラテジーは,記録先頭部のTtopと,マルチパルスTmpのデューティとクーリングパルスTclの時間を最適に決定することにより最適な記録を行うことができる。 【0024】また,他の光ディスクであるDVD-Rは図示しないが,DVD-RWに比較して,消去パワーPeを再生パワーに変更して,クーリングパルスTclをなくすことで実現でき,以降DVD-RWと同様に説明することができる。例えば,DVD-Rの場合は,記録パワーと再生パワーの間をこのようにマルチパルス状にするのではなく,時間的に中間の区間のパワーのレベルを最初及び最後の時間のパワーのレベルより下げることでもストラテジーを実現できる。その場合は,その中間のパワーの下げるレベルや,タイミングを規定することによって同様に説明することができる。また,DVD+RWはDVD-RWと,DVD+RはDVD-Rと同様であり,ブルーレーザに対応したディスクの規格であるBlue-ray Disc規格もDVD-RWと同様である。 【0025】DVD-RやDVD-RWでは,本出願人が先に提案した特開2001-148124号公報にも記載されているように,記録可能なデータ及びリードイン領域には,記録するグルーブトラックがウォブル{一定の周波数(1倍速の線速度3.49m/sのとき,約140kHz)で蛇行}していて,グルーブとグルーブの間のランドには,ランドプリピット(以下LPPまたはLPP情報)によるアドレス情報や管理情報などの情報が埋め込まれている。 【0026】このLPP情報は,記録情報(装置の外部から入力されるデータ)として記録する信号の記録再生の誤り訂正の単位である1つのECCブロック長で記録されるディスクのグルーブ位置に対応して,1つのアドレスとその他の情報が1つの単位となってディスクのグルーブのサイドのランドにあらかじめランドプリピットとして構成され,1つのECCブロックに対応する1ブロックは16のフィールドから構成されている。その詳細は図2?図8に示す通りである。この単位の情報は,フィールドID(1ブロックに相当)と呼ばれる。 【0027】図2は1倍速ディスクの場合のLPP情報のフォーマットを示し,1倍速のLPP情報のフォーマットはフィールドID0?ID5により構成される。図2において,フィールドID0としてはECCブロックアドレスなどが記録され,これはディスクのデータ領域のランドに記録される。また,フィールドID1としてはアプリケーションコードなどが,フィールドID2としてはOPC推奨コード/ライトストラテジーコード1などが,フィールドID3としては製造ID1などが,フィールドID4としては製造ID2などが,フィールドID5としてはライトストラテジーコード2などがそれぞれ記録され,これらはディスクのリードイン領域のランドに記録される。 【0028】そして,規格として,1倍速よりも高倍速の記録速度が追加される毎に図3に示すように2つのフィールドID(ID6,ID7,…)がリードイン領域に追加され,フィールドID6としてOPC推奨コード/ライトストラテジーコード1(2×),フィールドID7としてライトストラテジーコード2(2×)などが記録される。図3はm倍速(2倍速,4倍速,6倍速,8倍速,12倍速,16倍速,…,m倍速)ディスクに対応した規格における場合のLPP情報のフォーマットを示し,フィールドID0?フィールドIDn+1により構成される。また,図4,図5,図6,図7,図8はそれぞれ,図2及び図3に示すフィールドID0,ID2,ID5,IDn,IDn+1に記録される情報を詳しく示す。 【0029】図4はフィールドID0を示し,この情報がデータ領域のランドに記録されている。フィールドID0のフレーム0-2にはECCブロックアドレスが記録され,フレーム3-5にはそのパリティが記録され,フレーム6にはフィールドID値が記録され,フレーム7-9にはECCブロックアドレスが記録され,フレーム10-12はリザーブ領域であり,フレーム13-15にはそのパリティが記録されている。 【0030】図4?図8に示すように,各フィールドIDはパートAとパートBから成る。各パートAには必ずECCブロックアドレス(フレーム0-2)とそのパリティ(フレーム3-5)が記録されている。各パートBはそれぞれのフィールドIDに対応した固有の情報が記録されている。フィールドID0はパートAとパートBとに2つのECCブロックアドレスとそのパリティとがそれぞれ記録され,パートBにはフィールドID値が記録されている。パートBのフレーム10-12はリザーブ領域である。1倍速(線速度は3.49m/s)用のディスクの場合,図2のようにフィールドIDにはフィールドID0からID5までの種類があり,フィールドID0以外はリードイン領域に記録されている。 【0031】フィールドID1,ID3,ID4については詳細には記述しないが,前述したフィールドID0,ID2,ID5と同様に,それぞれパートAとパートBとを備えている。各パートAには必ずECCブロックアドレス(フレーム0-2)とそのパリティ(フレーム3-5)が記録されている。フィールドID1のパートBには,フィールドID値とアプリケーションコードとしてディスクの一般用途,特殊用途などの用途の情報と,物理コードとしてトラックピッチ,線速度,直径,反射率,記録方式の種類(相変化記録方式の媒体かそれ以外),記録可能か書換可能などの物理仕様の情報が記載されている。フィールドID3とフィールドID4のパートBには,フィールドID値と製造者のIDがそれぞれ記載されている。 【0032】フィールドID2のパートBのフレーム6には,図5のようにフィールドID値(2)が,フレーム7-8にはOPC推奨コードが,フレーム9-12にはライトストラテジーコード1が,フレーム13-15にはパリティが記載されている。このOPC推奨コードは,ディスクメーカが推奨する図1の記録パワーPoと,消去パワーPe(又は消去パワーPeの記録パワーPoに対する比率ε=Pe/Po)と,場合によって記録の条件を決定するための記録信号を再生したときの再生信号の8-16変調の全ての信号の振幅の中で長いTに対する短いTの位置を示すβ又はアシンメトリ値の推奨値(記録最適情報)が記載されている。