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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 G11B |
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管理番号 | 1267463 |
審判番号 | 不服2011-13354 |
総通号数 | 158 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-02-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-06-22 |
確定日 | 2012-12-05 |
事件の表示 | 特願2008- 32330「再生方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 7月31日出願公開、特開2008-176918〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成16年3月26日(パリ条約による優先権主張 平成15年3月28日 韓国(KR)、平成15年3月31日 米国(US)、平成15年11月19日 韓国(KR))を国際出願日とする特願2006-507774号の一部を平成20年2月13日に新たな特許出願としたものであって、平成22年10月22日付け拒絶理由通知に対して、平成23年2月1日付けで手続補正がなされたが、同年2月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月22日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに同日付けで手続補正がなされた。 その後、平成23年12月21日付けで前置報告書を利用した審尋がなされ、平成24年4月4日付けで回答書が提出されたものである。 第2 平成23年6月22日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成23年6月22日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本件補正 平成23年6月22日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について、本件補正前に、 「【請求項1】 メインストリームデータのパケット化において使用されるメインストリームATCと、前記パケット化されたメインストリームデータのデコードにおいて使用されるメインストリームSTCとを用いてメインストリームデータを再生する段階と、 前記メインストリームATCから独立し、サブオーディオデータのパケット化において使用されるサブオーディオATCと、前記メインストリームデSTCから独立し、前記デパケット化されたサブオーディオデータのデコードにおいて使用されるサブオーディオSTCとを用いて、前記メインストリームデータに別途に付加されたサブオーディオデータを再生する段階とを含む再生方法。 【請求項2】 前記メインストリームデータを再生する段階は、 前記メインストリームATCを用いて前記メインストリームデータをデパケット化する段階と、 前記メインストリームSTCを用いて前記メインストリームデータをデコードする段階とを含み、 前記サブオーディオデータを再生する段階は、 前記サブオーディオATCを用いて前記サブオーディオデータをデパケット化する段階と、 前記サブオーディオSTCを用いて前記でパケット化されたサブオーディオデータをデコードする段階とを含むことを特徴とする請求項1に記載の再生方法。 【請求項3】 前記サブオーディオSTCは、前記サブオーディオデータのプログラムクロックレファレンスによりリセットされることを特徴とする請求項1に記載の再生方法。」 とあったものを、本件補正後、 「【請求項1】 メインストリームデータのパケット化において使用されるメインストリームATCと、前記パケット化されたメインストリームデータのデコードにおいて使用されるメインストリームSTCとを用いてメインストリームデータを再生する段階と、 前記メインストリームATCから独立し、サブオーディオデータのパケット化において使用されるサブオーディオATCと、前記メインストリームデSTCから独立し、前記デパケット化されたサブオーディオデータのデコードにおいて使用されるサブオーディオSTCとを用いて、前記メインストリームデータに別途に付加されたサブオーディオデータを再生する段階とを含み、 前記メインストリームデータを再生する段階は、 前記メインストリームATCを用いて前記メインストリームデータをデパケット化する段階と、 前記メインストリームSTCを用いて前記メインストリームデータをデコードする段階とを含み、 前記サブオーディオデータを再生する段階は、 前記サブオーディオATCを用いて前記サブオーディオデータをデパケット化する段階と、 前記サブオーディオSTCを用いて前記でパケット化されたサブオーディオデータをデコードする段階とを含む、再生方法。 