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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04M
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1266538
審判番号 不服2011-8797  
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-04-25 
確定日 2012-11-22 
事件の表示 特願2006- 93688「コールバックシステム、ゲートウェイ及びコールバック方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年10月18日出願公開、特開2007-274044〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成18年3月30日の出願であって、平成23年2月2日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月25日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで審判請求時の手続補正がなされたものである。

第2.補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成23年4月25日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本願発明と補正後の発明
上記手続補正(以下、「本件補正」という。)は出願当初の特許請求の範囲の請求項1に記載された
「メッセンジャーサービスを提供するメッセンジャーサーバと、インスタントメッセージを入力する入力端末とを有してなるコールバックシステムにおいて、
前記メッセンジャーサーバと前記入力端末とに接続されたゲートウェイを有し、
前記ゲートウェイは、前記入力端末にて入力されたインスタントメッセージに含まれる発信元電話番号の電話機と発信先電話番号の電話機とを接続することを特徴とするコールバックシステム。」
という発明(以下、「本願発明」という。)を、補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された
「メッセンジャーサービスを提供するメッセンジャーサーバと、インスタントメッセージを入力する入力端末とを有してなるコールバックシステムにおいて、
前記メッセンジャーサーバと前記入力端末とに接続されたゲートウェイを有し、
前記ゲートウェイは、前記入力端末にて入力されたインスタントメッセージに含まれる発信元電話番号に対して発呼を行い、該発呼後に該発信元電話番号の電話機から特番通知があった場合、該発信元電話番号の電話機と、前記インスタントメッセージに含まれる発信先電話番号の電話機とを接続することを特徴とするコールバックシステム。」
という発明(以下、「補正後の発明」という。)に補正することを含むものである。

2.新規事項の有無、補正の目的要件について
本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において、補正前の「発信元電話番号の電話機と発信先電話番号の電話機とを接続する」という構成を「発信元電話番号に対して発呼を行い、該発呼後に該発信元電話番号の電話機から特番通知があった場合、該発信元電話番号の電話機と、前記インスタントメッセージに含まれる発信先電話番号の電話機とを接続する」という構成に限定することにより特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項(新規事項)及び平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号(補正の目的)の規定に適合している。

