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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1266808
審判番号 不服2012-29  
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-01-04 
確定日 2012-11-29 
事件の表示 特願2011- 43792「計数機」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 6月 2日出願公開、特開2011-104411〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成20年3月4日に出願した特願2008-53990号の一部を平成23年3月1日に新たな特許出願としたものであって、同年9月30日付け(発送:10月4日)で拒絶査定され、これに対し、平成24年1月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同日付けで手続補正がなされ、当審において、同年4月12日付け(発送:4月17日)で審査官の前置報告書に基づく審尋を行い、同年6月13日付けで回答書が提出されたものである。

2.平成24年1月4日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成24年1月4日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正は、補正前の請求項1?3に記載された
「【請求項1】
計数するための遊技媒体を貯留する貯留部と、前記貯留部の上部に設けられ、タッチパネルからなる表示部を有する計数機であって、
前記貯留部と前記表示部との間に遊技媒体を投入するための空間を有し、
遊技客が所持する会員用記録媒体を挿入する挿入口を前記表示部の近傍の位置に配置し、該遊技客が所持する携帯端末に内蔵されたICチップから携帯端末識別情報を取得する情報取得装置を前記挿入口の側部の近傍位置に設け、
計数後に返却する余り玉を取り出す遊技媒体払出部を前記計数機の前面の片側よりに備え、
前記情報取得装置は、前記遊技媒体払出部と反対側の位置に配置される
ことを特徴とする計数機。
【請求項2】
前記挿入口を前記表示部の下部の位置に配置し、前記情報取得装置を前記挿入口の外側であって、前記表示部の斜め下方の位置に併設したことを特徴とする請求項1に記載の計数機。
【請求項3】
全体制御を行う制御手段を備え、
前記制御手段は、前記情報取得装置で携帯端末を受け付けたことに基づいて、前記表示部に表示制御を行う
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の計数機。」
という発明を、
「【請求項1】
計数するための遊技媒体を貯留する貯留部と、前記貯留部の上部に設けられ、タッチパネルからなる表示部を有する計数機であって、
前記貯留部と前記表示部との間に遊技媒体を投入するための空間を有し、
遊技客が所持する会員用記録媒体を挿入する挿入口を前記表示部の近傍の位置に配置し、該遊技客が所持する携帯電話に内蔵されたICチップから携帯電話識別情報を取得する情報取得装置を前記挿入口の側部の近傍位置に設け、
計数後に返却する余り玉を取り出す遊技媒体払出部を前記計数機の前面の片側よりに備え、
前記情報取得装置は、前記遊技媒体払出部と反対側の位置に配置され、
全体制御を行う制御手段を備え、
前記制御手段は、前記情報取得装置で携帯電話を受け付けたことに基づいて、前記表示部に表示制御を行うとともに、前記情報取得装置により前記携帯電話識別情報が取得され、かつ、遊技客による貯遊技媒体操作がなされたならば、計数結果である遊技媒体数の貯遊技媒体処理を貯遊技媒体を管理する管理装置に依頼する
ことを特徴とする計数機。
【請求項2】
前記挿入口を前記表示部の下部の位置に配置し、前記情報取得装置を前記挿入口の外側であって、前記表示部の斜め下方の位置に併設したことを特徴とする請求項1に記載の計数機。」
という発明に変更することを含むものである(下線部は補正箇所を示す。)。

(2)補正の適否
本件補正は、特許請求の範囲について、以下に挙げる補正事項を含むものである。
(a)補正前の請求項1における「該遊技客が所持する携帯端末に内蔵されたICチップから携帯端末識別情報を取得する情報取得装置」という事項を、
「該遊技客が所持する携帯電話に内蔵されたICチップから携帯電話識別情報を取得する情報取得装置」とする補正。

