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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1267448 |
審判番号 | 不服2010-21274 |
総通号数 | 158 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-02-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-09-22 |
確定日 | 2012-12-05 |
事件の表示 | 特願2004-212475「情報の検索俯瞰方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 2月 2日出願公開、特開2006- 31577〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は,平成16年7月21日の出願であって, 平成19年7月4日付けで審査請求がなされ,平成22年3月11日付けで審査官により拒絶理由が通知され,これに対して同年5月21日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたが,同年6月4日付けで審査官により拒絶査定がなされ,これに対して同年9月22日付けで審判請求がなされると共に手続補正がなされ,同年10月15日付けで審査官により特許法第164条第3項の規定に基づく報告がなされ,平成24年4月6日付けで当審により特許法第134条第4項の規定に基づく審尋がなされ,同年6月7日付けで回答書の提出があったものである。 第2.平成22年9月22日付けの手続補正の却下の決定 補正却下の決定の結論 平成22年 9月22日付け手続補正を却下する。 理由 1.補正の内容 平成22年9月22日付けの手続補正(以下,「本件手続補正」という)により,平成22年5月21日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲, 「 【請求項1】 検索対象の情報を計算機上において抽出したテキスト情報を分類し,該分類同士の関連性を計算し,俯瞰する情報の検索俯瞰方法であって,前記検索対象の情報からテキスト情報を抽出し,索引付けを行うステップと,ユーザからの検索質問の入力に対し与えられた検索質問にマッチする索引を付与されたテキスト情報を検索するとともに,該検索質問とのマッチングの度合いを計算し,情報間の関連性およびマッチングの度合いを反映させる位置にそれぞれの情報が配置され,前記情報間の関連性およびマッチングの度合いにより,情報間に関連付けマークを設ける処理をする視覚化ステップとを備えることを特徴とする情報検索俯瞰方法。 【請求項2】 検索対象の情報を計算機上において抽出したテキスト情報を分類し,該分類同士の関連性を計算し,俯瞰する情報の検索俯瞰方法であって,検索対象の情報からテキスト情報を抽出し,索引付けを行うステップと,ユーザからの検索質問の入力に対し与えられた検索質問にマッチする索引を付与されたテキスト情報を検索し,前記検索質問とのマッチングの度合いを計算し,情報間の関連性やマッチングの度合いを反映させて所定の位置に配置するとともに視覚化し,俯瞰表示処理するステップとを備え,PDF,Word,HTML,XML,CSV等の検索対象のテキスト情報から用語抽出エンジンを介してそこに含まれる用語を自動抽出するステップと,この抽出ステップから抽出された用語の相互の関連性を用語分類エンジンを介して計算して分類するステップと,この分類ステップで分類された用語の関連性の情報を用い,関連性抽出エンジンを介して関連性の情報の特徴量を検出し,その特徴量を基に情報の関連性を計算することで分類するステップと,ユーザからの検索質問の入力に対し,情報分類エンジンを介して与えられた検索質問にマッチする索引を付与されたテキスト情報を検索し,検索質問とのマッチングの度合いを整理するステップと,このステップで出力された検索質問にマッチする索引を付与されたテキスト情報と,前記分類ステップにより計算された情報間の関連性およびマッチングの度合いを反映させる位置にそれぞれの情報が配置され,前記情報間の関連性およびマッチングの度合いにより,情報間に関連付けマークを設ける処理をする視覚化ステップとを備えることを特徴とする情報検索俯瞰方法。 【請求項3】 前記視覚化ステップは,整理された情報に対して,リアルタイムで関連性の再計算を行うことと計算結果を視覚化に反映することで,just-in-timeに情報を俯瞰することができるステップであることを特徴とする請求項1,2のいずれかに記載の情報検索俯瞰方式。 【請求項4】 検索対象の情報のテキスト情報を複数の言語に翻訳して分類する多言語翻訳ステップをさらに備えることを特徴とする請求項1,2,3のいずれかに記載の情報検索俯瞰方法。 