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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B32B
管理番号 1266561
審判番号 不服2012-5683  
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-03-28 
確定日 2012-11-22 
事件の表示 特願2000-138522「化粧板」拒絶査定不服審判事件〔平成13年11月13日出願公開、特開2001-315259〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本件出願は、平成12年5月11日の出願であって、平成23年12月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成24年3月28日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされ、当審において平成24年7月6日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、これに対して平成24年8月30日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成24年8月30日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。

「木質基材の表面に化粧紙を貼着し、該化粧紙上に合成樹脂による保護層を設けてなる化粧板において、前記化粧紙は合成樹脂によるシーラー処理を施した原紙を使用した化粧紙であり、且つ、前記合成樹脂による保護層は複数層からなり、そのうち最外層を除く層の少なくとも1層に、無機材料からなる減摩剤が添加されており、且つ、該減摩剤が最外層の樹脂塗膜によって被覆されていて、前記最外層は、前記化粧板と接する物体に対する摩耗効果を低減させることを特徴とする化粧板。」

第3.刊行物の記載事項
(1)当審拒絶理由で引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2000-43196号公報(公開日 平成12年2月15日。以下「刊行物1」という。)には、次のa.?d.の事項が記載されている。

a.「【請求項1】 溶融塗工された防湿樹脂層が木質板の少なくとも裏側に形成され、該木質板の表側には化粧シートが貼着されてなる、木質系化粧板。」

b.「【0020】〔木質板〕木質板Bとしては、木質からなる板材であれば良く特に限定はない。」

c.「【0027】〔化粧シート〕使用する化粧シートには、大別して紙系化粧シートとプラスチック系化粧シートとがある。前者は基材シートが紙からなり、後者は基材シートがプラスチックからなる化粧シートである。・・・(中略)・・・なお、化粧シートとは、基材シートが装飾処理されたシートである。装飾処理としては、模様等を表現する印刷等よる装飾層の基材シートへの付与等である。・・・(中略)・・・
【0028】紙系化粧シートの基材シートには、例えば、薄葉紙、上質紙、クラフト紙、和紙等の紙が用いられる。」

d.「【0041】そして例えば装飾層は、グラビア印刷や転写印刷等の従来公知の方法及び材料で絵柄等を印刷したインキ層や、アルニウム等の金属の真空蒸着等で部分又は全面に形成した金属薄膜層等である。・・・(中略)・・・なお、特に紙系化粧シートの場合には、貼着後等に上塗り層を塗工形成する事もある。上塗り層は、耐擦傷性等の表面物性の向上、塗装感等の意匠感付与の他に、防湿性の向上等の為に使用される。上塗り層としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等が使用され、これに必要に応じ適宜・・・(中略)・・・減摩剤・・・(中略)・・・等を添加した塗料が使用される。」

上記a.?d.の記載から、刊行物1には次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。
「木質板の表側に紙系化粧シートが貼着され、該紙系化粧シートの上に、減摩剤が添加された上塗り層が塗工形成された木質系化粧板。」

(2)当審拒絶理由で引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開平5-293894号公報(以下「刊行物2」という。)には、次のe.?f.の事項が記載されている。

e.「【0014】図1の構成によれば、本発明に係わる化粧板は、紙基材である樹脂強化紙1上にシーラー層2、絵柄印刷層3及びトップコート層4をこの順に有する化粧紙5が、電子線硬化型樹脂接着剤層6を介して、合板やパーティクルボード等の基材7と貼り合わされてなっている。」

f.「【0016】上記シーラー層2は必要に応じて設けられるもので、ウレタン樹脂系シーラー、アミノ樹脂系シーラーなどを用いることができる。
【0017】シーラー層2の厚さは特に限定はされないが、1?5μm程度が望ましい。シーラー層2を設けるにあたっては、ナイフコート、エアコート、グラビアコートなど公知の塗布手段を任意に用いることができる。」

