• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1266504
審判番号 不服2010-23243  
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-10-14 
確定日 2012-11-20 
事件の表示 特願2004-205785「バイポーラ集積回路のためのセル構造および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年3月10日出願公開、特開2005-64478〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成16年7月13日(パリ条約に基づく優先権主張 2003年8月8日、アメリカ合衆国)の特許出願であって、平成20年9月22日付けの拒絶理由通知に対して平成21年1月22日に意見書及び手続補正書が提出され、さらに、同年8月10日付けの拒絶理由通知に対して同年11月17日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成22年6月4日付けで拒絶査定がなされた。
それに対して、同年10月14日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正書が提出され、その後、平成23年12月9日付けで審尋がなされ、平成24年5月14日に回答書が提出された。

第2.補正の却下の決定
【補正の却下の決定の結論】
平成22年10月14日に提出された手続補正書による補正を却下する。

【理由】
1.補正の内容
平成22年10月14日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1?3を補正して、補正後の請求項1?3とするものであり、補正前後の請求項1は各々次のとおりである。

(補正前)
「【請求項1】
セル活性領域と、
前記セル活性領域内のバイポーラ・トランジスタの第1アレイであって、第1機能のために構成され、前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタは互いに平行かつ隣接しており、前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタの少なくとも1つはベース/エミッタ/スペース/コレクタ構成であり、かつ前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタの少なくとも1つはコレクタ/スペース/エミッタ/ベース構成である、第1アレイと、
前記セル活性領域内のバイポーラ・トランジスタの第2アレイであって、前記第1機能とは異なる第2機能のために構成され、前記第2アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタは互いに平行で、かつ前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタとは異なる方角を向いている、第2アレイと、
から成ることを特徴とするバイポーラ・セル。」

(補正後)
「【請求項1】
集積回路内で反復して形成されるセル活性領域と、
前記セル活性領域内のスイッチング・デバイスとして形成されるバイポーラ・トランジスタの第1アレイであって、前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタは互いに平行かつ隣接しており、前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタの少なくとも1つはベース/エミッタ/スペース/コレクタ構成であり、かつ前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタの少なくとも1つはコレクタ/スペース/エミッタ/ベース構成である、第1アレイと、
前記セル活性領域内の電流源デバイスとして形成されるバイポーラ・トランジスタの第2アレイであって、前記第2アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタは互いに平行で、かつ前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタとは異なる方角を向いている、第2アレイと、
から成ることを特徴とするバイポーラ・セル。」

2.補正事項の整理
本件補正による補正事項を整理すると次のとおりである。

(1)補正事項1
補正前の請求項1の「セル活性領域と、」を、「集積回路内で反復して形成されるセル活性領域と、」と補正して、補正後の請求項1とすること。

(2)補正事項2
補正前の請求項1の「前記セル活性領域内のバイポーラ・トランジスタの第1アレイであって、第1機能のために構成され、」を、「前記セル活性領域内のスイッチング・デバイスとして形成されるバイポーラ・トランジスタの第1アレイであって、」と補正して、補正後の請求項1とすること。

(3)補正事項3
補正前の請求項1の「前記セル活性領域内のバイポーラ・トランジスタの第2アレイであって、前記第1機能とは異なる第2機能のために構成され、」を、「前記セル活性領域内の電流源デバイスとして形成されるバイポーラ・トランジスタの第2アレイであって、」と補正して、補正後の請求項1とすること。

(4)補正事項4
補正前の請求項2の「セル活性領域と、」を、「集積回路内で反復して形成されるセル活性領域と、」と補正して、補正後の請求項2とすること。

(5)補正事項5
補正前の請求項2の「前記セル活性領域における第1部分内のバイポーラ・トランジスタの第1アレイであって、前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタが互いに平行である、第1アレイと、」を、「前記セル活性領域における第1部分内のバイポーラ・トランジスタの第1アレイであって、前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタが互いに平行であり、前記第1アレイ中の少なくとも1つのバイポーラ・トランジスタは、電流源として形成され、また前記第1アレイ中の少なくとも1つのバイポーラ・トランジスタは、スイッチング・デバイスとして形成される、第1アレイと、」と補正して、補正後の請求項2とすること。

(6)補正事項6
補正前の請求項2の「前記セル活性領域における第2部分内のバイポーラ・トランジスタの第2アレイであって、前記第2アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタが互いに平行であり、かつ前記バイポーラ・トランジスタの前記第1アレイにほぼ垂直であり、前記第2アレイ内の少なくとも1つのバイポーラ・トランジスタが、ベース/エミッタ/コレクタ/エミッタ/ベース構成から成る、第2アレイと、」を、「前記セル活性領域における第2部分内のバイポーラ・トランジスタの第2アレイであって、前記第2アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタが互いに平行であり、かつ前記バイポーラ・トランジスタの前記第1アレイに対しほぼ垂直であり、前記第2アレイ内の少なくとも1つのバイポーラ・トランジスタが、ベース/エミッタ/コレクタ/エミッタ/ベース構成から成り、前記コレクタは、隣接するエミッタ間でコレクタ接地構成を形成し、また前記第2アレイ中の前記バイポーラ・トランジスタは、スイッチング・デバイスとして形成される、第2アレイと、」と補正して、補正後の請求項2とすること。

(7)補正事項7
補正前の請求項3の「前記第2アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタは互いに平行で、かつ前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタにほぼ垂直であり、」を、「前記第2アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタは互いに平行で、かつ前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタに対しほぼ垂直であり、」と補正して、補正後の請求項3とすること。

(8)補正事項8
補正後の請求項3の「さらに前記第1アレイ内の少なくとも1つのバイポーラ・トランジスタは、コレクタ/スペース/エミッタ/ベース構成であり、」を、「さらに前記第1アレイ内の少なくとも1つのバイポーラ・トランジスタは、コレクタ/スペース/エミッタ/ベース構成であり、前記第1アレイ内の少なくとも1つのバイポーラ・トランジスタは、ベース/エミッタ/スペース/コレクタ構成であり、」と補正して、補正後の請求項3とすること。

