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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1266963
審判番号 不服2011-5359  
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-03-09 
確定日 2012-11-28 
事件の表示 特願2006-524071「無線通信システムにおける放送-マルチキャスト・サービス(BCMCS)のための時間ベース料金請求の方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 3月 3日国際公開、WO2005/020544、平成19年 8月 2日国内公表、特表2007-521757〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯、本願発明
本願は、平成16年8月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2003年8月18日、2004年8月17日、米国)を国際出願日とする出願であって、本願の発明は、平成22年10月19日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載されたとおりのものであるところ、その特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「端末が放送された周期的に変化する数を受信すること、
端末がサービス・チャンネルを示す放送された識別子と共に、放送された第1のキーを受信すること、
端末が少なくとも前記周期的に変化する数と前記第1のキーの関数である短期間のキーである少なくとも1つの第2のキーを生成すること、および
カウンタが前記第2のキーの生成された数を計数することにより、端末で表示された放送されたコンテンツの課金のための計数値を生成することを含む方法。」

2 引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された米国特許出願公開第2002/0169724号明細書(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に下記の記載がある。

「[0002] The present invention relates in general to payment schemes for information distribution systems and more specifically to a system for allowing different payment schemes where a user is obtaining content such as video programs in digital format.」
〔訳:本発明は、一般に、情報流通システムの支払いスキームに関するものであり、より明確には、ユーザがデジタル形式でのビデオ・プログラムのようなコンテントを得るところの、異なる支払いスキームを許可するためのシステムに関するものである。〕

「[0018] The present embodiment of the invention can be described with reference to a program delivery system, such as the type used to deliver television or movie programming to a user's home.」
〔訳:この発明の本実施例は、ユーザの家にテレビ又は映画のプログラミングを配達するタイプのような、プログラムデリバリシステムに関して記載されている。〕

「[0024] In block 220, a determination is made as to whether the user wants to receive the program content. For example, a user watching television would normally select a desired channel in order to receive the desired service. If the user does want to receive the program content for a service, the user selects the channel of the receiver from which the program is received in block 224.」
〔訳:ブロック220において、決定はユーザはプログラム内容を受け取りたいかどうかによりなされます。例えば、テレビを見るユーザは通常希望のサービスを受けるために希望のチャンネルを選択するでしょう。ユーザがサービスのためのプログラム内容を受け取りたければ、ブロック224において、ユーザはプログラムが受け取られるレシーバーのチャンネルを選択します。〕

「[0025] In order to allow the user to make use of the program content, the service provider (e.g., the cable company) provides the receiver or user with a key to decrypt the encrypted program material, as illustrated in block 228. The key is used to decrypt the encrypted program in block 232.」
〔訳:ユーザがプログラム内容を利用することを可能にするために、ブロック228に示されるように、サービス・プロバイダー(例えばケーブル会社)はレシーバーかユーザに暗号化されたプログラム素材を解読するキーを提供します。ブロック232において、キーは暗号化されたプログラムを解読するために使用されます。〕

「[0026] In FIG. 7a, a sample program or event 700 is shown. As one example, the event could be a boxing match. The event is divided into epochs as shown by the divided portions 1 through 25 in FIG. 7a. An exemplary epoch 704 is shown in block 2 of the event 700. Each epoch corresponds to a corresponding crypto-period in which the program material for the epoch is obtained by a cryptographic operation, such as decryption through the use of a decryption key. Typically, new keys would be used for different crypto-periods. Each epoch of a program can be designated by an epoch designator such as a binary value corresponding to the location of that particular epoch in the program. Thus, block number 2 in FIG. 7a could be designated as "00010" while block 25 could be designated as "11001". 」
〔訳:図7aには、サンプルプログラム又はイベント700が示されています。
一例として、そのイベントはボクシング試合であり得ます。
そのイベントは、図7Aの分けられた部分1から25によって示されるエポックに分けられます。
典型的なエポック704は、イベント700のブロック2として示されています。
各エポックは、該当する暗号期間に該当する。その暗号期間においては、エポックのプログラム要素は、暗号処理、例えば解読キーを使用して解読する、によって得られる。
典型的には、新しいキーは異なる暗号期間で使用される。
プログラムの各エポックはエポックデジネイタ、例えばプログラムのその特定のエポックの位置に該当するバイナリの値、により指定される。
このように、図7aのブロック番号2は、“00010”として指定され、一方、ブロック25は“11001”として指定されることができる。〕

