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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  B01D
管理番号 1267264
審判番号 無効2011-800014  
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-01-31 
確定日 2012-11-29 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第2551480号発明「スクレ?パ濾過システム」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第2551480号の請求項1、2に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
本件特許第2551480号についての手続の経緯の概要は、以下のとおりである。

平成 1年 4月28日 出願
平成 8年 8月22日 特許権の設定登録
平成23年 1月31日 無効審判請求
平成23年 4月18日 被請求人:訂正請求書、答弁書提出
平成23年 5月31日 請求人:弁駁書提出
平成23年 8月 1日 通知書(審理事項通知書)
平成23年 9月15日 被請求人:口頭審理陳述要領書
平成23年 9月28日 請求人:口頭審理陳述要領書
平成23年10月 6日 口頭審理
平成23年10月24日 被請求人:上申書提出
平成23年10月28日 請求人:上申書提出

第2.請求人の主張の概要
請求人は、本件の請求項1及び2に記載された発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、本件請求項1及び2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、また、本件請求項1及び2に係る発明は、甲第1号証乃至第8号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきであると主張し、その証拠方法として、下記甲第1乃至8号証を提出し、また、平成23年5月31日付け弁駁書において、下記甲第9号証の1乃至8を提出している。
さらに、同弁駁書において、平成23年4月18日付け訂正請求書により訂正された特許請求の範囲の請求項1は、不明確な記載を含むものであり、特許法第36条第6項第2項に規定する要件を満たしておらず、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とされるべきものであると主張している。


甲第1号証: 米国特許第4,041,854号公報
甲第2号証: 特開昭60-247498号公報
甲第3号証: 特開昭63-147510号公報
甲第4号証: 特開昭62-282611号公報
甲第5号証: 特開昭63-126509号公報
甲第6号証: 実願昭61-24124号(実開昭62-136205 号)のマイクロフィルム
甲第7号証: 実願昭61-59863号(実開昭62-174611 号)のマイクロフィルム
甲第8号証: 実願昭61-102098号(実開昭63-9204号 )のマイクロフィルム
甲第9号証の1:特願平1-107834号の拒絶査定謄本
甲第9号証の2:平成7年4月13日付手続補正書
甲第9号証の3:特許法第161条の4第3項の規定に基づく報告書
甲第9号証の4:対応記録(審決注;「応対記録」の誤記)
甲第9号証の5:平成8年2月21日付FAXによる補正案
甲第9号証の6:平成8年2月28日付拒絶理由通知書
甲第9号証の7:平成8年2月28日付手続補正書
甲第9号証の8:平成7年審判第7673号審決謄本

第3.被請求人の主張の概要
被請求人は、平成23年4月18日付け訂正請求書により訂正された本件請求項1及び請求項2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明とは明確に相違し、かつ甲第1号証ないし甲第8号証に記載された発明から当業者が容易に発明することができたものでなく、本件審判請求は成り立たないことは明らかであると主張している。

第4.訂正請求の可否
1.訂正の要旨
平成23年4月18日付け訂正請求書(以下、「本件訂正請求書」という。)による訂正(以下、「本件訂正」という。)の要旨は、本件特許第2551480号の願書に添付した明細書(「以下、「本件特許明細書」という。)を、本件訂正請求書に添付した全文訂正明細書(以下、「本件訂正明細書」という。)のとおりに訂正することを求めるものである。

2.訂正の内容
本件訂正の内容は、次のとおりである。下線部は、訂正箇所を示している。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の「濾カスに圧力を加えて前方に押し出しながら濾過を行うスクレーパ濾過システムであって、」とあるのを、「濾カスに圧力を加えて前方に押し出しながら濾過を行う豆乳原液などの被濾過液体より液体分と固形分に分離するスクレーパ濾過システムであって、」と訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1の「筒状ないし円錐状の所望の濾過孔を有するフィルタエレメントの周面」とあるのを、「筒状ないし円錐状の所望の濾過孔を有するフィルタエレメントの排出口には固形分の搾汁効果を可変調節できる押圧弁を配設し、前記フィルタエレメント周面」と訂正する。
なお、本件訂正請求書第2頁末行には、「前記フィルタエレメントの周面」と訂正する旨述べているが、本件訂正明細書には、「前記フィルタエレメント周面」と記載されている。

(3)訂正事項3
本件特許明細書(特許公報第2頁第3欄第12行乃至第14行)に記載の「濾カスに圧力を加えて前方に押し出しながら濾過を行うスクレーパ濾過システムであって、」とあるのを、「濾カスに圧力を加えて前方に押し出しながら濾過を行う豆乳原液などの被濾過液体より液体分と固形分に分離するスクレーパ濾過システムであって、」と訂正する。

(4)訂正事項4
本件特許明細書(特許公報第2頁第3欄第14行乃至第15行)に記載の「筒状ないし円錐状の所望の濾過孔を有するフィルタエレメントの周面」とあるのを、「筒状ないし円錐状の所望の濾過孔を有するフィルタエレメントの排出口には固形分の搾汁効果を可変調節できる押圧弁を配設し、前記フィルタエレメント周面」と訂正する。
なお、下線部の「前記フィルタエレメント周面」については、上記(2)と同様に、本件訂正明細書にはこのように記載されている。

(5)訂正事項5
本件特許明細書(特許公報第3頁第6欄第24行乃至第25行)に記載の「各種食品用として、またその他の機械的切削油の固液分離など広く利用できる。」とあるのを「各種食品用として固液分離など広く利用できる。」と訂正する。

そして、訂正前の請求項2は、請求項1を引用する請求項であるから、当該訂正前の請求項2についても、上記各訂正事項と同様の訂正を行うものである。

3.当審の判断
以下、本件訂正の可否について検討する。
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、スクレーパ濾過システムに適用する対象物を「豆乳原液などの被濾過液体より液体分と固形分に分離する」ものに限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、当該訂正事項は、本件特許明細書の【発明の詳細な説明】における、「この発明は、特に粘度の高い流体の濾過に好適なスクレーパ濾過システムに関する。」(特許公報第1頁第2欄第2行-第3行)、「一般に粘度の高い豆乳原液などの濾過は、」(特許公報第1頁第2欄第5行)、「この実施例は、豆乳原液より豆乳を得るのに好適な機械を示している。」(特許公報第2頁第3欄第37行-第38行)等の記載に基づくものであって、明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、フィルタエレメントにおいて、「排出口には固形分の搾汁効果を可変調節できる押圧弁を配設する」ことを限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、当該訂正事項は、本件特許明細書の【発明の詳細な説明】における、「なお、前記固形分取出機構9は、口径を狭少と搾り込んだ排出口8に対し、コイルバネ16で圧接される押圧弁17を当接させると共に、前記コイルバネ16に対しては、そのバネ圧を可変調節できる螺杆18を附設して取り出される固形分の搾汁効果を可変調節できるようになっている。」(特許公報第2頁第4欄18行-第23行)の記載に基づくものであり、また、「この発明は、…かつ、絞り効果が大きく濾過効率の高いスクレーパ濾過システムを提供することを目的とする。」(第2頁第3欄第8行-第10行)という、本件特許請求の範囲に係る発明の目的を逸脱するものでもない。
よって、明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、特許請求の範囲の記載に係る上記訂正事項1に対応して、【発明の詳細な説明】の記載においても同じ訂正を行うものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)訂正事項4について
訂正事項4は、特許請求の範囲の記載に係る上記訂正事項2に対応して、【発明の詳細な説明】の記載においても同じ訂正を行うものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(5)訂正事項5について
訂正事項5は、特許請求の範囲の記載に係る上記訂正事項1の「豆乳原液などの被濾過液体より液体分と固形分に分離する」に対応して、【発明の詳細な説明】における「他の機械的切削油」という記載を削除したもので、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

以上のとおり、本件訂正は、平成6年改正前特許法第134条第2項ただし書きに適合し、特許法第134条の2第5項において準用する平成6年改正前第126条第2項の規定に適合するので、本件訂正は適法な訂正であると認める。

第5.本件発明
上記「第4」のとおり、本件訂正は認められるので、本件の特許請求の範囲の請求項1及び2に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」、「本件発明2」という。)は、本件訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】濾カスに圧力を加えて前方に押し出しながら濾過を行う豆乳原液などの被濾過液体より液体分と固形分に分離するスクレーパ濾過システムであって、筒状ないし円錐状の所望の濾過孔を有するフィルタエレメントの排出口には固形分の搾汁効果を可変調節できる押圧弁を配設し、前記フィルタエレメント周面に沿って回転するスクリュ状羽根の外周端面全域に沿って、前記フィルタエレメントと摺接し、スクリュ状羽根の前後に隙間を開けずに設けたスクレーパ機構を設けて前記フィルタエレメントの周面に付着する濾カス固形分を引掻除去できるようにしてなることを特徴とするスクレーパ濾過システム。

【請求項2】スクレーパ機構は、フィルタエレメントの周面に対して弾性作用を以って摺接できるようにしてなることを特徴とする請求項1記載のスクレーパ濾過システム。」

第6.甲第1号証、甲第2号証の記載事項
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証(米国特許第4,041,854号公報)及び甲第2号証(特開昭60-247498号公報)には、それぞれ、以下の事項が記載されている。
(1)甲第1号証:米国特許第4,041,854号公報
(1a)「FIG. 1 shows a general system embodying the principles of the invention.
The system comprises a filter-dewatering-expression press 40 having a generally imperforate filtrate or liquid collection housing 41, a filter-dewatering structure 42, and a combination sludge compression and dewatered solids discharge screw conveyor 43.」(第5欄第54行-第60行)
(「図1は、本発明の原理を具体化するための全体システムを示している。
このシステムには濾過式脱水・圧搾機40が備わっており、この脱水・圧搾機には、一般に無孔の濾過水/液体収集ハウジング41と、濾過式脱水用構造体42と、汚泥圧搾・脱水ずみ固形物結合体の排出用スクリューコンベア43とがある。」:請求人による翻訳。以下(1b)-(1f)も同じ)

