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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1265812
審判番号 不服2011-25606  
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-11-28 
確定日 2012-11-05 
事件の表示 特願2006-108935「回胴式遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成19年10月25日出願公開、特開2007-275461〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、
平成18年4月11日に特許出願されたものであって、
平成23年5月17日付けで拒絶理由が通知され、これに応答して同年7月8日付けで手続補正がされたが、
同年8月23日付けで拒絶査定がされたため、
これを不服として同年11月28日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がされたものである。
また、当審において、平成24年3月8日付けで審査官による前置報告書の内容を添付して審尋を行い、同年5月8日付けで回答書が提出されている。


2.平成23年11月28日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成23年11月28日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1) 本件補正発明
平成23年11月28日付け手続補正により、特許請求の範囲が、
「 【請求項1】
複数の種類の入賞態様を表示可能な表示手段と、
前記表示手段に第1の入賞態様が表示されると第1の遊技を実行し、前記表示手段に第2の入賞態様が表示されると第2の遊技を実行する遊技制御手段と、
前記第1の遊技が実行されていることを示す第1の情報を出力する第1の出力手段と、
前記第2の遊技が実行されていることを示す第2の情報を出力する第2の出力手段と
第3の情報を出力する第3の出力手段と
を備え、
前記第1の出力手段は、前記遊技制御手段が前記第1の遊技を実行する頻度を計測するホールコンピュータに対して前記第1の情報の出力を行い、
前記第3の出力手段は、前記遊技制御手段が前記第1の遊技及び前記第2の遊技を実行する頻度を計測する試験機に対して前記第3の情報の出力を行い、
前記第1の情報は、減少ボーナスの情報を含まず、
前記第3の情報は、減少ボーナスの情報を含むことを特徴とする回胴式遊技機。
【請求項2】
前記第3の情報は、前記第1の出力手段によって出力された前記第1の情報と、前記第2の出力手段によって出力された前記第2の情報とを論理演算し、当該論理演算された結果を示すことを特徴とする請求項1に記載の回胴式遊技機。
【請求項3】
前記第1の遊技は、所定の抽選の結果に関わらず所定の入賞態様を前記表示手段に表示可能であり、前記第2の遊技は、第3の入賞態様を前記表示手段に表示させることで次の1回のみ、所定の抽選の結果に関わらず所定の入賞態様を前記表示手段に表示可能である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回胴式遊技機。」
から
「 【請求項1】
複数の種類の入賞態様を表示可能な表示手段と、
前記表示手段に第1の入賞態様が表示されると第1の遊技を実行し、前記表示手段に第2の入賞態様が表示されると第2の遊技を実行する遊技制御手段と、
前記第1の遊技が実行されていることを示す第1の情報を出力する第1の出力手段と、
前記第2の遊技が実行されていることを示す第2の情報を出力する第2の出力手段と、
第3の情報を出力する第3の出力手段と
を備え、
前記第1の出力手段は、前記遊技制御手段が前記第1の遊技を実行する頻度を計測するホールコンピュータに対して前記第1の情報の出力を行い、
前記第3の出力手段は、前記遊技制御手段が前記第1の遊技及び前記第2の遊技を実行する頻度を計測する試験機に対して前記第3の情報の出力を行い、
前記第1の情報は、増加ボーナスの情報を含み、減少ボーナスの情報を含まず、
前記第3の情報は、増加ボーナス及び減少ボーナスの情報を含むことを特徴とする回胴式遊技機。
【請求項2】
前記第3の情報は、前記第1の出力手段によって出力された前記第1の情報と、前記第2の出力手段によって出力された前記第2の情報とを論理演算し、当該論理演算された結果を示すことを特徴とする請求項1に記載の回胴式遊技機。
【請求項3】
前記第1の遊技は、所定の抽選の結果に関わらず所定の入賞態様を前記表示手段に表示可能であり、前記第2の遊技は、第3の入賞態様を前記表示手段に表示させることで次の1回のみ、所定の抽選の結果に関わらず所定の入賞態様を前記表示手段に表示可能である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回胴式遊技機。」
に補正された。(以下、この補正を「本件補正」という。)