3.独立特許要件について
本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下に検討する。

(1)補正後の発明
上記「1.本願発明と補正後の発明」の項で「補正後の発明」として認定したとおりである。

(2)引用発明
A.原審の拒絶理由に引用された特開2005-341497号公報(以下、「引用例」という。)には、「電子メール連携コールバック方式およびそれに用いる構内交換機」に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。
イ.「電子メール受信機能を有する構内交換機と、該構内交換機に接続される内線電話機とを備え、前記構内交換機をインターネットおよび公衆網に接続して成る電話システムにおいてコールバックを行うに際し、
公衆網に接続された電話端末からインターネット経由でコールバック要求を含む電子メールが送信されたとき、前記構内交換機で当該電子メールを受信する工程と、
受信した電子メールに含まれるコールバック要求からコールバック接続先情報および内線着信先情報を含むコールバック情報を抽出してコールバック情報管理テーブルに登録する工程と、
当該コールバック情報に基づき、当該内線着信先の内線電話機および当該コールバック接続先の電話端末間のコールバック接続制御を行う工程と、
を行うことを特徴とする電子メール連携コールバック方式。」(2頁、請求項1)
ロ.「【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施形態の電子メール連携コールバック方式に用いる電話システムの構成を示す図である。本実施形態の電話システムは、図1に示すように、電子メール受信機能を有する構内交換機(以下、PBXという)1と、PBX1に内線接続される内線電話機2と、PBX1にLAN3を介して接続される電子メールサーバ4およびルータ5とを具備して成り、上記LAN3は、ルータ5を介してインターネット6および公衆網7に接続されている。また、上記PBX1は、電話回線8-1を介して公衆網7に直接的に接続されている。以下においては、本実施形態の電子メール連携コールバック方式に関与する発信側電話端末として、公衆網7に電話回線8-2を介して接続される固定電話機9およびパーソナルコンピュータ(以下、PCという)10と、公衆網7に無線基地局11を介して無線接続される携帯電話機12とが存在し、固定電話機9の電話番号は「033XXXYYY」であり、携帯電話機12の電話番号は「090AAAABBBB」であるとともに、着信側電話端末としての内線電話機2の内線番号は「3000」であるものとして、説明を展開する。なお、本実施形態においては、上記固定電話機9として、アナログ固定電話機、デジタル固定電話機およびIP固定電話機が使用可能であるとともに、上記携帯電話機12として、市販の携帯電話機および市販のPHSの他、メール送信機能および電話機能を有するPDA端末やノートPC等のモバイル端末が使用可能であるものとする。
【0015】
上記PBX1は、図1に示すように、電話回線8-1を介して一端を公衆網7に接続される公衆網回線収容トランク(以下、COTという)21と、COT21の他端に接続されるスイッチング回路(以下、SWという)22と、SW22に一端を接続されるとともに他端に内線電話機2を接続される内線収容回路(以下、LCという)23と、LAN3を接続するためのLANインターフェース部(以下、LAN-IFという)24と、内部配線25を介してSW22およびLAN-IF24に共通接続される主制御部(以下、CCという)26および主記憶部(以下、MEMという)27とを具備して成る。
【0016】
上記CC26は、電子メール受信部28と、コールバック情報管理部(以下、CB情報管理部という)29と、コールバック制御部(以下、CB制御部という)30とを具備して成る。
上記電子メール受信部28は、公衆網7に接続された固定電話機9や携帯電話機12等の電話端末からインターネット6経由で送信されて電子メールサーバ4に到達した電子メールを受信するものである。
上記コールバック情報管理部29は、受信した電子メールに含まれるコールバック要求から、コールバック接続先情報および内線着信先情報を含むコールバック情報を抽出してMEM27内に格納されたコールバック情報管理テーブル(以下、CB情報管理テーブルという)31に登録するものである。
上記コールバック制御部30は、当該コールバック情報に基づき当該内線着信先の内線電話機および当該コールバック接続先の電話端末間のコールバック接続制御を行うものである。
上記コールバック情報管理テーブル31は、図1中に例示するように、コールバック接続先情報(CB接続先情報)と、内線着信先情報と、当該コールバック接続の完了状態(完了に対応する「完」または、未完に対応する「未」)を表わす完了情報とを関連付けて記憶(格納)したものである。
【0017】
次に、本実施形態の電子メール連携コールバック方式を図2に基づいて説明する。
図2は第1実施形態における電子メール連携コールバック接続制御プログラムを示すフローチャートである。まず、図2のステップS1において、公衆網7に接続された電話端末(例えば携帯電話機12)から、コールバック要求を含む電子メール32(図3参照)が送信されると、次のステップS2で、電子メール32がインターネット経由でルータ5およびLAN3を経て電子メールサーバ4に着信し、次のステップS3では、PBX1の電子メール受信部28により電子メール32を受信する。次のステップS4では、PBX1のコールバック情報管理部29により、電子メール32が「コールバック要求を含む電子メール」であることを確認した後、電子メール32からコールバック接続先情報および内線着信先情報を含むコールバック情報を抽出してコールバック接続先情報および内線着信先情報をコールバック情報管理テーブル31に格納する。
【0018】
次のステップS5では、PBX1のコールバック制御部30によりコールバック情報管理テーブル31を参照して、当該コールバック接続先に発信する。次のステップS6では、この発信に当該コールバック接続先の電話端末が応答した後に、PBX1のコールバック制御部30により当該内線着信先に着信させる。上記ステップS5-ステップS6の実行により、当該内線着信先の内線電話機および当該コールバック接続先の電話端末間のコールバック接続制御が完了するので、次のステップS7では、当該内線着信先の内線電話機および当該コールバック接続先の電話端末間で通話を開始する。」(5?6頁、段落14?18)
ハ.「【0024】
本実施形態の電子メール連携コールバック方式によれば、発信側電話端末(携帯電話機12)で着信側電話端末の内線番号入力操作を行うことなく、当該コールバック呼を着信側電話端末(内線電話機2)に内線着信させることができるので、発信側電話端末で着信側電話端末の内線番号入力操作を行うことなく、コールバック要求を含む電子メールを送信する簡単な操作を行うだけで、着信側電話端末から発信側電話端末へのコールバックを実現し得る電子メール連携コールバック方式を提供することができる。それにより、出先等にいる携帯電話機12のユーザや、固定電話機9およびPC10を設置した家にいるユーザは、会社の内線電話機2にコールバックで電話を掛けることが可能になるので、電話料金を個人負担する必要が無くなる。
さらに、本実施形態の電子メール連携コールバック方式によれば、図1のように構成された構内交換機1を用いるので、本実施形態の電子メール連携コールバック方式に適した構内交換機を提供することができる。」(7頁、段落24)