またライトストラテジーコード1は図1のストラテジーのTtop,Tmp,Tclの推奨する時間情報が記載されている。 【0033】フィールドID5のパートBのフレーム6には,図6のようにフィールドID値(5)が,フレーム7-10にはライトストラテジーコード2が,フレーム11-12には倍速値(1X)が,フレーム13-15にはパリティが記載されている。このライトストラテジーコード2は図1とは異なる波形の場合のストラテジーのTtop,Tmp,Tclの推奨する時間情報が記載されている。倍速値は,このディスクが何倍速で記録できるか示すものであり,倍速値(例えば,1倍速のときの線速度が3.49m/sである場合は,3.49の数値又は倍速値の1又は,これを16進数にコード化した値が以降においても記載される)と,好ましくは記録最適情報(記録の条件を決定するための記録信号を再生したときの再生信号の振幅の中で長いマーク長Tに対する短いマーク長Tの位置を示すβ又はアシンメトリ値=記録最適情報)の推奨値が以降の倍速値の領域にも記載されている。なお,記録最適情報は前述したように,また後述するようにOPC推奨コードの中に記述されてもよい。 【0034】ディスクとして,この記録できる倍速数が多ければ,このフィールドIDの数が多くなることになる。ここでは,フィールドID2とフィールドID5に示している内容は,このフィールドID5に示す1倍速用の値であることを示している。ディスクが1倍速のみの対応である場合には,この倍速値は記載されなくてもよい。 【0035】図3は,このディスクが1倍速(線速度は3.49m/s),2倍速(線速度は3.49*2m/s)?m倍速(線速度は3.49*m m/s)に対応している場合のフィールドIDの構造を示している。図3で太線で囲んだ部分(フィールドID0?フィールドID5)は,図2と1倍速の内容であることを記述した以外は同じである。図3のフィールドID6は,フィールドID2のパートBと同様に図7のnが6であるときであり,2倍速に対応したフィールドID値(6)とOPC推奨コードと,ライトストラテジーコード1(2×)が記載されている。 【0036】このOPC推奨コードはディスクメーカが推奨する2倍速のときの図1の記録パワーPoと,消去パワーPeと,場合によって記録の条件を決定するための記録信号を再生したときの再生信号の振幅の中で長いTに対する短いTの位置を示すβ又はアシンメトリ値(記録最適情報)の推奨値が記載されている。また,ライトストラテジーコード1は図1のストラテジーのTtop,Tmp,Tclの推奨する時間情報が記載されている。 【0037】また,図3のフィールドID7は,図8のn+1が7であるときであり,図6に示すフィールドID5のパートBと同様に,フレーム6には2倍速のフィールドID値(7)が,フレーム7-10にはストラテジーコード2が,フレーム11-12には倍速値が,フレーム13-15にはパリティが記載されている。このストラテジーコード2は図1とは異なる波形の場合のストラテジーのTtop,Tmp,Tclの推奨する時間情報が記載されている。 【0038】同様に,図3のフィールドIDnは図7のように,このディスクのm倍速に対応している場合のフィールドID2と同様な内容の構造を示している。図3のフィールドIDn+1は図8のように,このディスクのm倍速に対応している場合のフィールドID5と同様な内容の構造を示している。 【0039】このように,1つの倍速数が追加になるのに従って,それぞれの倍速数に対応した2つのフィールドIDを追加することになる。例えば,・1,2倍速用のディスクであれば,IDはID0からID7まで,・1,2,4倍速用のディスクであれば,IDはID0からID9まで,・1,2,4,・・・m倍速用のディスクであれば,IDはID0からIDn+1までとなる。このIDが何処まで追加されるかによって,何倍速に対応しているかを簡単に知ることができ,便利である。 【0040】詳述しないが,フィールドID1のアプリケーションコードの一つとしてエクステンションコードを用意しておき,エクステンションコードはフィールドIDがID5までであれば0としておく。例えば,2倍速の場合は,最大のIDはID7になるので,ID6とID7の2つが追加されるということでエクステンションコードは2とする。つまり,最大のIDの数マイナス5をエクステンションコードとする。IDn+1を最大とすると,そのときのエクステンションコードはn-4になる。 【0041】このように,そのディスクが対応している倍速数に応じてフィールドIDを用意して記録しておくことにより,記録再生装置はそれぞれの倍速値に対応するパワー設定の最適値を,それぞれの最適な倍速数で,最適な記録条件を得ることができる。 【0042】次に,図11と図12はそのフィールドIDのディスク上の配置を示している。図12はディスクの内周から外周までの全体の領域を示していて,内周にはデータ領域の記録再生を管理するための情報及びこのディスクの固有情報が記録されるリードイン領域が設けられ,このリードイン領域に続いて,データを記録再生するデータ領域がある。ディスクが未記録の状態ではディスク(データ領域)のグルーブには,ウォブル信号と,アドレス信号であるLPPが1ECCブロック単位で形成されている。 【0043】特にDVD-RWのリーダブルエンボス領域再生専用領域(図12ではリーダブルエンボス領域と示す)は,エンボスプリピットで形成され,ウォブル情報のみ存在し,LPP情報は存在しない。図12及び図11では,特に,DVD-RWを代表して説明するが,DVD-Rでは,リーダブルエンボス領域はエンボスでなく,記録再生可能な領域でもよく,その場合,LPP情報は他のリードイン領域と同様に存在する。 【0044】図11はリードイン領域のフィールドIDの配置を説明する図であり,リードイン開始位置(開始ECCブロックアドレス)から,リードイン終了位置(終了ECCブロックアドレス)まで,フィールドID1からフィールドIDn+1が繰り返して配置されている。