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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G01N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1265837
審判番号 不服2010-29352  
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-12-27 
確定日 2012-11-09 
事件の表示 特願2001-503510「角度を変えられるデザインを用いた光検査の方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年12月21日国際公開、WO00/77500、平成15年 1月21日国内公表、特表2003-502634〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成12年6月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1999年6月10日、米国(US))を国際出願日とする出願であって、平成22年8月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けにて手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。
さらに、平成23年3月11日付けで審尋がなされ、回答書が同年8月17日付けで請求人より提出されたものである。

第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正後の本願発明
本件補正により、補正前の特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】 入射光を発生して物体の所定の領域を照射する照射ユニットと、少なくとも1つの検出ユニットとを備える、前記物体を光検査するための装置であって、前記少なくとも1つの検出ユニットが、
(a)所定の一定の最大集光角をもって照射領域より散乱した光を集光する集光装置と、
(b)最大集光角の所定の立体角セグメントで伝播する少なくとも1つの光成分を、集光された光から選択的に分離するよう、集光された光の光経路内で選択的に操作が可能であり、前記最大集光角の特定の角度範囲内で伝播する光成分の検出を防止しながら、前記少なくとも1つの光成分の検出を許容する、フィルタと、
(c)集光された光を受けこれを表わすデータを発生する感受面を有する検出器と
を備える装置。」
から
「【請求項1】 入射走査光を発生して物体の所定の領域を照射する照射ユニットと、少なくとも1つの検出ユニットとを備える、前記物体を光検査するための装置であって、前記少なくとも1つの検出ユニットが、
(a)各照射領域に対して一定の所定の最大集光角で伝播し、照射領域より散乱した光を集光する集光装置であって、前記集光装置は第1の光装置と第2の光装置とを備え、前記第1の光装置は、前記最大集光角を規定し、前記第2の光装置に向けて前記照射領域の実画像をつくり、前記第2の光装置は前記実画像から照射領域の角度画像をつくり、前記集光装置は、第1の光装置によってつくられた前記実画像の場所とほぼ同じ場所に載置されるスリットを備え、前記スリットは、前記実画像と形状及び寸法がほぼ同じであり、前記実画像を表わす集光された光を前記第2の光装置に向けて通過させ、前記実画像とは関係ない光の通過を遮断する、集光装置と、
(b)最大集光角の所定の立体角セグメントで伝播する少なくとも1つの光成分を、集光された光から選択的に分離するよう、集光された光の光経路内で選択的に操作が可能であり、前記最大集光角の特定の角度範囲内で伝播する光成分の検出を防止しながら、前記少なくとも1つの光成分の検出を許容する、フィルタと、
(c)集光された光を受けこれを表わすデータを発生する感受面を有する検出器と
を備える装置。」
と補正された。(下線は補正箇所を示す。)

本件補正は、請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「入射光」を「入射走査光」として、入射光を限定し、
「(a)所定の一定の最大集光角をもって照射領域より散乱した光を集光する集光装置」を「a)各照射領域に対して一定の所定の最大集光角で伝播し、照射領域より散乱した光を集光する集光装置であって、前記集光装置は第1の光装置と第2の光装置とを備え、前記第1の光装置は、前記最大集光角を規定し、前記第2の光装置に向けて前記照射領域の実画像をつくり、前記第2の光装置は前記実画像から照射領域の角度画像をつくり、前記集光装置は、第1の光装置によってつくられた前記実画像の場所とほぼ同じ場所に載置されるスリットを備え、前記スリットは、前記実画像と形状及び寸法がほぼ同じであり、前記実画像を表わす集光された光を前記第2の光装置に向けて通過させ、前記実画像とは関係ない光の通過を遮断する、集光装置」として、第1の光装置、第2の光装置およびスリットを限定した補正を含むものである。
したがって、本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前(以下,「平成18年法改正前」という。)の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2 引用刊行物およびその記載事項(下線は当審で付与した。)
(1)本願優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特表平7-506676号公報(以下「刊行物1」という。)には、「表面検査のための適応型空間フィルタ」について、図面とともに次の事項が記載されている。

