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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 C07D
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 C07D
管理番号 1266447
審判番号 不服2010-17231  
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-07-30 
確定日 2012-11-07 
事件の表示 平成 9年特許願第535612号「カカオ抽出化合物及び同一物を製造及び使用するための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年10月 9日国際公開、WO97/36497、平成12年 6月 6日国内公表、特表2000-506901〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、1997年4月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 1996年4月2日 (WO)世界知的所有権機関、1996年4月2日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成20年9月16日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成21年3月30日付けで意見書が提出されるとともに同日付けで手続補正がなされ、平成22年3月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年7月30日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。


2.平成22年7月30日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成22年7月30日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)本件補正の内容
本件補正により、特許請求の範囲は、
補正前の
「1. 心血管疾患、卒中、リウマチ性関節炎、変形性関節症、痛風、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患または脊椎炎を治療するための組成物であって:
式Anで表わされる高分子化合物、あるいはその医薬として許容される配糖体またはエステルを含み、前記Aが、以下の式で表される単量体であることを特徴とする組成物:
(以下、省略)
2. 一酸化窒素調節物質または一酸化窒素シンターゼ調節物質を必要とする被験者を治療するための経口投与用組成物であって:
式Anで表わされる高分子化合物、あるいはその医薬として許容される配糖体またはエステルを含み、前記Aが、以下の式で表される単量体であることを特徴とする組成物:

(式中nは、2?18の整数であり;
R及びXはそれぞれα又はβ立体構造を有し;
RはOH又はO-糖であり;
C-4、C-6及びC-8の置換基はそれぞれX、Z及びYであり、単量体単位の結合はC-4、C-6又はC-8で生じ;
C-4、C-6又はC-8がいずれも別の単量体単位に結合していないとき、X、Y及びZは水素であるか、又はZとYが糖で、Xが水素であるか、又はXが糖で、ZとYがHであるか、又はその組合せであり、但し、第2の単量体単位が第1の単量体単位のC-4に結合しているとき、前記第1の単量体単位のYとZは水素であり;且つ
前記糖は、置換されていない糖か、又はエステル結合を介してフェノール成分で置換された糖である。)
3. (省略)
4. (省略)
5. 前記被験者が、アテローム性動脈硬化症、血栓症、心臓発作、卒中又は血管循環問題を患っていることを特徴とする、請求項2記載の組成物。
6.(省略)
7.(省略)
8.(省略)
9.(省略)
10.(省略)
11.(省略)
12.(省略)
13.(省略)
14. 前記nが5?12であることを特徴とする、請求項1から6および10から13いずれか1項記載の組成物。
15. 前記nが5であることを特徴とする、請求項1から6および10から13いずれか1項記載の組成物。
16. 前記糖が、グルコース、ガラクトース、キシロース、ラムノースおよびアラビノースより成る群から選択されることを特徴とする、請求項1から6および10から13いずれか1項記載の組成物。
17. 前記フェノール成分が、カフェー酸、ケイ皮酸、クマル酸、フェルラ酸、没食子酸、ヒドロキシ安息香酸及びシナピン酸より成る群から選択されることを特徴とする、請求項1から6および10から13いずれか1項記載の組成物。
18. 式Anで表される化合物において、隣接単量体のC-4とC-6の間または隣接単量体のC-4とC-8の間で結合が生じ;
X、Y及びZは、X及びYが隣接単量体であればZが水素又は糖であり、X及びZが隣接単量体であればYが水素又は糖であること、さらに2個の末端単量体単位中少なくとも1つに関して、隣接単量体単位の結合がC-4にあって、必要に応じてY=Z=水素であることを条件に、各々が水素、糖又は隣接単量体であることを特徴とする、請求項1から6および10から13いずれか1項記載の組成物。
19. 前記化合物が、[EC-(4β→8)]2-EC、[EC-(4β→8)]2-C及び[EC-(4β→6)]2-ECより成る群から選択されるトリマー;[EC-(4β→8)]3-EC、[EC-(4β→8)]3-C及び[EC-(4β→8)]2-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるテトラマー;[EC-(4β→8)]4-EC、[EC-(4β→8)]3-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]3-EC-(4β→8)-C及び[EC-(4β→8)]3-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるペンタマー;[EC-(4β→8)]5-EC、[EC-(4β→8)]4-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]4-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]4-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるヘキサマー;[EC-(4β→8)]6-EC、[EC-(4β→8)]5-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]5-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]5-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるヘプタマー;[EC-(4β→8)]7-EC、[EC-(4β→8)]6-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]6-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]6-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるオクタマー;[EC-(4β→8)]8-EC、[EC-(4β→8)]7-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]7-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]7-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるノナマー;ならびに[EC-(4β→8)]9-EC、[EC-(4β→8)]8-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]8-EC-(4β→8)-C及び[EC-(4β→8)]8-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるデカマー;より成る群から選択され、ここでECはエピカテキン部分を表し、かつCはカテキン部分を表すことを特徴とする、請求項1から6および10から13いずれか1項記載の組成物。
20. 錠剤、カプセル、丸剤、チュアブル固形物または飲料剤の形態をとることを特徴とする、請求項1から13いずれか1項記載の組成物。
21.(省略)
22.(省略)
23.(省略)
24.(省略)
25.(省略)
26. [EC-(4β→8)]4-EC、[EC-(4β→8)]3-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]3-EC-(4β→8)-C及び[EC-(4β→8)]3-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるペンタマー;[EC-(4β→8)]5-EC、[EC-(4β→8)]4-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]4-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]4-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるヘキサマー;[EC-(4β→8)]6-EC、[EC-(4β→8)]5-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]5-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]5-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるヘプタマー;[EC-(4β→8)]7-EC、[EC-(4β→8)]6-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]6-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]6-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるオクタマー;[EC-(4β→8)]8-EC、[EC-(4β→8)]7-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]7-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]7-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるノナマー; [EC-(4β→8)]9-EC、[EC-(4β→8)]8-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]8-EC-(4β→8)-C及び[EC-(4β→8)]8-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるデカマー;[EC-(4β→8)]10-EC、[EC-(4β→8)]9-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]9-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]9-EC-(4β→6)-Cからなる群から選択されるウンデカマー;ならびに[EC-(4β→8)]11-EC、[EC-(4β→8)]10-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]10-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]10-EC-(4β→6)-Cからなる群から選択されるドデカマー;より成る群から選択され、
ここでECはエピカテキン部分を表し、かつCはカテキン部分を表し、前記ペンタマー、ヘキサマー、ヘプタマー、オクタマー、ノナマー、デカマー、ウンデカマー、およびドデカマーの末端単量体単位の3位が、ガレート又はβ-D-グルコースで誘導体化していることを特徴とする化合物。」
から、
補正後の
「【請求項1】アテローム性動脈硬化症、心臓発作、卒中又は血管循環問題を患っている被験者を治療するための経口投与用組成物であって:
式Anで表わされる高分子化合物、あるいはその医薬として許容されるエステルを含み、前記Aが、以下の式で表される単量体であることを特徴とする組成物。
【化1】