リードイン開始位置(フィールドID1,アドレス番号FFDD05h)からリーダブルエンボス開始位置の直前までは,図12に示すリードイン領域内の内周側にある「LPP情報有り」の位置に対応する。同様に,リーダブルエンボス開始位置からリーダブルエンボス終了位置の直前までは,図12に示すリードイン領域内の「LPP情報無し,リーダブルエンボス領域」の位置に対応する。リーダブルエンボス終了位置直後からリードイン終了位置(フィールドID0,アドレス番号FFD000h)の直前までは,図12に示すリードイン領域内の外周側にある「LPP情報有り」の位置に対応する。リードイン領域に続くデータ領域には全て2つのアドレスを有するフィールドID0が配置されている。すなわち,データ領域のフィールドID0のパートAとパートBとにはそれぞれ,同一のECCブロックアドレスとそのパリティとが記録されている。このリードイン領域の配置は,例えば,対応する倍速数が1倍速のみであれば,フィールドID0からフィールドID5まで(図2に対応)が繰り返され(例えばID0?ID5,ID0?ID5,…),対応する倍速数が多ければフィールドIDn+1まで(図3に対応),フィールドIDが増えるので,その分の繰り返し回数が減少するが(例えばID0?IDn+1,ID0?IDn+1,…),それぞれの対応する倍速数に応じて,必要なフィールドIDのみが存在するので,ディスク上に無駄がなく,その領域の情報を再生する場合にも,その倍速において最短の時間で再生を行うことができる。 【0045】また,リードイン終了位置付近では,フィールドIDの数(例えば,1倍速時のフィールドID数=6)の繰り返し数に応じて繰り返しを行った場合に,リードイン領域全体のECCブロック数に対して割り切れないことが発生する。その場合には,リードイン終了位置より内周側の割り切れないで余った領域を,データ領域と同じ2重のアドレス(2つのアドレス)を有するフィールドID0を配置しておく。データ領域は記録再生をリアルタイムに行うことがあるので,記録や再生を確実に行うために,LPPのアドレスを確実に読む必要がある。そのためにデータ領域には,フィールドID0のLPPアドレスが2重に記録されているフィールドIDを記録している。ここでリードイン終了位置の内側の数ECCブロックは,データ記録を開始するに当たって,確実にアドレスを読み出す必要があるので,IDの繰り返し数が変化した場合にも,余った領域をフィールドID0にして置くことにより,より確実にアドレスを取得することができる。 【0046】DVD-RWではリーダブルエンボス領域が存在し,この領域にはLPP情報がないので,フィールドIDは存在しない。この場合にも図示しないが,望ましくはリーダブルエンボス開始位置の内周側の割り切れない数の領域にはフィールドID0を配置する。これによって,リーダブルエンボス開始位置の確認をより確実に行うことができる。また,リーダブルエンボス終了位置の外周側の数トラックはフィールドID0を配置する。これによって,同様にリーダブルエンボス終了位置の確認をより確実に行うことができる。 【0047】DVD-Rにおいては,このリーダブルエンボスが存在する場合は同様であり,存在しない場合,つまり,この領域がプリレコードされている場合は,LPP情報が存在するので他のリードイン領域と同じフィールドIDを連続して記録してある。」 ウ 「【0063】また,本実施例では1つの倍速の追加により2つのフィールドIDを追加しているが,追加するフィールドIDがそのバイト数などによって,1つでも3つ以上でも,また記録する項目もこの項目以外に,倍速に関係するサーボ系のゲインに関する情報や変調度やジッタなどの関連情報を入れても構わない。また,本実施例では1倍速の情報からn倍速の記録に関する情報までをフィールドIDの情報として記録しているが,異なる実施例として,1倍速の記録に関する情報をフィールドIDの情報として記録し,2倍速以上の高倍速の記録に関する情報については通常の情報が記録可能な情報管理領域にあらかじめ記録しておいてもよく,例えば図11のリーダブルエンボス領域にピット情報として記録してもよい。また,DVD-Rなどの1回のみ記録する媒体においては,これをプリライトにより記録してもよい。 【0064】また,本実施例は書換可能な相変化記録のDVD-RWを例に説明したが,DVD+RWでも,次世代のDVRブルーのフォーマットにも適用可能であるし,1回記録の可能な有機色素系のDVD-R,DVD+Rや次世代のブルー系のフォーマットにも消去パワーを削除すれば適用可能であるし,図1のような記録ストラテジー波形に限定されるものではなく,記録ストラテジーとは記録を行うときの記録波形の振幅及び時間方向の制御の全てを含んでいる。また,磁気記録系のMD,DWDD,ASMO,MAMMOSなどの次世代フォーマットにも適用できることは言うまでもない。」 以上の記載及び図面の記載から,文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されている。 「記録膜を備え,記録時の線速度の変化に応じて,記録レーザ波形を最適形状に補正する必要がある光ディスクにおいて, 前記光ディスクは,情報記録領域と,情報管理領域を有し,前記情報記録領域又は情報管理領域の記録再生の単位がブロックであり, 前記情報管理領域には,情報記録領域に情報を記録するための記録パワー及び記録ストラテジーに対応した記録管理情報が記録形成されており, 前記記録管理情報は,ライトストラテジーコード1及びライトストラテジーコード2を含み, 前記ライトストラテジーコード1には,図1のストラテジーの推奨する時間情報が記載されており, 前記ライトストラテジーコード2には,前記図1のストラテジーとは異なる波形の場合のストラテジーの推奨する時間情報が記載されており, 記録ストラテジーとは記録を行うときの記録波形の振幅及び時間方向の制御の全てを含むものであり, 前記情報管理領域において,前記記録管理情報は,(1倍速に関する記録管理情報,2倍速に関する記録管理情報,4倍速に関する記録管理情報,8倍速に関する記録管理情報,12倍速に関する記録管理情報,16倍速に関する記録管理情報,…)=α,α,α,…,αというように,倍速数の数に対応した記録管理情報を単位として繰り返し記録形成されている 光ディスク。」 (2) 文献2 この出願の優先日前に頒布された刊行物であり,原査定の拒絶の理由で引用された特開平9-134525号公報(以下,「文献2」という。)には,図面と共に以下の事項が記載されている。なお,下線は当審で付したものである。 ア 「【0003】相変化型メディアに情報を記録するための一般的な記録波形としては,図7に示すようにEFM(Eight Fourteen Modulation)変調コードなどに基づいて生成した単パルスの半導体レーザ発光波形があるが,この記録波形では相変化型メディアは,蓄積した熱により記録マークが涙状に歪みを生じたり,冷却速度が不足してアモルファス相の形成が不十分となり,レーザ光に対して低反射率の記録マークが得られないなどの問題がある。 【0004】そこで,相変化型メディアに情報を記録する従来の情報記録方式は,図8に示すようにEFM変調コードなどに基づいて生成した多段の記録パワーを用いたマルチパルス波形のレーザ光により相変化型メディアにマークを形成することで上記問題を防止している。このマルチパルス波形のマーク部は,相変化型メディアの記録膜を融点温度以上に十分に予備加熱するための先頭加熱パルスAと,後続する複数個の連続した加熱パルスBと,これらの間の連続した冷却パルスCからなっており,先頭加熱パルスAの発光パワーをPWA,加熱パルスBの発光パワーをPWB,冷却パルスCの発光パワーをPWC,リードパワーをPRとすればPWB≧PWA>PWC≒PRに設定されている。 【0005】マルチパルス波形のイレース部はイレースパルスDからなり,その発光パワーPEDはPWA<PED<PWCに設定されている。このように記録波形をマルチパルス波形とすることで,相変化型メディアは加熱→冷却の急冷条件によりアモルファス相がマーク部として形成され,加熱のみの除冷条件により結晶相がスペース部として形成され,アモルファス相と結晶相とで十分な反射率差が得られる。 【0006】また,情報記録方式としてはマークポジション(PPM)記録方式とマークエッジ(PWM:Pulse Width Modulation)記録方式があるが,最近では高密度化に対応できるマークエッジ記録方式が用いられるようになっている。相変化型メディアにマークエッジ記録方式で情報を記録する場合,記録チャンネルクロックに基づいた周期Tに対して0.5Tのパルス幅を有する加熱パルス及び冷却パルスを用いていた。 【0007】すなわち,記録データのマーク長が1T増加する毎に1組の加熱パルスと冷却パルスを加算したマルチパルスの光を用いていた。図9はその代表的な記録波形を示す。この記録波形は,異なるマーク長の記録データを常に一定の加熱冷却条件で記録できるので,記録データのマーク長に依存したエッジシフトが低減されている。また,この記録波形で高速記録を行う場合,記録波形はそのままで,記録チャンネルクロックを2倍,4倍というように記録線速度と同倍率で高周波化している。 【0008】特開昭62ー11412号公報には,記録信号の立ち上がりあるいは立ち下がりを所定時間だけ遅延させて再生時の検出信号のデューティ比の変化を打ち消すようにした光学的情報記録装置が記載されている。また,特開平5ー32811号公報には,相変化型光ディスクにデータの記録を行うとき,レーザ光のパワーレベルを相変化型光ディスクの記録膜の結晶化パワーから記録膜の溶融する記録パワーに高めた後に結晶化パワーより低いパワーレベルに瞬時に低減させる情報の光学的記録方法が記載されている。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】相変化型メディアにマークエッジ記録方式で情報を記録する場合,相変化型メディアは記録マーク形成部分で十分な加熱と急冷を行ってマークの前後のエッジ部を鮮明に形成することが重要である。しかしながら,高速記録を行う場合,記録波形はそのままで,記録チャンネルクロックを2倍,4倍というように記録線速度と同倍率で高周波化しているので,加熱パルス及び冷却パルスの幅が非常に小さくなり,記録膜の層変化に必要な到達温度と冷却速度を得ることが困難となっていた。このため,マークの形成が不十分となり,正確なマーク長のマークが得られなかった。 【0010】また,高速記録を行う場合,半導体レーザ駆動回路の立ち上がり時間,立ち下がり時間が記録チャンネルクロックに対して大きくなると,例えば9Tのマークを記録するときに図10(a)に示すように記録波形になまりが生ずるので,相変化型メディアは十分な加熱及び冷却が行えなくなり,記録マークが短くなるという問題が生じている。このときに得られる再生信号としてのRF信号(アイパターン)は,図10(b)に示すように記録データ長が長くなるにしたがってマーク長が極端に短くなっている。したがって,高速記録時には,半導体レーザ駆動回路の高速応答化が必要となり,回路が大規模となったり高コスト化を招いたりしていた。 【0011】本発明は,十分な加熱時間及び冷却時間を確保できて光源駆動部を高速化することなく所定の記録マーク長を得ることができ,高速記録を行うことが可能となる情報記録方式を提供することを目的とする。」 イ 「【0018】 【発明の実施の形態】図1は請求項1?3記載の発明を応用した情報記録再生装置の一例の一部を示し,図2はそのタイミングチャートを示す。この情報記録再生装置は,CD-ROMフォーマットのコードデータを相変化型光ディスクの相変化型メディアに記録(オーバーライト)する情報記録再生装置の例であり,EFM変調コードを用いてマークエッジ(PWM)記録を行う。 