(1-ア) 「請求の範囲
18.光を回折させることのできる繰返しの特性を有し、かつ汚れの粒子などのランダムな光を散乱させる特性をも有するタイプの表面の検査のための装置であって、
光のビームで表面をスキャンするための手段と、
表面から回折され散乱させられた光を集めるための光学的手段と、
表面の光回折領域から集められた光の経路内に配設された、アレイになった個別にかつ電気的にアドレス可能なライトバルブを有する空間フィルタと、
複数個のライトバルブをアドレスすることによって前記空間フィルタを活性化し、表面の繰返し特性により回折した光を選択的に遮断して、それによりランダムな光散乱特性から入来する光がフィルタを通過できるようにするための手段と、
フィルタを通過する光を検出するための手段とを含む、装置。
・・・
19.光を集めるための前記光学手段は、湾曲した回折オーダ部材を平行に整列した線形回折オーダ部材に変形するためのレンズ手段を含む、請求項18に記載の装置。
・・・
22.前記レンズ手段はフーリエ変形レンズを含む、請求項19に記載の装置。」(第3頁左上欄10?右上欄10行)

(1-イ) 「技術分野
この発明はパターニングされた基板の光学的検査に関し、特定的にはそのような検査のための空間フィルタの使用に関する。」(第3頁左下欄3?6行)

(1-ウ) 「フーリエフィルタで回折された光を遮断することにより、非周期的な構造によって散乱させられた光のみが検出器に届く。」(第3頁右下欄16?18行)

(1-エ) 「想像されるであろうように、異なった回路パターンがあれば、周期性が異なっており、したがってフィルタリングされるべき回折パターンが異なっているので、異なったフーリエフィルタが必要となる。回路パターンの異なるウェハが検査されるたびに、検査装置は適切なフィルタに対処するよう換えられなければならない。これは時間がかがるだけでなく、エラーが起こる可能性をももたらすものである。
この発明の目的は、素早く、かつ信頼性高く動作し、異なった回折パターンのために迅速に交換されるであろう、繰返し特性を備えたパターニングされたウェハのための検査装置を考案することである。
発明の概要
上記の目的は、ウェハが異なった光回折特性を備える異なったセクションを有する場合であっても、レーザスキャナまたは光ビームによってウェハ全体を検査するために迅速に再構成され得る適応型フーリエフィルタを備えるウェハスキャン検査システムを提供することによって達成される。発明者らは、ウェハの、またはたとえチップであっても、その回折パターンが異なるために異なったフィルタを必要とする異なった部分をビームがスキャンするにつれ交換されるように構成されてもよい適応型フィルタとしての役割を、液晶に基づく個別にアドレス可能なライトバルブのアレイが果たすということを発見している。」(第4頁右上欄9行?左下欄8行)

(1-オ) 「発明の実施におけるベストモード
図1および1aを参照して、ウェハWは図示されていないサポートを介してウェハチャック上でこの発明の光学検査ステーションに運ばれる。
・・・
ウェハWはレーザ11によって照射される・・・
・・・
第1のビーム31はウェハWに向けられ、そこで光はウェハの微細形状特性から散乱する。散乱した光はすべての角度で送られ、側面からの集光が可能となる。側面図は図1にはないが、図1aに示されている。ミラー33は回折させられた光線34などの散乱され回折された光を集め、散乱した光を集光平凸ダブレット35aおよび35bに向ける。ダブレット35aと35bとを通過した後、光は集められた光の偏光を選択する一連の偏光子37を通過する。
集められた光線39はその後ミラー41に当たり、そこで光はフォーカルプレーン段43に向けられる。このフォーカルプレーン段43が図示していない本発明の適応型フィルタを支持する。集められた光線がフィルタを通過すると仮定すれば、それは球形または放物線の形である受取ミラー45に向けられ、フィルタを通過する光を光増殖管47に向ける。」(第5頁左下欄13行?第6頁左上欄18行)

上記(1-ア)?(1-オ)の記載と図1?8を参照すると、上記刊行物1には、 次の発明が記載されていると認められる。
「ウェハ表面の検査のための装置であって、
光のビームで表面をスキャンするための手段と、
表面から回折され散乱させられた光を集めるためのフーリエ変形レンズを含む光学的手段と、
表面の光回折領域から集められた光の経路内に配設された、アレイになった個別にかつ電気的にアドレス可能なライトバルブを有する空間フィルタと、
複数個のライトバルブをアドレスすることによって前記空間フィルタを活性化し、表面の繰返し特性により回折した光を選択的に遮断して、それによりランダムな光散乱特性から入来する光がフィルタを通過できるようにするための手段と、
フィルタを通過する光を検出するための手段とを含む、ウェハ表面の検査のための装置。」(以下、「引用発明」という。)

