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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1267397
審判番号 不服2012-3157  
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-02-20 
確定日 2012-12-13 
事件の表示 特願2007-304061「部品実装関連装置のオペレータ支援装置及び支援方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 6月11日出願公開、特開2009-130158〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成19年11月26日の出願であって、平成23年12月13日付けで拒絶査定(発送日:同年12月20日)がされ、これに対し、平成24年2月20日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。なお、平成23年11月21日付けの手続補正は、同年12月13日付けで決定をもって却下されている。

第2.本件補正について
1.本願補正発明
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、
「【請求項1】
部品実装関連装置の操作を行うオペレータに対し、オペレータが次に行うべき行動を画面又は音声を介して指示してオペレータの支援を行う部品実装関連装置のオペレータ支援装置であって、オペレータに与える行動指示が段階的な複数の行動指示に分割された状態で記憶される行動指示記憶部と、行動指示記憶部に記憶された段階的な複数の行動指示の中から次にオペレータに与える行動指示を選択する行動指示選択部と、行動指示選択部で選択された行動指示を画面又は音声により外部出力する行動指示出力部と、行動指示出力部を通じて外部出力された行動指示に従って行動したオペレータがその行動の結果に応じた回答を入力する回答入力部とを備え、行動指示記憶部に記憶された段階的な複数の行動指示の各々は、オペレータが与えられた行動指示に従って行動した結果に対して択一形式の回答で回答できる程度まで細分化されたものであり、行動指示選択部は、回答入力部から入力されたオペレータからの回答内容及び予め定められた優先順序に基づいて、次にオペレータに与える行動指示を選択するものであり、
前記優先順序としてエラーを解消した実績のある行動指示を優先することができ、
前記優先順序は前記部品実装関連装置の製造元からの出荷時だけでなく、前記部品実装装置の使用をするオペレータがそれまでに蓄積した経験を活かして自由に設定できることを特徴とする部品実装関連装置のオペレータ支援装置。」と補正するものである。(下線は、補正箇所を示す。)
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「自由に設定できる」について「前記部品実装装置の使用をするオペレータがそれまでに蓄積した経験を活かして」と限定するものであって、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成23年法律第63号改正附則第2条第18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規程に適合するか)について検討する。

2.引用文献の記載事項
(1)本願の出願前に頒布された特開平1-258500号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に、次の事項が記載されている。

ア 「オペレータとの会話形式で前記回復作業を実行する為にオペレータ入力装置を設けたことを特徴をするオペレータ作業指示装置。」(第1頁左下欄18行-20行)

イ 「本発明はプリント板組立工程の中の電子部品自動挿入と自動装着工程における自動挿入装置,自動装着装置作業に係り、特に前記各装置の動作異常発生時のオペレータの前記装置の回復作業に好適なオペレータ・インターフエース装置に関する。」(第1頁右下欄3行-7行)

ウ 「上記従来技術は装置の状態をオペレータが瞬時に理解できる形での装置側の能動的機能が、オペレータインターフエースに欠如していた。さらに、オペレータが装置の状態を調べて把握した後、その回復作業はマニユアル等の文書を調べその作業指示に従つて実行されており、異常停止発生から装置回復まで長時間を要することが多く、装置の稼動時間の観点から全く無駄な時間を費していた問題があつた。
本発明の目的は異常停止から装置回復までの時間を短縮する為、オペレータ・インターフエース装置に異常停止の内容とその回復手段を表示し、かつオペレータと装置間で会話形式で適切な回復作業指示を提供することにある。」(第2頁左上欄7行-20行)

