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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01M
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01M
管理番号 1267301
審判番号 不服2011-21374  
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-10-04 
確定日 2012-12-06 
事件の表示 特願2001-115526「光ファイバ紡糸ノズル及びそれを用いた光ファイバの検査方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年10月23日出願公開,特開2002-310849〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成13年4月13日を出願日とする特許出願であって,平成23年6月28日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年10月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに,同日付けで手続補正がなされたものである。そして,平成24年2月7日付けで審尋がなされ,回答書が同年3月26日付けで請求人より提出された。


第2 平成23年10月4日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成23年10月4日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は,特許請求の範囲について,

「【請求項1】 少なくとも光ファイバの芯材を紡出する光ファイバ紡出孔、光入射面及び光出射面を有する光学窓、及び光源を備えた光ファイバ紡糸ノズルであって、
前記光ファイバ紡出孔の延長上の芯材流路に前記光学窓の光出射面が露出するように配置され、前記光学窓の光入射面に屈折率が異なる複数の材料を組み合わせて光を伝搬可能な構造とした光伝送体を介さずに光が照射され、その光が前記光学窓を介して前記光学窓の光出射面から光ファイバ紡出孔内の溶融された芯材へ入射されるように光源が接続された光ファイバ紡糸ノズル。
【請求項2】 光学窓が光ファイバ紡出孔の中心軸の延長上に配置され、光の光軸が光ファイバ紡出孔中心軸と一致するように光源が接続された請求項1記載の光ファイバ紡糸ノズル。
【請求項3】 光源としてレーザー光光源を用いる請求項1又は2記載の光ファイバ紡糸ノズル。
【請求項4】 レーザー光光源として半導体レーザーを用いる請求項3記載の光ファイバ紡糸ノズル。
【請求項5】 光源を保持するホルダと、光源と光学窓の間に配置され光源からの光の光路の周囲を囲むパイプとを備えた請求項1?4のいずれか一項に記載の光ファイバ紡糸ノズル。
【請求項6】 ホルダの外周にホルダを冷却するジャケットが設けられている請求項5に記載の光ファイバ紡糸ノズル。
【請求項7】 請求項1?6のいずれか一項に記載の光ファイバ紡糸ノズルを用いて、芯材に光を導入しながら光ファイバを紡出し、その光ファイバの側面から漏出する光を、検出器を用いて検出する光ファイバの検査方法。
【請求項8】 請求項1?6のいずれか一項に記載の光ファイバ紡糸ノズルを用いて、芯材に光を導入しながら光ファイバを紡出し、フォトダイオードを備えた検出器を用いて、前記光ファイバの側面から漏出する光を電流に変換し、その電流値から光の漏出量を検出する光ファイバの検査方法。
【請求項9】 紡糸ノズルから紡出された光ファイバを、所定距離離れて配置された複数の検出器の検出位置を通過させて各検出器により光ファイバ側面からの光の漏出量を検出し、検出器間での光の漏出量差および検出位置間距離から入射光の波長における光ファイバの伝送損失を算出する請求項7又は8記載の光ファイバの検査方法。
【請求項10】 光源をパルス駆動して出射されたパルス状光を芯材に導入し、光出射時の光ファイバ側面からの光の漏出量と光非出射時の光ファイバ側面からの光の漏出量を、前記パルス駆動のパルスと同期させた各検出器においてそれぞれ検出し、各検出器において、検出された光出射時の光の漏出量から光非出射時の光の漏出量を引いた値を算出し、それらの値についての検出器間での差および検出位置間距離から入射光の波長における光ファイバの伝送損失を算出する請求項9記載の光ファイバの検査方法。
【請求項11】 光ファイバ側面から漏出する光の検出は、紡糸ノズルから紡出された光ファイバを加熱延伸処理した後に行う請求項7?10のいずれか一項に記載の光ファイバの検査方法。」を

