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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1266539
審判番号 不服2011-14754  
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-07-08 
確定日 2012-11-22 
事件の表示 特願2006-175809「光学ユニット及び液晶表示モジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 1月10日出願公開、特開2008- 3514〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 本件の経緯
本願は、平成18年6月26日の出願であって、平成22年12月20日に手続補正がなされ、平成23年4月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年7月8日に拒絶査定不服審判請求がなされると同時に、手続補正がなされたものである。
なお、請求人は、当審における平成23年11月10日付け審尋に対して平成24年1月13日付けで回答書を提出している。また、審判官と請求人とは、平成24年7月2日に電話による応対、及び、同年8月9日に面接による応対を行った。さらに、請求人は同年9月7日にFAXによる追加反論(以下「追加反論」という。)を提出した。


2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成23年7月8日付け手続補正によって補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次ののものと認める。

「一対の偏光板間に液晶セルを挟持してなる液晶表示素子と、
この液晶表示素子の裏面側に重設される光学ユニットと、
この光学ユニットの裏面側に重設される面光源の対向エッジライト型バックライトと
を備える方形の液晶表示モジュールであって、
上記光学ユニットが、
反射光と透過光とで偏光特性を分離する反射偏光板と、この反射偏光板の裏面側に重畳される光学シートとを備える方形の層状構造体であり、
上記光学シートが、光学的異方性がある樹脂製の基材フィルムを有しており、
上記反射偏光板の透過軸方向を基準とする基材フィルムの結晶軸方向の角度の絶対値がπ/8以上3π/8以下である液晶表示モジュール。」

3 引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由2に引用された「本願の出願前に頒布された刊行物である特開2004-37988号公報(以下「引用例」という。)」には以下の事項が図とともに記載されている(下線は審決で付した。以下同様である。)。

(1)「【請求項1】
反射型直線偏光フィルムと、少なくとも1枚の低波長分散位相差フィルム又は逆波長分散位相差フィルムとが積層されてなることを特徴とする、積層偏光フィルム。
【請求項2】
位相差フィルムが1/4波長の位相差を有し、かつ、位相差フィルムの光軸と反射型直線偏光フィルムの偏光透過軸とが略45°で交差する請求項1に記載の積層偏光フィルム。
【請求項3】
反射型直線偏光フィルム側に、さらに吸収型直線偏光フィルムが積層されている請求項1又は2に記載の積層偏光フィルム。
【請求項4】
さらに、面内位相差値30nm以下の光拡散層が少なくとも1層積層されている請求項1?3のいずれかに記載の積層偏光フィルム。
【請求項5】
光拡散層が接着性を有する請求項4に記載の積層偏光フィルム。
【請求項6】
隣り合うフィルム又は層の少なくとも一対が感圧接着剤により密着積層されている請求項1?5のいずれかに記載の積層偏光フィルム。
【請求項7】
請求項1?6のいずれかに記載の積層偏光フィルム、光源部材及び反射板を備え、該光源部材及び反射板が、この順で積層偏光フィルムの位相差フィルム側に配置されていることを特徴とする、偏光光源装置。
【請求項8】
請求項7に記載の偏光光源装置、液晶セル及び前面側吸収型偏光フィルムを備え、該液晶セル及び前面側吸収型偏光フィルムがこの順で偏光光源装置の積層偏光フィルム側に配置されていることを特徴とする、液晶表示装置。
【請求項9】
液晶セルと前面側吸収型偏光フィルムとの間に、面内位相差値30nm以下の光拡散層が積層されている請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
積層偏光フィルムから前面側吸収型偏光フィルムに至る各部材の隣り合う少なくとも一対が感圧接着剤により密着積層されている請求項8又は9に記載の液晶表示装置。」

(2)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過型液晶表示装置、並びにそれに好適な光源装置及び部材に関するものである。詳しくは、反射型偏光フィルムによる輝度向上効果を高めることを目的とする積層偏光フィルム、並びにそれを用いた高輝度の偏光光源装置及び液晶表示装置に関するものである。」