【0019】この情報記録再生装置は,記録時には,図示しないデジタル回路からなる光強度制御手段にてEFMデータに基づいてパルス制御信号を生成し,半導体レーザ駆動回路でそのパルス制御信号に応じた駆動電流により光ヘッドの半導体レーザLDからなる光源を駆動して図2に示すようなマルチパルスの光を発光させ,相変化型光ディスクをスピンドルモータで回転させて光ヘッドにて半導体レーザLDからのマルチパルスの光を光学系を介して相変化型光ディスクの相変化型メディアに照射することで相変化型メディアに記録マークを形成して情報の記録を行う。 【0020】また,この情報記録再生装置は,再生時には,半導体レーザ駆動回路で半導体レーザLDを駆動して再生パワー(リードパワー)で発光させ,光ヘッドにて半導体レーザLDからの再生パワーの光を光学系を介して相変化型メディアに照射し,その反射光を光学系を介して受光手段で光電変換して再生信号を得る。半導体レーザLDから記録時に出射されるマルチパルスの光は,先頭加熱パルスAと,後続する複数個の連続した後部加熱パルスBと,これらの間の連続した後部冷却パルスCからなるマルチパルスの光である。ただし,先頭加熱パルスAの発光パワーと後部加熱パルスBの発光パワーは同一としている。 【0021】上記光ヘッドの半導体レーザLDは,半導体レーザ駆動回路にて,図1に示すように定電流源11から先頭加熱パルスAの発光パワー,後部加熱パルスBの発光パワーに相当する定電流が供給され,定電流源12から冷却パルスCの発光パワーに相当する定電流が供給され,定電流源13からイレースパルスDの発光パワーに相当する定電流が供給される。 【0022】図示しない光強度制御手段は,EFMデータに基づいてA+Bパルス制御信号,Cパルス制御信号,Dパルス制御信号を生成し,スイッチング素子14?16はそれぞれ光強度制御手段からのA+Bパルス制御信号,Cパルス制御信号Dパルス制御信号により定電流源11?13をオン/オフさせることにより,半導体レーザLDを図2に示すようなマルチパルスで発光させる。 【0023】この情報記録再生装置は,高速記録で記録チャンネルクロックが高い周波数となっても正確なマーク長が得られるように図2に示す如き記録波形で記録データを相変化型メディアに記録するものである。半導体レーザLDから出射されるマルチパルスの光は,図2に示すように最短マーク長である3T(Tは記録チャンネルクロックの周期)のマークを記録する場合には先頭加熱パルスAのパルス幅を1.5T,最後尾冷却パルスCrのパルス幅を1Tとしており,記録チャンネルクロックの周期Tに対する他の奇数長(5T,7T,9T,11T)の長さを有するマークを記録する場合にはそれぞれ先頭加熱パルスAと最後尾冷却パルスCrとの間に1Tのパルス幅を有する冷却パルスCと1Tのパルス幅を有する加熱パルスBが互いに異なる所定の組だけ連続するように設定している。このため,記録波形の累積長はn-0.5Tとなる。 【0024】また,記録チャンネルクロックの周期Tに対する他の偶数長(4T,6T,8T,10T)の長さを有するマークを記録する場合においては,奇数長の長さを有するマークを記録する場合とは異なった規則で記録波形を設定している。4T,8Tの長さを有するマークを記録する場合には,先頭加熱パルスAを除いた後続部分の中心に位置する加熱パルスBのパルス幅を0.5Tとし,この加熱パルスBの前後の冷却パルスCのパルス幅を0.75Tとし,その他の加熱パルスB及び冷却パルスCのパルス幅を1Tとしている。 【0025】6T,10Tの長さを有するマークを記録する場合には,先頭加熱パルスAを除いた後続部分の中心に位置する冷却パルスCのパルス幅を0.5Tとし,この冷却パルスCの前後の加熱パルスBのパルス幅を0.75Tとし,その他の加熱パルスB及び冷却パルスCのパルス幅を1Tとしている。このように,記録波形を設定することで,図3(a)に示すように半導体レーザLDの発光波形はマーク前後のエッジ部に相当する加熱パルス及び冷却パルスの幅が十分に大きくなり,再生信号のジッタを抑えることができる。 【0026】また,加熱パルス及び冷却パルスの累積長は,記録チャンネルクロック周期Tに対して奇数長の長さを有するマークと偶数長の長さを有するマークとで同一のn(n:整数)-0.5Tとなり,奇数長の長さを有するマークと偶数長の長さを有するマークとでエッジシフトが生ずることがなく全てのマーク長が1Tの整数倍になっている。また,偶数長の長さを有するマークにおけるマーク中央値は,0.5Tのパルス幅となり,マーク形成が十分ではないが,PWM記録ではマークが細っていても再生信号に影響がない。 【0027】デジタル回路からなる光強度制御手段はEFMデータに基づいてパルス制御信号を生成して半導体レーザ駆動回路にそのパルス制御信号に応じた駆動電流で半導体レーザLDを駆動させることで上述のようなマルチパルスの光を発光させるので,光強度制御手段が簡便な回路構成となり,容易に低コストな回路で半導体レーザ駆動回路を構成することができる。また,デジタル回路からなる光強度制御手段は図2に示すように記録チャンネルクロックとその2倍の周波数のクロックとに同期してEFMデータに基づいてパルス制御信号を生成する同期回路を用いることができ,非常に正確なパルス幅を得ることができる。 【0028】この情報記録再生装置で相変化型メディアに記録されたマークはEFMデータ長と等しい正確なマークに形成することが可能となり,図3(b)に示すように再生信号であるRF信号(アイパターン)は低速記録を行ったときと同様に良好である。 【0029】なお,先頭加熱パルスAのパルス幅や最後尾冷却パルスCrのパルス幅などの設定値は代表的な値を示しており,実際には記録材料やメディア相構成などによって最適化された値を適応すればよい。また,記録変調方式の違いや記録密度とメディア上のレーザ光による光スポットの径に応じて記録波形の累積長と形成マークの長さが異なるので,記録チャンネルクロック周期に対して偶数長の長さを有する記録データと奇数長の長さを有する記録データで記録波形の設定を入れ換えてもよい。」 3 本件補正発明と引用発明の対比 (1) 引用発明の「記録膜を備え」た「光ディスク」は,本件補正発明の「少なくとも1つの記録層を備えた記録媒体」に相当する。 