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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1266758
審判番号 不服2012-2975  
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-02-15 
確定日 2012-11-26 
事件の表示 特願2007- 82901「可視光通信システム、可視光通信送信装置、及び可視光通信受信装置」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 9月 4日出願公開、特開2008-204423〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明
本願は,平成19年2月22日に出願した特願2007-42856号の一部を平成19年3月27日に新たな特許出願としたものであって,平成23年7月14日付けの拒絶理由通知に対し応答がなく,同年11月11日付けで拒絶査定がなされ,これに対して平成24年2月15日付けで審判請求がなされるとともに,平成24年4月5日付けで審判請求書の補正がなされたものである。そして,本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,明細書及び図面の記載からみて,特許請求項の範囲の請求項1に記載された次の通りのものである。

<本願発明>
「 部屋毎に特有の部屋識別信号を発する部屋識別表示部と、
前記部屋内に持ち込み可能な可搬装置に含まれ、前記部屋識別信号を検出する部屋表示検出部と、
を含むことを特徴とする可視光通信システム。」

2 引用例
(1)引用例1
ア 原査定の拒絶の理由に引用され,原出願日前である平成6年7月8日に出願公開された特開平06-187163号公報(以下,「引用例1」という。)には,次の記載がある。なお,下線は当審において付加したものである。

・「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は情報機器の制御装置に関するものであり、例えば携帯型のパーソナルコンピュータに対して、このパーソナルコンピュータを使用する場所の環境に応じたアプリケーションプログラムを自動的に起動させるようにした情報機器の制御装置に関する。」

・「【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を達成するために成された請求項1に記載の情報機器の制御装置は、例えば各部屋毎に複数の送信機が用意され、それぞれの送信機より送信機が設置されている場所の環境に応じたID信号を送信する赤外線光等のID信号送信手段と、ID信号送信手段における少なくとも1つの送信機によって送信される場所の環境に応じたID信号を受信する赤外線受光素子等を備えた受信機よりなるID信号受信手段と、ID信号受信手段によって受信されたID信号に基づいてアプリケーションプログラムを起動し、アプリケーションプログラムに応じた情報入力または情報出力を可能とするPC等の情報入出力手段とを具備した点に特徴を有する。」

・「【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の情報機器の制御装置の全体構成を示したものであり、あるオフィスビルのフロアを一例にしたネットワーク図を示したものである。オフィスビルの管理センタにはID信号送信手段の一部を構成する送信機管理コンピュータ1が配置されており、この送信機管理コンピュータ1には建物内に張り巡らされたネットワーク2を介して各部屋または廊下等の随所に配置された送信機3a乃至3pが接続されている。前記送信機管理コンピュータ1には後述するように、複数の送信機3a乃至3pの各々に対し、送信すべき場所の環境に応じたID信号をそれぞれ送信すべく送信管理手段を備えている。」

・「【0017】前記各送信機3a乃至3pは、その送信機が設置されている場所(環境)を示すそれぞれ異なったID信号を空間的に出力している。これは後述するように赤外線光が好ましいが、他に電波を利用するようにしても良い。例えば事務室A4の天井角に設置された送信機3aは、ある一定時間ごとに事務室Aである旨を含んだID信号を出力する。また同事務室Aの机5の上にも送信機3bが設置されているが、ここからは机の上である旨の信号が出力されている。この送信機3bから出力される信号は
(1)“事務室Aであり、かつ机の上である。”
(2)“机の上である。”
という2種類が可能であるが、いずれにしても事務室Aの天井角に配置された送信機3aとの信号の衝突を回避する方法が必要であり、この場合には時分割等の手法が考えられる。」

・「【0018】前記各送信機3a?3pからの信号は、携帯型パソナルコンピュータ(PC)6a,6b等に具備されたID信号受信手段としての受信機Rによって受信される。前記PC6a,6b等は、受信した場所情報(ID信号)に基づいて(1)0または1以上のデータを引数として、(2)1つ以上のアプリケーションプログラムを起動させる。」