上記引用例の記載及び関連する図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、上記「電子メールサーバ4」は例えば上記「携帯電話機12」又は「PC10」から入力される「電子メール32」の送受信を含むいわゆる「電子メールサービス」を提供するサーバであり、前記「電子メール」に含まれる「コールバック要求」から抽出される「コールバック接続先情報」及び「内線着信先情報」はそれぞれ「発信元電話番号」及び「発信先電話番号」である。
そして上記「構内交換機1」は「LAN3」を介して前記「電子メールサーバ4」と接続されており、また「LAN3」、「インターネット6」、「公衆網7」及び必要であれば「無線基地局11」を介して前記「携帯電話機12」又は「パーソナルコンピュータ10」と接続されている。
そして前記「携帯電話機12」又は「PC10」は上記したように前記「電子メール32」を入力する端末であるから、当該「携帯電話機12」又は「PC10」はいわゆる「入力端末」である。
したがって、上記引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されている。

(引用発明)
「電子メールサービスを提供する電子メールサーバと、電子メールを入力する入力端末とを有してなるコールバック方式において、
前記電子メールサーバと前記入力端末とに接続された構内交換機を有し、
前記構内交換機は、前記入力端末にて入力された電子メールに含まれる発信元電話番号に対して発呼を行い、該発信元電話番号の電話機と、前記電子メールに含まれる発信先電話番号の電話機とを接続するコールバック方式。」

B.原審の拒絶理由に引用された特開2004-334427号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
イ.「【請求項1】
所定の処理を行う管理手段と、
インスタントメッセージサービスを提供するサーバにログインする手段と、
前記サーバにログイン中のクライアントからインスタントメッセージを受け付ける手段と、
前記インスタントメッセージに付加された所定のコマンドを抽出する手段と、
前記コマンドに基づいて前記管理手段に所定の処理の実行を指示する手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。」(2頁、請求項1)
ロ.「【0005】
【発明が解決しようとする課題】
例えばワークフローシステムを提供する情報機器は、ユーザからの指示を受け付けるだけでなく、例えば回覧文書の閲覧指示のように、装置自身がユーザに対して通知を行うこともある。このように、情報機器からユーザに対する通知は、電子メールやウェブページを利用して行われていた。
【0006】
しかしながら、電子メールやウェブページは、ユーザが自分で情報を問い合わせる必要があるため、通知すべき情報が発生した時点でユーザに通知することは困難であった。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、リアルタイム性の高い情報伝達技術、簡易な手段を利用して情報機器に動作指示を与える技術、ネットワーク上のクライアントに情報機器のユーザインタフェイスを構築する技術の提供にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のある態様は、通信機能を有する装置である。この装置は、所定の処理を行う管理手段と、インスタントメッセージサービスを提供するサーバにログインする手段と、サーバにログイン中のクライアントからインスタントメッセージを受け付ける手段と、インスタントメッセージに付加された所定のコマンドを抽出する手段と、コマンドに基づいて管理手段に所定の処理の実行を指示する手段とを備える。これにより、この通信装置は、インスタントメッセージに付加されたコマンドに応じて所定の処理を行うことができる。また、インスタントメッセージはリアルタイムでクライアントから届くので、ユーザが指示した時点で、この装置はコマンドに応じた処理を即座に開始できる。つまり、インスタントメッセージクライアントを、ユーザからの指示を受け付けるためのインターフェースとして利用できる。この通信装置は、例えば通信機能を備える文書管理装置、ワークフローシステム、ファイルサーバ等であってよい。」(2?3頁、段落5?8)

即ち、上記引用例2には「情報機器のユーザインタフェイスとして、ユーザが自分で情報を問い合わせる必要がある電子メールに換えて、サーバにログイン中のクライアントからインスタントメッセージを受け付ける手段と、インスタントメッセージに付加された所定のコマンドを抽出する手段と、コマンドに基づいて管理手段に所定の処理の実行を指示する手段とを備えるリアルタイム性の高いインスタントメッセージサービスを採用することにより簡易な手段を利用して情報機器に動作指示を与える」技術手段が開示されている。

(3)対比
補正後の発明と引用発明を対比するに、まず補正後の発明の「メッセンジャーサービスを提供するメッセンジャーサーバ」及び「インスタントメッセージ」と引用発明の「電子メールサービスを提供する電子メールサーバ」及び「電子メール」はいずれも「データ送受信サービスを提供するデータ送受信サーバ」及び「データ」である点で一致している。
また、補正後の発明の「コールバックシステム」と引用発明の「コールバック方式」の間に実質的な差異はない。
また、本願明細書の段落【0018】?【0020】及び図2を参照すれば、補正後の発明の「ゲートウェイ」は呼制御を行う装置であるといえるから、引用発明の「構内交換機」とは、「呼制御を行う装置」である点で一致している。
また、引用発明は補正後の発明の「該発呼後に該発信元電話番号の電話機から特番通知があった場合」に接続する構成を備えていない。