「[0027] In block 236 of FIG. 2b, the epoch designator 236 is stored. This could occur at various locations in the system. However, for purposes of this example, it will be described as occurring at the receiver. Thus, one can track or record when a user begins receiving a selected program by storing the epoch designator. In block 240, the running total for the number of keys used to decrypt the program is adjusted. Initially, the running total will be zero until the initial epoch is received. Thus, with the initial selection of the program, the total number of keys can be adjusted to 1. With reception of additional keys and corresponding epochs, the total number of keys can be increased accordingly.」
〔訳:図2bのブロック236では、エポックデジネイタ236は格納されます。これがシステムにおいて、様々な位置で生じるかもしれません。しかしながら、この例の目的のために、それはレシーバーで生じると記述されるでしょう。このように、ユーザがエポックデジネイタの格納により選択されたプログラムを受け取り始める場合、1が追跡するか記録することができます。ブロック240では、プログラムを解読するために使用されるキーの数のランニングトータルが調節される。最初に、最初のエポックが受け取られるまで、ランニングトータルは0でしょう。このように、プログラムの最初の選択で、キーの総数は1に調節される。追加のキーおよび対応するエポックの受理で、キーの総数は増加される。〕

「[0037] At some point in time, the information regarding viewed programs will need to be reported to the billing center for billing of the customer. FIG. 5 illustrates one embodiment of the invention for implementing such a billing system. In block 504 of FIG. 5, a record is created for the received event. This record is then transmitted to the billing processor, as shown in block 508. At the billing processor, the number of keys used to watch the program can be determined from the data record. Similarly, the number of epochs received can be determined as the number of keys will correspond to the number of epochs received. Then, the total time that the user received the program can be computed as shown by block 516. Based on the billing rate applied to the event, the user can be billed for the event as illustrated by block 520. 」
〔訳:ある時点では、見られたプログラムに関する情報は顧客のビリング用のビリング・センターに報告される必要があるでしょう。図5は、そのようなビリング・システムのインプリメントのための発明の1つの実施例を示します。図5のブロック504では、レコードは受信されたイベントのために作成されます。その後、このレコードは、ブロック508に示されるビリング・プロセッサに送信されます。ビリング・プロセッサでは、プログラムを見るために使用されるキーの数はデータ・レコードから決定することができる。同様に、キーの数が受け取られたエポックの数に相当するので、受け取られたエポックの数は決定することができます。その後、ブロック516によって示されるように、ユーザがプログラムを受け取った総時間を計算することができます。イベントに適用されたビリング・レートに基づいて、ブロック520によって示されるように、イベントのためにユーザは請求される。〕

3 対比
(1)引用文献1発明
引用文献1には、「ユーザがデジタル形式でのビデオ・プログラムのようなコンテントを得るところの、・・・支払いスキームを許可するためのシステム」(段落[0002])が記載されている。このシステムの動作を方法の発明として認定する。
このシステムの動作は、次のように記載されている。
「イベントは、・・・エポックに分けられ」、「各エポックは、該当する暗号期間に該当」し、「その暗号期間においては、エポックのプログラム要素は、暗号処理、例えば解読キーを使用して解読する、によって得られ」、「典型的には、新しいキーは異なる暗号期間で使用され」(段落[0026])、
「ユーザがエポックデジネイタの格納により選択されたプログラムを受け取り始める場合、1が・・・記録することができ」、「プログラムを解読するために使用されるキーの数のランニングトータルが調節され」、「プログラムの最初の選択で、キーの総数は1に調節され」、「追加のキー・・・で、キーの総数は増加され」(段落[0027])、
「プログラムを見るために使用されるキーの数はデータ・レコードから決定」され、「ユーザがプログラムを受け取った総時間を計算することができ」、「イベントに適用されたビリング・レートに基づいて、」「イベントのためにユーザは請求される。」(段落[0037])

