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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1268170
審判番号 不服2011-9181  
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-04-28 
確定日 2013-01-04 
事件の表示 特願2001- 62193「アクセス制御システム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 9月13日出願公開、特開2002-259215〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、
平成13年3月6日付けの出願であって、
平成20年3月5日付けで審査請求がなされ、
平成22年11月17日付けで拒絶理由通知(同年同月22日発送)がなされ、
平成23年1月20日付けで意見書が提出されると共に、
同日付けで手続補正書が提出され、
同年2月2日付けで拒絶査定(同年同月7日謄本送達)がなされ、
同年4月28日付けで審判請求がされたものである。


2.本願発明の認定
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」と言う。)は、上記平成23年1月20日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。

<本願発明>
「端末装置とアクセス制御サーバ装置とコンテンツサーバ装置とを備えたアクセス制御システムであって、
コンテンツサーバ装置は、端末装置に対してコンテンツを提供するためのものであり、
アクセス制御サーバ装置は、コンテンツサーバ装置に記録された複数のコンテンツに対する端末装置からのアクセス要求に対して、アクセスの可否を決定するものであり、
端末装置からアクセス制御サーバ装置にアクセスがあると、アクセス制御サーバ装置は、当該端末装置または当該端末装置を使用しているユーザが、各コンテンツに対してアクセス権を有するか否かを判断し、当該アクセス権有無の判断に基づいて、アクセス可能なコンテンツのアイコンを有し、アクセス可能でないコンテンツのアイコンを有さないアクセス用画面を生成して端末装置に送信し、
ユーザは、端末装置において表示されたアクセス用画面のアイコンに基づいて、各コンテンツに対するアクセス要求を行うことを特徴とするアクセス制御システム。」


3.先行技術
本願の出願前に日本国内又は外国において頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、原査定の拒絶の理由である上記平成22年11月17日付けの拒絶理由通知において引用された、下記引用文献には、それぞれ下記の引用文献記載事項が記載されている。(下線は当審付与)

<引用文献1>
特開2000-267998号公報(平成12年9月29日出願公開)

<引用文献記載事項1-1>
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 ユーザの属性を記憶するユーザ属性記憶手段と、
ユーザがサービス一覧の表示を要求したときに、当該ユーザの属性を上記ユーザ属性記憶手段から読み出し、上記読み出したユーザの属性に応じた表示態様でサービス一覧を表示する表示手段とを有することを特徴とするサービス一覧表示装置。
【請求項2】 上記表示手段は、上記ユーザの属性に応じて所定のサービスのエントリを表示しないようにする請求項1記載のサービス一覧表示装置。
【請求項3】 上記表示手段は、上記ユーザの属性に応じて所定のサービスの記述を変更する請求項1記載のサービス一覧表示装置。
【請求項4】 上記表示手段はハイパーテキストの文書情報に基づいて上記サービス一覧を表示する構成とし、さらに上記文書情報中の所定のサービスのエントリにおいて上記ユーザの属性に応じてリンク情報を変更する請求項1記載のサービス一覧表示装置。
【請求項5】 上記表示手段はハイパーテキストの文書情報に基づいて上記サービス一覧を表示する構成とし、さらに上記文書情報中の所定のサービスのエントリにおいて上記ユーザの属性に応じてリンク情報を付さないようにする請求項1記載のサービス一覧表示装置。
【請求項6】 サービス一覧のハイパーテキスト文書と複数のサービスとが分散配置され上記サービス一覧のサービスエントリと上記サービスとがリンクされているサービス提供装置において、
ユーザの属性を管理するユーザ属性管理手段と、
サービス一覧を表示するブラウザ手段と、
ユーザがサービス一覧の表示を要求したときに、上記ユーザ属性管理手段に記憶されている当該ユーザの属性に基づいてサービス一覧を記述するハイパーテキストを組立てる手段とを有し、
ユーザの属性に応じた態様でサービス一覧を上記ブラウザ手段に表示するようにしたサービス提供装置。
【請求項7】 ユーザの属性を記憶するユーザ属性記憶手段と、
ユーザがエントリ一覧の表示を要求したときに、当該ユーザの属性を上記ユーザ属性記憶手段から読み出し、上記読み出したユーザの属性に応じた表示態様でエントリ一覧を表示する表示手段とを有することを特徴とするエントリ一覧表示装置。
【請求項8】 上記エントリは文書情報のエントリを含む請求項7記載のエントリ一覧表示装置。
【請求項9】 上記エントリはアプリケーション・サービスのエントリを含む請求項7記載のエントリ一覧表示装置。」