そして,引用発明の「記録再生の単位がブロック」である「情報管理領域」は,「情報記録領域に情報を記録するための記録パワー及び記録ストラテジーに対応した記録管理情報が記録形成」されているものであるから,引用発明の「情報管理領域」は,本願発明の「記録媒体と共に使用するための制御情報のデータ構造」に相当するものが記録されている領域である。 よって,引用発明と本件補正発明は,「少なくとも1つの記録層を有する記録媒体と共に使用するための制御情報のデータ構造を有する記録媒体」である点で,一致する。 (2) 引用発明の「記録パワー及び記録ストラテジー」並びに「ライトストラテジーコード」は,いずれも,本件補正発明の「書込み」「のための」「情報」に相当する。 そして,引用発明の「情報管理領域」は,「前記記録管理情報は,(1倍速に関する記録管理情報,2倍速に関する記録管理情報,4倍速に関する記録管理情報,8倍速に関する記録管理情報,12倍速に関する記録管理情報,16倍速に関する記録管理情報,…)=α,α,α,…,αというように,倍速数の数に対応した記録管理情報を単位として繰り返し記録形成されている」ものであるから,引用発明の例えば「1倍速に関する記録管理情報」が本件補正発明の「低い書込み倍速の第1情報単位」の情報に対応するとすると,引用発明の例えば「2倍速に関する記録管理情報」が本件補正発明の「高い書込み倍速の第2情報単位」の情報に対応するということになる。 さらに,引用発明の「記録管理情報」には,各「倍速」について「ライトストラテジーコード1及びライトストラテジーコード2」が含まれるものであるから,例えば「2倍速に関する記録管理情報」には,同一の「2倍速」に関して「ライトストラテジーコード1」と「ライトストラテジーコード2」の2の「ライトストラテジーコード」が存在することになり,引用発明の例えば「2倍速」の「ライトストラテジーコード1」が本件補正発明の「高い書込み倍速の第2情報単位」の情報であるとするならば,引用発明の例えば「2倍速」の「ライトストラテジーコード2」は,本件補正発明の「高い書込み倍速の代替第2情報単位」の情報ということができる。 よって,引用発明と本件補正発明は,「前記制御情報は,低い書込み倍速のための第1情報単位と高い書込み倍速のための第2情報単位と前記高い書込み倍速のための代替第2情報単位とを含む少なくとも3つの情報単位を含」むものである点で,一致する。 (3) 本件補正発明の「書込み方式タイプ」とは,「前記第1書込み方式タイプは,n-1書込み方式タイプであり,前記第2書込み方式タイプは,n/2書込み方式タイプであり,マーク長より1つ少ない書込みパルスの数が前記n-1書込み方式タイプの対応するマークを形成するために使用され,マーク長の半分に対応するパルスの数がn/2書込み方式タイプの対応するマークを形成するために使用される」というものであり,前記「n」は,発明の詳細な説明及び特許請求の範囲の他の請求項の記載から,「マーク長」をいうものと認められる。 これに対し,引用発明の「図1のストラテジー」とは,その記載から「8T」の記録をするときに7個の記録パワーを有する書込パルスを発生しており,「3T」の記録をするときに2個の記録パワーを有する書込パルスを発生していることが明らかである。 すると,引用発明の「ライトストラテジーコード1」が示す「ストラテジー」は,「8T」及び「3T」のマークを記録する場合において,本件補正発明の「n-1書込み方式タイプ」,すなわち「マーク長より1つ少ない書込みパルスの数が前記n-1書込み方式タイプの対応するマークを形成するために使用され」るものと一致するといえ,引用発明の「ライトストラテジーコード1」が示す「ストラテジー」と本件補正発明の「第1書込み方式タイプ」は,「8T」及び「3T」のマークを記録する場合において「マーク長より1つ少ない書込みパルスの数が前記n-1書込み方式タイプの対応するマークを形成するために使用され」るものである点で一致する。 そして,前記(2) と同様,引用発明の例えば「1倍速に関する記録管理情報」に含まれる「ライトストラテジーコード1」が本件補正発明の「第1情報単位」に含まれる「第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータ」に対応するものであるとすると,引用発明の例えば「2倍速に関する記録管理情報」に含まれる「ライトストラテジーコード1」が本件補正発明の「第2情報単位」に含まれる「前記第1書込み方式タイプ」「のための書込み方式パラメータ」に対応することになる。 よって,引用発明と本件補正発明は,「前記第1情報単位は,第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記第2情報単位は,前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含」むこと,及び,「前記第1書込み方式タイプは,n-1書込み方式タイプであり,」「8T」及び「3T」のマークを記録する場合において「マーク長より1つ少ない書込みパルスの数が前記n-1書込み方式タイプの対応するマークを形成するために使用され」る点で,一致する。 (4) 引用発明は「記録時の線速度の変化に応じて,記録レーザ波形を最適形状に補正する必要がある」というものであるから,「ライトストラテジーコード1」が示す「図1のストラテジーの推奨する時間情報」が「記録時の線速度の変化に応じて」異なることは明らかであり,引用発明の例えば「1倍速」の「ライトストラテジーコード1」と,例えば「2倍速」の「ライトストラテジーコード1」は,相異なるものである。 すると,引用発明と本件補正発明は,「前記第1情報単位における前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータは,前記第2情報単位が前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含む場合,前記第2情報単位における前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータと異な」る点で,一致する。 