【請求項5】 検索対象の情報を計算機上において抽出したテキスト情報を分類し,該分類同士の関連性を計算し,俯瞰する情報の検索俯瞰させる処理を実行させるためのプログラムであって,PDF,Word,HTML,XML,CSV等の検索対象のテキスト情報からそこに含まれる用語を自動抽出する用語抽出手段と,抽出された用語の相互の関連性を計算して分類する用語分類手段と,分類された用語の情報を用い,対象とする情報の特徴量を検出し,その特徴量を基に情報の関連性を計算することで分類する関連性抽出手段と,ユーザからの検索質問の入力に対し,入力装置を介して与えられた検索質問にマッチする情報を検索し,検索質問とのマッチングの度合いを整理する情報分類手段と,出力された検索情報と,前記分類手段により計算された情報間の関連性やマッチングの度合いを反映させる位置にそれぞれの情報が配置され,情報間の関連性およびマッチングの度合いにより,情報間に関連付けマークを設けて視覚化し,俯瞰表示の処理をする視覚化手段とを備えることを特徴とする情報検索俯瞰装置。 【請求項6】 用語や検索キーワード等の言葉の関連性の情報をその関連性の度合いを反映させる位置に視覚化し,その視覚化により表現された関連する言葉を直接ポインティングデバイスにより指定するか,自動的に計算された質問拡張候補をその一覧より選択することで,検索に指定する質問文を自動的に作成し,検索の絞り込みを支援する手段をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の情報検索俯瞰装置。 【請求項7】 検索対象の情報を計算機上において抽出したテキスト情報を分類し,該分類同士の関連性を計算し,俯瞰する情報の検索俯瞰させる処理を実行させるためのプログラムであって,PDF,Word,HTML,XML,CSV等の検索対象のテキスト情報からそこに含まれる用語を自動抽出する用語抽出エンジンと,抽出された用語の相互の関連性を計算して分類する用語分類エンジンと,分類された用語の情報を用い,対象とする情報の特徴量を検出し,その特徴量を基に情報の関連性を計算することで分類する関連性抽出エンジンと,ユーザからの検索質問の入力に対し,入力装置を介して与えられた検索質問にマッチする情報を検索し,検索質問とのマッチングの度合いを整理する情報分類エンジンと,出力された検索情報と,前記分類エンジンにより計算された情報間の関連性およびマッチングの度合いにより,情報間に関連付けマークを設けて視覚化し,俯瞰表示の処理をする視覚化エンジンとを備えるプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正前の請求項」という)は, 「 【請求項1】 検索対象の情報を計算機上において抽出したテキスト情報を分類し,該分類同士の関連性を計算し,俯瞰する情報の検索俯瞰方法であって,前記検索対象の情報からテキスト情報を抽出し,索引付けを行うステップと,ユーザからの検索質問の入力に対し与えられた検索質問にマッチする索引を付与されたテキスト情報を検索するとともに,該検索質問とのマッチングの度合いを計算し,情報間の関連性およびマッチングの度合いを反映させる位置にそれぞれの情報が配置され,前記情報間の関連性およびマッチングの度合いにより,情報間に関連付けマークとしてカテゴリ別に表示したカテゴリマークおよびカテゴリマークに太さの異なるリンクを設ける処理をする視覚化ステップとを備えることを特徴とする情報検索俯瞰方法。 【請求項2】 検索対象の情報を計算機上において抽出したテキスト情報を分類し,該分類同士の関連性を計算し,俯瞰する情報の検索俯瞰方法であって,検索対象の情報からテキスト情報を抽出し,索引付けを行うステップと,ユーザからの検索質問の入力に対し与えられた検索質問にマッチする索引を付与されたテキスト情報を検索し,前記検索質問とのマッチングの度合いを計算し,情報間の関連性やマッチングの度合いを反映させて所定の位置に配置するとともに視覚化し,俯瞰表示処理するステップとを備え,PDF,Word,HTML,XML,CSV等の検索対象のテキスト情報から用語抽出エンジンを介してそこに含まれる用語を自動抽出するステップと,この抽出ステップから抽出された用語の相互の関連性を用語分類エンジンを介して計算して分類するステップと,この分類ステップで分類された用語の関連性の情報を用い,関連性抽出エンジンを介して関連性の情報の特徴量を検出し,その特徴量を基に情報の関連性を計算することで分類するステップと,ユーザからの検索質問の入力に対し,情報分類エンジンを介して与えられた検索質問にマッチする索引を付与されたテキスト情報を検索し,検索質問とのマッチングの度合いを整理するステップと,このステップで出力された検索質問にマッチする索引を付与されたテキスト情報と,前記分類ステップにより計算された情報間の関連性およびマッチングの度合いを反映させる位置にそれぞれの情報が配置され,前記情報間の関連性およびマッチングの度合いにより,情報間に関連付けマークとしてカテゴリ別に表示したカテゴリマークおよびカテゴリマークに太さの異なるリンクを設ける処理をする視覚化ステップとを備えることを特徴とする情報検索俯瞰方法。 