(1b)「The filter-dewatering structure 42 of the press 40 has a filter-dewatering medium 48 and preferably comprises an initial cylindrical portion 50, which includes a sludge input end 51 and an inlet connection 52.……The cylindrical portion 50 is followed by a frusto-conical portion 53, which in turn is followed by a smaller diameter terminal cylindrical portion 54, which includes a dewatered solids output opening 55. 」(第6欄第7行-第21行)
(「圧搾機40の濾過式脱水用構造体42には、濾過式脱水用媒体48があり、また、好ましくは始端側円筒状部分50が備わっていて、同部分には汚泥入力端部51と入口接続部52とが含まれている。……円筒状部分50の次には円錐台状部分53があり、この円錐台状部分の次にはさらに、より小径の終端側円筒状部分54があり、この終端側円筒状部分には脱水ずみ固形物出力開口55が含まれている。」)

(1c)「The filter-dewatering structure 42 disclosed in my earlier U.S. Pat No. 3,695,173 may be used, wherein the filter-dewatering medium 48 comprises a series of hoops or rings 56, 56a, and 56b that are separated and closely spaced from each other and are held rigidly together as a single unit (as by heli-arc welds) to a reinforcing frame 57. Annular spaces 58 between the filter-dewatering rings 56, 56a, 56b provide escape passages through which liquid or filtrate can be forced but are not wide enough to permit escape of the solids. The filter-dewatering hoops or rings 56, 56a, 56b may be various widths and may be held apart at various spaces 58 of separation, to provide various open areas.」(第6欄第21行-第34行)
(「出願人の先の米国特許第3,695,173号公報に開示された濾過式脱水用構造体42を使用することができ、ここで、濾過式脱水用媒体48には一組のフープあるいはリング56、56aおよび56bが備わっており、これらは、互いに隔てられ、かつ、近接して間隔をおいて配置されているとともに、単一ユニットとして(ヘリアーク溶接によって)強化フレーム57へ固定状に保持されている。濾過式脱水用リング56、56a、56bどうしの間の環状空間58によって、液体あるいは濾過水を通すことができるものの固形物の逃がしを可能にするほど広くはない逃がし通路がもたらされている。これらの濾過式脱水用のフープあるいはリング56、56a、56bは、さまざまな幅があってもよく、また、さまざまな開放区域をもたらすためにさまざまな間隔の空間58で離れて保持されていてもよい。」)

(1d)「Inlet pressure, when the pump 45 is utilized, raises the feed sludge above atmospheric, and along with the squeezing and pressing of the sludge which results during the conveyance and compression of the sludge through the filter-dewatering structure 42, a differential pressure is established between the sludge or other slurry within the structure 42 at a higher than atmospheric pressure and the filtrate collected from outside the structure 42 at less than atmospheric pressure, created by the vacuum pump 60. 」 (第6欄第61行-第7欄第2行)
(「ポンプ45が利用されるときには、入口圧力によって送給汚泥の圧力が大気圧よりも高くなり、また、濾過式脱水用構造体42を介する汚泥の搬送および圧縮の間に生じる汚泥の圧搾および圧締とともに、大気圧よりも高い圧力にある構造体42の内部における汚泥あるいは他のスラリーと、真空ポンプ60によって生成された大気圧よりも低い圧力にある構造体42の外側から収集された濾過水との間に、差圧が確立される。」)

(1e)「Filtrate or liquid associated with the sludge is forced or expelled through the open area defined by the annular spaces 58 between the filter-dewatering hoops or rings 56, 56a, 56b of the structure 42, and is collected outside the structure 42 by the filtrate housing 41. The solids are deposited or retained on the inner surface of the structure 42, and are conveyed through the structure 42 for further compression and dewatering, and they pass relatively dry out the dewatered solids output opening 55, conveyed by the sludge compression and dewatered solids discharge screw conveyor 43.」(第7欄第2行-第13行)
(「上記汚泥に関連した濾過水あるいは液体は、構造体42の濾過式脱水用のフープあるいはリング56、56a、56bどうしの間の環状空間58によって画定された開放区域を通して押し出されるか排出されて、濾過水ハウジング41によって構造体42の外側に収集される。これらの固形物は、構造体42の内側表面に堆積しあるいは保持されて、さらに別の圧縮および脱水のために構造体42を通して搬送され、また、それらは、比較的乾燥した状態で脱水ずみ固形物出力開口55を出て、汚泥圧搾・脱水ずみ固形物結合体の排出用スクリューコンベア43によって搬送される。」)

(1f)「The combination sludge compression and dewatered solids discharge screw conveyor 43 comprises a constant diameter central shaft 75 along its axis on which is mounted a spiral-helical blade or flight 76, conforming closely to the inner surface 74, of the filter-dewatering structure 42, providing a spiral-helical space or extrusion channel 77 defined by the space between the central shaft 75 and the inner surface 74 of the filter-dewatering structure 42 extending from the sludge input end 51 to the dewatered solids output opening 55. The blade or flight 76 may be of constant pitch or may have a variable pitch, as shown in FIG. 2, includes a feed portion 78, disposed within the sludge input end 51, a compression portion 79, and a dewatered solids discharge portion 80. The blade or flight 76 is continuous, or if desired, may be an interrupted helical or spiral flight arrangement.……A wearable replaceable leading edge or strip 82, such as Teflon, rubber, or plasticized polyvinyl chloride material, may be provided and attached to the screw conveyor blade or flight 76 as shown in FIG. 4. However, the structure of FIGS. 13-17 is preferred.」(第7欄第35行-第64行)
(「汚泥圧搾・脱水ずみ固形物結合体の排出用スクリューコンベア43には、一定直径の中心シャフト75が備わっており、このシャフト75には、その軸に沿ってその上に渦巻状-らせん状のブレードあるいはフライト76が取り付けられ、このブレードあるいはフライト76は、濾過式脱水用構造体42の内側表面74によく合致しており、中心シャフト75と、汚泥入力端部51から固形物出力開口55まで延びている濾過式脱水用構造体42の内側表面74との間の空間によって画定された渦巻状-らせん状の空間あるいは押出通路をもたらしている。このブレードあるいはフライト76は、一定のピッチのものでもよく、あるいは、図2に示されたようにさまざまなピッチを有していてもよく、汚泥入力端部51の内部に配置された送給部分78、圧縮部分79、および脱水ずみ固形物排出部分80を含んでいる。ブレードあるいはフライト76は、連続状のものであるが、または必要であれば、断続的ならせん状あるいは渦巻状のフライト構成であってもよい。
……テフロン、ゴム、あるいは軟質ポリ塩化ビニル材料のような装着可能な交換型の前縁あるいはストリップ82を用意して、図4に示されたように、スクリューコンベアのブレードあるいはフライト76へ取り付けることができる。しかしながら、図13?17の構造が好ましい。」)

(1g)「With the structure so far described there is a problem of plugging or blinding of the open area of the filter-dewatering press 40 or the annular spaces 58 between the filter-dewatering hoops or rings 56, 56a, 56b of the filter-dewatering structure 42, and interruption of continuous filtration-dewatering.
The present invention solves this problem, preferably by providing, as shown in FIGS. 13-17, a coil-spring wiping or cleaning blade 87. This blade 87 may be positioned on the outside edge of the blade 76 by a series of guides 88. There is continuous contact between the coil-spring blade 87 and the inside surface 74 of the filtering dewatering medium 48, due to the spring action or the expansion tendency of the blade 87. This continuous contact causes the wiping and thus the cleaning of solids from the inner surface 74.」(第8欄第19行-第35行)
(「これまでに説明された構造については、濾過式脱水用構造体42の濾過式脱水用のフープあるいはリング56、56a、56bどうしの間における濾過式脱水・圧搾機40の開放区域あるいは環状空間58の目詰まりあるいは目つぶしと、連続的濾過式脱水の中断という問題点がある。
本発明は、このような問題点を、好ましくは図13?17に示されたようなコイルばね式の拭き取り用あるいは清掃用ブレード87を設けることによって解消する。このブレード87は、一組のガイド88によってブレード76の外側端部に配置することができる。 ブレード87のばね作用あるいは拡張傾向によって、コイルばね式のブレード87と濾過式脱水用媒体48の内側表面74との間に連続状接触が存在している。この連続状接触によって、内側表面74からの固形物の拭き取りが、従って、清掃が行われる。」)