(式中nは、2?18の整数であり;
R及びXはそれぞれα又はβ立体構造を有し;
RはOH又はO-糖であり;
C-4、C-6及びC-8の置換基はそれぞれX、Z及びYであり、単量体単位の結合はC-4、C-6又はC-8で生じ;
C-4、C-6又はC-8がいずれも別の単量体単位に結合していないとき、X、Y及びZは水素であるか、又はZとYが糖で、Xが水素であるか、又はXが糖で、ZとYがHであるか、又はその組合せであり、但し、第2の単量体単位が第1の単量体単位のC-4に結合しているとき、前記第1の単量体単位のYとZは水素であり;且つ
前記糖は、置換されていない糖か、又はエステル結合を介してフェノール成分で置換された糖である。)
【請求項2】前記nが5?12であることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項3】前記nが5であることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項4】前記糖が、グルコース、ガラクトース、キシロース、ラムノースおよびアラビノースより成る群から選択されることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項5】前記フェノール成分が、カフェー酸、ケイ皮酸、クマル酸、フェルラ酸、没食子酸、ヒドロキシ安息香酸及びシナピン酸より成る群から選択されることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項6】式Anで表される化合物において、隣接単量体のC-4とC-6の間または隣接単量体のC-4とC-8の間で結合が生じ;
X、Y及びZは、X及びYが隣接単量体であればZが水素又は糖であり、X及びZが隣接単量体であればYが水素又は糖であること、さらに2個の末端単量体単位中少なくとも1つに関して、隣接単量体単位の結合がC-4にあって、必要に応じてY=Z=水素であることを条件に、各々が水素、糖又は隣接単量体であることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項7】前記化合物が、[EC-(4β→8)]2-EC、[EC-(4β→8)]2-C及び[EC-(4β→6)]2-ECより成る群から選択されるトリマー;[EC-(4β→8)]3-EC、[EC-(4β→8)]3-C及び[EC-(4β→8)]2-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるテトラマー;[EC-(4β→8)]4-EC、[EC-(4β→8)]3-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]3-EC-(4β→8)-C及び[EC-(4β→8)]3-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるペンタマー;[EC-(4β→8)]5-EC、[EC-(4β→8)]4-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]4-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]4-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるヘキサマー;[EC-(4β→8)]6-EC、[EC-(4β→8)]5-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]5-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]5-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるヘプタマー;[EC-(4β→8)]7-EC、[EC-(4β→8)]6-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]6-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]6-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるオクタマー;[EC-(4β→8)]8-EC、[EC-(4β→8)]7-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]7-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]7-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるノナマー;ならびに[EC-(4β→8)]9-EC、[EC-(4β→8)]8-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]8-EC-(4β→8)-C及び[EC-(4β→8)]8-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるデカマー;より成る群から選択され、ここでECはエピカテキン部分を表し、かつCはカテキン部分を表すことを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項8】錠剤、カプセル、丸剤、チュアブル固形物または飲料剤の形態をとることを特徴とする、請求項1から7いずれか1項記載の組成物。
【請求項9】[EC-(4β→8)]4-EC、[EC-(4β→8)]3-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]3-EC-(4β→8)-C及び[EC-(4β→8)]3-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるペンタマー;[EC-(4β→8)]5-EC、[EC-(4β→8)]4-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]4-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]4-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるヘキサマー;[EC-(4β→8)]6-EC、[EC-(4β→8)]5-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]5-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]5-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるヘプタマー;[EC-(4β→8)]7-EC、[EC-(4β→8)]6-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]6-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]6-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるオクタマー;[EC-(4β→8)]8-EC、[EC-(4β→8)]7-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]7-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]7-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるノナマー; [EC-(4β→8)]9-EC、[EC-(4β→8)]8-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]8-EC-(4β→8)-C及び[EC-(4β→8)]8-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるデカマー;[EC-(4β→8)]10-EC、[EC-(4β→8)]9-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]9-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]9-EC-(4β→6)-Cからなる群から選択されるウンデカマー;ならびに[EC-(4β→8)]11-EC、[EC-(4β→8)]10-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]10-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]10-EC-(4β→6)-Cからなる群から選択されるドデカマー;より成る群から選択され、
ここでECはエピカテキン部分を表し、かつCはカテキン部分を表し、前記ペンタマー、ヘキサマー、ヘプタマー、オクタマー、ノナマー、デカマー、ウンデカマー、およびドデカマーの末端単量体単位の3位が、ガレート又はβ-D-グルコースで誘導体化していることを特徴とする化合物。」
へ補正された。

そこで、本件補正前後の特許請求の範囲を対比すると、本件補正は、
1)本件補正前の請求項2において、
ア)治療の対象を「一酸化窒素調節物質または一酸化窒素シンターゼ調節物質を必要とする被験者」から「アテローム性動脈硬化症、心臓発作、卒中又は血管循環問題を患っている被験者」に補正し、
イ)化合物を「式Anで表わされる高分子化合物、あるいはその医薬として許容される配糖体またはエステル」から「式Anで表わされる高分子化合物、あるいはその医薬として許容されるエステル」に補正し、
2)本件補正前の請求項1、3?13、及び、21?25を削除し、それに応じて、残った請求項の項番号を繰り上げたり、残った請求項が引用する請求項の項番号を減らしたりするもの、
ということができるものである。