(3)「【0005】
近年、背面側吸収型偏光フィルムと光源装置の間に反射型偏光フィルムを挿入する輝度向上システムが採用されるようになった。この輝度向上システムは、例えば、特表平 9-511844 号公報に記載されているように、光源装置からの出射光のうち、背面側吸収型偏光フィルムが吸収してしまう偏光成分を、反射型偏光フィルムを介在させることで事前に反射させて光源装置に戻すことにより、再利用可能とし、利用できる光量を増加させることで、表示装置の輝度を向上させるものである。」
【0006】
この輝度向上システムは、反射型偏光フィルムにより光源装置に戻された偏光成分を、いかに効率良く、背面側吸収型偏光フィルムを透過する偏光成分に変換できるかが、輝度向上率を高めるうえで重要である。輝度向上率を高める方法として、例えば、特開 2001-147321号公報に提案されるように、反射型直線偏光フィルムと位相差フィルムとを互いの光軸が45°又は135°で交わるように配置し、位相差フィルムとして1/4波長位相差フィルムを使用する方法がある。この方法によれば、輝度向上システムは円偏光を利用するため、有効に偏光変換が機能し、輝度向上効果を高めることができる。
【0007】
この概念を有効に活用するためには、可視光域の全域に渡って、円偏光性が機能することが好ましい。しかし、通常のポリカーボネート樹脂を延伸してなる位相差フィルムは、短波長に対しては位相差が大きくなる特性があるため、1枚の位相差フィルムで可視光域の全域に渡って円偏光性を満たすことはできず、よって、円偏光による輝度向上効果が十分には得られなかった。【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、円偏光を利用する輝度向上システムにおいて、可視光域の必要な波長における円偏光性を確保して偏光変換効率を高め、それにより、反射型偏光フィルムによる輝度向上率を高めることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、位相差フィルムの有する波長分散性を特定することによって、円偏光を利用する輝度向上効果をさらに高めることができ、輝度向上率が高まることを見出した。」

(4)「【0020】
低波長分散位相差フィルム22とは、位相差値の波長依存性が小さい位相差フィルムである。本発明では、480?490nmの波長域から選ばれた波長λ_(2)における位相差R(λ_(2))を、750?760nmの波長域から選ばれた波長λ_(1)における位相差R(λ_(1))で除した値 R(λ_(2))/R(λ_(1))が、0.95以上1.05以下の範囲にあるものを、低波長分散位相差フィルムとする。このような低波長分散位相差フィルムとしては、例えば、ノルボルネン系樹脂からなる位相差フィルムなどがあり、具体的には、商品名“アートン”(ジェイエスアール株式会社製の樹脂)を延伸してなるフィルムや、商品名“エスシーナ”(積水化学工業株式会社製の位相差フィルム)などが使用できる。
【0021】
逆波長分散位相差フィルム23とは、例えば、 Uchiyama と Yatabe による Proceedings of The Seventh International Display Workshops (2000), p.407-410 の報告にあるように、短波長では位相差値が小さく、長波長では位相差値が大きくなる位相差フィルムである。一般の位相差フィルムは、波長が短くなるほど位相差値が大きくなる特性を有するのに対し、位相差値の波長依存性が一般の位相差フィルムとは逆の特性を示すことから、逆波長分散位相差フィルムと呼ばれる。本発明では、480?490nmの波長域から選ばれた波長λ_(2)における位相差R(λ_(2))を、750?760nmの波長域から選ばれた波長λ_(1)における位相差R(λ_(1))で除した値 R(λ_(2))/R(λ_(1))が、0.50以上0.95以下の範囲にあるものを、逆波長分散位相差フィルムとする。かかる逆波長分散位相差フィルムとしては、例えば、特開 2000-137116号公報に記載されるような、セルロースアセテート樹脂からなるフィルム、例えば、特開 2001-42121号公報に記載されるような、ポリフェニレンオキサイドとポリスチレンとからなる高分子ブレンドフィルム、例えば、特開 2002-48919号公報に記載されるような、フルオレン骨格を有するポリカーボネート樹脂を含む高分子フィルムなどがあり、具体的には、商品名“WRF”(帝人株式会社製の位相差フィルム)などが使用できる。【0022】
本発明では、これらの低波長分散又は逆波長分散位相差フィルムを反射型直線偏光フィルムと積層して、積層偏光フィルムとする。位相差フィルムは、1/4波長位相差フィルムであることが好ましい。位相差フィルムを2枚以上用いて、1/4波長位相差フィルムとしてもよい。
【0023】
図2に軸の向きを模式図で示すように、1/4波長位相差フィルム24の光軸104と反射型直線偏光フィルム21の偏光透過軸101とが、略45°で交わるようにすることが最も好ましいが、40?50°であれば、さしたる支障はない。これにより、1/4波長位相差フィルム24側からの入射光に対しては、反射型直線偏光フィルム21は片偏光成分を反射し、その反射された偏光成分は、1/4波長位相差フィルム24を透過後に可視光域の全域に対して優れた円偏光性を有し、輝度向上システムが有効に機能するようになる。理想的には、可視光域の全域において1/4波長であることが最も好ましいが、本発明で用いる低波長分散又は逆波長分散位相差フィルムも、通常は位相差値の波長依存性を示す。そこで本発明では、545?555nmの波長域から選ばれた波長λ_(3)における位相差値が130?150nmであるものを、1/4波長位相差フィルムとする。位相差フィルムの光軸は、位相差フィルムの面内における最大屈折率方向とする。
【0024】
本発明に用いる位相差フィルムは、二軸性を有していてもよい。二軸性とは、位相差フィルムの面内における最大屈折率方向をx軸方向、それと直交する面内の軸をy軸方向、厚み方向をz軸方向として、それぞれの軸方向における屈折率をnx、ny及びnz としたときに、ny≠nzとなるものである。配向状態を表現するのに使用されるNz係数=(nx-nz)/(nx-ny)で表すと、Nz係数≠1の配向状態を二軸性と呼ぶ。
【0025】
本発明では、さらに吸収型直線偏光フィルムを積層し、積層偏光フィルムとしてもよい。吸収型直線偏光フィルムを用いる場合は、吸収型直線偏光フィルム/反射型直線偏光フィルム/少なくとも1枚の低波長分散又は逆波長分散位相差フィルムの順に積層する。図3は、図1に示した積層偏光フィルムに、さらに吸収型直線偏光フィルム25が積層された状態を示しており、(a)及び(b)は、それぞれ図1の(a)及び(b)に対応している。
【0026】
低波長分散又は逆波長分散位相差フィルムが1/4波長位相差フィルムである場合には、図4に軸の向きを模式図で示すように、図2に示した積層偏光フィルムの軸の向きに対して、新たに積層する吸収型直線偏光フィルム25の偏光透過軸105の向きは、反射型直線偏光フィルム21の偏光透過軸101と同方向、すなわち略0°が最も好ましいが、10°以下であれば問題なく使用できる。反射型直線偏光フィルム21の偏光透過軸101と1/4波長位相差フィルム24の光軸104がなす角度については、先述のように、略45°で交わるようにすることが最も好ましいが、40?50°であれば、さしたる支障はない。」