(9)補正事項9
補正前の請求項3の「かつ前記第2アレイ内の少なくとも1つのバイポーラ・トランジスタは、コレクタ/ベース/エミッタ構成である、」を、「かつ前記第2アレイ内の少なくとも1つのバイポーラ・トランジスタは、コレクタ/ベース/エミッタ構成であり、前記第1アレイ中の少なくとも1つのバイポーラ・トランジスタは、スイッチング・トランジスタとして形成され、また前記第2アレイ中の少なくとも1つのバイポーラ・トランジスタは、電流源デバイスとして形成される、」と補正して、補正後の請求項3とすること。

3.新規事項の追加の有無、及び補正の目的の適否についての検討
(1)補正事項1について
補正事項1により補正された部分は、本願の願書に最初に添付した明細書(以下「当初明細書」という。また、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面を「当初明細書等」という。)の0012段落等に記載されているものと認められるから、補正事項1は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、補正事項1は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項をいう。以下同じ。)に規定する要件を満たす。
また、補正事項1は、補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である「セル活性領域」に対して技術的限定を加えるものであるから、特許法第17条の2第4項(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項をいう。以下同じ。)第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
したがって、補正事項1は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たす。

(2)補正事項2について
補正事項2により補正された部分は、当初明細書の0013段落及び0014段落等に記載されているものと認められるから、補正事項2は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、補正事項2は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
また、補正事項2は、補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である「バイポーラ・トランジスタの第1アレイ」に対して技術的限定を加えるものであるから、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
したがって、補正事項2は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たす。

(3)補正事項3について
補正事項3により補正された部分は、当初明細書の0015段落等に記載されているものと認められるから、補正事項3は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、補正事項3は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
また、補正事項3は、補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である「バイポーラ・トランジスタの第2アレイ」に対して技術的限定を加えるものであるから、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
したがって、補正事項3は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たす。

(4)補正事項4について
補正事項4は、補正事項1と同様に、特許法第17条の2第3項及び第4項に規定する要件を満たす。

(5)補正事項5について
補正事項5により補正された部分は、当初明細書の0021段落等に記載されているものと認められるから、補正事項5は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、補正事項5は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
また、補正事項5は、補正前の請求項2に係る発明の発明特定事項である「バイポーラ・トランジスタの第1アレイ」に対して技術的限定を加えるものであるから、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
したがって、補正事項5は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たす。

(6)補正事項6について
補正事項6により補正された部分は、当初明細書の0022段落?0024段落等に記載されているものと認められるから、補正事項6は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、補正事項6は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
また、補正事項6は、補正前の請求項2に係る発明の発明特定事項である「バイポーラ・トランジスタの第2アレイ」に対して技術的限定を加えるものであるから、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
したがって、補正事項6は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たす。

(7)補正事項7について
補正事項7により補正された部分は、当初明細書の0015段落等に記載されているものと認められるから、補正事項7は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、補正事項7は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
また、補正事項7は、補正前の請求項3に係る発明の発明特定事項である「バイポーラ・デバイス・アレイを形成する段階」に対して技術的限定を加えるものであるから、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
したがって、補正事項7は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たす。

(8)補正事項8について
補正事項8により補正された部分は、当初明細書の0014段落等に記載されているものと認められるから、補正事項8は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、補正事項8は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
また、補正事項8は、補正前の請求項3に係る発明の発明特定事項である「バイポーラ・デバイス・アレイを形成する段階」に対して技術的限定を加えるものであるから、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
したがって、補正事項8は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たす。

(9)補正事項9について
補正事項9により補正された部分は、当初明細書の0013段落?0015段落等に記載されているものと認められるから、補正事項9は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、補正事項9は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
また、補正事項9は、補正前の請求項3に係る発明の発明特定事項である「バイポーラ・デバイス・アレイを形成する段階」に対して技術的限定を加えるものであるから、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
したがって、補正事項9は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たす。

(10)新規事項の追加の有無、及び補正の目的の適否についてのまとめ
以上検討したとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第4項に規定する要件を満たす。
そして、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものであるから、本件補正による補正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、本件補正がいわゆる独立特許要件を満たすものであるか否かにつき、以下において更に検討する。

4.独立特許要件についての検討
(1)補正後の発明
本願の本件補正による補正後の請求項1?3に係る発明は、本件補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?3に記載されている事項により特定されるとおりのものであり、そのうちの請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)は、請求項1に記載されている事項により特定される上記第2.1.の「(補正後)」の箇所に記載したとおりのものであって、再掲すると次のとおりである。

「【請求項1】
集積回路内で反復して形成されるセル活性領域と、
前記セル活性領域内のスイッチング・デバイスとして形成されるバイポーラ・トランジスタの第1アレイであって、前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタは互いに平行かつ隣接しており、前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタの少なくとも1つはベース/エミッタ/スペース/コレクタ構成であり、かつ前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタの少なくとも1つはコレクタ/スペース/エミッタ/ベース構成である、第1アレイと、
前記セル活性領域内の電流源デバイスとして形成されるバイポーラ・トランジスタの第2アレイであって、前記第2アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタは互いに平行で、かつ前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタとは異なる方角を向いている、第2アレイと、
から成ることを特徴とするバイポーラ・セル。」