(b)補正前の請求項1における「前記情報取得装置は、前記遊技媒体払出部と反対側の位置に配置される
こと」という事項を、
「前記情報取得装置は、前記遊技媒体払出部と反対側の位置に配置され、 全体制御を行う制御手段を備え、
前記制御手段は、前記情報取得装置で携帯電話を受け付けたことに基づいて、前記表示部に表示制御を行うとともに、前記情報取得装置により前記携帯電話識別情報が取得され、かつ、遊技客による貯遊技媒体操作がなされたならば、計数結果である遊技媒体数の貯遊技媒体処理を貯遊技媒体を管理する管理装置に依頼する
こと」とすると共に、
請求項3を削除する補正。

上記補正事項についてそれぞれ検討する。
補正事項(a)については、「携帯端末」という記載を、「携帯端末」の一種である「携帯電話」に具体的に特定するものであるから、限定的減縮を目的とするものに該当する。

補正事項(b)については、補正前の請求項1を引用する請求項3を補正後の請求項1とすると共に、「制御手段」の制御内容を具体的に特定するものであるから、限定的減縮を目的とするものに該当する。

したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成23年法律63号改正附則2条18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第6項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(3)引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由(平成23年6月29日付け拒絶理由通知)において引用文献1として引用された特開2007-282662号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 なお、下線は当審で付した。また、「獲得玉投入口30a」「獲得玉投入口33a」という記載が混在しているが、【図5】には「獲得玉投入口30a」と記載されているので、当審で段落【0089】の「獲得玉投入口33a」は「獲得玉投入口30a」の誤記と認めた。