「【請求項1】 少なくとも光ファイバの芯材を紡出する光ファイバ紡出孔、光入射面及び光出射面を有する光学窓、及び光源を備えた光ファイバ紡糸ノズルであって、
前記光ファイバ紡出孔の延長上の芯材流路に前記光学窓の光出射面が露出するように配置され、前記光学窓の光入射面に屈折率が異なる複数の材料を組み合わせて光を伝搬可能な構造とした光伝送体を介さずに光が照射され、その光が前記光学窓を介して前記光学窓の光出射面から光ファイバ紡出孔内の溶融された芯材へ入射されるように光源が接続され、前記光源としてレーザー光光源を用い、前記光学窓が前記光ファイバ紡出孔の中心軸の延長上に配置され、該光学窓の光入射面におけるレーザー光のスポット径が1mm以下に設定された、光ファイバ紡糸ノズル。
【請求項2】 レーザー光の光軸が光ファイバ紡出孔中心軸と一致するように光源が接続された請求項1記載の光ファイバ紡糸ノズル。
【請求項3】 レーザー光光源として半導体レーザーを用いる請求項3記載の光ファイバ紡糸ノズル。
【請求項4】 光源を保持するホルダと、光源と光学窓の間に配置され光源からの光の光路の周囲を囲むパイプとを備えた請求項1?3のいずれか一項に記載の光ファイバ紡糸ノズル。
【請求項5】 ホルダの外周にホルダを冷却するジャケットが設けられている請求項4に記載の光ファイバ紡糸ノズル。
【請求項6】 請求項1?5のいずれか一項に記載の光ファイバ紡糸ノズルを用いて、芯材に光を導入しながら光ファイバを紡出し、その光ファイバの側面から漏出する光を、検出器を用いて検出する光ファイバの検査方法。
【請求項7】 請求項1?5のいずれか一項に記載の光ファイバ紡糸ノズルを用いて、芯材に光を導入しながら光ファイバを紡出し、フォトダイオードを備えた検出器を用いて、前記光ファイバの側面から漏出する光を電流に変換し、その電流値から光の漏出量を検出する光ファイバの検査方法。
【請求項8】 紡糸ノズルから紡出された光ファイバを、所定距離離れて配置された複数の検出器の検出位置を通過させて各検出器により光ファイバ側面からの光の漏出量を検出し、検出器間での光の漏出量差および検出位置間距離から入射光の波長における光ファイバの伝送損失を算出する請求項6又は7記載の光ファイバの検査方法。
【請求項9】 光源をパルス駆動して出射されたパルス状光を芯材に導入し、光出射時の光ファイバ側面からの光の漏出量と光非出射時の光ファイバ側面からの光の漏出量を、前記パルス駆動のパルスと同期させた各検出器においてそれぞれ検出し、各検出器において、検出された光出射時の光の漏出量から光非出射時の光の漏出量を引いた値を算出し、それらの値についての検出器間での差および検出位置間距離から入射光の波長における光ファイバの伝送損失を算出する請求項8記載の光ファイバの検査方法。
【請求項10】 光ファイバ側面から漏出する光の検出は、紡糸ノズルから紡出された光ファイバを加熱延伸処理した後に行う請求項6?9のいずれか一項に記載の光ファイバの検査方法。」とするものである。

2 本件補正の目的
(1)特許請求の範囲についての本件補正は,補正前の請求項1に係る発明を特定する事項である「光源」及び「光学窓」に関して,さらに「前記光源としてレーザー光光源を用い、前記光学窓が前記光ファイバ紡出孔の中心軸の延長上に配置され、該光学窓の光入射面におけるレーザー光のスポット径が1mm以下に設定された」と限定するもので,補正前の請求項1に係る発明を特定する事項を減縮することを目的とするものであるということができる。

(2)そうしてみると,特許請求の範囲についての本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的するものに該当するといえる。

3 独立特許要件
そこで,本件補正後の請求項1に係る発明(以下,「補正発明」という。)が,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか,すなわち,本件の特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

(1)引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され,本願特許出願前に頒布された刊行物である,特開特開2000-155223号公報(以下,「引用例」という。)には,図面の図示と共に,次の事項が記載されている(下線は当審が付与したもの)。

(ア)「【請求項1】 屈折率が異なる複数の材料を押し出して複合紡糸する光ファイバ用の紡糸口金であって、光ファイバ紡出孔に光を出射し芯材中に直接光を導入する光出射部を備え、光出射部の光出射端が光ファイバ紡出孔の流路壁面上に形成されている紡糸口金。
【請求項2】 請求項1に記載の紡糸口金の光出射部に、光源ランプと、光源ランプからの光を遮断するための開閉可能なシャッターを備えたシャッター機構と、シャッターの開閉状態を示す機構とを備えた光源装置が接続されてなる光源装置付き紡糸口金。

【請求項5】 請求項1?4に記載の紡糸口金を用いて、光出射部から光ファイバの芯材中に直接光を導入しながら光ファイバを紡出し、光ファイバの側面から漏出する光を光検出器を用いて検出する光ファイバの検査方法。
【請求項6】 紡出した光ファイバを、加熱延伸処理した後、複数の光検出器の検出位置に光ファイバを通過させて光ファイバの側面から漏出する光の光量を検出し、各光検出器からの検出光量の差と光検出器の検出位置の間の距離から伝送損失を算出することを特徴とする請求項5に記載の光ファイバの検査方法。」

(イ)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光ファイバを連続的に製造する際にインラインで光ファイバの検査をする方法及びそれに好適な紡糸口金に関する。」