(1h)「As shown in FIGS. 13, 14 and 15, the blade 87 may be positioned by the short guide clips 88, which are attached to the screw conveyor flight 76 and allow compression and expansion of the blade 87. As the blade 87 wears, its spring action continues to assure good contact with the surface 74 and therefore good cleaning as the screw conveyor 43 rotates.
FIG. 16 shows an alternative structure, in which the blade 87 is positioned with a groove 89 of a helical blade 76a.
FIG. 17 shows an alternative spring blade structure. Here, a rubber or plasticized polyvinyl chloride or other plastic blade 98 contains a coil spring 99. The spring 99 provides the spring action or tendency to expand, while the plastic blade 98 does the actual wiping of the surface 74. 」(第8欄第62行-第9欄第9行)
(「図13、14および15に示されたように、ブレード87は短いガイドクリップ88によって配置することができるが、これらのガイドクリップ88は、スクリューコンベアのフライト76へ取り付けられて、ブレード87の圧縮および拡張を可能にする。ブレード87が装着されると、そのばね作用が引き続いて生じ、表面74との良好な接触が保証されるので、スクリューコンベア43が回転すると良好な清掃が保証される。
図16は代わりの構造体を示しており、その構造体では、ブレード87はらせん状ブレード76aの溝89に配置されている。
図17は代わりのばね式ブレード構造体を示している。ここで、ゴムまたは軟質ポリ塩化ビニルあるいは他のプラスチックからなるブレード98には、コイルばね99が含まれている。このばね99によって、ばね作用あるいは拡張の傾向がもたらされるが、プラスチックブレード98は表面74の実際の清掃を行う。」 )

(1i)FIG.1(「図1」)及びFIG.2(「図2」)には、濾過式脱水用媒体48において、始端側円筒状部分50-円錐台状部分53-終端側円筒状部分54を備えた濾過式脱水用構造体42に、始端側から終端側までフープあるいはリング56、56a、56bが所定の環状空間58が形成されるように、多数並列的に配置される様子が示され、また、FIG.2(「図2」)には、脱水用の孔を有さない中心シャフト75の上に、ブレードあるいはフライト76が取り付けられる様子が示されている。

(1j)FIG.14(「図14」)には、拭き取り用あるいは清掃用ブレード87が、濾過式脱水用媒体48の内側表面74に隙間無く連続的に接触している様子、すなわち、スクリュ状羽根の前後に隙間を開けずに設けられている様子が示されている。

(2)甲第2号証:特開昭60-247498号公報
(2a)「2.特許請求の範囲
1.前後に長い略密閉された機枠内に、後部に供給口、前部に排出口が夫々形成された前後に長い筒状ケーシングを配装し、後部から前部に至るに伴ない次第に大径となし、外周に螺旋状の送り羽根が突設された中空の筒状シャフトをケ-シングの前後方向で回転可能にしてケーシング内に支承すると共に、ケーシングに多数の水切孔を、シャフトに多数の脱水孔を夫々開穿しておき、供給された被処理物をケーシング前部に送る過程においてシャフト外周とケーシング内周との間で圧縮し、脱水させるようにしたことを特徴とする汚泥その他の脱水処理装置。」(第1頁左下欄第4行-第16行)

(2b)「本発明は汚泥その他の脱水処理装置に係り、公害処理施設においてのし尿処理場その他での汚泥、醸造施設においてのモロミ、食品製造施設においての水産物その他の加工食品、製紙製造施設においてのボード類等の含水繊維物その他の産業廃棄物の連続圧搾脱水を図れるようにした汚泥その他の脱水処理装置に関するものである。」(第1頁右下欄第6行-第12行)

(2c)「そこで、本発明にあたっては、如上の従来存した諸欠点に鑑み創出されたものであり、低速回転によるも、被処理物に対しての圧搾作用を付与することで含水繊維物から水分を確実に除去できるようにし、」(第2頁左上欄第5行-第9行)

(2d)「以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明すると次の通りである。
図において示される符号1はベースであり、このベース1上に、公害処理施設においてのし尿処理場、下水処理場、畜産糞尿処理場、更には工場等からの排水夾雑物その他の汚泥、醸造施設においてのビール、粕、モロミその他、食品製造施設においての食肉、水産物、果実等の加工食品、製紙製造施設においてのボード類、パイプ排水等の被処理物を脱水処理するためのケーシング20が内装された機枠10を支持してある。」(第2頁右上欄第11行-左下欄第1行)

(2e)「機枠10自体は前後に長く略密閉されており、必要に応じ、内部の点検、補修を行なうため上部は開放可能にしてある。そして、この機枠10に内装されるケーシング20はその後部に供給口21が、前部に排出口22が夫々形成された前後に長い筒状になっており、供給口21を機枠10の後部上方に向けた状態で、また排出口22を機枠10の前部に区画した貯留室16に向けた状態でケーシング20自体は前後方向を合致させて機枠10に配装される。」(第2頁左下欄第2行-第11行)

(2f)「ケーシング20内には、供給口21から投入、供給される被処理物を排出口22がわへ送りながらこれを圧搾させる中空の筒状シャフト30がケーシング20の前後方向に沿って回転可能にしてケーシング内に支承されている。すなわち、シャフト30自体は、後部から前部に至るに伴ない次第に大径となし、外周に螺旋状の送り羽根31が突設されていると共に、機枠10後部端及び前部端夫々に設けた軸受13によって支承され、例えば、図示の如く、機枠10後部側方に配置したモーター11の駆動力を適宜なプーリー等による減速機構12を介して回転させるものとしてある。シャフト30の回転は、1分間に5?6回程度の極めて低速で回転されるようになっており、その際、シャフト30の回転駆動源はシャフト30の大径がわから、すなわち、前部において行なうこととするのが駆動効率の向上を図る上には望ましい。このようにして、シャフト30の回転によって被処理物は後部の供給口21においての広い空間容積部位から前部の排出口22においての狭い空間容積部位へ送り込まれ、シャフト30外周とケーシング20内周との間で圧縮される。」(第2頁左下欄第12行-右下欄第13行)

(2g)「そして、ケーシング20には、被処理物の固形粒に比し小さい多数の小径な水切孔23が後部から前部へ至るに伴ない次第に大径なものとなるようにして、またシャフト30には同じく被処理物の固形粒に比し小さい多数の脱水孔32が夫々穿設されており、前述のように圧縮された被処理物から絞出される水分をシャフト30内及びケーシング20外へ浸出させるものとしてある。ケーシング20外へ浸出された水分は、ケーシング20下方に配置された機枠10内のドレン14に落下し、排液口15へ案内されて外部に排出される。」(第2頁右下欄第14行-第3頁左上欄第4行)

(2h)「図中24は搾り機構であり、図示のように、シャフト30前端に外嵌固定したドーナツ状固定部25とケーシング20前端開口である前記排出口22を略閉塞するドーナツ円錐状押圧盤27との間に押圧スプリング26を介在して成り、押圧スプリング26の排出口22がわへの押圧力を変更することで圧縮されて半ば固形化される被処理物に対しての貯留室16がわへの排出を規制し、被処理物の含水率すなわち脱水率の調整を可能とする。」(第3頁左上欄第14行-右上欄第3行)

(2i)「また、17はケーシング20上方で前後方向に配された洗浄管で適宜の圧力を付与した洗浄水をケーシング20外部に噴射させることでケーシング20における水切孔23の目詰りを防止するものであり、」(第3頁右上欄第4行-第8行)

(2j)「また、ケーシング20には多数の水切孔23が、シャフト30には多数の脱水孔32が夫々開穿されており、送る過程において圧搾されるとき絞り出された水分がこれらの水切孔23、脱水孔32から浸出されることで被処理物中の水分は除去されるのであり、」(第3頁右下欄第11行-第16行)

(2k)「更に、ケーシング20自体は後部、前部において同径とするも、また、前部において内部空間を狭くするためシャフト30が次第に大径となるも、送り羽根31外径は後部、前部において全く同径でよいから、ケーシング20内で回転されるシャフト30の送り羽根31外縁とケーシング20内周面とはいずれの部位でも密接状のものとすることができ、被処理物の前方への送り込みを確実にする。」(第3頁右下欄第19行-第4頁左上欄第7行)

第7.対比・判断
1.甲第1号証を主引例とした場合
(1)甲第1号証に記載された発明
上記記載事項(1a)によれば、汚泥の濾過式脱水システムであり、該システムは、濾過式脱水・圧搾機40を備え、この濾過式脱水・圧搾機40は、濾過式脱水用構造体42と、汚泥圧搾・脱水済みの固形物結合体の排出用スクリューコンベア43を備えていることが示され、同(1b)によれば、該濾過式脱水用構造体42には、濾過式脱水用媒体48があり、該濾過式脱水用媒体48は、始端側円筒状部分50の汚泥入力端部51と終端側円筒状部分54の脱水ずみ固形物出力開口55を含み、また、同(1d)によれば、濾過式脱水用構造体42を介する汚泥の搬送及び圧縮とともに、該構造体42内部の大気圧よりも高い圧力にある汚泥と、大気圧よりも低い圧力にある外側から収集される濾過水との間に差圧が確立されること、すなわち、被脱水汚泥に圧力を加えて終端側に押し出しながら濾過を行うものである。
よって、「汚泥圧搾・脱水済みの固形物結合体に圧力を加えて終端側に押し出しながら濾過を行う汚泥より水分と固形分とに分離する濾過システム」が記載されている。