(2)本件補正の適否
(2-1)本件補正の目的について
本願明細書94?99ページの「NOに関連する有用性」の欄には、酸化窒素(NO)は、アテローム性動脈硬化症、高血圧、マクロファージによる病原菌の増殖の抑制に関与するものである旨記載され、同じく89ページ最下行?90ページ1行には、「アテローム硬化症は心臓発作、卒中及び血管循環問題の主要原因である。」と記載されている。これらの記載からみて、本願明細書には、アテローム性動脈硬化症や、それを原因とする心臓発作、卒中及び血管循環問題は、一酸化窒素が関与する疾患の一部であることが記載されているといえる。
そうすると、本件補正は、1)のア)については、本件補正前の請求項2に記載された発明を特定するために必要な事項である「一酸化窒素調節物質または一酸化窒素シンターゼ調節物質を必要とする被験者」を、その被験者の一部のものといえる「アテローム性動脈硬化症、心臓発作、卒中又は血管循環問題を患っている被験者」に限定するものということができる。
また、1)のイ)については、本件補正前の請求項2に記載された発明を特定するために必要な事項である「式Anで表わされる高分子化合物、あるいはその医薬として許容される配糖体またはエステル」を「式Anで表わされる高分子化合物、あるいはその医薬として許容されるエステル」に限定するものであることが明らかである。
そして、本件補正後の各請求項に記載された発明と本件補正前の各請求項に記載された発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
してみると、本件補正は、1)については、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前の特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、2)については、請求項を削除する補正であることが明らかであるから、平成18年改正前の特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。

(2-2)独立特許要件違反について
そこで進んで、本件補正後の請求項1?9に記載された発明(以下、「本願補正発明」ともいう。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否か、について検討する。

(2-2-1)原査定の理由
原査定の拒絶の理由の一部は、以下のとおりのものである。
「3.この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。
4.この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。


【理由3、4について】
本願明細書の発明の詳細な説明において、式Anで表される高分子化合物として、その化学構造が同定されているのは、プロシアニジンB-2等の極限られた化合物に過ぎず、カカオから抽出、精製された3?11量体プロシアニジンについては、各々が優位に含まれるフラクションから個々の化合物を単離する方法、化学構造の具体的同定データは何ら記載されていない。なお、5量体については図38A?38Pに「好ましい構造」が記載されているが、考えられ得る化学構造を単に列挙したに過ぎず、該記載をもって個々の化学構造が裏付けられているものとは認められない。
したがって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1-53に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないし、請求項1-53に係る発明は、発明の詳細な説明において裏付けられた範囲を超える発明を含むものであるから、発明の詳細な説明に記載された発明を記載したものとはいえない。」

(2-2-2)判断
本願明細書には、式Anで表される高分子化合物の製造や、その化学構造について以下の(ア)?(ナ)の記載がある。
(ア)「本発明は、カカオ抽出物類、及び好ましくはプロシアニジン類を富裕に含むポリフェノール類のようなそれらから作られた化合物類に関する。本発明はさらに、そうした抽出物類及び化合物類を調製するための方法、並びに、例えば・・・NO(一酸化窒素)又はNOシンターゼ・モジュレーター、・・・のようなそれらについての使用に関する。
」(57ページ10?18行)

(イ)「実施例
実施例1: カカオ源および調製方法
・・・未発酵の凍結乾燥カカオ豆を、・・・微粉末塊にした。次に、得られる塊を、・・・脱脂した。・・・残留溶剤を脱脂塊から除去した。・・・

実施例2: プロシアニジン抽出手順
A.方法1
・・・によって記載されている方法の改良法を用いて、実施例1の脱脂、未発酵、凍結乾燥カカオ豆から、プロシアニジンを抽出した。・・・
B.方法2
あるいは、70%水性アセトンを用いて、実施例1の脱脂、未発酵、凍結乾燥カカオ豆から、プロシアニジンが抽出される。・・・

実施例3: カカオプロシアニジンの部分精製
A. ゲル透過クロマトグラフィー
実施例2から得られるプロシアニジンを、・・・液体クロマトグラフィーによって、部分精製した。・・・フラクション化を示す代表的ゲル透過クロマトグラムを、図1に示す。・・・
B. 半分取高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)
方法1. 逆相分離
実施例2及び/又は3Aから得られるプロシアニジンを、半分取HPLCによって部分的に精製した。・・・代表的半分取HPLC痕跡を、フラクションD+Eに存在するプロシアニジンの分離に関して、図15Nに示す。・・・
方法2.
標準相分離
実施例2及び/又は3Aから得られるプロシアニジン抽出物を、半分取HPLCによって部分的に精製した。・・・代表的半分取HPLC痕跡を、図150に示す。・・・
得られたフラクションは以下の通りであった。

」(109ページ4行?115ページ下から6行)

(ウ)「





」(各々、222,306、307ページ)

(エ)「実施例4: プロシアニジン抽出物の分析HPLCによる分析
方法1. 逆相分離
実施例3から得られるプロシアニジン抽出物を、・・・3元HPLCシステムによって、分析した。・・・種々の成分の分離を示す代表的HPLCクロマトグラムを、1つのカカオ遺伝子型に関して、図2Aに示す。・・・
方法2. 標準相分離
実施例2及び/又は3から得られるプロシアニジン抽出物を、・・・HPLCシステムによって、分析した。・・・種々のプロシアニジンの分離を示す代表的HPLCクロマトグラムを、1つのカカオ遺伝子型に関して、図2Bに示す。」(115ページ下から5行?117ページ17行)

(オ)「



」(223、224ページ)