3 対比・判断
補正発明と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「光のビーム」、「光のビームで表面をスキャンするための手段」、「ウェハ表面」、および「光を検出するための手段」は、それぞれ、補正発明の「入射走査光」、「照射ユニット」、「物体の所定の領域」、および「検出器」に相当することは明らかである。

イ 引用発明の「表面から回折され散乱させられた光を集めるためのフーリエ変形レンズを含む光学的手段」と、補正発明の、「(a)各照射領域に対して一定の所定の最大集光角で伝播し、照射領域より散乱した光を集光する集光装置であって、前記集光装置は第1の光装置と第2の光装置とを備え、前記第1の光装置は、前記最大集光角を規定し、前記第2の光装置に向けて前記照射領域の実画像をつくり、前記第2の光装置は前記実画像から照射領域の角度画像をつくり、前記集光装置は、第1の光装置によってつくられた前記実画像の場所とほぼ同じ場所に載置されるスリットを備え、前記スリットは、前記実画像と形状及び寸法がほぼ同じであり、前記実画像を表わす集光された光を前記第2の光装置に向けて通過させ、前記実画像とは関係ない光の通過を遮断する、集光装置」とは
「(a)各照射領域に対して一定の所定の最大集光角で伝播し、照射領域より散乱した光を集光する集光装置であって、前記集光装置は第2の光装置とを備え、前記第2の光装置は照射領域の角度画像をつくる、集光装置」である点で共通する。

ウ 本願明細書の「【0045】 このようなメカニカルフィルターは、それ自体既知な、マイクロエレクトロメカニカル構造体(MEMS)またはプログラム可能な液晶表示素子(LCD)によって置き換えられてもよいことにも留意すべきである。LCOセグメントは、光弁であり、オープンモードで光を伝送し又は反射し(そこに使用される液晶材料の種類に依存して)、クローズモードで光を遮る。」との記載から見て、補正発明の「フィルタ」は「光弁」を有するLCDを含むものである。
引用発明の「空間フィルタ」は、「表面の光回折領域から集められた光の経路内に配設された、アレイになった個別にかつ電気的にアドレス可能なライトバルブを有する」ものであり、「集められた光」とは「フーリエ変形レンズを含む光学的手段」によるものである。
そして、引用発明の「空間フィルタ」は、「複数個のライトバルブをアドレスすることによって前記空間フィルタを活性化し、表面の繰返し特性により回折した光を選択的に遮断して、それによりランダムな光散乱特性から入来する光がフィルタを通過できるようにするための手段」を備えるのである。
したがって、引用発明の「空間フィルタ」は、本願発明の「(b)最大集光角の所定の立体角セグメントで伝播する少なくとも1つの光成分を、集光された光から選択的に分離するよう、集光された光の光経路内で選択的に操作が可能であり、前記最大集光角の特定の角度範囲内で伝播する光成分の検出を防止しながら、前記少なくとも1つの光成分の検出を許容する、フィルタ」に相当する。

エ 引用発明の「ウェハの表面の検査のための装置」は、物体を光検査するためのものであるから、補正発明の「装置」に相当する。

そうすると、両者は、
(一致点)
「入射走査光を発生して物体の所定の領域を照射する照射ユニットと、少なくとも1つの検出ユニットとを備える、前記物体を光検査するための装置であって、前記少なくとも1つの検出ユニットが、
(a)各照射領域に対して一定の所定の最大集光角で伝播し、照射領域より散乱した光を集光する集光装置であって、前記集光装置は第2の光装置とを備え、前記第2の光装置は照射領域の角度画像をつくる、集光装置と、
(b)最大集光角の所定の立体角セグメントで伝播する少なくとも1つの光成分を、集光された光から選択的に分離するよう、集光された光の光経路内で選択的に操作が可能であり、前記最大集光角の特定の角度範囲内で伝播する光成分の検出を防止しながら、前記少なくとも1つの光成分の検出を許容する、フィルタと、
(c)集光された光を受けこれを表わすデータを発生する感受面を有する検出器と
を備える装置。」
である点で一致し、以下の点で相違するといえる。