(ア)「【0085】
次にパチンコ玉計数機30について説明する。パチンコ玉計数機30は遊技媒体計数機の一例であって、遊技場内の所定箇所(例えば遊技島の端部等)に設けられ、携帯電話5又は会員カード4の受付に基づいて貯玉処理を行うものである。このパチンコ玉計数機30は、計数機IDにより該パチンコ玉計数機30を個々に識別可能とされている。
【0086】
このパチンコ玉計数機30は、横長の箱型の形状を呈するものであり、図5に示すように、その上面に獲得玉投入口30a,携帯電話近接部35a,ディスプレイ37,及び確認ボタン38を備え、その前面に会員カード挿入口34a,計数カード発行口36a,及び鍵穴39aを備え、その内部に通信部31,制御部32,獲得玉カウンタ33,会員カードリーダ34,携帯電話リーダ35,計数カードR/W36,計数カードストッカ36b,及び鍵操作検出部39を備えており、これらの各構成要素は図1に示すように接続されている。
【0087】
通信部31は、管理装置50の後述する場内通信部51aと通信可能に接続されており、パチンコ玉計数機30と管理装置50との間における通信を司るものである。ここで通信部31は加算要求送信手段の一例であって、携帯電話リーダ35により受け付けた携帯電話5から取得した会員ID,又は会員カードリーダ34により受け付けた会員カード4から読み取った会員IDに対応付けて管理装置50で管理されている貯玉数に対する、獲得玉カウンタ33により計数したパチンコ玉数である獲得玉数(以下「計数値」とも称する。)の加算を要求する加算要求を、管理装置50に対して送信するものであり、ここでは確認ボタン38が操作されたことに基づいて、携帯電話5から取得した会員IDと獲得玉カウンタ33により計数した計数値とを含む加算要求,又は会員カード4から読み取った会員IDと獲得玉カウンタ33により計数した計数値とを含む加算要求を送信する。この通信部31から送信される情報には、該情報の送信元であるパチンコ玉計数機30を特定可能なように、制御部32のEEPROMに記憶されている前記計数機IDが含まれる。
【0088】
制御部32は、CPU,RAM,ROM,EEPROM等を備えており、ROM(あるいはEEPROM)に記憶されている処理プログラムがRAMを作業領域としてCPUで実行されることにより、パチンコ玉計数機30に備えられる各構成要素の動作を制御して各種の処理を行うものであるが、その機能の詳細については後述する。
【0089】
獲得玉カウンタ33は遊技媒体計数手段の一例であって、獲得玉投入口33aからパチンコ玉の投入を受け付けて、該受け付けたパチンコ玉を計数するものである。この獲得玉カウンタ33で計数された計数値は、制御部32のRAMで記憶される。また計数が終了したパチンコ玉は、遊技島に設けられるパチンコ玉回収樋(図示外)に排出される。
【0090】
会員カードリーダ34は会員用記録媒体受付手段の一例であって、会員カード挿入口34aから挿入された会員カード4を受け付けて、該会員カード4のICチップに記録されている会員IDを読み取るものである。この会員カードリーダ34は、前記ICカードである会員カード4のICチップに対応したICチップリーダである。
【0091】
携帯電話リーダ35は記録媒体受付手段の一例であって、携帯電話5を受け付けて、該受け付けた携帯電話5から会員IDを取得するものである。具体的には、携帯電話リーダ35は、「ケイタイ TOUCH」と表示されている携帯電話近接部35aを中心とした半球型の空間に向けて、携帯電話5のICチップにアクセスするための電磁波を発信しており、携帯電話5が携帯電話近接部35aに近接される(かざされる)ことにより当該空間に入ってくると、該携帯電話5のICチップから、図2(a)に示す会員IDを取得する。この会員IDの取得は、獲得玉カウンタ33による計数前,計数中,及び計数後のいずれのタイミングでも可能である。また携帯電話リーダ35は、携帯電話5から会員IDを取得すると、バイブレータを起動する起動信号を該携帯電話5に対して送信する。該携帯電話5では、この起動信号の受信に基づいてバイブレータが起動されるので、遊技者は携帯電話5が受け付けられた旨を把握することができる。」
(イ)「【0116】
また会員情報DBでは、貯玉処理が行われたパチンコ玉計数機30から送信されてくる、会員IDと獲得玉数とを含む加算要求を管理装置50が受信すると、制御部52の制御により、該会員IDに対応付けて記憶されている貯玉数に対して該獲得玉数が加算更新される。また会員情報DBでは、貯玉再プレイ処理が行われた玉貸ユニット20から送信されてくる、会員IDと使用玉数とを含む使用玉数情報を管理装置50が受信すると、該会員IDに対応付けて記憶されている貯玉数から該使用玉数が減算更新される。」
(ウ)「【0142】
次に図10?図12を参照して、第1実施形態に係るパチンコ玉計数機30の作用について説明する。まずパチンコ玉計数機30は、図示しないが、獲得玉の投入を待機しており、獲得玉投入口30aから獲得玉が投入されると、該投入された獲得玉が獲得玉カウンタ33により計数され、図6のD22?D23に示すように、計数値がディスプレイ37の計数値表示領域37bに表示される。
【0143】
一方、パチンコ玉計数機30では、図10のメインルーチンに示すように、携帯電話5の受付(S301),会員カード4の受付(S302),又は確認ボタン38の操作(S303)を待機していると共に、計時手段による計時中であるか否かの判定(S304)を行っている。
【0144】
このS301で携帯電話5の受付が有る(YES)、即ち携帯電話近接部35aに携帯電話5が近接されたと判定された場合には、携帯電話リーダ35により、該受け付けた携帯電話5から会員IDを取得すると共に、バイブレータの起動信号を該携帯電話5に対して送信して、遊技者識別情報記憶手段である制御部32のRAMに会員IDの記憶が有るか否かを判定する(S311)。
【0145】
このS311で会員IDの記憶が無い(NO)と判定された場合には、遊技者識別情報記憶手段(制御部32のRAM)により、S301で受け付けた携帯電話5から取得した会員IDを記憶し(S312)、会員カードリーダ34により会員カード4の挿入を受付中であるか否かを判定する(S313)。このS313で会員カード4を受付中である(YES)と判定された場合には、後述するS322に進む。一方、S314で会員カード4を受付中でない(NO)と判定された場合には、計時手段による計時を開始して(S314)、S301に戻る。」
(エ)「【0169】
図10に戻り、前記S303で確認ボタン38の操作が有る(YES)と判定された場合には、獲得玉カウンタ33により計数された計数値が有るか否かを判定する(S331)。このS331で計数値が無い(NO)、即ち獲得玉カウンタ33による計数が行われていないと判定された場合には、獲得玉の投入を促す獲得玉投入促進画面(図示外)をディスプレイ37に表示して、S301に戻る。一方、S331で計数値が有る(YES)と判定された場合には、獲得玉カウンタ33による計数中であるか否かを判定する(S332)。このS332で計数中である(YES)と判定された場合には、計数が完了していない旨を示す計数未完了画面(図示外)をディスプレイ37に表示して、S301に戻る。一方、S332で計数中でない(NO)、即ち計数が完了していると判定された場合には、S333に進む。
【0170】
S333では、遊技者識別情報記憶手段である制御部32のRAMに会員IDの記憶が有るか否かを判定する。このS333で会員IDの記憶が有る(YES)と判定された場合には、加算要求送信手段により、制御部32のRAMで記憶している会員IDと計数値とを含む加算要求を管理装置50に対して送信し(S334)、該記憶している会員IDを消去して(S335)、S301に戻る。
【0171】
一方、S333で会員IDの記憶が無い(NO)と判定された場合には、会員カードリーダ34により会員カード4の挿入を受付中であるか否かを判定する(S336)。このS336で会員カード4を受付中である(YES)と判定された場合には、加算要求送信手段により、該受付中の会員カード4から取得した会員IDと計数値とを含む加算要求を管理装置50に対して送信し(S337)、会員カードリーダ34に挿入されている会員カード4を排出する処理を行って(S338)、S301に戻る。
【0172】
一方、S336で会員カード4を受付中でない(NO)と判定された場合には、遊技者が会員登録を行っていないビジタであるので、前記計数カード発行処理を行って(S339)、S301に戻る。なお遊技場内の景品カウンタに設けられた景品交換コンピュータ(図示外)において、該計数カード発行処理により発行された計数カードが受け付けられると、該景品交換コンピュータの計数カードリーダにより計数カードから読み取った計数カードID及び計数値が、管理装置50に対して送信される。該管理装置50においては、送信されてきた計数カードID及び計数値と、ハードディスク53で記憶している計数カードID及び計数値との照合が行われ、照合OKであれば、その旨が景品交換コンピュータに対して返信される。景品交換コンピュータにおいては、該照合OKが返信されてきたことに基づいて、計数カードから読み取った計数値の範囲内で景品交換が可能となる。」
(オ)「【0189】
上記の実施形態では、図3のD2に示すように、会員登録済の遊技者が携帯電話5でも会員登録を行うと、該遊技者に対して既に発行されている会員カード4の会員IDが管理装置50から送信されてきて該携帯電話5のICチップに記録される例について説明したが、これに限らず、該会員カード4の会員IDとは別の新たな会員IDが管理装置50において付与され、該付与された会員IDが管理装置50から送信されてきて該携帯電話5のICチップに記録されるようにしても良く、この場合には、管理装置50において、属性情報が一致する会員IDが有れば、それら会員IDを対応付けて登録しておくことにより、会員カード4又は携帯電話5のいずれが受け付けられた場合であっても、各会員IDに対応付けて管理されている貯玉数を合算して使用できるようになる。」
(カ)図5には、段落【0089】の記載を考慮すると、獲得玉投入口30a、獲得玉カウンタ33の上方には、計数するために投入されたパチンコ玉を貯留する貯留部が設けられた点が記載されている。