【請求項3】 前記視覚化ステップは,整理された情報に対して,リアルタイムで関連性の再計算を行うことと計算結果を視覚化に反映することで,just-in-timeに情報を俯瞰することができるステップであることを特徴とする請求項1,2のいずれかに記載の情報検索俯瞰方式。 【請求項4】 検索対象の情報のテキスト情報を複数の言語に翻訳して分類する多言語翻訳ステップをさらに備えることを特徴とする請求項1,2,3のいずれかに記載の情報検索俯瞰方法。 【請求項5】 検索対象の情報を計算機上において抽出したテキスト情報を分類し,該分類同士の関連性を計算し,俯瞰する情報の検索俯瞰させる処理を実行させるためのプログラムであって,PDF,Word,HTML,XML,CSV等の検索対象のテキスト情報からそこに含まれる用語を自動抽出する用語抽出手段と,抽出された用語の相互の関連性を計算して分類する用語分類手段と,分類された用語の情報を用い,対象とする情報の特徴量を検出し,その特徴量を基に情報の関連性を計算することで分類する関連性抽出手段と,ユーザからの検索質問の入力に対し,入力装置を介して与えられた検索質問にマッチする情報を検索し,検索質問とのマッチングの度合いを整理する情報分類手段と,出力された検索情報と,前記分類手段により計算された情報間の関連性やマッチングの度合いを反映させる位置にそれぞれの情報が配置され,情報間の関連性およびマッチングの度合いにより,情報間に関連付けマークとしてカテゴリ別に表示したカテゴリマークおよびカテゴリマークに太さの異なるリンクを設けて視覚化し,俯瞰表示の処理をする視覚化手段とを備えることを特徴とする情報検索俯瞰装置。 【請求項6】 用語や検索キーワード等の言葉の関連性の情報をその関連性の度合いを反映させる位置に視覚化し,その視覚化により表現された関連する言葉を直接ポインティングデバイスにより指定するか,自動的に計算された質問拡張候補をその一覧より選択することで,検索に指定する質問文を自動的に作成し,検索の絞り込みを支援する手段をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の情報検索俯瞰装置。 【請求項7】 検索対象の情報を計算機上において抽出したテキスト情報を分類し,該分類同士の関連性を計算し,俯瞰する情報の検索俯瞰させる処理を実行させるためのプログラムであって,PDF,Word,HTML,XML,CSV等の検索対象のテキスト情報からそこに含まれる用語を自動抽出する用語抽出エンジンと,抽出された用語の相互の関連性を計算して分類する用語分類エンジンと,分類された用語の情報を用い,対象とする情報の特徴量を検出し,その特徴量を基に情報の関連性を計算することで分類する関連性抽出エンジンと,ユーザからの検索質問の入力に対し,入力装置を介して与えられた検索質問にマッチする情報を検索し,検索質問とのマッチングの度合いを整理する情報分類エンジンと,出力された検索情報と,前記分類エンジンにより計算された情報間の関連性およびマッチングの度合いにより,情報間に関連付けマークとしてカテゴリ別に表示したカテゴリマークおよびカテゴリマークに太さの異なるリンクを設けて視覚化し,俯瞰表示の処理をする視覚化エンジンとを備えるプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正後の請求項」という)に補正された。 2.補正の適否 (1)新規事項 本件手続補正が,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定を満たすものであるか否か,即ち,本件手続補正が,願書に最初に添付された明細書,請求の範囲,及び,図面(以下,これを「当初明細書等」という)の範囲内でなされたものであるかについて,以下に検討する。 ア.請求項1,請求項2,請求項5,及び,請求項7に関する補正について 本件手続補正は,補正前の請求項1,請求項2,請求項5,及び,請求項7に係る発明における発明特定事項である「関連付けマーク」を,「関連付けマークとしてカテゴリ別に表示したカテゴリマークおよびカテゴリマークに太さの異なるリンク」と補正することを含むものである。 しかしながら,当初明細書等には,「カテゴリマーク」という記載は存在しない。 「カテゴリ」という表現については,当初明細書等の段落【0002】に, 「また,例えば,検索サイトヤフーで提供されているような,カテゴリ検索におけるカテゴリ内の情報を利用し,検索された情報をその属するカテゴリ内の情報に基づき表示(リスト表示)あるいはグラフィカルに表示する検索方式は提案されているが,基本的には,あらかじめ決められた静的なカテゴリ内の情報を利用するため,ユーザの要求や視点に対して十分な対応ができないという問題があった」(下線は当審が説明の都合上附加したものである.以下,同じ), 同段落【0003】に, 「例えば,ハイパーリンクによる情報の関連性の定義と,その関連に基づいた分類や,あらかじめ分類されたカテゴリ情報により情報を分類し,提示する方式がある。