したがって、補正後の発明と引用発明は、以下の点で一致し、また、相違している。

(一致点)
「データ送受信サービスを提供するデータ送受信サーバと、データを入力する入力端末とを有してなるコールバックシステムにおいて、
前記データ送受信サーバと前記入力端末とに接続された呼制御を行う装置を有し、
前記呼制御を行う装置は、前記入力端末にて入力されたデータに含まれる発信元電話番号に対して発呼を行い、該発信元電話番号の電話機と、前記データに含まれる発信先電話番号の電話機とを接続するコールバックシステム。」

(相違点1)
「データ送受信サービスを提供するデータ送受信サーバ」及び「データ」に関し、補正後の発明は「メッセンジャーサービスを提供するメッセンジャーサーバ」及び「インスタントメッセージ」であるのに対し、引用発明は「電子メールサービスを提供する電子メールサーバ」及び「電子メール」である点。

(相違点2)
「呼制御を行う装置」に関し、補正後の発明は「ゲートウェイ」であるのに対し、引用発明は「構内交換機」である点。

(相違点3)
「接続する」構成に関し、補正後の発明は「該発呼後に該発信元電話番号の電話機から特番通知があった場合」に接続するのに対し、引用発明は当該構成を備えていない点。

(4)判断
(4-1)上記相違点(1)の「データ送受信サービスを提供するデータ送受信サーバ」及び「データ」について
上記引用例2には「情報機器のユーザインタフェイスとして、ユーザが自分で情報を問い合わせる必要がある電子メールに換えて、サーバにログイン中のクライアントからインスタントメッセージを受け付ける手段と、インスタントメッセージに付加された所定のコマンドを抽出する手段と、コマンドに基づいて管理手段に所定の処理の実行を指示する手段とを備えるリアルタイム性の高いインスタントメッセージサービスを採用することにより簡易な手段を利用して情報機器に動作指示を与える」技術手段が開示されており、当該技術手段を引用発明の電子メールによる情報伝達手段に換えて採用する上での阻害要因は何ら見あたらないから、当該技術手段に基づいて、引用発明の「電子メールサービスを提供する電子メールサーバ」及び「電子メール」を補正後の発明のような「メッセンジャーサービスを提供するメッセンジャーサーバ」及び「インスタントメッセージ」とする程度のことは当業者であれば適宜なし得ることである。

(4-2)上記相違点(2)の「呼制御を行う装置」について
「構内交換機」は、構内のネットワーク上の端末を公衆網に接続し、呼制御を行う装置であるが、構内ネットワークをデジタル化したときに、アナログの公衆網と接続するためには、呼制御を行う装置がデジタルネットワークとアナログネットワークとを接続する機能、すなわちゲートウェイの機能を有する必要が有ることは技術的に自明の事項である。
構内ネットワークをデジタル化することは、極めてありふれたことであり、そのときに「呼制御を行う装置」を「ゲートウェイ」と称することは何ら格別のことではない。

(4-3)上記相違点(3)の「接続する」構成について
電話機から交換機等の装置に動作指示を与えるために特番通知を用いることは、例えば、特開2002-209239号公報の【請求項3】、特開平8-289028号公報の【請求項1】に示されているように周知技術である。
構内交換機やゲートウェイにより電話を接続する場合、直に接続するか、発信者の動作指示により接続するかは当業者が適宜選択しうる事項であり、そのための手段として周知の特番通知を用いて、相違点3の構成とすることに格別の困難性は認められない。

以上のとおりであるから、補正後の発明は、引用発明及び引用例2に記載された技術手段ないしは周知技術に基づいて容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.結語
以上のとおり、本件補正は、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合していない。
したがって、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、上記「第2.補正却下の決定」の「1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。

2.引用発明
引用発明は、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項中の「(2)引用発明」の項で認定したとおりである。

3.対比・判断
そこで、本願発明と引用発明とを対比するに、本願発明は上記補正後の発明から当該補正に係る限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成に当該補正に係る限定を付加した補正後の発明が、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項で検討したとおり、引用発明及び引用例2に記載された技術手段ないしは周知技術に基づいて容易に発明できたものであるから、上記補正後の発明から当該補正に係る限定を省いた本願発明も、同様の理由により、容易に発明できたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用例2に記載された技術手段ないしは周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-09-24 
結審通知日 2012-09-25 
審決日 2012-10-09 
出願番号 特願2006-93688(P2006-93688)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04M)
P 1 8・ 575- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 勝広  
特許庁審判長 竹井 文雄
特許庁審判官 新川 圭二
神谷 健一
発明の名称 コールバックシステム、ゲートウェイ及びコールバック方法  
代理人 緒方 雅昭  
代理人 宮崎 昭夫  
代理人 石橋 政幸  

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