以上、上記(ア)ないし(カ)の記載及び図面の記載を総合すると、引用例1には、
「パチンコ玉計数機30は、その上面に獲得玉投入口30a,携帯電話近接部35a,ディスプレイ37,及び確認ボタン38を備え、その前面に会員カード挿入口34aを備え、その内部に通信部31,制御部32,獲得玉カウンタ33,会員カードリーダ34,携帯電話リーダ35を備えており、
獲得玉投入口30a、獲得玉カウンタ33の上方には、計数するために投入されたパチンコ玉を貯留する貯留部が設けられ、
会員カードリーダ34は、会員カード挿入口34aから挿入された遊技者に対して発行されている会員カード4を受け付けて、該会員カード4のICチップに記録されている会員IDを読み取るものであり、
携帯電話リーダ35は、「ケイタイ TOUCH」と表示されている携帯電話近接部35aを中心とした半球型の空間に向けて、遊技者が会員登録を行った携帯電話5のICチップにアクセスするための電磁波を発信しており、携帯電話5が携帯電話近接部35aに近接される(かざされる)ことにより当該空間に入ってくると、該携帯電話5のICチップから、会員IDを取得するものであり、
制御部32は、パチンコ玉計数機30に備えられる各構成要素の動作を制御して各種の処理を行うものであり、
パチンコ玉計数機30は、獲得玉の投入を待機しており、獲得玉投入口30aから獲得玉が投入されると、該投入された獲得玉が獲得玉カウンタ33により計数され、計数値がディスプレイ37の計数値表示領域37bに表示され、
パチンコ玉計数機30では、携帯電話5の受付(S301),会員カード4の受付(S302),又は確認ボタン38の操作(S303)を待機し、
携帯電話近接部35aに携帯電話5が近接されたと判定された場合には、携帯電話リーダ35により、該受け付けた携帯電話5から会員IDを取得すると共に、バイブレータの起動信号を該携帯電話5に対して送信して、遊技者識別情報記憶手段である制御部32のRAMに会員IDの記憶が有るか否かを判定し、
会員IDの記憶が無い(NO)と判定された場合には、遊技者識別情報記憶手段(制御部32のRAM)により、受け付けた携帯電話5から取得した会員IDを記憶し、
確認ボタン38の操作が有る(YES)と判定された場合には、獲得玉カウンタ33により計数された計数値が有るか否かを判定し、計数値が有る(YES)と判定された場合には、獲得玉カウンタ33による計数中であるか否かを判定し、計数中でない(NO)、即ち計数が完了していると判定された場合には、遊技者識別情報記憶手段である制御部32のRAMに会員IDの記憶が有るか否かを判定し、会員IDの記憶が有る(YES)と判定された場合には、加算要求送信手段により、制御部32のRAMで記憶している会員IDと計数値とを含む加算要求を管理装置50に対して送信し、
会員情報DBでは、貯玉処理が行われたパチンコ玉計数機30から送信されてくる、会員IDと獲得玉数とを含む加算要求を管理装置50が受信すると、該会員IDに対応付けて記憶されている貯玉数に対して該獲得玉数が加算更新される、パチンコ玉計数機30。」の発明が開示されていると認めることができる(以下、この発明を「引用発明」という。)。