(5)「【0030】
本発明では、反射型直線偏光フィルムと光源装置の間で生じる輝度向上システムを最適なものにすることを主たる目的とするので、光源装置に一般に用いられる拡散シートは、使用しないほうが好ましい場合がある。そのためには、面内位相差値が30nm以下である光拡散層を積層偏光フィルムに組み込んでしまうのが好ましい。光拡散層を積層する場所は、特に制限されない。この場合の例を図5及び図6に示す。図5の(a)は、図3(a)に示した吸収型直線偏光フィルム25、反射型直線偏光フィルム21及び低波長分散位相差フィルム22からなる層構成において、吸収型直線偏光フィルム25の外側に光拡散層26を配置したものである。図5の(b)は、吸収型直線偏光フィルム25と反射型直線偏光フィルム21の間に光拡散層26を配置したものである。図5の(c)は、反射型直線偏光フィルム21と低波長分散位相差フィルム22の間に光拡散層26を配置したものである。図5の(d)は、低波長分散位相差フィルム22の外側に光拡散層26を配置したものである。図6は、逆波長分散位相差フィルム23を用いた場合の例であり、それぞれ図5の(a)?(d)における低波長分散位相差フィルム22を逆波長分散位相差フィルム23に置き換えた形態になっている。
【0031】
光拡散層26は、高い全光線透過率を示すほうがよいことから、その全光線透過率は、80%以上であるのが好ましく、より好ましくは90%以上である。また、光拡散層26の拡散性能を表す指標であるヘイズ率は、所望とする拡散性能に応じて任意に設定されるが、通常は30%以上95%以下である。ここでヘイズ率とは、(拡散光線透過率/全光線透過率)×100(%)で表される数値である。
【0032】
光拡散層26の材質は特に制限されないが、例えば、有機又は無機の微粒子が分散された高分子フィルムや光拡散性感圧接着剤、屈折率変調型光拡散フィルムなどが好適に用いられる。積層偏光フィルムの部材点数を減らして厚みを薄くするために、有機又は無機の微粒子が分散された光拡散性感圧接着剤は、特に好ましい光拡散層の一つである。ここで、有機又は無機の微粒子を構成する材質としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、シリコーン、シリカ、酸化チタンなどを挙げることができる。母体となる感圧接着剤としては、公知の各種のものが使用でき、例えば、アクリレート系感圧接着剤、ゴム系感圧接着剤、シリコーン系感圧接着剤、ウレタン系感圧接着剤などが挙げられる。中でも、アクリレート系感圧接着剤が好ましく使用できる。
【0033】
本発明による積層偏光フィルムの取扱い性を容易にするために、構成するフィルムや層間を感圧接着剤で密着するのが好ましい。密着することで、不要な反射による光のロスを防ぐこともできる。感圧接着剤としては、公知の各種のものが使用できる。例えば、アクリレート系感圧接着剤、ゴム系感圧接着剤、シリコーン系感圧接着剤、ウレタン系感圧接着剤などが挙げられる。中でも、アクリレート系感圧接着剤が好ましく使用される。感圧接着剤の厚みは、特に制限されないが、通常1μm 以上100μm 以下、好ましくは20μm 以上、また好ましくは50μm 以下である。」