(ウ)「【0004】
【発明が解決しようとする課題】
…特公平8-12129号公報には光ファイバの押出成形加工に際して、芯材用樹脂の流れの中に光源と連結された光伝送素子を直接挿入し、光ファイバの芯部内に直接光を入射させる方法が提案されている。
【0005】
ところが、この方法は光伝送素子が芯材用樹脂の流路中に突出して形成されているので、光伝送素子が破損したり、光伝送素子周囲で芯材用樹脂が滞留劣化するので、押出機ヘッドを長期間にわたって使用することが困難であり、押出機ヘッドの交換清掃作業のために光ファイバの生産性の低下を招くものであった。
即ち、本発明の目的はインラインで光ファイバの光学特性検査を行うにあたって、光ファイバの生産性を低下させることなく、光ファイバ中に光を効率的に入射させ精度の高い伝送損失などの測定を行うことができる紡糸口金及び光ファイバの検査方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、屈折率が異なる複数の材料を押し出して複合紡糸する光ファイバ用の紡糸口金であって、光ファイバ紡出孔に光を出射し芯材中に直接光を導入する光出射部を備え、光出射部の光出射端が光ファイバ紡出孔の流路壁面上に形成されている紡糸口金にある。
【0007】
また、本発明の要旨は、前記紡糸口金を用いて、光出射部から光ファイバの芯材中に直接光を導入しながら光ファイバを紡出し、光ファイバの側面から漏出する光を光検出器を用いて検出する光ファイバの検査方法にある。」

(エ)「【0018】
以下各部についてより詳細に説明する。
図1に本発明の紡糸口金の一例を示す。図1において紡糸口金は左右対称構造となっており、2本の芯-鞘構造の光ファイバ20が紡糸される。溶融された芯材は芯材流路14を流れ、鞘材流路15から供給される溶融された鞘材が芯材の外周に被覆されて光ファイバとして吐出される。
【0019】
光出射部は、多数の光ファイバが束ねられてなるライトガイド10、ライトガイドに接続固定されているライトガイドロッド11及び導光部材13から構成されており、ライトガイドロッド11は、円筒形状の導光部材押さえ12を貫通して導光部材13の上部に保持されている。図中導光部材13の下端が光出射部の光出射端19であり、この光出射端19は、芯材流路14の壁面上に形成されている。光出射端19は、光ファイバ中に光をより効率的に入射させるために、光ファイバ紡出孔16の中心軸17に対して垂直な芯材流路壁面18と同一平面上に形成することが好ましい。

【0021】
導光部材13は下半分がテーパー形状をしており、この形状に一致した紡糸口金の導光部材挿入孔に挿入され、上部より耐熱性の弾力のある円筒状のテフロン樹脂、あるいは金属スプリング製のスペーサー21を介して導光部材押さえで紡糸口金に押さえつけられている。そのため、紡糸口金と導光部材13の熱膨張係数の違いによる膨張差が生じた場合であってもスペーサー21の弾力により導光部材13が導光部材挿入孔内でスライドするので、導光部材13の圧縮による破損を防止することができ、紡糸口金と導光部材13との隙間の発生による樹脂の漏洩や滞留部形成を防止することができる。光出射部はこれに限定されるものではなく、他の構成とすることも可能である。
【0022】
また、ライトガイドロッド11は、紡糸装置への紡糸口金の取り付け、取り外しが容易なように導光部材13と容易に分離できる構造とすることが好ましい。
【0023】
導光部材13は、光ファイバの賦形温度に耐え、光を透過可能な物質により構成することが好ましく、例えば多成分ガラス、石英ガラス、サファイア、ダイヤモンド等があげられる。ライトガイド10も耐熱性が高いものが好ましく、例えばガラス製の光ファイバ束、ガラスロッド等を用いることができる。ライトガイドロッド11も耐熱性の高いものが好ましく、例えばガラス製の大口径光ファイバや、その外周が金属管で保護されているものなどが使用可能である。
【0024】
ライトガイド10の一端は図示しない光源装置に接続されており、他端は導光部材13に接続されているので、光源装置からの光はライトガイド10、ライトガイドロッド11及び導光部材13を通じて芯材内に導入される。一つの検査光光源に複数本のライトガイド10を接続することによって複数の紡糸口金、または1つの紡糸口金内の複数の光出射部へ検査光を供給することも可能である。
【0025】
ライトガイド10の先端部及び導光部材13はその中心軸が光ファイバ紡出孔の中心軸と一致するように配置されているので、光はほぼ光ファイバの中心軸方向に向かって入射され、光は光ファイバに効率的に導入される。そのため、検査光の光量を容易に増加させることができ、特に所定距離を隔てて配置された複数の光検出器を用いて伝送損失を測定する場合において、光検出器間の距離を短縮することが可能となり、さらに光検出器の出力の増幅率を低くすることができるので増幅誤差を小さくすることが可能となる。