・「【0019】例えば、PC6aで受信される情報が“ここは会議室である”の場合、PC6aは議事録用のワードプロセッサプログラムを起動させる。また必要に応じて時計(会議の進行管理用)プログラムも起動する。またさらに、廊下に置いてある電話7に近い位置にPC6bを運んだ場合(これは信号強度などから判定する)には、PC6bにおいては電話番号管理プロクラムが起動され、同時にメモが記録できるフリーハンドエディタプログラムも起動される。」

・「【0041】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、請求項1に記載の情報機器の制御装置によれば、例えば各部屋毎に複数の送信機が用意され、それぞれの送信機より送信機が設置されている場所の環境に応じた赤外線光等のID信号が送信される。そして例えば携帯型パーソナルコンピュータに備えられた受信機によって前記ID信号が受信され、受信されたID信号に基づいて携帯型パーソナルコンピュータのアプリケーションプログラムが自動的に起動される。すなわち、携帯型パーソナルコンピュータが持ち運ばれた場所の環境に応じて必要とするアプリケーションプログラムが自動的に起動されることになり、よりユーザの行動に近付いた動作の提供が成され、時間節約が可能なユーザインタフェース機能が提供される。」

イ 上記記載によれば,引用例1には次のことが記載されている。
(ア)各部屋に配置され,設置されている場所を示すそれぞれ異なったID信号を空間的に出力するID信号送信手段(【0007】,【0016】,【0017】)。
(イ)携帯型パーソナルコンピュータに具備され,前記ID信号送信手段からの信号を受信するID信号受信手段(【0007】,【0018】,【0019】)。
(ウ)ID信号送信手段と,ID信号受信手段とを具備し,赤外線光等のID信号が,ID信号送信手段から送信され,ID信号受信手段によって受信されることにより,携帯型パーソナルコンピュータが持ち運ばれた場所に応じて必要とするアプリケーションプログラムを自動的に起動させる制御装置(【0001】,【0007】,【0041】)。

ウ 以上のことから,引用例1には,次の発明(以下,「引用例1発明」という。)が記載されている。

<引用例1発明>
「各部屋に配置され,設置されている場所を示すそれぞれ異なったID信号を空間的に出力するID信号送信手段と,
携帯型パーソナルコンピュータに具備され,前記送信手段からの信号を受信するID信号受信手段と,
を具備し,赤外線光等のID信号が,ID信号送信手段から送信され,ID信号受信手段によって受信されることにより,携帯型パーソナルコンピュータが持ち運ばれた場所に応じたアプリケーションプログラムを自動的に起動させる制御装置。」

(2)引用例2
ア 原査定の拒絶の理由に引用され,原出願日前である平成18年6月1日に出願公開された特開2006-139689号公報(以下,「引用例2」という。)には,次の記載がある。なお,下線は当審において付加したものである。

・「【0002】
近年、人間の目に光として認識できる波長を持った電磁波である可視光(約380nm?780nm)を用いて様々な情報を通信する可視光通信の開発が進められている。この可視光通信とは、応答速度が速くまた電気的に制御できるLED(Light Emitting Diode)などの可視光素子の特性を応用し、人間の目には感じられない程の速度で高速に点滅させて情報光として受光素子に出射し、受光した情報光の受光量に応じた電気信号を所定の閾値と比較して「0」、「1」に2値化し、様々な情報を通信するというものである。可視光域は人間に安全なため、照明に用いている数ワットという高い電力のままデータ送信することができる。しかも、照明は至る所に設置されているため、照明機器に通信機能を付加するだけでワイヤレス環境が構築できる。これにより、従来の無線や赤外線で生じていた問題点を克服することができるとともに、環境に安全な超高速通信が実現できるという利点がある。」

イ 以上の記載から,引用例2には,次の事項(以下,「引用例2記載事項」という。)が記載されているということができる。

<引用例2記載事項>
「LEDを人間の目には感じられない程の高速に点滅させて様々な情報を通信する可視光通信技術により,照明機器に通信機能を付加するだけで,赤外線で生じていた問題点を克服したワイヤレス環境を実現できること。」