(4)対比
引用発明の「パチンコ玉」は本願補正発明の「遊技媒体」に相当する。以下同様に、
「ディスプレイ37」は「表示部」
「パチンコ玉計数機30」は「計数機」
「遊技者」は「遊技客」に、
「会員カード挿入口34a」は「挿入口」に、
「携帯電話リーダ35」は「情報取得装置」に、
「会員ID」は「携帯電話識別情報」に、
「制御部32」は「制御手段」に、
「貯玉処理」は「貯遊技媒体処理」に、
「管理装置50」は「管理装置」に、相当する。

さらに、引用例1の記載等からみて、以下のことがいえる。

a.引用発明のパチンコ玉計数機30は、その上面に獲得玉投入口30a,携帯電話近接部35a,ディスプレイ37,及び確認ボタン38を備え、その前面に会員カード挿入口34aを備え、その内部に通信部31,制御部32,獲得玉カウンタ33,会員カードリーダ34,携帯電話リーダ35を備えており、
獲得玉投入口30a、獲得玉カウンタ33の上方には、計数するために投入されたパチンコ玉を貯留する貯留部が設けられ、
会員カードリーダ34は、会員カード挿入口34aから挿入された遊技者に対して発行されている会員カード4を受け付けて、該会員カード4のICチップに記録されている会員IDを読み取るものであり、
携帯電話リーダ35は、「ケイタイ TOUCH」と表示されている携帯電話近接部35aを中心とした半球型の空間に向けて、遊技者が会員登録を行った携帯電話5のICチップにアクセスするための電磁波を発信しており、携帯電話5が携帯電話近接部35aに近接される(かざされる)ことにより当該空間に入ってくると、該携帯電話5のICチップから、会員IDを取得するものであるから、
引用発明は、本願補正発明と「計数するための遊技媒体を貯留する貯留部と」、「表示部を有する計数機であって」、
「遊技客が所持する会員用記録媒体を挿入する挿入口」と、「該遊技客が所持する携帯電話に内蔵されたICチップから携帯電話識別情報を取得する情報取得装置を」「設け」た点で共通しているといえる。