【0027】
溶融された芯材内での光散乱損失や芯材流路壁面における吸収損失による検査光の減衰を小さくするため、光出射端から鞘が被覆されるまでの距離を可能な限り短縮させることが望ましい。芯材流路壁面にコーティング等を施し、芯材内に導入された検査光をコーティング材で反射、拡散させ伝搬させることも可能である。」

(オ)「【0028】
光源装置は、ランプからの光を光出射部に入射可能なものであれば特に限定されない。光源装置に用いるランプとしては公知のものが使用可能であり、例えばLED等も使用可能であるが、高圧、超高圧水銀ランプやタングステンランプ、キセノンランプのような高光度なランプほど光ファイバ内に入射できる光量が増え望ましい。例えば、直径0.75mmの光ファイバを検査する場合、最末端に位置する光検出器の検出位置において光ファイバを切断し、その端面から出射される光量が1mw程度となる検査光が光ファイバ内に入射されていれば、製造ラインの室内照明等が光ファイバ内に入射して伝搬する外乱光は無視できるレベルとなる。そのため、検査を行うに際して外乱光を遮光したり、外乱光と検査光を識別するために特別な機構を設ける必要がなくなり、また高感度高精度の光検出器を使用する必要もなく簡易で安価な光検出器を使用できるため、検査コストの低減化が可能となる。
【0029】
光源装置としては例えば図3(a)に示すものを用いることができる。光源装置60において、光源ランプ61から出射した光は直接又は反射鏡62により反射され、レンズ63により集光され、レンズ67によりほぼ平行光に変換されてライトガイド10に導入される。…」

(カ)「【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて説明する。
(実施例1)
芯材としてPMMA、鞘材としてフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレンが80/20(mol%)の共重合体を、それぞれ押出機で溶融し、ギヤポンプで計量しながら図1に示すような紡糸口金に供給した。ライトガイド10としては石英製光ファイバの複数を集束してなるバンドルファイバ、ライトガイドロッドとしては大口径のガラス製光ファイバの外周に金属管が配置されてなるもの、導光部材13としては石英製の導光ロッドを用いた。光源装置のランプとして500Wのハロゲンランプを用いた。紡糸口金より紡出された直径1.06mmの光ファイバを熱延伸処理によって直径を0.75mmとして、延伸炉下流のニップロールから20m離れた地点で光ファイバを切断し、その端面から出射されている光量を測定したところ測定値は約1000μwであった。
【0035】
さらにこの紡糸口金を用い、図2に示すようにして、光ファイバの伝送損失を測定した。導入する検査光の光量を外光の影響を無視できる程度まで高めることにより、光ファイバが外光にさらされた状態でも光ファイバの伝送損失を精度よく検出することが可能であった。又、この紡糸口金は長期間にわたって使用可能であった。」

(キ)「【0039】
【発明の効果】
本発明の紡糸口金は、光ファイバ中に光を効率的に入射させることができ、長期間にわたって使用可能である。又、本発明の検査方法は光ファイバの生産性を低下させずにインラインで光ファイバの検査を行うことができる。」

上記の記載事項(ア)?(キ)と図面を総合すると,引用例には,以下の発明が記載されていると認められる。

「屈折率が異なる複数の材料を押し出して複合紡糸する光ファイバ用の紡糸口金であって,光ファイバ紡出孔(16)に光を出射し溶融された芯材中に直接光を導入する光出射部を備え,前記光出射部の光出射端(19)が光ファイバ紡出孔(16)の芯材流路壁面(18)上に形成されるとともに,前記光出射部に光源装置(60)が接続されてなる光源装置付き紡糸口金において,
前記光出射部は,その一端が前記光源装置(60)に接続された多数の光ファイバが束ねられてなるライトガイド(10),当該ライトガイド(10)の他端に接続固定されているライトガイドロッド(11),及び,その中心軸が前記光ファイバ紡出孔の中心軸と一致するように配置された石英製の導光ロッドからなる導光部材(13)から構成され,前記導光部材(13)の下端が前記光出射部の前記光出射端(19)であり,
前記光源装置からの光が前記ライトガイド(10),前記ライトガイドロッド(11)及び前記導光部材(13)を通じて前記溶融された芯材中に導入される,光源装置付き紡糸口金。」(以下,「引用発明」という。)