したがって、引用文献1には、次の発明(以下「引用文献1発明」という。)が記載されている。

「イベントは、エポックに分けられ、各エポックは、該当する暗号期間に該当し、その暗号期間においては、エポックのプログラム要素は、暗号処理、例えば解読キーを使用して解読する、によって得られ、典型的には、新しいキーは異なる暗号期間で使用され、
ユーザがエポックデジネイタの格納により選択されたプログラムを受け取り始める場合、1が記録することができ、プログラムを解読するために使用されるキーの数のランニングトータルが調節され、プログラムの最初の選択で、キーの総数は1に調節され、追加のキーで、キーの総数は増加され、
プログラムを見るために使用されるキーの数はデータ・レコードから決定され、ユーザがプログラムを受け取った総時間を計算することができ、イベントに適用されたビリング・レートに基づいて、イベントのためにユーザは請求される、方法」

(2)対比
本願発明と引用文献1発明とを対比する。

引用文献1には、「ユーザがデジタル形式でのビデオ・プログラムのようなコンテントを得るところの、・・・支払いスキームを許可するためのシステム」が記載され、引用文献1の段落[0018]には、「この発明の本実施例は、ユーザの家にテレビ又は映画のプログラミングを配達するタイプのような、プログラムデリバリシステムに関して記載されている。」と記載されているから、引用文献1発明の「イベント」は、放送されたコンテンツといえ、
引用文献1発明は、「プログラムを見るために使用されるキーの数はデータ・レコードから決定され、ユーザがプログラムを受け取った総時間を計算することができ、イベントに適用されたビリング・レートに基づいて、イベントのためにユーザは請求され」、「プログラムの最初の選択で、キーの総数は1に調節され、追加のキーで、キーの総数は増加され」るから、「キーの数を計数することにより、端末で表示された放送されたコンテンツの課金のための計数値を生成する」ことを含むといえる。
また、引用文献1発明は、「イベントは、エポックに分けられ、各エポックは、該当する暗号期間に該当し、その暗号期間においては、エポックのプログラム要素は、暗号処理、例えば解読キーを使用して解読する、によって得られ、典型的には、新しいキーは異なる暗号期間で使用され」るものであり、引用文献1の段落[0026]には、「一例として、そのイベントはボクシング試合であり得ます。 そのイベントは、図7Aの分けられた部分1から25によって示されるエポックに分けられます。」と記載されているから、暗号期間に該当する「エポック」は短期間であり、「キー」は、「短期間のキー」であり、周期的に変化するものといえる。
したがって、引用文献1発明は、「周期的に変化する短期間キーの数を計数することにより、端末で表示された放送されたコンテンツの課金のための計数値を生成する」ことを含むといえる。
もっとも、周期的に変化する短期間キーの数の計数を、本願発明においては「カウンタ」が行うのに対し、引用文献1発明はそうではない点で相違する。
さらに、計数する「周期的に変化する短期間キーの数」が、
本願発明においては、
「端末が放送された周期的に変化する数を受信すること、端末がサービス・チャンネルを示す放送された識別子と共に、放送された第1のキーを受信すること、端末が少なくとも前記周期的に変化する数と前記第1のキーの関数である短期間のキーである少なくとも1つの第2のキーを生成すること」によって、生成された「周期的に変化する短期間キー」の数であるのに対し、
引用文献1発明においては、そのように生成された「周期的に変化する短期間キー」の数ではない点、で相違する。