(6)「【0036】
図7に示す例では、図5(a)に示したのと同じ、光拡散層26、吸収型直線偏光フィルム25、反射型直線偏光フィルム21及び低波長分散位相差フィルム22の順で積層された積層偏光フィルム10の低波長分散位相差フィルム22側に、光源装置61を配置して、偏光光源装置64が構成されている。
【0037】
図7における光源装置61は、サイドライト式と呼ばれるもので、光源51、導光板52及び、導光板52の背面に配置された反射板53を備えており、導光板52の側面に配置された光源51からの光は、光源51の導光板52に面しない側を覆う反射鏡54で反射されて、まず導光板52内に取り込まれ、その中を進むとともに、反射板53での反射と相まって、導光板52の前面側から均一に光が放出されるようになっている。光源装置は基本的に、光源部材と反射板を備えており、図7に示したサイドライト式の場合は、光源51と導光板52とで光源部材を構成している。このような光源装置61が、積層偏光フィルム10の低波長分散位相差フィルム22側に配置されて、偏光光源装置64が構成されている。さらに、積層偏光フィルム10の吸収型直線偏光フィルム25側が液晶セル30の背面に光拡散層26を介して対向配置され、液晶セル30の前面側には位相差フィルム42と吸収型偏光フィルム41が配置されて、透過型液晶表示装置67が構成されている。【0038】
図7には、図5(a)に示した積層偏光フィルム10を用いた例を示したが、この積層偏光フィルム10を、図5(b)?(d)に示したものに変えたり、図6(a)?(d)に示したものに変えたりすることも、もちろん可能である。いずれの場合も、光源部材と反射板とを備える光源装置61は、積層偏光フィルム10の位相差フィルム22又は23側に配置される。
【0039】
従来の偏光光源装置においては、図10に示したような拡散シート55やレンズシート56が広く用いられている。本発明による偏光光源装置64にも、これらの一方又は双方を配置することができるが、これらは反射型直線偏光フィルムと光源装置の間における偏光状態を乱す原因になるため、可能であれば配置しないほうが好ましい。
【0040】
図7に示す偏光光源装置64ないし透過型液晶表示装置67において、光源装置61に用いる光源51は特に限定されず、公知の偏光光源装置や液晶表示装置に採用されているものが、本発明においても同様に使用できる。適当な光源51として、具体的には例えば、冷陰極管、発光ダイオード、無機又は有機のエレクトロルミネッセンス(EL)ランプなどが挙げられる。」

(7)「【0045】
本発明の透過型液晶表示装置は、図7に例を示すような、偏光光源装置64の出射光面である積層偏光フィルム10側に、液晶セル30と前面側吸収型偏光フィルム41とをこの順に配置したものである。ここで、液晶セル30と前面側吸収型偏光フィルム41の間には、必要に応じて、位相差フィルム42を1枚又は複数枚配置することができ、また必要に応じて、液晶セル30の前面側に光拡散層を配置することもできる。さらに、位相差フィルムと光拡散層の両者を配置してもよい。光拡散層は、面内位相差値が30mm以下であるのが好ましい。透過型液晶表示装置を構成する各部材、特に積層偏光フィルム10から前面側吸収型偏光フィルム41に至るまでの各部材は、隣り合う少なくとも一対が感圧接着剤により密着積層されているのが好ましく、さらには、隣り合うすべての部材同士が感圧接着剤により密着積層されているのが一層好ましい。」

(8)「【0057】
実施例1
感圧接着剤#7/吸収型直線偏光フィルムSRW062A/光拡散性感圧接着剤#B/反射型直線偏光フィルムDBEF-P/感圧接着剤#7/低波長分散位相差フィルムSEN340140 をこの順で、吸収型直線偏光フィルムの偏光透過軸と反射型直線偏光フィルムの偏光透過軸とが平行になり、かつ反射型直線偏光フィルムの偏光透過軸と低波長分散位相差フィルムの光軸とが45°で交わるように密着積層して、本発明の積層偏光フィルム10を作製した。図9に示すように、参考例1で使用した積層フィルム83に替えて、この積層偏光フィルム10を1.1mm 厚のガラス板81に感圧接着剤82側で貼ったものを、ガラス板81が上側となるよう、参考例1で使用した光源装置80の上に配置し、本発明による偏光光源装置86を作製した。この偏光光源装置86について、参考例1と同様の方法で透過輝度を測定した。結果を表2に示した。参考例1に対し、低波長分散位相差フィルム22(SEN340140)を加えたことによる輝度向上効果は1.05倍以上であり、高輝度の偏光光源装置が得られた。
【0058】
実施例2
実施例1における低波長分散位相差フィルムSEN340140 に替えて、逆波長分散位相差フィルムSEW480138 を使用したほかは、実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示した。参考例1に対し、逆波長分散位相差フィルムSEW480138 を加えたことによる輝度向上効果は1.05倍 以上であり、高輝度の偏光光源装置が得られた。」