(2)補正発明と引用発明との対比
補正発明と引用発明とを対比すると,その構造および機能からみて,引用発明の「その中心軸が前記光ファイバ紡出孔の中心軸と一致するように配置された石英製の導光ロッドからなる導光部材(13)」は,これを通じて「前記光源装置からの光が…前記溶融された芯材中に導入される」ものであるから,補正発明の「前記光ファイバ紡出孔の中心軸の延長上に配置され」た「光入射面及び光出射面を有する光学窓」に相当し,両者は「前記光学窓を介して前記光学窓の光出射面から光ファイバ紡出孔内の溶融された芯材へ入射されるように光源が接続され」る点でも共通するといえる。
ここで,引用発明の「前記導光部材(13)の下端」にあたる「前記光出射部の前記光出射端(19)」は補正発明の「光学窓の光出射面」に相当し,前者は「前記光出射部の光出射端(19)が光ファイバ紡出孔(16)の芯材流路壁面(18)上に形成される」ものであるから,後者と「前記光ファイバ紡出孔の延長上の芯材流路に前記光学窓の光出射面が露出するように配置され」る点でも共通する。なお,引用発明の「導光部材(13)」が,「ライトガイド(10)及びライトガイドロッド(11)」の側に,それらを通じた「光源装置からの光」の照射を受ける「光入射面」を有することは明らかである。
また,引用発明の「光源装置(60)が接続されてなる光源装置付き紡糸口金」は,「屈折率が異なる複数の材料を押し出して複合紡糸する光ファイバ用の紡糸口金」であって,「光ファイバ紡出孔(16)」及び「導光部材(13)」を備えたものであるから,補正発明の「少なくとも光ファイバの芯材を紡出する光ファイバ紡出孔、光入射面及び光出射面を有する光学窓、及び光源を備えた光ファイバ紡糸ノズル」に相当する。

そうすると,両者は,次の点で一致し,以下の点で相違するといえる。

[一致点]
「少なくとも光ファイバの芯材を紡出する光ファイバ紡出孔,光入射面及び光出射面を有する光学窓,及び光源を備えた光ファイバ紡糸ノズルであって,
前記光ファイバ紡出孔の延長上の芯材流路に前記光学窓の光出射面が露出するように配置され,前記光学窓の光入射面に光が照射され,その光が前記光学窓を介して前記光学窓の光出射面から光ファイバ紡出孔内の溶融された芯材へ入射されるように光源が接続され,前記光学窓が前記光ファイバ紡出孔の中心軸の延長上に配置された,光ファイバ紡糸ノズル。」

[相違点]
(相違点1)光源からの光が「光学窓の光入射面」に対して,補正発明においては,「屈折率が異なる複数の材料を組み合わせて光を伝搬可能な構造とした光伝送体を介さずに」照射されるのに対して,引用発明においては,「多数の光ファイバが束ねられてなるライトガイド(10)」及び「当該ライトガイド(10)の他端に接続固定されているライトガイドロッド(11)」「を通じて」導入される点。

(相違点2)補正発明は「前記光源としてレーザー光光源を用い」たものであるのに対して,引用発明は光源としてレーザー光光源を用いたものではない点。

(相違点3)
補正発明においては「該光学窓の光入射面におけるレーザー光のスポット径が1mm以下に設定された」であるのに対して,引用発明では,(上記相違点2における相違に加え)この点が明らかとされていない点。

(3)相違点についての検討・判断
上記各相違点について検討する。

(3-1)相違点1について
広く一般に,光源を備えた装置において,その発光端部を,レーザーダイオード・LED等の光源に接続された光ファイバー又はライトガイド(端面)によって構成すること及びレーザーダイオード・LED等の光源自体を直接配置することによって構成することは,いずれも本願出願日前に周知慣用の技術的事項であって,両構成が基本的に相互に置換可能なものであることは,技術常識に照らし,当業者にとって自明の事項である。
この点,例を挙げ始めれば枚挙にいとまがないが,例えば,本願特許出願前に頒布された刊行物である特開平4-194730号公報(第3頁右上欄第14行?同頁右下欄第11行)には,図面の図示(特に第10図?第12図参照)とともに,以下の記述がある。
「また,上記発光端部は,光ファイバーにより構成することが好ましい。この場合該光ファイバーの先端は透明板の上面に対面して配置し,その後端は光源に光学的に連結する。上記光源としては,LED,LD(レーザーダイオード)などの発光素子を用いる。