(2)引用刊行物に記載された発明
(2-1)本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布され、原査定の根拠となった拒絶の理由(平成21年8月10日付けの拒絶理由通知書に記載された理由1及び2をいう。以下同じ。)において引用された刊行物である特開平3-24763号公報(以下「引用例」という。)には、第1図、第2図及び第5図とともに次の記載がある(ここにおいて、下線は当合議体にて付加したものである。)。

a.「[産業上の利用分野]
本発明は、複数の基本セルがマトリクス状に配設された内部アレイ領域に対し所望の配線接続を行うことにより、所望する回路を形成するマスタスライス方式集積回路装置の形成方法に関する。
[従来の技術]
従来からこの種のマスタスライス方式集積回路装置としては、ゲートアレイが知られている。このゲートアレイは、基本的な論理回路を構成することが可能な複数のトランジスタ及び抵抗からなる基本セルを最小単位とし、この基本セルをマトリクス状に配設することにより内部論理回路領域を形成すると共に、この内部論理回路領域の周囲に内部論理回路と他の集積回路装置との間の入出力レベルを変換する入出力バッファ回路を構成するための入出力バッファセルが配設されたマスタ基板を予め製作しておき、配線工程で形成される配線パターンにより素子間を相互に結線し、所望の論理機能を実現するものである。」(1ページ左下欄14行?右下欄12行)

b.「[実施例]
次に、本発明の実施例について添付の図面を参照して説明する。
第1図(a),(b)は本発明の第1の実施例方法により基本セル1上に形成されたバッファ回路の論理機能ブロックの平面図である。
第1図(a),(b)において、先ず基本セル1上にトランジスタQ_(11)?Q_(18),Q_(21),Q_(22),Q_(31)?Q_(38)及び抵抗R_(11)?R_(14),R_(21)?R_(26),R_(31)?R_(34)を拡散工程によって形成し、基本セル1上の第二層配線層にフォトレジスト法によりGND電源配線11、V_(EE)電源配線12,13、基準電圧供給配線14,15及び定電流源用基準電圧供給配線16を形成する。なお、図中点線で囲まれた領域は、各々トランジスタ及び抵抗の素子領域を表し、点線で囲まれた領域内の実線は、各々トランジスタ及び抵抗の電極を表しており、特にトランジスタの電極内に記入してあるC,E,Bは、各々コレクタ、エミッタ、ベース電極を表わしている。
次に、第一配線層に斜線パターンで示す配線パターンと、×印及び×印を囲む実線矩形で示す第一配線層と第二配線層とを電気的に導通させるスルーホールとを形成する。
このとき、第1図(b)に示す第一配線層により構成される配線パターン及びスルーホールのパターンが、第1図(a)に示すバッファ回路の第一配線層により構成された配線パターン及びスルーホールのパターンに比して、基本セル1の中心を通る垂直方向線を基準として線対称となるように配線パターンを形成する。この場合でも、バッファ回路の配線パターンデータとしては1つでよく、信号経路に応じて、計算機により座標交換を行うことにより、第1図(a)のバッファ回路の配線パターンデータから第1図(b)のバッファ回路の配線パターンを容易に得ることができる。
なお、第1図(a)において、定電流源を構成するトランジスタQ_(21)には、図示してはいないが、左側に隣接する基本セルの定電流源用基準電圧供給配線から、定電流源用基準電圧が抵抗R_(23)を経て供給されているものとする。」(4ページ左上欄7行?左下欄7行)

c.「第2図(a),(b)は夫々第1図(a),(b)のバッファ回路の回路図である。第2図(a)において、トランジスタQ_(21)、抵抗R_(24)(下記注参照)及び発振防止抵抗R_(23)は、定電流源用基準電圧を与えることにより、定電流源として機能する。このバッファ回路は、入力端子INに印加される入力信号電圧と基準電圧との大小関係により、トランジスタQ_(11),Q_(12)のいずれか一方に電流が流れ、抵抗R_(11)に電流が流れない場合は、電位降下がないため高レベル、抵抗R_(11)に電流が流れた場合には、電位降下が生じるため低レベルの論理が抵抗R_(11)の一端に得られる。抵抗R_(11)で得られた論理は、トランジスタQ_(35),Q_(36)及び抵抗R_(33)からなるエミッタフォロワ回路を介して出力端子OUTから出力される。
第2図(b)も同図(a)と同様の回路であり、トランジスタQ_(11),Q_(12),Q_(21),Q_(35),Q_(36)及び抵抗R_(11),R_(12),R_(23),R_(24)(下記注参照),R_(33)が夫々トランジスタQ_(15),Q_(16),Q_(22),Q_(31),Q_(32)及び抵抗R_(13),R_(14),R_(24),R_(22),R_(31)に置き替わったものとなっている。
このような回路形成方法によれば、第1図(a)は、入力信号端子INが基本セル1の図中左下側に位置し、出力信号端子OUTが基本セル1の図中右上側に位置しているため、信号経路が左から右へと流れる場合に用いられ、第1図(b)は、入力信号端子INが基本セル1の図中右下側に位置し、出力信号端子OUTが基本セル1の図中左上側に位置しているため、信号経路が右から左へと流れる場合に用いることができる。これにより、各々の信号経路の設定自由度が増し、ブロック間を接続する配線の配線長を短くすることができる。」(4ページ左下欄8行?右下欄19行)

d.「第5図は本実施例方法により形成されたゲートアレイのチップの一例を示す図である。集積回路チップ4上には、複数のトランジスタ及び抵抗からなる基本セル1がマトリクス状に配設されて内部論理回路領域を構成している。内部論理回路領域の周囲には内部論理回路の入出力レベルと他の集積回路装置の入出力レベルとを交換する入出力バッファ回路を構成することが可能な入出力バッファセル2が複数配設されている。集積回路チップ4の周辺には入出力バッファセル2に対応して、集積回路チップ4とパッケージの信号ビンとを電気的に接続するためのボンディングパッド3が配設されている。」(5ページ左下欄5行?17行)

(審決注)
引用例において、第2図(a)に記載された「R_(24)」及び上記c.において注を付した「R_(24)」は、いずれも「R_(21)」の誤記であることが第1図(a)及び(b)の記載等から明らかであるから、以下においてはそのように読み換える。

