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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
管理番号 1266264
審判番号 不服2011-12740  
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-06-15 
確定日 2012-11-15 
事件の表示 特願2004-251666「携帯電話機及びその付属機能起動方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 3月16日出願公開、特開2006- 74111〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成16年8月31日の出願であって、平成23年3月7日付けで拒絶査定がなされ、同年6月15日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、手続補正がなされたものであり、これに対し平成24年6月7日付けで、当審により拒絶理由が通知された。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成23年6月15日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「付属機能を備えた携帯電話機において、
前記携帯電話機の付属機能が起動操作可能な状態において、前記付属機能の起動が指示された際、前記携帯電話機に対する加入者契約カードが装着されているか否かに基づいて、前記付属機能の実行を制御する制御手段を備えたことを特徴とする携帯電話機。」

3.引用例
当審の拒絶の理由に引用された特開2001-313695号公報(以
下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の記載がなされている。

(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 所定の基地局との間で無線通信を行う通信端末の制御方法において、
上記無線通信を、所定の通信に関する登録処理が行われている場合に実行可能な状態とすると共に、
所定の操作に基づいて上記無線通信以外の所定の機能を実行する処理を、上記通信に関する登録処理が行われてない場合に制限するようにした通信端末の制御方法。
【請求項2】 請求項1記載の通信端末の制御方法において、
上記通信に関する登録処理は、所定の識別データが端末内に登録されていることである通信端末の制御方法。」

(2)「【0006】
【発明が解決しようとする課題】……
……
【0008】一方、オーディオ再生装置が内蔵された携帯電話端末については、電話回線の契約者に販売することになるため、その契約者であるユーザが、無線電話回線の契約を解約したとしても、端末そのものはユーザの手元に残ることになる。この契約が解約された端末が、オーディオ再生装置として使用されてしまうと、例えばダウンロードされたオーディオデータの聴取が、電話会社側では管理できない状態で自由に行えることになり、著作権の保護などの観点から好ましくない状態になってしまう。
……
【0010】なお、ここでは携帯電話端末にオーディオ再生装置を組み込んだ場合の問題について説明したが、同様の通信端末に、無線通信とは直接的に関係がない他の機能を組み込んだ場合にも、同様の問題がある。」

(3)「【0027】次に、本例の携帯電話端末100の内部構成を、図4を参照して説明する。……
……
【0028】CPU135には、この端末の動作に必要な情報が記憶されるROM136と、電話帳情報などのユーザが登録した情報が記憶されるRAM137とが接続してあり、CPU135が随時記憶情報を読出すようにしてある。この場合、ROM136は、所定の処理を行ったとき一部の記憶
データの書換えが可能なフラッシュメモリとしてあり、電話機能に関する登録情報を書き込ますようにしてある。このROM136に記憶される電話機能に関する登録情報としては、この電話端末に固有の識別番号であるID
データや、無線電話会社への契約の有無の情報や、契約を行った場合には、電話会社から付与された電話番号の情報などがある。また、オーディオ再生機能に関する契約が必要な場合には、その契約に関する情報をROM136に書き込ませるようにしても良い。」

(4)「【0039】ここで本実施の形態においては、この携帯電話端末が内蔵した再生機能部の動作を、電話端末としての動作に関連して制限するようにしてある。以下、その動作の制限処理の例について説明する。図5は、再生機能部の動作制限処理の一例を示したフローチャートである。端末内での動作を制御するCPU135では、ヘッドホン装置20に取付けられたリモートコントロール部22又は端末100に取付けられたキー入力部111などの操作で、オーディオや音声の再生又は記録に関する操作があるか否か判断する(ステップS11)。ここで、該当する操作が行われたと判断したとき、CPU135に接続されたROM136に電話登録に関する情報の記憶があるか否か判断する(ステップS12)。ここでの判断としては、例えばこの端末装置に割り当てられた電話番号情報の記憶があるか否か判断す
る。或いは、直接登録の有無に関する情報がある場合には、その登録の有無の情報から判断する。
【0040】ステップS12の判断で、登録がないと判断したときには、例えば携帯電話端末100の表示部123やリモートコントロール部22の表示部23に、オーディオ再生(記録)機能が無効であることを表示させ、メモリカード10に記憶されたデータの再生処理(記録処理)をCPU135が実行させないように制限させる(ステップS13)。このときの表示部123での表示としては、例えば図6に示すように、「オーディオ機能は使えません」などと表示させる。
【0041】また、ステップS12の判断で、電話に関する登録がある端末であると判断した場合には、端末100に内蔵された二次電池の残量が、
オーディオ再生又は記録が可能な残量以上であるか否か判断する(ステップS14)。ここでは、残量が30%以上であるとき、再生や記録が可能であるものとし、それ以下の残量である場合には、電話の発信や着信のために必要な電池残量であるものとして、端末の再生機能部は作動させないようにしてある。ステップS14の判断で、再生又は記録が可能な残量以下であると判断したときには、例えば携帯電話端末100の表示部123に、電池残量不足でオーディオ再生(記録)が行えないことを表示させ、メモリカード10に記憶されたデータの再生処理(記録処理)をCPU135が実行させないように制限させる(ステップS15)。
【0042】ステップS14の判断で、電池残量が十分であると判断した場合には、ステップS11で判断した操作よる再生動作又は記録動作を開始させる(ステップS16)。
【0043】このようにして、携帯電話端末100が内蔵した再生(記録)機能部の動作を制限させることで、この携帯電話端末100が電話会社などに契約されていない端末装置である場合に、端末装置が再生装置や記録装置として使用されることがなく、携帯電話端末を管理する電話会社側で、端末100に組み込まれた機能を適切に管理できるようになる。
【0044】図5に示した例では、携帯電話端末100での登録情報の記憶の有無に基づいて機能制限を行うようにしたが、無線電話回線(ここでの無線電話回線には制御データなどをやり取りする回線についても含む)を介して端末100が受信した情報に基づいて、機能制限を行うようにしても良
い。
……
【0049】また、ここまでの例では、端末100側で記憶データや受信
データに基づいて契約がないと積極的に判断できる例としたが、単に端末100での使用状態から機能制限を行うようにしても良い。」