上記記載事項(1c)、(1e)、(1i)によれば、濾過式脱水用媒体48は、始端側円筒状部分50-円錐台状部分53-終端側円筒状部分54を備えた濾過式脱水用構造体42に、始端側から終端側に向けてフープあるいはリング56、56a、56bを所定の環状空間58が形成されるように、多数並列的に配置することにより、該環状空間58により液体あるいは濾過水を通すことができるものの固形物の逃がしを可能にするほどは広くない逃がし通路が形成され、濾過水の排出が行われる。
また、同(1f)によれば、汚泥圧搾・脱水済みの固形物結合体の排出用スクリューコンベア43の渦巻状-らせん状のブレードあるいはフライト76は、濾過式脱水用媒体48の内側表面74に合致したものであり、該渦巻状-らせん状のブレードあるいはフライト76は、汚泥入力端部51から固形分出力開口55まで連続的に形成されており、同(1g),(1j)によれば、該渦巻状-らせん状のブレードあるいはフライト76の外側端部の全域に沿って、コイルばね式の拭き取り用あるいは清掃用ブレード87が配置され、該ブレード87は、濾過式脱水用媒体48の内側表面74に連続的に接触し、ブレードあるいはフライト76の前後に隙間を開けないようになっており、同(1g)、(1h)によれば、それによって、前記濾過式脱水用媒体48の内側表面74からの固形物の拭き取り、清掃が行われる。
よって、「円筒状部分および円錐台状部分を有し、環状空間58により形成される液体あるいは濾過水を通すことができるものの固形物の逃がし可能にするほどは広くない逃がし通路を有する濾過式脱水用媒体48の内側表面74に沿って回転する渦巻状-らせん状のブレードあるいはフライト76の外側端部全域に沿って、前記濾過式脱水用媒体48と接触し、ブレードあるいはフライト76の前後に隙間を開けずに設けたコイルばね式の拭き取り用あるいは清掃用ブレード87により、前記濾過式脱水用媒体48の内側表面74に保持される固形物を拭き取るあるいは清掃できること」が記載されている。

これらをまとめると、甲第1号証には、
「汚泥圧搾・脱水済みの固形物結合体に圧力を加えて終端方向に押し出しながら濾過を行う汚泥より液体分と固形分に分離するスクレーパ濾過システムであって、円筒状部分および円錐台状部分を有し、環状空間58により形成される液体あるいは濾過水を通すことができるものの固形物の逃がし可能にするほどは広くない逃がし通路を有する濾過式脱水用媒体48の内側表面74に沿って回転する渦巻状-らせん状のブレードあるいはフライト76の外側端部全域に沿って、前記濾過式脱水用媒体48と摺接し、ブレードあるいはフライト76の前後に隙間を開けずに設けたコイルばね式の拭き取り用あるいは清掃用ブレード87を設けて前記濾過式脱水用媒体48の内側表面74に保持される固形物を拭き取ることができるようにしてなる濾過システム。」の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。

(2)本件発明1と甲1発明との対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明における「汚泥圧搾・脱水済みの固形物結合体」、「終端方向」、「円筒状部分および円錐台状部分を有し、」、「環状空間により形成される液体あるいは濾過水を通すことができるものの固形物の逃がし可能にするほどは広くない逃がし通路」、「濾過式脱水用媒体48」、「内側表面74」、「渦巻状-らせん状のブレードあるいはフライト76」、「外側端部」、「コイルばね式の拭き取り用あるいは清掃用ブレード87」、「固形物」、「拭き取ることができるようにしてなる濾過システム」は、それぞれ、本件発明1の「濾カス」、「前方」、「筒状ないし円錐状の」、「所望の濾過孔」、「フィルタエレメント」、「周面」、「スクリュ状羽根」、「外周端面」、「スクレーパ機構」、「濾カス固形分」、「引掻除去できるようにしてなるスクレーパ濾過システム」に相当する。
また、甲1発明における「汚泥」は、被濾過処理物である点で、本件発明1の「豆乳原液などの被濾過液体」に相当する。

よって、両者は、
「濾カスに圧力を加えて前方に押し出しながら濾過を行う被濾過処理物より液体分と固形分に分離するスクレーパ濾過システムであって、筒状ないし円錐状の所望の濾過孔を有するフィルタエレメント周面に沿って回転するスクリュ状羽根の外周端面全域に沿って、前記フィルタエレメントと摺接し、スクリュ状羽根の前後に隙間を空けずに設けたスクレーパ機構を設けて前記フィルタエレメントの周面に付着する濾カス固形分を引掻除去できるようにしてなるスクレーパ濾過システム。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
被濾過処理物が、本件発明1では、「豆乳原液などの被濾過液体」であるのに対して、甲1発明では、「汚泥」である点。

(相違点2)
本件発明1では、「フィルタエレメントの排出口には固形分の搾汁効果を可変調節できる押圧弁を配設」するのに対して、甲1発明では、そのような押圧弁を有しない点。

(3)相違点についての検討
以下、上記の相違点1、2について検討する。
ア.相違点1について
本件特許請求の範囲の請求項1には、「豆乳原液など」という例示的表現により「被濾過液体」が特定されているから、「豆乳原液などの被濾過液体」は、「豆乳原液」に限定されるものではない。
本件訂正明細書の【発明の詳細な説明】には、被濾過処理物に関して、「この発明は、特に粘度の高い流体の濾過に好適なスクレーパ濾過システムに関する。」(第1頁第16行-第17行)、「一般に粘度の高い豆乳原液などの濾過」(第1頁第20行)、「この種の豆乳原液は、粘着性、附着性の高い固形分を含有しているので、」(第4頁第26行)、「豆乳原液より豆乳とオカラとの分離が能率よく行うことができるなど、各種食品用として固液分離など広く利用できる。」(第6頁第4行-第5行)等の記載がある。これらの記載においても、「豆乳原液などの濾過」、「各種食品用として固液分離など広く利用できる」のように、「豆乳原液」や「食品用」に対しては「など」の記載が付されており、本件訂正明細書に記載された「豆乳原液」や「食品用」は、上記「被濾過液体」として例示された被濾過処理物にとどまる。
よって、本件発明1の「被濾過液体」を「豆乳原液」や「食品用」に限定して解することはできない。
さらに、本件訂正明細書に記載された「特に粘度の高い流体の濾過」、「一般に粘度の高い豆乳原液などの濾過」、「粘着性、附着性の高い固形分を含有している」によると、本件発明1の「被濾過液体」は、粘度の高い流体を被濾過処理物として包含するものである。
他方、甲1発明における被濾過処理物の「汚泥」については、通常、「汚泥」が「きたない泥」を意味し、「泥」が「水がまじって軟らかくなった土」(広辞苑第5版)を意味するところ、甲1発明の濾過システムも、このような「汚泥」を被濾過処理物とするものであって、当該「汚泥」は、その性状からして、粘度の高い流体であることは明らかである。
そうすると、甲1発明の「汚泥」は、被濾過処理物として、本件発明1の「被濾過液体」に包含される流体に相当するから、相違点1は、実質的な相違点ではない。

イ.相違点2について
甲第2号証には、上記記載事項(2a)、(2b)、(2d)、(2h)によれば、「公害処理施設においてのし尿処理場、下水処理場、畜産糞尿処理場、更には工場等からの排水夾雑物その他の汚泥、醸造施設においてのビール、粕、モロミその他、食品製造施設においての食肉、水産物、果実等の加工食品、製紙製造施設においてのボード類、パイプ排水等」(記載事項(2d))の脱水処理をする脱水システムにおいて、「ケーシング前端開口である前記排出口22を略閉塞するドーナツ円錐状押圧盤27との間に押圧スプリング26を介在して成り、押圧スプリング26の排出口22がわへの押圧力を変更することで圧縮されて半ば固形化される被処理物に対しての貯留室16がわへの排出を規制し、被処理物の含水率すなわち脱水率の調整を可能とする」(記載事項(2h))ことが記載されている。
すなわち、甲第2号証には、ケーシング20の後部から被処理物を供給し、螺旋状の送り羽根31を回転させて被処理物をケーシング前部の排出口22に送る過程において圧縮、脱水を行う脱水処理装置が記載され(記載事項(2a)、(2e)-(2g))、被処理物として、「公害処理施設においてのし尿処理場、下水処理場、・・・その他の汚泥」等を使用すること(記載事項(2b)、(2d))、排出口22に送られてきた被処理物をさらに絞るために、排出口22側を押圧する「ドーナツ円錐状押圧盤27」を設けて、「排出を規制し、被処理物の含水率すなわち脱水率の調整を可能とする」ことが記載されている(記載事項(2h))。
また、甲第2号証における「押圧盤27」は、「搾り機構」として、「半ば固形化される被処理物の含水率すなわち脱水率の調整を可能とする」(上記記載事項(2g))ものであり、作用の点で、本件発明1に係る押圧弁の「搾汁効果の可変調節ができる」ことと共通するものであるから、甲第2号証における「半ば固形化される被処理物の含水率すなわち脱水率の調整を可能とする押圧盤27」は、本件発明1の「固形分の搾汁効果を可変調節できる押圧弁」に相当する。
そうすると、汚泥を被濾過処理物とする甲1発明は、甲第2号証記載の脱水処理装置と同様に、回転するブレードまたはフライト76により被処理物を脱水しながら出力開口55に送る濾過式脱水用構造体42から構成されたものであるから、汚泥の液体分と固形分を分離して排出するに際して、さらに液体分を排除するために、甲第2号証に記載された「被処理物の含水率すなわち脱水率を調整するための押圧盤」を適用し、相違点2に係る「搾汁効果を可変調節できる押圧弁」の構成とすることは、当業者が容易に採用し得た手段である。

そして、本件発明1が、甲第1号証及び甲第2号証の記載から予測し得ない格別の効果を奏するものとは認められない。
よって、本件発明1は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含むとともに、さらに、「スクレーパ機構は、フィルタエレメントの周面に対して弾性作用を以て摺接できるようにしてなること」を特定事項とするものである。
上記(1)のとおり、甲1発明におけるスクレーパ機構は、ブレードあるいはフライト76の外側端部全域に沿ってコイルばね式の拭き取り用あるいは清掃用ブレード87が設けられており、該コイルばね式の拭き取り用あるいは清掃用ブレード87が濾過式脱水用媒体48の内側表面74に対してばね作用をもって摺接されるものであるから、フィルタエレメントの周面に対して弾性作用を以て摺接できる点で、上記の特定事項は、本件発明1と甲1発明との相違点にはならない。
そうすると、本件発明2は、本件発明1について上記(1)?(3)で述べた理由と同様に、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)被請求人の主張について
ア.被請求人は、平成23年9月15日付け口頭審理陳述要領書において、本件発明1、2と甲第1号証に記載された発明は、以下の点で相違する旨の主張をしている。