(2-2)ここにおいて、第1図(a)及び(b)に記載された平面図並びに第2図(a)及び(b)に記載された回路図から、以下の事項が見て取れる。

a.基本セル内に形成されたトランジスタQ_(31)?Q_(38)は、横長で電極が横方向に配置され、トランジスタQ_(31)?Q_(38)のうち、トランジスタQ_(31)?Q_(34)は、左からエミッタ、ベース、コレクタの各電極が配置され、トランジスタQ_(35)?Q_(38)は、左からコレクタ、ベース、エミッタの各電極が配置されている(ここにおいて、縦・横は、公報紙面上での向きをいう。以下同じ。)。
そして、これらのトランジスタQ_(31)?Q_(38)は、互いに平行に横方向に4行、縦方向に2列に並べて配置されている。
また、これらのトランジスタは、エミッタフォロワに用いられている。

b.基本セル内に形成されたトランジスタQ_(21)及びQ_(22)は、縦長で電極が縦方向に配置され、定電流源に用いられている。

(2-3)以上を総合すると、引用例には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「マスタスライス方式集積回路装置の内部論理回路領域にマトリクス状に配設された基本セルにおいて、
前記基本セル内に、互いに平行に横方向に4行、縦方向に2列に並べて配置され、横長で電極が横方向に配置されたエミッタフォロワに用いられるトランジスタQ_(31)?Q_(38)であって、そのうちのトランジスタQ_(31)?Q_(34)は、左からエミッタ、ベース、コレクタの各電極が配置され、トランジスタQ_(35)?Q_(38)は、左からコレクタ、ベース、エミッタの各電極が配置されているトランジスタQ_(31)?Q_(38)と、
前記基本セル内に配置され、縦長で電極が縦方向に配置された定電流源に用いられるトランジスタQ_(21)及びQ_(22)と、
を備える基本セル。」

(3)補正発明と引用発明1との対比
(3-1)引用発明1の「基本セル」は、能動素子としてバイポーラトランジスタを含むものであるから、補正発明の「バイポーラ・セル」に相当する。
また、引用発明1の「基本セル」内の素子が形成されている領域が、補正発明の「セル活性領域」に相当する。
そして、引用発明1の「基本セル」は「マスタスライス方式集積回路装置の内部論理回路領域にマトリクス状に配設された」ものであるから、引用発明1の「基本セル」が、補正発明の「バイポーラ・セル」と同様に、「集積回路内で反復して形成されるセル活性領域」を備えていることは明らかである。

(3-2)引用発明1の「エミッタフォロワ」がスイッチングの機能を備えていることは、引用例の第2図(a)及び(b)に記載された回路から当業者にとって明らかである。
また、引用発明1の「トランジスタQ_(31)?Q_(38)」は、「前記基本セル内に、互いに平行に横方向に4行、縦方向に2列に並べて配置され」たものであるから、これらのトランジスタがアレイを構成していることは明らかである。
したがって、引用発明1の「前記基本セル内に、互いに平行に横方向に4行、縦方向に2列に並べて配置され、横長で電極が横方向に配置されたエミッタフォロワに用いられるトランジスタQ_(31)?Q_(38)」は、補正発明の「前記セル活性領域内のスイッチング・デバイスとして形成されるバイポーラ・トランジスタの第1アレイ」に相当する。

(3-3)引用発明1の「トランジスタQ_(31)?Q_(38)」が、「前記基本セル内に、互いに平行に横方向に4行、縦方向に2列に並べて配置され」ている構成と、補正発明の「前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタは互いに平行かつ隣接して」いる構成とは、「前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタは互いに平行」である点で一致する。

(3-4)引用発明1の「そのうちのトランジスタQ_(31)?Q_(34)は、左からエミッタ、ベース、コレクタの各電極が配置され、トランジスタQ_(35)?Q_(38)は、左からコレクタ、ベース、エミッタの各電極が配置されている」構成と、補正発明の「前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタの少なくとも1つはベース/エミッタ/スペース/コレクタ構成であり、かつ前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタの少なくとも1つはコレクタ/スペース/エミッタ/ベース構成である」こととは、「『前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタの少なくとも1つは』コレクタが一端に設けられる構成であり、『かつ前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタの少なくとも1つは』コレクタが他端に設けられる構成である」点で一致する。

(3-5)引用発明1の「定電流源に用いられるトランジスタQ_(21)及びQ_(22)」が電流源デバイスであることは、当業者にとって自明である。
また、引用発明1の「トランジスタQ_(21)及びQ_(22)」は、「縦長で電極が縦方向に配置された」ものであるから、「トランジスタQ_(31)?Q_(38)」と異なる方向を向いていることは明らかである。
したがって、引用発明1の「前記基本セル内に配置され、縦長で電極が縦方向に配置された定電流源に用いられるトランジスタQ_(21)及びQ_(22)」と、補正発明の「前記セル活性領域内の電流源デバイスとして形成されるバイポーラ・トランジスタの第2アレイであって、前記第2アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタは互いに平行で、かつ前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタとは異なる方角を向いている、第2アレイ」とは、「『前記セル活性領域内の電流源デバイスとして形成されるバイポーラ・トランジスタ』『であって、』『前記バイポーラ・トランジスタは』『前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタとは異なる方角を向いている、』バイポーラトランジスタ」である点で一致する。

(3-6)以上を総合すると、補正発明と引用発明1とは、
「集積回路内で反復して形成されるセル活性領域と、
前記セル活性領域内のスイッチング・デバイスとして形成されるバイポーラ・トランジスタの第1アレイであって、前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタは互いに平行であり、前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタの少なくとも1つはコレクタが一端に設けられる構成であり、かつ前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタの少なくとも1つはコレクタが他端に設けられる構成である、第1アレイと、
前記セル活性領域内の電流源デバイスとして形成されるバイポーラ・トランジスタであって、前記バイポーラ・トランジスタは前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタとは異なる方角を向いている、バイポーラトランジスタと、
から成ることを特徴とするバイポーラ・セル。」

である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
補正発明は、「前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタは互いに」「隣接して」いるのに対して、引用発明1は、「トランジスタQ_(31)?Q_(38)」が、「トランジスタQ_(31)」?「トランジスタQ_(34)」及び「トランジスタQ_(35)」?「トランジスタQ_(38)」は各々隣接しているものの、「トランジスタQ_(31)」?「トランジスタQ_(34)」と「トランジスタQ_(35)」?「トランジスタQ_(38)」とは、間に抵抗が存在していて互いに隣接する構造となっていない点。