(5)「【0069】また、上述した実施の形態では、オーディオデータや音声データの再生機能や記録(記憶)機能を電話端末装置に組み込むようにしたが、その他の機能を電話端末装置に組み込むようにした場合にも、その組み込まれた機能を同様に制御しても良い。例えば、オーディオデータの代わりに、画像データやゲームプログラムなどをメモリに記憶させて、その再生機能(実行機能)を端末装置に組み込んだ場合に、その画像の再生機能やゲームの実行機能の制限を同様の処理で行うようにしても良い。」

したがって、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「無線通信とは直接的に関係がない他の機能を組み込んだ携帯電話端末において、
他の機能に関する操作があるか否か判断し、
該当する操作が行われたと判断したとき、電話登録に関する情報の記憶があるか否かを、端末装置に割り当てられた電話番号情報の記憶があるか否
か、或いは、直接登録の有無に関する情報がある場合には、その登録の有無の情報から、判断し、
登録がないと判断したときには、他の機能を実行させないように制限さ
せ、
電話に関する登録がある端末であると判断し、電池残量が十分であると判断した場合には、他の機能に関する操作による動作を開始させることで、
携帯電話端末が電話会社などに契約されていない端末装置である場合に、機能制限を行うようにした携帯電話端末。」

4.対比
無線通信とは直接的に関係がない他の機能を組み込んだ携帯電話端末は、付属機能を備えた携帯電話機といえる。
引用発明は、「他の機能に関する操作があるか否か判断し」、「電話に関する登録がある端末であると判断し、電池残量が十分であると判断した場合には、他の機能に関する操作による動作を開始させる」ので、「他の機能に関する操作があるか否か判断し」とするときには、他の機能は起動操作可能な状態にあるといえる。
引用発明は、電話登録に関する情報の記憶があるか否かを判断し、携帯電話端末が電話会社などに契約されていない端末装置である場合に、機能制限を行うようにしたものであるから、付属機能の実行を制御する機能を有する点で、本願発明の「制御手段」と共通する。

したがって、本願発明と引用発明とを対比すると、次の点で一致する。

「付属機能を備えた携帯電話機において、
前記携帯電話機の付属機能が起動操作可能な状態において、前記付属機能の起動が指示された際、前記付属機能の実行を制御する制御手段を備えたことを特徴とする携帯電話機。」

また次の点で相違する。

相違点
本願発明は、「携帯電話機に対する加入者契約カードが装着されているか否かに基づいて」、付属機能の実行を制御するのに対して、引用発明は、電話登録に関する情報の記憶があるか否かを判断し、付属機能の実行を制御する点。

5.相違点に対する判断
当審の拒絶の理由に引用された特開2004-23612号公報(平成16年1月22日出願公開)に記載されているようなSIMカード等は、携帯電話機に着脱可能な契約者情報を記録した加入者契約カードとして周知のものであり、ほとんどの携帯電話機に採用されていることはよく知られたことである。
そのような携帯電話機では、SIMカードのような加入者契約カードが携帯電話機に装着されていないと、引用発明の「電話登録に関する情報」のような契約者情報があると判断されないことは明らかであり、「電話登録に関する情報」があると判断されるためには、少なくともSIMカードのような加入者契約カードが携帯電話機に装着されていることが必要である。
したがって、引用発明において、「電話登録に関する情報」をSIMカードのような加入者契約カードに記憶することで、電話登録に関する情報の記憶があるか否かを、携帯電話機に対する加入者契約カードが装着されているか否かに基づいて判断し、本願発明と同様のものとすることに困難な点はない。
なお、前記の特開2004-23612号公報には、SIMカードが携帯電話機に装着されていないと、携帯電話機の機能を制限することも記載されている。
引用発明は、携帯電話端末が電話会社などに契約されていない端末装置である場合に、機能制限を行うようにした携帯電話端末であるから、SIM
カードが携帯電話端末に装着されていないと、その携帯電話端末が電話会社などに契約されていない端末装置であると判断して、機能制限を行うようにすることにも、困難な点はないといえる。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-09-11 
結審通知日 2012-09-18 
審決日 2012-10-02 
出願番号 特願2004-251666(P2004-251666)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山中 実桑江 晃  
特許庁審判長 加藤 恵一
特許庁審判官 飯田 清司
吉村 博之
発明の名称 携帯電話機及びその付属機能起動方法  
代理人 萩原 誠  

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