(カ)「実施例5: プロシアニジンの同定
・・・陽および陰イオンモードにおけるリキッドセカンダリーイオンマススペクトロメトリー(Liquid Secondary Ion Mass Spectrometry)(LSIMS)法を用いて、VG ZAB-T高分解MSシステムにおいて、ファーストアトムボンバードメント-マススペクトロメトリー(Fast Atom Bombardment-Mass Spectrometry)(FAB-MS)によって、部分精製単離物を分析した。・・・
表3: カカオプロシアニジンフラクションからのLSIMS (陽イオン)データ

主なマスフラグメントイオンは、プロシアニジンの陽および陰イオンFAB-MS分析に関して以前に報告された研究と一致した(Selfら、1986、およびPorterら、1991)。m/z 577(M+H)+に対応するイオン、およびm/z 599(M+Na)+におけるそれのナトリウムアダクトは、単離物における二重結合プロシアニジン二量体の存在を示唆した。・・・プロシアニジン異性体B-2、B-5、およびC-1は、Revillaら(1991)、Selfら(1986)、およびPorterら(1991)によって報告された研究に基づいて試験的に同定された。八量体および十量体の両方までのプロシアニジンは、部分精製フラクションにおけるFAB-MSによって立証された。さらに、十二量体までのプロシアニジンの証拠は、標準相HPLC分析によって観察された(図2B参照)。表4は、逆相HPLC分析に基づく、キサンチンアルカロイドを含まない単離物中に見い出されるプロシアニジンの相対濃度を示している。
表4: キサンチンアルカロイドを含まない単離物中の、プロシアニジンの相対濃度

表5: 水性アセトン抽出物中の、プロシアニジンの相対濃度

図3は、いくつかのプロシアニジン構造を示し、図4A?4Eは、下記の抗癌または抗新生物活性のスクリーニングに使用される5つのフラクションの代表的HPLCクロマトグラムを示す。」(118ページ2行?121ページ4行)

(キ)「

」(225ページ)

(ク)「実施例11: プロシアニジンの合成
プロシアニジンの合成は、Delcourら(1983)によって開発された方法に改良を加えて行われた。還元条件下における(+)-カテキンとジヒドロクエルセチン(dihydroquercetin)との縮合に加えて、未発酵カカオ豆に自然に発生する(-)-エピカテキンの高濃度を反映させるために、(-)-エピカテキンも使用された。合成生成物を単離し、精製し、分析し、実施例3、4、および5に記載の方法によって同定した。このようにして、ビフラバノイド、トリフラバノイド、およびテトラフラバノイドを調製し、分析標準として、およびカカオ抽出物に関して前記に記載した方法において、使用した。」(140ページ下から4行?141ページ5行)

(ケ)「実施例13: HPLC精製法
方法A. GPC精製
実施例2で得たプロシアニジンを、・・・液体クロマトグラフィーによって、部分的に精製した。1時間半後、溶離剤のフラクションを収集し、・・・た。これらのフラクションを、五量体を多く含むフラクションと呼んだ。実施例2から得られる抽出物約2.00gをこのようにしてサブフラクション化した。・・・
・・・
実施例14: 五量体を含むフラクションのHPLC分離
・・・
方法D. 分取標準相分離
実施例13で得た五量体を多く含むフラクションを、Rigaudら(1993)J.Chrom.654,255-260の方法に改良を加えて、分取標準相クロマトグラフィーによってさらに精製した。
・・・カカオプロシアニジンの典型的分取標準相HPLC分離が、図42に示されている。」(141ページ下から7行?148ページ4行)

(コ)「

」(401ページ)

(サ)「実施例15: プロシアニジンの同定
・・・MALDI-TOF/MSシステムを用いて、・・・実施例14の方法Dによって得られるプロシアニジンを分析した。・・・
代表的なMALDI-TOF/MSを図22Aに示す。」(148ページ下から6行?149ページ12行)

(シ)「

」(315ページ)

(ス)「実施例16:
オリゴマーフラクションの精製
方法A.半分取逆相HPLCによる精製
実施例14の方法AおよびBおよびDから得られるプロシアニジンをさらに分離して、さらなる構造的同定および解明のための同様のオリゴマーの実験量を得た(例えば、実施例15、18、19、および20)。・・・代表的溶離プロフィールが、図23bに示されている。
方法B.改良半分取HPLC
実施例14の方法AおよびBおよびDから得られるプロシアニジンをさらに分離して、さらなる構造的同定および解明のための同様のオリゴマーの実験量を得た(例えば、実施例15、18、19および20)。・・・代表的な溶離プロフィールが、図23Aに示されている。」(150ページ11行?151ページ16行)

(セ)「



」(318?319ページ)

(ソ)「実施例17: 五量体のモデリング
Oxford University Press、1994、Desktop Molecular Modeller、バージョン3.0を用いて、分子モデリングによってエネルギー最小構造を決定した。エピカテキンの構造に基づく[EC(4→8)]4-EC(EC=エピカテキン)五量体の4つの代表的な図が、図24A?Dに示されている。螺旋構造が示唆されている。一般に、エピカテキンが第一モノマーであり、結合が4→8であるとき、β配置が生じ、第一モノマーがカテキンであり、結合が4→8であるとき、α配置が生じる;これらの結果は、第二モノマーがエピカテキンであるかまたはカテキンであるかに関係なく得られる(例外は、ent-EC(4→8)ent-ECである)。図38A?38Pは好ましい五量体を示し、図39A?39Pは、五量体を含む五量体までの一連の立体異性体を示し、これらから本発明の範囲に含まれる他の化合物を、不要な実験をすることなく、調製することができる。」(151ページ17行?152ページ3行)

(タ)「実施例18: プロシアニジンのNMR評価
・・・^(13)C NMR、^(1)H NMR、・・・を用いて、本発明の化合物の構造を解明した。
方法A.単量体
・・・
図44A?Eは、エピカテキン単量体の構造の特徴づけるために使用されたNMRスペクトルを示している。
同様に、図45A?Fは、カテキン単量体の構造の特徴づけるために使用されたNMRスペクトルを表している。・・・
方法B.二量体
・・・
図46A?Gは、B2二量体の構造の特徴をづけるために使用されたスペクトルを示す。・・・
方法C.三量体-エピカテキン/カテキン
・・・
図48A?Dは、エピカテキン/カテキン三量体の構造の特徴をづけるために使用されたスペクトルを示す。・・・
方法D.三量体-全エピカテキン
・・・
図49A?Dは、全エピカテキン三量体の構造の特徴を示すために使用されたスペクトルを示す。・・・」(152ページ4行?154ページ17行)