b.引用発明のパチンコ玉計数機30の制御部32は、パチンコ玉計数機30に備えられる各構成要素の動作を制御して各種の処理を行うものであり、
携帯電話近接部35aに携帯電話5が近接されたと判定された場合には、携帯電話リーダ35により、該受け付けた携帯電話5から会員IDを取得すると共に、バイブレータの起動信号を該携帯電話5に対して送信して、遊技者識別情報記憶手段である制御部32のRAMに会員IDの記憶が有るか否かを判定し、
会員IDの記憶が無い(NO)と判定された場合には、遊技者識別情報記憶手段(制御部32のRAM)により、受け付けた携帯電話5から取得した会員IDを記憶し、
確認ボタン38の操作が有る(YES)と判定された場合には、獲得玉カウンタ33により計数された計数値が有るか否かを判定し、計数値が有る(YES)と判定された場合には、獲得玉カウンタ33による計数中であるか否かを判定し、計数中でない(NO)、即ち計数が完了していると判定された場合には、遊技者識別情報記憶手段である制御部32のRAMに会員IDの記憶が有るか否かを判定し、会員IDの記憶が有る(YES)と判定された場合には、加算要求送信手段により、制御部32のRAMで記憶している会員IDと計数値とを含む加算要求を管理装置50に対して送信し、
会員情報DBでは、貯玉処理が行われたパチンコ玉計数機30から送信されてくる、会員IDと獲得玉数とを含む加算要求を管理装置50が受信すると、該会員IDに対応付けて記憶されている貯玉数に対して該獲得玉数が加算更新されるものであると共に、
制御部32のRAMに会員IDの記憶が有る判定された場合、確認ボタン38の操作があると貯玉数に対して獲得玉数を加算更新する要求をするから、制御部32のRAMに会員IDの記憶が有る場合の確認ボタン38の操作は、貯遊技媒体操作であるといえるから、
引用発明は、本願補正発明と「全体制御を行う制御手段を備え、
前記制御手段は、前記情報取得装置で携帯電話を受け付けたことに基づいて、前記情報取得装置により前記携帯電話識別情報が取得され、かつ、貯遊技媒体操作がなされたならば、計数結果である遊技媒体数の貯遊技媒体処理を貯遊技媒体を管理する管理装置に依頼する計数機。」である点で共通しているといえる。

以上のことから、引用発明と本願補正発明は、
<一致点>
「計数するための遊技媒体を貯留する貯留部と、表示部を有する計数機であって、
遊技客が所持する会員用記録媒体を挿入する挿入口と、該遊技客が所持する携帯電話に内蔵されたICチップから携帯電話識別情報を取得する情報取得装置を設け、
全体制御を行う制御手段を備え、
前記制御手段は、前記情報取得装置で携帯電話を受け付けたことに基づいて、前記情報取得装置により前記携帯電話識別情報が取得され、かつ、貯遊技媒体操作がなされたならば、計数結果である遊技媒体数の貯遊技媒体処理を貯遊技媒体を管理する管理装置に依頼する計数機。」である点で一致し、以下の点で相違している。

<相違点1>
表示部に関して、
本願補正発明は、「前記貯留部の上部に設けられ、タッチパネルからなる表示部」であるのに対して、
引用発明は、ディスプレイ37がこのような配置であるか不明であると共に、タッチパネルでない点。

