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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C11D
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C11D
管理番号 1265799
審判番号 不服2009-25261  
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-12-21 
確定日 2012-11-05 
事件の表示 特願2000-589660「顆粒状洗剤組成物の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 6月29日国際公開、WO00/37604、平成14年10月 8日国内公表、特表2002-533531〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成10年12月22日の国際出願であって、以降の手続の経緯は以下のとおりである。

平成17年11月22日 出願審査請求
平成20年 9月26日付け 拒絶理由通知
平成21年 3月26日 意見書・手続補正書
平成21年 8月17日付け 拒絶査定
平成21年12月21日 審判請求

第2 本願発明
本件出願に係る発明は、平成21年3月26日付け手続補正によって補正された特許請求の範囲に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち、請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。

「(a)洗剤用界面活性剤とビルダーを含んでなる洗浄材料を造粒する工程と、及び、(b)無機水溶液を顆粒上に塗布して、顆粒を実質的に被覆する工程とを含んでなる、顆粒状洗剤組成物の製造方法。」

第3 拒絶査定の理由
平成21年8月17日付け拒絶査定は、「この出願については、平成20年9月26日付け拒絶理由通知書に記載した理由1、2によって、拒絶をすべきものです。」というものであり、平成20年9月26日付け拒絶理由通知によれば、理由1、2は以下のとおりのものである(なお、本願発明は、平成20年9月26日付け拒絶理由通知時の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と実質的に同じ発明である。)。

「理 由
1.この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
<理由1、2について>
・請求項1?5、7?10
・引用文献等1、2

引 用 文 献 等 一 覧

2.特開昭63-099297号公報
3.特開平09-100500号公報
…」

第4 当審の判断
本願発明に対する平成21年8月17日付け拒絶査定の理由1、2の適否について検討する。

1.引用刊行物に記載された事項
本願の出願前日本国内において頒布されたことの明らかな特開昭63-099297号公報、特開平09-100500号公報(以下、特開昭63-099297号公報を「引用刊行物1」、特開平09-100500号公報を「引用刊行物2」という。)には、以下の事項が記載されている。

[引用刊行物1]
a:「(1)噴霧乾燥した洗剤組成物を製造する方法であって、
i)結晶質あるいは非晶質のアルカリ金属アルミノケイ酸塩と、1種以上のアニオン性あるいは非イオン性洗浄活性化合物とを含むスラリーを噴霧乾燥塔内へ噴霧するステップ、及び
ii)上記噴霧と同時にアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液を別個に前記塔内へ噴霧するステップを含み、前記アルカリ金属ケイ酸塩溶液の小滴を前記スラリーの小滴及び/または該スラリー小滴から形成される粉末状顆粒と衝突させて複合顆粒を形成することを特徴とする製造方法。」(第1頁「2.特許請求の範囲」)

b:「噴霧したケイ酸ナトリウム溶液の温度が周囲温度…以下であれば有利であり、それによってケイ酸塩の乾燥する速度が低下する。…これらの方策はいずれも、複合顆粒の形成を実現する衝突の可能性を増大する。」(第4頁左上欄第1?7行)

c:「複合顆粒は、スラリーに由来するベース粉末のコアと、通常部分的あるいは全体的コーティングか、あるいは分離した複数個の比較的小さい粒子の形態である、ケイ酸ナトリウムの外層とによって構成される。…ケイ酸塩溶液がゆっくり乾燥し、液体であるうちにベース粉末粒子と接触する条件の下で、多量の被覆粒子が得られる。」(第4頁左上欄第12行?右上欄第8行)

d:「本発明の方法でベース粉末の形成に用いるスラリーは…アルカリ金属のアルミノケイ酸塩であるビルダーが含まれ…」(第4頁左下欄第6?9行)

e:「次の組成(単位は重量部)の洗剤スラリーを調製した。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(Na塩) 9.0
非イオン性界面活性剤 1.0
ポリカルボン酸塩ポリマー 4.0
ゼオライト(Na) 24.0
硫酸ナトリウム 25.0
微量成分 1.0
水 45.0
噴霧乾燥によって、3種の粉末を調製した。…本発明の第一粉末1を、ケイ酸ナトリウム2.5部(最終粉末に基づく)のレベルまでケイ酸ナトリウム水溶液(含水量60%)を噴霧することによって調製した。同様にして、ケイ酸ナトリウムを4.0重量部含有する本発明の第二粉末2調製した。… ケイ酸塩含量が大きいほど流動特性が向上することが指摘される。」(第7頁左上欄第11行?左下欄第2行)