エ 「以下、本発明の一実施例を第1?5図により説明する。第1図,第2図は本発明によるオペレータ作業指示装置1上の画面表示内容を示す。第1図は異常内容を表示し、かつ装置を適切な作業で回復させる為の作業手順とその確認内容をオペレータとの会話形式で実行することを示している。図中の下線部はオペレータの作業内容をYes又はNOで応答している状況を示している。第2図は装置に非常停止が発生し、それに対応したオペレータへの作業指示内容を示している。
第3図は自動挿入装置や自動装着装置の基本構成をブロツク図で示したもので、第4図は制御装置2で実行される制御プログラムの一例を示している。制御装置2は機械装置3に対して動作1の制御信号を出力し、一定時間内にその所定動作が終了したかどうかチエツクのため、制御装置2内部に備えられているタイマのリセツトを実行し、一定時間内に動作1の終了が確認出来ない場合、異常メツセージ表示、回復作業指示ルーチン1と制御プログラムが実行される。第5図に回復作業指示ルーチン1のプログラム例を示す。第4図の異常メツセージ表示が第1図,第2図のエラーの内容に相当し、第5図の回復作業指示ルーチン1が同様にオペレーシヨンの内容に相当する。」(第2頁左下欄2行-右下欄5行)

オ 「停止状態からの回復作業手順を表示することで、装置の停止時間を大巾に短縮でき、稼動時間向上が図れる。
又、装置の回復時間がオペレータの習熟度に依存しない為、安定したプリント板の自動組立作業が可能となる。」(第2頁右下欄17行-第3頁左上欄2行)

カ 第5図には、回復作業指示ルーチン1のおいて、メッセージ1表示に対するオペレータ応答がYesの場合はメッセージ3表示を行い、Noの場合はメッセージ2表示を行うこと、メッセージ3表示に対するオペレータ応答がYesの場合はメッセージ4表示を行い、Noの場合はメッセージ5表示を行うことが示されている。

これらの記載事項及び図面の図示内容を総合し、本願補正発明の記載ぶりに則って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用文献1に記載された発明」という。)が記載されている。

「自動装着装置の操作を行うオペレータに対し、オペレータが次に行うべき作業を画面を介して指示を行う自動装着装置のオペレータ・インターフエース装置であって、オペレータに与える作業指示が回復作業指示ルーチンの形式で備えられる制御装置2と、回復作業指示ルーチンが実行され、メッセージ1から始まってオペレータの応答によりメッセージ2又は3そしてメセージ4又は5に進めるように作業指示を選択する制御装置2と、制御装置2で選択された作業指示を画面により表示するオペレータ作業指示装置1と、オペレータ作業指示装置1を通じて表示された作業指示に従って作業したオペレータがその作業の結果に応じた応答を入力するオペレータ入力装置とを備え、回復作業指示ルーチンで実行される作業指示の各々は、オペレータが与えられた作業指示に従って作業した結果に対してYes又はNoの応答で応答できる程度まで会話形式になったものであり、制御装置2は、オペレータ入力装置から入力されたオペレータからの応答内容に基づいて、次にオペレータに与える作業指示を選択するものである自動装着装置のオペレータ・インターフエース装置。」

(2)本願の出願前に頒布された特開平6-118108号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面と共に、次の事項が記載されている。
キ 「【0017】図1は、本発明の一実施例における復旧方法の導出方法の動作を示すブロック図である。これを用いて、本発明の実施例における復旧方法の導出について詳しく説明する。まず、電子部品実装機21からの故障情報11に基づいて、前記故障情報11の事象に対応する復旧方法を管理する復旧方法管理データ12を導出させる。さらに、故障情報11を故障の実績として故障実績管理データ13に記憶する。電子部品実装機21における過去の故障実績管理データ13より、過去同じ事象の故障に関して、発生時期・発生頻度・発生条件等の故障実績随時データ14を導出し、前記故障実績随時データ14が存在した場合には故障実績随時データ14より、過去の最多実施復旧方法随時データ15および最新復旧方法随時データ16を導出する。
【0018】次に、復旧方法管理データ12より前記以外の復旧方法を導出し、最多実施復旧方法随時データ15と最新復旧方法随時データ16より最多実績・最新・前記以外の順に復旧方法を表示し、故障実績随時データ14より過去の故障実績を表示する表示内容随時指示データ17を導出する。表示内容随時指示データ17は、画面上の表示位置をその内容を管理する画面表示データ18から自己の復旧方法を表す1画面毎の画面表示随時データ19を導出し、復旧方法の画面表示20を行う。」
ク 「【0020】
【発明の効果】上記実施例から明らかなように、本発明の電子部品実装機故障診断方法は、従来の方法では故障に対する復旧方法が固定された表示順序でしか表示できないため、過去に多い故障を考慮した上で故障原因や復旧方法の表示ができず、本来の原因を取り除くのに時間がかかるという問題点を有していたのに対して、電子部品実装機が故障した場合に、復旧方法を表示するだけでなく過去の実績に基づいて復旧方法の表示順を決定し表示させているので、本来の原因をいち早く取り除き電子部品実装機を短時間で故障から復旧させことができる。また、復旧方法を故障状況により随時導出できるので、記憶すべき情報を少なくして記憶領域を有効活用する等の効果を奏する。」