(2) 補正の目的
本件補正は、補正前の請求項1における「第1の情報」及び「第3の情報」について、「増加ボーナス」の情報を含むものに限定する補正であるから、
平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2?3号の特許請求の範囲の減縮及び誤記の訂正を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下検討する。


(3) 特許性についての検討
(3-1) 引用文献に記載された事項
原査定における引用文献1である特開2005-205011号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(ア)「【0012】
図1は、本発明の一実施例の遊技機1の外観を示す斜視図である。遊技機1は、いわゆる「パチスロ機」である。この遊技機1は、コイン、メダル、遊技球又はトークンなどの他、遊技者に付与された、もしくは付与される遊技価値の情報を記憶したカード等の遊技媒体を用いて遊技する遊技機であるが、以下ではメダルを用いるものとして説明する。
【0013】
遊技機1の全体を形成しているキャビネット2の正面には、略垂直面としてのパネル表示部2aが形成され、その中央には縦長矩形の表示窓4L,4C,4Rが設けられる。表示窓4L,4C,4Rには、入賞ラインとして水平方向にトップライン8b,センターライン8c及びボトムライン8d、斜め方向にクロスアップライン8a及びクロスダウンライン8eが設けられている。これらの入賞ラインは、後述の1-BETスイッチ11、2-BETスイッチ12、最大BETスイッチ13を操作すること、或いはメダル投入口22にメダルを投入することにより、それぞれ1本、3本、5本が有効化される。どの入賞ラインが有効化されたかは、後で説明するBETランプ9a,9b,9cの点灯で表示される。」

(イ)「【0015】
キャビネット2の内部には、各々の外周面に複数種類の図柄によって構成される図柄列が描かれた3個のリール3L,3C,3Rが回転自在に横一列に設けられ、変動表示手段を形成している。各リールの図柄は表示窓4L,4C,4Rを透して観察できるようになっている。各リールは、定速回転(例えば80回転/分)で回転する。」

(ウ)「【0035】
ここで、実施例の役には、BB、チャレンジタイム(以下「CT」と略記する)、RB、シングルボーナス(以下「SB」と略記する)、シングルチャレンジタイム(以下「SCT」と略記する)、リプレイ、スイカの小役、ベルの小役、上チリの小役、下チリの小役、及びJACの小役が設けられている。
【0036】
RBは、第1種特別役物である。BBは、第1種特別役物に係る役物連続作動装置である。後述のチャレンジゲームは、第2種特別役物である。SCTは、第2種特別役物の作動の条件である。CTは、第2種特別役物に係る役物連続作動装置である。SBは、普通役物である。」

(エ) 「【0038】
実施例の遊技状態には、基本的に、一般遊技状態、BB遊技状態、チャレンジタイム遊技状態(以下「CT遊技状態」と略記する)、RB遊技状態、シングルチャレンジゲーム状態(以下「SCG状態」と略記する)、BB持越状態、チャレンジタイム持越状態(以下「CT持越状態」と略記する)、RB持越状態、及びシングルボーナス遊技状態(以下「SB遊技状態」と略記する)がある。BB持越状態、CT持越状態、及びRB持越状態を、以下「持越状態」という。また、この持越状態中において持ち越された役を、以下「持越役」という。
【0039】
一般遊技状態は、基本的に、いわゆる「出玉率(遊技に賭けられた単位遊技価値に対して遊技者に付与される遊技価値)」の期待値が“1”よりも小さい遊技状態である。また、後述の持越役がない遊技状態であり、他の遊技状態と比べて遊技者にとって最も不利な遊技状態である。
【0040】
BB遊技状態は、BB一般遊技状態及びRB遊技状態により構成される遊技状態である。また、BB遊技状態は、基本的に、「第1種特別役物に係る役物連続作動装置」が作動しているゲームにより構成される遊技状態である。
【0041】
CT遊技状態は、CT一般遊技状態及びチャレンジゲーム状態(以下「CG状態」と略記する)により構成される遊技状態である。CG状態中及びSCG状態中のゲームを、以下「チャレンジゲーム」という。また、CT遊技状態は、基本的に、「第2種特別役物に係る役物連続作動装置」が作動しているゲームにより構成される遊技状態である。
【0042】
また、CT遊技状態には、第1CT遊技状態と第2CT遊技状態が含まれる。第1CT遊技状態と第2CT遊技状態とでは、内部当選役の決定に使用する確率抽選テーブル(後述の図6(2)、(3))が異なり、遊技者にとっての有利さの度合いが異なる。ただし、後述の停止用当選役の決定に用いる情報(後述の抽選値など)は、基本的に同じである。
【0043】
SCG状態及びCG状態は、基本的に、「第2種特別役物」が作動しているゲームにより構成される遊技状態である。
【0044】
RB遊技状態は、基本的に、「第1種特別役物」が作動しているゲームにより構成される遊技状態である。
【0045】
CG状態中及びSCG状態中における遊技性は、基本的に似ているが、CG状態がCT一般遊技状態中に開始(発生)されるのに対し、SCG状態は、一般遊技状態中に開始されるなどの違いがある。」