[引用刊行物2]
f:「【従来の技術】…このような高密度洗剤は、一般的には界面活性剤や洗剤ビルダーを含有する水性スラリーから噴霧乾燥粒子を得てこれを高密度化することにより得られる。この高密度化方法には各種の方法が知られており、例えば特開昭51-67302号にはマルメライザー(商品名)と呼ばれる特定の顆粒化装置により噴霧乾燥粒子を高密度化する方法が記載されている。また、近年では、噴霧乾燥粒子をハイスピードミキサー(攪拌転動造粒機)、ヘンシェルミキサー(高速攪拌造粒機)等のようないわゆる縦型ミキサーや、レディゲミキサー等のようないわゆる横型ミキサーにより攪拌造粒して高密度化を達成する方法が知られており、それらの例としては、特開昭61-69897号に開示されているように噴霧乾燥粒子を攪拌造粒して高嵩密度粒状洗剤とする方法や、特開昭62-169900号や特開昭62-366897号に開示されているように噴霧乾燥粒子を圧密成形化した後に粉砕造粒して高嵩密度粒状洗剤とする方法が挙げられる。」(段落【0002】?【0003】)

2.引用刊行物1に記載された発明
上記の摘記事項aからみて、引用刊行物1には、
「噴霧乾燥した洗剤組成物を製造する方法であって、
i)結晶質あるいは非晶質のアルカリ金属アルミノケイ酸塩と、1種以上のアニオン性あるいは非イオン性洗浄活性化合物とを含むスラリーを噴霧乾燥塔内へ噴霧するステップ、及び
ii)上記噴霧と同時にアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液を別個に前記塔内へ噴霧するステップを含み、前記アルカリ金属ケイ酸塩溶液の水滴を前記スラリーの小滴から形成される粉末状顆粒と衝突させて複合顆粒を形成することを特徴とする製造方法。」
の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

3.本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「噴霧乾燥した洗剤組成物を製造する方法であって…複合顆粒を形成することを特徴とする製造方法」は、本願発明の「顆粒状洗剤組成物の製造方法」に相当する。
引用発明の「結晶質あるいは非晶質のアルカリ金属アルミノケイ酸塩」は「ビルダー」(摘記事項d)にあたり、「1種以上のアニオン性あるいは非イオン性洗浄活性化合物」は界面活性剤(摘記事項e)であって、その用途が洗剤であることは明らかであるから、「洗剤用界面活性剤」にあたる。また、洗剤用界面活性剤を含む「スラリー」は洗浄の機能を有するものといえるから「洗浄材料」にあたる。よって、引用発明の「結晶質あるいは非晶質のアルカリ金属アルミノケイ酸塩と、1種以上のアニオン性あるいは非イオン性洗浄活性化合物とを含むスラリー」は、本願発明の「(a)洗剤用界面活性剤とビルダーを含んでなる洗浄材料」に相当する。
引用発明の「噴霧乾燥塔内へ噴霧する」と本願発明の「造粒する」はいずれも上記のスラリー乃至洗浄材料を「処理する」ことにあたる。
引用発明の「アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液」は「無機水溶液」にあたり、「前記塔内へ噴霧するステップ…(複合顆粒を形成する)…」は、本願発明における塗布が噴霧による場合を含むと認められること(本願明細書段落【0063】の「好ましくは…造粒工程で製造された顆粒の表面上にスプレー塗布する。」等参照。)からみて、本願発明の「(b)顆粒上に塗布…する工程」に相当する。