「(I-1)濾過対象物について
本件発明1及び本件発明2の濾過対象物は、豆乳原液などの人間の食用を対象とする食品用の被濾過液体であるのに対し、甲第1号証の濾過対象物は、下水を流れる汚泥などの被濾過液体であるので、両者の濾過対象物は異なる。
特に、本件発明1及び本件発明2は、衛生管理を必要要件とする食品用の被濾過液体であるのに対し、甲第1号証では、衛生管理を不必要とする汚泥物の固液分離を不可欠としており、両者の濾過対象物は根本的に相違する。
従って、両者の濾過対象物には一致点となり得る構成は認められない。」(口頭審理陳述要領書第6頁第9行-第16行)

「(I-2)濾過システムの構成について
……
(相違点)
(丸1)(審決注:丸数字の「1」を「丸1」のように表示した。以下同様である。)
甲第1号証は、スクリュの外周面にナイフ状のブレード100を設けてスクリーンに設けた濾過孔に相当する環状空間58に常時挿通させてあり、スクリーン(審決注:「スクリュ」の誤記)の回転作用で被処理流体を移行させる過程で、前記環状空間58に滞留して目詰まりした固形分を除去させており、その結果、濾過孔に相当する環状空間58からは、液体分と少量の固形分を含んでいるに対し、本件発明1及び本件発明2には斯かる構成を具備していないので濾過されるものは、液体分だけであり、固形分は含まれないので、明らかに不一致点であると認められる。

(丸2)甲第1号証は、スクリュの回転作用で被濾過流体を投入口より排出口に向けて移送させる過程で、始動時には排出口を始動キャップ72で数秒間塞ぎ、充分に蓄積した後には取り外されて濾過された固形物が取り出される構成を備えるが、本件発明1及び本件発明2では、スクリュの排出口には常時押圧弁17が配設され固形分取出機構を構成し、移送中の濾カス(被濾過流体)と対抗し、取り出される固形分の搾汁効果を可変調節できるようになっており、明らかに両者の構成は明確に相違している。

(丸3)本件発明1及び本件発明2は、前記(丸2)の構成の相違に加えて、スクリュ(審決注:「スクリーン」の誤記)の内周面を摺接するスクレーパ片の前後の圧力の漏れがない構成によりスクリュ(審決注:「スクリーン」の誤記)の排出口に設けた押圧弁17との濾カス移送中の圧力漏れのない構成により押圧弁17との圧力の対抗作用により好みの搾汁効果を与えることができるのに対し、甲第1号証の構成では本件発明1及び本件発明2との共通するスクレーパ片を備えていても、単にスクリュ内周面に付着する固形分を除去する働きのみであり、始動キャップ72との間で対抗する搾汁作用を促進し、絞り効果を高めるという機能を備えておらず、明らかに本件発明1及び本件発明2との機能上の相違は明白である。

(丸4)本件発明1及び本件発明2は、エレメントに摺接するスクレーパ片のみによって、エレメントの濾過孔を通して液体分のみを有効に抽出し、併せてスクリュの回転力により濾カス(濾過流体)に加えられる圧力がエレメントの排出口に配設される押圧弁17と対向し、絞り効果が大きく、濾過効果を高めているのに対し、甲第1号証ではスクレーパ片のみでなく、目詰まりを強制的に取り除くためのナイフ状のブレード100を不可欠の構成としており、明らかに両者は機能的に明確に相違している。
本件発明1及び本件発明2は、濾過孔に貯溜される目詰まり固形物に対しては、専らスクレーパ片によるスクリュ内周面に付着する固形分を摺接して取り除くことにより、目詰まりの発生を防止しており、目詰まりに基づく微少な固形分が濾過される液体分と混合して抽出されるという不都合を生じないように対応しているのに対し、甲第1号証では目詰まり分はスクレーパ片でなく、ナイフ状のブレード100によって強制的に取り除いており、両者の機能的相違は明白である。

(丸5)甲第1号証には、スクリュには、軸に設けた空気、水などの流体を流通できる管路と連通した分配管96があり、この分配管の端部に清掃用ノズル90が開口してあり、エレメントに設けた濾過孔に相当する環状空間58に力強いひと吹きを働かせて、環状空間28(審決注:「58」の誤記)の目詰まりを吹き飛ばして清掃でき、開放された状態に維持できる構成を備えているが、本件発明1及び本件発明2に斯かる構成を備えておらず、明らかに本件発明1及び本件発明2は、第1号証の発明とは相違している。

(丸6)甲第1号証では、被濾過液体が下水などの汚泥物であるため、濾過する前処理として汚泥の状態調整を化学的処理する汚泥状態調整用タンク44での事前処理を必要不可欠としているが、本件発明1及び本件発明2ではこのような事前処理は不必要であるので、明確なシステムの相違であると認められる。」(口頭審理陳述要領書第6頁第17行-第8頁第27行)

イ.上記「(I-1)濾過対象物について」の主張について
被請求人は、本件発明1及び本件発明2の濾過対象物は、豆乳原液などの人間の食用を対象とする食品用の被濾過液体であるのに対し、甲第1号証の濾過対象物は、下水を流れる汚泥などの被濾過液体であるので、両者の濾過対象物は異なる旨主張する。
しかしながら、被請求人の主張する「濾過対象物」とは、「被濾過処理物」を意味するところ、被濾過処理物に関して、本件訂正明細書の特許請求の範囲には、「食品用」との記載はなく、また、上記(3)アのとおり、本件訂正明細書の【発明の詳細な説明】の記載をみても、「食品用」のみに限定されるとは認められないから、両者の発明の被濾過処理物において実質的に差異はない。

ウ.上記「(I-2)濾過システムの構成について」の主張について
(ア)(丸1)、(丸4)、(丸5)の主張について
被請求人は、甲第1号証は、スクリュの外周面にナイフ状のブレード100を設けてスクリーンに設けた濾過孔に相当する環状空間58に常時挿通させてあり、スクリュには、軸に設けた空気、水などの流体を流通できる管路と連通した分配管96があり、この分配間の端部に清掃用ノズル90が開口してあるのに対し、本件発明1及び本件発明2においては、斯かる構成を具備していない点において、両者は相違する旨主張する。
しかしながら、甲1発明は、拭き取り用あるいは清掃用ブレード87を有する濾過システムであるところ、甲第1号証においては、「The blade 87 or 98, the nozzles 90 and the blades 100, may, however, be utilized independently. 」(第9欄第66行-第68行)(「しかしながら、ブレード87あるいは98、ノズル90およびブレード100は独立して利用することができる。」)と記載されるとおり、甲第1号証に記載された濾過式脱水用構造体は、拭き取り用あるいは清掃用ブレード87あるいは98、清掃用ノズル90、ナイフ状のブレード100をそれぞれ別個の手段として使用できるものであり、これら3つの手段を併用した装置に限定されるものではない。すなわち、甲第1号証には、ノズル90及びナイフ状のブレード100を用いることなく、拭き取り用あるいは清掃用ブレード87あるいは98を設けた甲1発明が開示されているから、被請求人が主張するナイフ状のブレード100及び清掃用ノズル90に関する事項は相違点とはならない。

(イ)(丸2)の主張について
被請求人は、甲第1号証は、始動時には排出口を始動キャップ72で数秒塞ぎ、充分に蓄積した後には取り外されるのに対し、本件発明1及び本件発明2では、スクリュの排出口には常時押圧弁17が配設され固形分取出機構を構成し、移送中の濾カス(被濾過流体)と対抗し、取り出される固形分の搾汁効果を可変調節できるようになっている点で相違すると主張する。
しかしながら、甲第1号証においては、「For initial startup of the filter-dewatering press 40, a startup cap 72 is preferably utilized to plug temporarily the normally open dewatered solids output opening 55 of the terminal cylindrical portion 54 of the structure 42. 」(第6欄第48行-第52行)(「濾過式脱水・圧搾機40の最初の始動のために、好ましくは始動キャップ72を利用して、構造体42の終端側円筒状部分54の、通常は開放された脱水ずみ固形物出力開口55を一時的に塞ぐ。」)と記載されるとおり、始動キャップの利用は、「好ましくは」とされるように必須の手段ではない。また、「押圧弁」を有しないことについては、上記(3)のとおり、相違点2として、検討している。

(ウ)(丸3)の主張について
被請求人は、本件発明1及び本件発明2は、(丸2)の相違点に加え、スクリーンの内周面を摺接するスクレーパ片の前後の圧力の漏れがない構成により、押圧弁17との圧力の対抗作用により、好みの搾汁効果を与えることができるのに対し、甲第1号証のスクレーパ片は、単にスクリーン内周面に付着する固形分を除去する働きのみであり、始動キャップ72との間で対抗する搾汁作用を促進し、絞り効果を高めるという機能を備えておらず、機能上の相違がある旨主張する。
しかしながら、上記(1)で述べたように、甲1発明は、「ブレードあるいはフライト76の外側端部全域に沿って、前記濾過式脱水用媒体48と摺接し、ブレードあるいはフライトの前後に隙間を開けずに設けたコイルばね式の拭き取り用あるいは清掃用ブレード87を設け」るものであるのに対し、本件発明1、2も、「スクリュ状羽根の前後に隙間がないので加圧力の漏れを生じることなく、順次と前方に送出移送される」(本件訂正明細書第4頁末行-第5頁第1行)ものであることから、甲1発明と本件発明1、2とは、圧力の漏れがない点において相違しない。
また、上記(イ)のとおり、甲第1号証に記載された濾過システムは、始動キャップ72の利用を必須の手段とするものではなく、また、「押圧弁」を設けて搾汁作用を高めることについては、上記(3)において、相違点2として、検討している。