しかし,上述の情報のリアルタイム性や,ユーザの視点の違いにより,必ずしも静的な分類が情報の獲得に有効だと言えないのが現状である」, 同段落【0004】に, 「本発明は以上のような従来の欠点に鑑み,検索対象に対して,あるキーワードとの関連性のみならず,その検索された情報間の関連性を動的かつリアルタイムに計算し,情報を整理した上で新たなカテゴリを自動的に生成しユーザに提示する情報の検索俯瞰方法および装置を提供することを目的とする」, 同段落【0026】に, 「本実施例では「カテゴリA」,「カテゴリB」,「カテゴリC」のカテゴリ別に表示することもできる」, 同段落【0034】に, 「【図15】本発明を実施するための最良の第1の形態のカテゴリー分別処理の概念図」, という記載が存在するのみであり,上記引用の記載からは,「カテゴリマーク」,及び,“「カテゴリマーク」を設ける処理”を読み取ることはできない。 そして,「関連付けマーク」については,当初明細書等の段落【0017】に, 「前記情報間の関連性やマッチングの度合いを反映させる位置にそれぞれの情報が配置され,情報間の関連性やマッチングの度合いにより,情報間に関連付けマーク15,本実施例ではラインを設けて整理し,視覚化して俯瞰表示の処理をする視覚化ステップ16とを備えている」, 同段落【0024】に, 「画面へ情報の関連性を描画に際し,各情報をノードNに割り当て,意味的関連性が大きいほど,ノード間の物理的距離を短くし,またノード間のリンクの太さ,すなわち前記関連付けマーク15を太くし,すべての対象とする情報を画面上の任意個所に最適配置することで,情報間の関連性を視覚化することができる」, 同段落【0026】に, 「情報間の関連性が強ければ強いほど,太く,濃く関連付けマーク15で結ばれる」, 同段落【0034】に,「15:関連付けマーク」, と記載されていて,これらの記載から,「関連付けマーク」が,「ライン」,或いは,「リンク」といった“線分”であることは読み取れるので, “関連付けマークとして太さの異なるリンクを設ける”, ことは読み取れるが,上述したとおり,当初明細書等には,「カテゴリマーク」が存在しておらず,また,上記で検討したとおり,当初明細書等においては,「関連付けマーク」は,「ライン」,或いは,「リンク」といった“線分”を表現したものであって,当初明細書等の【図14】に示された,丸みのある四角に囲われた「カテゴリA」,及び,「カテゴリB」,或いは,同【図16】に示された,同じく丸みのある四角に囲われた「A」,「B」,及び,「C」が,「関連付けマーク」を意味しないことは明らかであるから,当初明細書等に記載の内容からは, “関連付けマークとしてカテゴリ別に表示したカテゴリマークを設ける”,及び, “該カテゴリマークに太さの異なるリンクを設ける” ことは読み取れない。 以上のとおりであるから,補正後の請求項1,請求項2,請求項5,及び,請求項7に記載の, 「関連付けマークとしてカテゴリ別に表示したカテゴリマークおよびカテゴリマークに太さの異なるリンクを設ける処理をする」 は,当初明細書等に記載されたものではない。 よって,本件手続補正は,当初明細書等の記載の範囲内でなされたものではない。 イ.新規事項むすび したがって,本件手続補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 (2)独立特許要件 上記“(1)新規事項”で検討したとおり,本件手続補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであるが,仮に,本件手続補正が,当初明細書等の記載の範囲内でなされたものであるとして,本件手続補正が,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定を満たすものであるか否か,即ち,本件手続補正により補正された請求項に係る発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものである否かについて,以下に検討する。 ア.特許法36条6項1号について 補正後の請求項1,請求項2,請求項5,及び,請求項7に記載された, 「関連付けマークとしてカテゴリ別に表示したカテゴリマークおよびカテゴリマークに太さの異なるリンクを設ける処理をする」, は,上記“(1)新規事項”で検討したとおり,本願明細書の発明の詳細な説明に記載されていないので, 本願の請求項1,請求項2,請求項5,及び,請求項7は,発明の詳細な説明に記載されたものではない。 イ.特許法36条6項2号について 補正後の請求項1,請求項2,請求項5,及び請求項7に記載の, 「関連付けマークとしてカテゴリ別に表示したカテゴリマークおよびカテゴリマークに太さの異なるリンクを設ける処理をする」, において,「カテゴリマーク」は,どのようなもので,どのようにして設けられるのか, 補正後の請求項1,請求項2,請求項5,及び請求項7の記載内容からは不明であり,これらの請求項以外の請求項の記載を加味しても不明である。 そこで,本願明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌すると,上記“(1)新規事項”の項目で検討したとおり,「関連付けマーク」とは,「ライン」,或いは,「リンク」を示すものと解される。