(オ)「【0053】
CT遊技状態の発生条件は、後述のCTの入賞である。CTが入賞したときの第1総最大払出枚数が“3240枚(“3600枚”の9割)以上”の場合、第2総最大払出枚数が“24300枚(“27000枚”の9割)以上”の場合、又は第3総最大払出枚数が“56700枚(“63000枚”の9割)以上”の場合のうちのいずれかの場合には、第2CT遊技状態が発生し、それ以外の場合には第1CT遊技状態が発生する。すなわち、総最大払出枚数が、第1総最大払出枚数、第2総最大払出枚数、或いは第3総最大払出枚数に近い場合に、第2CT遊技状態が発生する。」

(カ)「【0058】
SCG状態の発生条件は、一般遊技状態中における後述のSCTの入賞である。他には、CG状態中にRB又はSBに内部当選した場合である。いずれの場合にも、所定回数(例えば、1回)のゲームが終了することにより移行条件が成立し、遊技状態が一般遊技状態、RB遊技状態、SB遊技状態、持越状態(RB持越状態)へ移行する。」

(キ)「【0067】
BBの入賞は、“赤7-赤7-赤7”が有効ラインに沿って並ぶことにより実現する。
【0068】
CTの入賞は、“白7-白7-白7”が有効ラインに沿って並ぶことにより実現する。
【0069】
RBの入賞は、“赤7-赤7-白7”が有効ラインに沿って並ぶことにより実現する。
【0070】
SBの入賞は、“ベル-ベル-Replay”が有効ラインに沿って並ぶことにより実現する。
【0071】
SCTの入賞は、“Replay-Replay-ベル”が有効ラインに沿って並ぶことにより実現する。」

(ク)「【0087】
ここで、一のゲーム(BET数が“3”のゲーム)において払い出されるメダルの枚数の期待値(最大払出枚数の期待値)Kは、Σ(内部当選確率)×(払出枚数)により算出することができる。第1CT遊技状態では、Kは、“約4.1枚”である。他方、第2CT遊技状態では、Kは、“約0.5枚”である。一般遊技状態では、Kは、“約2.0枚”である。なお、上記期待値の算出において、グループ役、リプレイの最大払出枚数を、夫々“15枚”、“3枚”としている。」