【請求項2】 前記サブオーディオSTCは、前記サブオーディオデータのプログラムクロックレファレンスによりリセットされることを特徴とする請求項1に記載の再生方法。」 と補正しようとするものである。 本件補正の具体的内容は、本件補正前の請求項1に本件補正前の請求項2に記載された「前記メインストリームデータを再生する段階は、前記メインストリームATCを用いて前記メインストリームデータをデパケット化する段階と、前記メインストリームSTCを用いて前記メインストリームデータをデコードする段階とを含み、前記サブオーディオデータを再生する段階は、前記サブオーディオATCを用いて前記サブオーディオデータをデパケット化する段階と、前記サブオーディオSTCを用いて前記でパケット化されたサブオーディオデータをデコードする段階とを含む」を付加して発明特定事項を限定し、本件補正前の請求項2を削除すると共に請求項の項番を整理したものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号及び第2号に掲げる請求項の削除及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後における請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか)否かについて、以下検討する。 2.先願発明 原査定の拒絶の理由に引用された他の特許出願であって、本願の優先日前の平成15年2月24日の優先日を有し、本願の優先日後である平成16年10月14日に国際公開された特願2006-507738号(国際公開第2004/088661号参照)の国際出願日(平成16年2月24日)における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、以下の技術事項が記載されている。なお、下記の摘示事項の記載箇所は、特願2006-507738号の公表公報である、特表2006-522554号公報にしたがって記載し、下線は当審で付与した。 (1)「【請求項24】 記録媒体から静止画像データとオーディオデータを再生する方法において、 前記記録媒体から再生された静止画像データを基礎にして、前記静止画像データに対する第1のSTCを生成するステップと、 前記記録媒体から再生されたオーディオデータを基礎にして、前記オーディオデータに対する第2のSTCを生成するステップと、 前記第1のSTCを基礎にして前記記録媒体から再生された静止画像データを復号するステップと、 前記第2のSTCを基礎にして前記記録媒体から再生されたオーディオデータを復号するステップと、 を備えることを特徴とする方法。 【請求項25】 記録媒体から静止画像データとオーディオデータを再生する装置において、 第1システム時間(STC)を基礎にして静止画像データを復号するデコーダと、 前記第1のSTCとは独立した第2のSTCを基礎にしてオーディオデータを復号するデコーダと、 を備えることを特徴とする装置。」(特許請求の範囲) (2)「【0001】 本発明は静止画像データとオーディオデータを再生および記録する方法と装置、ならびに静止画像およびオーディオデータの再生を管理するためのデータ構造を有する記録媒体に関する。」 (3)「【0009】 また、本発明によるデータ構造を記録し再生して、本発明によるスライドショーを記録し再生する装置および方法が提示される。」 (4)「【0014】 CLIPINFディレクトリには、各A/Vストリームファイルに連係するクリップ情報ファイルが含まれる。クリップ情報ファイルは、連係するA/Vストリームのタイプ、シーケンス情報、プログラム情報、およびタイミング情報が含まれる。シーケンス情報は、到着時間基準(ATC)とシステム時間基準(STC)のシーケンスを説明する。例えば、シーケンス情報はシーケンスの数、各シーケンスの開始および終了時間情報、各シーケンスでの1番目のソースパケットのアドレス、および各シーケンスでのトランスポートパケットのPIDを示す。プログラムのコンテンツが絶え間のないものにおけるソースパケットのシーケンスは、プログラムシーケンスと呼ばれる。プログラム情報は、プログラムシーケンスの数、各プログラムシーケンスの開始アドレス、およびプログラムシーケンスにあるトランスポートパケットのPIDを指す。 【0015】 タイミング情報は、特徴ポイント情報(CPI:Characteristic Point Information)と呼ばれる。CPIの1つの形態がエントリーポイント(EP:Entry Point)マップ(Map)である。EPマップは、例えば到着時間(ATC)および/またはシステム時間(STC)を基準にして、プレイゼンテーションタイムスタンプ(PTS:Presentation Time Stamp)をソースパケット番号(SPN:Source Packet Number)のようなソースパケットアドレスにマップする。