<引用文献記載事項1-2>
「【0007】
【課題を解決するための手段】この発明によれば、上述の目的を達成するために、サービス一覧表示装置に、ユーザの属性を記憶するユーザ属性記憶手段と、ユーザがサービス一覧の表示を要求したときに、当該ユーザの属性を上記ユーザ属性記憶手段から読み出し、上記読み出したユーザの属性に応じた表示態様でサービス一覧を表示する表示手段とを設けるようにしている。
【0008】ここで、サービスは、アプリケーション・サービス、ドキュメント、オブジェクト、ページ等を含む。
【0009】この構成においては、ユーザの権限等の属性に応じて、一覧の表示を変えることができるので、機密情報の存在を隠蔽したり、本来利用できないサービスを表示しないようにしたり、あるいは、個別に操作をプロンプトしたりすることができる。」

<引用文献記載事項1-3>
「【0017】
【発明の実施の態様】以下、この発明の実施例について説明する。
【0018】図1は、この発明の実施例を全体として示しており、図1において、実施例のサービス一覧表示システムは、ウェブブラウザ10、ウェブサーバ11、CGIプログラム部12、データベース13等からなっている。CGI(CommonGateway Interface)プログラム部12は表示制御部14も構成している。ウェブブラウザ10はユーザが利用するクライアント(図示しない)にインストールされている。ウェブブラウザ10(クライアント)、ウェブサーバ11、CGI部12(CGIサーバ等)、データベース13はLAN等のネットワークに接続されている。ウェブブラウザ10は、HTTPプロトコルによりウェブサーバ11にリクエストを送り、ウェブサーバ11からリスポンス例えば所定のHTML文書(ウェブページ)を取得する。CGI部12は、ウェブブラウザ10からウェブサーバ11に送られてくるプログラムの指定および引数に基づいて所定の処理を実行し、ウェブブラウザ10に処理結果を反映したウェブページを送る。CGI部12は、CGIサーバとして実現するほかウェブサーバ11に保持されてもよい。
【0019】CGI部12で構成する表示制御部14は、図2に示す手順を実行して所望の表示を行うウェブページを構成してウェブブラウザ10を介してユーザに所望の表示を提示するものである。データベース13は、サービス一覧表示システムが表示するアプリケーション・サービスに関する情報(以下、アプリ情報ということもある)、ユーザ情報、承認情報を管理するものである。ユーザ情報はユーザID、ユーザレベル等を属性として有するレコードである(図3参照)。ユーザ情報のユーザレベルは、セキュリティレベルに関連付けられている(図4参照)。セキュリティレベルについては、所定の申請手続が必要かどうかが予め規定されている(図6参照)。アプリ情報は、アプリケーションID(以下、アプリIDということもある)、セキュリティレベル、アプリケーション名(以下、アプリ名ということもある)、リンク先等を属性として有するレコードである(図5)。承認情報は、アプリIDとユーザIDとを対応づけている(図7参照)。
【0020】表示制御部14は、データベース13のアプリ情報、ユーザ情報、承認情報等を参照しながらウェブページを組立てていく。」