また,上記のごとく光ファイバーを用いない場合には,発光端部は光源である発光素子自体を透明板に対面して直接配置し,…(第11図,第12図)。」

また,本願特許出願前に頒布された刊行物である特開平11-271622号公報には,図面の図示(特に図1参照)とともに,次の記載がある。
「【0013】
【発明の実施の形態】以下図面を用いて本発明を詳しく説明する。図1は本発明に係る光学顕微鏡の一実施例を示す構成図である。図において、図4と同等部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0014】ミラー22,25,26は光の方向を変えるためのものである。ミラー22にはFCコネクタ21経由でレーザ光が導入される。そのレーザ光は図示しないレーザ光源から光ファイバ(図示せず)経由でFCコネクタ21に導かれる。…また、光ファイバによる光源導入方式に限らず、FCコネクタ21部分に直接光源を配置しても何ら差し支えない。」

さらにまた,本願特許出願前に頒布された刊行物である特開2000-228347号公報には,図面の図示(特に図5参照)とともに,次の記述がある。
「【0042】図5は、画像処理装置の他の構成例を示す図である。図5において、図示しないランプ又は発光ダイオード等の光源から発せられた、フォトレジストに対する感光性の弱い波長帯の照明光が光ガイド72の一端に集光される。光ガイド72の他端から射出された照明光は、偏向ミラー73により折り曲げられ、試料台29aの上面の開口部75を通して射出される。試料台29a上に配置されたウエハホルダ30aには、その開口部75を通過した照明光を通すための切欠部74が設けてある。
【0043】…光源からの照明光を光ガイド72によって試料台29aの開口部75に導く代わりに、試料台29aの開口部75の位置に発光ダイオード等の光源を直接配置してもよい。」

そうしてみると,引用例の上記記載事項(ア)や上記記載事項(エ)における「光出射部はこれに限定されるものではなく、他の構成とすることも可能である」という記載などからも明らかなように,引用発明を実施する上で「ライトガイド(10)」及び「ライトガイドロッド(11)」が必須の構成要素であるとまではいえないことは明らかであるところ,上記のような従前周知慣用の技術的事項に照らしてみれば,引用発明において,光源からの光がライトガイド(10)及びライトガイドロッド(11)を通じて導入される構成に代えて,レーザーダイオード・LED等の光源自体を直接配置する構成とすることによって,上記相違点1に係る補正発明のような構成とすることは,当業者が適宜になし得る設計変更に過ぎない。

(3-2)相違点2について
光ファイバ紡糸装置において,紡糸した光ファイバの伝送特性測定のため導入される光源としてレーザー光光源を用いることは,本願出願日前に周知慣用の技術的事項であるといえる。

例えば,原査定の拒絶の理由に引用され,本願特許出願前に頒布された刊行物である,特開昭53-111740号公報(第1頁左欄板から5行目?同頁右欄第10行)には,図面(第1図)の図示とともに,以下の記述がある(下線は当審で付与したもの)。
「この発明は,…,光ファイバを線引きしながら同時に連続的に,その伝送特性を測定できるようにした光ファイバ線引き装置に関するものである。
従来のこの種装置は第1図に示すように構成されていた。第1図で光ファイバ用母材の一端2よりレーザなどの光源3からの光4を入射させ,他端部を加熱源5により1700?2300℃に加熱溶融して順次線引きし,得られた光ファイバ6をキャプスタン7を通してドラム8に巻き取る。この際,光ファイバ用母材1および光ファイバ6を伝ぱんしたレーザ光線を,ドラムに取り付けられた受光器9により検出し,テレメータ10などによりその出力を取り出し,これから光ファイバの伝送特性を測定していた。」

また,同様に,原査定の拒絶の理由に引用され,本願特許出願前に頒布された刊行物である,特開昭51-51352号公報(第1頁左欄下から
行目?同頁右欄下から1行目)には,図面の図示(特に第1図参照)とともに,次の記述がある(下線は当審で付与したもの)。
「通信用光ファイバの損失は散乱損失と吸収損失からなるが,従来はこれらの測定をファイバの製造後に行っていた。
本発明は,従来のようにファイバの製造が終わってからあらためて測定を行うことなく,ファイバ製造時に連続して測定を行ない,製造完了と同時に測定も完了できるようにしたものである。
本発明は,ロッド(母材)からファイバを防止しつつロッドの上端から光を入射させ,この光に基づく紡糸したファイバの特定の微小区間における散乱光出力とファイバの先端の光出力とを連続して測定し,…これらを基にしてファイバの長さ方向における各点の散乱損失,吸収損失および全損失の変化(バラツキ)をしることができるようにしたものである。
次に実施例について説明すると,第1図において10は例えばクラッド型のロッドで,11はコア,12はクラッドを示す。…
21はロッド10に入射させる光の光源で,たとえば半導体レーザ,気体レーザなどが用いられる。光は反射鏡22,レンズ23を通ってロッド10のコア11に入射する。」