(チ)「実施例19: プロシアニジンのチオール開裂
プロシアニジンの構造の特徴を示すために、ベンジルメルカプタン(BM)をカテキン、エピカテキン、または二量体B2およびB5と反応させた。ベンジルメルカプタン、ならびにフロログルシノールおよびチオフェノールは、アルコール/酢酸環境下にプロシアニジンの加水分解(チオール開裂)に使用することができる。カテキン、エピカテキンまたは二量体(B2およびB5二量体の1:1混合物)(2.5mg)を、エタノール1.5mL、BM100μLおよび酢酸50μLに溶解し、容器(Beckmanアミノ酸分析器)を、排気し、窒素による最終パージ後に反応器が密封されるまで、窒素で繰り返しパージした。反応器を95℃で熱ブロックに入れ、反応のアリコートを30分、60分、120分、および240分において取った。各アリコートの相対蛍光を、エピカテキン、カテキン、および二量体を各々表す図25A?Cに示す。高オリゴマーも同様にチオール開裂される。
実施例20: 二量体のチオール開裂および脱硫
二量体(B2またはB5;1.0mg)を、600μL エタノール、40μL BM、および酢酸20μL中に溶解することによって、ベンジルメルカプタンを用いて二量体B2およびB5を加水分解した。混合物を、Beckmanアミノ酸分析器中で窒素下に95℃で4時間加熱した。逆相HPLCによる分析のために、アリコートを取り、各75μLのエタノールラニーニッケルおよび没食子酸(10mg/mL)を、2mLガラス瓶中の残留反応媒質に加えた。容器を水素でパージし、1時間の間に時々振った。生成物を0.45μフィルターで濾過し、逆相HPLCで分析した。代表的溶離プロフィールを図26AおよびBに示す。高オリゴマーも同様に脱硫される。このデータは、エピカテキンまたはカテキンの重合を示唆しており、従って、本発明の化合物の調製の合成経路を示す。」(154ページ18行?155ページ15行)

(ツ)「実施例29:プロシアニジンの円偏光二色性/研究
実施例14方法Dでの通り精製プロシアニジンの構造を解明するのに努力してCD(円偏光二色性)調査を行った。CDスペクトラム・ソフトウエアAVIV60DSV4. 1fを使用して、25℃でスペクトラムを収集した。
サンプルを、300nm?185nmで、1.5nmバンド幅で、1.00nmごとに走査した。代表的CDスペクトラムは、図43A?Gに示され、それは、二量体?八量体までのCDスペクトラムを示す。
これらの結果は、発明の化合物の螺旋特性の指標となる。」(176ページ8行?15行)

(テ)「

」(402ページ)

(ト)「実施例34.カカオ・プロシアニジンのミセル界面動電キャピラリークロマトグラフィー
プロシアニジン・オリゴマーを分離するミセル界面動電キャピラリークロマトグラフィー(MECC)を使用して、迅速な方法が開発された。・・・図57は、実施例2によって得られたカカオ・プロシアニジンのMECC分離を示す。
・・・
実施例35.MALDI-金属塩溶液を用いたプロシアニジン・オリゴマーのTOF MS/MS分析
様々な金属塩溶液と組合せた三量体で、一連のMALDI-TOF/MS分析を行って、オリゴマーの陽イオンアダクトが検出できるかどうかを測定した。・・・
実施例36.MALDI-高分子量プロシアニジン・オリゴマーのTOF/MS分析
実施例3方法Aで製造した通りの高分子プロシアニジン・オリゴマーと関連したGPC溶出剤で分析的試験を行った。本目的は、n>12を示すプロシアニジン・オリゴマーが存在するかどうかを決定することであった。
・・・
図59は、上記GPC溶出剤サンプルのMALDI-TOF質量スペクトラムを表す。四量体からオクタ十量体を代表するプロシアニジン・オリゴマーを特徴づける[M+Na]+および/または[M+K]+および/または[M+2Na]
+イオンは明白である。
酸および熱処理は、プロシアニジン・オリゴマーの加水分解を起こすことが知られていた。したがって、本発明は、低分子量のプロシアニジン・オリゴマー(例えば、nが2?12である)を製造する方法として高分子量のプロシアニジン・オリゴマー(例えば、nは13?18である)の制御された加水分解を包含する。」(186ページ1行?188ページ下から7行)
(ナ)「



」(442、449ページ)