<相違点2>
本願補正発明は、「前記貯留部と前記表示部との間に遊技媒体を投入するための空間を有し」ているのに対して、
引用発明は、貯留部とディスプレイ37の配置がこのような配置でないため、このような構成でない点。

<相違点3>
本願補正発明は、「遊技客が所持する会員用記録媒体を挿入する挿入口を前記表示部の近傍の位置に配置し、該遊技客が所持する携帯電話に内蔵されたICチップから携帯電話識別情報を取得する情報取得装置を前記挿入口の側部の近傍位置に設け」ているのに対して、
引用発明は、会員カード挿入口34a、ディスプレイ37、携帯電話リーダ35の配置がこのような配置でない点。

<相違点4>
本願補正発明は、「計数後に返却する余り玉を取り出す遊技媒体払出部を前記計数機の前面の片側よりに備え、
前記情報取得装置は、前記遊技媒体払出部と反対側の位置に配置され」ているのに対して、
引用発明は、「計数後に返却する余り玉を取り出す遊技媒体払出部」を有していないため、「遊技媒体払出部」の配置、及び、携帯電話リーダ35と「遊技媒体払出部」の配置が、このような配置でない点。

<相違点5>
情報取得装置で携帯電話を受け付けたことに基づいて、
本願補正発明は、「前記表示部に表示制御を行う」のに対して、
引用発明は、バイブレータの起動信号を該携帯電話5に対して送信するが、ディスプレイ37に表示制御を行わない点。

<相違点6>
貯遊技媒体操作に関して、
本願補正発明は、「遊技客による貯遊技媒体操作」であるのに対して、
引用発明は、確認ボタン38の操作が、遊技客による操作であると明記されていない点。

(5)判断
<相違点1>?<相違点4>について
相違点1?相違点4は関連するので、まとめて検討する。
計数機の表示部をタッチパネルにすることは、原査定の拒絶の理由(平成23年6月29日付け拒絶理由通知)において引用文献2として引用された特開2005-319033号公報(以下、「引用例2」という。段落【0030】、図2等参照。)、引用文献3として引用された特開平11-179039号公報(以下、「引用例3」という。段落【0035】、図3等参照。)にも記載されているように周知(以下、「周知技術1」という。)であり、
「貯留部と表示部との間に遊技媒体を投入するための空間を有」するようにすることも、引用例2(段落【0030】、図2等参照。)、引用例3(段落【0036】、図3等参照。)にも記載されているように周知(以下、「周知技術2」という。)であり、
「計数後に返却する余り玉を取り出す遊技媒体払出部」を設けることも、引用例2(段落【0030】、図2等参照。)、引用例3(段落【0036】、図3等参照。)にも記載されているように周知(以下、「周知技術3」という。)であり、
表示部、挿入口、情報取得装置、遊技媒体払出部をどのように配置するかは、操作性やレイアウト等を考慮して当業者が適宜決定し得る設計的事項に過ぎないから、
引用発明に上記周知技術1?3を施すと共に、表示部、挿入口、情報取得装置、遊技媒体払出部の配置を、引用例2、引用例3での配置も参考にしつつ、操作性やレイアウト等を考慮して、上記相違点1?相違点4に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に成し得る程度のことにすぎない。

<相違点5>について
平成23年9月30日付け補正却下の決定において引用された特開2005-348939号公報(以下、「引用例4」という。段落【0169】?【0172】等参照。)には、玉の計数終了後、貯玉処理を行うための会員コードが登録されている物品(「会員カード」が相当)を受け付けたことに基づいて、貯玉処理を行うか否かを選択する表示を行い、貯玉を行うことが選択されると、会員コードと玉計数値を管理装置(T/C10)に送信する点が記載されているから、
引用発明の貯玉処理を行うための会員コードが登録されている物品である携帯電話5を受ける際に、上記引用例4に記載された技術を適用して、上記相違点5に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に成し得る程度のことにすぎない。

