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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B
管理番号 1267863
審判番号 不服2010-12392  
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-08 
確定日 2013-01-10 
事件の表示 特願2002-568990「ガイドカテーテル内使用のための写像カテーテル」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 9月12日国際公開,WO02/69806,平成16年 9月30日国内公表,特表2004-529684,請求項の数(22)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成14年2月7日(パリ条約に基づく優先権主張 平成13年3月2日 米国)を国際出願日とする特許出願であって,平成20年3月11日付けの拒絶理由通知に対し同年9月8日付けで意見書および誤訳訂正書が提出され,平成21年1月8日付けの最後の拒絶理由通知に対し同年7月21日付けで意見書および手続補正書が提出されたが,平成22年2月2日付けで該手続補正が補正却下されるとともに同日付で拒絶査定がなされ,これに対し,同年6月8日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに,同日付けで手続補正(以下「本件補正」という)がなされたものである。そして,同年9月21日付けで審尋がされるとともに,回答書が平成23年1月27日付けで請求人より提出されたものである。

第2 本件補正について
本件補正により,補正前の特許請求の範囲(平成20年9月8日付けの誤訳訂正書により訂正されたもの)は,次のとおりに補正された。(下線は補正箇所を示す)
「【請求項1】
カテーテルシステムであって、
ガイドカテーテル(10)と、写像カテーテル(200)と、ガイドワイヤー(32)と、を含んでおり、
上記ガイドカテーテルが、1個の基端部(14)と、1個の先端部(16)と、上記基端部と先端部との間に伸びている1個の内腔と、を有しており、
上記ガイドワイヤーが、ガイドカテーテル(10)の内腔へ挿入するために構成され、且つ、配置されているものであり、
上記写像カテーテルが、上記ガイドカテーテルの内腔へと挿入するために構成され、且つ、配置されており、1個の基端管状部(270)と1個の先端管状部(210)とを備えている伸張管状部材と、先端チップ(220)と、を含んでおり、
上記基端管状部が、該伸張管状部材の可撓性を増すための少なくとも1つの可撓性部分(275)を含んでおり、上記少なくとも1つの可撓性部分が、伸張管状部材の周りを少なくとも1周り連続的に伸びている少なくとも1つのスロット(280)であり、上記先端管状部(210)が、写像変換器を含んでおり、
上記先端チップが、伸張管状部材の先端に位置しており、上記先端チップが、ガイドワイヤーポート(250)と、上記ガイドワイヤーポート(250)から遠位側に延びるガイドワイヤー内腔(260)と、を定め、ガイドワイヤー内腔は、ガイドワイヤー(32)がガイドワイヤーポート(250)内にガイドワイヤー内腔(260)を通って遠位側に通過できる寸法であり、
上記写像カテーテル(200)とガイドワイヤー(32)とがガイドカテーテル(10)の内腔を同時に搬送することができるものである、カテーテルシステム。
【請求項2】
ガイドカテーテルが、1.67ミリメートル以下の外径を有している、請求項1記載のカテーテルシステム。
【請求項3】
更に、伸張管状部材に積層されたカバー管を含んでいる、請求項1又は2に記載のカテーテルシステム。
【請求項4】
上記伸張管状部材が、樹脂で形成されている、請求項1乃至3の何れか1つに記載のカテーテルシステム。
【請求項5】
上記樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、編み上げコイル状複合体、ハイポ管を含む群の中から選ばれたものである、請求項4に記載のカテーテルシステム。
【請求項6】
上記カバー管が、ポリエチレン、ウレタン、ポリエーテル・ブロック・アミドを含む群の中から選ばれたものである、請求項3に記載のカテーテルシステム。
【請求項7】
上記写像カテーテルが、1.1ミリメートル以下の外径を有している、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項8】
上記ガイドワイヤーが、0.36ミリメートル以下の外径を有している、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項9】
上記写像カテーテルは、更に、1個のアコースティック写像窓(230)を含んでいる、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項10】
上記アコースティック写像窓が、伸張管状部材の先端部に取り付けられている1個のドーム型の窓である、請求項9に記載のカテーテルシステム。
【請求項11】
上記アコースティック写像窓が、共通ジョイント部分でカバー管に取り付けられている、請求項9に記載のカテーテルシステム。
【請求項12】
上記アコースティック写像窓が、メチルペンテン コポリマー、ポリエチレン、ウレタン、ポリエーテル・ブロック・アミドを含む群の中から選ばれたものである、請求項9に記載のカテーテルシステム。
【請求項13】
上記変換器が、概ね円形の面を有している、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項14】
上記変換器が、1個のディスク型シリンダーである、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項15】
上記アコースティック写像窓が、写像カテーテルの先端チップを基端とする写像カテーテルの先端管状部分に位置している、請求項9に記載のカテーテルシステム。
【請求項16】
少なくとも1つの上記スロットの幅が、該少なくとも1つのスロットの長さに沿って変わるものであって、上記少なくとも1つのスロットの1つの基端部分の幅が、上記少なくとも1つのスロットの1つの基端部分の幅よりも小さくなっている、請求項1、9、15の何れか1つに記載のカテーテルシステム。
【請求項17】
上記少なくとも1つの可撓性部分が、少なくとも1つの溝を定めており、該少なくとも1つの溝が、少なくとも1つの可撓性部分を通って、少なくとも部分的に伸びている、請求項1、9、15の何れか1つに記載のカテーテルシステム。
【請求項18】
上記伸張管状部材が、更に、上記少なくとも1つの可撓性部分の近くに、設けられている遷移部(400)を含んでおり、該遷移部が、中程の柔軟さを与えるように除去された伸張管状部材の部分を有しており、これにより、該遷移部は、少なくとも1つの可撓性部分よりも少ない可撓性のものになっている、請求項1、9、15の何れか1つに記載のカテーテルシステム。
【請求項19】
上記遷移部が、少なくとも1つの可撓性部分の少なくとも1つのスロットよりも、短い長さの少なくとも1つのスロットを定めるものである、請求項18に記載のカテーテルシステム。
【請求項20】
上記先端チップが、体内への傷をつけない挿入のために、テーパー付けされた先端端部を有している、請求項1、9、15乃至19の何れか1つに記載のカテーテルシステム。
【請求項21】
上記先端チップが、体内への傷をつけない挿入のために、アヒルのくちばしのような端部を有している、請求項1、9、15乃至19の何れか1つに記載のカテーテル。
【請求項22】
上記伸張管状部材の少なくとも一部分が、ニチノールで形成されている、請求項1に記載のカテーテルシステム。」

上記補正は,旧請求項12,14,17,18,19,,28および29を削除するとともに,
(1)請求項1について
ア ガイドワイヤーについて,「上記ガイドワイヤーが、ガイドカテーテル(10)の内腔へ挿入するために構成され、且つ、配置されているものであり」と限定し,
イ 伸張管状部材の可撓性を増すための少なくとも1つの可撓性部分(275)を含んでいる箇所について,補正前の「上記伸張管状部材」を,伸張管状部材の「上記基端管状部」であると限定し,
ウ 写像変換器を含んでいる箇所について,「上記先端管状部(210)が、写像変換器を含んでおり、」と限定し,
エ 先端チップについて,さらに「上記先端チップが、ガイドワイヤーポート(250)と、上記ガイドワイヤーポート(250)から遠位側に延びるガイドワイヤー内腔(260)と、を定め、ガイドワイヤー内腔は、ガイドワイヤー(32)がガイドワイヤーポート(250)内にガイドワイヤー内腔(260)を通って遠位側に通過できる寸法であり」と限定し,
(2)請求項9について
オ 「上記写像カテーテルは、」を追加し,
(3)請求項10について
カ 「1個の円形の窓」(a rounded window)を「1個のドーム型の窓」と限定し,
(4)請求項13および14について
キ 「請求項14に記載のカテーテルシステム」を「請求項1に記載のカテーテルシステム」とし,
(5)請求項16,17および18について
ク 「請求項1、9、20の何れか1つに記載のカテーテルシステム」を「請求項1、9、15の何れか1つに記載のカテーテルシステム。」とし,
(6)請求項19について
ケ 「請求項23に記載のカテーテルシステム」を「請求項18に記載のカテーテルシステム」とし,
(7)請求項20および21について
ク 「請求項1、9、20乃至24の何れか1つに記載のカテーテルシステム」を「請求項1、9、15乃至19の何れか1つに記載のカテーテルシステム。」とする
ものであるから,平成18年改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の削除,減縮および明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。