3 対比
(1)本願発明と引用例1発明とを対比する。
ア 引用例1発明の「設置されている場所を示すそれぞれ異なったID信号」は,各部屋毎に特有のものであることは明らかであるから,本願発明の「部屋毎に特有の部屋識別番号」に相当する。そうすると,本願発明と,引用例1発明とは,『部屋毎に特有の部屋識別信号を発する部屋識別信号出力部』を有する点で共通する。そして,引用例1発明は「表示」するものではない点において本願発明と相違する。
イ 引用例1発明の「携帯型パーソナルコンピュータ」は,「PC6aで受信される情報が“ここは会議室である”の場合・・・(中略)・・・廊下に置いてある電話7に近い位置にPC6bを運んだ場合」(段落【0019】)との記載も踏まえると,部屋内に持ち込み可能であることは明らかであるから,本願発明の「前記部屋内に持ち込み可能な可搬装置」に相当する。また,引用例1発明の「前記送信手段からの信号を受信するID信号受信手段」と,本願発明の「部屋表示検出部」とは,可搬装置に含まれるとともに,場所(部屋)の「検出部」である点において共通する。そうすると,本願発明と,引用例1発明とは『前記部屋内に持ち込み可能な可搬装置に含まれ、前記部屋識別信号を検出する部屋検出部』を有する点で共通する。
ウ 引用例1発明の制御装置は,ID信号送信手段とID信号受信手段とを具備するとともに,ID信号の送信・受信を通じて,携帯型パーソナルコンピュータが持ち運ばれた場所に応じたアプリケーションプログラムを自動的に起動するものであるから,本願発明の「通信システム」にほかならない。そうすると,引用例1発明は赤外光等を用いることから,「可視光」通信システムではないものの,本願発明と引用例1発明とは,『通信システム』である点で共通する。

(2)以上のことから,本願発明と引用例1発明との一致点及び相違点は次のとおりである。

【一致点】
「部屋毎に特有の部屋識別信号を発する部屋識別信号出力部と,
前記部屋内に持ち込み可能な可搬装置に含まれ、前記部屋識別信号を検出する部屋検出部と,
を含む通信システム。」

【相違点】
本願発明は,部屋識別表示部と,部屋表示検出部とを備えた,可視光通信システムであるであるのに対し,引用例1発明は,ID信号送信手段と,ID信号受信手段とを具備する赤外光等の通信システムであり,可視光により部屋毎のID信号を送受信することは特定されていない点。
なお,下線は強調のために当審で付加した。以下同様。

4 当審の判断
引用例2記載事項に示されるように,引用例2には,「LEDを人間の目には感じられない程の高速に点滅させて様々な情報を通信する可視光通信技術により,照明機器に通信機能を付加するだけで,赤外線で生じていた問題点を克服したワイヤレス環境を実現できること。」が記載されている。赤外線光等によりID信号の送信・受信を行う引用例1発明において,引用例2記載事項を考慮すれば,ID信号送信手段とID信号受信手段との通信に可視光通信を用いるようにし,「可視光通信システム」を構成することは,当業者が適宜なし得た事項といえる。そして,引用例1発明に可視光通信を適用すれば,ID信号送信手段は,ID信号を可視光として送ることになるから,本願発明の「部屋識別表示部」に相当するものとなり,ID信号受信手段は,ID信号を可視光として受信するから,本願発明の「部屋表示検出部」に相当するものとなることは自明である。
よって,上記相違点に係る構成は,引用例2記載事項に基づいて,当業者が容易に想到し得たことである。

(3)そして,本願発明の奏する作用効果は,引用例1発明,及び引用例2記載事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。
したがって,本願発明は,引用例1発明,及び引用例2記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用例1発明,及び引用例2記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから,本願は,他の請求項について検討するまでもなく,拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-09-27 
結審通知日 2012-10-02 
審決日 2012-10-15 
出願番号 特願2007-82901(P2007-82901)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山本 雅士  
特許庁審判長 西山 昇
特許庁審判官 須田 勝巳
松尾 俊介
発明の名称 可視光通信システム、可視光通信送信装置、及び可視光通信受信装置  
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