(相違点)
集光装置について、
補正発明では「前記集光装置は第1の光装置を備え、前記第1の光装置は、前記最大集光角を規定し、前記第2の光装置に向けて前記照射領域の実画像をつくり、前記集光装置は、第1の光装置によってつくられた前記実画像の場所とほぼ同じ場所に載置されるスリットを備え、前記スリットは、前記実画像と形状及び寸法がほぼ同じであり、前記実画像を表わす集光された光を前記第2の光装置に向けて通過させ、前記実画像とは関係ない光の通過を遮断するのに対して、引用発明ではそのような第1の光装置とスリットを備えていない点。

(1)相違点についての検討
本願優先日前に頒布された刊行物である特開平4-122042号公報には、「次に第3の実施例について説明する。
上記の実施例では回折光は直接受光器に入射することとしていたが、本実施例では基板15上の光走査位置以外から発生する迷光を遮光するためレンズ系を介して受光するものである。この原理は第5図(a)に示すように結像レンズ51を介して基板15と像共役な位置で走査線L-O-Rと略平行に設けられた像面スリット52を用いて迷光を除去し、像面に配置された受光器16で受光を行なうものである。・・・一例を第5図(b)に示す。・・・同図で、回折光と受光器の間の光路中に設けられた結像レンズ53に入射した光束は基板15と像共役な位置で走査線L-O-Rと略平行に設けられた像面スリット54により、迷光の除去がなされ、フィールドレンズ55に入射し、さらに、フィールドレンズ55の瞳共役面近傍に配置された受光器25、27に入射するものである。」(第9頁右下欄6行?第10頁左上欄10行)と記載されている。
そして、「結像レンズ53」、「像面スリット54」、および「フィールドレンズ55」は、それぞれ、補正発明の「第1の光装置」、「スリット」、および「第2の光装置」に相当するといえる。
このように、「第1の光装置と第2の光装置とを備え、前記第1の光装置は、前記最大集光角を規定し、前記第2の光装置に向けて前記照射領域の実画像をつくり、前記第2の光装置は前記実画像から照射領域の角度画像をつくり、前記集光装置は、第1の光装置によってつくられた前記実画像の場所とほぼ同じ場所に載置されるスリットを備え、前記実画像を表わす集光された光を前記第2の光装置に向けて通過させ、前記実画像とは関係ない光の通過を遮断する、集光装置」が迷光を遮光する構成として記載されている。
また、異物検査装置を構成するときに、ノイズのないように構成しようとすることは光学系において当然の課題であるから、上記迷光を遮光する構成を付加する動機付けがあり、阻害要因は見当たらない。また、スリットを必要な光走査位置である実画像と形状及び寸法がほぼ同じスリットとすることは、設計事項である。
してみると、引用発明に上記迷光を遮光する構成を採用して、相違点に記載の補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到するものと認められる。

(2)そして、補正発明の作用効果は、引用発明及び周知の技術的事項から当業者が予測し得る範囲内のものにすぎない。

(3)したがって、補正発明は、引用発明及び周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるというべきであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