そこで,補正後の請求項1?22に係る発明(以下「補正発明1」?「補正発明22」という)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされている同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について,以下に検討する。

2 引用刊行物およびその記載事項
(1)本願優先日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特表平11-506628号公報(以下「刊行物1」という)には,図面とともに次の事項が記載されている。

(1-ア)
「10.冠状動脈血管構造を治療するためのカテーテルシステムであって、近位端と、遠位端と、上記近位端と遠位端との間に伸びる管腔と、成形された遠位先端とを持つ長く伸びた管を有し、更に、成形された遠位先端に対して特定の位置にある、遠位端の近くに形成された超音波で目に見えるマークを含む案内カテーテルと、案内カテーテルの管腔を通して移動可能であり、管腔内にあるとき、マークと周囲の冠状動脈血管構造を超音波的に可視化するための画像化エレメントを有する画像カテーテルとから成るカテーテルシステム。
(中略)
12.画像化エレメントが、マーク及び周囲の冠状動脈血管構造の断面画像を作り出すための回転可能な超音波変換器、又はマーク及び周囲の冠状動脈血管構造の断面画像を作り出すためのフェイズドアレー変換器システムから成る、上記請求項10に記載のシステム。」(3頁15行?4頁2行)

(1-イ)
「2.背景技術の説明
米国特許4,817,613号、同5,163,921号、同5,318,032号を始めとする様々な特許が、血管案内カテーテルについて述べている。
米国特許5,054,492号はカテーテル本体上に超音波不透過エレメントと蛍光透視マーカーの両方を有する超音波画像カテーテルについて説明している。両方のマーカーは、観察されている体管腔の中にあるカテーテルの実際の回転方位を決定するのに使われている。」(7頁11?17行)

(1-ウ)
「案内カテーテルの全体の寸法は使用法に依存しており、幅広く変化するカテーテルの長さは一般的には約50cmと150cmの間で、通常約100cmである。管の直径も又幅広く変化し、一般的には約1mmから4mmの直径を有している。・・・・・」(11頁5?8行)

(1-エ)
「図1と図2には本発明の案内カテーテルの典型的な実施例10が描かれている。案内カテーテル10は近位端14と遠位端16を有する管状のしなやかなカテーテル本体12を含んでいる。止血弁のある近位容器18は、通常カテーテル本体12の近位端14に固定されており、案内カテーテル10に塩水やコントラスト媒体のような液体を注入するための側口20を有している。遠位端16には成形された遠位先端22がある。遠位先端22は冠状動脈心門の中へ遠位端16を予測可能にそして反復可能に配置し易くするために、患者の血管構造の個別の特徴に合わせて成形される。遠位先端22には孔24がある。先に述べたように超音波画像カテーテルが案内カテーテル10の内側から見たときには、孔24はカテーテル本体12の画像で不連続部として現れる超音波表示マーカーとして働く。
遠位先端22の代替実施例を図3に示すが、この例では超音波表示マーカーとして音波反射材26の薄い細片が設けてある。細片26は画像カテーテルによって作り出される血管構造の超音波画像に影を作る。」(12頁下から3行?13頁10行)

(1-オ)
「 図4に関して、案内カテーテル10(細片26を有している)の典型的な配置につき詳細に説明する。初めに大きなガイドワイヤ(図示せず)を大動脈34に導入する。通常はガイドワイヤの位置決めを助けるために蛍光透視画像を使う。ガイドワイヤが大動脈弓を越えて配置できたら、案内カテーテル10をその遠位先端22がガイドワイヤの遠位先端を越えるまでガイドワイヤ上を進める。先に述べたように、遠位先端22は成形されているので、冠状動脈心門36の既知の位置に案内カテーテル10を収めることができる。医者は、適切な冠状動脈心門36の中に「ひょいと入る」まで案内カテーテル10を回転しそして進ませる。図4に図解するように、細片26はカテーテル本体12の上側28にあり、冠状動脈心門36の上部に収まっている。このように、カテーテル本体12と断片26の両方が管状動脈血管構造に対して既知の位置にある。
一旦案内カテーテル10が望ましい位置に来ると、冠状動脈ガイドワイヤ32は、案内カテーテル10を通って冠状動脈へと送り込まれる。次に、画像カテーテル38が案内カテーテル32を通して、一般的にはガイドワイヤ32を越えて導入される。画像カテーテル38には、カテーテル38内で超音波変換器(図示せず)を回転させるためのケーブル40が含まれている。替わりに、血管壁を映すためにフェイズドアレーのカテーテルシステムを使うこともできる。」(13頁下から9行?14頁8行)

(1-カ)
「一旦案内カテーテル10が望ましい位置に来ると、冠状動脈ガイドワイヤ32は、案内カテーテル10を通って冠状動脈へと送り込まれる。次に、画像カテーテル38が案内カテーテル32を通して、一般的にはガイドワイヤ32を越えて導入される。画像カテーテル38には、カテーテル38内で超音波変換器(図示せず)を回転させるためのケーブル40が含まれている。替わりに、血管壁を映すためにフェイズドアレーのカテーテルシステムを使うこともできる。」

そして,図1?4には上記記載に対応した事項が図示され,特に図4には案内カテーテル10を通ってその遠位端から出て冠状動脈へと送り込まれている冠状動脈ガイドワイヤ32とともに、画像カテーテル38が案内カテーテル10を通して導入されていることが示されている。

これらの記載及び図面からみて,刊行物1には次の発明が記載されていると認められる。

「冠状動脈血管構造を治療するためのカテーテルシステムであって,近位端14と,遠位端16と,上記近位端14と遠位端16との間に伸びる管腔と,成形された遠位先端16とを持つ長く伸びた管を有し,更に,成形された遠位先端に対して特定の位置にある,遠位端の近くに形成された超音波で目に見えるマーク26を含む案内カテーテル10と,案内カテーテル10の管腔を通して移動可能であり,管腔内にあるとき,マーク26と周囲の冠状動脈血管構造を超音波的に可視化するための画像化エレメントを有する画像カテーテル38と,案内カテーテル10を通ってその遠位端16から出て冠状動脈へと送り込まれる冠状動脈ガイドワイヤ32と,から成るカテーテルシステム。」(以下「引用発明」という)

(2)同様に,本願優先日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に周知例として引用された刊行物である特開平8-206114号公報(以下「刊行物2」という)には,「超音波カテーテル」について,図面とともに次の事項が記載されている。

