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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60R
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B60R
管理番号 1266220
審判番号 不服2011-24415  
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-11-11 
確定日 2012-11-16 
事件の表示 特願2006-134029「エアバッグ」拒絶査定不服審判事件〔平成19年11月22日出願公開、特開2007-302151〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は,平成18年5月12日の出願であって,平成23年8月26日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年11月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2.原査定
原査定における拒絶の理由は,以下のとおりのものと認める。
「この出願の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
1.特開2000-62563号公報
2.特開昭63-227869号公報
3.特開2004-36035号公報」

第3.平成23年11月11日付け手続補正の却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成23年11月11日付け手続補正(以下「本件補正」という)を却下する。

[理由]
1.本件補正の概要
本件補正は,平成23年1月11日付けで補正された特許請求の範囲をさらに補正するもので,請求項1については,補正前に
「基布用極性繊維で織成された基布が縫糸で縫合されて袋状に縫製されてなるエアバッグであって,
前記縫糸として,縫糸用極性繊維からなる原糸が,潤滑性改善作用を有する極性基含有化合物からなる又は該極性基含有化合物を主体とする滑性処理剤で滑性処理されたものを使用し,
前記極性基含有化合物が,エステル系,高級脂肪酸系,高級アルコール系,高級アルキルアミン系,金属石鹸,酸化PEワックス及び酸変性PEワックスの群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とするエアバッグ。」
とあるのを

「基布用極性繊維で織成された基布が縫糸で縫合されて袋状に縫製されてなるエアバッグであって,
前記縫糸として,縫糸用極性繊維からなる原糸が,潤滑性改善作用を有する極性基含有化合物からなる滑性処理剤で表面滑性処理されたものを使用し,
前記極性基含有化合物が,常温液体ないし融点が100℃近傍までのものである,エステル系,高級脂肪酸系,高級アルコール系及び高級アルキルアミン系の群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とするエアバッグ。」
と補正するものである。

請求項1の補正は,滑性処理剤について,極性基含有化合物を主体とする滑性処理剤を除外して潤滑性改善作用を有する極性基含有化合物からなる滑性処理剤に限定し,原糸の滑性処理について,表面滑性処理との限定を付し,極性基含有化合物について,常温液体ないし融点が100℃近傍までのものであるとの限定を付すとともに,選択される極性基含有化合物の群から金属石鹸,酸化PEワックス及び酸変性PEワックスを除外してエステル系,高級脂肪酸系,高級アルコール系及び高級アルキルアミン系に限定したものである。そして,請求項1の補正が,産業上の利用分野及び解決しようとする課題を変更するものでないことは明らかである。
したがって,少なくとも請求項1の補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,本件補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本願補正発明」という)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について検討する。

2.引用刊行物
(1)原査定の拒絶の理由に引用され,本願の出願前に頒布された刊行物である特開2000-62563号公報(以下「引用例1」という。)には,側部用エアバッグに関し,図面とともに次の事項が記載されている。

1a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,自動車の衝突時,乗員を保護するためのエアバッグ,とりわけ側部用エアバッグに関し,堅牢なバッグを簡便に提供するものである。」

1b)「【0014】また,エアバッグ本体基布間を相互に連結している縫糸は,エアバッグ展開時にはインフレーターからの熱ガスに曝されるため,エアバッグ本体基布を構成する繊維材料の融点または分解点より高い融点または分解点をもつ耐熱性繊維糸条から成るものを用いると,更に本発明の効果を有効に発現することができる。
【0015】すなわち,通常,エアバッグ本体基布を構成する繊維材料は,例えば,ナイロン66,ポリエステルなど260℃前後の融点をもつ材料であることが多く,これらの材料より高い融点または分解点をもつ繊維材料,例えば,ポリフェニレンサルファイド繊維,ポリエーテルエーテルケトン繊維,ポリテトラフルオロエチレン繊維,ポリエチレンナフタレート繊維,ポリアリレート繊維,アラミド系繊維,ナイロン46繊維,炭素繊維,アルミナ繊維,シリコーンカーバイド繊維,スチール繊維などの一種または二種以上のフィラメント,紡績糸,混紡糸,混繊糸,交撚糸,捲回糸などを用いればよいが,これらに限定されるものではない。・・・また,可縫性などを改良するため一般的に用いられている樹脂,油剤,ワックスなどを施した材料を用いてもよい。」