(3)本願の出願前に頒布された特開平6-206131号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面と共に、次の事項が記載されている。
ケ 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人手にて行う作業において、その作業者に対して行う作業を示し教える作業指示装置に関する。」

コ 「【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような従来の作業指示装置では、その指示内容は一種類に固定であり、各個の作業者の能力に応じた作業指示内容ではない。すなわち、ある指示内容が熟練者には冗長でありかえって読みとりミスをおかしたり、初心者には不足であり作業が困難になったりする。また、ある作業を作業者が経験していくにつれ、そこで必要な指示内容は簡単で良くなる、といったように最適な指示内容は刻々変化していく。」

サ 「【0007】
【課題を解決するための手段】そこでまず、一つの作業指示に関する多くの指示項目をその作業の作業指示要素として作業指示を細分化する。各作業要素は各種メディアで表現されたデータを作業要素編集部にて編集したものである。そして作業者とその状態に必要な指示内容を、この作業指示要素を組み合わせてそれぞれの作業指示パターンとして作業指示パターン構成部にて用意して置く。そして作業者に対してこの作業指示パターン指示の内容を表示部、出力部にて表示、出力するこのとき当初の表現された作業指示パターンが前出の理由にて作業者に対し不適の場合、例えば作業者がもっと詳しく知りたい場合には、作業者向け操作部にて作業者がその旨を入力すると、指示内容変更部が前記作業指示パターン記憶部に対して作業指示要素の詳しい作業指示パターンを選択し、より詳しい作業指示が行われる。この経過を作業者操作記憶部にてその作業者個人の最適作業指示パターンとして記憶して置く。そして再びその作業者がその作業を行うとき作業者識別コード入力部にて作業者入力が行われると、前記作業者操作記憶部は作業指示パターン構成部に対して最適作業指示パターンの再構成を指示しその結果、最適作業指示パターンが出力される。」
シ 「【0018】さて、ここで当初与えた作業指示がその作業者にとって冗長であったり、不足していたりした場合に、その作業者にとって最適な指示内容にする方式について説明する。例えば作業指示内容が不足した場合、作業者は作業者向け操作部25にてその旨を表す“もっと詳しく”ボタンを押す。すると指示内容変更要求送信部26と、ネットワークを経て作業内容変更部16に受領される。作業内容変更部16は作業指示パターン記憶部14に対して、同作業でより詳しい作業指示パターンを選択指示しその結果、より詳しい作業指示パターンが作業指示パターン転送部15、作業指示パターン受信部21、作業指示パターン記憶部22経て、画像出力部23、や音声出力部24より出力される。もしそれでも作業者の“より詳しく”といった要求に満たない場合には、さらに上記処理が繰り返されることとなる。その段階を前出の図2を基に図3、図4の順に示す。また、“より簡素に”といった場合も同様にして、作業指示パターンが簡素になって行く。」