プレイゼンテーションタイムスタンプとソースパケット番号は、A/Vストリームにあるエントリーポイント(EP)と関連づけられる。すなわち、PTSとこれと関連したSPNは、A/Vストリームのエントリーポイント(EP)を指す。指されたパケットは、しばしばエントリーポイントパケットと呼ばれる。 【0016】 PLAYLISTディレクトリには、1つ以上のプレイリストファイルがある。プレイリストは、再生用クリップを簡単に編集したり組み合わせたりするために導入された概念である。プレイリストファイルは、クリップにある再生区間(Playing Intervals)の集合であって、各再生区間はプレイアイテム(Playitem)と呼ばれる。プレイリストファイルは、プレイリストを形成する各プレイアイテムを識別して、各プレイアイテムは、例えばATCまたはSTCを基準にするプレイゼンテーションタイムスタンプのような、クリップの時間軸上の位置を指すIN-pointおよびOUT-pointの対である。プレイリストファイルは、クリップファイルの時間軸上の位置を指し示すIN-pointおよびOUT-pointの対を、これもまた提供するサブプレイアイテム(sSub-playitem)も含むことができる。言い換えると、プレイリストファイルは、プレイアイテムおよびサブプレイアイテムを識別し、各プレイアイテムまたはサブプレイアイテムは、1つのクリップファイルまたはその一部を指してクリップファイルと連係するクリップ情報ファイルを識別する。クリップ情報ファイルは、プレイアイテムをソースパケットのクリップファイルにマップするのに使われる。プレイリストはクリップファイル内の特定位置(例えば、特定アドレス)を指し示すプレイリストマーク(Playlist mark)も含むことができる。」 (5)「【0021】 BD-ROMのような新しい高密度の記録媒体の記憶容量は大きいため、スチル映像は、例えばスライドショーのように、系統的な方式および/またはユーザ対話型の(Interactive)方式によって記録され再生されることができる。本発明による、高密度光ディスクでスチル映像の再生を管理するためのデータ構造が、スチル映像の記録および再生に関する本発明による方法および装置発明と共に説明される。」 (6)「【0025】 図4には、図3を参照して説明した静止画像ファイルの再生を制御するためのプレイリストが図示されている。示されたように、プレイリスト内のプレイアイテム(PlayItem)には、再生する静止画像ファイル内のスチル映像の開始位置と終了位置にそれぞれ対応するインピクチャ(IN_picture)情報とアウトピクチャ(OUT_picture)情報が含まれる。プレイリスト内のサブプレイアイテム(SubPlayItem)には、静止画像ファイルと関連付けられて再生される別途のオーディオファイルに対するサブプレイアイテムインタイム(SubPlayItem_IN_time)情報とサブプレイアイテムアウトタイム(SubPlayItem_OUT_time)情報が含まれる。オーディオデータは、関連付けられたスチル映像と同期してまたは非同期で再生され得る。」 (7)「【0034】 ビデオデコーダ127は静止画像データを復号し、グラフィックデコーダ128はグラフィックデータを復号し、字幕デコーダ129は字幕データを復号して、1つの静止画像、関連したグラフィックおよび字幕データが、例えば同期して再生される。 【0035】 同様に、マイクロコンピュータ131は、スイッチ120の動作を制御して、光ディスクから読み出すオーディオデータAをトラックバッファ121に選択的に出力する。TSデマルチプレクサ122は、トラックバッファ121に一時的に保存されたオーディオデータストリームのパケットID(PID)を参照して、オーディオデータをオーディオバッファ126に分離して出力する。 【0036】 TSデマルチプレクサ122は、再生されるオーディオデータストリームから各オーディオプレイゼンテーションタイムスタンプ(A_PTS)を分離して、オーディオデコーダ130に送る。また、TSデマルチプレクサ122は、再生されるオーディオデータストリームからオーディオプログラムクロックレファレンス(A_PCR)を分離して第1のSTC生成器140に送るが、第1のSTC生成器140はA_PCRをカウントしてオーディオSTC(A_STC)を生成して、A_STCはオーディオデコーダ130に送られる。オーディオデコーダ130は、A_PCRとA_STCを比較して、その値が一致する時点にデコーディングされたオーディオを出力する。 【0037】 同様な方法によって、TSデマルチプレクサ122は、再生される静止画像データストリームから各静止画像プレイゼンテーションタイムスタンプ(S_PTS)を分離して、ビデオデコーダ127、グラフィックデコーダ128および字幕デコーダ129により構成されるMPEGデコーダ170に送る。