(3)当審拒絶理由で引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開昭62-83068号公報(以下「刊行物3」という。)には、次のg.?j.の事項が記載されている。

g.「耐摩耗性塗膜(3)は、上記化粧層を有する基板上に、要すれば下地着色層、及び吸込み防止用下塗り層を介して形成されるものであり、透明または半透明の樹脂塗料に無機結晶質の硬質微粉末を添加含有せしめた耐摩耗性樹脂塗料により形成されるものである。
ここに用いられる硬質微粉末は、α-アルミナ、炭化硅素を代表的なものとして、その他例えば炭素、ホウ素等の化合物微粉末等が用いられる。もちろんこれらに限定されるものではなく、工業的に研磨材として使用されるような種類の硬度の高い各種鉱物質微粉末を好適に用いうるが、その粒度は、一般的に10?150μの範囲のものが用いられる。
一方、上記硬質粉末を添加して塗膜形成に使用される樹脂塗料は、化粧基板(1)上の化粧層(2)の木目模様その他の模様を塗膜(3)下に透視可能なものとするべく、透明または少なくとも半透明のものが用いられるが、そのビヒクルとしての樹脂成分の種類は特に限定されるものではなく、求める塗膜性能、塗装作業性、乾燥性、価格等を考慮して公知の樹脂塗料の中から任意に選択使用される。一般的には微粉末粒子の保持力に可及的優れ、かつそれ自体の耐摩耗性にも優れた樹脂からなる塗料を選択使用すべきであり、その具体的な例示としては、一液性ポリウレタン樹脂塗料、および二液性ポリウレタン樹脂塗料のうちの1種または2種を最も好適なものとして挙示することができる。その他エポキシ系樹脂塗料、ポリエステル系樹脂塗料の使用も可能であるし、更にはそれらの樹脂の複合樹脂塗料はもちろん、紫外線硬化あるいは電子線硬化樹脂塗料を用いても良い。」(第3頁右上欄第1行?同頁左下欄第13行)

h.「複数回の単位塗装工程の実施によって形成される所定厚さの耐摩耗性塗膜(3)は、その好適な条件での実施によってその表面は多少のザラツキを有ものとなるが、常法に従って軽く表面研磨を施すことによって充分平滑に仕上げることができる。更に塗膜(3)の表面の充分に平滑な最終仕上げ状態を得るために該塗膜(3)上に、従来の常法に従い、第1図に鎖線で示すように硬質微粒子を含まない上塗り用塗料により、薄い上塗り塗層(6)を形成して製品としての化粧板に仕上げるのが一般的である。」(第4頁右上欄第15行?同頁左下欄第5行)

i.「(上塗り塗料)
湿気硬化型ポリウレタン樹脂 100重量部
(一液型、樹脂分50%)
シンナー 20重量部
からなる上塗り用塗料」(第5頁左下欄第4?8行)

j.第1図には、耐摩耗性塗膜(3)に含有された硬質微粉末粒子(5)が、硬質微粉末粒子を含有しない上塗り塗層(6)によって被覆されていることが示されている。

(4)当審拒絶理由で引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開昭58-131174号公報(以下「刊行物4」という。)には、次のk.?m.の事項が記載されている。