(2-ア)
「【請求項1】 体腔内に挿入して用いられる超音波カテーテルであって、
超音波振動子と、該超音波振動子より基端側に設けられ、体外の駆動源からの駆動力を該超音波振動子に伝達し該超音波振動子を回転または往復運動させる駆動シャフトと、該超音波振動子および該駆動シャフトを被包する中空の外装シャフトとを有し、
該外装シャフトをポリイミド系樹脂を用いて外径を1mm以下、肉厚を50μm以下に形成し、さらに、該外装シャフトと該駆動シャフトとの最小間隔を100μm以下としたことを特徴とする超音波カテーテル。
・・・・・
【請求項5】 前記外装シャフトの先端から所定長にかけて螺旋状の溝を形成したことを特徴とする請求項1ないし4に記載の超音波カテーテル。
【請求項6】 前記螺旋状の溝のピッチを先端方向に向かって小さくしたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の超音波カテーテル。」

(2-イ)
「【0002】
【従来の技術】従来から、心臓の冠状動脈や他の細血管、或いは胆管等の脈管に挿入して、管腔断面像の表示や血流測定等を行う超音波カテーテルが知られている。現在用いられている超音波カテーテルは、いずれも外径が1mm以上であるため、血管拡張用バルーンカテーテル、レーザー照射用カテーテル、アテレクトミーカテーテル等の治療用のカテーテルを使用する際には、治療用カテーテルと交換して用いられている。又、現在使用されている超音波カテーテルは、単独での血管走行性が不十分であるため、超音波カテーテルにガイドワイヤーを挿入して用いられるオーバーザワイヤー・タイプやモノレールワイヤー・タイプが多い。
【0003】従って、治療用カテーテルと同時に使用できる超音波カテーテルや更に末梢まで挿入でき、血管選択性に優れたガイドワイヤー型の超音波カテーテルが要望されている。この要望を満たすには、少なくとも超音波カテーテルの外径は1mm以下、好ましくは0.4mm以下とすることが必要とされる。」

(2-ウ)
「【0008】したがって、本発明は、外径1mm以下、好ましくは0.4mm以下の細径な超音波カテーテルであって、屈曲性、耐キンク性、トルク伝達性、プッシャビリティー(押し込み性)も高く、操作性に優れるとともに、安定した超音波画像を得ることができる、優れた性能を備えた超音波カテーテルを提供することを目的とする。また、本発明は、外装シャフト内面の摩擦抵抗を低減できる超音波カテーテルを提供することを目的とする。さらに、本発明は、血管拡張用バルーンカテーテル、レーザ照射用カテーテル、アテレクトミーカテーテル等の治療用カテーテル内に挿入して好適に使用できる、極細径の超音波カテーテルを提供することを目的とする。」

(2-エ)
「【0022】図1に示す本発明の超音波カテーテル1は、体腔内に挿入して用いられる超音波カテーテルであって、超音波振動子2と、超音波振動子2より基端側に設けられ、体外の駆動源21からの駆動力を超音波振動子2に伝達し超音波振動子2を回転または往復運動させる駆動シャフト3と、超音波振動子2および駆動シャフト3を被包する中空の外装シャフト4とを有し、外装シャフト4をポリイミド系樹脂にて外径を1mm以下、肉厚を50μm 以下に形成し、さらに、外装シャフト4と駆動シャフト3との最小間隔を100μm 以下としたものである。」

(2-オ)
「【0063】図8は、本発明の超音波カテーテルの他の実施例を示す部分拡大縦断面図である。この実施例では、外装シャフト4の先端部に、螺旋状の溝43が形成されている。このようにすることにより、外装シャフト4の屈曲性を向上させることができ、超音波カテーテル1の屈曲性(柔軟性)を向上することができる。
【0064】溝43の形成は、外装シャフト4に例えばレーザー加工、ダイシングソー加工等を施すことにより行うことができる。
【0065】また、溝43のピッチは、図示のように、カテーテル先端ほど狭くすることが好ましい。このようにすれば、超音波カテーテル1の先端に近い程、外装シャフト4を柔軟にでき、超音波カテーテル1の柔軟性をさらに向上できる。したがって、超音波カテーテル1の操作性がさらに向上し、かつ、カテーテル先端による血管壁の損傷の虞れが低減し、超音波カテーテル1が安全に血管内を走行することができる。
【0066】このように、溝43のピッチを変化させる場合は、そのピッチは、溝43の先端側では0.05?0.2mm程度、基端側では1.0?40.0mm程度が好適である。また、溝43のピッチを一定とする場合は、0.5?5mm程度とするのが好適である。また、外装シャフト4の溝43を形成する部分の長さは、50?300mm程度とするのが好ましい。
【0067】なお、図示の例では、溝43は1本の螺旋状であるが、これに限らず、2本またはそれ以上としてもよい。
【0068】また、本実施例の外装シャフト4は、先端から所定長離間した位置から、先端に向かって外径が漸減している。このようにすることにより、溝43と相俟って、超音波カテーテル1の屈曲性(柔軟性)を向上することができる。」

(2-カ)
「【0071】また、このような案内部材15を設けることにより、図10に示すように、超音波カテーテル1を治療用カテーテル70(図示の例では、血管60の狭窄部を拡張するバルーン71を有する血管形成用バルーンカテーテル70)の内腔72に挿入して使用する際に、超音波カテーテル1を先行させ、この超音波カテーテル1に沿って治療用カテーテル70を体腔内に挿入することができる。したがって、体腔内への挿入の際に、治療用カテーテル70を案内するためのガイドワイヤを超音波カテーテル1と別に用意する必要がなくなり、超音波カテーテル1および治療用カテーテル70の操作性が向上する。」

(2-キ)
「【0090】前記外装シャフトの先端から所定長にかけて螺旋状の溝を形成した場合、特に、前記螺旋状の溝のピッチを先端方向に向かって小さくした場合は、超音波カテーテルの先端部の柔軟性をさらに向上でき、その操作性をさらに向上できる。
【0091】前記外装シャフトの先端に、前記超音波カテーテルの案内部材を設けた場合は、別体のガイドワイヤを用いることなく、体腔内の目的部位まで超音波カテーテルを容易に導入でき、超音波カテーテルの操作性がさらに向上する。」

(3)同様に,本願優先日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に周知例として引用された刊行物である特開平9-10216号公報(以下「刊行物3」という)には,「超音波カテーテル」について,図面とともに次の事項が記載されている。

(3-ア)
「【請求項1】体腔内に挿入して用いられるカテーテルに手元側から先端側まで機械的駆動力を伝達する駆動シャフトを内蔵し、該カテーテルの先端側に超音波振動子及びまたは超音波反射板を備えたハウジングを該駆動シャフトに接続し、該駆動シャフトを外部駆動源により回転或いは並進させる超音波カテーテルであって、該ハウジングを非導電性材料で構成したことを特徴とする超音波カテーテル。
【請求項2】該ハウジングをアルミナ、ジルコニア等のセラミック材料で構成したことを特徴とする請求項1記載の超音波カテーテル。
【請求項3】該ハウジングを円筒形とし、該円筒形のハウジングの一部分を径方向に樋状に加工し、該振動子を該ハウジングの樋状部分に接触するようにして構成したことを特徴とする請求項1記載の超音波カテーテル。」

(3-イ)
「【0013】ハウジング27の先端部にはステンレス鋼(SUS304,SUS316等)等の弾性を有する金属、NiTi系金属等の超弾性金属やポリアセタール等の樹脂製の棒状の弾性部材19が接着等により接続されている。カテーテル先端部弾性部材41は先端が細径に加工されており、Pt,Ir、Au等の造影性の有する金属或いはこれらの合金材料から成るリング状部材19が取り付けられている。図示ではカテーテル先端部17は先端が開口しているが、閉口していもよく、また外装シャフト12とは別部材であってもよい。リング状部材19の替わりに造影性を有するコイル状弾性部材とすることで、先端部材41を兼ねることもできる。更に、外径が0.014mm?0.025mm程度のガイドワイヤを挿入することが出来るルーメンを先端部41に設けてもよい。」