一方,補正後の請求項1,請求項2,請求項5,及び請求項7に記載の,「カテゴリマークに太さの異なるリンクを設ける」という内容からは,「カテゴリマーク」と,「リンク」とは別のものであると解される。 よって,本願明細書の発明の発明の詳細な説明に記載の内容を参酌しても,「ライン」,或いは,「リンク」とは異なる「カテゴリマーク」とは,どのようなものであって,どのようにして設けているのか不明である。 よって,補正後の請求項1,請求項2,請求項5,及び請求項7に係る発明は,明確でない。 ウ.特許法36条4項1号について 補正後の請求項1,請求項2,請求項5,及び請求項7に記載の, 「関連付けマークとしてカテゴリ別に表示したカテゴリマークおよびカテゴリマークに太さの異なるリンクを設ける処理をする」に関して,「関連付けマーク」,及び,「カテゴリ」について,本願明細書の発明の詳細な説明には,上記“(1)新規事項”の項目で引用した程度の記載しか存在しておらず,上記“(1)新規事項”の項目で指摘したとおり,本願明細書の発明の詳細な説明には,「カテゴリマーク」が存在せず,また,補正後の請求項1,請求項2,請求項5,及び請求項7に係る発明における「カテゴリマーク」は,上記“2-2.独立特許要件”の項目イで指摘したように,「リンク」とは異なるものであるから,本願明細書の発明の詳細な説明に記載の「関連付けマーク」とは,明らかに異なるものである。そして,上記で引用した本願明細書の段落【0026】の記載によれば「太さの異なる」のは,「関連付けマーク」そのものである。 以上に検討した事項から,本願明細書の発明の詳細な説明に記載の内容からは,どのようにして,「関連付けマーク」とは,異なる「カテゴリマーク」を,「関連付けマーク」として設定し,該設定された「カテゴリマーク」に対して,本来は「関連付けマーク」である「太さの異なるリンク」をどのようにして設定するのか不明であるから, よって,本願明細書の発明の詳細な説明は,経済産業省令で定めるところにより,その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記述したものでない。 以上検討したとおり,本願は,特許法36条4項1号,6項1号及び2号に規定する要件を満たしていないので,本願の請求項に係る発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができない。 エ.独立特許要件むすび よって,本件手続補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.補正却下むすび したがって,上記“(1)新規事項”で検討したとおり,本件手続補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 仮に本件手続補正が,願書に最初に添付した,明細書,特許請求の範囲及び図面の範囲内でなされたものであるとしても, 上記“(2)独立特許要件”で検討したとおり,本件手続補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって,補正却下の決定の結論のとおり決定する。 第3.本願発明について 平成22年9月22日付けの手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明は,平成22年5月21日付けの手続補正により補正された,上記において,補正前の請求項1として引用した次のとおりのものである。 「検索対象の情報を計算機上において抽出したテキスト情報を分類し,該分類同士の関連性を計算し,俯瞰する情報の検索俯瞰方法であって,前記検索対象の情報からテキスト情報を抽出し,索引付けを行うステップと,ユーザからの検索質問の入力に対し与えられた検索質問にマッチする索引を付与されたテキスト情報を検索するとともに,該検索質問とのマッチングの度合いを計算し,情報間の関連性およびマッチングの度合いを反映させる位置にそれぞれの情報が配置され,前記情報間の関連性およびマッチングの度合いにより,情報間に関連付けマークを設ける処理をする視覚化ステップとを備えることを特徴とする情報検索俯瞰方法。」 第4.引用刊行物に記載の発明 一方,原審が拒絶理由に引用した,本願の出願前に既に公知である,「高間 康史,WWW上の情報収集/可視化のための免疫ネットワークを用いたクラスタリング,第46回 人工知能基礎論研究会資料,第54回 知識ベースシステム研究会資料,日本,社団法人人工知能学会,2001年11月12日,第61頁乃至第66頁」(以下,これを「引用刊行物1」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。 A.「1.各文書から,形態素解析ツール「茶筅Ver.2.02」を利用して,固有名詞中心にキーワードを抽出する. 2.抽出したキーワードを元に,2.3節で示した手順に基づいて活性伝搬を行い,1500ステップ後に高活性化しているキーワード集合を抽出する. 3.抽出した高活性化キーワードそれぞれについて,それを含む文書でクラスタを生成する.」(64頁左欄27?34行) B.