(エ)(丸6)の主張について
被請求人は、甲第1号証においては、汚泥状態調整用タンク44での事前処理が不可欠であるのに対し、本件発明1及び本件発明2では、事前処理は不必要であり、明確なシステムの相違である旨主張する。
しかしながら、本件発明1、2の濾過システムに供給される被濾過処理物としては、「豆乳原液などの被濾過液体」と特定されるだけであって、また、当該被濾過液体が事前処理を必要としないことは、本件訂正明細書にも記載されていない事項である。
そうすると、被濾過処理物の事前処理を行うかどうかは、本件発明1、2の濾過システムそのものの構成に関係しない事項というべきであり、事前処理の有無は、相違点ではない。

エ.よって、上記アの被請求人の主張は、いずれも採用することができない。

2.甲第2号証を主引例とした場合
(1)甲第2号証に記載された発明
甲第2号証には、上記記載事項(2a)、(2b)、(2d)によれば、ケーシング後部から供給された被処理物をスクリュ状羽根によりケーシング前部に送りながら脱水を行う脱水処理装置が記載されており(記載事項(2a))、被処理物として、「公害処理施設において・・・汚泥」、「醸造施設においてのビール、粕、モロミその他」、「食品製造施設においての食肉、水産物、果実等の加工食品」、「製紙製造施設においてのボード類、パイプ排水」等を対象とすることが記載されている(記載事項(2b)、(2d))。

そして、上記記載事項(2e)?(2i)、(2k)によると、該脱水処理装置は、筒状のケーシング20を有すること(記載事項(2e))、該筒状のケーシング20内には、ケーシング20の前後方向に沿って回転可能にして支承される中空の筒状シャフト30、及びケーシング20内周面に沿って密接状に回転する送り羽根31が設けられること(記載事項(2f)、(2k))、該筒状のケーシング20には、多数の水切孔23が、また、該中空の筒状シャフト30には、多数の脱水孔32がそれぞれ穿設されること(記載事項(2g))が記載されている。
また、該ケーシング20の排出口には半ば固形化される被処理物の含水率すなわち脱水率の調整を可能とする押圧盤27を配設すること(記載事項(2h))、該ケーシングの上方に配された洗浄管より洗浄水をケーシング20外部に噴射させ、水切孔23の目詰りを防止すること(記載事項(2i))も記載されている。

上記記載事項をまとめると、甲第2号証には、
「公害処理施設における汚泥、醸造施設におけるビール、粕、モロミその他、食品製造施設における果実等の加工食品等の被処理物の固形分をスクリュ状羽根により前部に送りながら脱水を行い、被処理物より水分と固形分とに分離する脱水処理装置であって、筒状の多数の水切孔23を有するケーシング20の排出口には半ば固形化される被処理物の含水率すなわち脱水率の調整を可能とする押圧盤27を配設し、ケーシング20内に前後方向で回転可能にして支承され、多数の脱水孔32が形成される中空の筒状シャフト30、及びケーシング内周面に沿って密接状に回転する送り羽根31が設けられ、ケーシングの上方に配された洗浄管より洗浄水をケーシング20外部に噴射させ、水切孔23の目詰りを防止するようにしてなる脱水処理装置。」(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。

(2)対比
本件発明1と甲2発明とを対比する。
甲2発明における「脱水を行い、被処理物より水分と固形分とに分離する脱水処理」は、濾過による固液分離処理に該当するから、甲2発明における「被処理物の固形分」、「スクリュ状羽根により前部に送りながら」、「脱水」、「水分」、「脱水処理装置」、「ケーシング20」、「多数の水切孔23」、「ケーシング20内周面に沿って密接状に回転する送り羽根31」は、それぞれ、本件発明1における「濾カス」、「圧力を加えて前部に押し出しながら」、「濾過」、「液体分」、「濾過システム」、「フィルタエレメント」、「所望の濾過孔」、「フィルタエレメント周面に沿って回転するスクリュ状羽根」に相当する。
本件発明1における「豆乳原液などの被濾過液体」の「豆乳原液など」は例示にとどまることは、上記1.(3)アで述べたとおりであり、「豆乳原液」が「加工食品」に該当することも明らかである。よって、甲2発明における「公害処理施設における汚泥、醸造施設におけるビール、粕、モロミその他、食品製造施設における果実等の加工食品等の被処理物」は、本件発明1における「豆乳原液などの被濾過液体」に相当する。
また、甲2発明における「押圧盤27」は、「搾り機構」として、「半ば固形化される被処理物の含水率すなわち脱水率の調整を可能とする」(上記記載事項(2g))ものであり、作用の点で、本件発明1に係る押圧弁の「搾汁効果の可変調節ができる」ことと共通するものであるから、甲2発明における「半ば固形化される被処理物の含水率すなわち脱水率の調整を可能とする押圧盤27」は、本件発明1の「固形分の搾汁効果を可変調節できる押圧弁」に相当する。
さらに、本件発明1における「スクリュ状羽根の外周端面全域に沿って、前記フィルタエレメントと摺接し、スクリュ状羽根の前後に隙間を開けずに設けたスクレーパ機構を設けて前記フィルタエレメントの周面に付着する濾カス固形分を引掻除去できるようにしてなる」ものは、本件訂正明細書の「この種の豆乳原液は、粘着性、附着性の高い固形分を含有しているので、スリット孔5を直ちに塞ぎ所謂、目詰りを生じ易いがスクリュ状羽根12端面には、柱などの邪魔物がなくスクレーパ機構20備えているので、目詰り濾カス分はスクレーパ片19によって直ちに剥離され、」(第4頁第26行-第29行)の記載のとおり、フィルタエレメントにおける濾過孔であるスリット孔5の目詰りを防止する手段である。

よって、両者は、
「濾カスに圧力を加えて前方に押し出しながら濾過を行う豆乳原液などの被濾過液体より液体分と固形分に分離する濾過システムであって、筒状の所望の濾過孔を有するフィルタエレメントの排出口には固形分の搾汁効果を可変調節できる押圧弁を配設し、前記フィルタエレメント周面に沿って回転するスクリュ状羽根、及びフィルタエレメントの濾過孔の目詰りを防止する手段を有する濾過システム。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点3)
本件発明1では、フィルタエレメントの濾過孔の目詰りを防止する手段が、「スクリュ状羽根の外周端面全域に沿って、前記フィルタエレメントと摺接し、スクリュ状羽根の前後に隙間を開けずに設けたスクレーパ機構を設けて前記フィルタエレメントの周面に付着する濾カス固形分を引掻除去できるようにしてなる」スクレーパ濾過システムであるのに対して、甲2発明では、フィルタエレメントの濾過孔の目詰りを防止する手段が、「ケーシング20の上方に配された洗浄管より洗浄水をケーシング20外部に噴射させ、水切孔の目詰まりを防止するようにしてなる」濾過システムである点。

(相違点4)
本件発明1では、フィルタエレメントに濾過孔を有するのに対して、甲2発明では、フィルタエレメントに濾過孔である水切孔を有する他に、シャフトにも脱水孔が設けられている点。

(3)相違点についての検討
上記の相違点3、4について検討する。
ア.相違点3について
甲2発明における濾過システムは、「ケーシング内周面に沿って密接状に回転する送り羽根31が設けられ」、被処理物として汚泥等を対象とするものであり、洗浄水の噴射により、フィルタエレメントの水切孔の目詰りを防止しているところ、かかるフィルタエレメントの目詰り防止手段としては、甲第1号証において、上記記載事項(1g)のとおり、スクリュ状羽根(ブレード76)の外側端部に「拭き取り用あるいは清掃用ブレード78」を設けて、汚泥濾過用のフィルタエレメント内側表面と連続的に接触することにより該内側表面の固形物を拭き取って清掃する手段が記載されている。
そうすると、甲2発明における水切孔の目詰り防止手段として、洗浄水の噴射による手段に代えて、甲第1号証記載の清掃用ブレードによる引掻手段を適用し、「スクリュ状羽根の外周端面全域に沿って、前記フィルタエレメントと摺接し、スクリュ状羽根の前後に隙間を開けずに設けたスクレーパ機構」を有するスクレーパ濾過システムとすることは、当業者が容易になし得た設計事項である。

イ.相違点4について
濾過装置の場合、フィルタエレメントに排水用の孔を設けることは当然の構成である。それに対し、甲2発明の濾過システムが、フィルタエレメントのケーシングに水切孔を有することに加えて、回転するシャフトにも脱水孔を有するのは、甲第2号証の上記記載事項(2c)、(2j)のとおり、被処理物に対して圧搾作用を付与することで「水分を確実に除去する」、「送る過程において圧搾されるとき絞り出された水分がこれらの水切孔23、脱水孔32から浸出されることで被処理物中の水分は除去される」としているように、被処理物の周囲に排水箇所を多く設けることで水分を確実に除去することにあると考えられる。
しかるに、甲第1号証(上記記載事項(1f)、(1i))に記載されるように、スクリュ状羽根により圧搾脱水する濾過システムにおいて、フィルタエレメントに濾過孔を有する一方で、シャフトには脱水孔を設けていない排水手段は、知られた装置構成である。
そうすると、甲2発明における排水手段を、シャフトに脱水孔を設けることなく、フィルタエレメントの水切孔を有する構成とすることは、被処理物より分離される液体分の除去効率に応じて当業者が適宜なし得る設計的事項である。