そしてまた,本願特許出願前に頒布された刊行物である特開昭51-51352号公報(第3頁右上欄第9行?右下欄第10行)には,図面の図示(特に第4図参照)とともに,次の記述がある(下線は当審で付与したもの)。
「第4図は二重ルツボ法によるオプチカルファイバーの製造工程に本発明を適用した工程説明図である。
図において,1はレーザ発生源で,2は炉内に設置した外被ガラスルツボ2aと芯ガラスルツボ2bから成る二重ルツボであり,これらのルツボにはそれぞれ所定のガラスが溶融状態で入っている。二重ルツボからは所定のガラスが一体に引き出されて芯ガラスとこれを囲む外被ガラスから成るオプチカルファイバー3が形成され,これがローラ4を介して水平方向に方向転換し,延伸されながら所定温度に冷却された後,光検出器5を通り,最終的に巻取機6によって連続的に巻取られる。…

以上の構成において,レーザ発生源1から検査光として適宜のレーザ光をミラー7を介して芯ガラスルツボ2bに入射させながら,オプチカルファイバーを引出せば,ファイバーの芯ガラス中をレーザ光が伝播し従ってその間にこの製造工程で既述のような散乱因となる不良箇所がオプチカルファイバー3に発生したとしても,当該不良箇所を有するファイバー部分が検出器5を通過時に六面の光電素子の少なくとも1面で確実に検知されることになる。」

そうしてみると,引用例には上記記載事項(オ)のとおり,「光源装置は、ランプからの光を光出射部に入射可能なものであれば特に限定されない。光源装置に用いるランプとしては公知のものが使用可能であり、例えばLED等も使用可能である」と記載されているところ,光ファイバ紡糸装置という引用発明と同一の技術分野における上記のような従前周知慣用の技術的事項に照らしてみれば,引用発明において,光源としてレーザー光光源を用いることによって,上記相違点2に係る補正発明のような構成とすることは,当業者が適宜になし得る設計変更に過ぎない。

なお,この相違点2に関連し,請求人は,平成23年2月22日付けの意見書において,上記特開昭53-111740号公報に記載の構成に対して,「図1に示すような装置では、機械的振動等が光検出出力の雑音となり、安定な測定系を構成することが困難であり、また、光ファイバ用母材の光透過特性がその光検出出力に影響し、光ファイバのみの伝送特性が測定できない欠点がある」旨の記載(第1頁左欄最下行?第2頁左欄第6行)を引用しつつ,上記従前周知慣用の技術に係るレーザー光光源を用いた紡糸した光ファイバの伝送特性測定装置には欠点があることを指摘した上で,当業者であればこうした欠点のある構成を引用発明に対して組み合わせることはありえない旨主張している。
しかしながら,上記のとおり,光ファイバ紡糸装置という引用発明と同一の技術分野において,紡糸した光ファイバの伝送特性測定のため導入される光源としてレーザー光光源を用いることは,本願出願日前に周知慣用の技術的事項であったといえるところ,上記周知慣用の技術が欠点を有するからといって,引用発明において当該周知慣用の技術の適用を妨げる事情があるとまではいえず,しかも,補正発明において上記周知慣用の技術が有する欠点を考慮した特別の構成を採用しているとも認められないから,請求人の上記主張は採用できない。

(3-3)相違点3について
レーザー光を光ファイバに効率よく結合させるために,光ファイバコアのコア径より小さな径に光ファイバのNA値により決定される入射角以内の角度で絞り込みレーザ光を入射させることは,本願出願時点における技術常識であったといえる(例えば,本願特許出願前に頒布された刊行物である特開昭63-204205号公報第1頁右欄第9行?第14行参照)。

他方,引用発明においても,補正発明と同様に,光ファイバ用紡糸口金において溶融された芯材中に直接光を導入するという特殊な事情はあるとはいえ,光ファイバに入射光(検査光)を効率的に導入すべきことは明らかである(引用例の上記記載事項(エ)及び(カ)(特に【0025】,【0028】,【0035】)参照)から,上記技術常識にも照らしつつ,紡糸する光ファイバの具体的な構造等に応じて,入射光の光ファイバ入射端面等での径を理論的又は実験的に好適化又は最適化することは,当業者が適宜になし得る程度のことであるというべきである。

したがって,引用発明において,上記「(3-2)相違点2について」で述べたとおり,光源としてレーザー光光源を用いることは当業者が適宜になし得る設計変更に過ぎないものであるところ,レーザー光光源を用いるにあたり,レーザー光光源からの入射光(検査光)を光ファイバに効率的に結合すべく,レーザー光のスポット径につき実験的に好適化又は最適化を行うことによって,上記相違点3に係る補正発明のような設定とすることは,当業者が適宜になし得る設計的事項程度のものに過ぎない。