(3)一致点、相違点
以上より、本願発明と引用文献1発明との一致点、相違点は以下のとおりである。

(一致点)
周期的に変化する短期間キーの数を計数することにより、端末で表示された放送されたコンテンツの課金のための計数値を生成することを含む方法。

(相違点1)
周期的に変化する短期間キーの数の計数を、本願発明においては「カウンタ」が行うのに対し、引用文献1発明はそうではない点

(相違点2)
計数する「周期的に変化する短期間キーの数」が、
本願発明においては、
「端末が放送された周期的に変化する数を受信すること、端末がサービス・チャンネルを示す放送された識別子と共に、放送された第1のキーを受信すること、端末が少なくとも前記周期的に変化する数と前記第1のキーの関数である短期間のキーである少なくとも1つの第2のキーを生成すること」によって、生成された「周期的に変化する短期間キー」の数であるのに対し、
引用文献1発明においては、そのように生成された「周期的に変化する短期間キー」の数ではない点

4 相違点の判断
(1)相違点1について
カウンタにより計数を行うことは普通のことであるから、引用文献1発明において、キーの数の計数をカウンタにより行うようにすることは、当業者によって容易に想到できたことである。

(2)相違点2について
ア 引用文献3の記載
原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-125554号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面と共に下記の記載がある。

〈産業上の利用分野〉
「【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、テレビジョン信号伝送の機密性に関し、詳言すれば、テレビジョン信号伝送の非公認受信の防御に関するものである。本発明を広く適用し得ることができかつそれに関連して本発明がここで説明される環境は加入者テレビジョンおよびテレビジョンプログラム分配についてのものである。」

〈発明の手段及び作用〉
「【0009】
・・・暗号化(scrambling)および解読(descrambling)技術は規則的な根拠で変化されかつ支払済み加入者にのみ送られる「キー」を利用し、そして同様にこの「キー」は義務を怠る加入者が他から現行のキーを教わることができないように各加入者に対して異なる暗号化された形で送られる。
【0010】
記録は各加入者に対応する単独のユーザーID(識別)コードについて保持され、そして本発明の好適な実施例による送信機においては、キーは各加入者にキーを送る前にその加入者の唯一のIDコードで暗号化(ciphered)される。送信機中の乱数発生器は規則的な間隔で、例えば毎秒、新たな乱数を発生し、この数はキーと組み合され、そして次いで組み合された数が毎秒PNシーケンス発生器をリセットするような発生源として使用される。
【0011】
したがって、このPNシーケンス発生器は1秒セグメントの任意発生源によりPNシーケンスを発生し、そして分けられたPNシーケンスは音声および映像プログラム信号を暗号化するのに使用される信号処理装置に供給される。乱数発生器はまたキーにより暗号化されかつ暗号化された乱数は暗号化された映像信号とともに連続的に送信される。
【0012】
受信機において、衛星(satellite)またはメール(mail)を経由して送られた解読(deciphered)キーが特定加入者の唯一のIDコードを利用する受信機内で解読され、そのIDコードは受信機の内部にあり、かつ加入者には解らない。次いで暗号化されたキーは順次暗号化されたプログラム信号とともに受信された暗号化された乱数を解読するのに使用される。次に解読されたキーおよび乱数は送信機におけると同様に組み合され、そして組み合された信号は分けられたPNシーケンスが送信機に発生されたPNシーケンスに一致する受信機に発生されるように送信機のPNシーケンスと同一のPNシーケンス発生器を連続的にリセットするように使用され、そしてこの分けられたPNシーケンスは次いで受信信号を暗号化するように使用されることができる。暗号化された信号は次いで加入者のテレビジョンセットに供給される。」