(3-ウ)
「【0018】次に本発明の超音波カテーテルを血管内で操作する手順について説明する。ここでは図示しないが超音波カテーテルは通常の血管カテーテル手技と同様に、まず体外から血管をイントロデューサ等を用いて確保し、これに造影用或いは検査、治療カテーテル用のガイディングカテーテルをガイドワイヤーにより血管を選択し挿入する、検査或いは治療すべき目的部位に到達したのち、本発明の超音波カテーテルをガイディングカテーテル内に挿入し、血管の断面像を得る。この際にガイドワイヤーはガイディングカテーテルに留置或いは抜去しても良い。また、別の手技では、バルーンカテーテル等の治療用カテーテルのガイドワイヤールーメン内に本発明の超音波カテーテルを挿入して用いることも可能である。この場合、超音波カテーテルの外径は、0.25mm?0.97mmであり、0.35mm?0.46mmが好適である。」

(4)同様に,本願優先日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に周知例として引用された刊行物である特開平8-336535号公報(以下「刊行物4」という)には,「管状器官の検査装置」について,図面とともに次の事項が記載されている。

(4-ア)
「【請求項1】 先端部に柔軟性を付与するための溝が形成された形状記憶合金チューブと、この形状記憶合金チューブの外周に被覆された樹脂チューブ又は樹脂被膜とからなる本体チューブと、
前記本体チューブの先端部領域に取付けられた超音波プローブと、
この超音波発振器に接続され、前記形状記憶合金チューブ内を通って、前記形状記憶合金チューブの基端から引き出されたケーブルとを備えていることを特徴とする管状器官の検査装置。
【請求項2】 前記形状記憶合金チューブの先端部に形成された溝は、全体として螺旋状又は所定間隔で配列された環状をなし、ところどころが連結部によって途切れた形状をなす溝である請求項1記載の管状器官の検査装置。
【請求項3】 前記形状記憶合金チューブの先端部に形成された溝は、連続した螺旋状の溝である請求項1記載の管状器官の検査装置。」

(4-イ)
「【0024】この検査装置31の使用方法について説明すると、例えば血管内エコー法に用いる場合、まず、腕や足の動脈から経皮的にガイドワイヤーを挿入し、このガイドワイヤーの先端を目的とする患部に到達させた後、ガイドワイヤーに沿ってカテーテルを挿入し、ガイドワイヤーを抜き出してから、カテーテル内に検査装置31を挿入する。そして、検査装置31の先端部をカテーテルの先端から突出させて、血管内を進行させて検査を行う。
【0025】このとき、検査装置31の本体チューブ34が形状記憶合金チューブ32を有するため、適度な剛性を有していて押し込みがしやすく、かつ、形状記憶合金チューブ32の先端部に設けた溝35によって、先端部は柔軟性を有するため、血管内壁の組織を損傷することを防止できる。
【0026】そして、検査装置31が目的とする患部に到達したら、ケーブル38を通して超音波プローブ37に駆動電圧を印加し、血管の内壁に対してほぼ垂直な方向に超音波を当てる。それと共に、本体チューブ34の基部側を回転させて超音波プローブ37の向きを血管の内周に沿って少しずつ回転させる。そして、密度が違う境界面で反射される音波の性質を利用して、血管壁の組織の密度を音波の違いとしてとらえ、コンピュータ解析によって映像化する。」

(4-ウ)
「【0030】図2には、本発明による管状器官の検査装置の他の実施例が示されている。なお、図2において、図1の実施例と実質的に同じ部分には、同符号を付してその説明を省略することにする。
【0031】この検査装置41は、前記実施例と同様に、形状記憶合金チューブ42とその外周に被覆された樹脂チューブ43とからなる本体チューブ44を備えているが、上記形状記憶合金チューブ42の先端部に形成された溝45が連続した螺旋状の溝となっている点が異なっている。そして、この螺旋状の溝45は、形状記憶合金チューブ42の先端部に向かうほど、そのピッチが狭められており、柔軟性がより向上するようになっている。この場合、螺旋状の溝45によって形成されたコイル部分において、基部側の幅Aは5?20mm、先端側の幅Bは0.1?2mmとなるようにすることが好ましい。
【0032】なお、図1、2の実施例において、樹脂チューブ33、43の先端を、形状記憶合金チューブ32、42の先端から更に延出させ、超音波プローブ37を樹脂チューブ33、43の先端に取付けてもよい。その場合には、本体チューブ34、44の先端部が樹脂チューブ33、43だけとなるので、先端部における柔軟性をより向上させることができる。
【0033】図3?4には、本発明の検査装置に用いられる形状記憶合金チューブのそれぞれ別の例が示されている。
【0034】図3に示す形状記憶合金チューブ52は、先端部に連続した螺旋状の溝53が形成されている。溝53のピッチは同じであるが、その溝幅が先端部に向かうほど広くなっており、その結果、螺旋状の溝53によって形成されるコイル部分において、基部側の幅Cは5?20mm、先端側の幅Dは0.1?2mmとなるようにされている。また、溝53の先端54は、形状記憶合金チューブ52の先端に達する手前で止まっており、それによって先端部のばらけが防止されている。
【0035】更に、この形状記憶合金チューブ52は、先端部がテーパー状に薄肉とされ、先端部における柔軟性が更に向上するようにされている。このような加工は、エッチングによる方法や、センタレス研磨による方法で行うことができる。
【0036】図4に示す形状記憶合金チューブ62は、先端部に、全体として環状の溝63が、軸方向先端に向かって次第に間隔が狭くなるように、複数並んで形成されている。環状の溝63は、連結部64によってところどころが途切れており、それによって溝63の間に形成された環状の部分が軸方向に連結されている。また、金属チューブ62の先端部は、前記実施例と同様に、その外周がテーパ状に薄肉とされている。
【0037】図5に示す形状記憶合金チューブ72は、先端部に全体として螺旋状をなし、ところどころが連結部75によって途切れた溝76を有する。なお、連結部76の幅Wは、形状記憶合金チューブ72の周長の1/15?1/5とすることが好ましい。また、溝76は、形状記憶合金チューブ72の先端部に向かうに従ってその間隔が狭められている。更に、形状記憶合金チューブ72の先端部は、前記実施例と同様に、その外周がテーパ状に薄肉とされている。そして、この形状記憶合金チューブ72の外周に、樹脂被膜73がコーティングされており、それによって本発明の検査装置の本体チューブ74が構成されている。樹脂被膜73としては、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等が好ましく使用される。」

(5)本願優先日前に頒布され,前置報告書および審尋において引用された刊行物である特開平9-70403号公報(以下「刊行物5」という)には,「超音波カテーテル」について,図面とともに,次の事項が記載されている。