4 一致点及び相違点 以上より,本件補正発明と引用発明は以下の点で一致する。 「少なくとも1つの記録層を有する記録媒体と共に使用するための制御情報のデータ構造を有する記録媒体であって, 前記制御情報は,低い書込み倍速のための第1情報単位と高い書込み倍速のための第2情報単位と前記高い書込み倍速のための代替第2情報単位とを含む少なくとも3つの情報単位を含み, 前記第1情報単位は,第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み,前記第2情報単位は,前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含み, 前記第1情報単位における前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータは,前記第2情報単位が前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含む場合,前記第2情報単位における前記第1書込み方式タイプのための書込み方式パラメータと異なり, 前記第1書込み方式タイプは,n-1書込み方式タイプであり,「8T」及び「3T」のマークを記録する場合においてマーク長より1つ少ない書込みパルスの数が前記n-1書込み方式タイプの対応するマークを形成するために使用されることを特徴とする記録媒体。」 そして,本件補正発明は,「前記第1書込み方式タイプは,n-1書込み方式タイプであり,前記第2書込み方式タイプは,n/2書込み方式タイプであり,マーク長より1つ少ない書込みパルスの数が前記n-1書込み方式タイプの対応するマークを形成するために使用され,マーク長の半分に対応するパルスの数がn/2書込み方式タイプの対応するマークを形成するために使用される」というものであり,「前記第2情報単位は,前記第1書込み方式タイプ」である場合には「前記高い書込み倍速のための代替第2情報単位は,前記第2情報単位に使用される書込み方式タイプと異なる代替書込み方式タイプのための書込み方式パラメータを含」むのに対し,引用発明は「ライトストラテジーコード1」によるライトストラテジーの一部が本件補正発明の「n-1書込み方式タイプ」であることが明らかであるものの,「ライトストラテジーコード1」によるライトストラテジーの残余が本件補正発明の「n-1書込み方式タイプ」であるか否かは不明であり,また,例えば「2倍速」の「ライトストラテジーコード2」のストラテジーが本件補正発明の「n/2書込み方式タイプ」であるかは不明である点(以下,「相違点」という。)で相違する。 5 相違点についての判断 文献2には,従来の技術として「記録データのマーク長が1T増加する毎に1組の加熱パルスと冷却パルスを加算したマルチパルスの光を用いていた。図9はその代表的な記録波形を示す。」(摘記箇所3(2) ア・段落0007及び図9参照。)と記載され,図9には,記録マーク長3Tのときに2個の加熱パルス,4Tのときに3個の加熱パルス,…,10Tのときに9個の加熱パルス,11Tのときに10個の加熱パルスの記録波形が示されており,本件補正発明の「第1書込み方式タイプ」,すなわち,「マーク長より1つ少ない書込みパルスの数が前記n-1書込み方式タイプの対応するマークを形成するために使用され」るものに相当するものが記載されている。 そして,「しかしながら,高速記録を行う場合,記録波形はそのままで,記録チャンネルクロックを2倍,4倍というように記録線速度と同倍率で高周波化しているので,加熱パルス及び冷却パルスの幅が非常に小さくなり,記録膜の層変化に必要な到達温度と冷却速度を得ることが困難となっていた。このため,マークの形成が不十分となり,正確なマーク長のマークが得られなかった。 また,高速記録を行う場合,半導体レーザ駆動回路の立ち上がり時間,立ち下がり時間が記録チャンネルクロックに対して大きくなると,例えば9Tのマークを記録するときに図10(a)に示すように記録波形になまりが生ずるので,相変化型メディアは十分な加熱及び冷却が行えなくなり,記録マークが短くなるという問題が生じている。」(摘記箇所3(2) ア・段落0009及び段落0010及び図10参照。)と,本件補正発明の「第1書込み方式タイプ」に相当するものが高速記録には適当でない旨を示している。 その上で,「半導体レーザLDから出射されるマルチパルスの光は,図2に示すように最短マーク長である3T(Tは記録チャンネルクロックの周期)のマークを記録する場合には先頭加熱パルスAのパルス幅を1.5T,最後尾冷却パルスCrのパルス幅を1Tとしており,記録チャンネルクロックの周期Tに対する他の奇数長(5T,7T,9T,11T)の長さを有するマークを記録する場合にはそれぞれ先頭加熱パルスAと最後尾冷却パルスCrとの間に1Tのパルス幅を有する冷却パルスCと1Tのパルス幅を有する加熱パルスBが互いに異なる所定の組だけ連続するように設定している。このため,記録波形の累積長はn-0.5Tとなる。 また,記録チャンネルクロックの周期Tに対する他の偶数長(4T,6T,8T,10T)の長さを有するマークを記録する場合においては,奇数長の長さを有するマークを記録する場合とは異なった規則で記録波形を設定している。4T,8Tの長さを有するマークを記録する場合には,先頭加熱パルスAを除いた後続部分の中心に位置する加熱パルスBのパルス幅を0.5Tとし,この加熱パルスBの前後の冷却パルスCのパルス幅を0.75Tとし,その他の加熱パルスB及び冷却パルスCのパルス幅を1Tとしている。 6T,10Tの長さを有するマークを記録する場合には,先頭加熱パルスAを除いた後続部分の中心に位置する冷却パルスCのパルス幅を0.5Tとし,この冷却パルスCの前後の加熱パルスBのパルス幅を0.75Tとし,その他の加熱パルスB及び冷却パルスCのパルス幅を1Tとしている。」(摘記箇所3(2) イ・段落0023から0025及び図2参照。)