〈実施例〉
「【0013】
【実施例】
図面は本発明によるSSTV防護装置の機能的ブロック図を示す。SSTV送信機は代表的には支払済み加入者およびそれらに対応する唯一のユーザーIDコードのリストを含んでいる加入者情報を記憶する番付け(dilling)装置用コンピュータ10へのアクセスを含むかまたは有している。この情報は代表的にはコンピュータ内のユーザーデータベース12内に記憶されても良い。またコンピュータ内にはレジスタ14または規則的な根拠、例えば月毎に変化されるキーを含んでいる同等物がある。この「その月のキー」を各現行の加入者に送る用意に、キーはその特定の現行の加入者に唯一のユーザーIDコードにより暗号化装置16で暗号化され、そして暗号化キーは次いで加入者に送られる。
【0014】
送信機は偽乱数(PN)シーケンス発生器18および乱数発生器20を含んでいる。該乱数発生器20は新たな乱数を、例えば毎秒1つを周期的に発生し、そして乱数数発生器20およびキーレジスタ14の出力は組み合わされかつ従来技術において公知の方法でPNシーケンス発生器18を周期的にリセットするかまたは「シード(seed)」するようにPNシーケンス発生器18に付加される。シーケンス発生器18の各シーディング(seeding)はPNシーケンスの新たな分割(セグメント)を始める。
【0015】
供給源22からのプログラム信号は発生器18からの分割されたPNシーケンスにより暗号化される信号処理装置24に供給される。使用される暗号化(インクリプション)技術は種々の公知の技術のうちの1つであってもよくかつここで詳細に説明する必要はない。次いで、暗号化(インクリプトまたはスクランブル)された信号は種々の加入者受信機へのリンク100を介して伝送用送信機26に供給される。
【0016】
発生器20からの乱数は暗号装置(encipherer)28においてその月のキーにより暗号化されかつ暗号化された乱数はリンク100を介して伝送用送信機26に供給され。発生器20からの乱数は暗号装置(encipherer)28においてその月のキーにより暗号化されかつ暗号化された乱数はリンク100を介して暗号化された映像信号とともに送信される。
【0017】
受信機において、レジスタ30または加入者TV受像機の内部の同等物は据付け前にセットされかつ送信機においてビリングコンピュータのユーザーデータベース12に記憶される加入者の特別な秘密のユーザーIDコードを含んでいる。したがって、加入者の受像機が暗号化(インサイファ)されたキーを受信するときまたはユーザーが暗号化されたキーをメールで受け取りかつ該暗号化キーを受像機に挿入するとき、受像機の解読装置(decipherer)32はその特定の加入者に対して特別な秘密のユーザーIDコードにより暗号化キーを解読する。受信機36はリンク100を介して受信された暗号化(インサイファ)された乱数から暗号化(スクランブル)された信号を分離しかつ暗号化された乱数を解読装置(デイサイファラ)32から受信されたキーにより解読される解読装置34に供給する。解読された乱数およびキーは次いで組み合わされかつ送信機におけると同様な方法でシーケンス発生器をリセットまたは「シード(seed)」するようにPNシーケンス発生器38に付加され、それによりSSTV送信機の信号処理装置24において暗号化するのに使用されたと同一の分けられた(セグメントされた)PNシーケンスを結果として生ずる。この分けられたPNシーケンスは次に受信されたプログラム信号を解読(デイスクランブル)するのに使用される信号処理装置40に供給される。解読された信号は次に加入者のテレビセット42に供給される。
【0018】
上述した防護装置は分けられた偽乱数(PN)シーケンスを発生しかつ同期させる新規の技術および安全なキー分配方法を提供する。発生された分割PNシーケンスはプログラム信号を暗号化(スクランブル)しかつ解読(デイスクランブル)する映像および音声信号処理装置を制御するのに使用される。異なる分割PNシーケンスが各々の異なるキーによって発生されるので、暗号化シーケンスは各々のキーについて異なり、そしてキーを周期的に変えることにより、暗号化および解読シーケンスは変えられる。したがって、如何なる者も解読装置によってかまたはそれによらず受信されたプログラム信号を現在のキーの正確な知識なくしては解読することができない。
【0019】
各々の一定の持続時間のため、特定のチャンネルは任意に選択された数およびその月のキーによって発生されるPNシーケンスによって解読(デイスクランブル)される。異なるチャンネルの加入者が彼らの間でキーを交換するのを防ぐために、各加入者に分配される一定のチャンネルが異なるようにすることが必須であり、そしてこれは各加入者の唯一のユーザーIDコードでキーを暗号化することにより達成される。この方法においては、単一のキーが如何なる時間においてもレジスタ14によって供給されるけれども、異なるキーが各加入者によって要求される。加入者の特別なキーが受像機に挿入されるときのみレジスタ14に含まれるその月の実際のキーが解読装置34およびシーケンス発生器38に供給されることができ、そして解読装置32内でその月の実際のキーの解読が加入者の受像機の内部でかつ加入者の知見なしに行なわれる。
【0020】
防護装置の重要な特徴は正当な加入者が短かい時間周期内で同期を得ねばならないということである。本発明による装置において信号処理装置24および40で信号を暗号化しかつ解読するのに使用されるPNシーケンスはその各々がその月のキーと例えば毎秒で変化する乱数との組み合わせによってシードされる短かいセグメントに分離される。したがって、正当な加入者が彼の特有のキーを所持すると見做せば、同期を得るのに要する時間は同期が停電、暴風雨、チャンネルの変化等による同期損失の場合に迅速に得られることができるように各乱数の持続時間に実質上等しい。」