<引用文献記載事項1-4>
「【0021】図2は、表示制御部14の動作を説明するものである。表示制御部14の動作は以下のとおりである。
【0022】[ステップS50]:ユーザがブラウザ10においてサービス一覧のアドレスを指定してサービス一覧表示を開始させ、ウェブページ組立てCGI中の表示制御部14を動作開始させる。
[ステップS51]:アクセスしているユーザのユーザレベルを、データベース13を参照して取得する(図3参照)。
[ステップS52]:ユーザレベルで開示可能なセキュリティレベルを、データベース13を参照して取得する(図4参照)。
[ステップS53]:該当するセキュリティレベルのアプリ情報を、データベースを参照して取得し(図5参照)、所定のバッファ(図示しない)に格納する。
:
(中略)
:
[ステップS61]:当該アプリケーション・サービスへのリンクを有する表示ページとする。
[ステップS62]:当該ユーザに開示可能なアプリケーション・サービスについてステップ57?ステップ61を繰返し、一覧表示用のページを組立て、表示制御部14の処理を終了する。
【0023】図8および図9は異なるユーザレベルのユーザに対する一覧表示の表示例を示しており、図8のユーザ01の場合、開示可能なアプリケーション・サービスとしてApl-001、Apl-002、Apl-003およびApl-004(実際にはユーザが理解できる記述的なアプリ名である)が表示され、Apl-001、Apl-003およびApl-004はリンクが付され(下線でアンカータグがあることを示す)、またApl-002はリンクが付されず、備考欄に「申請が必要です」と表示されている。「申請」の部分にアンカータグがあり、申請ページへリンクされている。
【0024】図9のユーザ02の場合、開示可能なアプリケーションはApl-002およびApl-004のみであり、開示が許されないアプリケーションApl-001およびApl-003については何ら一覧に表示されない。
【0025】以下、ユーザ01およびユーザ02のそれぞれの場合について表示制御手順を図3?図7のデータ構造例に則して説明する。
【0026】<ユーザ01の場合>
(ステップS50):開始。
[ステップS51]:図3よりユーザ01のユーザレベルはUL1である。
[ステップS52]:図4よりUL1に対して開示されるセキュリティレベルはSL1、SL2、SL3、SL4である。
[ステップS53]:図5よりこれらのセキュリティレベルに該当するアプリケーションは001、002、003、004である。これらのアプリ情報が、ユーザ01に対して表示されるアプリケーションのアプリ情報としてバッファに格納される。
:
(中略)
:
【0027】同様にバッファの最終データまで表示を繰り返す。この結果、図8のようなサービス一覧が表示される。
【0028】<ユーザ02の場合>
[ステップS50]:開始。
[ステップS51]:図3よりユーザ02のユーザレベルはUL2である。
[ステップS52]:図4よりユーザレベルUL2に対して開示されるセキュリティレベルはSL2、SL4である。
[ステップS53]:図5よりこれらのセキュリティレベルに該当するアプリケーションはApl-002、004である。これらがユーザ02に対して表示可能なアプリとしてバッファに格納される。
:
(中略)
:
【0029】以上のようにしてユーザ002に対して図9のような一覧表示がなされる。」

<引用文献記載事項1-5>
「【0030】以上せ実施例の説明を終了する。なお、この発明は上述の実施例に限定されるものではなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。例えば、一覧に表示されるエントリとしては、アプリケーション・サービスの他に、テキスト、画像、音声等の情報でもよく、広くオブジェクトのエントリでよい。また、ユーザのセキュリティレベルに関連して説明したが、それ以外の属性でもよい。性別、年齢、趣味、アクセス履歴等でもよい。また、上述では「申請が必要です」というテキストを付加したり、付加しなかったりしたが、異なるテキスト、アイコン、画像等の情報をユーザの属性に応じて変更して表示するようにしてもよい。またHTML文書の利用環境において説明したが、どのようなドキュメントでサービス一覧を表示してもよい。また、ウェブブラウザやウェブサーバを用いずに、専用のインタフェースを用いてサービス一覧を表示し、サービスへアクセス可能にしてもよい。」


<引用文献2>
特開2000-315179号公報(平成12年11月14日出願公開)

<引用文献記載事項2-1>
「【0039】次に、図6で説明したように、電子メール受信側装置において、電子メールアプリケーションの添付データ領域613から一覧表示領域601にアクセスキー・ファイルに対応するアイコン614をドロップした場合に、本システムの中央処理装置303が行なうドキュメント表示処理について図8A,Bを参照して説明する。図8A,Bは、アクセスキーを基にしたドキュメント表示処理を示すフローチャートである。この例では、図1において、PC-A201のユーザが送付した電子メールが電子メールサーバ203に格納され、電子メールサーバ203からPC-B202のユーザに電子メール着信の通知が届き、PC-B202のユーザが当該電子メールを開き、アクセスキーに従ってドキュメントを表示しようとする際の処理を説明する。」


<引用文献3>
特開平11-224222号公報(平成11年8月17日出願公開)

<引用文献記載事項3-1>
「【0011】
【課題を解決するための手段】まず、本発明は、共有フォルダや共有ワークスペースに格納されるファイルやフォルダなどの共有リソースに対し、ユーザ・フレンドリなアクセス制御インタフェースを提供する。また、本発明では、文書ファイルなどの共有リソースを代表するアイコンに対し、アクセス権の設定権のあるユーザ(例えば所有者)は、カーテンのようなイメージ(制御領域)を被せることによって、他ユーザ(例えば参照権のあるユーザ)によるリソースへのアクセスを制御することができる。」