k.「本発明者は、上記のような事情に鑑みて鋭意研究を重ね、グリーンカーボン,炭化アルミニウム,ダイヤモンド等の鉱物質粉末を1?4重量%、好ましくは1.5?3.5重量%混入した塗料を板材表面に塗布し、更に鉱物質粉末を混入しない通常の塗料を上塗りすることにより、表面塗膜が充分な透明度を持ち且つ好ましい耐摩耗性を有する化粧板材を得ることに成功したものである。
以下、添附図面を参照して本発明を詳細に説明する。
第1図に示すものは、適宜量の鉱物質粉末1を混入した塗料2を、化粧板材3の表面に塗布して乾燥硬化させた状態を示したものである。この図よりも明らかな如く、塗膜硬化時に、鉱物質粉末1の粒子は、塗料2上に浮遊した状態となつている。このような状態の化粧板材の表面耐摩耗性試験をJAS摩耗B試験で行つたところ、表面に突出している鉱物質粒子が途中で塗膜から剥離してしまい、予想を下廻る数値しか得ることが出来なかつた。このことから、使用途中に於ける鉱物質粒子の剥離を防止する処置を講ずれば、少ない混入量でも充分な耐摩耗性を得ることができることが判明した。
第2図に示すものがそれであり、鉱物質粉末1を混入した塗膜2上に、更に、鉱物質粉末を混入しない塗料で上塗り4を施こしたものである。こうすることにより、第1図示のものでは表面に突出していた鉱物質粒子1が上塗り塗膜4により被覆され、使用途中での剥離が防止されるものである。」(第1頁右欄第8行?第2頁左上欄第17行)

l.「なお、塗料は、フエノール樹脂塗料、アルキド樹脂塗料、アミノアルキド樹脂塗料、ビニル樹脂塗料、塩化ゴム塗料、エポキシ樹脂塗料、熱硬化性アクリル樹脂塗料、不飽和ポリエステル樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、ケイ素樹脂塗料等を用いることが出来、上塗り塗料と下塗り塗料は同種のもの或は別のもののいずれでもよい。」(第2頁右上欄第20行?同頁左下欄第6行)

m.第2図には、塗膜2に混入された鉱物質粉末1が、鉱物質粉末が混入されていない上塗り塗膜4で被覆されていることが示されている。

(5)当審拒絶理由で引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2000-94625号公報(公開日 平成12年4月4日。以下「刊行物5」という。)には、次のn.?p.の事項が記載されている。

n.「【0015】微粒子4は、層6の表面の耐摩耗性を向上させる意味で、有機質又は無機質、好ましくは無機質であって、架橋硬化した樹脂よりも高硬度の球状粒子を含有させる。高硬度の球状粒子を添加すると、一層の表面強化が実現される。こで球状粒子とは、表面が滑らかであれば真球でないものも使用でき、そのようなものをも含むものとする。球状粒子の役割は、層6の表面からその一部が突出して、摩耗の原因となる外力を微状子が受け止め、球状粒子自身が次第に摩耗することによって、下層の摩滅を防止する事である。球状粒子としてはα-アルミナ、シリカ、酸化クロム、酸化鉄、ダイアモンド、黒鉛等があるが、中でも、硬度が高く、球形のものが多い点から、球形のα-アルミナ(昭和電工株式会社の球状アルミナAS-10からAS50)が推奨できる。球状粒子の粒径は、平均粒径で5?100μmが好ましい。無機質の球状粒子を表面保護層に用いる際に、表面保護層を構成する樹脂中での密着性を上げる意味で、予めシランカップリング剤等で処理するとよい。
【0016】層6を形成するバインダーとしては、熱可塑性のものも使用し得るが、熱硬化性樹脂を使用する熱硬化性樹脂組成物、あるいは紫外線又は電子線照射により硬化する電離放射線硬化性樹脂組成物を用い、塗布後に加熱したり、電離放射線を照射して架橋硬化させることによりさらに物理的、化学的な諸性能を向上させることができる。この種の化粧材は、最近、メラミン化粧板が従来使用されている分野にも進出しつつあり、従って、メラミン化粧板並みの表面の耐久性、特に耐摩耗性を要望されことが多いから、電離放射線硬化性樹脂組成物を用い、塗布後に電離放射線を照射して架橋硬化させる方法が脚光をあびている。電離放射線硬化性樹脂組成物としては、分子中に重合性不飽和結合または、エポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜に混合したものである。電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は、紫外線又は電子線を用いる。」