イ 引用文献3に記載された発明
引用文献3には、暗号化された映像信号を送信することが記載されている。詳細は、以下のとおりである。
「コンピュータ内にはレジスタ14または規則的な根拠、例えば月毎に変化されるキーを含んでいる同等物があ」り、「この『その月のキー』を各現行の加入者に送る」ように「キーはその特定の現行の加入者に唯一のユーザーIDコードにより暗号化装置16で暗号化され、」「加入者に送られ」(段落【0013】)、
「送信機は偽乱数(PN)シーケンス発生器18および乱数発生器20を含んで」おり、「該乱数発生器20は新たな乱数を、例えば毎秒1つを周期的に発生し、そして乱数数発生器20およびキーレジスタ14の出力は組み合わされかつ・・・PNシーケンス発生器18を周期的にリセットするかまたは『シード(seed)』するようにPNシーケンス発生器18に付加され」、「シーケンス発生器18の各シーディング(seeding)はPNシーケンスの新たな分割(セグメント)を始め」(段落【0014】)、
「供給源22からのプログラム信号は発生器18からの分割されたPNシーケンスにより暗号化される信号処理装置24に供給され」、「暗号化・・・された信号は種々の加入者受信機へのリンク100を介して伝送用送信機26に供給され」(段落【0015】)、
「発生器20からの乱数は暗号装置(encipherer)28においてその月のキーにより暗号化されかつ暗号化された乱数はリンク100を介して伝送用送信機26に供給され」、「発生器20からの乱数は暗号装置(encipherer)28においてその月のキーにより暗号化されかつ暗号化された乱数はリンク100を介して暗号化された映像信号とともに送信される。」(段落【0016】)

また、引用文献3には、上記送信された信号を受信することも記載されている。詳細は、以下のとおりである。
「加入者の受像機が暗号化・・・されたキーを受信するとき・・・、受像機の解読装置・・・32はその特定の加入者に対して特別な秘密のユーザーIDコードにより暗号化キーを解読」し、「受信された暗号化・・・された乱数から暗号化・・・された信号を分離しかつ暗号化された乱数を解読装置・・・32から受信されたキーにより解読される解読装置34に供給」し、「解読された乱数およびキーは次いで組み合わされかつ送信機におけると同様な方法でシーケンス発生器をリセットまたは『シード(seed)』するようにPNシーケンス発生器38に付加され、それによりSSTV送信機の信号処理装置24において暗号化するのに使用されたと同一の分けられた(セグメントされた)PNシーケンスを結果として生」じ、「この分けられたPNシーケンスは次に受信されたプログラム信号を解読・・・するのに使用される信号処理装置40に供給され」、「解読された信号は次に加入者のテレビセット42に供給される。」(段落【0017】)
「特定のチャンネルは任意に選択された数およびその月のキーによって発生されるPNシーケンスによって解読(デイスクランブル)される。」(段落【0019】)