<相違点6>について
パチンコ店等の遊技店において、各種操作を行う人を、従業員か遊技客かのどちらかにするのが普通であり、どちらが行うかは操作の内容に応じて決められるものであるところ、
引用発明における「貯遊技媒体操作」は、通常、遊技客が会員登録を行った携帯電話等を用いて行う操作であるから、「貯遊技媒体操作」は遊技客による操作であるというべきである。
また、仮に「貯遊技媒体操作」が遊技客による操作でないとしても、「貯遊技媒体操作」を遊技客が行う操作として、上記相違点6に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に成し得る程度のことにすぎない。

そして、本願補正発明の効果は、引用発明、引用例4に記載された技術及び周知技術1?3から当業者が予測できる範囲のものである。

以上のように、本願補正発明は、引用発明、引用例4に記載された技術及び周知技術1?3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、その特許出願の際に独立して特許を受けることができない。

(6)本件補正についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件補正は、平成23年法律63号改正附則2条18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第6項において準用する同法126条5項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成24年1月4日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、請求項1に係る発明は、平成23年6月6日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものである。

そして、その請求項1により特定される発明は次のとおりである。
「【請求項1】
計数するための遊技媒体を貯留する貯留部と、前記貯留部の上部に設けられ、タッチパネルからなる表示部を有する計数機であって、
前記貯留部と前記表示部との間に遊技媒体を投入するための空間を有し、
遊技客が所持する会員用記録媒体を挿入する挿入口を前記表示部の近傍の位置に配置し、該遊技客が所持する携帯端末に内蔵されたICチップから携帯端末識別情報を取得する情報取得装置を前記挿入口の側部の近傍位置に設け、
計数後に返却する余り玉を取り出す遊技媒体払出部を前記計数機の前面の片側よりに備え、
前記情報取得装置は、前記遊技媒体払出部と反対側の位置に配置される
ことを特徴とする計数機。」(以下、この発明を「本願発明」という。)

一方、原査定の拒絶の理由に引用された特開2007-282662号公報(引用例1)に記載された発明は、前記2.(3)に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.(2)で検討した本願補正発明から、実質的な変更とならない特定事項を除き、「携帯電話」という記載を上位概念である「携帯端末」という記載にすると共に、
「制御手段」について、「全体制御を行う制御手段を備え、
前記制御手段は、前記情報取得装置で携帯電話を受け付けたことに基づいて、前記表示部に表示制御を行うとともに、前記情報取得装置により前記携帯電話識別情報が取得され、かつ、遊技客による貯遊技媒体操作がなされたならば、計数結果である遊技媒体数の貯遊技媒体処理を貯遊技媒体を管理する管理装置に依頼する」との限定を付加した部分を削除したものである。

そうすると、本願発明は、制御手段に関する構成である前記2.(4)に記載した<相違点5>及び<相違点6>となる発明特定事項が本願補正発明から除かれたものであるから、本願発明と引用発明との相違点は<相違点1>?<相違点4>となり、<相違点1>?<相違点4>は上記2.(5)でも検討しているように引用発明に周知技術1?3を適用して当業者が容易に成し得る事項であるから、
本願発明は、引用発明及び周知技術1?3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術1?3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。


なお、出願人は平成24年6月13日付けの回答書において、
「前記表示部に表示制御を行う」を「前記表示部に携帯電話の貯遊技媒体に係る表示制御を行う」に補正した補正案を添付しているが、
「貯遊技媒体に係る表示制御を行う」点は、前記2.(5)<相違点5>でも検討しているように、引用例4に記載されており、
引用発明の貯玉処理を行うための会員コードが登録されている物品である携帯電話5を受け付けたときに、上記引用例4に記載された技術を適用して、「前記表示部に携帯電話の貯遊技媒体に係る表示制御を行う」構成とすることは、当業者が容易に成し得る程度のことにすぎない。
 
審理終結日 2012-09-26 
結審通知日 2012-10-02 
審決日 2012-10-15 
出願番号 特願2011-43792(P2011-43792)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 香川 沙絵河本 明彦  
特許庁審判長 木村 史郎
特許庁審判官 瀬津 太朗
秋山 斉昭
発明の名称 計数機  
代理人 中辻 史郎  
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