(相違点2)
補正発明は、「コレクタが一端に設けられる」「バイポーラ・トランジスタ」が「ベース/エミッタ/スペース/コレクタ構成」となっており、「コレクタが他端に設けられる」「バイポーラ・トランジスタ」が「コレクタ/スペース/エミッタ/ベース構成」となっているのに対して、引用発明1は、「コレクタが一端に設けられる」「バイポーラ・トランジスタ」が「左からエミッタ、ベース、コレクタの各電極が配置され」る構成となっており、「コレクタが他端に設けられる」「バイポーラ・トランジスタ」が「左からコレクタ、ベース、エミッタの各電極が配置され」る構成となっている点。

(相違点3)
補正発明は、「前記セル活性領域内の電流源デバイスとして形成されるバイポーラ・トランジスタ」が「バイポーラ・トランジスタの第2アレイ」を構成しており、「前記第2アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタは互いに平行で」あるのに対して、引用発明1は、「前記セル活性領域内の電流源デバイスとして形成されるバイポーラ・トランジスタ」が各々単独に配置された「トランジスタQ_(21)及びQ_(22)」である点。

(4)相違点についての当審の判断
(4-1)相違点1について
(4-1-1)引用発明1においても、「トランジスタQ_(31)」?「トランジスタQ_(34)」及び「トランジスタQ_(35)」?「トランジスタQ_(38)」は各々隣接しており、引用発明1の「トランジスタQ_(31)?Q_(38)」は、その縦方向において互いに隣接する構成となっているものであるところ、補正発明は、「前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタは互いに」「隣接しており」という特定がなされているにとどまり、「前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタ」が縦方向及び横方向の両方向で互いに隣接していることは特定されていないから、補正発明の「前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタ」には、縦方向にのみ互いに隣接しているものも含まれることは明らかである。
したがって、相違点1は存在しない。

(4-1-2)相違点1については以上のとおりであるが、仮に、補正発明の「前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタは互いに」「隣接しており」が、「前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタ」が縦方向及び横方向の両方向で互いに隣接していることを意味するものであり、相違点1が存在する場合についても予備的に検討する。
一般に、マスタスライス方式集積回路装置は、同一構造の基本セルが設けられたマスタウエハに対して、様々な配線を敷設することにより、最終的に所望の機能を実現するものであるところ、基本セルにおけるトランジスタや抵抗等の各素子の配置をどのようにするかは、実現しようとする機能や回路構成、配線レイアウト等に応じて当業者が適宜設定し得る設計的事項あり、その一例として、各基本セルを縦方向及び横方向の両方向で互いに隣接する構成とする(各セル間に他の素子を介在させない構成とする)ことも、例えば引用例の第1図(a)及び(b)におけるトランジスタQ_(11)?Q_(14)がそのような構成となっていることからも分かるように、当業者において従来から普通に行われてきていることである。

(4-1-3)一方、補正発明においては、「バイポーラセル」を用いて最終的にどのような機能を実現するのかということ、どのような回路構成とするのかということ、どのような配線レイアウトとするのかということ等が何ら特定されていないことを勘案すると、本願の明細書及び図面全体の記載を精査しても、補正発明において、「前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタ」が縦方向及び横方向の両方向で互いに隣接する構成を採用することにより、予測を超える顕著な効果が生じていることを当業者が認識できる記載は見いだせない。
したがって、引用発明1において、「トランジスタQ_(31)」?「トランジスタQ_(34)」と「トランジスタQ_(35)」?「トランジスタQ_(38)」との間に抵抗を介在する構成に換えて、これらのトランジスタを抵抗を介さずに隣接する構成とすること、すなわち、補正発明のように、「前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタ」が縦方向及び横方向の両方向で互いに隣接する構成を採用することは、当業者が適宜なし得たことである。
したがって、たとえ相違点1が存在していたとしても、当該相違点1は当業者が適宜なし得た範囲に含まれる程度のものである。

(4-2)相違点2について
(4-2-1)一般に、マスタスライス方式集積回路装置の基本セルにおけるトランジスタの電極端子をどのような配置とするかは、実現しようとする機能や回路構成、配線のレイアウト等に応じて当業者が適宜設定し得る設計的事項あり、その一例として、2つのバイポーラトランジスタの一方をベース、エミッタ、コレクタの各電極が配置される構成とし、他方をコレクタ、エミッタ、ベースの各電極が配置される構成とすることも、例えば、引用例の第1図(a)及び(b)におけるトランジスタQ_(11)?Q_(14)がそのような構成となっていることからも分かるように、当業者において従来から普通に行われてきていることである。
そして、引用発明1の「トランジスタQ_(31)?Q_(38)」が、コレクタ、ベース、エミッタの各電極間に各々何らかのスペースを有していることは自明であるから、「スペース」の有無について、補正発明と引用発明1との間に違いはない。
また、仮に、補正発明の「スペース」が、他の電極間のスペースと比較して広いスペースを意味するものであり、「スペース」の有無について、補正発明と引用発明1との間に違いがあったとしても、一般に、マスタスライス方式集積回路装置の基本セルにおいて、トランジスタの各電極端子間のスペースを均等とせず、コレクタと他の電極とのスペースを、他の電極間のスペースよりも広く取ることは、例えば、引用例の第1図(a)及び(b)におけるトランジスタQ_(21)及びQ_(22)がそのような構成となっていることからも分かるように、当業者において従来から普通に行われてきていることである。

(4-2-2)一方、補正発明においては、「バイポーラセル」を用いて最終的にどのような機能を実現するのかということ、どのような回路構成とするのかということ、どのような配線レイアウトとするのかということ等が何ら特定されていないことを勘案すると、本願の明細書及び図面全体の記載を精査しても、補正発明において、「コレクタが一端に設けられる」「バイポーラ・トランジスタ」を「ベース/エミッタ/スペース/コレクタ構成」とし、「コレクタが他端に設けられる」「バイポーラ・トランジスタ」を「コレクタ/スペース/エミッタ/ベース構成」とすることにより、予測を超える顕著な効果が生じていることを当業者が認識できる記載は見いだせない。
したがって、引用発明1において、「コレクタが一端に設けられる」「バイポーラ・トランジスタ」を補正発明のように「ベース/エミッタ/スペース/コレクタ構成」とし、「コレクタが他端に設けられる」「バイポーラ・トランジスタ」を補正発明のように「コレクタ/スペース/エミッタ/ベース構成」とすることは、当業者が適宜なし得たことである。
したがって、相違点2は当業者が適宜なし得た範囲に含まれる程度のものである。