したがって、引用文献3には、次の方法が記載されている。

「加入者の受像機が暗号化されたキーを受信するとき、受像機の解読装置32はその特定の加入者に対して特別な秘密のユーザーIDコードにより暗号化キーを解読し、受信された暗号化された乱数から暗号化された信号を分離しかつ暗号化された乱数を解読装置32から受信されたキーにより解読される解読装置34に供給し、解読された乱数およびキーは次いで組み合わされかつ送信機におけると同様な方法でシーケンス発生器をリセットまたは「シード(seed)」するようにPNシーケンス発生器38に付加され、それによりSSTV送信機の信号処理装置24において暗号化するのに使用されたと同一の分けられた(セグメントされた)PNシーケンスを結果として生じ、この分けられたPNシーケンスは次に受信されたプログラム信号を解読するのに使用される信号処理装置40に供給され、解読された信号は次に加入者のテレビセット42に供給される、方法。」

上記方法は、「受信された暗号化された乱数から暗号化された信号を分離しかつ暗号化された乱数を解読装置32から受信されたキーにより解読される解読装置34に供給」するものであり、受信された暗号化された乱数は、「例えば、毎秒1つを周期的に発生」(段落【0014】)であり、キーにより解読されるから、「端末が放送された周期的に変化する数を受信すること」を含んでいるといえる。
上記方法は、「暗号化されたキーを受信するとき・・・ユーザーIDコードにより暗号化キーを解読する」から、「放送された第1のキーを受信すること」を含んでいるといえる。
上記方法は、「解読された乱数およびキーは次いで組み合わされかつ送信機におけると同様な方法でシーケンス発生器をリセットまたは「シード(seed)」するようにPNシーケンス発生器38に付加され、それによりSSTV送信機の信号処理装置24において暗号化するのに使用されたと同一の分けられた(セグメントされた)PNシーケンスを結果として生じ、この分けられたPNシーケンスは次に受信されたプログラム信号を解読するのに使用される信号処理装置40に供給され、解読された信号は次に加入者のテレビセット42に供給される」ものである。「PNシーケンス」は、受信されたプログラム信号を解読するのに使用されるから、「キー」といえ、上記の「第1のキー」とは異なるものであるから、「第2のキー」といい得る。また、「PNシーケンス」は、「乱数およびキーは次いで組み合わされかつ送信機におけると同様な方法でシーケンス発生器をリセットまたは『シード(seed)』するようにPNシーケンス発生器38に付加されそれによりSSTV送信機の信号処理装置24において暗号化するのに使用されたと同一の分けられた(セグメントされた)PNシーケンスを結果として生じ」るから、「乱数およびキー」をもとに生成されており、「乱数およびキー」の関数といえ、「乱数」は、「例えば、毎秒1つを周期的に発生」(段落【0014】)するものであるから、PNシーケンスは短期間に変わるものといえる。
したがって、上記方法は、「端末が少なくとも前記周期的に変化する数と前記第1のキーの関数である短期間のキーである少なくとも1つの第2のキーを生成すること」を含んでいるといえる。
段落【0019】には、「特定のチャンネルは任意に選択された数およびその月のキーによって発生されるPNシーケンスによって解読・・・される。」と記載されているから、上記方法は、「特定のチャンネルを解読するため」のものといえる。

以上より、引用文献3には、以下の方法(以下「引用文献3発明」という。)が記載されている。

「特定のチャンネルを解読するために、
端末が放送された周期的に変化する数を受信すること、
端末が放送された第1のキーを受信すること、
端末が少なくとも前記周期的に変化する数と前記第1のキーの関数である短期間のキーである少なくとも1つの第2のキーを生成すること、を含む方法。」