<引用文献記載事項3-2>
「【0036】次いで、上記構成の第1実施例において、オブザーバに対してワークスペースを提示する際に提示するリソースを選択する処理動作を、図11に示すフローチャートを参照して説明する。まず、オブザーバーであるユーザからの指示を受け付けると、ワークスペースに含まれるリファレンスの位置座標とサイズから、当該ワークスペース上でのリファレンスアイコンの位置と大きさを特定する(ステップS1)。次いで、当該ワークスペースに設定されている制御領域の位置座標とサイズから、当該ワークスペース上での制御領域の位置と大きさを特定する(ステップS2)。
【0037】そして、上記のリファレンスアイコンと制御領域とのワークスペース上での交わりを検出し(ステップS3)、両者が交わっている場合にはフラグ(isHidden)を「true」とし(ステップS4)、両者が交わっていない場合にはフラグ(isHidden)を「false」とする(ステップS5)。そして、設定されたフラグが「true」である場合には当該リファレンスの表示が行われず、フラグが「false」である場合にだけ当該リファレンスがワークスペース上に表示される(ステップS6、S7)。すなわち、リファレンスアイコンがその一部でも制御領域にかかっている場合には、当該リファレンスはワークスペース上に表示されない。なお、上記の処理は、ワークスペースに含まれる各リファレンス及び各制御領域について順次繰り返し行われる。
【0038】ここで、この例では、リファレンスアイコンを囲む四角形と制御領域を囲む四角形が一部でも交わった場合に、そのリファレンスアイコンは制御領域に含まれるという判断を行っているが、もちろん、完全にリファレンスが制御領域に含まれる場合のみ制御領域に含まれるという判断を行ってもよい。また、上記の実施例では、リソースと制御領域とを別々に管理し、ワークスペースを表示する際に随時表示すべきリソースの計算を行っていたが、リソースを制御するための制御情報をワークスペースと関連付けて保持しておき、ワークスペースを表示する際に、この制御情報に基づいてリソースを表示する構成としてもよい。」


4.引用発明の認定

(1)引用文献には引用文献記載事項1-1の【請求項6】に記載されるとおりの
「サービス一覧のハイパーテキスト文書と複数のサービスとが分散配置され上記サービス一覧のサービスエントリと上記サービスとがリンクされているサービス提供装置において、
ユーザの属性を管理するユーザ属性管理手段と、
サービス一覧を表示するブラウザ手段と、
ユーザがサービス一覧の表示を要求したときに、上記ユーザ属性管理手段に記憶されている当該ユーザの属性に基づいてサービス一覧を記述するハイパーテキストを組立てる手段とを有し、
ユーザの属性に応じた態様でサービス一覧を上記ブラウザ手段に表示するようにしたサービス提供装置」
が記載されている。

(2)引用文献記載事項1-2等から明らかなように、
「上記サービスは、アプリケーション・サービス、ドキュメント、オブジェクト、ページ等を含むもの」
である。

(3)引用文献記載事項1-3の段落【0018】の「ウェブブラウザ10(クライアント)、ウェブサーバ11、CGI部12(CGIサーバ等)、データベース13はLAN等のネットワークに接続されている。」との記載等から、引用文献1には
「上記サービス提供装置はネットワークで接続されたクライアントとウェブサーバを有するもの」
である実施例が開示されていると言える。

(4)引用文献記載事項1-3の段落【0018】の「ウェブブラウザ10はユーザが利用するクライアント(図示しない)にインストールされている。」との記載などから該実施例においては、
「上記ブラウザ手段は上記クライアントにインストールされているもの」
であると言える。