(4-3)相違点3について
(4-3-1)一般に、マスタスライス方式集積回路装置の基本セルにおいて、トランジスタを単独で設ける構成とするか、複数のトランジスタを平行に並べて設ける構成とするかは、当該トランジスタに担わせる機能に応じて当業者が適宜選択し得る設計的事項であり、必要に応じて、複数のトランジスタを平行に並べて設けることは、当業者において従来から普通に行われてきていることである(例えば、引用発明1の「トランジスタQ_(31)?Q_(38)」がそのようになっている。)。
定電流源に用いられるトランジスタについても当然例外ではなく、駆動能力を向上させるために複数のトランジスタを並列接続できるよう、複数のトランジスタを平行に並べて設けることは、例えば、本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布され、原査定の根拠となった拒絶の理由において引用された刊行物である下記周知例(特開昭60-74455号公報)にも記載されているように、当業者における周知技術である(なお、平成21年8月10日付けの拒絶理由通知書には、「特開昭60-74455号公報」が、誤って「特開平02-046021号公報」と記載されているが、その後の審判請求人と原審審査官との電話での応対により、「特開平02-046021号公報」が「特開昭60-74455号公報」の誤記であることを審判請求人が認識したものと認められるので、上のように認定した。)

a.周知例:特開昭60-74455号公報
上記周知例には、第10図?第13図とともに次の記載がある。
「発明の技術分野
本発明は、マスタスライス集積回路、特に1つのゲート回路がスイッチング部と電流源とから構成される、例えばECL(Emitter Coupled Logic)ゲートより構成されるマスタスライス集積回路に関する。」(1ページ左下欄15行?20行)
「従来の回路(第2図)と類似の回路を本発明に基づいて配線した場合の回路図を第10図に図示する。以下第10図?第13図を参照して、具体的な配線について述べる。尚、第10図は本発明にかかるECLゲートの回路図、第11図は電流源の一回路例、第12図は基本セル24(審決注「22A」の誤記)、電流源セル22A(審決注:「24」の誤記)内の素子レイアウト及び各素子間の結線関係を示す図、第13図は基本セルと電流源セル及び基本セル間の接続関係を示す図である。
第10図の電流源PWR1?PWR4の各回路は例示としては、第11図に図示のものを用いる。すなわちトランジスタQ_(0)のベースにバイアス電圧V_(CS)が印加され、エミッタには抵抗器rを介して電源V_(EE)が印加され、そのコレクタがECLゲートのエミッタ共通接続点に接続される。
ここでは、PWR1?PWR4は全て同じ値、例えば500μAを供給する電流源とする。従って、低消費電力ゲートが必要な時は500μAの電流源PWR1のみ用い、高消費電力ゲートが必要な時はPWR1とPWR2とを第10図に於いて破線で示す如く並列にして1mAの電流源として用いる。
先ず第12図を参照し、電流源セル24内の配線について述べる。隣接するバイアス回路25で電源V_(EE)にもとづき発生された電源電圧V_(CE)のラインが、上層に布線され(実線部)、a点において下層に落ち、各電源PWR1?PWR4のトランジスタQ_(0)のベースに接続される。同様にV_(EE)ラインも上層からbにおいて下層に落ち、抵抗器rに接続され、抵抗器rの他方の端子はトランジスタQ_(0)のエミッタEに接続される。
(途中略)
以上の如く接続された後、第10図に図示の回路接続を完成するには次の如く配線する。電流源セル24のPWR1のコレクタCからトランジスタQ_(1)のエミッタEに配線を行う。
(途中略)
高消費電力回路にするには、第13図(審決注:「第12図」の誤記)において残っているPWR2のコレクタCからトランジスタQ_(1)のエミッタEに接続し、これに応じて、残っている抵抗器Rの他端とトランジスタQ_(7)のベースB(又はトランジスタQ_(1)のコレクタC)に接続する。」(3ページ右下欄17行?4ページ右下欄9行)

したがって、上記周知例には、マスタスライス集積回路(マスタスライス方式集積回路装置)において、セル内に電流源として用いる複数のバイポーラトランジスタPWR1?PWR4を平行に並べて設け、駆動能力を向上させるために、バイポーラトランジスタPWR1及びPWR2とを並列接続することが記載されているものと認められる。

(4-3-2)したがって、引用発明1に接した当業者であれば、上記周知技術を勘案することにより、引用発明1の「定電流源に用いられるトランジスタQ_(21)及びQ_(22)」を、各々単独で設ける構成に換えて、各々複数のトランジスタを平行に並べて設ける構成とすること、すなわち、補正発明のように、「前記セル活性領域内の電流源デバイスとして形成されるバイポーラ・トランジスタの第2アレイであって、前記第2アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタは互いに平行で、かつ前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタとは異なる方角を向いている、第2アレイ」を備える構成とすることは、容易になし得たことである。
よって、相違点3は当業者が容易になし得た範囲に含まれる程度のものである。

(4-4)判断についてのまとめ
以上検討したとおりであるから、補正発明は、周知技術を勘案することにより、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(5)独立特許要件についてのまとめ
以上のとおり、本件補正は、補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項をいう。以下同じ。)の規定に適合しない。

5.補正の却下の決定のむすび
以上検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明についての検討
平成22年10月14日に提出された手続補正書による補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?3に係る発明は、平成21年11月17日に提出された手続補正書により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?3に記載されている事項により特定されるとおりのものであり、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、請求項1に記載されている事項により特定される、上記第2.1.の「補正前」の箇所に記載したとおりのものである。
一方、本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布された刊行物である特開平3-24763号公報(引用例)には、上記第2.4.(2)に記載したとおりの事項及び発明(引用発明1)が記載されているものと認められる。
そして、本願発明に対して技術的限定を加えた発明である補正発明は、上記第2.4.において検討したとおり、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も当然に、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