3.対比
本願補正発明と引用文献1に記載された発明とを対比すると、後者の「自動装着装置」はプリント板組立工程の中の電子部品自動挿入と自動装着工程に用いられるものであるから前者の「部品実装関連装置」に相当し、以下同様に、「作業」は「行動」に、「画面」は「画面又は音声」に、「オペレータ・インターフエース装置」はその機能からみて「オペレータ支援装置」に、「作業指示」は「行動指示」に、「表示する」は「外部出力する」に、「オペレータ作業指示装置1」は「行動指示出力部」に、「オペレータ入力装置」は「回答入力部」に、「応答」は「回答」にそれぞれ相当する。
引用文献1に記載されている発明の「制御装置2」は、「回復作業指示ルーチン」を実行するものであり、該「回復作業指示ルーチン」が第1図の1)ないし4)に係る作業指示であり、かつ、第5図に示されるようにメッセージ1から始まってオペレータの応答に従ってメッセージ2又は3そしてメセージ4又は5を選択しながら行うものであるから、段階的な複数の作業指示が記憶され、かつ、段階的な複数の作業指示の中からオペレータに作業指示を選択して与えるものと認められる。よって、引用文献1に記載されている発明の「オペレータに与える作業指示が回復作業指示ルーチンの形式で備えられる制御装置2」は本願補正発明の「オペレータに与える行動指示が段階的な複数の行動指示に分割された状態で記憶される行動指示記憶部」の機能を有し、また、引用文献1に記載されている発明の「回復作業指示ルーチンが実行されメッセージ1からメセージ5の中から次にオペレータに与える作業指示を選択する制御装置2」は本願補正発明の「行動指示記憶部に記憶された段階的な複数の行動指示の中から次にオペレータに与える行動指示を選択する行動指示選択部」の機能を有するものである。
したがって、両者は、
「部品実装関連装置の操作を行うオペレータに対し、オペレータが次に行うべき行動を画面又は音声を介して指示してオペレータの支援を行う部品実装関連装置のオペレータ支援装置であって、オペレータに与える行動指示が段階的な複数の行動指示に分割された状態で記憶される行動指示記憶部と、行動指示記憶部に記憶された段階的な複数の行動指示の中から次にオペレータに与える行動指示を選択する行動指示選択部と、行動指示選択部で選択された行動指示を画面又は音声により外部出力する行動指示出力部と、行動指示出力部を通じて外部出力された行動指示に従って行動したオペレータがその行動の結果に応じた回答を入力する回答入力部とを備え、行動指示記憶部に記憶された段階的な複数の行動指示の各々は、オペレータが与えられた行動指示に従って行動した結果に対して択一形式の回答で回答できる程度まで細分化されたものであり、行動指示選択部は、回答入力部から入力されたオペレータからの回答内容に基づいて、次にオペレータに与える行動指示を選択するものである部品実装関連装置のオペレータ支援装置。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点〕
本願補正発明は、「予め定められた優先順序」に基づいて、次にオペレータに与える行動指示を選択し、「前記優先順序としてエラーを解消した実績のある行動指示を優先することができ、前記優先順序は前記部品実装関連装置の製造元からの出荷時だけでなく、前記部品実装装置の使用をするオペレータがそれまでに蓄積した経験を活かして自由に設定でき」るのに対し、引用文献1に記載された発明は、かかる構成を備えない点。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。
引用文献2には、電子部品実装機が故障した場合に、過去の実績に基づいて復旧方法の表示順を決定し表示させることで、短時間で故障から復旧できる旨記載されている。

引用文献1に記載された発明と引用文献2の電子部品実装機とは、オペレータに対する作業を指示する点で共通するから、引用文献1に記載された発明において、引用文献2に記載された事項を適用して、「優先順序としてエラーを解消した実績のある行動指示を優先」し、当該「予め定められた優先順序」に基づいて、次にオペレータに与える行動指示を選択するようにすることは、当業者が容易になし得たことである。

また、引用文献3には、「ある作業を作業者が経験していくにつれ、そこで必要な指示内容は簡単で良くなる」(段落【0005】)点、及び「作業者操作記憶部にてその作業者個人の最適作業指示パターンとして記憶して置く。そして再びその作業者がその作業を行うとき作業者識別コード入力部にて作業者入力が行われると、前記作業者操作記憶部は作業指示パターン構成部に対して最適作業指示パターンの再構成を指示しその結果、最適作業指示パターンが出力される。」(段落【0007】)点、「作業者は作業者向け操作部25にてその旨を表す“もっと詳しく”ボタンを押す。すると指示内容変更要求送信部26と、ネットワークを経て作業内容変更部16に受領される。」点が記載されており、これらの記載からみて、引用文献3には、作業者操作記憶部及び作業指示パターン構成部によって、作業者がそれまでに蓄積した経験を活かした最適な作業指示が作業者の力量にあわせて出力されることが示唆されているといえる。