1c)「【0030】本発明のエアバッグを構成する織物は,インフレーターの性能,エアバッグの容量,使用部位などによっては,ゴムや樹脂などを積層塗布して不通気性加工を行ってもよいし,全く不通気性加工を施さないノンコート織物でもよい。ノンコート織物の場合,精練,乾燥,熱セットなどを行えばよく,熱セット温度などの条件は,通気性,機械特性などを考慮して選定すればよい。又,この織物を構成する繊維糸条は特に限定するものではなく,例えば,ナイロン6,ナイロン66,ナイロン46,ナイロン610,などの単独,またはこれらの共重合,混合により得られるポリアミド繊維,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレートなどの単独,またはこれらの共重合,混合により得られるポリエステル繊維,パラフェニレンテレフタルアミド,およびこれと芳香族エーテルとの共重合体などに代表されるアラミド繊維,全芳香族ポリエステル繊維,ビニロン繊維,超高分子量ポリエチレンなどのポリオレフィン繊維,塩化ビニル系および塩化ビニリデン系繊維,ポリテトラフルオロエチレン系を含むフッ素系繊維,ポリサルフォン(PS)繊維,ポリフェニレンサルファイド系繊維(PPS),ポリエーテルエーテルケトン系(PEEK)繊維,ポリイミド繊維,ポリエーテルイミド繊維,高強力レーヨンを含むセルロース系繊維,アクリル系繊維,炭素繊維,ガラス繊維,シリコーンカーバイド(SiC)繊維,アルミナ繊維,などから適宜選定すれば良いが,場合によっては,スチールに代表される金属繊維などの無機繊維を含んでもよい。」

1d)「【0036】実施例1
エアバッグ本体用基布として,ナイロン66繊維420d/70f(原糸強度9.2g/d)を用いた,織物密度が経,緯いずれも55本/吋のノンコート平織物を準備した。次いで,図1に示す形状の基布を2枚裁断した。図1における各部の寸法は,A=300mm,B=100mm,C=250mm,D=270mm,E=350mm,F=800mm,G=450mmであった。2枚の基布を重ね合わせ,縫代を20mmとして外周を縫製した(6a,6b)。縫糸は上糸,下糸ともナイロン66繊維の5番手糸で,運針数3.5針/cmで二重環縫い二列で縫合した。」

上記記載事項1a?1d及び図面の記載によれば,引用例1には以下の発明が記載されているといえる(以下「引用発明」という。)。
「ナイロン66繊維を用いたノンコート平織物をエアバッグ本体用基布として,2枚の基布を重ね合わせて外周をナイロン66繊維の縫糸で縫製して構成されてなり,前記縫糸には,可縫性を改良するため一般的に用いられている樹脂,油剤,ワックスなどを施した材料を用いるエアバッグ。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用され,本願の出願前に頒布された刊行物である特開昭63-227869号公報(以下「引用例2」という。)には,繊維製品繊維滑化製剤に関し,次の事項が記載されている。

2a)「2.特許請求の範囲
1.溶液,エマルジョンまたは分散液の形態の繊維製品繊維滑化製剤であって,・・・対称および/または非対称ジアルキルエーテルを,単独で,または既知の滑化剤と組み合わせて含有する製剤。
・・・
3.既知の滑化剤として,パラフィン,ポリエチレン,脂肪酸エステル,シリコーンおよび/またはポリアルキレングリコールを含有する第1項または第2項記載の製剤。」(第1頁左下欄第4行?右下欄第1行)

2b)「[産業上の利用分野]
本発明は,繊維製品繊維滑化製剤,繊維滑化方法,および滑化剤としてのジアルキルエーテルの用途に関する。
[従来技術]
糸およびフィラメントの走行速度を高め,かつシート状繊維製品の製造を改良するために,繊維製品工業において,糸を走行性とする要求が急速に高まりつつある。このような要求を満足するために,糸およびそれから製造するシート状材料に,その加工性を改良するために,滑化および柔軟化物質を適用しなければならない。
滑化剤は,一方では,個々の繊維の間および繊維または糸と金属との間の摩擦を軽減し,他方では,シート状繊維製品に充分な縫製性(stitch-ability)を付与するものであることが要求される。」(第2頁左上欄第1行?第16行)

2c)「パラフィン,エステル,ポリエチレン,シリコーンおよびポリアルキレングリコールは,既知の滑化剤である」(第2頁右上欄第10行?第12行)

2d)「本発明の滑化剤は,溶液,エマルジョンまたは分散液の形態で繊維製品繊維に適用する。・・・本発明においては,「繊維製品繊維」とは,天然繊維(例えば綿),ウールおよび/または合成ウール,合成繊維(例えばポリアクリロニトリル,ポリエステル,ポリアミド,トリアセテート,ポリエチレンおよび/またはポリプロピレン)並びに天然および合成繊維の混合物である。」(第3頁左下欄第11行?右下欄第7行)

2e)「本発明の滑化剤は,例えばパジング,遠心浸漬,ゴデツト適用によって,合成フィラメント糸の製造において通例用いられる計量ポンプによって,または噴霧によって繊維製品繊維に適用してもよい。」(第4頁左上欄第9行?第13行)