2.補足的な検討
(1)はじめに
上に述べたとおり、本願発明は、補正発明から技術的限定を除外したものであるが、技術的限定を除外したことで生ずる新たな拒絶の理由について、以下において検討する。

(2)本願発明
本願発明を再掲すると次のとおりである。
「【請求項1】
セル活性領域と、
前記セル活性領域内のバイポーラ・トランジスタの第1アレイであって、第1機能のために構成され、前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタは互いに平行かつ隣接しており、前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタの少なくとも1つはベース/エミッタ/スペース/コレクタ構成であり、かつ前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタの少なくとも1つはコレクタ/スペース/エミッタ/ベース構成である、第1アレイと、
前記セル活性領域内のバイポーラ・トランジスタの第2アレイであって、前記第1機能とは異なる第2機能のために構成され、前記第2アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタは互いに平行で、かつ前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタとは異なる方角を向いている、第2アレイと、
から成ることを特徴とするバイポーラ・セル。」

(3)引用刊行物に記載された発明
(3-1)本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布され、原査定の根拠となった拒絶の理由において引用された刊行物である特開平3-24763号公報(引用例)には、第1図、第2図及び第5図とともに、上記第2.4.(2)(2-1)に摘記したとおりの事項が記載されている。

(3-2)また、第1図(a)及び(b)に記載された平面図並びに第2図(a)及び(b)に記載された回路図から、上記第2.4.(2)(2-2)に記載した事項に加え、次の事項が見て取れる。

a.基本セル内のトランジスタQ_(11)?Q_(14)及びQ_(15)?Q_(18)は、縦長で電極が縦方向に配置され、トランジスタQ_(11)、Q_(13)、Q_(15)及びQ_(17)は、上からベース、エミッタ、コレクタの各電極が配置され、トランジスタQ_(12)、Q_(14)、Q_(16)及びQ_(18)は、上からコレクタ、エミッタ、ベースの各電極が配置されている。
そして、トランジスタQ_(11)?Q_(14)及びQ_(15)?Q_(18)は、各々互いに平行かつ隣接しており、横方向に2行、縦方向に2列に並べて配置されている。
また、これらのトランジスタは、差動増幅回路に用いられている。

(3-3)以上を総合すると、引用例には次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。

「マスタスライス方式集積回路装置の内部論理回路領域にマトリクス状に配設された基本セルにおいて、
前記基本セル内に、互いに平行かつ隣接しており、平行に横方向に2行、縦方向に2列に並べて配置され、縦長で電極が縦方向に配置され、差動増幅器に用いられるトランジスタQ_(11)?Q_(14)及びQ_(15)?Q_(18)であって、そのうちのトランジスタQ_(11)、Q_(13)、Q_(15)及びQ_(17)は、上からベース、エミッタ、コレクタの各電極が配置され、トランジスタQ_(12)、Q_(14)、Q_(16)及びQ_(18)は、上からコレクタ、エミッタ、ベースの各電極が配置されているトランジスタQ_(11)?Q_(14)及びQ_(15)?Q_(18)と、
前記基本セル内に、互いに平行に横方向に4行、縦方向に2列に並べて配置され、横長で電極が横方向に配置されたエミッタフォロワに用いられるトランジスタQ_(31)?Q_(38)であって、そのうちのトランジスタQ_(31)?Q_(34)は、左からエミッタ、ベース、コレクタの各電極が配置され、トランジスタQ_(35)?Q_(38)は、左からコレクタ、ベース、エミッタの各電極が配置されているトランジスタQ_(31)?Q_(38)と、
を備える基本セル。」

(4)本願発明と引用発明2との対比
(4-1)引用発明2の「基本セル」は、能動素子としてバイポーラトランジスタを含むものであるから、本願発明の「バイポーラ・セル」に相当する。
また、引用発明2の「基本セル」内の素子が形成されている領域が、本願発明の「セル活性領域」に相当する。
そして、引用発明2の「基本セル」は「マスタスライス方式集積回路装置の内部論理回路領域にマトリクス状に配設された」ものであるから、引用発明2の「基本セル」が、本願発明の「バイポーラ・セル」と同様に、「集積回路内で反復して形成されるセル活性領域」を備えていることは明らかである。

(4-2)引用発明2の「差動増幅器」は、本願発明の「第1機能」に相当する。
また、引用発明2の「トランジスタQ_(11)?Q_(14)及びQ_(15)?Q_(18)」は、「前記基本セル内に、互いに平行かつ隣接しており、平行に横方向に2行、縦方向に2列に並べて配置され」たものであるから、「トランジスタQ_(11)?Q_(14)及びQ_(15)?Q_(18)」が各々アレイを構成していることは明らかである。
したがって、引用発明2の「前記基本セル内に、互いに平行かつ隣接しており、平行に横方向に2行、縦方向に2列に並べて配置され、縦長で電極が縦方向に配置され、差動増幅器に用いられるトランジスタQ_(11)?Q_(14)及びQ_(15)?Q_(18)」は、各々本願発明の「前記セル活性領域内のバイポーラ・トランジスタの第1アレイであって、第1機能のために構成され」ているものに相当する。

(4-3)引用発明2の「トランジスタQ_(11)?Q_(14)及びQ_(15)?Q_(18)」が「前記基本セル内に、互いに平行かつ隣接しており、平行に横方向に2行、縦方向に2列に並べて配置され、縦長で電極が縦方向に配置され」ている構成は、本願発明の「前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタは互いに平行かつ隣接して」いる構成に相当する。

(4-4)引用発明2の「そのうちのトランジスタQ_(11)、Q_(13)、Q_(15)及びQ_(17)は、上からベース、エミッタ、コレクタの各電極が配置され、トランジスタQ_(12)、Q_(14)、Q_(16)及びQ_(18)は、上からコレクタ、エミッタ、ベースの各電極が配置されている」構成と、本願発明の「前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタの少なくとも1つはベース/エミッタ/スペース/コレクタ構成であり、かつ前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタの少なくとも1つはコレクタ/スペース/エミッタ/ベース構成である」こととは、「『前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタの少なくとも1つはベース/エミッタ/』『コレクタ』の順に電極が並んだ『構成であり、かつ前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタの少なくとも1つはコレクタ/』『エミッタ/ベース』の順に電極が並んだ『構成である』」点で一致する。