o.「【0023】層6を形成した後に、層7を形成するが、層6を熱硬化性樹脂と微粒子からなる組成物で形成した場合には、層6の表面を取り扱える程度に乾燥させ、あるいは、電離放射線硬化性樹脂と微粒子からなる組成物で形成した場合にも、次の層7を形成するのに支障ない程度に、乾燥させるか、紫外線又は電離放射線を通常よりは照射線量を落として照射しておき、層7を塗装して形成した時点で、層6及び層7を一度に硬化させた方が、下層6の過度な架橋を防止できてよい。層7の形成のために使用される組成物や方法は、微粒子を用いない以外は、層6の形成と同じようにして行えばよい。」

p.図1には、下塗り層6に添加された微粒子4が、微粒子が添加されていない上塗り層7で被覆されていることが示されている。

第4.対比・判断
本願発明と刊行物1発明とを対比する。

刊行物1発明の「木質系化粧板」は、化粧板の一種であることは明らかである。
刊行物1発明における「木質板」及び「表側」は、それぞれ本願発明における「木質基材」及び「表面」に相当する。
刊行物1発明における「紙系化粧シート」は、紙からなる基材シートが装飾処理されたものであるから(前記第3.(1)c.及びd.参照)、すなわち化粧紙であり、化粧紙である限りにおいて、本願発明における「化粧紙」に相当する。
刊行物1発明における「減摩剤が添加された上塗り層」は、紙系化粧シートを保護する機能を有していることは明らかであるから、化粧紙上に設けられた保護層である限りにおいて、本案発明における「保護層」に相当する。

したがって、本願発明と刊行物1発明とは、次の一致点及び相違点(1及び2)を有する。
[一致点]
「木質基材の表面に化粧紙を貼着し、該化粧紙上に保護層を設けてなる化粧板。」

[相違点1]
化粧紙について、本願発明においては、「前記化粧紙は合成樹脂によるシーラー処理を施した原紙を使用した化粧紙であり」との限定がされているのに対して、刊行物1発明においては、そのような限定はされていない点。

[相違点2]
保護層について、本願発明においては、「合成樹脂による保護層」と限定され、さらに「前記合成樹脂による保護層は複数層からなり、そのうち最外層を除く層の少なくとも1層に、無機材料からなる減摩剤が添加されており、且つ、該減摩剤が最外層の樹脂塗膜によって被覆されていて、前記最外層は、前記化粧板と接する物体に対する摩耗効果を低減させる」との限定がされているのに対し、刊行物1発明においては、「減摩剤が添加された上塗り層」である点。

上記相違点について検討する。
[相違点1について]
化粧紙を貼着した化粧板において、化粧紙の原紙として合成樹脂によるシーラー処理を施したものを使用することは、例えば刊行物2に記載されており(前記第3.(2)参照)、周知の技術である。したがって、刊行物1発明において、紙系化粧シート(化粧紙)を合成樹脂によるシーラー処理を施した原紙を使用したものとして、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

[相違点2について]
化粧板において、減摩剤が添加された上塗り層を設けるに際して、前記上塗り層を、無機材料からなる減摩剤が添加された合成樹脂からなる層と、減摩剤が添加されていない合成樹脂からなる最外層とを有する複数の層からなる上塗り層として、減摩剤が最外層の樹脂塗膜によって被覆されたものとすることは、例えば刊行物3(前記第3.(3)参照)、刊行物4(前記第3.(4)参照)及び刊行物5(前記第3.(5)参照)に記載されており、周知の技術である。そして、当該周知の技術において、減摩剤が添加されていない合成樹脂からなる最外層は、無機材料からなる減摩剤が添加された合成樹脂からなる層よりも、化粧板に接する物体に対する摩耗効果が低減されたものとなっていることは明らかである。
そして、刊行物1発明において、減摩剤が添加された上塗り層の構成は、当業者が適宜に設計変更し得る事項であり、また、刊行物3ないし5に記載された周知の技術を刊行物1発明に適用することに格別の困難性があるとは認められない。
また、本願発明における最外層に使用する合成樹脂について、本願明細書には、「【0042】合成樹脂による保護層6、7に使用する合成樹脂としては、強度や硬度、物性などの観点から、硬化性樹脂を使用することが好ましい。具体的には、例えば2液硬化型ウレタン系樹脂、アミノアルキド系樹脂、メラミン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂等の熱硬化性樹脂や、アクリレート系樹脂などの紫外線又は電子線硬化性樹脂を使用することが好ましい。」と記載されており、これら合成樹脂は、刊行物3ないし5に記載された周知の技術において最外層に使用される合成樹脂と共通している(前記第3.(3)i.、同(4)l.並びに同(5)n.及びo.参照)。
したがって、刊行物1発明における減摩剤が添加された上塗り層の構成を、刊行物3ないし5に記載された周知の技術における上塗り層の構成に変更して、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。