(9)「【0066】
【発明の効果】
本発明の積層偏光フィルムを使用すれば、透過型液晶表示装置の透過輝度を高めることができる。」

(10) 図4(a)及び(b)の記載から、吸収型直線偏光フィルム25、反射型直線偏光フィルム21及び1/4波長位相差フィルム24の形状は、いずれも長方形であることが見て取れる。

(11) 図5(c)の記載から、前面側から、吸収型直線偏光フィルム25、反射型直線偏光フィルム21、光拡散層26、低波長分散位相差フィルム22の順に配置され、これらが積層されている積層偏光フィルム10が見て取れる。

(12) 図6(c)の記載から、前面側から、吸収型直線偏光フィルム25、反射型直線偏光フィルム21、光拡散層26、逆波長分散位相差フィルム23の順に配置され、これらが積層されている積層偏光フィルム10が見て取れる。

(13) 上記(1)ないし(12)からみて、引用例には、図7に示される透過型液晶表示装置67の積層偏光フィルム10を、図5(c)に示された積層偏光フィルム10又は図6(c)に示された積層偏光フィルム10に変えて製造した透過型液晶表示装置として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「前面側から、吸収型直線偏光フィルム、反射型直線偏光フィルム、部材点数を減らして厚みを薄くするために有機又は無機の微粒子が分散された光拡散性感圧接着剤で構成した光拡散層、及び、低波長分散又は逆波長分散位相差フィルムである1/4波長位相差フィルムをこの順で配置され、これらが積層されている積層偏光フィルムと、
該積層偏光フィルムの前記1/4波長位相差フィルム側に配置されたサイドライト型の光源装置と、
前記積層偏光フィルムの前記吸収型直線偏光フィルム側にその背面が対向するように配置された液晶セルと、
該液晶セルの前面側に順に配置された第2の位相差フィルム及び前面側吸収型偏光フィルムとからなる各部材を、
感圧接着剤により密着積層して構成し、
可視光領域の必要な波長における円偏光性を確保し偏光変換効率を高めて透過輝度を高めるようにした透過型液晶表示装置であって、
前記吸収型直線偏光フィルム、反射型直線偏光フィルム及び1/4波長位相差フィルムの形状は、いずれも長方形であり、
前記1/4波長位相差フィルムは、ノルボルネン系樹脂やセルロースアセテート樹脂などからなり、前記反射型直線偏光フィルムにより光源装置側に戻された偏光成分を可視光域の必要な波長における偏光変換効率を高め、反射型直線偏光フィルムによる輝度向上率を高めるためのものであって、該反射型直線偏光フィルムの透過軸と該1/4波長位相差フィルムの光軸とのなす角が略45°である、
透過型液晶表示装置。」

4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「『前面側吸収型偏光フィルム』及び『吸収型直線偏光フィルム』」、「液晶セル」、「吸収型直線偏光フィルム、液晶セル、第2の位相差フィルム及び前面側吸収型偏光フィルム」、「反射型直線偏光フィルム」、「光拡散層及び1/4波長位相差フィルム」、「長方形」、「反射型直線偏光フィルム、光拡散層及び1/4波長位相差フィルム」、「背面」、「積層」、「サイドライト型の光源装置」、「透過型液晶表示装置」、「『ノルボルネン系樹脂やセルロースアセテート樹脂などから』なる『1/4波長位相差フィルム』」、「透過軸」、「光軸」及び「45°」は、それぞれ、本願発明の「一対の偏光板」、「液晶セル」、「液晶表示素子」、「反射光と透過光とで偏光特性を分離する反射偏光板」、「光学シート」、「方形」、「光学ユニット」、「裏面」、「重設」、「『面光源』の『エッジライト型バックライト』」、「液晶表示モジュール」、「『光学的異方性がある樹脂製』の『フィルム』」、「透過軸」、「結晶軸」及び「2π/8」に相当する。