(4-5)引用発明2の「前記基本セル内に、互いに平行に横方向に4行、縦方向に2列に並べて配置され、横長で電極が横方向に配置されたエミッタフォロワに用いられるトランジスタQ_(31)?Q_(38)」は、本願発明の「前記セル活性領域内のバイポーラ・トランジスタの第2アレイ」に相当する。
また、引用発明2の「エミッタフォロワ」は、本願発明の「前記第1機能とは異なる第2機能」に相当する。
さらに、引用発明2の「トランジスタQ_(31)?Q_(38)」は、「横長で電極が横方向に配置され」たものであるから、「トランジスタQ_(11)?Q_(14)及びQ_(15)?Q_(18)」と異なる方向を向いていることが明らかである。
したがって、引用発明2の「前記基本セル内に、互いに平行に横方向に4行、縦方向に2列に並べて配置され、横長で電極が横方向に配置されたエミッタフォロワに用いられるトランジスタQ_(31)?Q_(38)であって、そのうちのトランジスタQ_(31)?Q_(34)は、左からエミッタ、ベース、コレクタの各電極が配置され、トランジスタQ_(35)?Q_(38)は、左からコレクタ、ベース、エミッタの各電極が配置されているトランジスタQ_(31)?Q_(38)」は、本願発明の「前記セル活性領域内のバイポーラ・トランジスタの第2アレイであって、前記第1機能とは異なる第2機能のために構成され、前記第2アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタは互いに平行で、かつ前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタとは異なる方角を向いている、第2アレイ」に相当する。

(4-6)以上を総合すると、本願発明と引用発明2とは、

「セル活性領域と、
前記セル活性領域内のバイポーラ・トランジスタの第1アレイであって、第1機能のために構成され、前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタは互いに平行かつ隣接しており、前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタの少なくとも1つはベース/エミッタ/コレクタの順に電極が並んだ構成であり、かつ前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタの少なくとも1つはコレクタ/エミッタ/ベースの順に電極が並んだ構成である、第1アレイと、
前記セル活性領域内のバイポーラ・トランジスタの第2アレイであって、前記第1機能とは異なる第2機能のために構成され、前記第2アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタは互いに平行で、かつ前記第1アレイ内の前記バイポーラ・トランジスタとは異なる方角を向いている、第2アレイと、
から成ることを特徴とするバイポーラ・セル。」

である点で一致し、次の点で一応相違する。

(相違点4)
本願発明は、「ベース/エミッタ/コレクタの順に電極が並んだ」「バイポーラ・トランジスタ」が「ベース/エミッタ/スペース/コレクタ構成」であり、「コレクタ/エミッタ/ベースの順に電極が並んだ」「バイポーラ・トランジスタ」が「コレクタ/スペース/エミッタ/ベース構成」である、すなわち、これらの「バイポーラ・トランジスタ」がコレクタ電極とエミッタ電極の間に「スペース」を有しているのに対して、引用発明2は、「トランジスタQ_(31)?Q_(38)」がそのような「スペース」を有することが特定されていない点。

(5)相違点についての当審の判断
(5-1)引用発明2の「トランジスタQ_(31)?Q_(38)」がコレクタ、ベース、エミッタの各電極間に各々何らかのスペースを有していることは自明であるから、相違点4は実際には存在しない。

(5-2)相違点4については以上のとおりであるが、仮に、本願発明の「スペース」が、他の電極間のスペースと比較して広いスペースを意味するものであり、本願発明と引用発明2との間に相違点4が存在したとしても、一般に、マスタスライス方式集積回路装置の基本セルにおいて、トランジスタの各電極端子間のスペースを均等とせず、コレクタと他の電極とのスペースを、他の電極間のスペースよりも広く取ることは、例えば、引用例の第1図(a)及び(b)におけるトランジスタQ_(21)及びQ_(22)がそのような構成となっていることからも分かるように、当業者において従来から普通に行われてきていることである。
一方、本願発明においては、「バイポーラセル」を用いて最終的にどのような機能を実現するのかということ、どのような回路構成とするのかということ、どのような配線レイアウトとするのかということ等が何ら特定されていないことを勘案すると、本願の明細書及び図面全体の記載を精査しても、本願発明において、「ベース/エミッタ/コレクタの順に電極が並んだ」「バイポーラ・トランジスタ」を「ベース/エミッタ/スペース/コレクタ構成」とし、「コレクタ/エミッタ/ベースの順に電極が並んだ」「バイポーラ・トランジスタ」を「コレクタ/スペース/エミッタ/ベース構成」とすること、すなわち、これらの「バイポーラ・トランジスタ」をコレクタ電極とエミッタ電極の間に「スペース」を有する構成とすることにより予測を超える顕著な効果が生じていることを当業者が認識できる記載は見いだせない。
したがって、引用発明2において、「トランジスタQ_(31)?Q_(38)」を、コレクタ電極とエミッタ電極の間に「スペース」を有する構成とすることは当業者が適宜なし得たことであるから、相違点4は、当業者が適宜なし得た範囲に含まれる程度のものである。

(6)補足的な検討のまとめ
以上検討したとおりであるから、本願発明は、引用例に記載された発明(引用発明2)であり、また、仮に引用例に記載された発明であるとまではいえないものであったとしても、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、また、仮に、本願発明が特許法第29条第1項第3号に該当するとまではいえなかったとしても、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4.むすび
以上のとおりであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-06-18 
結審通知日 2012-06-25 
審決日 2012-07-10 
出願番号 特願2004-205785(P2004-205785)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
P 1 8・ 113- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池渕 立  
特許庁審判長 北島 健次
特許庁審判官 早川 朋一
近藤 幸浩
発明の名称 バイポーラ集積回路のためのセル構造および方法  
代理人 本城 雅則  
代理人 本城 吉子  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