ウ.そして、本件発明1が、甲第1号証及び甲第2号証の記載から予測し得ない格別の効果を奏するものとも認められない。
したがって、本件発明1は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項に加え、さらに、「スクレーパ機構は、フィルタエレメントの摺面に対して弾性作用を以て摺接できるようにしてなる」ことを、発明特定事項とするものである。
上記記載事項(1g)、(1h)のとおり、甲第1号証に記載のスクレーパ機構は、ブレードあるいはフライト76の外側端部全域に沿ってコイルばね式の拭き取り用あるいは清掃用ブレード87が設けられており、該コイルばね式の拭き取り用あるいは清掃用ブレード87が濾過式脱水用媒体48の内側表面74に対してばね作用をもって摺接されるものであるから、フィルタエレメントの周面に対して弾性作用を以て摺接できる点で、本件発明2と共通する。
そうすると、本件発明2は、本件発明1について上記(1)?(3)で述べた理由と同様に、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)被請求人の主張について
ア.被請求人は、平成23年10月24日付け上申書において、本件発明1、2と甲2発明との間には、以下(d)?(f)の相違点もある旨主張をしている。
「(d)フィルタエレメントの濾過孔からの液体分の除去については、本件訂正発明1,2は、スクレーパ機構を備えたスクリュ羽根によりフィルタエレメントの全内周を摺接して圧力の損失を防いでスクリュ羽根を回転させて被濾過流体を移送させ、フィルタエレメントの排出口に設けた押圧弁との間で被濾過流体を圧縮して得られる液体分を排出させるようにしているのに対し、甲第2号証の発明では、主としてスクリュ羽根を設けたシャフトの径を後部から前部にかけて次第に大径としてあることにより、シャフトをケーシングの前後部で回転可能にして被濾過流体を送る過程でシャフト外周とフィルタエレメント(ケーシング)内周との間で圧縮してシャフトの水切孔及びケーシングの水切孔より脱水させており、かつ残りの水分は排出口に設けた押圧弁との圧縮作用で絞り出しており、両者の被濾過流体の圧縮脱水処理方法を異にしている点。
(e)押圧弁について、本件訂正発明1,2では、フィルタエレメントの排出口に固形分の搾汁効果を可変調節できるようにして、スクリュ羽根とは無関係な干渉しない状態に配設してあるのに対し、甲第2号証の発明では、フィルタエレメントに挿通させたスクリュ羽根のシャフトの後端に挿通させてコイルバネで弾力調節自在にフィルタエレメントの排出口に対して略閉塞して配設しており、スクリュ羽根のシャフトに挿通させているので、スクリュ羽根の回転による回転を余儀なくされ、フィルタエレメントの排出口と接触閉塞させると静止状態のフィルタエレメントの排出口とは干渉し、そのため接触させることはできず、従って「略閉塞(公開公報3頁左上欄下から4行目記載)の状態で設けており、従って、本件訂正発明1,2に示す押圧弁とは異質の押圧盤27であって、単に排出口を閉塞する「弁」ではなく、両者の押圧弁の構成を異にしている点。
(f)(e)の相違点により本件訂正発明1,2では被濾過流体は、静止状態のフィルタエレメント内部で、スクリュ羽根による回転移動に対して排出口より静止状態の押圧弁と対抗して、有効な圧搾絞り作用の状態を経て排出されるのに対し、甲第2号証の発明では、押圧弁は回転するスクリュ羽根のシャフトの後部に設けられているので、回転を余儀なくされ、静止状態のフィルタエレメントの排出口とは有効完全な閉塞が不可能な状態で絞り作用も有効にならず、単に被濾過流体中に含まれる残りの液体分の脱水に止まり、両者の押圧弁による絞り作用の有効性を異にしている点。」(第4頁第2行-第5頁第2行)

イ.上記(d)の主張について
被請求人は、「フィルタエレメントの濾過孔からの液体分の除去」について、本件発明1、2では、「スクレーパ機構を備えたスクリュ羽根によりフィルタエレメントの全周を摺接して圧力の損失を防いでスクリュ羽根を回転させて被濾過流体を移送させ、フィルタエレメントの排出口に設けた押圧弁との間で被濾過流体を圧縮して得られる液体分を排出させるようにして」いるのに対し、甲2発明では、主として「スクリュ羽根を設けたシャフトの径を後部から前部にかけて次第に大径としてある」ことにより、脱水させており、残りの水分は「排出口に設けた押圧弁との圧縮作用で絞り出している」旨主張している。
しかしながら、甲2発明では、上記記載事項(2k)のとおり、「ケーシング20内で回転されるシャフト30の送り羽根31外縁とケーシング20内周面とはいずれの部位でも密接状のものとすることができ、被処理物の前方への送り込みを確実にする」ものであることから、甲第2号証記載の「送り羽根31外縁とケーシング20内周面とはいずれの部位でも密接状のものとする」と、本件発明1、2における「スクリュ羽根によりフィルタエレメントの全周を摺接して」とは、「圧力の損失を防いでスクリュ羽根を回転させて被濾過流体を移送させ」との作用の点で共通する。
また、甲2発明における押圧盤の作用についても、上記(2)のとおり、本件発明1、2の押圧弁との差異は認められない。そうすると、本件発明1、2と甲2発明とは、「圧力の損失を防いでスクリュ羽根を回転させて被濾過流体を移送させ、フィルタエレメントの排出口に設けた押圧弁との間で被濾過流体を圧縮して得られる液体分を排出させる」点で、被濾過流体の圧縮脱水処理方法を異にしているとはいえない。
よって、上記(d)の点を相違点とする理由はない。

ウ.上記(e)の主張について
本件発明1、2は、被請求人が主張するような、押圧弁が「スクリュ羽根とは無関係な干渉しない状態に配設してある」ことを発明特定事項とするものではなく、また、上記(2)のとおり、甲2発明における押圧盤と、本件発明1の「押圧弁」との間に作用上の差異も認められないから、相違点とはいえない。

エ.上記(f)の主張について
被請求人は、本件発明1、2では、スクリュ羽根による回転移動に対して排出口より静止状態の押圧弁と対抗して、有効な圧搾絞り作用の状態を経て排出されるのに対し、甲2発明では、押圧弁は回転を余儀なくされ、絞り作用も有効にならず、両者の押圧弁による絞り作用の有効性を異にしている旨主張する。
しかしながら、本件発明1、2は「静止状態の押圧弁」であることを発明特定事項とするものではなく、また、上記(2)のとおり、甲2発明の押圧盤と、本件発明1、2の「押圧弁」との間に作用上の差異は認められないから、相違点とはいえない。