なお,請求人は,回答書において,補正案を提示し「まず、審判請求人は、平成23年2月25日作成の前置報告書の内容を検討した結果、さらなる補正が必要であると考えました。そこで、本回答書の最後に『補正案』を添付させていただきました。したがいまして、正式な補正案を提出できるよう、本件につきまして拒絶理由通知書を発していただきますようお願いいたします。
以下では、上記補正案を前提として回答させていただきます。
・・・(補正案)
〔請求項1〕 入射走査光を発生して物体の所定の領域を照射する照射ユニットと、少なくとも1つの検出ユニットとを備える、前記物体を光検査するための装置であって、前記少なくとも1つの検出ユニットが、
(a)照射領域より散乱した光を集光し、前記照射領域の角度画像を形成する集光装置であって、前記集光装置は第1の光装置と第2の光装置とを備え、前記第1の光装置は、所定の各照射領域について一定の前記最大集光角を規定し、前記照射領域の実画像をつくるよう構成され、前記第2の光装置は前記実画像から照射領域の角度画像を、角度画像の各点が照射領域の各点からくる光であって前記最大集光角セグメントで伝播する光によって作られる角度に対応するように形成するよう構成され、前記集光装置は、第1の光装置によってつくられた前記実画像の場所とほぼ同じ場所に載置されるスリットを備え、前記スリットは、前記実画像と形状及び寸法がほぼ同じであり、これにより前記実画像を表わす集光された光を前記第2の光装置に向けて通過させ、前記実画像とは関係ない光の通過を遮断する、集光装置と、
(b)実画像に対応する照射領域の角度画像の光経路内で選択的に操作が可能であるフィルタであって、最大集光角の所定の立体角セグメントで伝播する少なくとも1つの光成分を集光された光から選択的に分離し、前記少なくとも1つの光成分の検出を許容し、前記最大集光角の特定の角度範囲内で伝播する光成分の検出を防止する、フィルタと、
(c)集光された光を受けこれを表わすデータを発生する感受面を有する検出器と
を備える装置。
〔請求項2〕・・・」旨主張している。
しかしながら,上記補正案の請求項1は、補正発明について、何ら構成を限定するものではなく、より明りょうに記載したものに過ぎないので、補正発明と同様に、引用発明及び周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるというべきである。

したがって,前記請求人の主張は採用できない。

4 まとめ
以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年法改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなるので、本願の請求項1?23に係る発明は、平成22年5月6日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?23に記載された事項により特定されたものであって、その請求項1に係る発明は、次のとおりであると認める。
「【請求項1】 入射光を発生して物体の所定の領域を照射する照射ユニットと、少なくとも1つの検出ユニットとを備える、前記物体を光検査するための装置であって、前記少なくとも1つの検出ユニットが、
(a)所定の一定の最大集光角をもって照射領域より散乱した光を集光する集光装置と、
(b)最大集光角の所定の立体角セグメントで伝播する少なくとも1つの光成分を、集光された光から選択的に分離するよう、集光された光の光経路内で選択的に操作が可能であり、前記最大集光角の特定の角度範囲内で伝播する光成分の検出を防止しながら、前記少なくとも1つの光成分の検出を許容する、フィルタと、
(c)集光された光を受けこれを表わすデータを発生する感受面を有する検出器と
を備える装置。」(以下、「本願発明」という。)

2 引用刊行物およびその記載事項
本願出願前に頒布された刊行物1およびその記載事項は、上記「第2 2」に記載したとおりである。

3 当審の判断
本願発明は、補正発明の「入射走査光」から「入射光」と入射光の限定を省き、
さらに、補正発明の「a)各照射領域に対して一定の所定の最大集光角で伝播し、照射領域より散乱した光を集光する集光装置であって、前記集光装置は第1の光装置と第2の光装置とを備え、前記第1の光装置は、前記最大集光角を規定し、前記第2の光装置に向けて前記照射領域の実画像をつくり、前記第2の光装置は前記実画像から照射領域の角度画像をつくり、前記集光装置は、第1の光装置によってつくられた前記実画像の場所とほぼ同じ場所に載置されるスリットを備え、前記スリットは、前記実画像と形状及び寸法がほぼ同じであり、前記実画像を表わす集光された光を前記第2の光装置に向けて通過させ、前記実画像とは関係ない光の通過を遮断する、集光装置」から「(a)所定の一定の最大集光角をもって照射領域より散乱した光を集光する集光装置」と請求項6、7として省くと共に、第1の光装置、第2の光装置およびスリットを限定した補正を元に戻したものに相当する。

そうすると、本願発明の構成要件を全て含む補正発明が、上記「第2 3」において検討したとおり、引用発明及び周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるというべきである。

第4 まとめ
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その他の請求項について言及するまでもなく、本願出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-06-07 
結審通知日 2012-06-14 
審決日 2012-07-02 
出願番号 特願2001-503510(P2001-503510)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (G01N)
P 1 8・ 121- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田嶋 亮介横尾 雅一  
特許庁審判長 岡田 孝博
特許庁審判官 後藤 時男
信田 昌男
発明の名称 角度を変えられるデザインを用いた光検査の方法及び装置  
代理人 上杉 浩  
代理人 須田 洋之  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 西島 孝喜  
代理人 大塚 文昭  
代理人 辻居 幸一  

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