(5-ア)
「【請求項1】
体腔内に挿入される外装シャフトと、該外装シャフト内に挿入され、基端側から先端側まで機械的駆動力を伝達する駆動シャフトと、超音波振動子を備え、前記外装シャフトの先端側内部に位置するように、前記駆動シャフトに固定されたハウジングとを有し、前記駆動シャフトが外部駆動源により回転可能な超音波カテーテルであって、前記外装シャフトは、先端部にコイル状の第1の弾性部材を備え、前記ハウジングは、先端部にカテーテルの先端側に延びる第2の弾性部材を備え、該第2の弾性部材の先端が前記第1の弾性部材内に位置していることを特徴とする超音波カテーテル。
【請求項2】
前記第1の弾性部材内に侵入した部分の該第2の弾性部材の長さは、0.5mm?20mmである請求項1に記載の超音波カテーテル。
【請求項3】
前記第2の弾性部材は、コイル状の弾性部材である請求項1または2に記載の超音波カテーテル。
【請求項4】
前記第2の弾性部材は、少なくとも一部が、超弾性金属により形成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の超音波カテーテル。
【請求項5】
前記外装シャフトは、補強層を形成するチューブを備え、このチューブの先端部には、螺旋状のスリットが設けられている請求項1ないし4のいずれかに記載の超音波カテーテル。
【請求項6】
前記第1の弾性部材は、該カテーテル内部と外部とを連通する開口を備えている請求項1ないし5のいずれかに記載の超音波カテーテル。
【請求項7】
前記第1の弾性部材は、高X線造影性材料により形成されている請求項1ないし6のいずれかに記載の超音波カテーテル。
【請求項8】
前記第2の弾性部材は、先端側に向かって縮径するテーパー状に形成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の超音波カテーテル。
【請求項9】
前記第1の弾性部材は、先端側に向かって縮径するテーパー状に形成されている請求項1ないし8のいずれかに記載の超音波カテーテル。
【請求項10】
前記第1の弾性部材は、内部に支持部材を備えている請求項1ないし9のいずれかに記載の超音波カテーテル。
【請求項11】
前記超音波振動子は、前記ハウジングに固定されたトランスデューサーが備えるものである請求項1ないし10のいずれかに記載の超音波カテーテル。
【請求項12】
外層と内層とを有する外装シャフトと、外装シャフト内に挿入された駆動シャフトと、超音波振動子を備え、前記外装シャフトの先端側内部に位置するように、前記駆動シャフトに固定されたハウジングと、前記外装シャフトの先端部に位置し、かつ、前記外層と内層との間に挿入された第1の弾性部材と、前記ハウジングの先端部に固定され、カテーテルの先端側に延びる第2の弾性部材とを備え、該第2の弾性部材の先端が前記第1の弾性部材内に位置していることを特徴とする超音波カテーテル。
【請求項13】
前記外装シャフトは、その先端に固定され、かつ、開口を備える先端部材を有している請求項12に記載の超音波カテーテル。
【請求項14】
前記外装シャフトは、その先端に固定された閉塞した先端部材を有し、かつカテーテルは、閉塞し、かつ液体が充填された内部空間を有している請求項12に記載の超音波カテーテル。
【請求項15】
前記外装シャフトの本体部は、前記外装と内層との間に位置する補強層を有している請求項12に記載の超音波カテーテル。
【請求項16】
前記ハウジングが位置する部分の外装シャフトには、前記第1の弾性部材および前記補強層が存在していない請求項15に記載の超音波カテーテル。
【請求項17】
前記補強層の先端部は、螺旋状のスリットを有している請求項15に記載の超音波カテーテル。
【請求項18】
前記超音波振動子は、超音波トランスデューサーが備える超音波振動子部分である請求項12に記載の超音波カテーテル。」

(5-イ)
「【0003】
【発明が解決しようとする課題】
血管内に挿入されるカテーテルに於いては、血管内での走行性を高めるため、先端部ほど柔軟であることが好ましい。また、カテーテルの先端部は、X線透視下において、容易に確認できることが好ましい。このために、カテーテルの位置を知るためにカテーテル本体に造影性を付加したカテーテルがある。また、カテーテルの先端部に造影性を有する平板或いはリング状、コイル状の金属等を備えたものもある。超音波カテーテルに於いても、図17、図18に示すように、カテーテル先端部にコイル状の弾性を有する金属部材や、造影用の金属片14が取付られているものがある。また、超音波カテーテルでは、カテーテルシャフト2の超音波を送受する部位12は超音波透過性に優れたオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂であり、肉厚は薄いほど超音波透過性が良いため100μm以下で形成される。従って、この部位12の機械的強度は、カテーテルの手元側のシャフト15より低く、キンクし易い。また、超音波カテーテルは、超音波振動子等の硬直部を有する。そのため、振動子3等の硬直部とコイル状弾性部材を含むカテーテルシャフト2の先端部間において、カテーテルは機械的特性が滑らかに変化せず、良好な屈曲ができず、キンクが生じやすく、超音波カテーテルの操作性が悪くなっていた。」

(5-ウ)
「【0006】
本発明の目的は、先端側の振動子を含む硬直部とカテーテル先端の弾性部材間での屈曲性、柔軟性を改善し、操作性が向上した超音波カテーテルを提供する。」

(5-エ)
「【0081】
中間層(補強層)102bを形成するチューブ(例えば、弾性金属管)の先端部には、先端より後端側に延びる螺旋状のスリットが設けられている。これにより、弾性金属管の先端部は、他の部分とくらべて柔軟な変形可能部となっており、弾性金属管の先端部は、その側壁が超弾性金属管の内側に変形可能である。スリットは、弾性金属管の先端より後端側に向かって徐々に幅が小さく、言い換えれば、先端側に向かって幅が徐々に大きくなるように形成することが好ましい。このため、弾性金属管の先端でのスリット幅が、最大となっており、弾性金属管は先端に向かうほど変形が容易である。スリットは、ほぼ等間隔に、2?8個程度設けられていることが好ましい。スリットの先端の幅(最大部分の幅)としては、0.05?0.5mm程度が好ましい。また、スリットの幅は、弾性金属管の外径の約1/6?3/2が好ましく、特に約1/3?1/1が好ましい。」

(5-オ)
「【0096】
超音波カテーテルは通常の血管カテーテル手技と同様に、体外から血管内にイントロデューサ等を挿入し、このイントロデューサー内に、ガイドワイヤーを挿通した、ガイディングカテーテルを挿入する。検査或いは治療すべき目的部位に、ガイドワイヤーの先端付近が、到達したのち、本発明の超音波カテーテルをガイディングカテーテル内に挿入する。そして、上述のように、超音波操作を行うことにより、血管の断面像を得る。この際にガイドワイヤーはガイディングカテーテル内に留置したままとしてもよい。また、ガイドワイヤーは、ガイディングカテーテルより、抜去しても良い。また、このような、ガイディングカテーテルを用いるものに限られず、バルーンカテーテル等の治療用カテーテルのガイドワイヤールーメン内に、本発明の超音波カテーテルを挿入して用いてもよい。このような場合、超音波カテーテルの外径は、0.25mm?0.97mmが好ましく、0.35mm?0.46mmがより好適である。」

(6)本願優先日前に頒布され,前置報告書および審尋において引用された刊行物である特開2000-229083号公報(以下「刊行物6」という)には,「超音波カテーテル」について,図面とともに,次の事項が記載されている。

(6-ア)
「【請求項1】 体腔等の細径な管内に挿入される長尺のカテーテルシースと、該カテーテルシースの管腔内の基端から先端部近傍に渡って設けられた駆動力伝達用シャフトと、該駆動力伝達用シャフトの先端部に設けられたハウジングと、該ハウジングによって支持された超音波振動子とを有する超音波カテーテルにおいて、前記ハウジングが高X線造影性を有する材料により形成されていることを特徴とする超音波カテーテル。
【請求項2】 前記ハウジングの先端に弾性部材を有することを特徴とする請求項1に記載の超音波カテーテル。
【請求項3】 前記駆動力伝達シャフトが前記カテーテルシースに対して軸方向に移動可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波カテーテル。
【請求項4】 前記カテーテルシースの先端にガイドワイヤ用の管路を有することを特徴とする請求項1ないし3に記載の超音波カテーテル。」