(5)引用文献記載事項1-3の段落【0018】の「CGI(CommonGateway Interface)プログラム部12は表示制御部14も構成している。」「CGI部12は、ウェブブラウザ10からウェブサーバ11に送られてくるプログラムの指定および引数に基づいて所定の処理を実行し、ウェブブラウザ10に処理結果を反映したウェブページを送る。」「CGI部12は、CGIサーバとして実現するほかウェブサーバ11に保持されてもよい。」との記載、段落【0019】の「CGI部12で構成する表示制御部14は、図2に示す手順を実行して所望の表示を行うウェブページを構成してウェブブラウザ10を介してユーザに所望の表示を提示するものである」との記載、及び段落【0020】の「表示制御部14は、データベース13のアプリ情報、ユーザ情報、承認情報等を参照しながらウェブページを組立てていく。」との記載などから、
「上記ウェブサーバに保持されるCGIプログラム部が構成する表示制御部は、上記組立てる手段であるとともに、ブラウザ手段を介してユーザに所望の表示を提示するもの」
である実施例も開示されていると言える。

(6)引用文献記載事項1-1の【請求項2】、引用文献記載事項1-4等から見て、
「上記サービス一覧は、アクセスしているユーザのユーザレベルで開示可能なセキュリティレベルのサービスのエントリを表示し、アクセスしているユーザのユーザレベルでは開示不可能なセキュリティレベルのサービスのエントリを表示しないもの」
であると言える。

(7)よって、引用文献1には下記の引用発明が記載されていると認められる。

<引用発明>
「サービス一覧のハイパーテキスト文書と複数のサービスとが分散配置され上記サービス一覧のサービスエントリと上記サービスとがリンクされているサービス提供装置において、
ユーザの属性を管理するユーザ属性管理手段と、
サービス一覧を表示するブラウザ手段と、
ユーザがサービス一覧の表示を要求したときに、上記ユーザ属性管理手段に記憶されている当該ユーザの属性に基づいてサービス一覧を記述するハイパーテキストを組立てる手段とを有し、
ユーザの属性に応じた態様でサービス一覧を上記ブラウザ手段に表示するようにしたサービス提供装置であって、
上記サービスは、アプリケーション・サービス、ドキュメント、オブジェクト、ページ等を含むものであり、
上記サービス提供装置はネットワークで接続されたクライアントとウェブサーバを有するものであり、
上記ブラウザ手段は上記クライアントにインストールされているものであり、
上記ウェブサーバに保持されるCGIプログラム部が構成する表示制御部は、上記組立てる手段であるとともに、ブラウザ手段を介してユーザに所望の表示を提示するものであり、
上記サービス一覧は、アクセスしているユーザのユーザレベルで開示可能なセキュリティレベルのサービスのエントリを表示し、アクセスしているユーザのユーザレベルでは開示不可能なセキュリティレベルのサービスのエントリを表示しないものである
サービス提供装置。」


5.対比
以下に、本願発明と引用発明とを比較する。

(1)
ア.引用発明は「ユーザの属性に応じた態様でサービス一覧を」「表示するようにしたサービス提供装置」であって、「上記サービス一覧は、アクセスしているユーザのユーザレベルで開示可能なセキュリティレベルのサービスのエントリを表示し、アクセスしているユーザのユーザレベルでは開示不可能なセキュリティレベルのサービスのエントリを表示しないもの」であり、これはサービスへの「アクセス」をユーザの属性に応じて「制御」している「システム」であるともとらえることができるものであるから、引用発明も本願発明と同様に「アクセス制御システム」と言えるものである。

イ.引用発明における「サービス」は、本願発明における「コンテンツ」に対応付けられるものであるところ、前者は「アプリケーション・サービス、ドキュメント、オブジェクト、ページ等を含むもの」であるから、後者と同義のものであると言える。

ウ.引用発明における「クライアント」は、本願発明における「端末装置」に対応付けられるものであるところ、前者は「ウェブサーバ」と「ネットワークで接続され」「サービス一覧を上記ブラウザ手段に表示」すること等を行うのであるから、後者と同様に「端末装置」と言えるものである。

エ.引用発明における「ウェブサーバ」は、本願発明における「アクセス制御サーバ装置」に対応付けられるものであるところ、前者に「保持されるCGIプログラム部が構成する表示制御部」は、「上記ユーザ属性管理手段に記憶されている当該ユーザの属性に基づいてサービス一覧を記述するハイパーテキストを組立てる手段」「であるとともに、ブラウザ手段を介してユーザに所望の表示を提示するもの」であり、これによって各サービスへのアクセスが制御されるものととらえることができるものであるから、前者も後者と同様に「アクセス制御サーバ装置」と言えるものである。