以上によれば、本願発明と引用発明は、
「(a)洗剤用界面活性剤とビルダーを含んでなる洗浄材料を処理する工程と、及び、(b)無機水溶液を顆粒上に塗布する工程とを含んでなる、顆粒状洗剤組成物の製造方法。」の点で一致し、次の点で相違する。
相違点1:洗浄材料の処理として、本願発明は「造粒する」ことを行うのに対して、引用発明は「噴霧乾燥塔内へ噴霧する」ことを行う点

相違点2:無機水溶液を顆粒上に塗布することによって、本願発明は「顆粒を実質的に被覆する」のに対して、引用発明は「無機水溶液(アルカリ金属ケイ酸塩溶液)の水滴を粉末状顆粒と衝突させて複合顆粒を形成する」点

相違点3:引用発明は無機水溶液を顆粒上に塗布する工程を洗浄材料を造粒する工程と、「同時に」、「別個に」行うのに対して、本願発明は、「同時に」、「別個に」行うことを発明特定事項とするものでない点

4.相違点の検討
(1)相違点1について
本願明細書の発明の詳細な説明により、本願発明における「造粒」は原料スラリーを「噴霧乾燥」して顆粒を形成する場合を含むものと認められること(本願明細書段落【0015】?【0016】の「本発明の顆粒状洗剤組成物製造の第一工程は、洗剤用界面活性剤およびビルダーを含んでなる洗浄材料の造粒である。顆粒の製造に通常使用される公知のすべての製法、各種の手段および装置を使用できる。…水性スラリー混合物を噴霧乾燥し、噴霧乾燥した顆粒を形成するのが好ましい。」等参照。)、および、原料液体を「噴霧乾燥」して顆粒を形成する操作が「造粒」にあたることは周知の技術的事項と認められること(例えば、塩川二朗監修「カーク・オスマー化学大辞典」丸善(昭和63年9月20日発行)第767?769頁には、「造粒 … 噴射造粒法 この方法では,空気中に液体ないし準液体を噴射して液滴状に分散させ,熱・物質移動によって,直接粒状固体を製造する.液体噴霧乾燥法では,生成最大粒子径は約1mmであり,医薬品,セラミックスなどで用いられている.液体噴霧冷却法は,一般には噴霧造粒法として知られるが,乾燥法と同様であり,融液からの冷却・固化による造粒に用いられる.…」と記載され、原料液体の「噴霧乾燥」によって顆粒を形成する方法が噴射造粒法という「造粒」方法であることが記載されていると認められる。)からみて、引用発明の「噴霧乾燥塔内へ噴霧するステップ」は、本願発明の「(a)…造粒する工程」に相当すると認められる。
よって、相違点1は実質的な相違点とは認められない。

(2)相違点2について
引用発明は、原料スラリーから形成される粉末状顆粒とアルカリ金属ケイ酸塩溶液の水滴を衝突させることによって複合顆粒を形成するものである(摘記事項b)が、引用刊行物1の「複合顆粒は…ベース粉末のコアと…ケイ酸ナトリウムの外層とによって構成される。…ケイ酸塩溶液が…液体であるうちにベース粉末粒子と接触する条件の下で、多量の被覆粒子が得られる。」(摘記事項c)との記載等からみて、引用発明における複合顆粒とは被覆粒子を含むものと認められるから、引用発明の「無機水溶液(アルカリ金属ケイ酸塩溶液)の水滴を粉末状顆粒と衝突させて複合顆粒を形成する」点は、「顆粒を実質的に被覆する」ことに相当すると認められる。
よって、相違点2は実質的な相違点とはいえない。

(3)相違点3について
本願発明は、洗浄材料を造粒する操作である工程(a)と、無機水溶液を塗布して顆粒を被覆する操作である工程(b)とを含むことを発明特定事項とするものであるが、それらの工程を行う時点については何ら限定しないものであるから、工程(a)と工程(b)を同時に行う場合を包含するものであるし、本願発明において、洗浄材料を造粒する操作と無機水溶液を顆粒上に塗布する操作が、別個の操作によって行われることは明らかである。
よって、相違点3は相違点とはいえない。