(6-イ)
「【0025】15は、カテーテルシース2の先端部に設けられたガイドワイヤ用ルーメンである。ガイドワイヤ用ルーメン15は、超音波振動子13よりも先端位置に設けられたガイドワイヤ挿入口16と、超音波カテーテル1の最も先端位置となるガイドワイヤ出口17の間に延在し、カテーテルシース2の先端部に接着された長さ15?40mm程度の樹脂製の管状部材18よりなる。」

(6-ウ)
「【0035】次に、本発明の超音波カテーテルの作用について説明する。図5は、本発明の超音波カテーテル1を血管内の狭窄部に挿入している様子を示す図である。ここでは、ガイドワイヤ50は固定され、ガイドワイヤ50をガイドワイヤ用ルーメン15に挿通した超音波カテーテル1が体腔外から押し進められる。」

(7)本願優先日前に頒布され,前置報告書および審尋において引用された刊行物である特表平10-500584号公報(以下「刊行物7」という)には,「カテーテル用の改良型追跡先端部」について,図面とともに,次の事項が記載されている。

(7-ア)
「本発明のカテーテル外管は、近位及び遠位端部を有する管状本体と、前記端部間を延びる少なくとも1つの管腔とを有する。管は、有機重合体、代表的にはポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン、ポリ塩化ビニール(PVC)、ナイロン等の熱可塑性樹脂を押出することにより、通常、形成される。管は、普通、補強されていないが、任意的に金属線、金属編組ケーブル、金属コイル等で補強してもよい。代表的には、カテーテル本体は、約60cm乃至200cmの範囲の長さ、通常は末梢動脈で使用する場合は60cm乃至110cm、冠状動脈で使用する場合は90cm乃至150cmの長さを有する。直径は、通常1フレンチ(フレンチ=0.33mm)以上、より一般的には2フレンチ(0.66mm)乃至9フレンチ(2.97mm)である。本発明のカテーテルの構成は、6フレンチ(1.98mm)以下、特に4フレンチ(1.32mm)以下の極めて小さい直径のカテーテルに対して特に有効である。
カテーテル外管は、操作管腔とガイドワイヤ管腔の両方を有する。ここでガイドワイヤ管腔は、「短内腔迅速交換」構造を有し、代表的には管状本体の最も遠位の1cm乃至10cmに亘り、代表的には管状本体の最も遠位の1cm乃至5cmに亘り形成されている。ガイドワイヤ管腔は、代表的には、管状本体の遠位先端部にその遠位ポートが位置し、先に説明した距離内で遠位先端部の近位側に側方ポートが位置している。」

(7-イ)
次に図面を参照すると、カテーテル装置10は、その操作管腔16内に回転可能な操作軸14を有するカテーテル外管12を、備えている。操作要素14は、その近位端部に駆動軸18を有する回転可能な撮像コアである。血管内撮像用の撮像コアの構造及び使用法は、特許及び医学文献に十分に記載されており、市販装置は、94086、カリフォルニア州、サニーベール市、カーディオバスキュラ・イメージング・システムズ社等の製造業者から入手可能である。図2に示したように、撮像コアである操作軸14は、遠位振動子ハウジング20を有する。該ハウジングは、代表的には、単独で又は鏡を直列に取り付けた超音波振動子を収容する。鏡は、軸14が回転するとき、血管を走査するために超音波信号を径方向外法に差し向ける。
カテーテル外管12は、当初(以下に説明するようにカテーテル外管内への二次成形に先立ち)その近位端部22から遠位端部24まで延びる単一の中央管腔を含む、管状本体を備えている。カテーテル外管12は、中央管腔の遠位端部内に先細の重合体楔26を挿入することにより、形成される。遠位傾斜面28と近位傾斜面30とを有するように楔を形成するためには、マンドレルが用いられるが、楔は、先に記載したカテーテル本体の材料のうちのいずれか等の必要な可撓性及び二次成形適性を有する任意の有機重合体から成形してもよい。通常、遠位傾斜面は、側方ポート34から遠位ポート36まで延びるガイドワイヤ管腔32の一部として成形されているので、図1に破線で示したように、ガイドワイヤGWを収容することができる。図1及び図2の実施形態では、先細の楔26は、操作内腔16をガイドワイヤ内腔32から隔絶させるように作用する。更に、楔の先細の前(遠位)縁部と後(近位)縁部とは、以下に図6を参照してより詳細に説明するように、必要に応じて調節された屈曲部を構成する。」(11頁下から9行?12頁14行)

(7-ウ)
「次に、図5を参照すると、ガイドワイヤGWに沿って血管BVから側部即ち枝部血管Sまで進入する例示的な従来技術カテーテルガイドワイヤ100の使用が、示されている。カテーテル外管100は、その遠位端部のモノレール先端部102と、ガイドワイヤ管腔の近位方向に配置された操作管腔104とを含む。ガイドワイヤ管腔がガイドワイヤに沿って血管BVから側部血管Sまで通過すると、ガイドワイヤがガイドワイヤ管腔102を出る側方ポート106の位置に、応力が集中する。補強が無い場合、カテーテル外管100のモノレール先端部は、カテーテル外管の近位部分に対して急角度で屈曲し、カテーテル外管の更なる進入を困難にする。
これとは対照的に、本発明のカテーテル装置10を用いれば、カテーテル外管12は、その遠位端部が滑らかに屈曲した状態で(ガイドワイヤに沿って進むとき図6に示したように比較的均一な円弧を形成する)、ガイドワイヤGWに沿って前進することができる。このような調節された屈曲部は、先に記載した実施形態のいずれによっても実現することができる。」(13頁下から6行?14頁8行)

そして,図2,図5,図6には,上記記載に対応した図が示されている。

(8)本願優先日前に頒布され,前置報告書および審尋において引用された刊行物である特開平7-124164号公報(以下「刊行物8」という)には,「体腔内超音波プローブ」について,図面とともに次の事項が記載されている。

(8-ア)
「【請求項1】 中空のシャフトおよび該シャフト内に配設された超音波振動子を有する体腔内超音波プローブにおいて、前記シャフトの少なくとも先端部にスリットを設けたことを特徴とする体腔内超音波プローブ。」

(8-イ)
「【0010】
【実施例】
(実施例1) 以下本発明の実施例について、図面を参照しながら説明するが、まず、図6および図7をもとに、本発明のラジアル走査方式の超音波プローブを用いた体腔内超音波診断装置の構成及び走査方法について説明する。
【0011】体腔内超音波診断装置は超音波プローブ1と通常の超音波診断装置2およびモータユニット3とからなる。超音波プローブ1は、プローブ操作部4とプローブシャフト5から構成されている。
【0012】プローブシャフト5の本体は中空の金属管からなるシャフト10によって形成されており、その先端には音響窓15、先端カバー16が取り付けられている。そして、シャフト10、音響窓15、先端カバー16の表面は高分子膜11によって被覆されている。」

(8-ウ)
「【0027】(実施例3) さらに、本発明の体腔内超音波プローブの他の実施例について図4を用いて説明する。
【0028】本実施例は、図4(a)に示すようにシャフト10の軸に対してほぼ垂直方向にスリットを入れたものである。この時のスリット幅は5μm?3mm、好ましくは20?50μmである。そして、先端に近づくほどスリット間隔(ピッチ)を小さくすることがより好ましい。なお、スリット8が設けられる位置は実施例1と同様である。また、図4(b)のようにシャフト10に螺旋状にスリットを入れてもよい。このようにスリット幅を変化させることによってシャフト10の手元側から先端側へと次第に柔軟性を高くすることができる。」