(3)原査定の拒絶の理由に引用され,本願の出願前に頒布された刊行物である特開2004-36035号公報(以下「引用例3」という。)には,複合繊維および繊維構造体に関し,図面とともに次の事項が記載されている。

3a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯部Aを形成する熱可塑性樹脂が脂肪族ポリエステルであり,鞘部Bを形成する熱可塑性樹脂が繊維形成性のポリアミドである芯鞘複合繊維であって,鞘部Bを形成するポリアミドの皮膜厚さが0.4μm以上であることを特徴とする複合繊維。」

3b)「【0021】
さらに,外部との接触において滑性を高め,耐摩耗性を向上させるために,ポリアミド成分に滑剤を添加してもよい。滑剤としては流動パラフィンやパラフィンワックス,マイクロワックス,ポリエチレンワックス等の炭化水素系のワックス類,ステアリン酸や12-ヒドロキシステアリン酸,ステアリルアルコール等の脂肪酸・高級アルコール系ワックス類,ステアリン酸アミドやオレイン酸アミド,エルカ酸アミド,メチレンビスステアリン酸アミド,エチレンビスステアリン酸アミド,エチレンビスオレイン酸アミド等のアミド系滑剤,ステアリン酸ブチルやステアリン酸モノグリセリド,ペンタエリスリトールテトラステアレート等のエステル系ワックス,ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛,ステアリン酸マグネシウムやステアリン酸鉛等の金属石けんが適用できる。」

3c)「【0052】
実施例1
重量平均分子量18万のポリL乳酸(光学純度99%L乳酸,融点170℃,溶融粘度2000poise)を芯部Aとし,平均2次粒子径が0.4μmの酸化チタンを0.3重量%含有した硫酸相対粘度ηr:2.2のナイロン6(融点225℃の結晶性ナイロン,溶融粘度850poise)を鞘部として,それぞれ別々に溶融し,紡糸温度240℃で図3に示す構造を有する口金装置(吐出孔直径0.3mm/孔深度0.6mm)を用い,芯鞘複合比(重量%)70:30で吐出し,糸条と直交する0.5m/秒の冷却風で冷却・固化し,口金下2mの位置で集束・給油し,ゴデーロール速度4000m/分で引き取り,110デシテックス,36フィラメントの芯鞘複合構造の未延伸糸を得た。また,延伸や仮撚での工程通過性を良好にするため紡糸線上に交絡ノズルを設置し,作動圧空圧0.2MPaで交絡を付与した。なお,紡糸油剤には平滑剤として脂肪酸エステル40%,鉱物油20%,さらに糊付着性や金属摩耗を防止するために多価アルコールエステルやポリオキシエチレン系ノニオン,アマイドノニオンを加えて100%原液を調整し,この原液を純水で薄めて15%水系エマルジョンとし,純油分として繊維に約0.8重量%付着させた。紡糸性は良好であり,50kgのサンプリングで糸切れは発生しなかった。」

(4)前置報告書において引用され,本願の出願前に頒布された刊行物である特開昭64-85660号公報(以下「引用例4」という。)には,ショ糖脂肪酸エステルで被覆された縫合糸に関し,図面とともに次の事項が記載されている。

4a)「[従来の技術]
縫合糸材料は,吸収性かまたは非吸収性のいずれかに分類され,手術後約1年以内に縫合した組織から消失する場合は,吸収性であると考えられるが,従来より使用されている多くの吸収性縫合糸材料は,これより短い期間内に消失する。・・・また非吸収性縫合糸材料についても,ブレード編み構造で使用され種類としては,絹,ナイロン,ポリエステル等がある。
ところで吸収性縫合糸にしても非吸収性縫合糸にしてもいずれの場合もマルチフィラメント縫合糸は,その結びおろし特性と呼ばれるもの,即ち縫合糸の結び目を滑らせることの容易さ,なめらかさという点で望ましくなかった。そこで縫合糸の滑り特性を改良するために,表面被覆が行われることがある。」(第1頁右下欄第6行?第2頁左上欄第12行)

4b)「次に被覆方法の具体例を示す。
被覆方法として最も一般的な方法としては,ショ糖脂肪酸エステルを液状にして縫合糸表面に施し次いで固化させる方法である。・・・
ショ糖脂肪酸エステルは,溶液のかわりに溶融物として適用することもでき,この場合に固化は冷却することによって行う。
ショ糖脂肪酸エステルの融点は45?65℃程度のものが多いので,容易に加熱溶融することができ,この方法によれば(1)縫合糸材料が溶媒に触れないので溶媒によって変性したり分解するおそれがない(2)被覆後,溶媒を揮発させなくて良い等の利点があるので好ましい方法である。」(第2頁左下欄第7行?右下欄第8行)