(2)上記(1)に照らせば、引用発明において、「液晶表示モジュール(透過型液晶表示装置)」は、背面側の「偏光板(吸収型直線偏光フィルム)」、「反射光と透過光とで偏光特性を分離する反射偏光板(反射型直線偏光フィルム)」、光拡散性感圧接着剤で構成した光拡散層、及び、「光学的異方性がある樹脂製のフィルム(1/4波長位相差フィルム)」をこの順で配置され、これらが「重設(積層)」されている積層偏光フィルムと、該積層偏光フィルムの前記「光学的異方性がある樹脂製のフィルム」側に配置された「面光源のエッジライト型バックライト(サイドライト型の光源装置)」と、前記積層偏光フィルムの前記「背面側の偏光板」側にその背面が対向するように配置された「液晶セル」と、該「液晶セル」の前面側に順に配置された第2の位相差フィルム及び前面側の「偏光板(前面側吸収型偏光フィルム)」とからなる各部材を、感圧接着剤により密着「重設(積層)」して構成したものであるから、積層偏光フィルムと、該積層偏光フィルムの前記「背面側の偏光板」側にその背面が対向するように配置された「液晶セル」と、該「液晶セル」の前面側に順に配置された第2の位相差フィルム及び前記「前面側の偏光板」とは密着「重設(積層)」されており、前記「液晶セル」は、「背面側の偏光板」と「前面側の偏光板」との間に第2の位相差フィルムを介して挟持されていることになり、「背面側の偏光板(吸収型直線偏光フィルム)」、「液晶セル」、第2の位相差フィルム及び「前面側の偏光板」からなる「液晶表示素子」は、一対の「偏光板」間に「液晶セル」を挟持してなるものといえ、該「液晶表示素子」の「裏面(背面)」側には、「反射光と透過光とで偏光特性を分離する反射偏光板(反射型直線偏光フィルム)」、光拡散層及び「光学的異方性がある樹脂製のフィルム(1/4波長位相差フィルム)」からなる「光学ユニット」が「重設(積層)」されていることになり、該「光学ユニット」の「裏面」側には、「面光源のエッジライト型バックライト(サイドライト型の光源装置)」が「重設(積層)」されていることになる。そして、吸収型直線偏光フィルム、反射型直線偏光フィルム及び1/4波長位相差フィルムの形状は、いずれも「方形(長方形)」であるから、それらを含んで構成した「液晶表示モジュール(透過型液晶表示装置)」の形状も「方形」であることが当業者に自明である。そこで、前記「光学ユニット」は、「反射光と透過光とで偏光特性を分離する反射偏光板(反射型直線偏光フィルム)」と、この「反射偏光板」の「裏面(背面)」側に「重設(積層)」される「光学シート(光拡散層及び1/4波長位相差フィルム)」とを備える「方形」の層状構造体であるといえる。
したがって、
引用発明の「液晶表示素子(吸収型直線偏光フィルム、液晶セル、第2の位相差フィルム及び前面側吸収型偏光フィルム)」と本願発明の「液晶表示素子」とは「一対の偏光板間に液晶セルを挟持してなる」ものである点で一致し、
引用発明の「光学ユニット(反射型直線偏光フィルム、光拡散層及び1/4波長位相差フィルム)」と本願発明の「光学ユニット」とは「反射偏光板と、この反射偏光板の裏面側に重畳される光学シートとを備える」点、「液晶表示素子の裏面側に重設される」点及び「方形の層状構造体」である点で一致し、
引用発明の「面光源のエッジライト型バックライト(サイドライト型の光源装置)」と本願発明の「面光源のエッジライト型バックライト」とは「光学ユニットの裏面側に重設される」点で一致し、
引用発明の「液晶表示モジュール」と本願発明の「液晶表示モジュール」とは「液晶表示素子と、光学ユニットと、面光源のエッジライト型バックライトとを備える」点及び「方形」である点で一致する。

(3)引用発明において、「反射光と透過光とで偏光特性を分離する反射偏光板(反射型直線偏光フィルム)」の「透過軸」と「光学的異方性がある樹脂製のフィルム(1/4波長位相差フィルム)」の「結晶軸(光軸)」とのなす角は略「2π/8(45°)」であるから、引用発明の「反射光と透過光とで偏光特性を分離する反射偏光板」の「透過軸」方向を基準とする「光学的異方性がある樹脂製のフィルム」の「結晶軸」方向の角度の絶対値と本願発明の「反射偏光板の透過軸方向を基準とする基材フィルムの結晶軸方向の角度の絶対値」とは「略π/4」である点で一致する。

(4)上記(1)ないし(3)から、本願発明と引用発明とは、
「一対の偏光板間に液晶セルを挟持してなる液晶表示素子と、
この液晶表示素子の裏面側に重設される光学ユニットと、
この光学ユニットの裏面側に重設される面光源のエッジライト型バックライトと
を備える方形の液晶表示モジュールであって、
上記光学ユニットが、
反射光と透過光とで偏光特性を分離する反射偏光板と、この反射偏光板の裏面側に重畳される光学シートとを備える方形の層状構造体であり、
上記光学シートが、光学的異方性がある樹脂製のフィルムを有しており、
上記反射偏光板の透過軸方向を基準とする上記フィルムの結晶軸方向の角度の絶対値が略π/4である液晶表示モジュール。」である点で一致し、次の点で相違する。