この点に対し、審判請求人は、審尋に対する平成24年8月8日付け回答書の中で「引用文献4(注:本審決における引用文献3)には作業指示の項目をカスタマイズすることについての記載はあるものの、その内容は(0009)に記載されているように、「“もっと詳しく”、“もっと簡単に”」といった作業内容の掘り下げ度のカスタマイズであって、そのカスタマイズの手順は当然ながら製造元が設定した基準に従うものと考えられ、本願発明のように、行動指示を示す優先順序を、オペレータの判断で変更し、カスタマイズし得るものではない。」旨主張しているが、部品実装装置において、各部品の組み付け手順等を経験に基づいて人的に決定することは、従来周知の技術であるから(例えば、特開平7-141438号公報の【従来の技術】の【0004】を参照。)、製造元が設定した基準ではなく、オペレータが自由に優先順序を設定することは当業者であれば適宜になし得ることである。

以上のとおりであるから、引用文献1に記載された発明において、引用文献2に記載された事項、引用文献3に示唆された事項及び周知技術を適用して、相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

また、本願補正発明の効果は、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項、引用文献3に示唆された事項及び周知技術から、当業者が予測できる範囲内のものであって、格別なものでない。

したがって、本願補正発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項、引用文献3に示唆された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、平成23年法律第63号改正附則第2条第18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1及び2に係る発明は、平成23年9月6日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「部品実装関連装置の操作を行うオペレータに対し、オペレータが次に行うべき行動を画面又は音声を介して指示してオペレータの支援を行う部品実装関連装置のオペレータ支援装置であって、オペレータに与える行動指示が段階的な複数の行動指示に分割された状態で記憶される行動指示記憶部と、行動指示記憶部に記憶された段階的な複数の行動指示の中から次にオペレータに与える行動指示を選択する行動指示選択部と、行動指示選択部で選択された行動指示を画面又は音声により外部出力する行動指示出力部と、行動指示出力部を通じて外部出力された行動指示に従って行動したオペレータがその行動の結果に応じた回答を入力する回答入力部とを備え、行動指示記憶部に記憶された段階的な複数の行動指示の各々は、オペレータが与えられた行動指示に従って行動した結果に対して択一形式の回答で回答できる程度まで細分化されたものであり、行動指示選択部は、回答入力部から入力されたオペレータからの回答内容及び予め定められた優先順序に基づいて、次にオペレータに与える行動指示を選択するものであり、
前記優先順序としてエラーを解消した実績のある行動指示を優先することができ、
前記優先順序は前記部品実装関連装置の製造元からの出荷時だけでなく自由に設定できることを特徴とする部品実装関連装置のオペレータ支援装置。」

2.引用文献の記載事項
引用文献1ないし3の記載事項は、前記第2.2.に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記第2.1.の本願補正発明から、発明を特定するために必要な事項である「自由に設定できる」について「前記部品実装装置の使用をするオペレータがそれまでに蓄積した経験を活かして」を省くものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、「前記部品実装装置の使用をするオペレータがそれまでに蓄積した経験を活かして」なる事項を付加して減縮したものに相当する本願補正発明が、前記第2.3.及び4.に記載したとおり、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項、引用文献3に示唆された事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、実質的に同様の理由により、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項、引用文献3に示唆された事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明(請求項1に係る発明)は、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項、引用文献3に示唆された事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願発明が特許を受けることができないものである以上、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-10-15 
結審通知日 2012-10-16 
審決日 2012-10-29 
出願番号 特願2007-304061(P2007-304061)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H05K)
P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長清 吉範奥村 一正  
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 冨岡 和人
窪田 治彦
発明の名称 部品実装関連装置のオペレータ支援装置及び支援方法  
代理人 藤井 兼太郎  
代理人 永野 大介  
代理人 内藤 浩樹  

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