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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04B
管理番号 1266772
審判番号 不服2010-4462  
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-03-01 
確定日 2012-11-29 
事件の表示 特願2006- 20523「デジタル放送受信方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 8月 9日出願公開、特開2007-202007〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成18年1月30日の特許出願であって、平成21年11月27日付けで拒絶査定され、これに対して平成22年3月1日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで手続補正書が提出されたが、当審において平成24年7月4日付けで拒絶理由が通知され、同年9月10日付けで手続補正書が提出されたものである。


2.本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成24年9月10日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである(以下「本願発明」という)。

「【請求項1】
デジタル放送の放送電波を受信する受信ステップと、
前記デジタル放送のデータを記録する記録ステップと、
該記録したデータに対応する番組のスケジュールおよびユーザの指定に基づいて、更新情報を生成する更新情報生成ステップと、
前記番組のスケジュールおよびユーザの指定に基づく更新情報に基づいて、該次回放送される番組を受信してデータの更新を行う更新ステップと、
を具えることを特徴とするデジタル放送受信方法。」


3.引用例
平成24年7月4日付けの拒絶理由通知で引用した国際公開第01/30074号(以下、「引用例」という)には、下記の事項が記載されている。

(ア)「<技術分野>
本発明は、例えば通信衛星や放送衛星、または地上波を利用したデジタル放送により番組と番組に付加されたデータとを放送する送出装置と、番組と番組に付加されたデータとを受信して蓄積する受信装置に関し、特に、次回放送される番組の録画予約と蓄積とを自動的に実行できるようにしたものである。」(第1頁3行?7行)

(イ)「視聴者が、番組情報表示手段38の表示画面を通じて、このEPGから番組名「毎日毎日」の番組を蓄積予約したとする(蓄積サービス名”ごきげん”のチェック)。番組情報蓄積手段34に蓄積された図8のようなEIT(番組情報テーブル)に記述された内容により、蓄積番組提供者識別子3、TS識別子1、サービス識別子10、番組識別子21、開始日時2000年1月3日10:00、期間10分という内容で予約手段31に予約が入る。
予約手段31が管理する予約表は、図22のようになる。
予約手段31は、2000年1月3日10:00になると、TS識別子1、サービス識別子10を受信するよう受信手段32に指示する。このときTS識別子1、サービス識別子10に選局すると図10のようなPMTが放送されているので、PMTから番組と番組連動データが放送されているPIDを得る。図10において映像はPID2、音声はPID22、番組連動データはPID1とPID345とに放送されていることが分かるので、受信手段32は、映像、音声及び番組連動データを得ることができる。
受信した映像、音声は番組蓄積手段35に、番組連動データは番組連動データ蓄積手段33に蓄積される。番組連動データとしては、番組連動データ識別子21のXML文書の他に、図2のような次回放送スケジュールテーブルが蓄積されることになる。
これにより、次回の蓄積型放送番組は、TS識別子3、サービス識別子2、開始日時2000年1月5日の11:00から15分間放送されることが分かる。予約手段31は、番組連動データ蓄積手段33に蓄積された番組連動データに次回放送スケジュールテーブルが含まれている場合、そのスケジュールにしたがって、番組の蓄積を予約する。
このとき予約手段31が管理する予約管理表は図24のようになる。予約された時間になると、予約手段31は、受信手段32に対して番組及び番組連動データの受信を指示する。
その結果、予約した蓄積番組提供者識別子3、TS識別子3、サービス識別子2、開始日時2000年1月5日の11:00から15分間放送される番組が番組蓄積手段35に蓄積され、また、この番組にも番組連動データとして次回放送スケジュールテーブルが含まれているため、その番組連動データが番組連動データ蓄積手段33に蓄積され、それに基づいて、予約手段31は、その次回放送スケジュールテーブルをもとに次回の予約を行う。以上の動作を繰り返す。」(第8頁26行?第10頁1行)

(ウ)「また、この実施の形態においては、放送された番組と番組連動データとは追加蓄積されていくように説明したが、上書きするようにしても良い。」(第12頁6行?7行)

(エ)上記(ア)には、地上波を利用したデジタル放送を受信する受信装置に関するものであることが記載され、上記(イ)には、番組と番組連動データを含むデジタル放送を受信し、受信したデジタル放送の番組と番組連動データを蓄積し、蓄積した番組連動データに含まれる次回放送スケジュールに基づいて予約管理表を作成し、作成された予約管理表に基づいて次回放送される番組と番組連動データを受信して蓄積することが記載されている。

(オ)上記(ウ)には、放送された番組と番組連動データの蓄積には、追加以外に上書きすることが記載されている。

よって、上記(ア)乃至(オ)及び関連図面から、引用例には実質的に下記の発明(以下、「引用発明」という)が記載されているといえる。

「デジタル放送の放送電波を受信し、
前記デジタル放送の番組と番組連動データを蓄積し、
該蓄積した番組と番組連動データに対応する次回放送スケジュールに基づいて、予約管理表を生成し、
前記予約管理表に基づいて、次回放送される番組と番組連動データを受信して上書きするデジタル放送受信方法。」