オ.引用発明は「サービス一覧のハイパーテキスト文書と複数のサービスとが分散配置」される「サービス提供装置」であるから、該「複数のサービス」が何らかの装置に「配置」されており、該装置から「サービス」が「提供」されることは明らかである。
したがって、引用発明も、本願発明における「コンテンツサーバ装置」に相当する装置を備えていることは明らかである。

カ.したがって、引用発明と本願発明とは、
「端末装置とアクセス制御サーバ装置とコンテンツサーバ装置とを備えたアクセス制御システム」
である点で共通すると言える。

(2)引用発明における、「サービス」の「提供」先が上記「クライアント」であることは明らかであるので、引用発明においても、本願発明と同様に
「コンテンツサーバ装置は、端末装置に対してコンテンツを提供するためのもの」
であると言える。

(3)該引用発明における「上記ウェブサーバに保持されるCGIプログラム部が構成する表示制御部」は「上記ユーザ属性管理手段に記憶されている当該ユーザの属性に基づいてサービス一覧を記述するハイパーテキストを組立てる」ものであり、「上記サービス一覧は、アクセスしているユーザのユーザレベルで開示可能なセキュリティレベルのサービスのエントリを表示し、アクセスしているユーザのユーザレベルでは開示不可能なセキュリティレベルのサービスのエントリを表示しないもの」であるところ、これは上記「ウェブサーバ」が「サービス」への「アクセスの可否を決定」しているととらえることもできるものである。
したがって、引用発明においても、本願発明と同様に
「アクセス制御サーバ装置は、コンテンツサーバ装置に記録された複数のコンテンツに対する端末装置からのアクセス要求に対して、アクセスの可否を決定するもの」
であると言える。

(4)
ア.引用発明において「ハイパーテキスト」の「組立て」は、「ユーザがサービス一覧の表示を要求したとき」になされるものであり、これは「端末装置からアクセス制御サーバ装置にアクセスがあると」なされるとも言えるものである。
引用発明においては「上記サービス一覧は、アクセスしているユーザのユーザレベルで開示可能なセキュリティレベルのサービスのエントリを表示し、アクセスしているユーザのユーザレベルでは開示不可能なセキュリティレベルのサービスのエントリを表示しないもの」であるところ、この「アクセスしているユーザのユーザレベル」は「開示可能なセキュリティレベルのサービス」への「アクセス権」とも言えるものである。してみると、引用発明においては、ウェブサーバによって各ユーザが各サービスに対して「アクセス権を有するか否か」が判断されているとも言える。
したがって、引用発明における「ウェブサーバ」と本願発明における「アクセス制御サーバ装置」とは、「端末装置からアクセス制御サーバ装置にアクセスがあると」、「当該端末装置または当該端末装置を使用しているユーザが、各コンテンツに対してアクセス権を有するか否かを判断」する点で共通すると言える。

イ.引用発明における「サービスのエントリ」は本願発明における「コンテンツのアイコン」に対応付けられるものであるところ、両者は「コンテンツを示す表示要素」と言う上位概念において共通するものであると言える。
そして、引用発明における「サービス一覧」は本願発明の「アクセス用画面」に対応付けられるものであるところ、前者においては「サービスエントリと上記サービスとがリンクされている」のであるから、後者と同様に「アクセス用画面」と言えるものであり、しかも、前者は「アクセスしているユーザのユーザレベルで開示可能なセキュリティレベルのサービスのエントリを表示し、アクセスしているユーザのユーザレベルでは開示不可能なセキュリティレベルのサービスのエントリを表示しないものである」から、後者とは「アクセス可能なコンテンツを示す表示要素を有し、アクセス可能でないコンテンツを示す表示要素を有さないアクセス用画面」と言えるものである点で共通すると言える。
また、引用発明の「上記ウェブサーバに保持されるCGIプログラム部が構成する表示制御部」は「サービス一覧を記述するハイパーテキストを組立て」るものであるとともに、「ブラウザ手段を介してユーザに所望の表示を提示する」ものでもあるから、該「ハイパーテキスト」を「クライアント」に「送信」していることは明らかである。
してみると、引用発明における「ウェブサーバ」と本願発明における「アクセス制御サーバ装置」とは「当該アクセス権有無の判断に基づいて、アクセス可能なコンテンツを示す表示要素を有し、アクセス可能でないコンテンツを示す表示要素を有さないアクセス用画面を生成して端末装置に送信」する点で共通すると言える。