(ケ)「【0139】
図11?図13に示すメインフローチャートを参照して、主制御回路71の制御動作について説明する。」

(コ)「【0164】
次に、図14を参照して、図12のステップS23で行う滑りコマ数決定処理について説明する。」

(サ)図4、7(1)の記載から、SCG状態においては純増がプラスであると認める。

(シ)図11?14には、SCG状態、CT遊技状態等における制御処理が記載されている。

以上、(ア)?(シ)を総合すると、引用文献1には、以下の発明が記載されている。
「遊技機1は、いわゆる「パチスロ機」であり、
遊技機1の全体を形成しているキャビネット2の正面には、略垂直面としてのパネル表示部2aが形成され、その中央には縦長矩形の表示窓4L,4C,4Rが設けられ、表示窓4L,4C,4Rには、入賞ラインが設けられ、キャビネット2の内部には、各々の外周面に複数種類の図柄によって構成される図柄列が描かれた3個のリール3L,3C,3Rが回転自在に横一列に設けられ、変動表示手段を形成し、各リールの図柄は表示窓4L,4C,4Rを透して観察できるようになっており、
“Replay-Replay-ベル”が有効ラインに沿って並ぶことにより、SCTの入賞が実現し、SCG状態が発生し、SCG状態においては純増がプラスであり、
“白7-白7-白7”が有効ラインに沿って並ぶことにより、CTの入賞が実現し、第2CT遊技状態が発生し、第2CT遊技状態においては一のゲーム(BET数が“3”のゲーム)において払い出されるメダルの枚数の期待値が“約0.5枚”であり、
前記SCG状態及び第2CT遊技状態の制御処理を実行する主制御回路71を備えた、遊技機1。」
(以下、この発明を「引用発明」という。)

(3-2) 対比
引用発明と本件補正発明とを対比する。
引用発明における「パチスロ機」は本件補正発明における「回胴式遊技機」に相当し、以下同様に、
「パネル表示部2a」に設けられた「表示窓4L,4C,4R」、「入賞ライン」及び「変動表示手段」からなるものは、「表示手段」に、
「“Replay-Replay-ベル”」は「第1の入賞態様」に、
「SCG状態が発生し」は「第1の遊技を実行し」に、
「“白7-白7-白7”」は「第2の入賞態様」に、
「第2CT遊技状態が発生し」は「第2の遊技を実行し」に、
「主制御回路71」は「遊技制御手段」に、
「SCG状態」は「増加ボーナス」に、
「第2CT遊技状態」は「減少ボーナス」に、相当する。

以上のことから、引用発明と本件補正発明は、
<一致点>
「複数の種類の入賞態様を表示可能な表示手段と、
前記表示手段に第1の入賞態様が表示されると第1の遊技を実行し、前記表示手段に第2の入賞態様が表示されると第2の遊技を実行する遊技制御手段と、
を備えた回胴式遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

<相違点1>
本件補正発明が、「第1の遊技が実行されていることを示す第1の情報」であって「増加ボーナスの情報を含み、減少ボーナスの情報を含ま」ないものを、「前記遊技制御手段が前記第1の遊技を実行する頻度を計測するホールコンピュータ」に対して出力する、「第1の出力手段」を備えるのに対し、
引用発明はこれを備えない点。

<相違点2>
本件補正発明が、「第2の遊技が実行されていることを示す第2の情報を出力する第2の出力手段」を備えるのに対し、
引用発明はこれを備えない点。

<相違点3>
本件補正発明が、「増加ボーナス及び減少ボーナスの情報を含む」「第3の情報」を、「前記遊技制御手段が前記第1の遊技及び前記第2の遊技を実行する頻度を計測する試験機」に対して出力する、「第3の出力手段」を備えるのに対し、
引用発明はこれを備えない点。

(3-3) 判断
<相違点1?3>について
相違点1?3について、合わせて判断する。
原査定における引用文献2である特開2002-301194号公報(以下「引用文献2」という。【0078】、【0097】?【0098】、【0129】?【0136】、図3、8等参照。)には、
遊技状態がBB、RT、ATである場合にBB信号、RT信号、AT信号を出力し、遊技状態がRT又はBB、AT又はBBである場合にRT+BB信号、AT+BB信号を出力するスロットマシン(本件補正発明における「回胴式遊技機」に相当)と、出力された信号が、遊技場を管理するホールコンピュータ等へ入力される点が、記載されている。
引用発明と引用文献2に記載されたスロットマシンとは、複数の遊技を実行する回胴式遊技機である点で共通するので、
引用発明に引用文献2に記載された発明を適用して、「SCG状態」であることを示す信号、「第2CT遊技状態」であることを示す信号、「SCG状態」又は「第2CT遊技状態」であることを示す信号、をホールコンピュータ等へ出力することは、当業者が容易に想到しうるものである。