また、本願発明が、工程(a)の後、同時でないように、工程(b)を行う発明であるとして検討する。
引用刊行物1の「ケイ酸塩溶液が…液体であるうちにベース粉末粒子と接触する条件の下で、多量の被覆粒子が得られる。」(摘記事項c)との記載等からみて、引用発明は、被覆が形成される時点でベース粉末粒子(顆粒)が存在する場合、すなわち、顆粒形成の時点よりも後で被覆の形成がされる場合を含むことは、当業者の認識し得たことと認められる。
そして、顆粒状洗剤の製造方法において、洗剤粒子を形成した後で必要に応じて被覆処理を行うことは、周知の技術と推認される(例えば、本願明細書に記載された米国特許第5565422号明細書(公開日:1996年10月15日)には「改良された溶解性を有する自由流動性の微粒状洗剤組成物を調製するための、以下のステップを含む方法 A.噴霧乾燥した粒子を形成するために、陰イオン界面活性剤と洗剤ビルダーを含む水性スラリーを100?約120℃の範囲の温度で噴霧乾燥すること、B.上記粒子が上記の温度範囲にある間に、重量換算で約1?2%の実質的に液状の形態の非イオン界面活性剤を前記噴霧乾燥した粒子上に噴霧すること…」(特許請求の範囲請求項1(注:当審による仮訳))と、形成された洗剤粒子に対して界面活性剤によるものではあるが被覆処理を行うことが記載されている。また、特開昭50-51508号公報にも、「噴霧乾燥法によって得られた粒状洗剤…に、珪酸ソーダ…と硫酸アルミニウム…とを水溶液としてかつ別個に添加して洗剤粒子表面にアルミノシリケートを主体とした被膜を形成せしめ…粒状洗剤の改質方法。」(特許請求の範囲)と洗剤粒子に被覆処理を行うことが記載されている。)ことを考慮すると、引用発明において、洗剤顆粒を形成する工程後に、無機水溶液を顆粒上に塗布する工程を行うことは、当業者が容易に想到し得たことと認められる。
そして、本願明細書の発明の詳細な説明の記載をみても、工程(a)の後、同時でないように、工程(b)を行うことによって、当業者の予測を超える効果が奏されるものとも認められない(なお、本願明細書段落【0017】には、「塔から出る噴霧乾燥顆粒は…さらに緻密化することができる。…」と、被覆工程前の顆粒に対して緻密化等の処理を行い得ることが記載されているが、洗剤粒子の緻密化処理は周知の技術(例えば、引用刊行物2の摘記f参照。)であり、工程(a)と工程(b)の間に、そのような周知技術を適用することができたとしても、それによって、当業者の予測を超える効果が奏されるものとは認められない。)。

してみれば、上記の相違点1、2に係る点は実質的な相違点ではなく、相違点3に係る点は相違点でないか、少なくとも当業者が容易に想到し得たことであって格別の相違点とはいえない。

6.まとめ
よって、本願発明は、引用発明と同一の発明であるか、少なくとも、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明と認められる。
第5 むすび
以上のとおりであって、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、または、少なくとも、同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の点について検討するまでもなく、本件出願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-06-14 
結審通知日 2012-06-15 
審決日 2012-06-26 
出願番号 特願2000-589660(P2000-589660)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (C11D)
P 1 8・ 121- Z (C11D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中島 庸子服部 智  
特許庁審判長 新居田 知生
特許庁審判官 橋本 栄和
小出 直也
発明の名称 顆粒状洗剤組成物の製造方法  
代理人 吉武 賢次  
代理人 中村 行孝  
代理人 勝沼 宏仁  
代理人 堅田 健史  
代理人 紺野 昭男  
代理人 横田 修孝  
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