「キーワードマップを提示して検索結果中の話題分布を可視化し,次回以降の検索におけるクエリー生成を支援するシステム[9]などがある. また,文書クラスタリングが検索結果の閲覧を容易にする事が主目的であるのに対し,キーワード間の類似性(距離)を元に,キーワードを二次元空間に配置するキーワードマップは,文書集合に含まれる話題分布を提示するのに有効であり,テキストマイニング[15]や発想支援システム[14]などでも利用されている.本稿で提案する手法は,話題分布を反映してキーワードの活性度を計算するため,文書クラスタリングだけでなくキーワードマップ生成にも有効である.すなわち,ある話題に対応するキーワード群は,クラスタ識別子が高活性化し,関連キーワードを抑制する形になっている[12].従って,キーワード活性度をキーワードサイズで表し,キーワード間の距離だけを反映した通常のキーワードマップと組み合わせることにより,話題分布の状況をより明確にする事ができる.」(64頁右欄51頁?65頁左欄13行) C.「キーワードマップはキーワード間の関係を2(あるいは3)次元空間における距離として表現するが・・・・(中略)・・・・解釈の際のランドマークとすべき少数のキーワードの指摘,キーワード間の距離以外の特徴量としてキーワード活性度の提示(図3ではキーワードのサイズで表現)を,図2と同様に行う・・・・(中略)・・・・またリンクを持つキーワード(図では「メディア」,「問題」など)は,リンク中央に示されたキーワード(図では「感性」)をクエリーとして検索した際にランドマークとして共起した事を示す,クエリーはユーザの知りたい話題(親概念)に対応しており,その検索結果について共起するランドマークは,その話題を分割する話題(子概念)と見なすことができる.」(65頁右欄14行?66頁左欄17行) 1.上記Aの「各文書から,形態素解析ツール「茶筅Ver.2.02」を利用して,固有名詞中心にキーワードを抽出する」という記載から,引用発明において,“文書から,キーワードを抽出する”点が読み取れ,同じく上記Aの「抽出したキーワードを元に・・・高活性化しているキーワード集合を抽出する」という記載において,“高活性化しているキーワード集合を抽出する”ということは,“キーワードの集合を,活性化度に応じて分類する”ことに他ならず,このことと,上記Bの「本稿で提案する手法は,話題分布を反映してキーワードの活性度を計算する」という記載から,引用刊行物1には,“抽出したキーワードを,話題分布を反映してキーワードが高活性か否かで分類する”ことが記載されていると読み取れる。 2.上記Bの「キーワードマップを提示して検索結果中の話題分布を可視化し,次回以降の検索におけるクエリー生成を支援するシステム」という記載,同じく,上記Bの「本稿で提案する手法は・・・キーワードマップ生成にも有効である」という記載から,引用刊行物1には,“キーワードマップを提示して検索結果中の話題分布を可視化する方法”が 記載されていることが読み取れる。 3.上記Cの「リンク中央に示されたキーワード(図では「感性」)をクエリーとして検索した際にランドマークとして共起した事を示す,クエリーはユーザの知りたい話題(親概念)に対応」という記載から,引用刊行物1においては,“ユーザの知りたい話題に対応するキーワードをクエリとして検索が行われる”点が記載されていると読み取れ,また,前記引用の記載,及び,上記Bの「キーワード間の類似性(距離)を元に,キーワードを二次元空間に配置するキーワードマップ」という記載,並びに,上記Cの「キーワードマップはキーワード間の関係を2(あるいは3)次元空間における距離として表現する」という記載から,引用刊行物1には,“検索キーワードに対するキーワードの類似性を距離で表現し,二次元空間,或いは,三次元空間に配置するキーワードマップを作成する”が記載されていることが読み取れる。 4.上記2で引用した,上記Cの記載,及び,同じく,上記Cの「リンクを持つキーワード(図では「メディア」,「問題」など)」という記載,並びに,上記3で検討した事項から,引用刊行物1においては,“キーワード間をリンクで接続する”態様が記載されていると読み取れ,特に,上記3で引用した,「リンク中央に示されたキーワード(図では「感性」)をクエリーとして検索した際にランドマークとして共起した事を示す」という記載から,“リンク付けられているキーワード”は,“検索キーワードと共起した”,即ち,関連している“キーワード”であると解され,また,該“リンクで接続する”のは,上記3で検討した,“二次元空間,或いは,三次元空間に表示する”時点であると解される。 よって,上記1?4において検討した事項から,引用刊行物1には,次の発明(以下,「引用発明」という)が記載されているものと認める。 キーワードマップを提示して検索結果中の話題分布を可視化する方法であって,文書から,キーワードを抽出し,抽出したキーワードを,話題分布を反映してキーワードが高活性か否かで分類し,ユーザの知りたい話題に対応するキーワードをクエリとして検索し,検索キーワードに対するキーワードの類似性を距離で表現し,検索キーワードに関連するキーワードをリンクで接続して,二次元空間,或いは,三次元空間に配置するキーワードマップを作成する,可視化する方法。 