3.対比・判断
本願補正発明と引用発明とを対比する。
ナイロン66繊維は極性繊維であるから,引用発明の「ナイロン66繊維を用いたノンコート平織物」は,本願補正発明の「基布用極性繊維で織成された基布」に相当し,引用発明は,本願補正発明における「縫糸として,縫糸用極性繊維からなる原糸を使用し」との要件を備える。
引用発明において,2枚の基布を重ね合わせて外周を縫糸で縫製するのであるから,引用発明は,本願補正発明における「基布が縫糸で縫合されて袋状に縫製されてなる」との要件を備える。

以上のことから,本願補正発明と引用発明は,本願補正発明の表記にできるだけしたがえば,
「基布用極性繊維で織成された基布が縫糸で縫合されて袋状に縫製されてなるエアバッグであって,
前記縫糸として,縫糸用極性繊維からなる原糸を使用しているエアバッグ。」
である点で一致し,以下の点で相違する。

[相違点]
本願補正発明では,縫糸が,潤滑性改善作用を有する極性基含有化合物からなる滑性処理剤で表面滑性処理されたものであって,前記極性基含有化合物が,常温液体ないし融点が100℃近傍までのものである,エステル系,高級脂肪酸系,高級アルコール系及び高級アルキルアミン系の群から選択される1種又は2種以上であるのに対し,引用発明では,縫糸に,可縫性を改良するため一般的に用いられている樹脂,油剤,ワックスを施した材料を用いているが,具体的にどのような材料を用いているのか不明な点。

上記相違点について検討する。
引用例2には,糸およびフィラメントの走行速度を高め,加工性を改良するために,糸に滑化物質を適用すること,ポリアミド繊維に滑化剤として脂肪酸エステルを浸漬,噴霧等により適用することが記載されている。
引用例3には,鞘部がナイロン6である芯鞘複合繊維に,外部との接触において滑性を高めるために,平滑剤として,脂肪酸エステルを付着させることが記載されている。
引用例2及び3の記載事項から,繊維の表面に滑化剤を適用し,加工性を良くすることは周知の技術であり,さらに,ナイロン繊維に適用する滑化剤として,エステル系のものは周知であるといえる。
してみると,引用発明において,可縫性を改良した縫糸として,エステル系の滑性処理剤で表面滑性処理されたものを採用することは,当業者であれば容易に想到し得たことである。
また,引用例4には,縫合糸を融点が45?65℃程度のエステルで表面被覆することが記載されており,糸の表面滑性処理に使用するエステル系の滑性処理剤として,常温液体ないし融点が100℃近傍までのものを採用することは,当業者にとって格別困難であるとは認められない。
以上のことから,引用発明において,上記相違点の構成とすることは当業者が容易になし得たことといえる。

よって,本願補正発明は,引用発明,引用例2ないし4に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4.むすび
以上のとおりであるから,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第4.本願発明
本件補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明は,平成23年1月11日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである(以下「本願発明」という。「第3」の「1.本件補正の概要」参照。)。

第5.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物及びその記載事項は,前記「第3」の「2.引用刊行物」の「(1)」から「(3)」までに記載したとおりである。

第6.対比・判断
本願発明は,本願補正発明から,前記「第3」の「1.本件補正の概要」に記載した限定を外したものである。
したがって,本願発明と引用発明との相違点は,本願補正発明では,縫糸が,潤滑性改善作用を有する極性基含有化合物からなる又は該極性基含有化合物を主体とする滑性処理剤で滑性処理されたものであって,前記極性基含有化合物が,エステル系,高級脂肪酸系,高級アルコール系,高級アルキルアミン系,金属石鹸,酸化PEワックス及び酸変性PEワックスの群から選択される1種又は2種以上であるのに対し,引用発明では,縫糸に,可縫性を改良するため一般的に用いられている樹脂,油剤,ワックスを施した材料を用いているが,具体的にどのような材料を用いているのか不明な点であるから,本願発明は,引用発明,引用例2及び3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである(前記「第3」の「3.対比・判断」参照)。

第7.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明,引用例2及び3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。
したがって,原査定は妥当であり,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-08-31 
結審通知日 2012-09-11 
審決日 2012-09-25 
出願番号 特願2006-134029(P2006-134029)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B60R)
P 1 8・ 121- Z (B60R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 粟倉 裕二人見 慶子  
特許庁審判長 千馬 隆之
特許庁審判官 杉浦 貴之
川向 和実
発明の名称 エアバッグ  
代理人 江間 路子  
代理人 村松 孝哉  
代理人 村松 孝哉  
代理人 江間 路子  
代理人 飯田 昭夫  
代理人 飯田 昭夫  
代理人 上田 千織  
代理人 上田 千織  
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