また、TSデマルチプレクサ122は、再生される静止画像データストリームから静止画像プログラムクロックレファレンス(S_PCR)を分離して第2のSTC生成器141に送るが、第2のSTC生成器141はS_PCSR」をカウントして静止画像STC(S_STC)を生成して、S_STCはMPEGデコーダ170に送られる。 【0038】 MPEGデコーダ170は、S_PCRとS_STCを比較して、その値が一致する時点に静止画像を出力する。静止画像のプレイゼンテーション時間が無限である場合、マイクロコンピュータ131は第2のSTC生成器(141)を制御して、カウンティング動作を中止させる。 【0039】 ユーザのキー入力によって静止画像が表示される場合、マイクロコンピュータ131は、表示される静止画像から読み出すPCRを第2のSTC生成器141にローディングさせて、PCRカウンティング動作が再開されるようにする。 【0040】 これにより、光ディスク再生装置は、第1のSTC生成器140および第2のSTC生成器141を利用することによって、動映像データの再生のためのMPEGデコーダ170を利用して光ディスクに記録されたスチル映像を再生することができるようになり、ユーザのキー入力などによってスチル映像に対するブラウザブルスライドショー動作を実行することができるようになる。ブラウザブルスライドショーと関連して、第1のSTC生成器140および第2のSTC生成器141によりSTC制御を独立に提供されるため、例えばオーディオデータと静止画像データ(または静止画像および関連したピクチャデータ)が独立に再生されることができる。すなわち、ユーザが表示されている静止画像を変更しても、オーディオデータの復号には影響を及ぼさない。」 上記摘示事項及び図面を総合勘案すると、先願明細書等には、次の発明(以下「先願発明」という。)が記載されているものと認める。 「静止画像データに対する第2のSTCを生成するステップと、 前記静止画像データと関連付けられて再生される別途のオーディオデータに対する前記第2のSTCとは独立した第1のSTCを生成するステップと、 前記第2のSTCを基礎にして前記静止画像データを復号するステップと、 前記第1のSTCを基礎にして前記オーディオデータを復号するステップと、 を備え、 前記静止画像データと前記オーディオデータを独立に再生する再生方法。」 3.対比 そこで、本願補正発明と先願発明とを比較する。 (1)先願発明の「静止画像データ」及び「第2のSTC」は、本願補正発明の「メインストリームデータ」及び「メインストリームSTC」にそれぞれ相当し、そして、静止画像データは第2のSTCを基礎にして復号・再生されるから、先願発明は、本願補正発明の「メインストリームデータのデコードにおいて使用されるメインストリームSTC」「を用いてメインストリームデータを再生する段階」を有している。 (2)先願発明の「オーディオデータ」は、本願補正発明の「サブオーディオデータ」に相当し、先願発明の「第1のSTC」は、「前記静止画像データと関連付けられて再生される別途のオーディオデータに対する前記第2のSTCとは独立した」ものであり、そして、オーディオデータは第1のSTCを基礎にして復号・再生されるから、先願発明は、本願補正発明の「前記メインストリームSTCから独立し、前記」「サブオーディオデータのデコードにおいて使用されるサブオーディオSTC」「を用いて、前記メインストリームデータに別途に付加されたサブオーディオデータを再生する段階」を有している。 (3)先願発明は、「前記第2のSTCを基礎にして前記静止画像データを復号するステップ」を有するから、本願補正発明の「前記メインストリームデータを再生する段階」は、「前記メインストリームSTCを用いて前記メインストリームデータをデコードする段階」「を含み」に相当する構成を有している。 (4)先願発明は、「前記第1のSTCを基礎にして前記オーディオデータを復号するステップ」を有するから、本願補正発明の「前記サブオーディオデータを再生する段階」は、「前記サブオーディオSTCを用いて前記」「サブオーディオデータをデコードする段階」「を含む」に相当する構成を有している。 (5)先願発明と本願補正発明の「再生方法」は共通する。 そうすると、本願補正発明と先願発明とは次の点で一致する。 <一致点> 「メインストリームデータのデコードにおいて使用されるメインストリームSTCを用いてメインストリームデータを再生する段階と、 前記メインストリームSTCから独立し、サブオーディオデータのデコードにおいて使用されるサブオーディオSTCを用いて、前記メインストリームデータに別途に付加されたサブオーディオデータを再生する段階とを含み、 前記メインストリームデータを再生する段階は、 前記メインストリームSTCを用いて前記メインストリームデータをデコードする段階を含み、 前記サブオーディオデータを再生する段階は、 前記サブオーディオSTCを用いて前記サブオーディオデータをデコードする段階を含む、再生方法。」 一方、次の各点で一応相違する。 <一応の相違点> (a)「メインストリームデータを再生する段階」について、本願補正発明は、メインストリームATCを用いてメインストリームデータをデパケット化する段階を含むのに対し、先願発明はそのような段階を含んでいない点。 (b)「サブオーディオデータを再生する段階」について、本願補正発明は、メインストリームATCから独立したサブオーディオATCを用いてサブオーディオデータをデパケット化する段階を含むのに対し、先願発明はそのような段階を含んでいない点。 4.判断 そこで、上記一応の相違点について検討する。 一応の相違点(a)(b)について 入力データに時刻情報を重畳して記録し、再生時にその時刻情報を使用して出力を制御する際に、ATCを用いて再生信号をデパケット化することは周知技術である(必要であれば、特開2001-285800号公報(段落【0024】?【0028】、図1)、特開2003-6979号公報(段落【0076】?【0078】、図7)、国際公開第02/075739号(図7)等を参照されたい。)。 一方、先願明細書には、前掲(4)に示されているように、到着時間情報(ATC)やSTCを基準にして静止画像データ及びオーディオデータの再生を管理することが記載されている。 そして、先願発明は、第1のSTCと第2のSTCにより静止画像データとオーディオデータをSTC制御し、静止画像データとオーディオデータを独立に再生するものであるから、STC制御に先立って静止画像データとオーディオデータをデパケット化する際に、ATCをSTCと同様に独立させること、すなわち、メインストリームATCを用いてメインストリームデータをデパケット化する段階(一応の相違点(a))、メインストリームATCから独立したサブオーディオATCを用いてサブオーディオデータをデパケット化する段階(一応の相違点(b))を含むとすることは周知技術であるATCの単なる付加といえ、また、ATCを付加することによって新たな効果を奏するものでもない。 したがって、本願補正発明は先願発明と実質的に同一であり、しかも、本願補正発明のの発明者が先願発明をした者と同一でなく、またこの出願時において、その出願人が先願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 5.本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 なお、請求人は平成24年4月4日付けの審尋に対する回答書において、特許請求の範囲についての補正案を示しているが、あらためて補正の機会を与えるべき法的根拠は見出せない。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成23年6月22日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成23年2月1日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2[理由]1.」に本件補正前の請求項1として掲げたものである。 2.先願発明 原査定の拒絶の理由で引用された先願明細書及びその記載事項は、前記「第2[理由]2.」に記載したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、上記「第2[理由]3.4.」で検討した本件補正発明から、「前記メインストリームデータを再生する段階は、前記メインストリームATCを用いて前記メインストリームデータをデパケット化する段階と、前記メインストリームSTCを用いて前記メインストリームデータをデコードする段階とを含み、前記サブオーディオデータを再生する段階は、前記サブオーディオATCを用いて前記サブオーディオデータをデパケット化する段階と、前記サブオーディオSTCを用いて前記でパケット化されたサブオーディオデータをデコードする段階とを含む」を削除したものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、更に他の要件を限定したものに相当する本願補正発明が前記「第2[理由]2.」に記載したとおり、先願発明と実質的に同一であるから、本願発明も、同様の理由により、先願発明と実質的に同一である。 4.むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 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審理終結日 | 2012-07-05 |
結審通知日 | 2012-07-10 |
審決日 | 2012-07-24 |
出願番号 | 特願2008-32330(P2008-32330) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G11B)
P 1 8・ 161- Z (G11B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 五貫 昭一 |
特許庁審判長 |
小松 正 |
特許庁審判官 |
関谷 隆一 馬場 慎 |
発明の名称 | 再生方法 |
代理人 | 伊東 忠重 |
代理人 | 伊東 忠彦 |
代理人 | 大貫 進介 |