第5.本願発明と引用発明との対比 1.引用発明においても,「二次元空間,或いは,三次元空間に配置するキーワードマップを作成」しているのであるから,結果として作成される「キーワードマップ」は,“キーワードの俯瞰図”になっていることは明らかである。 そして,引用発明における「キーワード」は,“検索対象の情報を抽出したもの”であるから, 本願発明における「検索対象の情報を抽出したテキスト情報」に相当し, 引用発明における「抽出したキーワードを,話題分布を反映してキーワードが高活性か否かで分類し」から,引用発明においても「キーワード」の分類は行っている。 そして,引用発明における一連の処理は,コンピュータを用いて行われていることも明らかであるから, よって,引用発明における「キーワードマップを提示して検索結果中の話題分布を可視化する方法」と, 本願発明における「検索対象の情報を計算機上において抽出したテキスト情報を分類し,該分類同士の関連性を計算し,俯瞰する情報の検索俯瞰方法」とは, “検索対象の情報を計算機上において抽出したテキスト情報分類し俯瞰する方法” である点で共通する。 2.引用発明における「キーワードを抽出し」が,本願発明における「検索対象の情報からテキスト情報を抽出し」に相当する。 3.引用発明における「ユーザの知りたい話題に対応するキーワードをクエリとして」が, 本願発明における「ユーザからの検索質問の入力に対し与えられた検索質問」に相当するので, 引用発明における「ユーザの知りたい話題に対応するキーワードをクエリとして検索し」と, 本願発明における「ユーザからの検索質問の入力に対し与えられた検索質問にマッチする索引を付与されたテキスト情報を検索する」とは, “ユーザからの検索質問の入力に対し与えられた検索質問にマッチするテキスト情報を検索する”点で共通する。 4.引用発明において,「検索キーワードに対するキーワードの類似性を距離で表現」することは,「類似性を距離で表現」するための計算を行っていることは明らかであるから, 引用発明における「検索キーワードに対するキーワードの類似性を距離で表現」することが, 本願発明における「該検索質問とのマッチングの度合いを計算し,情報間の関連性およびマッチングの度合いを反映させる位置にそれぞれの情報が配置され」に相当する。 そして,上記で検討した点は,本願発明における「分類同士の関連性を計算し」にも対応するので,上記1で検討した点と併せると, 引用発明における「キーワードマップを提示して検索結果中の話題分布を可視化する方法」は, 本願発明における「検索対象の情報を計算機上において抽出したテキスト情報を分類し,該分類同士の関連性を計算し,俯瞰する情報の検索俯瞰方法」に相当する。 5.引用発明における「リンク」は,「キーワード」間の関係を示す,一種の“マーク”であるから, 引用発明における「検索キーワードに関連するキーワードをリンクで接続」することと, 本願発明における「前記情報間の関連性およびマッチングの度合いにより,情報間に関連付けマークを設ける」とは, “情報間に関連付けマークを設ける”点で共通し, 引用発明において,「二次元空間,或いは,三次元空間に配置するキーワードマップを作成」して,「可視化」することと, 本願発明において,「視覚化ステップ」とは, “視覚化する”点で共通するので, 以上1?5で検討したことから,本願発明と,引用発明との一致点,及び,相違点は,次のとおりである。 [一致点] 検索対象の情報を計算機上において抽出したテキスト情報を分類し,該分類同士の関連性を計算し,俯瞰する情報の検索俯瞰方法であって,検索対象の情報からテキスト情報を抽出し,ユーザからの検索質問の入力に対し与えられた検索質問にマッチするテキスト情報を検索し,該検索質問とのマッチングの度合いを計算し,情報間の関連性およびマッチングの度合いを反映させる位置にそれぞれの情報が配置され,情報間に関連付けマークを設ける処理をして,視覚化することを備える,俯瞰する方法 [相違点1] 本願発明においては,抽出した「テキスト情報」に,「索引付けするステップ」が存在するのに対して,引用発明においては,抽出した「キーワード」に「索引付け」を行っているか示されていない点。 [相違点2] “ユーザからの検索質問の入力に対し与えられた検索質問にマッチするテキスト情報を検索”する点に関して, 本願発明においては,「ユーザからの検索質問の入力に対し与えられた検索質問にマッチする索引を付与されたテキスト情報を検索する」のに対して, 引用発明においては,「索引を付与されたテキスト情報を検索する」点が示されていない点。 [相違点3] “情報間に関連付けマークを設ける処理”に関して, 本願発明においては,「情報間の関連性およびマッチングの度合いにより,情報間に関連付けマークを設ける」のに対して, 引用発明においては,「マッチングの度合い」は“キーワード間の距離”に反映されるものであって,「リンク」に対応するかについては言及されていない点。 第6.当審の判断 1.