回胴式遊技機からの情報の出力先について、
・原査定における引用文献3である特開2006-87768号公報
の【0032】
・原査定における引用文献4である特開2005-334409号公報
の【0064】
・原査定における引用文献5である特開2002-224275号公報
の【0040】
・特開2005-131325号公報の【0033】
等に開示されているように、回胴式遊技機の情報をホールコンピュータや試験機に出力することは周知である(以下「周知技術1」という)。
このとき、ホールコンピュータや試験機にどのような情報を送信する/送信しないかは、当業者が適宜決定しうるものであるし、
・前記特開2002-224275号公報の【0054】
・前記特開2005-131325号公報の【0035】
等に開示されているように、ホールや遊技者には知らせたくない情報を試験機には出力することも周知である(以下「周知技術2」という)。

よって、引用発明に引用文献2に記載された発明及び周知技術1?2を適用して、
「増加ボーナス」に相当する「SCG状態」であることを示す信号をホールコンピュータへ出力し、
「増加ボーナス」に相当する「SCG状態」又は「減少ボーナス」に相当する「第2CT遊技状態」であることを示す信号を試験機へ出力し、
「減少ボーナス」に相当する「第2CT遊技状態」であることを示す信号はホールコンピュータへは出力しない
ことは、当業者が容易に想到しうるものであるし、その場合の効果も予測しうる程度のものである。

(3-4) 特許性についての検討のまとめ
よって、本件補正発明は、引用発明、引用文献2に記載された発明及び周知技術1?2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、
本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。


(4) むすび
したがって、本件補正は、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法159条第1項において読み替えて準用する同法53条第1項の規定により却下されるべきものである。


3.本願発明について
(1) 本願発明
平成23年11月28日付けの手続補正は前記のとおり却下されたので、本出願に係る発明は、平成23年7月8日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲により特定されるとおりのものである。
また、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「複数の種類の入賞態様を表示可能な表示手段と、
前記表示手段に第1の入賞態様が表示されると第1の遊技を実行し、前記表示手段に第2の入賞態様が表示されると第2の遊技を実行する遊技制御手段と、
前記第1の遊技が実行されていることを示す第1の情報を出力する第1の出力手段と、
前記第2の遊技が実行されていることを示す第2の情報を出力する第2の出力手段と
第3の情報を出力する第3の出力手段と
を備え、
前記第1の出力手段は、前記遊技制御手段が前記第1の遊技を実行する頻度を計測するホールコンピュータに対して前記第1の情報の出力を行い、
前記第3の出力手段は、前記遊技制御手段が前記第1の遊技及び前記第2の遊技を実行する頻度を計測する試験機に対して前記第3の情報の出力を行い、
前記第1の情報は、減少ボーナスの情報を含まず、
前記第3の情報は、減少ボーナスの情報を含むことを特徴とする回胴式遊技機。」

(2) 引用文献に記載されている事項及び周知技術
引用文献1(原査定における引用文献1)に記載された発明である引用発明、引用文献2(原査定における引用文献2)に記載された発明、及び周知技術1?2については、2.(3) で前記したとおりである。

(3) 対比・判断
本願発明(補正前の請求項1に係る発明)は、前記2.で検討した本件補正発明(補正後の請求項1に係る発明)から、「第1の情報」及び「第3の情報」が「増加ボーナス」の情報を含む点を削除したものである。
そうすると、
2.(3) で前記したとおり、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明は、引用発明、引用文献2に記載された発明及び周知技術1?2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、
本願発明も、本件補正発明についての理由と同様の理由により、引用発明、引用文献2に記載された発明及び周知技術1?2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4) むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載された発明及び周知技術1?2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-09-04 
結審通知日 2012-09-11 
審決日 2012-09-24 
出願番号 特願2006-108935(P2006-108935)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 櫃本 研太郎  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 吉村 尚
秋山 斉昭
発明の名称 回胴式遊技機  
復代理人 濱中 淳宏  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  
復代理人 勝本 龍二  

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