そして、本願発明によって、当業者が予期し得ない格別の効果が奏されるとは認められない。

以上のことから、本願発明は、刊行物1発明及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお、請求人は、平成24年8月30日付けの意見書において、次の主張をしている。
[請求人の主張]
刊行物3、4、5には、いずれも上塗り塗膜中に、それぞれ「硬質微粒子」、「鉱物質粒子」、「微粒子」を添加し、さらにこれらを含まない上塗り塗膜を設けることが記載されているが、これらの層を設ける目的は、刊行物3に記載された発明においては、「(ザラツキを防止し)塗膜(3)の表面の充分に平滑な最終仕上げ状態を得る」ためであり、刊行物4に記載された発明においては、「使用途中に於ける鉱物質粒子の剥離を防止する処置を講ずれば、少ない混入量でも充分な耐摩耗性を得ることができる」ことを目的としており、刊行物5に記載された発明においては、「曲げられたり、折られたりしても充分に追随して裂けたり破断したりせず、また、粒子を保持するのに充分な硬さを持ち、自身も摩耗に対して強化された架橋性樹脂を使用して耐摩耗性樹脂層を構成すること」を目的としている。
このように、刊行物3ないし5に記載された発明における、最外層の目的は、それぞれ異なるものであり、またそのいずれも本願発明1における「化粧板と接する物体に対する摩耗効果を低減させる」という目的とは異なっている。また刊行物3ないし5のいずれにも本願発明の「化粧板と接する物体に対する摩耗効果を低減させる」という記載は存在せず、またこれを示唆する記述もない。したがって、本願発明は、刊行物1に記載の発明に、刊行物3?5に記載された技術を適用することにより、容易になし得たものではない。

上記請求人の主張について検討する。
刊行物3ないし5において、無機材料からなる減摩剤が添加されていない合成樹脂からなる最外層を設けることについて、それぞれ異なる目的が記載されているのは、請求人のいうとおりである。
しかしながら、刊行物1発明は、刊行物3ないし5に記載された化粧板と同様に、減摩剤が添加された上塗り層を具備しているから、刊行物3ないし5のそれぞれに記載された前記目的に対応する課題と同様の課題が、刊行物1発明においても存在するのは、当業者にとって明らかである。したがって、刊行物1発明において、それら課題のいずれかを解決するために、刊行物3ないし5に記載された周知の技術を適用することは、当業者が容易に想到し得ることである。
刊行物3ないし5に記載された最外層を設ける目的がそれぞれ異なるものであること、及び刊行物3ないし5のいずれにも「化粧板と接する物体に対する摩耗効果を低減させる」という目的が記載されていないことは、刊行物3ないし5に記載された周知の技術を刊行物1発明に適用することに対して、阻害事由となるものではない。
よって、請求人の前記主張は採用できない。

第5.まとめ
以上のとおり、本願発明は、刊行物1発明及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-09-18 
結審通知日 2012-09-25 
審決日 2012-10-09 
出願番号 特願2000-138522(P2000-138522)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B32B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岸 進  
特許庁審判長 河原 英雄
特許庁審判官 栗林 敏彦
紀本 孝
発明の名称 化粧板  
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