[相違点1],及び,[相違点2]に関して “抽出した「テキスト情報」に,「索引付けする」”こと,及び,「索引を付与されたテキスト情報を検索する」ことは, 例えば,本願の出願前に既に公知である,特開2002-073680号公報(平成14年3月12日公開,以下,これを「周知文献1」という)に, D.「【0025】続いて,形態素解析により抽出された単語それぞれ(検索語群)を,技術情報の内容を加味した重み(ウエイト)をつけて数値情報(ベクトル)化する(ステップS4)。この処理は検索語群のインデキシングと呼ばれており,この処理で生成される数値情報を以下では単語ベクトルと呼ぶ。例えば,データベース装置内のどのファイルにも頻出する用語や,接頭語・接尾語などは重要度が低いと判断してウエイトを低くし,特定の技術情報ファイルにのみ頻出する用語は,その技術情報を代表する単語とみなしてウエイトを高くする。」 E.「【0033】一方,ユーザが入力した検索文も,形態素解析されて,各単語ごとに単語ベクトルが生成される(ステップS25?S27)。 【0034】続いて,検索文の単語ベクトルと技術情報データベース装置4に登録された各単語ベクトルとの間で内積を演算し(ステップS28),その演算結果に基づいて類似度を判定する(ステップS29)。」 と記載されてもいるように,情報検索の技術分野において,“インデックスの附与”と,該“インデックス”に基づく情報検索は,周知の技術事項であり,引用発明においても,形態素解析により抽出した「キーワード」に,“インデックス”を附与すること,それに基づいて検索するようにすることは,当業者が適宜なし得る事項である。 よって,相違点1,及び,相違点2は,格別のものではない。 2.[相違点3]に関して 「情報間の関連性およびマッチングの度合いにより,情報間に関連付けマークを設ける」点については,原審が,拒絶査定時の備考において,周知文献として提示した,本願の出願前に既に公知である,特開平09-311866号公報(平成9年12月2日公開,以下,これを「周知文献2」という)に, F.「【0033】別の提示方法として,図8のように,情報レコード間の関係の強弱が基準値q以上となる情報レコードを表すノードを2次元平面上に配置し,情報レコード間の関係の強弱に従ってノード間をリンクして(強弱をリンクの太さで表すなど),関係グラフ表示する。その際,任意の1組の情報レコードx-x’間の関係の強弱R(x,x’)を,各々の情報レコードに対する関連度p(x,θ)とp(x’,θ)の値に従って算出する。例えば,関連度の積:R(x,x’)=p(x,θ)×p(x’,θ)や,関連度の平均値:R(x,x’)=(p(x,θ)+p(x’,θ))/2で算出する。また,m個の各ノードxを2次元配置する方法としては,図8のように,360/m度ずつの角度で時計回りに1周しながら,関連度p(x,θ)に比例した半径でノードを配置すれば,関係の強い情報レコードが外側になって多角形をなすように配置されるので,バランスが良い。あるいは,バランスは気にせず,より単純に,各ノードをランダムに2次元配置するだけでもよい。さらに,基準値qを変化させて,例えば,その値を段階的に小さくすれば,互いに関係が強い情報レコードから徐々に弱い関係を持つ情報レコードまで,概要的な関係から詳細な関係までを表示することができる。」 と記載されているように,“情報間の関係の度合いによって,情報間に配置するリンク等の印を設定する”ことは,本願の出願時点で,既に周知の技術手法である。 よって,引用発明においても,“リンクに情報間の関連性の度合いを反映させる”ようにすることは,当業者が適宜行い得る事項である。 よって,相違点3は,格別のものではない。 上記で検討したごとく,相違点1?3はいずれも格別のものではなく,そして,本願発明の構成によってもたらされる効果も,当業者であれば容易に予測できる程度のものであって,格別なものとは認められない。 以上のとおりであるから,本願発明は,引用発明,及び,周知文献1,周知文献2に記載の周知技術とから,当業者が容易になし得たものである。 第7.むすび したがって,本願発明は,本願の特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-09-19 |
結審通知日 | 2012-09-25 |
審決日 | 2012-10-16 |
出願番号 | 特願2004-212475(P2004-212475) |
審決分類 |
P
1
8・
561-
Z
(G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F) P 1 8・ 575- Z (G06F) P 1 8・ 536- Z (G06F) P 1 8・ 537- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 紀田 馨 |
特許庁審判長 |
山崎 達也 |
特許庁審判官 |
石井 茂和 原 秀人 |
発明の名称 | 情報の検索俯瞰方法および装置 |
代理人 | 三浦 光康 |
代理人 | 三浦 光康 |
代理人 | 三浦 光康 |