ウ 判断
本願発明の「端末がサービス・チャンネルを示す放送された識別子と共に、放送された第1のキーを受信すること」における「識別子」は、本願の明細書の記載
「放送アクセスキー識別子BAKIDは、移動局105へ送信される特別のコンテンツを示すために、識別子と共に登録キーRKで暗号化された放送アクセスキーBAKである。」(段落【0021】)、「興味のある特別のチャンネルのための放送アクセスキーBAKが移動局105のユーザ識別モジュール(UIM)220のメモリに供給される。」(段落【0025】)、「UIM 220に送られた要求SKRequestはまた、放送チャンネルのための識別子を含んでいる。」(段落【0027】)、「ユーザが特定のコンテンツチャンネルを見ていた時間の量は、・・・」(段落【0028】)、「移動局105の制御器215はコンテンツを解読するために今短期間のキーSKを使用し」(段落【0029】)
からみて、「第1のキー」を使用して解読する対象を示していると認められる。
引用文献1発明、引用文献3発明は、ともに、暗号化された映像信号を受信する技術であって、周期的に変化する短期間のキーを用いるものであるから、また、引用文献1発明の「キー」も特定のイベント(ボクシング試合など)を対象として、解読する対象が特定されるべきものと認められ、引用文献3発明も「特定のチャンネルを解読するため」のものであり、解読する対象が特定される必要が認められるものであるから、引用文献1発明の計数する「キー」を、引用文献3発明におけるプログラム信号を解読するキーであり、「少なくとも前記周期的に変化する数と前記第1のキーの関数である短期間のキーである」生成された「第2のキー」とすることに困難性はない。
そして、識別子を用いて対象を識別することはごく普通に成されることであり、放送においてもチャンネルや番組、その他の情報を識別子で識別することは普通である(原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2:特開2000-295541号公報の段落【0007】等参照)から、引用文献1発明に、引用文献3発明を適用する際に、「特定のチャンネルを解読するため」に、「第1のキー」と、解読する対象である「特定のチャンネル」とを対応づけるため、「特定のチャンネル」の識別子、すなわち、「サービス・チャンネルを示す放送された識別子」を「第1のキー」と共にして伝え、「端末がサービス・チャンネルを示す放送された識別子と共に、放送された第1のキーを受信すること」とすることは、容易に想到できることといえる。
したがって、引用文献1発明において、
「端末が放送された周期的に変化する数を受信すること、
端末がサービス・チャンネルを示す放送された識別子と共に、放送された第1のキーを受信すること、
端末が少なくとも前記周期的に変化する数と前記第1のキーの関数である短期間のキーである少なくとも1つの第2のキーを生成すること」
を含むようにすることは、当業者が容易に想到できたことである。

そして、上記のように引用文献1、引用文献3に記載された発明から当業者が容易に想到できた発明は、「キー」の計数は、「第2のキーの生成された数」を計数することになるから、「前記第2のキーの生成された数を計数することにより、端末で表示された放送されたコンテンツの課金のための計数値を生成すること」になる。

(3)効果等
以上のように、相違点1、2に係る構成は当業者が容易に想到できたことである。そして、本願発明の構成は、上記のとおり当業者が容易に想到できたことであるところ、本願発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。
したがって、本願発明は、引用文献1、引用文献3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたことである。

5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1、引用文献3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、残る請求項2?19に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のように審決する。
 
審理終結日 2012-06-27 
結審通知日 2012-07-03 
審決日 2012-07-17 
出願番号 特願2006-524071(P2006-524071)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 関口 明紀  
特許庁審判長 奥村 元宏
特許庁審判官 小池 正彦
松尾 淳一
発明の名称 無線通信システムにおける放送-マルチキャスト・サービス(BCMCS)のための時間ベース料金請求の方法および装置  
代理人 井関 守三  
代理人 白根 俊郎  
代理人 河野 哲  
代理人 中村 誠  
代理人 峰 隆司  
代理人 福原 淑弘  
代理人 村松 貞男  
代理人 竹内 将訓  
代理人 岡田 貴志  
代理人 砂川 克  
代理人 佐藤 立志  
代理人 野河 信久  
代理人 河野 直樹  
代理人 幸長 保次郎  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 高倉 成男  
代理人 堀内 美保子  

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