まず、本願補正発明がいかなるものであるか確認すると、本件補正後の請求項1の記載からみて、同請求項に記載される発明は、上記式Anで表わされる高分子化合物などを含む組成物であり、上記式Anで表わされる高分子化合物は、例えば本件補正後の請求項7に列記される化合物のような、種々の化合物個々のものを意味するものと解される。また、本件補正後の請求項9の記載からみて、同請求項に記載される発明は、同請求項に列記される化合物個々のものを意味するものと解される。そして、上記式Anで表わされる高分子化合物には、最も小さい化合物であるn=2である場合の化合物、すなわち、単量体単位が2つ結合した場合の化合物であっても、その結合の仕方や、置換基の違いによって、多数の化合物が包含されるものと解され、単量体単位の数が増えるにしたがって、包含される化合物の数は、著しく多くなるものと解される。
そして、上記式Anで表わされる高分子化合物などを含む本件補正後の請求項1?8に記載の組成物の発明や、本件補正後の請求項9に列記される化合物の発明を当業者が実施できる、あるいは、それらの発明が本願明細書の発明の詳細な説明によって裏付けられている、といえるためには、当業者が、それらの化合物(以下、「本願補正発明化合物」という。)を、本願明細書の記載及び本願出願時の技術常識に基づいて製造することができることが必要であり、具体的には、本願補正発明化合物のうち本願出願時点で新規なものについては、その少なくとも一部の化合物について、実際に製造してその化学構造を物性データに基づいて決定して本願補正発明化合物に該当する化合物であることを明らかにする実施例を本願明細書に記載すること、及び、実際に製造していない化合物についても、実施例の化合物と同様に当業者が製造することができるであろうと認められることが必要である。
そこで、本願明細書の発明の詳細な説明の記載を検討する。
記載事項(ア)によれば、本願明細書記載の発明が対象とする化合物、すなわち、本願補正発明化合物は、カカオから抽出して得られるものであることがうかがえる。なお、記載事項(ク)には、プロシアニジンの合成と題する実施例11なる記載があり、従来の方法に改良を加えて、ビ、トリ、テトラフラバノイドを調製した旨の記載があるが、具体的に、いかなる化合物をいかなる方法で合成したのか、また、合成した化合物の物性データについては、何ら記載されていないから、記載事項(ク)に基づいて当業者が本願補正発明化合物を合成できるものとすることはできない。また、記載事項(ソ)には、五量体のモデリングと題する実施例17なる記載があり、分子モデルによって、エネルギーの点で好ましい五量体の化学構造を決定したこと、及び、このことにより、本発明の範囲に含まれる他の化合物を調製できるとの記載があるが、これらの五量体の化学構造は、分子モデルを用いた計算上のものであって、実際に得られた化合物を測定したデータから決定されたものではなく、実際にこれらの化学構造を有する化合物が得られること、ましてや、本発明の範囲に含まれる他の化合物を調製できること、の根拠となるものではない。また、記載事項(チ)には、カテキン、エピカテキン、B2及びB5二量体を加水分解(チオール開裂)したことや、B2及びB5二量体を加水分解(チオール開裂)した後、脱硫したこと、及び、高オリゴマーも同様にチオール開裂及び脱硫する旨、及び、B2及びB5二量体を加水分解(チオール開裂)した後、脱硫したことを示すデータが本発明の化合物の合成経路を示す、という旨の記載があるが、これらの記載では、いかなる化合物をいかなる方法で合成できるのか、また、合成した化合物の化学構造を決定するに足る物性データについては、全く不明であるというほかはないから、記載事項(チ)に基づいて当業者が本願補正発明化合物を合成できるものとすることはできない。また、記載事項(ト)には、低分子量のプロシアニジン・オリゴマー(例えば、nが2?12である)を製造する方法として高分子量のプロシアニジン・オリゴマー(例えば、nは13?18である)の制御された加水分解を包含するという旨の記載があるが、この記載でも、いかなる化合物をいかなる制御された加水分解方法で合成できるのか、また、合成した化合物の化学構造を決定するに足る物性データについては、全く不明であるというほかはないから、記載事項(ト)に基づいて当業者が本願補正発明化合物を合成できるものとすることはできない。
そうすると、本願補正発明化合物に包含される著しく多くの化合物が、本願明細書及び本願出願時の技術常識に基づいて、カカオから抽出して得られるものか否かが問題となる。

そこで進んで、本願明細書のほかの記載について検討するに、まず、記載事項(イ)?(オ)によれば、カカオから、カカオプロシアニジンなるものが、いくつかのフラクションにまで部分精製されたことが記載され、同(ウ)や(オ)のHPLCのデータに基づき、各フラクションに二量体?十二量体及び高オリゴマーが含まれるとされていることがうかがえる。しかしながら、これらのHPLCのデータを見ると、何らかの二量体?十二量体及び高オリゴマーとされるものの各々について、1又は数本のピーク、あるいはピークとはいえないブロードな波形が検出されているのみであり、これらのピークを示す化合物の化学構造を決定するに足る物性データ及びそれに基づいて決定された化学構造の記載は何ら見いだせない。そうすると、記載事項(イ)?(オ)からは、二量体?十二量体及び高オリゴマーといい得るかもしれない何らかの化合物が、各々、1又は数個ずつ検出できた、とはいい得ても、それらが本願補正発明化合物に該当する化合物であるか否かは不明であるといわざるを得ず、仮に該当するものであるとしても、本願補正発明化合物の中のどれに該当するのか、また、それら以外の本願補正発明化合物はどのようにして得られるのか、については、当業者は何らの情報も得ることができない。
次に、記載事項(カ)によれば、上記部分精製されたフラクションがFAB-MSによって分析され、表3に記載の分子イオンピークのデータが得られ、プロシアニジン異性体B-2、B-5、及び、C-1なるものについては、既に報告されている研究に基づいて同定され、八、十、及び、十二量体のプロシアニジンの証拠も得られたとされていることがうかがえる。また、記載事項(キ)によれば、プロシアニジンB-2、B-5、及び、C-1の化学構造が記載されている。しかしながら、これらの分子イオンピークのデータからは、これらのピークを示す各化合物の分子量が決定できるのみであり、各化合物の分子量がカテキンの分子量の略整数倍であることから、カテキンのオリゴマーかもしれないという推測まではできるとしても、各化合物の化学構造を決定するに足る物性データの記載は見いだせない。そうすると、記載事項(カ)及び(キ)からは、カテキンの二量体と三量体については、既に報告されているプロシアニジンB-2、B-5、及び、C-1が得られ、また、カテキンの四量体?十二量体に該当するかもしれない何らかの化合物の分子イオンピークが1つずつ検出できた、とはいい得ても、それらが本願補正発明化合物に該当する化合物であるか否かは不明であるといわざるを得ず、仮に該当するものであるとしても、本願補正発明化合物の中のどれに該当するのか、また、それらやプロシアニジンB-2、B-5、及び、C-1以外の本願補正発明化合物はどのようにして得られるのか、については、当業者は何らの情報も得ることができない。なお、記載事項(キ)には、エピカテキンが4?7分子重合した化学構造が記載されているが、これらの化合物が実際に得られたものなのか、また、どのようにして得て、その化学構造を決定したものなのか、については、本願明細書中に何らの記載も見いだせない。してみると、これらの化合物についても、どのようにして得られるのか当業者は何らの情報も得ることができない。
また、記載事項(ケ)?(コ)によれば、記載事項(イ)の実施例2で得たフラクションを更に精製してHPLC分離したことがうかがえ、記載事項(サ)及び(シ)によれば、記載事項(ケ)の実施例14で得られるプロシアニジンのMALDI-TOF/MSのデータを取得したことがうかがえ、記載事項(ス)及び(セ)によれば、同じく実施例14で得られるプロシアニジンをさらにHPLCによる精製に付したことがうかがえるが、やはり、これらの記載からも、得られたとされる各化合物が本願補正発明化合物に該当する化合物であるか否かは不明であるといわざるを得ず、仮に該当するものであるとしても、本願補正発明化合物の中のどれに該当するのか、また、それら以外の本願補正発明化合物はどのようにして得られるのか、については、当業者は何らの情報も得ることができない。
また、記載事項(タ)によれば、エピカテキン、カテキン、B2二量体、エピカテキン/カテキン三量体、全エピカテキン三量体のNMRスペクトルデータが図面中に示されていることが記載されている。しかしながら、エピカテキン/カテキン三量体、全エピカテキン三量体については、その化学構造が示されていないから、いかなる化学構造の三量体が得られたのか明らかでないし、それらの三量体やB2二量体以外の本願補正発明化合物はどのようにして得られるのか、については、当業者は何らの情報も得ることができない。
また、記載事項(ツ)及び(テ)によれば、実施例14方法Dのように精製したプロシアニジンの二量体?八量体までのCDスペクトラムにより、それらの化合物が螺旋構造を有しているとされることがうかがえるが、この記載からも、該プロシアニジンの二量体?八量体が本願補正発明化合物に該当する化合物であるか否かは不明であるといわざるを得ず、仮に該当するものであるとしても、本願補正発明化合物の中のどれに該当するのか、また、それら以外の本願補正発明化合物はどのようにして得られるのか、については、当業者は何らの情報も得ることができない。
最後に、記載事項(ト)及び(ナ)によれば、記載事項(イ)の実施例2によって得られたカカオ・プロシアニジンのMECC分離を行ったことや、様々な金属塩溶液と組合せた三量体で、一連のMALDI-TOF/MS分析を行ったことや、記載事項(イ)の実施例3方法Aで製造したもののMALDI-TOF質量スペクトラムを測定したことがうかがえるが、やはり、これらの記載からも、得られたとされる各化合物が本願補正発明化合物に該当する化合物であるか否かは不明であるといわざるを得ず、仮に該当するものであるとしても、本願補正発明化合物の中のどれに該当するのか、また、それら以外の本願補正発明化合物はどのようにして得られるのか、については、当業者は何らの情報も得ることができない。