ウ.したがって、引用発明と本願発明とは
「端末装置からアクセス制御サーバ装置にアクセスがあると、アクセス制御サーバ装置は、当該端末装置または当該端末装置を使用しているユーザが、各コンテンツに対してアクセス権を有するか否かを判断し、当該アクセス権有無の判断に基づいて、アクセス可能なコンテンツを示す表示要素を有し、アクセス可能でないコンテンツを示す表示要素を有さないアクセス用画面を生成して端末装置に送信」
するものである点で共通すると言える。

(5)引用発明の「クライアント」における「ブラウザ手段」は「サービス一覧を表示する」ものであり、「上記サービス一覧のサービスエントリと上記サービスとがリンクされている」のであるから、ユーザは表示されるサービスエントリに基づいて各サービスへのアクセス要求を行うことは明らかであり、引用発明と本願発明とは
「ユーザは、端末装置において表示されたアクセス用画面の表示要素に基づいて、各コンテンツに対するアクセス要求を行う」
ものである点で共通すると言える。

(6)よって、本願発明は、下記一致点で引用発明と一致し、下記相違点を有する点で引用発明と相違する。

<一致点>
「端末装置とアクセス制御サーバ装置とコンテンツサーバ装置とを備えたアクセス制御システムであって、
コンテンツサーバ装置は、端末装置に対してコンテンツを提供するためのものであり、
アクセス制御サーバ装置は、コンテンツサーバ装置に記録された複数のコンテンツに対する端末装置からのアクセス要求に対して、アクセスの可否を決定するものであり、
端末装置からアクセス制御サーバ装置にアクセスがあると、アクセス制御サーバ装置は、当該端末装置または当該端末装置を使用しているユーザが、各コンテンツに対してアクセス権を有するか否かを判断し、当該アクセス権有無の判断に基づいて、アクセス可能なコンテンツを示す表示要素を有し、アクセス可能でないコンテンツを示す表示要素を有さないアクセス用画面を生成して端末装置に送信し、
ユーザは、端末装置において表示されたアクセス用画面の表示要素に基づいて、各コンテンツに対するアクセス要求を行うアクセス制御システム。」

<相違点>
本願発明におけるコンテンツを示す表示要素は「コンテンツのアイコン」である点。
(これに対し、引用文献1には「サービスエントリ」に代えて「アイコン」を表示する旨の記載は無い。
なお、引用文献記載事項1-5に「上述では「申請が必要です」というテキストを付加したり、付加しなかったりしたが、異なるテキスト、アイコン、画像等の情報をユーザの属性に応じて変更して表示するようにしてもよい。」とあるものの、このアイコンは、引用文献1の図8や図9の「備考」の欄に配置され申請の要否に応じて変化するアイコンを意味するとも解し得るものであり、必ずしも引用発明の「サービスエントリ」に代えて表示されるアイコンを意味すると断定できるものではない。)


6.判断
(1)上記相違点について検討するに、画面に表示するアイコンを用いてコンテンツへのアクセス制御を行うシステムは、例えば引用文献記載事項2-1、3-1、3-2等に示されるごとく、従来から当業者にとっては周知慣用の技術であり、これと同様にコンテンツへのアクセス制御を行うものである引用発明の技術との組合わせや適用を試みることは、当業者の通常の創作力の発揮にほかならないものである。
してみると、「コンテンツのアイコン」によってでアクセスの制御をするシステムを引用発明を適用することによって構成すること、換言すれば、引用発明において上記相違点に係る構成を採用したものを想到することは、引用文献1?3に接した当業者であれば容易になし得たことである。

(2)したがって、本願発明の構成は引用文献1?3に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。
また、本願発明の効果は、当業者であれば容易に予測し得る程度のものであって、格別顕著なものではない。
よって、本願発明は、引用文献1?3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


7.むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、他の請求項についての検討をするまでもなく、本願を拒絶すべきものとした原審の拒絶査定は妥当なものである。

よって、上記結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-10-30 
結審通知日 2012-11-05 
審決日 2012-11-16 
出願番号 特願2001-62193(P2001-62193)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和田 財太  
特許庁審判長 山崎 達也
特許庁審判官 石井 茂和
仲間 晃
発明の名称 アクセス制御システム  
代理人 松下 正  
代理人 古谷 栄男  
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