4.対比
(1)本願発明と引用発明との対応関係について
(あ)本願明細書には、受信したデジタル放送のデータのうちBMLデータを記録及び更新することが段落【0016】等に記載されてはいるが、番組自体の映像データや音声データを記憶及び更新することは記載されていない。よって、本願発明の「デジタル放送のデータ」は、番組自体の映像データや音声データではなく、BMLデータのような番組に付加されたデータを意味するものと解される。
そして、引用発明では、番組自体だけでなく番組に付加されたデータである番組連動データも蓄積されることから、引用発明においても本願発明と同様に「前記デジタル放送のデータを記録する記録ステップ」を具えているといえる。

(い)引用発明の「予約管理表」と本願発明の「更新情報」は、「次回放送される番組を受信するのに必要な情報」であるから、引用発明と本願発明は、「該記録したデータに対応する番組のスケジュールに基づいて、次回放送される番組を受信するのに必要な情報を生成する情報生成ステップ」を具えている点で共通している。

(う)引用発明では、次回放送される番組と番組連動データを受信すると、前回蓄積したデータに対して「上書き」が行われ、この「上書き」は同じ番組に対して過去のデータを新しいデータにするものであるから「更新」を意味するものであるといえる。
よって、引用発明の「次回放送される番組と番組連動データを受信して上書きする」は、本願発明の「該次回放送される番組を受信してデータの更新を行う更新ステップ」に相当する。


(2)本願発明と引用発明の一致点及び相違点について
上記の対応関係から、本願発明と引用発明は、下記の点で一致し、また、相違する。

[一致点]
「デジタル放送の放送電波を受信する受信ステップと、
前記デジタル放送のデータを記録する記録ステップと、
該記録したデータに対応する番組のスケジュールに基づいて、次回放送される番組を受信するのに必要な情報を生成する情報生成ステップと、
前記次回放送される番組を受信するのに必要な情報に基づいて、該次回放送される番組を受信してデータの更新を行う更新ステップと、
を具えることを特徴とするデジタル放送受信方法。」

[相違点]
本願発明の情報生成ステップで作成され、更新ステップで利用される「次回放送される番組を受信するのに必要な情報」は、「該記録したデータに対応する番組のスケジュールおよびユーザの指定」に基づいたものであるのに対し、引用発明の情報生成ステップで作成され、更新ステップで利用される「次回放送される番組を受信するのに必要な情報」は、「該記録したデータに対応する番組のスケジュール」に基づいたものである点。


5.当審の判断
引用発明は、次回放送スケジュールに基づいて予約管理表を作成しているものの、予約管理表の内容に対してユーザの指定を反映することは行っていない。

ところで、引用例には、
「この実施の形態においては、放送された番組と番組連動データとは追加蓄積されていくように説明したが、上書きするようにしても良い。その設定は、受信装置で設定が可能とするようにしても良いし、例えば番組名などによって同一性が識別できるように送信装置側で設定しても良い。受信装置で設定が可能とした場合、受信装置で「追加蓄積」と設定されていたら、番組と番組連動データとは追加蓄積を行う。もし「上書き」と設定されていたら、番組と番組連動データとを記録・蓄積したときに同じ蓄積サービス識別子で記録・蓄積済みの番組及び番組連動データは削除することになる。」(第12頁6行?13行)
と記載されているように、受信装置側で「追加蓄積」または「上書き」のどちらかを設定できるようにしてよいことが記載されている。
引用発明では、予約管理表に基づいて次回放送される番組と番組連動データを受信して上書きが行われるので、引用発明に対して「追加蓄積」または「上書き」のどちらかを設定できるようにするために、予約管理表に対してユーザが「追加蓄積」または「上書き」のどちらかを指定して設定できるようにすることが自然であり、そのように設定することができるようにすることは当業者が格別困難なくなし得る程度のことである。

また、放送番組を予約録画する機器では、予約に必要な開始日時や期間などのデータについて、ユーザが該データを入力するものや、既に設定された該データを変更できるものは、引用例を示すまでもなく周知技術であることから、引用発明において予約管理表のデータをユーザにより入力または変更して指定できるようにすることも、当業者が格別困難なくなし得る程度のことである。

そして、上記の予約管理表に対してユーザが行う指定は、取りも直さず、次回放送スケジュールおよびユーザの指定に基づいて、予約管理表を生成するものであると言うことができる。

よって、引用発明において、更新情報を「該記録したデータに対応する番組のスケジュールおよびユーザの指定」に基づいて生成して相違点のステップとすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

また、本願発明の作用効果も、引用発明、引用例の記載及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。


6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用例の記載及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-09-28 
結審通知日 2012-10-02 
審決日 2012-10-15 
出願番号 特願2006-20523(P2006-20523)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石田 昌敏原田 聖子小池 堂夫  
特許庁審判長 吉村 博之
特許庁審判官 本郷 彰
飯田 清司
発明の名称 デジタル放送受信方法及び装置  
代理人 大倉 昭人  
代理人 杉村 憲司  

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