相違点1:
前記エッジライト型バックライトが、本願発明では「対向」型であるのに対して、引用発明では対向型ではない点。

相違点2:
光学的異方性がある樹脂製の前記フィルムが、本願発明では光学シートの「基材」であるのに対して、引用発明では、「光学シート」に含まれる有機又は無機の微粒子が分散された光拡散性感圧接着剤で構成した光拡散層は、「反射光と透過光とで偏光特性を分離する反射偏光板(反射型直線偏光フィルム)」及び「光学的異方性がある樹脂製のフィルム(1/4波長位相差フィルム)」の間に配置されて、これらが積層されのであるから、光拡散性感圧接着剤により光拡散層を構成する際に基材となる部材は、「反射偏光板」及び「光学的異方性がある樹脂製のフィルム」のいずれか又は両方であるといえるが、「光学的異方性がある樹脂製のフィルム」であるかどうかは不明である点。

5 判断
上記相違点1及び2について検討する。
(1)相違点1について
ア エッジライト型バックライトにおいて、光源を対向配置したものは、本願の出願前に周知である(以下「周知技術」という。例.特開2005-44642号公報(【0003】、図1、図2及び図3参照。)、特開平6-230229号公報(【0002】、【0003】、図6、【0011】、図1及び図2参照。)、特開2005-49857号公報(【0017】、【0018】及び図1参照。)、特開平9-329712号公報(【0002】、【0003】、図1及び図2参照。)、特開平11-295735号公報(【0018】、【0034】?【0038】、図1?図4参照。))。

イ 引用発明において、「エッジライト型バックライト(サイドライト型の光源装置)」として、光源を対向配置したものを採用すること、すなわち、引用発明において、上記相違点に係る本願発明の構成となすことは、当業者が周知技術に基づいて適宜なし得た程度のことである。

(2)相違点2について
ア 本願明細書の発明の詳細な説明には、次の記載がある。
「当該光学ユニットは、反射光と透過光とで偏光特性を分離する反射偏光板を備えていることから、液晶表示モジュールにおいて、液晶表示素子の裏面側偏光板の透過軸方向と平行な偏光成分についてはそのまま透過させ、それ以外の偏光成分を下方側へ戻して光線の再利用に供し、ランプから発せられる光線の利用効率を向上することができる。また当該光学ユニットは、反射偏光板の裏面側に重畳される光学シートを備え、この光学シートが光学的異方性がある樹脂製基材フィルムを有し、この基材フィルムの結晶軸方向の角度(絶対値)を反射偏光板の透過軸方向に対してπ/8以上3π/8以下とすることで、液晶表示モジュールにおいて、反射偏光板でバックライト側(裏面側)に反射され、バックライトで表面側に反射されて往復する再帰光線の偏光方向を反射偏光板の透過軸方向(つまり、液晶表示素子の裏面側偏光板の透過軸方向)へ変換することができ(以下、当該機能を「再帰光線の偏光機能」と略す)、その結果再帰光線の液晶セルへの到達率、ひいてはランプから発せられる光線の利用効率を促進することができる。なお、当該光学ユニットは、上記再帰光線の偏光機能を効果的に奏するため、バックライトの出射光線の偏光特性が比較的等方的な直下型液晶表示モジュール及び対向エッジライト型液晶表示モジュールに好適に使用される。
」(【0012】)、
「上記光学シートは、基材フィルムの一方の面に積層される光学層を有するとよい。この光学層としては、(a)複数の光拡散剤とそのバインダーとを有するもの(光拡散シートの光拡散層)や、(b)屈折性を有する微小な凹凸形状を有するもの(プリズムシートのプリズム列層等)とすることができる。かかる光拡散シートやプリズムシートなどの光学シートは通常液晶表示モジュールに使用されているため、当該手段のように一般的に備えられる光学シートの基材フィルムとして上述の再帰光線の偏光機能を有する当該基材フィルムを用いることで、液晶表示モジュールの光学シート装備枚数の増大を招来することなく、上述の再帰光線の偏光機能が付与され、光線の利用効率を格段に高め、高輝度化及び省エネルギー化を促進することができる。」(【0016】)、
「ここで、「光学シート」とは、上記基材フィルムのみからなる場合も含む概念である。…(略)…。」(【0021】)

イ 上記アの記載からみて、本願発明において、光学的異方性がある樹脂製のフィルムを光学シートの「基材」とした技術上の意義は、別途の基材シートを用いる必要をなくしてシート装備枚数の増大を招来しないことにあるものと認められ、また、上記アでは、本願発明の光学シートは、この基材シートのみ、すなわち光学的異方性がある樹脂製のフィルムのみからなる場合も含む概念であるとされている。