(8-エ)
「【0029】(実施例4) さらに、本発明の体腔内超音波プローブの他の実施例について図5を用いて説明する。
【0030】本実施例は、図5に示すようにスリット8を設けたシャフト10の先端にコイル19を接続したものである。このようにコイル19を接続することによって、金属製の中空管にスリットを入れたものよりもさらに先端部の柔軟性を高めることができる。そしてこの場合には、シャフト10の先端にスリット8を設けることにより、シャフト10の手元側の金属管部と先端のコイル19との間で柔軟性が急激に変化するのを防ぐことができる。なお、スリット8が設けられる位置は実施例1と同様である。」
そして,図1,図4,図5には,上記記載に対応した図が示されている。

3 補正発明1について
(1)対比
補正発明1と引用発明との対比すると,その機能・構造からみて,引用発明の「案内カテーテル10」,「画像カテーテル38」,「画像化エレメント」および「冠状動脈ガイドワイヤー32」は,それぞれ,補正発明1の「ガイドカテーテル(10)」,「写像カテーテル(200)」,「写像変換器」および「ガイドワイヤー(32)」に相当することは明らかである。
そして,本願明細書の段落【0003】には「・・・・・ガイドワイヤーおよび写像カテーテルはガイドカテーテル内に同時に採用されるので、ガイドカテーテルの内径は少なくともガイドワイヤーおよび写像カテーテルの外径の総和でなければならない。」と記載され,また,同段落【0006】には「・・・・・ここにおいて写像カテーテルおよびガイドワイヤーが5フレンチ(1.67ミリメートル)ガイドカテーテルの内腔内を通して同時に並進可能である。・・・・・」と記載されていることからみて,補正発明1の「上記写像カテーテルとガイドワイヤーとがガイドカテーテルの内腔を同時に搬送することができるものである」との特定は,「写像カテーテル(200)」と「ガイドワイヤー(32)」を「ガイドカテーテル(10)」の内腔へ同時に挿入可能であること意味し,「ガイドカテーテルの内径は少なくともガイドワイヤーおよび写像カテーテルの外径の総和である」ことを特定するものであるといえる。
一方,上記記載事項(1-オ)の「一旦案内カテーテル10が望ましい位置に来ると、冠状動脈ガイドワイヤ32は、案内カテーテル10を通って冠状動脈へと送り込まれる。次に、画像カテーテル38が案内カテーテル32(「10」の誤り:当審の注)を通して、一般的にはガイドワイヤ32を越えて導入される。・・・・・」の記載からみて,引用発明においては「カテーテル10」内に「冠状動脈ガイドワイヤ32」を送り込んだまま「画像カテーテル38」を「カテーテル10」内に導入するのであるから,「案内カテーテル10の内径は少なくとも冠状動脈ガイドワイヤ32および画像カテーテル38の外径の総和である」,すなわち,「画像カテーテル38と冠状動脈ガイドワイヤ32とが案内カテーテル10の内腔を同時に搬送することができる」といえることとなる。
すると,両者は,
(一致点)
「カテーテルシステムであって,
ガイドカテーテルと,写像カテーテルと,ガイドワイヤーと,を含んでおり,
上記ガイドカテーテルが,1個の基端部と,1個の先端部と,上記基端部と先端部との間に伸びている1個の内腔と,を有しており,
上記ガイドワイヤーが,ガイドカテーテルの内腔へ挿入するために構成され,且つ,配置されているものであり,
上記写像カテーテルが,上記ガイドカテーテルの内腔へと挿入するために構成され,且つ,配置されており,写像変換器を含んでおり,
上記写像カテーテルとガイドワイヤーとがガイドカテーテルの内腔を同時に搬送することができるものである,カテーテルシステム。」
である点で一致し,「写像カテーテル」について,次の2点で相違する。

(相違点1)
補正発明では「1個の基端管状部(270)と1個の先端管状部(210)とを備えている伸張管状部材と、先端チップ(220)と、を含んでおり、上記先端管状部(210)が、写像変換器を含んでおり、上記先端チップが、伸張管状部材の先端に位置しており、上記先端チップが、ガイドワイヤーポート(250)と、上記ガイドワイヤーポート(250)から遠位側に延びるガイドワイヤー内腔(260)と、を定め、ガイドワイヤー内腔は、ガイドワイヤー(32)がガイドワイヤーポート(250)内にガイドワイヤー内腔(260)を通って遠位側に通過できる寸法であ」るのに対し,引用発明では「画像カテーテル38」の具体的な構造が不明である点。

(相違点2)
補正発明では「上記基端管状部が、該伸張管状部材の可撓性を増すための少なくとも1つの可撓性部分(275)を含んでおり、上記少なくとも1つの可撓性部分が、伸張管状部材の周りを少なくとも1周り連続的に伸びている少なくとも1つのスロット(280)であ」るのに対し、引用発明ではそのような構成の「画像カテーテル38」であるか否か不明な点。

(2)相違点1について
上記記載事項(3-ア)?(3-ウ),特に記載事項(3-イ)の「外径が0.014mm?0.025mm程度のガイドワイヤを挿入することが出来るルーメンを先端部41に設けてもよい。」からみて,刊行物3には「ガイドワイヤを挿入することが出来るルーメンを先端部41に設けた超音波カテーテル」が記載されているといえ,該「先端部41」,「ルーメン」および「超音波カテーテル」が,それぞれ,補正発明の「先端チップ(220)」,「ガイドワイヤー内腔(260)」および「写像カテーテル(200)」に相当することは明らかである。
また,上記記載事項(6-ア)?(6-ウ)からみて,刊行物6には「ガイドワイヤ50を挿入することが出来るガイドワイヤ用ルーメン15を先端部に設けた超音波カテーテル1」が記載されているといえ,該「先端部」,「ガイドワイヤ用ルーメン15」および「超音波カテーテル1」が,それぞれ,補正発明の「先端チップ(220)」,「ガイドワイヤー内腔(260)」および「写像カテーテル(200)」に相当することは明らかである。
さらに,上記記載事項(7-ア)?(7-ウ)からみて,刊行物7にも「ガイドワイヤGWを挿入することが出来るガイドワイヤ内腔32を遠位端部24に設けたカテーテル装置10」が記載されているといえ,該「遠位端部24」,「ガイドワイヤ内腔32」および「カテーテル装置10」が,それぞれ,補正発明1の「先端チップ(220)」,「ガイドワイヤー内腔(260)」および「写像カテーテル(200)」に相当することは明らかである。
また,刊行物1の背景技術として7頁14行に記載された米国特許第5,054,492号明細書の8欄16?19には「The guide wire lumen 76 is formed through the distal tip of the catheter 70 and allows a guide wire 78 to pass through the tip and then outward along the exterior of the catheter. 」と記載され,該「the distal tip of the catheter 70」,「the guide wire lumen 76」および「the catheter」が,それぞれ,補正発明の「先端チップ(220)」,「ガイドワイヤー内腔(260)」および「写像カテーテル(200)」に相当することは明らかである。
そうすると,これらの刊行物の記載事項からみて,補正発明1の用語を使用すると,「ガイドワイヤを挿入することが出来るガイドワイヤ内腔を先端チップに設けた写像カテーテル」は,「モノレールワイヤー・タイプ」と呼ばれ,本願優先日前の周知であるといえる。そして,該周知の「写像カテーテル」は,管状のカテーテルの遠位端に「先端チップ」を備え,その近位端側に「変換器」を含んでいることは明らかであるから,補正発明と同様に「1個の基端管状部と1個の先端管状部とを備えている伸張管状部材と,先端チップと,を含んでおり,上記先端管状部が,写像変換器を含んでおり,上記先端チップが,伸張管状部材の先端に位置しており,上記先端チップが,ガイドワイヤーポートと,上記ガイドワイヤーポートから遠位側に延びるガイドワイヤー内腔と,を定め,ガイドワイヤー内腔は,ガイドワイヤーがガイドワイヤーポート内にガイドワイヤー内腔を通って遠位側に通過できる寸法であ」るという構成を備えているといえる。
してみると,引用発明の「画像カテーテル38」の具体的構成として,上記周知の「写像カテーテル」を採用し,相違点1における補正発明の構成とするようなことは,明らかに動機付けがあり,当業者ならば何ら困難がなく,容易に想到し得る事項であるといえる。