なお,この「光学窓の光入射面におけるレーザー光のスポット径が1mm以下」とする数値限定に関し,本願明細書には次の記述がある(下線は当審が付与したもの)。
「【0027】
レーザー光は、平行直進性に優れるため、レンズ等による収束が容易であり、レーザー光のスポット径を数十μm?数百μmと非常に小さく絞ることができる。また、遠距離から光入射部へレーザー光を収光して入射することにより、スポット径および入射角(紡出孔の中心軸に対する角度)の非常に小さな検査光を光ファイバ内に入射できる。このようなレーザー光を検査光として用いることにより、検査光の伝播ロスを著しく低減することが可能となる。すなわち、検査光としてレーザー光を用いることにより、紡出後に光ファイバの直径が細くなるように変化する部分であっても、光ファイバ外へ漏出してしまう光を大幅に抑制することができる。光学窓の光入射面におけるレーザー光のスポット径は1mm以下とすることが好ましく、500μm以下とすることがより好ましい。また、光軸調整を精度よく行えば、好ましくは光ファイバ紡出孔の出口より下流に、より好ましくは光ファイバが冷却され細化が完了し直径が一定となった部分より下流にレーザー光の焦点を設定することも可能であり、その場合、光ファイバに導入された大部分のレーザー光を芯鞘界面で反射させずに光ファイバ内を伝播させることも可能であり、検査光の伝播ロスを大幅に低減することができる。」

しかし,上記の作用効果に関する記載は,主として「平行直進性に優れる」レーザー光を用いることによる作用効果についてのものであって,上記数値限定の内と外で顕著な差異があることを示すものではなく,当該数値限定に臨界的意義があるという程のものではないから,引用発明及び技術常識に基いて,光ファイバに入射光(検査光)を効率的に導入するという引用発明に示唆される方向性に従って,レーザー光のスポット径の範囲を補正発明のように限定することは,当業者が格別の創意を要せずになし得る程度のことといえる。

以上のとおり,引用発明において上記相違点1?3に係る補正発明のような構成とすることは,当業者にとって格別の技術的困難性がなく,容易になし得る程度のことであるというべきである。

そして,本願明細書に記載された補正発明の効果も,当業者であれば予測し得る範囲内のものであり,格別顕著なものとはいえない。

(4)小括
したがって,補正発明は,引用発明及び従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるというべきであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 まとめ
以上を総合すると,補正発明は,特許法第29条第2項の規定によって特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するというべきであるから,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により,却下すべきものである。

第3 本願発明に対する判断
1 本願発明の認定
以上のとおり,平成23年10月4日付けの手続補正は上記のとおり却下されることとなったので,本願の請求項1?11に係る発明は,平成23年2月22日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定されるものであると認められ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,次のとおりのものである。

「【請求項1】 少なくとも光ファイバの芯材を紡出する光ファイバ紡出孔、光入射面及び光出射面を有する光学窓、及び光源を備えた光ファイバ紡糸ノズルであって、
前記光ファイバ紡出孔の延長上の芯材流路に前記光学窓の光出射面が露出するように配置され、前記光学窓の光入射面に屈折率が異なる複数の材料を組み合わせて光を伝搬可能な構造とした光伝送体を介さずに光が照射され、その光が前記光学窓を介して前記光学窓の光出射面から光ファイバ紡出孔内の溶融された芯材へ入射されるように光源が接続された光ファイバ紡糸ノズル。」

2 引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され,本願特許出願前に頒布された刊行物である引用例の記載事項は,前記「第2の3(1)引用刊行物の記載事項」に記載したとおりである。

3 判断
本願発明は,上記「第2の1 本件補正の内容」及び「第2の2 本件補正の目的」において検討したとおり,補正発明の一部限定を省略したもの,言い換えれば,補正発明は本願発明の構成要件をすべて含むものであるということができる。
しかるに,本願発明の構成要件をすべて含む補正発明が,上記「第2の3 独立特許要件」に記載した理由によって,許法第29条第2項の規定によって特許を受けることができないものであるから,本願発明についても同様の理由により,特許法第29条第2項の規定によって特許を受けることができないものであるといえる。


第4 結び
以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について言及するまでもなく,本願は,拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-10-04 
結審通知日 2012-10-09 
審決日 2012-10-22 
出願番号 特願2001-115526(P2001-115526)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01M)
P 1 8・ 575- Z (G01M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平田 佳規  
特許庁審判長 岡田 孝博
特許庁審判官 後藤 時男
福田 聡
発明の名称 光ファイバ紡糸ノズル及びそれを用いた光ファイバの検査方法  
代理人 宮崎 昭夫  
代理人 石橋 政幸  
代理人 緒方 雅昭  

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