オ.したがって、被請求人の上記主張アを採用することはできない。

第8.むすび
以上のとおり、本件発明1、2についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、特許法第123条第1項第2号に該当する。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
スクレーパ濾過システム
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】濾カスに圧力を加えて前方に押し出しながら濾過を行う豆乳原液などの被濾過液体より液体分と固形分に分離するスクレーパ濾過システムであって、筒状ないし円錐状の所望の濾過孔を有するフィルタエレメントの排出口には固形分の搾汁効果を可変調節できる押圧弁を配設し、前記フィルタエレメント周面に沿って回転するスクリュ状羽根の外周端面全域に沿って、前記フィルタエレメントと摺接し、スクリュ状羽根の前後に隙間を開けずに設けたスクレーパ機構を設けて前記フィルタエレメントの周面に付着する濾カス固形分を引掻除去できるようにしてなることを特徴とするスクレーパ濾過システム。
【請求項2】スクレーパ機構は、フィルタエレメントの周面に対して弾性作用を以って摺接できるようにしてなることを特徴とする請求項1記載のスクレーパ濾過システム。
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
この発明は、特に粘度の高い流体の濾過に好適なスクレーパ濾過システムに関する。
〔従来の技術〕
一般に粘度の高い豆乳原液などの濾過は、濾過孔が大きいものから小さいものに変わって行く多段階による濾過とか、メッシュを使った原始的な濾過によって処理しているものが多い。
〔発明が解決しようとする課題〕
最近に至り、本発明者は筒状ないし円錐状のフィルタエレメントを用い、スクリュ状羽根を用いてフィルタエレメントの周面に附着する濾カス固形分を除去しながら濾過処理できる装置、方法を開発したが、固形分に粘性があり、その粘度が高い目詰りという不都合が生ずることが判明した。
そこで、さらにスクリュ状の羽根に支柱を設け、この支柱よりスクレーパを突出させてフィルタエレメントの周面と摺接させ、直接フィルタエレメント周面上の附着固形物を引掻いて除去する方法、装置を開発したが、折角、除去された固形分がスクレーパの支柱部分で溜り、そこで附着状態が成長して了うという不都合が分った。
この発明は、かかる不都合を無くし、フィルタエレメントの目詰りがなく、かつ、絞り効果が大きく濾過効率の高いスクレーパ濾過システムを提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
すなわち、この発明は、濾カスに圧力を加えて前方に押し出しながら濾過を行う豆乳原液などの被濾過液体より液体分と固形分に分離するスクレーパ濾過システムであって、筒状ないし円錐状の所望の濾過孔を有するフィルタエレメントの排出口には固形分の搾汁効果を可変調節できる押圧弁を配設し、前記フィルタエレメント周面に沿って回転するスクリュ状羽根の外周端面全域に沿って、前記フィルタエレメントと摺接し、スクリュ状羽根の前後に隙間を開けずに設けたスクレーパ機構を設けて前記フィルタエレメントの周面に付着する濾カス固形分を引掻除去できるようにして成ることを特徴とするスクレーパ濾過システムに係るものであって、これにより上記目的を達成するものである。
〔作用〕
被処理流体は、スクリュ状羽根の回転作用によってフィルタエレメントに形成される濾過孔に相当する大きさ以上の固形分を残して濾過流体を得ることができる。そして、スクリュ状羽根の周面には、スクレーパ機構を設けてフィルタエレメントの周面に摺接して引掻作用で常に固形分を除去するので無理なく濾過作用が行われる。しかも、スクレーパ機構がスクリュ状羽根の前後に隙間を開けずに、フィルタエレメントと常に接しているため、加圧力の洩れが生ずることなく濾カスを前方に押し出すので、非常に効率の良い絞りが得られる。
また濾カス固形分は、柱等がないので滞留することなくスクリュ状羽根によって一方向に押し出される。
〔実施例〕
以下に、この発明の一実施例を図面と共に説明する。
この実施例は、豆乳原液より豆乳を得るのに好適な機械を示している。
1は円筒状のフィルタエレメントを示し、断面二等辺三角形状のワイヤ2のフラットな底面2aを内側に保持しながら、頂角尖鋭部2bを外側にして多孔枠筒3の内周に穿ったスパイラル状の溝4に係合して捲装し、隣り合うワイヤ2間に所望の大きさのスリット孔5を形成すると共に、フラットな底面2aにより捲回したワイヤ2の内周面をフラットαに形成できる。
6は、所望の大きさのスリット孔5を有する円筒状フィルタエレメント1を選択的に固着した円筒管体を示し、一側には被処理液体の導入口7を、他側には濾カスの排出口8を有する固形分取出機構9をそれぞれ設けてある。
10は、回転軸11に多数の分割片12aを固着して形成されるスクリュ状羽根12を備えてスクリュを示し、前記円筒状フィルタエレメント1の内側に回転自在に縦装し、かつスクリュ状羽根12は円筒状フィルタエレメント1のフラットαな内周面と微少間隔を保持して非接触に保持させるものである。
なお、スクリュ状羽根12は分割片でなく連続して捻回された通常の長尺物を用いて形成しても良い(図示せず)。
そして、スクリュ状羽根12は、その回転ピッチが被処理液体を導入口7より排出口8へ移送させる方向に形成されると共に、ピッチ間隔も濾カスも排出口8側に近づくに従い、漸次狭少に形成して有効な搾汁効果を図っている。
13は駆動機構で、電動モータ14をベルト、歯車などの減速機構15を介して、前記スクリュ10の回転軸11と接続されている。
なお、前記固形分取出機構9は、口径を狭少と搾り込んだ排出口8に対し、コイルバネ16で圧接される押圧弁17を当接させると共に、前記コイルバネ16に対しては、そのバネ圧を可変調節できる螺杆18を附設して取り出される固形分の搾汁効果を可変調節できるようになっている。
19はスクレーパ機構20の合成樹脂などで形成されるスクレーパ片を示し、スクリュ状羽根12の端部に取付け、スクレーパ片19がフィルタエレメント1のフラットな面と摺接している。
なお、スクレーパ機構20は例えば、第4図(a),(b)および(c)に示す構成とすることができる。
まず、(a)はスクリュ状羽根12の端面に蟻溝21を穿ち、この蟻溝21と係合する凸部22を備えた紐状乃スクレーパ片19を設け、さらに所望間隔を以って穿った小孔23内に押バネ24を収容し、この押バネ24の張力により常にスクレーパ片19を外方に向けて突出させるようにバネ附勢させている。
また、(b)は(a)のスクレーパ片19を僅かに変形したもので蟻溝をなくしフラットな溝孔25とこの溝25を係合する突起条26を備えたスクレーパ片19aを構成している。このスクレーパ片19aは(a)と同様に押バネ24で押圧されている。
さらに、(c)について説明する。
スクリュ状羽根12の端面を一部切欠させた段部27とし、この段部27と一致する段部28をスクレーパ片19bに設けて、所望の間隔の下に段29を以って固着してスクレーパ片19bを取付けてある。
そして、いずれも耐摩耗性の大きい合成樹脂材料で形成するのが好ましく、また短尺にしてこれを連続に取り付けるようにすることもできる。
なお、図において、30は円筒管体6の円筒状フィルタエレメント1の外周に相当する個処に嵌挿固着させた濾過液取出用の管体、31はこの管体30の一部に設けた濾過液の導出管、32は濾カス排出口8の下方に設けられるホッパー、33は全体の構成を配設する器枠、34は円筒管体6の濾カス排出口8側に設けられる円筒状管体保持枠で、器枠33に螺挿した螺杆35によって円筒管体6の濾カス排出口側を支持できるようになっている。36はスクリュ10の他側を支持する支持枠である。
叙上の構成になるので、所望の被濾過液体、例えば豆乳原液などの固液混合液体を導入口7より円筒管体6内に供給してスクリュ10を駆動機構13により回転させれば、豆乳原液は、スクリュ状羽根12の捻回ピッチによって円筒管体6内で移送され、円筒状フィルタエレメント1のスリット孔5を通過できる液体分のみが濾過液の豆乳として取り出され、管体30を経て導出管31により得られる。この種の豆乳原液は、粘着性、附着性の高い固形分を含有しているので、スリット孔5を直ちに塞ぎ所謂、目詰りを生じ易いがスクリュ状羽根12端面には、柱などの邪魔物がなくスクレーパ機構20備えているので、目詰り濾カス分はスクレーパ片19によって直ちに剥離され、また、スクリュ状羽根の前後に隙間がないので加圧力の洩れを生ずることなく、順次と前方に送出移送されるのでスクリュ10の回転中、目詰りによる不都合は全く生じない。
濾カス分は、スクリュ10のスクリュ状羽根12によって順次と前方に送られると共に、その移送の過程で濾カス分の濃度は次第に大きくなり、換言すれば、漸次と液体分が減少し、バネ16の張力の大きさに応じた固形分排出機構の働きにより、好みの液体を含んだ乾燥状態で濾カス(オカラ)を排出口8より断続的に排出できる。
すなわち、バネ16の張力が大きければ、濾カス中の液分は少なく、その逆に小さければ濾カス中の液分は多くなるので、そのバネ16の張力を大小可変して好みの状態の濾カスを排出口8より排出させることができる。
以上、この発明について一実施例を説明したが、ことに円筒状フィルタエレメントは図示の構成の他、例えばパンチングメタルとかポーラス構造のものなど、好みの濾過孔を備えた円筒状フィルタについても同様に実施できることはもちろんである。
また、円筒管体6は、横方向でなく縦方向に起立しても差支えない。
なお、上記実施例におけるフィルタエレメントは、専ら円筒状であるが円錐状のもので同様に実施できると共に、スクリュ状羽根がフィルタエレメントの内側でなく、外側に配設され、所謂リボンスクリュ状羽根に対しても同様に実施できる。
〔発明の効果〕
この発明によれば、スクリュ状羽根の働きによって、導入移送される所望の被処理液体は、フィルタエレメントにより濾過されていると共に、スクリュ状羽根の端面に設けたスクレーパ機構によって目詰まり減少を全く生ずることもなく、濾過固形分は邪魔物がないので粘性が強くてもスクリュの回転移送方向に送られ、必要に応じて除去することができる。
また、スクレーパ機構がスクリュ状羽根の前後に隙間を開けずに設けられ、その全域がフィルタエレメントに摺接していることにより、加圧力の洩れが生じることがなく、濾過固形分を前方に押しやるので、絞り濾過を効率よく行うことができる。
しかも、請求項2の発明では、スクレーパ機構には弾性作用が働いてフィルタ面をスクレーパ機構が働いているので、スクレーパの摩耗によって加圧力の洩れが生ずることなく、常に、絞り濾過を効率よく行うことができる。
したがって、豆乳原液より豆乳とオカラとの分離を能率よく行うことができるなど、各種食品用として固液分離など広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明に係るスクレーパ濾過システムを筒形固液分離装置に施した場合の一実施例を示す一部縦断側面図、第2図は同上のII-II線断面図、第3図は同上の円筒状フィルタエレメントの一部切欠斜視図、第4図直(a),(b),(c)はスクレーパ機構の三例を示す各々の部分拡大斜面図である。
1……円筒状のフィルタエレメント
5……スリット孔
10……スクリュ
12……スクリュ状羽根
17……押圧弁
19a,19b,19c……スクレーパ片
20……スクレーパ機構
24……押バネ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2011-11-10 
結審通知日 2011-11-15 
審決日 2011-12-01 
出願番号 特願平1-107834
審決分類 P 1 113・ 121- ZA (B01D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 金 公彦  
特許庁審判長 北村 明弘
特許庁審判官 鈴木 正紀
川端 修
登録日 1996-08-22 
登録番号 特許第2551480号(P2551480)
発明の名称 スクレ?パ濾過システム  
代理人 西尾 美良  
代理人 丹羽 宏之  
代理人 齊藤 誠一  
代理人 西尾 美良  
代理人 鈴木 和夫  
代理人 丹羽 宏之  
代理人 小田 治親  
代理人 鈴木 きほ  
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