(3)相違点2について
上記記載事項(2-ア)?(2-キ),特に,(2-オ)の「外装シャフト4の先端部に、螺旋状の溝43が形成されている。このようにすることにより、外装シャフト4の屈曲性を向上させることができ、超音波カテーテル1の屈曲性(柔軟性)を向上することができる。」の記載からみて,刊行物2には,「外装シャフト4の屈曲性を向上させるために,該外装シャフト4の先端部に,螺旋状の溝43が形成されている超音波カテーテル1」が記載されているといえる。
また,上記記載事項(4-ア)?(4-ウ),特に(4-イ)の「検査装置31の本体チューブ34が形状記憶合金チューブ32を有するため、適度な剛性を有していて押し込みがしやすく、かつ、形状記憶合金チューブ32の先端部に設けた溝35によって、先端部は柔軟性を有するため、血管内壁の組織を損傷することを防止できる。」の記載からみて,刊行物4には,「先端部の柔軟性を向上させるために形状記憶合金チューブ32の先端部に溝35が形成されている管状器官の検査装置31」が記載されているといえる。
さらに,上記記載事項(5-ア)?(5-オ)からみて,特に(5-エ)の「中間層(補強層)102bを形成するチューブ(例えば、弾性金属管)の先端部には、先端より後端側に延びる螺旋状のスリットが設けられている。これにより、弾性金属管の先端部は、他の部分とくらべて柔軟な変形可能部となっており、弾性金属管の先端部は、その側壁が超弾性金属管の内側に変形可能である。」の記載からみて,刊行物5には,「先端部を柔軟な変形可能部とするために,チューブの先端部に先端より後端側に延びる螺旋状のスリットが設けられている超音波カテーテル」が記載されているといえる。
また,上記記載事項(8-ア)?(8-エ),特に(8-ウ)の「シャフト10に螺旋状にスリットを入れてもよい。このようにスリット幅を変化させることによってシャフト10の手元側から先端側へと次第に柔軟性を高くすることができる。」からみて,「シャフト10の手元側から先端側へと次第に柔軟性を高くするために,該シャフト10の先端部に螺旋状のスリットを設けた超音波プローブ」が記載されているといえる。
そうすると,これらの刊行物の記載からみて,「管状のカテーテル本体の先端部における屈曲性あるいは柔軟性を向上するために,該先端部に螺旋状のスロットすなわち,溝あるいはスリットを形成した写像カテーテル」は,本願優先日前の周知であるといえる。
しなしながら,上記刊行物に記載された周知の「写像カテーテル」は,前記周知の「モノレールワイヤー・タイプ」の「写像カテーテル」あるいは補正発明の「写像カテーテル」のように「ガイドワイヤー内腔(260)」を有する「先端チップ(220)」を備え,「ガイドワイヤ」によりガイドされて血管等に挿入されるものではなく,単独に挿入されることを前提としたものであって,上記記載事項(2-カ)および(2-キ)からみて,「別体のガイドワイヤを用いることなく、体腔内の目的部位まで超音波カテーテルを容易に導入でき、超音波カテーテルの操作性がさらに向上」させることに特徴を有するものであり,補正発明の「写像カテーテル」とは,使用形態を全く相違するものである。
してみると,上記刊行物に記載された「写像カテーテル」の「スロットすなわち,溝あるいはスリット」は,管状のカテーテル本体の屈曲性あるいは柔軟性を単に向上させるに過ぎず,使用形態が異なる補正発明の「スロット(280)」とは,その技術的意義が同じであるとはいえない。
そうすると,前記周知の「モノレールワイヤー・タイプ」の「写像カテーテル」に,使用形態の異なる上記周知の「管状のカテーテル本体の先端部における屈曲性あるいは柔軟性を向上するために,該先端部に螺旋状のスロットすなわち,溝あるいはスリットを形成した写像カテーテル」を適用する動機付けはない,というべきであって,相違点2は,当業者が容易に想到し得る程度のこととはいえない。

また,相違点2における補正発明の特定事項は,「上記基端管状部が、該伸張管状部材の可撓性を増すための少なくとも1つの可撓性部分(275)を含んで」いるのであるから,相違点1の「1個の基端管状部(270)と1個の先端管状部(210)とを備えている伸張管状部材と、先端チップ(220)と、を含んでおり」の特定事項を前提とするものである。そうすると,引用発明を基礎として,補正発明を構成とするためには,上記周知の「モノレールワイヤー・タイプ」の「写像カテーテル」を適用し,それを前提に,さらに,該「写像カテーテル」に「屈曲性あるいは柔軟性を向上するために,螺旋状のスロットすなわち,溝あるいはスリットを形成する」という技術的事項を適用する必要があり,当業者が容易に想到し得る程度のこととは,到底いえない。

さらに,「モノレールワイヤー・タイプ」の「写像カテーテル」が記載された他の刊行物である,国際公開第91/05512号,特開平4-208144号公報,特表平6-503246号公報,特開平7-222748号公報,国際公開第96/10434号,特開平9-154952号公報,特開平10-80425号公報,特開平11-128230号公報,特開2000-175916号公報および特開2000-189517号公報には,相違点2の「基端管状部が、伸張管状部材の可撓性を増すための少なくとも1つの可撓性部分(275)を含」むという技術的事項は,記載も示唆もされておらず,自明な事項であるともいえない。
また,前置報告書および審尋においては,刊行物5に記載された「超音波カテーテル」に,刊行物6あるいは刊行物7に記載された事項を組み合わせることが容易であると判断されたが,前述したように,刊行物5記載の「超音波カテーテル」は,ガイドカテーテルを用いないことを特徴するものであるから,ガイドカテーテルを必須とする「モノレールワイヤー・タイプ」に変更することには,動機付けがない,あるいは,阻害要因があるというべきある。

したがって,補正発明1は,相違点2の点において,引用発明および上記周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから,特許法第29条第2項の規定に該当せず,また,他の拒絶理由も発見することができない。

4 補正発明2?22について
補正発明2?22は,補正発明1をさらに技術的に限定したものである。そして,該限定のない補正発明1が引用発明及び周知の事項に基づいて,当業者が容易に発明をできたものではないのであるから,補正発明2?22も,引用発明及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をできたものではないこととなる。

5 まとめ
以上のとおりであるから,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされている同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定を満たし,認められることとなる。

第3 むすび
本件補正は上記のとおり認められるから,本願の請求項1?22に係る発明は,本件補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?22に記載された事項により特定されるものであると認める。
そして,本願については,原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-07-01 
結審通知日 2011-07-04 
審決日 2012-12-26 
出願番号 特願2002-568990(P2002-568990)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A61B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 樋口 宗彦  
特許庁審判長 岡田 孝博
特許庁審判官 信田 昌男
田部 元史
発明の名称 ガイドカテーテル内使用のための写像カテーテル  
代理人 倉澤 伊知郎  
代理人 松下 満  
代理人 鈴木 博子  
代理人 井野 砂里  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 弟子丸 健  
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