ウ 引用発明では、「反射偏光板(反射型直線偏光フィルム)」及び「光学的異方性がある樹脂製のフィルム(1/4波長位相差フィルム)」のいずれか又は両方が、光拡散性感圧接着剤により光拡散層を構成する際の基材となるから、いずれにしても、引用発明は、上記イで述べた「別途の基材シートを用いる必要をなくしてシート装備枚数の増大を招来しない」という技術上の意義を有していることになる。また、上記イからすると、引用発明の「光学的異方性がある樹脂製のフィルム(1/4波長位相差フィルム)」自体も本願発明の「光学シート」に相当するといえる。

エ 上記ウのとおりであるから、上記相違点2は、実質的な相違点ではない。仮に、上記相違点2が実質的な相違があるとしても、当業者が適宜なし得た設計上の事項にすぎない。

(3)本願発明の効果は、引用発明の奏する効果及び周知技術の奏する効果から当業者が予測することができた程度のものである。

(4)まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、当業者が引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。

5 請求人の主張について
(1)請求人は追加反論で、「広辞苑(第六版)によれば、『重畳』とは、『幾重にも重なる』とあり、『重なる』とは、『ものの上に別の同じようなものが乗る』とあります。つまり、本願において、光学シートは反射偏光板に『乗っている状態』で配設されており、接着剤を介して反射偏光板に積層されるものではありません。」と主張するが、以下のとおりこの主張は本願発明を正解したものではない。

(2)本願の特許請求の範囲及び明細書には、つぎの記載がある。
ア 「【請求項2】
上記反射偏光板と光学シートとの間に充填される透明媒体層を備えている請求項1に記載の光学ユニット。」
イ 「【0034】
透明媒体層11を形成する透明媒体は、光線を表面側に透過させる必要から透明性を有し、かつ、空気よりも屈折率が大きいものである。この透明媒体層11の透明性は、無色透明に加え、有色透明、半透明等を含む概念である。この透明媒体としては、具体的には粘着剤、ラミネート用接着剤、溶融押出樹脂、シリコーンオイル等が挙げられる。」
ウ 「【0109】
〈透明媒体層の有無を評価する実験〉
図6と同様の直下型バックライト、反射偏光板及び液晶表示素子を裏面側からこの順に備え、液晶表示素子の裏面側偏光板及び反射偏光板の透過軸方向が短辺方向を基準として0°の液晶表示モジュールを用いた。リタデーション値が140nmのサンプル4の基材フィルムを用い、反射偏光板の透過軸方向に対する基材フィルムの結晶軸方向の角度αをπ/4とし、反射偏光板の裏面側に重畳した場合と透明の粘着剤を介して貼設した場合との正面輝度を測定した。その結果を下記表2に示す。
【0110】
【表2】


【0111】
〈透明媒体層の有無の評価〉
表2に示しように、反射偏光板と基材フィルムとを重畳した場合に比べ、反射偏光板と基材フィルムとを透明媒体層(粘着剤)を介して貼設した場合の方が高い正面輝度を示している。

(3)請求項1に係る発明(本願発明)を引用する請求項2に係る発明(上記(2)ア参照。)は「反射偏光板と光学シートとの間に充填される透明媒体層」を備えるものであるところ、上記(2)イ及びウの記載からみて、この「透明媒体層」には「透明の接着剤」が含まれる。本願発明は請求項2に係る発明を含む上位概念の発明であるから、本願発明における「重畳」は、透明の接着剤である「透明媒体層」を介するものを含んでいる。よって、本願発明の「重畳」が、粘着剤(接着剤)を介して重なっている状態を除外していると解することができない。

(4)また、上記(1)における請求人の主張で引用された広辞苑(第六版)から「重畳」とは、重なっている状態を意味するものであり、重なっている(乗っている)ものが、固定されているが固定されていないのかあるいはどのように固定されるかは規定していない。上記(2)ウの【表2】では、「単に重畳した場合(透明媒体層無し)」と記載して、「重畳」に対して「透明媒体層無し」との記載を追加することで、粘着剤を用いずに「重畳」したことを表している。本願の請求項1では「透明媒体層無し」と明記されていないので、本願発明の「重畳」が、粘着剤(接着剤)を介して重なっている状態を除外していると解することができない。

6 むすび
本願発明は、以上のとおり、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-09-18 
結審通知日 2012-09-25 
審決日 2012-10-09 
出願番号 特願2006-175809(P2006-175809)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 後藤 慎平  
特許庁審判長 小牧 修
特許庁審判官 清水 康司
金高 敏康
発明の名称 光学ユニット及び液晶表示モジュール  
代理人 天野 一規  

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