と,従来の技術とは異なる記録の方式を示しているところ,図2によれば,記録マーク長3Tのときに1個の加熱パルス,4Tのときに2個の加熱パルス,5Tのときに2個の加熱パルス,6Tのときに3個の加熱パルス,…,10Tのときに5個の加熱パルス,11Tのときに5個の加熱パルスという記録波形が示されており,本件補正発明の「n/2書込み方式タイプ」すなわち「マーク長の半分に対応するパルスの数がn/2書込み方式タイプの対応するマークを形成するために使用される」に相当するものが記載されている。 そして,かかる文献2の記載も参照すると,引用発明の図1の記録パルスは実質的に「3T」及び「8T」以外のマーク長においても本願の「n-1書込み方式タイプ」であると推測することができる程度に,当業者であれば適宜採用し得る書込み方式タイプにすぎないことが明らかな程度のものである。 また,引用発明は,「記録ストラテジーとは記録を行うときの記録波形の振幅及び時間方向の制御の全てを含むもの」というものであり,「ライトストラテジーコード1」及び「ライトストラテジーコード2」に含め得る情報について,引用発明に例示されている本件補正発明の「n-1書込み方式タイプ」に相当するものに限定されないことが示唆されている(摘記3(1) ウの段落0064参照。)。 すると,引用発明の例えば「1倍速」の「ライトストラテジーコード」について,引用発明に開示され,文献2において低速記録に用いられることが示されている本件補正発明の「n-1書込み方式タイプ」に相当するものとする一方,引用発明の例えば「2倍速」又はそれ以上の倍速の「ライトストラテジーコード1」及び「ライトストラテジーコード2」について,一方を引用発明に開示されている本件補正発明の「n-1書込み方式タイプ」に相当するものとすると共に,他方を文献2に高速記録に用いられることが示されている本件補正発明の「n/2書込み方式タイプ」に相当するものとする程度のことは,当業者であれば適宜なし得る程度のことにすぎない。 そして,引用発明に文献2に記載された発明を適用し,本件補正発明のようにすることによって生じる効果も,格別顕著なものであるとは認められない。 6 小括 以上のように,本件補正発明は,引用発明及び文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,出願の際独立して特許を受けることができないものである。 7 補正の却下の決定のむすび 以上検討したように,本件補正発明は,引用発明及び文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって,本件補正は,平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する特許法第126条第5項に規定する要件を満たしていないものであるから,特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により,却下すべきものである。 よって,結論のとおり決定する。 第3 本願発明 以上のように本件補正は決定をもって却下されたから,この出願の特許請求の範囲に記載された請求項1の発明(以下,「本願発明」という。)は,前記「第2《補正の却下の決定の結論》1」に,本件補正前の請求項1の発明として示したとおりのものである。 第4 刊行物の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された刊行物の記載事項は,前記「第2《補正の却下の決定の結論》3」に示したとおりである。 第5 対比及び判断 本願発明は,本件補正発明の発明特定事項である「前記第1書込み方式タイプは,n-1書込み方式タイプであり,前記第2書込み方式タイプは,n/2書込み方式タイプであり,マーク長より1つ少ない書込みパルスの数が前記n-1書込み方式タイプの対応するマークを形成するために使用され,マーク長の半分に対応するパルスの数がn/2書込み方式タイプの対応するマークを形成するために使用される」を,「前記第1および第2書込み方式タイプの各々は,前記記録媒体にマークを形成する書込みパルスの数を表す」としたものであり,本件補正発明でなされていた「第1書込み方式タイプ」及び「第2書込み方式タイプ」の発明特定事項の一部を省いたものである。 すると,本件補正発明が,引用発明及び文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本件補正発明の発明特定事項の一部を省いたものである本願発明も,引用発明及び文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって,本願発明は,引用発明及び文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 第6 むすび 以上のように,本願発明は,引用発明及び文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって,この出願については,他の請求項について論及するまでもなく,拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-05-30 |
結審通知日 | 2012-06-05 |
審決日 | 2012-06-18 |
出願番号 | 特願2006-180280(P2006-180280) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G11B)
P 1 8・ 575- Z (G11B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山澤 宏 |
特許庁審判長 |
山田 洋一 |
特許庁審判官 |
齊藤 健一 関谷 隆一 |
発明の名称 | 記録媒体、記録媒体の制御情報構成方法、これを用いた記録及び再生方法、並びにその装置 |
代理人 | 特許業務法人 谷・阿部特許事務所 |
復代理人 | 濱中 淳宏 |
復代理人 | 藤原 弘和 |