また、以上で検討した記載以外の本願明細書の発明の詳細な説明の記載を検討しても、当業者が本願補正発明化合物を製造することができるとするに足る記載を見いだせない。

そうすると、原審で通知した拒絶の理由で説示したように、本願明細書の発明の詳細な説明において、本願補正発明化合物に該当する化合物として、製造されその化学構造が決定されているものは、既に報告されているプロシアニジンB-2など、ごく限られた数の化合物に過ぎず、カカオから抽出、精製されたとされる三?十一量体プロシアニジンについても、本願補正発明化合物に該当する化学構造を有するとするに足る物性データ及びそれに基づいて決定された化学構造の記載は何ら見いだせないから、それらが本願補正発明化合物に該当する化合物であるか否かは不明であるといわざるを得ず、仮に該当するものであるとしても、本願補正発明化合物の中のどれに該当するのか、また、それら以外の本願補正発明化合物はどのようにして得られるのか、については、当業者は何らの情報も得ることができない。そうすると、上述のように、著しく多くの化合物を包含する本願補正発明化合物を、当業者が、本願明細書の記載及び本願出願時の技術常識に基づいて製造することができるとすることはできない。

したがって、本願明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件補正後の請求項1?9に記載される発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないし、また、同発明は、本願明細書の発明の詳細な説明において裏付けられた範囲を超える発明を含むものであるから、本願明細書の発明の詳細な説明に記載された発明を記載したものともいえない。

なお、審判請求人は、当審の審尋に対する、平成24年2月2日受付の回答書において、本件補正後の請求項1において、式Anで表される高分子化合物を、同請求項7及び9に記載の特定のプロシアニジンオリゴマー(3量体?12量体、式Anでn=3?12)に限定し、請求項2?7及び9を削除して、請求項8を請求項2に変更する補正案を提示する、としているが、同請求項7及び9に記載の化合物についても、当業者が、本願明細書の記載及び本願出願時の技術常識に基づいて製造することができるとすることはできないことは、既に説示したとおりである。そうすると、該補正案によっても本審決で示す結論は変わらない点、付言する。

したがって、本願は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項に規定する要件を満たしておらず、また、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(2-3)むすび
よって、本件補正は、平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


3.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願に係る発明は、平成21年3月30日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?26に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項2、5、14?20、及び、26に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「2. 一酸化窒素調節物質または一酸化窒素シンターゼ調節物質を必要とする被験者を治療するための経口投与用組成物であって:
式Anで表わされる高分子化合物、あるいはその医薬として許容される配糖体またはエステルを含み、前記Aが、以下の式で表される単量体であることを特徴とする組成物:

(式中nは、2?18の整数であり;
R及びXはそれぞれα又はβ立体構造を有し;
RはOH又はO-糖であり;
C-4、C-6及びC-8の置換基はそれぞれX、Z及びYであり、単量体単位の結合はC-4、C-6又はC-8で生じ;
C-4、C-6又はC-8がいずれも別の単量体単位に結合していないとき、X、Y及びZは水素であるか、又はZとYが糖で、Xが水素であるか、又はXが糖で、ZとYがHであるか、又はその組合せであり、但し、第2の単量体単位が第1の単量体単位のC-4に結合しているとき、前記第1の単量体単位のYとZは水素であり;且つ
前記糖は、置換されていない糖か、又はエステル結合を介してフェノール成分で置換された糖である。)
5. 前記被験者が、アテローム性動脈硬化症、心臓発作、卒中又は血管循環問題を患っていることを特徴とする、請求項2記載の組成物。
14. 前記nが5?12であることを特徴とする、請求項1から6および10から13いずれか1項記載の組成物。
15. 前記nが5であることを特徴とする、請求項1から6および10から13いずれか1項記載の組成物。
16. 前記糖が、グルコース、ガラクトース、キシロース、ラムノースおよびアラビノースより成る群から選択されることを特徴とする、請求項1から6および10から13いずれか1項記載の組成物。
17. 前記フェノール成分が、カフェー酸、ケイ皮酸、クマル酸、フェルラ酸、没食子酸、ヒドロキシ安息香酸及びシナピン酸より成る群から選択されることを特徴とする、請求項1から6および10から13いずれか1項記載の組成物。
18. 式Anで表される化合物において、隣接単量体のC-4とC-6の間または隣接単量体のC-4とC-8の間で結合が生じ;
X、Y及びZは、X及びYが隣接単量体であればZが水素又は糖であり、X及びZが隣接単量体であればYが水素又は糖であること、さらに2個の末端単量体単位中少なくとも1つに関して、隣接単量体単位の結合がC-4にあって、必要に応じてY=Z=水素であることを条件に、各々が水素、糖又は隣接単量体であることを特徴とする、請求項1から6および10から13いずれか1項記載の組成物。
19. 前記化合物が、[EC-(4β→8)]2-EC、[EC-(4β→8)]2-C及び[EC-(4β→6)]2-ECより成る群から選択されるトリマー;[EC-(4β→8)]3-EC、[EC-(4β→8)]3-C及び[EC-(4β→8)]2-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるテトラマー;[EC-(4β→8)]4-EC、[EC-(4β→8)]3-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]3-EC-(4β→8)-C及び[EC-(4β→8)]3-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるペンタマー;[EC-(4β→8)]5-EC、[EC-(4β→8)]4-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]4-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]4-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるヘキサマー;[EC-(4β→8)]6-EC、[EC-(4β→8)]5-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]5-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]5-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるヘプタマー;[EC-(4β→8)]7-EC、[EC-(4β→8)]6-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]6-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]6-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるオクタマー;[EC-(4β→8)]8-EC、[EC-(4β→8)]7-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]7-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]7-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるノナマー;ならびに[EC-(4β→8)]9-EC、[EC-(4β→8)]8-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]8-EC-(4β→8)-C及び[EC-(4β→8)]8-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるデカマー;より成る群から選択され、ここでECはエピカテキン部分を表し、かつCはカテキン部分を表すことを特徴とする、請求項1から6および10から13いずれか1項記載の組成物。
20. 錠剤、カプセル、丸剤、チュアブル固形物または飲料剤の形態をとることを特徴とする、請求項1から13いずれか1項記載の組成物。
26. [EC-(4β→8)]4-EC、[EC-(4β→8)]3-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]3-EC-(4β→8)-C及び[EC-(4β→8)]3-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるペンタマー;[EC-(4β→8)]5-EC、[EC-(4β→8)]4-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]4-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]4-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるヘキサマー;[EC-(4β→8)]6-EC、[EC-(4β→8)]5-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]5-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]5-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるヘプタマー;[EC-(4β→8)]7-EC、[EC-(4β→8)]6-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]6-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]6-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるオクタマー;[EC-(4β→8)]8-EC、[EC-(4β→8)]7-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]7-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]7-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるノナマー; [EC-(4β→8)]9-EC、[EC-(4β→8)]8-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]8-EC-(4β→8)-C及び[EC-(4β→8)]8-EC-(4β→6)-Cより成る群から選択されるデカマー;[EC-(4β→8)]10-EC、[EC-(4β→8)]9-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]9-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]9-EC-(4β→6)-Cからなる群から選択されるウンデカマー;ならびに[EC-(4β→8)]11-EC、[EC-(4β→8)]10-EC-(4β→6)-EC、[EC-(4β→8)]10-EC-(4β→8)-C、及び[EC-(4β→8)]10-EC-(4β→6)-Cからなる群から選択されるドデカマー;より成る群から選択され、
ここでECはエピカテキン部分を表し、かつCはカテキン部分を表し、前記ペンタマー、ヘキサマー、ヘプタマー、オクタマー、ノナマー、デカマー、ウンデカマー、およびドデカマーの末端単量体単位の3位が、ガレート又はβ-D-グルコースで誘導体化していることを特徴とする化合物。」


4.判断
本願発明は、医薬用途の点では、本願補正発明の「アテローム性動脈硬化症、心臓発作、卒中又は血管循環問題を患っている被験者を治療するための」を「一酸化窒素調節物質または一酸化窒素シンターゼ調節物質を必要とする被験者を治療するための」という、より広範な範囲のものとしたものであり、化合物の点では、本願補正発明の「式Anで表わされる高分子化合物、あるいはその医薬として許容されるエステル」を「式Anで表わされる高分子化合物、あるいはその医薬として許容される配糖体またはエステル」という、より広範な範囲のものとしたものである。
そうすると、本願発明を医薬用途及び化合物の点でより狭い範囲のものとした発明といえる本願補正発明を、特許請求の範囲に記載した本願明細書に、上記2.(2-2-2)にて説示したとおり、記載上の不備があるのであるから、本願発明を特許請求の範囲に記載した本願明細書にも、同様に、記載上の不備がある。


5.むすび
以上のとおり、本願は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項に規定する要件を満たしておらず、また、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-06-06 
結審通知日 2012-06-12 
審決日 2012-06-25 
出願番号 特願平9-535612
審決分類 P 1 8・ 536- Z (C07D)
P 1 8・ 537- Z (C07D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大野 晃  
特許庁審判長 内藤 伸一
特許庁審判官 穴吹 智子
中村 浩
発明の名称 カカオ抽出化合物及び同一物を製造及び使用するための方法  
代理人 柳田 征史  
代理人 佐久間 剛  

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